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第32回国際通貨金融委員会(IMFC) コミュニケ(仮訳)(平成27年10月9日)

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第32回国際通貨金融委員会(IMFC)コミュニケ(仮訳)
[2015年10月9日 於:ペルー・リマ]

 

世界経済
1.世界経済の回復は続いているが、全体的に成長は緩やかでばらつきがある。不確実性と金融市場の変動は増大し、中期の成長見通しは弱まった。先進国では、より安い一次産品価格、継続した緩和的な金融政策、改善した金融の安定に支えられ、経済の回復が緩やかに上向くと期待されるが、根底にある生産性の向上は弱く、インフレ率は総じて中央銀行の目標を下回ったままである。新興国と途上国では成長見通しにばらつきがあるが、全体的な見通しは一次産品価格と世界的な金融環境の不確実性に影響される。

2.世界経済見通しのリスクは増大した。より強固なファンダメンタルズ、バッファー及び政策枠組みにより、新興国と途上国の、より好ましくない環境への備えは、概して以前よりも改善している。それにもかかわらず、新興国の多くは、民間セクターの対外債務が大きい中、よりタイトな金融環境、資本流入の減速、通貨安の圧力にさらされている。一次産品価格の更なる下落は、多くが低所得国である一次産品輸出国の経済見通しを弱め得る。大きな難民の移動に関わっているいくつかの国の状況は、発生国、受入国双方にとって経済及び人道上の課題を生み出している。中国で進行中の、より持続可能な成長に向けたリバランシングは、生じ得る困難な外的状況には警戒を要するものの、歓迎されるものである。先進国においては、増大した市場の変動の波及効果が短期的な金融の安定に課題を提起し得るものの、ユーロ圏の持続的な回復、日本のプラス成長、米国と英国の継続した力強い成長は、前向きな推進力である。多くの先進国では、主なリスクは、特に世界の需要が失速し、供給制約が取り除かれなかった場合の、既に低い経済成長率の更なる下落である。より広い視点からは、高水準の債務も引き続き懸念される。グローバル・インバランスは過去数年よりも縮小しているが、需要の更なるリバランスが依然として必要である。

グローバル政策の優先事項
3.重要な政策の優先事項は、短期の及び潜在的な成長を引き上げ、財政の持続可能性を維持し、失業を減少させ、金融の安定におけるリスクに対応し、貿易を支えるための更なる施策を実施することである。我々は、強固、持続可能、包摂的、雇用が豊富で、かつより均衡ある世界経済の成長を確保するために、このアジェンダを力強く実行するべく協力するとの我々のコミットメントを再確認する。政策スタンスを注意深く測定し、明確かつ効果的にコミュニケーションをとることは、過度な金融市場の変動や負の波及効果を抑制するために不可欠である。我々はまた、あらゆる形態の保護主義と通貨の競争的な切り下げを回避するという我々のコミットメントを再確認する。

4.今日の成長を支える:先進国は、適切な場合に、中央銀行のマンデートと整合的な形で、緩和的な金融政策スタンスを維持するべきである。我々は、金融安定上のリスクに留意する。我々は債務残高対GDP 比を持続可能な道筋に乗せつつ、短期の経済状況を考慮して、成長と雇用創出を支えるために機動的に財政政策を実行する。新興国と途上国は、より強固な成長に対する妨げを取り除く努力を追求しつつ、より好ましくない対外状況への調整を滑らかにするために利用可能な政策余地を用いるべきである。政策余地が限られている国では、効率的な社会的及びインフラ関連支出を維持しつつも、財政政策の持続可能性を確保すべきである。交易条件が悪化し、バッファーの限られた一次産品輸出国は、一次産品関連歳入が低下する中、財政政策を見直す必要があるだろう。

5.強靭性への投資:グローバルな金融規制改革アジェンダは、適時かつ整合的な方法で完了、実施され、必要に応じて銀行システム外部の金融活動によって生じる問題への監視と対処を含め、さらに発展させられるべきである。多くの先進国での優先事項は、バランスシートを修復し、不良債権に対処し、金融市場の流動性を監視し、必要であればこれに対処することである。新興国と途上国は、政策枠組みを強化し、十分なバッファーを維持し続けるべきである。為替の柔軟性は、実行可能な場合、ショックを吸収するものになり得る一方、外貨へのエクスポージャーに対する特別な注意が必要である。適切かつ十分に的を絞ったマクロ・プルーデンス政策ツールと強固な監督が金融の安定を維持するために重要である。大規模かつ変動のある資本フローから生じるリスクに対処する際には、必要なマクロ経済政策の調整は、マクロ・プルーデンス施策、そして適切な場合には資本フロー管理施策により支えられ得る。強固かつグローバルな金融セーフティ・ネットは、必要な時に流動性を供給するため、引き続き重要である。

6.持続可能な長期的成長の確保:適時に実施され、順序立った構造改革は、生産性・潜在的な成長・生活水準の向上、信認の強化、及び不平等の削減にとって引き続き不可欠である。新たな成長分野を特定し、供給制約・インフラ不足・高齢化に対処し、より包摂的で環境を持続させ得る成長を促進する必要がある。更なる貿易自由化は、その他の改革を補完、強化し得る。より低い石油価格は、対象を絞った社会的セーフティ・ネットを強化しつつ、必要に応じて、エネルギーに関する非効率な補助金及びエネルギー関連の税制を改革する機会を提供する。先進国では、生産性の向上を促すためには、女性の労働参加率向上などの労働供給を刺激する政策とともに労働需要を刺激する改革、技術革新を強化し、サービスセクターと投資における資源配分を向上させる政策を組み合わせる必要がある。新興市場・低所得国では、ビジネス環境や制度、ガバナンスを改善し、教育やインフラの不足を解消することによって、高水準の所得への継続した収れんを支援し、不平等の削減に貢献することができる。

