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第53回AfDB・第44回AfDF年次総会 日本国総務演説(平成30年5月23日 於:韓国・釜山)

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第53回アフリカ開発銀行・第44回アフリカ開発基金年次総会 今枝財務大臣政務官:総務演説
(平成30年(2018年)5月23日(水) 於:韓国・釜山)


1.序

 議長、歴代総裁、総裁、各国総務各位、並びにご列席の皆様、

 第53回アフリカ開発銀行(AfDB)・第44回アフリカ開発基金(AfDF)年次総会に当たり、日本政府を代表し、ご挨拶申し上げることを光栄に思います。また、主催国である韓国政府及び釜山市民の皆様の暖かい歓迎に対して感謝を申し上げます。

2.アフリカ経済と課題

 世界経済の回復基調が広がり、力強さを増す中、アフリカ経済にも回復の兆しが見えつつありますが、一次産品輸出国を中心に、低成長や債務拡大などの課題が山積しています。また、世界の貧困人口の半分以上がサブサハラ・アフリカに集中していることも忘れてはなりません。

 こうした厳しい現実がある一方、アフリカは、豊かな資源、広大な土地、活力にあふれた人口構成といった強みを有しており、希望の大陸としての側面も有しています。アフリカ諸国が自らの強みを活かし、持続可能な経済成長と貧困削減を実現できるようにするための環境づくりをすること、それがアフリカに根差した国際開発金融機関(MDB)であるAfDBの使命だと思います。

3. AfDBへの期待

 私は、医学生時代から、国際保健に関わり、UHCの重要性を認識してきました。大学3年次には、内戦中のスリランカに赴き、内戦国の実態や内戦下での医療の実態を知り、様々な研究を行い、その改善に努力しました。

 その想いは国会議員としても続き、自民党の国際保健医療戦略特命委員会にも参加してきました。2014年のエボラ危機に際しては、日本企業の寄付を受け、ギニア・リベリア・コンゴ民主共和国の3か国に対し、超高性能マスク1万枚を贈呈しました。こうしたこともあり、私は、途上国の開発、なかんずく、アフリカの国々への支援に強い情熱を抱いており、今回の総会への参加を楽しみにしてまいりました。

 本日は、AfDBに対する期待として、4点申し上げます。

(1)ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)
 UHCは、日本政府の開発アジェンダの中で、最も重要な柱の一つです。昨年12月には、UHCフォーラム2017を東京でホストし、AfDBからも局長級の参加を得て、大きな成功を得られたことをうれしく思います。

 UHCの達成には安定的な財源確保が不可欠であり、保健大臣と並び、財務大臣も密接に関与する必要があります。こうした観点から、先月、ワシントンでの世銀・IMFの春会合では、日本政府・世銀・WHO共催によるUHC flagship event(UHCに関する財務大臣会合)が開催され、日本の経験を踏まえ、持続可能な保健財政について参加者の理解を深められたことは大きな成果でした。アフリカからは、エジプト・コンゴ民主共和国の2か国の財務大臣が参加されたことを歓迎します。

 保健は、重点5分野(High 5s)第5番目の柱である「生活の質(improve quality of life)」に含まれています。誰一人として取り残さない「leave no one behind」の保健システムの基礎となるUHC構築に向け、AfDBの積極的な貢献を期待しています。また、保健分野の人材を含め、アフリカの経済・社会開発に不可欠な人材を育成することも喫緊の課題です。日本は、こうしたAfDBの取り組みを、信託基金も活用しつつ支援していく考えです。

(2)質の高いインフラ
 High 5sの5つの柱を通じて重視されているインフラについては、国際スタンダードを踏まえた質の確保が重要です。

 質の高いインフラ投資は、ライフサイクル・コストや強靭性といった物理的な価値にとどまるものではありません。民間投資促進、雇用創出、能力構築、持続可能な借入を伴うことで経済の歯車が動き出し、経済発展のための「自律的循環」を生み出すものです。

