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第48回AfDB・第39回AfDF年次総会 日本国総務演説(平成25年5月30日 於:モロッコ・マラケシュ)

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第48回アフリカ開発銀行・第39回アフリカ開発基金年次総会 日本国総務演説
(平成25年(2013年)5月30日(木) 於:モロッコ・マラケシュ)

ローマ数字1 はじめに

  1. 国家元首及び首相閣下、議長、各国総務、総裁、並びにご列席の皆様、

  2. 第48回アフリカ開発銀行(AfDB)・第39回アフリカ開発基金(AfDF)年次総会の開催にあたり、モロッコ政府及びマラケシュ市民の温かい歓迎に対し、心から感謝致します。

ローマ数字2 アフリカの経済成長

  1. 今、アフリカでは、目覚ましい経済成長が続き、経済フロンティアとして国際社会の注目を集めています。また、経済成長に伴い、中産階級の層が厚くなり、これが新たな経済成長に結びつくという好循環が生じつつあります。日本としても、アフリカが世界経済の牽引車となることを期待します。

  2. こうした動きを持続的なものとするためには、安定的なマクロ経済運営を確保しつつ、インフラの整備や政府を始めとする諸機関のキャパシティ・ビルディング、地域経済統合の促進を通じ、民間投資が進む環境作りを行うことが重要です。日本としても、アフリカが民間主導の経済成長を実現し、世界の経済成長を牽引するようになることを期待します。そのため、アフリカ開発銀行が積極的に取り組むことを求めます。

ローマ数字3 日本とAfDB:40年にわたる関係

  1. AfDBは、アフリカを代表する開発機関です。今年は、日本が、AfDFに加盟し40年、AfDB本体に加盟し30年の節目の年にあたります。日本は、域外国中、AfDB本体における第二位の出資国などとして、アフリカの開発に貢献してきました。

  2. また、2005年には、民間主導の経済成長を加速させることを通じ、アフリカの開発を促進する観点から、AfDBとの間で、EPSA(エプサ[Enhanced Private Sector Assistance for Africa]: アフリカの民間セクター開発のためのイニシアティブ)を立ち上げました。これまでに、民間投資の呼び水となるインフラの整備や民間企業に対する円滑な資金供給を図るため、10億ドル超の円借款を供与したほか、アフリカの民間セクターの能力構築を図る観点から、FAPA(ファパ[Fund for African Private Sector Assistance]:アフリカ民間セクター支援信託基金)に対して、約4千万ドルの貢献を行ってきたところです。

  3. 更に、昨年10月、AfDB唯一の域外事務所として、東京にアジア代表事務所が開設されたことを喜ばしく思います。アジア代表事務所は、世界の成長センターであるアジアとアフリカの経済関係を強化するために大きな役割を担うものであり、開設後半年あまりの間に、既に目に見える実績を残しています。

  4. 例えば、本年4月、アジア代表事務所は、東京において、アフリカ外交団やアフリカに関わる日本政府関係者の参加も得て、日本企業のアフリカ投資の促進を目的としたセミナーを開催すると共に、アフリカビジネスに関わる日本企業375社のリストを取り纏めました。こうした取り組みにより、日本を含むアジアの企業のアフリカにおけるビジネス活動が促進されると共に、アフリカの持続的かつ包摂的な経済成長にも大きく貢献し、両地域がwin-win の関係を構築することを期待します。

  5. 本年3月には、AfDB本部からリクルートミッションが来日し、アフリカの開発に高い関心を持つ数多くの優秀な人材と面接を行いました。日本は、資金面のみならず人材面でもAfDBに貢献する考えです。

ローマ数字4 第5回アフリカ開発会議(TICADX)とアフリカ支援の強化

  1. 冷戦が終結し、国際社会のアフリカに対する関心が薄れつつあった1993年、日本は、アフリカ開発会議(TICAD)を立ち上げ、これが、国際社会によるアフリカへの関心を呼び戻すきっかけとなりました。前回の第4回アフリカ開発会議(TICADW、2008年)では、日本のアフリカ向けODA及び民間投資を倍増させることを表明し、既に、達成しています。

  2. 明後日(6月1日)から、第5回目となるTICADが横浜で開催されます。今回のTICADは、アフリカの経済成長の質的向上を図ることを主眼としており、「躍動のアフリカと手を携えて」("Hand in hand with a more dynamic Africa")とのテーマを掲げています。皆様を横浜にお迎えできることを楽しみにしております。

