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第34回国際通貨金融委員会(IMFC) コミュニケ(仮訳)(平成28年10月8日)

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第34回国際通貨金融委員会(IMFC)コミュニケ(仮訳)
[2016年10月8日 於:米国・ワシントンD.C.]

 

世界経済

1.世界経済の回復はゆっくりと、かつ、ばらつきのある形で続いており、成長は新興国がその大半を占める形で、来年わずかながら上向くと予想される。経済のパフォーマンスと強靱性は一部の国で回復し、金融市場の短期のリスクはおおむね減少した。それでも、世界の需要の緩やかな成長及び残る需給ギャップ、世界貿易、投資、及び生産性の減速、並びに上昇する地政学的不確実性及び中期的な金融上のリスクを背景に、見通しは依然として低調である。長引く低成長は、根底にある構造的な弱さを顕在化させ、潜在成長と包摂性に対する見通しを更に低下させるリスクをはらんでいる。先進国経済における生産性の伸びの低下や残る危機の遺産、一部の大きな新興市場経済において現在進行中の調整と脆弱性から来る課題、及び一次産品価格の低下が輸出国に与える影響は、引き続き見通しを押し下げる。全体として、長年続く逆風は残る一方で、不確実性と下方リスクは高い水準にある。

2.世界経済は、グローバル化と技術の変革から非常に大きな恩恵を受けてきた。しかし、今後の見通しは、保護主義を含む内向き志向の政策や改革の停滞によってますます脅かされている。我々は、取り残された人々が持つ懸念に対処するために政策を設計、実行し、すべての人に、グローバル化と技術の変革による恩恵を享受する機会が与えられるよう確保することにコミットする。

政策対応

3.我々は、強固、持続可能、包摂的、雇用が豊富で、かつ、より均衡ある成長に向けた我々のコミットメントを強化する。我々は、全ての政策手段―構造改革、財政及び金融政策―を個別にまた総合的に用いる。我々は、信認及び強靱性を高め、金融の安定を守り、社会の全ての構成員にグローバル化と技術の変革から恩恵を享受する機会が与えられるよう確保する政策を強化しつつある。我々は、長引く交易条件の悪化に強く打撃を受けた国々に対し、政策調整を進めることを奨励する。我々は、為替レートの過度な変動と無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得ることを認識する。我々は、通貨の競争的切下げを回避し、競争力のために為替レートを目標としない。我々は、政策スタンスの発信を明確に行い、あらゆる形の保護主義に抵抗するという我々のコミットメントを再確認する。我々は、世界の成長を高める決定的に重要な手段として、経済の開放性を維持し、世界の貿易を再活性化させるというコミットメントを強める。我々の優先事項は以下を含む。

4.成長に配慮した財政政策:全ての国は、強靱性を高め、また公的債務残高対GDP比を持続可能な道筋に乗せることを確保しつつ、柔軟に財政政策を使い、また質の高い投資を優先すること等により租税政策及び公的支出をより成長に配慮したものとするべきである。この趣旨に沿った適切かつ信頼に足る財政政策は、成長、雇用創出及び信認を支える。適切な場合における所得政策と並んで、適切に設計された租税政策は、より強固な成長を促進し、脆弱な人々を守り、不平等を低減することができる。

5.成長を支える金融政策の継続:インフレ率が未だ目標を下回り、需給ギャップが依然としてマイナスである先進国における金融政策は、中央銀行のマンデートと整合的な形で、金融安定上のリスクに配慮しつつ、信頼に足る政策枠組みによって支えられ、引き続き緩和的であるべきである。金融政策のみでは持続可能な均衡ある成長を達成することはできないため、成長を支えるその他の政策を伴う必要がある。

6.優先順位付けされた構造改革:構造改革は、潜在成長を上昇させる鍵であり、需要を支える他の政策との相乗効果に助けられるだろう。各国固有の状況に応じる形で、構造改革は、最大の成長の恩恵を生み出し、生産性を上昇させ、全ての人々にとっての機会を創出するよう、再活性化し、具体的施策を注意深く選択し、そして適切な順序で実施しなければならない。そして同時に、グローバル化と技術の変革への調整の負担を負う人々を支える必要がある。

7.実効性のある金融セクター政策:金融セクターが十分に頑健で成長と開発の支えとなるよう確保することを助けるため、我々は、長引く低金利又はマイナス金利、システミックな市場流動性のリスク、及び非銀行部門による金融仲介に関連した金融安定上の潜在的なリスクがないか監視しつつ、一部の先進国におけるいまだ残る危機の遺産の問題、及び一部の新興市場国における脆弱性に対処する取組みを強化する。合意された金融セクター改革アジェンダの、時宜を得た、完全かつ整合的な実施は、規制枠組みのうち結論の出ていない部分をできるだけ早く確定させることとともに、依然として重要な優先事項である。

