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第33回国際通貨金融委員会(IMFC) コミュニケ(仮訳)(平成28年4月16日)

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第33回国際通貨金融委員会(IMFC)コミュニケ(仮訳)
[2016年4月16日 於:米国・ワシントンD.C.]

 

世界経済
1.世界経済は緩やかな拡大を続けている。しかし、世界経済の成長は長い間低調であり、見通しは10月以降幾分弱まった。最近の状況は幾分か市場心理の改善を示しているものの、潜在成長率の再評価も一部反映して、金融市場の変動とリスク回避は強まっている。また、世界の貿易の大幅な減速も継続している。多くの先進国では、弱い需要、低い生産性の向上、残る危機の遺産の組み合わせによって回復が抑制されている。新興国と途上国の成長は、依然として世界経済の成長の大半を占めているものの、冷え込んでいる。世界的に、より安い一次産品価格は輸出国に負の影響を与えている一方、エネルギー輸入国への短期的な成長へのプラスの影響は想定を下回っている。

2.10月以降世界経済の見通しへの下方リスクは増加しており、より全体的な減速や突然の資本フローの引き揚げの可能性を高めている。同時に、地政学的な緊張や、難民の危機、英国の欧州連合離脱の可能性によるショックが波及効果のリスクをもたらしている。これらの背景の下、我々の政策の信認を強化することが重要である。

政策対応
3.我々は、強固、持続可能、包摂的、雇用が豊富で、かつより均衡のある世界経済の成長にむけた我々のコミットメントを強化する。このため、我々は、より力強く均衡のあるポリシーミックスを実施する。相互補完的な構造改革とマクロ経済政策の実施―全ての政策手段を個別に、また総合的に用いる―が経済成長及び潜在成長の刺激、金融安定性の向上、及びデフレリスクの回避にとって極めて重要である。明確かつ効果的に政策スタンスについてコミュニケーションをとることは、過度な金融市場の変動や負の波及効果を抑制するための鍵である。

  • すべての国で成長に配慮した財政政策が必要である。財政戦略は、強靭性を高め債務残高対GDP比を持続可能な道筋に乗せることを確保しつつ、経済成長、雇用創出、信認を強化するための機動的な財政政策の実施を通じて経済を支えることを目指すべきである。質の高い投資へと支出を重点化することを含め、税制及び公共支出は可能な限り成長に配慮したものである必要がある。
  • 需給ギャップがマイナスでありインフレ率が目標を下回る先進国では、中央銀行のマンデートと整合的な形で、金融安定上のリスクに留意しつつ、緩和的な金融政策を継続すべきである。金融政策のみでは均衡ある持続可能な成長という目標は達成できないため、成長を支える他の政策を伴う必要がある。多くの新興国では、金融政策は通貨安のインフレへの影響に対処する必要があるだろう。為替の柔軟性は、実行可能な場合、交易条件によるものを含む対外的なショックを吸収するために用いられるべきである。
  • 需要を支える他の政策との相乗効果を享受しつつ、構造改革を進める必要がある。構造改革は各国で適切に重点化され順序立ててなされるべきである。資源輸出国と低所得途上国は経済の多様化を促進する政策を実施するべきである。
  • 金融システムの強靭性を高めるため、バーゼルIIIやTLAC(グローバルなシステム上重要な銀行の総損失吸収力)の基準を含む、これまでに合意した金融改革の適時、完全かつ整合的な実施は、引き続き重要である。民間部門のバランスシートの修復のための取組を継続する必要がある。先進国は危機の遺産の問題に取り組む必要がある。新興市場国は外貨へのエクスポージャーを監視し、また金融市場のショックに耐える力を高める必要がある。適切な場合には、リスク回避によってコルレス銀行取引を含む金融サービスへのアクセスが過度に阻害されないための更なる分析と解決策が必要である。
  • よく機能する国際金融システムの確保や、世界の貿易の統合の再活性化、腐敗との闘いとガバナンスの改善、透明化を含む国際課税問題への取組み、難民問題に関するものを含む非経済的要因に由来する困難への対処、シャドーバンキングセクターを市場型金融の安定した資金源となるよう変革するための政策を含む金融規制改革アジェンダの一貫した実施と完了など、いくつかの側面において、世界的な協調が必要である。我々は、あらゆる形態の保護主義と通貨の競争的な切り下げを回避し、為替レートをファンダメンタルズの変化を反映したものとするという我々のコミットメントを再確認する。