 こうした考え方から、来年のG20に向けて、国際公共財としての「質の高いインフラ投資」の「自律的循環」実現への効果を明確化するとともに、何が「質の高いインフラ投資」であるかのコンセプトに係る原則をアップグレードしていく考えです。アップグレードに当たっては、「自律的循環」を実現する「質の高いインフラ投資」の要素として、マル1経済性、マル2環境・社会配慮、マル3災害などに対する強靭性を改めて強調するとともに、これまで強調されていなかったマル4ガバナンスについては、Responsible Financingやインフラの利用の開放性を前面に出したいと考えています。

 日本は、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資に着目したファシリティをJBICに創設し、AfDBを始めとするMDBsとも協調しつつ、再生可能エネルギー分野も含め、地球環境保全目的に貢献するインフラ整備を幅広く支援します。また、引き続き、日本・アフリカ・エネルギー・イニシアティブ(JAEI)を推進し、High 5s第1番目の柱である「電力(Power Africa)」分野を支えていきます。

(3)民間投資・リスク管理体制
 アデシナ総裁が強く訴えているように、持続的な成長を実現するためのカギは、民間投資の拡大です。

 日本は、JICAとの協調融資枠組みEPSA(アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブ)や、投資環境の改善を図る信託基金FAPA(アフリカ民間セクター向け支援基金)を通じ、AfDBとの協力を推進していきます。

 困難を伴うアフリカのビジネス環境においては、民間向け融資が不良債権化するリスクに注意が必要です。日本は、AfDBの民間向け業務の拡大を支持しますが、その前提として、民間業務に精通した職員を確保し、リスク管理体制強化を図ることが喫緊の課題であることを指摘したいと思います。

(4)増資:将来像とビジョン
 最後に、以上、申し述べたAfDBへの期待を踏まえ、増資について4点申し上げます。

  1. 増資の議論を行うに当たっては、まず、AfDBの将来像やビジョンをしっかりと提示することが重要です。将来像やビジョンの策定においては、以上申し述べた点に十分な配慮を払って頂く必要があります。ビジョンについてのコンセンサスがないまま、増資シナリオを議論することは出来ません。また、株主と銀行の間で十分な議論を尽くすため、増資合意にタイムラインを設けるべきではありません。
  2. 次に、近年、国際スタンダードを十分に考慮しない非譲許借入の拡大などから、多くのアフリカ諸国で債務持続性が悪化しています。AfDBは、借入国の持続的な成長を支援する立場から、増資の議論の中で、債務の問題に十分焦点を当てるべきです。また、IMF・世銀との協調、非伝統的ドナーを含む他ドナーとの対話、借入国との政策対話・債務管理に係る技術支援の強化を図り、債務問題への対処に貢献すべきです。
  3. AfDBの業務は、低所得国支援を行うAfDFと密接に関係しており、AfDB・AfDFの双方を一体的に検討する必要があります。例えば、低所得国の中でも比較的所得水準が高い国は、AfDB・AfDF双方から融資を受けられます。また、AfDFは低所得国向けAfDB民間融資に保証を付しています。
  4. こうして形成されるビジョンと戦略をAfDBが着実に実施していけるだけのキャパシティ(capacity for delivery)を備えることも不可欠です。そのためには、アデシナ総裁のリーダーシップの下で進められる組織改革の成功に向け、副総裁級の幹部を含め少なからず残っている空席ポストに適切な人材を速やかに配置し、質の高い支援を実施する能力を備えた組織を作っていくことが重要です。

4.結語

 日本は、GCCで増資の議論を開始することを支持します。その際、増資交渉に期限を設けることなく、株主と銀行の間で、AfDBの未来について十分な議論が行われることが重要です。今般の増資の議論を契機に、AfDBの将来像、その果たすべき役割、質の高い支援を実施するための能力構築などについて、全てのステークホルダーが納得できるような合意の形成に向け、活発な議論が行われることを期待します。

 最後に、2019年は、日本がG20議長を務め、また、1993年に始まったTICADの第7回目の会合が開催される年です。横浜で開催されるTICAD-7へのAfDBからのインプットを期待するとともに、各国の皆様のお越しを楽しみにしております。


 ご清聴有難うございました。

(以上)