  3. 先ほど申し上げたように、日本は、AfDBとの間で、民間主導の経済成長の促進を目指して、EPSAイニシアティブを立ち上げ、大きな成果を挙げてきました。そこで、これまでの成果を踏まえ、AfDBとの協力を一段と強化するため、2つの措置を表明することにしました。

  4. 第一に、インフラ整備や民間企業に対する円滑な資金供給を図ることなどを通じ、民間主導の経済成長を促進するため、AfDBと連携して、円借款の積極活用を図ります。

  5. 昨年5月に開催されたG8キャンプデービッド・サミットに際し、日本政府は、EPSAイニシアティブの下で、5年間で、新たに10億ドル相当の円借款を供与することを表明しました。その後、AfDBの協力を得て、ザンビア・ボツワナ両国をつなぐカズングラ橋の建設や、タンザニアにおける道路整備のための円借款が、AfDBとの協調融資の形で供与されるなど、アフリカ経済の成長に合わせて、急速な進展が得られつつあることを嬉しく思います。

  6. こうした点を踏まえ、今般、我が国は、EPSAイニシアティブの下における円借款について、その大幅な増額を図ることを決定しました。

  7. 第二に、中小企業の育成を図り、地域統合を促進する等の観点から、AfDBを通じた能力構築の取組を強化することとし、5年で2,500万ドル相当(約25億円)の貢献を行う考えです。

  8. 具体的には、AfDB内に設けたFAPA信託基金や日本信託基金(PHRDG:開発政策・人材育成信託基金)を活用し、アフリカの経済成長を支える中小企業の資金調達を円滑化する観点から、地場金融機関の審査能力を高めるための支援を行います。また、国境を越えた物流を円滑化し地域統合を深化させる観点から、世界税関機構(WCO)とも連携しつつ、アフリカ諸国の税関の能力構築を図ります。

ローマ数字5 アフリカ開発基金第13次増資交渉(AfDF13)

  1. 次に、アフリカ開発基金第13次増資交渉(AfDF13)について申し上げます。

  2. 近年、目覚ましい経済成長を実現しているアフリカですが、依然として、貧困は深刻な状況にあります。サブサハラ・アフリカの半分近い人々は、未だに1日1.25ドル未満で生活しています。貧困削減を推進し、包摂的な社会を実現するためにも、低所得国を支援するアフリカ開発基金(AfDF)が果たす役割は極めて重要です。

  3. 日本は、厳しい財政事情の下、社会保障・税一体改革を継続しているところでありますが、AfDF第13次増資の成功に向けて貢献していきます。AfDF第13次増資を成功させるためには、AfDBが、増資について各国納税者への説明責任を果たすことが重要です。限られたAfDFの資金により、最大限の開発効果を実現するよう取り組んでいくことを求めます。

  4. また、AfDF資金の活用にあたっては、インフラ整備や人材の育成など、民間主導の経済成長の強化に取り組むことを期待します。

  5. AfDFにおいては、限られた資金を、透明性の高い客観的な基準により、パフォーマンスの高さに応じて国別に配分する観点から、CPIA(Country Policy and Institutional Assessment:国別政策制度評価)を中心に据えたPBA(Performance Based Allocation:パフォーマンスに応じた資金配分)システムが導入されています。

  6. 現在、AfDF第13次増資交渉において、現行システムでは「脆弱国」向けの資金を十分に確保できないとの問題意識のもと、PBAやCPIAの見直しが議論されています。しかし、CPIAを中核とするPBAの当初の目的を想起すると、国際開発協会(IDA)等と共に作成した国際公共財としてのCPIAの意義を十分に尊重すべきと考えます。

ローマ数字6 AfDBのアビジャン本部への帰還

  1. 最後に、AfDBのアビジャン本部への帰還について申し上げます。

  2. 今般、AfDBのアビジャン本部への帰還が具体的に動き始めたことは大きな前進です。AfDBが、ロードマップに従い、治安の維持など帰還に向けた環境整備状況をしっかりと確認しつつ、職員の安全が確保される形で帰還を進めることを求めます。

ローマ数字7 結語

  1. 国家元首及び首相閣下、議長、各国総務、総裁、並びにご列席の皆様、

  2. かつて、長期に亘って経済停滞が続いていたアフリカは、10年間の経済成長を遂げるなど、大きな変化の中にあります。

  3. アフリカが、こうした動きを着実なものとし、持続的かつ包摂的な経済成長を実現するためにも、日本は、今後も、AfDBとの連携しつつ、アフリカの開発に一層協力してまいります。AfDBが一層重要な役割を果たすことを期待します。

  4. ご清聴有難うございました。

(以上)