IMFの機能
4.IMFは加盟国のより強固な政策対応を支えるうえで重要な役割を果たす。

  • 政策アドバイスとサーベイランス:我々は、インフラ投資の効率性を高める新たなイニシアティブを含むマクロ的に重要な改革の影響や、優先順位付けを導く原則に関する分析を深化させる取組みを支持する。強固で均衡のある持続可能な成長のためのポリシーミックスを改善するため、我々は、財政ポジションの注意深い評価に基づく各国個別の財政政策における優先事項、及び債務持続可能性の維持と整合的に財政政策がより大きく効果的な役割を果たしうる分野の特定に向けた取組みを支持する。我々は、資本フローの対処における加盟国の経験と政策の見直しに期待し、金融およびマクロ経済におけるリスク管理に活かすため、資本フロー管理とマクロプルーデンス政策の取組みを統合する計画を歓迎する。我々は、マイナス金利政策の影響に関する分析に期待する。我々は、為替レートの分析を強化する取組みを歓迎する。我々はまた、企業と家計の債務増加及び銀行における未解決の危機の遺産から生じるリスクを軽減するための選択肢の枠組みを検討する計画を歓迎する。
  • 国際通貨システム(IMS):我々は、更なる検討が必要な分野を決定するための、最近の国際通貨システム、及びグローバル金融セーフティ・ネットに関する現状評価を歓迎する。我々は、強固な政策と効果的なIMFのサーベイランスは引き続き危機予防の基礎であることを再確認する。我々は、十分な資金基盤を備えたIMFを中心とする、強固で一貫したグローバル金融セーフティ・ネットが、効果的な国際通貨システムの機能発揮、安定性の確保、そして更なる金融統合による便益の享受のために重要であることに合意する。我々は、IMFに対して、地域金融取極とのより効果的な連携を含め、グローバル金融セーフティ・ネットを更に強化する方策を探求し続けるよう求める。IMFは、SDR一般配分の適切性と公的な外貨準備高をSDR建てで公表することについて議論する。我々は、SDR のより広い使用に関する可能性の検討を支持する。
  • 貸出手段の再検討:我々は、調整の支援と健全な政策の効率的な実施の促進における、IMFの中心的な役割を強調する。この文脈において、またこれまでに特定されたリスクに照らして、我々はIMFに対して、予防的なものも含めた資金支援を含む、市場の変動や不確実性に対処する加盟国を支援するアプローチを強化する方策を探求するよう求める。我々は、特に一次産品輸出国における困難を認識し、それらの国の調整の支援におけるIMFの役割を強調する。我々はまた、新興国及び、先進国双方を対象とする政策シグナリング手段のような非資金支援による手段への取組みに期待する。
  • 低所得国を支える:我々はIMFが持続可能な開発のための2030アジェンダの実施を支える取組みを続け、また、脆弱国における経済成長の支援と強靭性の強化に向けた取組みも継続していることを歓迎する。我々は、各国の予防的資金支援へのアクセスの向上方法と一般資金勘定とPRGT(貧困削減・成長トラスト)のブレンドに関する現在の慣行の見直しの議論に期待する。我々はまた、PRGTのための追加的な融資財源の動員と貢献国グループの拡大に向けた現在の取組みが成功裏に完結することに期待する。我々は、能力開発と政策アドバイスをより緊密に統合する取組み、特に低所得国において国際課税の諸課題と並行して国内資金動員の取組みを支援する計画を支持する。我々は、現在進行中のIMFと世界銀行の低所得国向け債務持続性枠組みの見直しを歓迎する。
  • 加盟国が直面するその他の課題に対処する:我々は、IMFに対して、金融安定理事会(FSB)、世界銀行グループ、その他関係機関と引き続き協力し、グローバルな金融機関による新興途上国市場におけるリスク回避の原因、規模、及び影響に関する見解を強固なものとし、正当化される場合には助言や能力開発を提供することを求める。我々は、IMFの小国への関与の増大を歓迎する。我々は、IMFのマンデートの範囲内かつマクロ的に重要である限り、移民、所得不平等、ジェンダー不平等、金融包摂、腐敗、気候変動、技術変化を含む、加盟国が直面するその他の課題についての、他の機関の専門性を利用することも含めた、提案されている取組みを歓迎する。IMFは、マンデートの範囲内で、世界的なイニシアティブを含め、大きな移民の移動や世界的な感染症のような、非経済的要因に起因する波及効果に対処する国への支援に貢献できるよう備えるべきである。我々は、「ガバナンス上の諸課題におけるIMFの役割」に関するガイダンスノートの見直しに期待する。我々は、IMFに対し、各国の不正な資金の流れに対処する制度強化を支援することを慫慂する。我々は、10年に及ぶ論争を終わらせ、国際資本市場へのアクセスを回復させるアルゼンチンの取組みにおける進捗を歓迎する。我々はまた、IMFとの関係を正常化しようとしているアルゼンチン及びその他の国々の取組みを歓迎する。

IMFの資金とガバナンス
5.我々は、第14次クォータ一般見直しの下での増資とIMF理事会改革に関する第7次協定改正の発効を強く歓迎する。我々は、理事会に対して、新たな計算式を含め、第15次クォータ一般見直しを2017年の年次総会までに完了させるよう迅速に取り組むことを求め、次回会合における進捗報告を期待する。今回の見直しにおけるクォータ・シェアの調整の結果、ダイナミックな国々のシェアが、これらの国々の世界経済における相対的な地位に沿って増加し、その結果、新興市場国・途上国全体としてのシェアが増大しうることが期待される。我々は、最貧国のメンバーの発言権と代表性を保持することにコミットしている。我々は、強固でクォータを基礎とし、かつ十分な資金基盤を有するIMFを維持するという我々のコミットメントを再確認する。我々は、IMFスタッフの質を高く保ちつつ、地域、ジェンダー、学歴の多様性を改善すること、及び理事会のジェンダーの多様性を促進することの重要性を再確認する。

6.我々は、クリスティーヌ・ラガルド氏とデイヴィッド・リプトン氏がIMFの専務理事、筆頭副専務理事としてそれぞれ二期目の五年間の任期を務めることを歓迎する。我々は、これからの困難な任期においても、引き続き彼らの卓越した、揺らぐことのないリーダーシップを期待する。

7.次回IMFC会合は2016年10月7-8日にワシントンD.C.にて開催される。