8.全世界的な協力の強化:国際的なレベルでの協調した努力は、世界貿易を勢いづけ、世界のリバランシングの進行を維持し、経済的及び非経済的なショックからの波及効果に対処し、公平で効率的で透明性のある国際課税の環境を確保し、テロリストの資金源及び資金供与の経路や腐敗、不正な資金の流れに対抗し、コルレス銀行取引の低下に対処するための鍵となる。相乗効果を活用する、包括的で、協調され、時間整合的な政策対応は、個々の政策対応が持つ国境を越えた正の波及効果を増幅させる。我々はグローバル金融セーフティ・ネットを含む、国際金融アーキテクチャの強化を継続させていく。

IMFの機能

IMFはこの困難な時期に、加盟国を支えるうえで重要な役割を果たす。

9.政策アドバイスとサーベイランス:強固、持続可能、包摂的、雇用が豊富で、かつより均衡ある成長のためのポリシーミックスを向上させるため、我々は、中期的財政枠組み等についての、また、債務持続可能性と整合的な財政余地の評価に関する作業を最終化させ、それを各国との協議へ統合すること等による、IMFの財政政策アドバイスの整合性を更に高める作業を支持する。また我々は、税制がマクロ経済の安定に対するリスクにどのような影響を与えうるかについての分析、及び、極めて低い金利又はマイナス金利の、副作用を含めた影響を検証する作業を支持する。我々は、各国固有のマクロ経済状況と構造的な要因に沿って優先度の高い構造改革を特定する取組みを支持し、IMFに対し、4条協議の議論の中で、各国の様々な国内政策の相乗効果とトレードオフを引き続き模索することを慫慂する。この文脈において、我々は、サーベイランスにおいて構造改革の提言の策定と実施を支援するツールキットを作成し、また、インフラ政策支援イニシアティブをより多くのパイロット国に拡大するための現在進行中の作業に留意する。我々はIMFによる、世界的な生産性の伸びが減速している要因の検討、及び政策提言を行う意図を支持する。我々は、資本フローの自由化及び管理についての「IMFの機関としての見解」に関する各国の経験を、生じつつある問題を特定する目的で検証する作業、並びにマクロプルーデンス政策についての今後の作業に期待している。これらの作業は、ともに行われることにより、マクロ経済や金融安定のリスクに対処する際の、適合的かつ整合的な政策アドバイスを提供する手助けとなるだろう。我々は、最近のパイロットケースを踏まえた、個別国サーベイランスにおけるマクロ経済と金融セクターとの連関に係る分析を支持する。

10.国際通貨システム(IMS)と多国間主義のサポート:我々は、強固な国内政策とIMFによる効果的なサーベイランスが引き続き危機予防の基礎であることを再確認する。我々は、グローバル金融セーフティ・ネットの更なる強化に関する最近の作業を歓迎し、IMFに対し、IMFとチェンマイ・イニシアティブ(CMIM)との間の合同テストラン等を通じて地域金融取極との協力を強化するよう求める。我々は、支払債務が経済の状況等に依存する債券についてのIMF及び他の機関による作業に期待する。我々は、貸出手段の実効性をさらに向上させるための、現在進行中のIMFの貸出手段の見直しの最終化を期待する。我々は、最近の人民元の特別引出権(SDR)構成通貨入りを歓迎し、SDRのより広い使用の可能性に関する今後の検討に期待する。我々は、全世界的な調整プロセスの促進を含め、国際的な経済協力の向上に向けてIMFが取り組むよう求める。我々は世界貿易の減速の原因と政策的含意、及び貿易の経済的利益についてのIMFの分析に期待する。

11.全ての人々のための機会:我々は、グローバリゼーション、新興技術及びデジタル化の影響についての更なる作業に期待する。我々は、一部の国において拡大する不平等の背後にある要因を特定するための更なる作業を歓迎する。この作業は、減少する労働分配率の背景にある原因の分析や、先進国と発展途上国の双方における政策が不平等に与える影響を理解することを含む。

