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第60回米州開発銀行・第34回米州投資公社年次総会 日本国総務演説

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第60回米州開発銀行・第34回米州投資公社年次総会 日本国総務演説
(令和元年(2019年)7月16日(火)於:エクアドル グアヤキル)


1. 序
○ 議長、総裁、各国総務各位、ならびにご列席の皆様、

○ 第60 回米州開発銀行(IDB)、第34回米州投資公社(IIC、通称:IDB Invest)年次総会に当たり、日本政府を代表して、本総会のホスト国であるエクアドル政府、そしてグアヤキル市民の皆様の温かい歓迎に感謝申し上げます。

2. 中南米カリブ経済
○ 世界経済は引き続き拡大はしておりますが、通商問題や金融資本市場の変動などのリスクが増加する中、先行き不透明感は高まっています。

○ こうした中、中南米カリブ地域の経済成長は2016年以降回復基調にありますが、世界経済全体や他の地域と比べると低い水準にとどまっております。中南米カリブ諸国は、短期的には、足元の様々なリスクに対応しうるよう、財政や対外ポジションの改善などプルーデントな経済運営を行っていくことが必要です。中長期的には、経済成長の底上げのため、不足している経済インフラの整備、所得配分の改善、資源に過度に依存しない経済の構築、投資環境の改善など、様々な構造改革に取り組んでいくことが求められています。IDBには、こうした中南米カリブ地域の諸課題への対応に、引き続き積極的な役割を果たしてくことを期待します。

○ ベネズエラの経済・社会情勢の悪化により、特に脆弱な状況にあるベネズエラ国民に深刻な影響が及んでいること、及び、避難民の流出により、周辺国を含め地域規模で影響が及んでいることについて、改めて懸念を表明します。このような状況に国際社会が協力して対応することは重要であり、IDBがふさわしい役割を担うことを支持します。

3. 新中期戦略とG20アジェンダ
○ 今回の総会で、新中期戦略が採択されたことを歓迎します。新中期戦略は、2020年からのIDBの優先的な取組分野を定める重要な政策文書であり、この中で、「持続可能なインフラ投資」や「防災」、「債務持続可能性の向上」が盛り込まれたことを高く評価します。これらは、本年の日本が議長を務めるG20における優先事項であり、その成果も踏まえ、IDBとの取組に積極的に貢献してまいります。

(1)質の高いインフラ投資
○ 質の高いインフラ投資は、インフラの物理的価値を超えて、経済社会の発展に重要な役割を果たします。特に、@公的財政の持続可能性を保ちながらインフラの経済へのインパクトを最大化し、Aライフサイクル・コストでみた経済性を向上させ、B女性の経済的なエンパワーメントを含めた環境・社会配慮を行い、C自然災害その他のリスクに対する強靭性を強化し、そして、Dインフラ・ガバナンスを強化するものです。このような考え方に基づき、先般、G20において「質の高いインフラ投資に関するG20原則」が承認されました。

○ 日本は、中南米カリブ地域において、こうした質の高いインフラ投資を推進する様々な取組をIDBとともに推進してきています。

  第一に、IDBとJICAとの間で、再生可能エネルギーや省エネルギー促進などを支援する30億ドルの協調融資枠組みであるCORE(Co-financing for Renewable Energy and Energy Efficiency)による協力です。これまでに10億ドルを超える実績が積み上がっています。

  第二に、昨年、IDBが新設したPPP(官民連携)による質の高いインフラ案件の組成を支援するファシリティを通じた支援です。日本はPPPファシリティに参加した最初のドナーとして500万ドルの貢献をしており、今後、同ファシリティのさらなる有効活用を期待します。

  第三に、2016年に日本信託基金内に設置された質の高いインフラ案件の準備、実施を支援するJQI(Japan Quality Infrastructure)による協力です。2018年は6件の案件を承認しており、今般、これまで着実に実績が積み上がってきていることを踏まえ、500万ドルの追加貢献を行うことを表明します。

○ 日本としては、今後ともIDBと緊密に協力しながら、中南米カリブ地域の持続的なインフラ投資の推進に取り組んでいきたいと考えています。

(2)防災
○ 中南米カリブ地域は、ハリケーン等の自然災害の影響を最も受けやすい地域の一つであり、新中期戦略において、自然災害に対する強靭性の強化が言及されたことを歓迎します。

○ 日本はこれまでも日本信託基金を活用し、中南米カリブ地域の災害対策を行ってきたところでありますが、今般、IDBの防災の取組を抜本的に強化するため、100万ドルの追加貢献を行うことを表明します。IDBが、災害リスク管理の技術支援を通じ、域内の強靭性強化に貢献していくことを期待します。

(3)債務持続可能性の向上
○ 足元では、中南米カリブ諸国の債務は、一部の国を除き、警戒すべき水準にはありません。しかしながら、警戒水準を超えた国々の債務を抑制し、その他の国々の持続可能性を維持していくため、IDBには、IMFや世銀等と連携しつつ、政府による債務管理の強化、債務の透明性の向上、公的財政管理や国内資金動員の強化、及び、これらに係る当局の能力構築支援などを含めた多面的な取組を通じて、中南米カリブ諸国の債務持続可能性の確保を支援していくことを求めます。

4. 多数国間投資基金(MIF:愛称IDB Lab)への貢献
○ 2019年3月に、MIF3が発効したことを歓迎します。MIFは、中南米カリブ地域の中小零細企業や社会的弱者への支援に加え、IDBグループの革新的実験室として、多くのパイロット事業を推進してきました。昨年決定したIDB Labとの呼称は、MIFのこうした機能を的確に表現したものといえます。日本は、MIF3の最大ドナーとして、その運営に積極的に貢献してまいります。

5. 結語
○ モレノ総裁のリーダーシップの下、IDBグループ全体が中南米カリブ地域の持続可能な経済成長へ一層の貢献を行っていくことを期待します。日本は今後とも、強力なパートナーとしてIDBと一層緊密に協力してまいります。
               

(以上)