IMFの機能
7.我々は、IMFがより機敏で、一体化された、加盟国中心のものであろうとするイニシアティブを歓迎する。各国はますます不確実性の高い国際環境に直面している。経済・金融の連関はより複雑で、予見困難になっている。このような国際情勢において、IMFは分析・サーベイランスを深化させ、マクロ的に重要な問題に関する政策アドバイスの範囲を拡大しなければならない。

8.政策アドバイスとサーベイランス:我々は、IMFに対し、脆弱性への対処と、強固で持続可能かつ均衡ある成長の強化という二つの課題を克服するために各国が政策を測定することを助けるよう求める。我々は、リスクと波及効果分析についての進行中の取組を含むサーベイランスの優先項目の実施、金融政策と金融安定性の連関の検討、国際的な銀行のリスク回避による撤退の分析と適切な対処、為替レート分析の強化、マクロ金融分析の深化、データ・ギャップの縮小などの進捗を歓迎しており、これらは継続されるべきである。我々はIMFに対し、他の国際機関と協調しつつ国際課税における役割を引き続き果たすことを慫慂する。我々は、IMFが組織としての見解を踏まえ、メンバー国の資本フロー政策について棚卸しすることを支持する。IMFは、資本フローの反転のリスクを軽減させる政策を強化するためのアドバイスを含め、新興市場国・途上国が海外からの資金調達による便益を享受することを支援すべきである。我々は、他の機関の専門性を利用することも含め、マクロ的に重要な構造改革についてのさらなる取組を期待する。人口の構成変化、移民、及び特に中東・アフリカおける大規模な難民の移動がもたらすマクロ経済上の帰結についても注意を払うべきである。我々はまた、持続可能な開発のためのグローバルな枠組みへのIMFの貢献を歓迎し、枠組みの実施に期待する。我々はまた、気候変動がマクロ経済にもたらす影響の評価を含め、IMFがパリで行われるCOP21の前向きな成果に向けてマンデートの範囲内で積極的に貢献することを期待する。

9.貸付:我々は、IMFが、予防的なものも含め、適切な調整と改革のための将来の金融支援への需要に引き続き迅速に対応する態勢を整え、リスクへの備えを助けるよう求める。この観点から、我々は、グローバルな金融セーフティーネット・アーキテクチャーの適切性に関するレビューを含む、国際通貨システムに関する来るべき棚卸し作業に期待する。我々は譲許的資金へのアクセス向上に向けた進展を歓迎する。我々は、危機時のプログラムについてのフォローアップレビュー完了、適時かつ秩序ある債務再編を促進するための国家債務再編に関する取組の継続、例外的アクセス枠組みのレビュー、SDR価値決定手法のレビュー完了に期待する。我々はIMFに対し、世界銀行や他の国際機関と協働し、特に中東やアフリカにおける、人道上及び難民の危機にさらされている国への支援を続けることで、地域経済への負の影響と世界経済への波及を緩和することを求める。

10.能力構築:我々はサーベイランス、融資プログラム、技術支援、及び研修の間のさらなる一体化と相乗効果の向上、及び成果管理枠組みの一層の活用を支持する。我々は、能力構築と技術支援の力点を、強じん性の強化、債務持続可能性の維持、及びガバナンスの向上、並びに、途上国や小規模脆弱国の国内資金動員や金融深化の促進、国際租税の諸課題に関する途上国との対話を他の開発パートナーと緊密に協力しつつ深めることを含むIMFのマンデートの範囲内でのグローバルな持続可能開発目標の支援へと移すことを歓迎する。このシフトは、各国の不正資金の問題への取組をも支援するだろう。我々は、相互学習を強化し、最良の政策慣行の加盟国間における伝達を促進するIMFのイニシアティブに期待する。

ガバナンスと代表性
11.我々は、2010 年のIMF クォータ・ガバナンス改革の実施が遅れ続けていることに、引き続き深く失望している。IMFの信頼性、正当性、有効性に対する、これらの改革の重要性を認識しつつ、我々は、改革の最も早い実施が引き続き我々の最優先課題であることを再確認し、米国に対し、2010 年改革を可能な限り早期に批准することを強く促す。2010年改革の目的に留意しつつ、我々は、IMF理事会に対し、クォータ・シェアを可能な限り速やかに、かつできる限り第14次見直しにおいて合意された水準まで有意義に収れんさせるような暫定的な解決策についての作業を完了するよう求める。我々は、新たなクォータ計算式を含む、第15次見直しへの取組の基礎として、第14次見直しを用いていく。我々は、強固で十分な資金基盤を備え、クォータを基礎とするIMFを維持することに引き続きコミットしている。我々は、IMFにおけるスタッフの多様性を向上することの重要性を再確認し、更なる前進を慫慂する。

12.我々は、ペルー政府と国民による我々の会合の開催と、温かい歓迎に感謝する。次回IMFC会合は2016年4月15-16日にワシントンD.C.にて開催される。