12.低所得国:我々は、IMFに対し、その他の関係する国際機関と協調しつつ、各国が2030年の持続可能な開発目標を達成するよう支援し、また、2015年以後の開発アジェンダのもとでの成果物をIMFの作業に統合する取組を継続することを求める。低所得国に関する作業は、成長を支える一連の整合的な政策措置の策定を含め、脆弱国における経済成長の支援と強靭性の強化に向けた継続した努力、及び一次産品価格のショックにより最も大きく影響を受けた国々の支援に焦点を当てるべきである。我々は、IMFに対し、低所得国が投資ニーズに対処する努力を支援し、開発資金ニーズに資金手当てをすることと債務持続可能性を維持することとの間で適切なバランスをとるための助言を行うよう求める。この文脈において、我々は、現在進行中の、低所得国向けの債務持続性フレームワークの見直し作業を支持する。我々は、各国の予防的資金支援へのアクセスの向上方法と、IMF支援プログラムの下での一般資金勘定とPRGT(貧困削減・成長トラスト)のブレンドに関する現在の慣行の見直しの議論に期待する。我々は、PRGTが支援するプログラムにおける社会的な目的に関する今後の見直しの結論に期待する。我々は、IMFのすべての譲許的融資制度の金利をゼロとする措置を、少なくとも今後2年間、2018年の終わりまで延長することを歓迎する。我々は新たな貢献国を含めこれまでに得られたPRGTに対する追加の融資原資を動員するための支援を歓迎し、これらの取組みが成功裏に完結するよう加盟国の更なる支援を求める。

13.能力構築:我々は、IMFが、政策分析を補完する技術支援及び研修の提供に重点を置き、特に、脆弱国や小国並びに低所得国の政策の策定及び実施能力の強化や経済機関の強化を支援していることを歓迎する。能力構築における優先項目には、国内資金動員の強化、小国や脆弱国における財政能力の構築、「税に関する協働のためのプラットフォーム」等を通じた国際課税に関する作業の拡大、通貨や金融の安定を強化する能力の伸長、金融セクターの深化の支援が含まれる。

14.加盟国が直面するその他の課題への対処:我々は、コルレス銀行間の関係の縮小に対処し、金融サービスへのアクセスを保持するための、他の国際機関と協働したIMFの作業を支持する。これには、相手方銀行の管轄におけるマネーロンダリング・テロ資金供与対策(AML/CFT)や監督能力の開発支援の強化、規制期待の明確化及び業界による解決の促進、更なる金融包摂の促進、各国の不正な資金の流れに対処する制度強化の支援が含まれる。我々はまた、IMFによる、マクロ的に重要な場合における、不平等、ジェンダー分析、及び気候変動のサーベイランスへの統合の継続、一次産品輸出国や低所得国の経済多様化促進の支援、自然災害や気候変動への強靭性構築の支援、大規模な難民の動きや世界的な伝染病のような非経済的要因に起因する波及効果に対処する国の分析及び支援の強化についても、IMFの作業を支持する。我々は気候変動に関するパリ協定の発効を歓迎する。我々は、来るべき「ガバナンス上の諸課題におけるIMFの役割」に関するガイダンスノートの見直しに期待する。

15.我々は、カリブ海の地域がハリケーンマシューの影響に立ち向かうにあたり、カリブ海諸国、特にハイチの政府及び人々にお悔やみを述べる。我々は、この大災害の余波に国々が対処することを支援する用意がIMFにあることを歓迎する。

IMFの資金とガバナンス

16.現在のIMFの貸出能力の維持に役立てるため、我々は、理事会が承認した強化されたガバナンスフレームワークの下でIMFのバイ融資へのアクセスの継続を確保するための、26か国からの2,600億SDR(3,600億ドル)のプレッジを歓迎し、また、新たな取極等を通じたIMF加盟国の幅広い参加を求める

17.将来を見据え、グローバル金融セーフティ・ネットにおけるIMFの中心的役割を維持すべく、我々は、強固で、クォータを基礎とし、かつ、十分な資金基盤を有するIMFにコミットしていることを再確認する。我々は、第15次クォータ一般見直しを完了することと、ダイナミックな国々のシェアが、これらの国々の世界経済における相対的な地位に沿って増加し、その結果、新興市場国・途上国全体としてのシェアが増大しうるようなクォータシェアの調整の基礎としての新たなクォータ計算式に合意すること、一方で最貧国のメンバーの発言権と代表性を保持すること、にコミットしている。このために必要となる広範な合意を構築する十分な時間を与えるため、我々は、総務会における採択を条件として、上記の目的に沿った第15次見直しの完了期限を、2019年春会合まで、遅くとも2019年年次総会までに再設定するとの専務理事の提案を支持する。我々は理事会に対し、この目標を達成するための具体的な作業アジェンダを策定するよう求める。

18.我々は、知識管理の向上等により新しい技術を活用し、機敏さや効率性を高めるというIMFの取組みを支持する。我々は、IMFスタッフの質を高く保ち、多様性を向上させることの重要性を再確認する。我々はまた、理事会のジェンダーの多様性の促進を支持する。

19.次回IMFC会合は2017年4月22日にワシントンD.C.にて開催される。