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第29回IMFC 日本国ステートメント(平成26年4月12日)

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第29回国際通貨金融委員会(IMFC)における日本国ステートメント
(2014年4月12日(土))

  1. 世界経済、日本経済

    【世界経済】
     世界経済は、先進国の堅調な成長を受けて緩やかに回復していますが、一部の新興国における金融環境の悪化に伴うリスクや、直近では地政学的なリスクも存在しています。こうした中、各国が強固で持続可能な成長の実現に向けて構造改革等の取組みを強化する必要があります。
     米国において金融緩和の縮小が進んでいますが、この背景には米国経済が回復していることがあり、基本的には歓迎すべきものと考えています。一方で、米国の金融緩和縮小が新興国等に与える影響に対しては、引き続き適切な対応が必要です。金融環境の悪化が見られる新興国の多くは、高インフレや大きな経常赤字等の国内的な問題を抱えており、新興国自身の政策努力で構造的な問題を是正することも不可欠です。
     ユーロ圏では、景気は持ち直しの動きが見られていますが、IMFも指摘している通り、デフレ・リスクは引き続き注視していく必要があります。日本は、長年にわたるデフレを経験しましたが、デフレ・マインドが定着すると、消費や投資が先延ばしされ、それが更なるデフレを招くという悪循環が発生します。積極的なマクロ経済政策運営を通じて、デフレに陥らないように万全を期すことが重要であると考えます。

    【日本経済再生に向けた取組み】
     日本経済は、力強い内需に支えられ、実質GDP成長率は5四半期連続でプラスとなるなど、引き続き着実な回復を見せています。物価についても、2%の物価安定の目標の達成に向けて、予想物価上昇率が上昇しているほか、2014年2月の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)が対前年同月比で1.3%増となるなど、緩やかに上昇しています。
     このような景気回復に向けた動きを長期的な成長につなげていくためには、成長戦略が不可欠です。日本は、既にエネルギー、農業、医療といった幅広い分野において規制・制度改革を精力的に進めているところですが、本年3月に始動した6か所の国家戦略特区の活用を通じて、容積率緩和による国際的ビジネス拠点の形成や雇用条件の明確化によるグローバル企業の展開促進の実現をはじめ、更に大胆な規制・制度改革を実現していきます。また、今年の年央には成長戦略を改訂し、追加的な施策も公表する予定です。
     景気回復が国民の間で実感をもったものとなるためには、企業収益の拡大が賃金の上昇や雇用の拡大につながり、消費拡大や投資の増加を通じて更なる企業収益の拡大を促すという経済の好循環を実現する必要があります。政府は、所得拡大促進税制の拡充等を行うとともに、昨年12月には政労使の3者により、企業収益の拡大を賃金上昇につなげること等について共通認識を取りまとめるなど、賃上げに向けた環境整備に努めてきました。本年の春闘では、これまでのところ、多くの企業において、ベースアップや一時金の増額を行うとの回答がなされており、近年にない賃上げが実現しつつあります。
     一方で、日本の公的債務は極めて高い水準であり、着実な成長を続けるためにも、財政の持続可能性を確保する必要があります。日本は、4月1日に、消費税率を5%から8%に引き上げました。また、2014年度予算では、国の一般会計の基礎的財政収支について、「中期財政計画」の目標を上回る5.2兆円改善させるとともに、新規国債発行額を1.6兆円減額しています。こうした取組みは国・地方を合わせた基礎的財政収支について、2015年度までに2010年度に比べ赤字の対GDP比を半減、2020年度までに黒字化し、その後の債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指すという財政健全化目標の達成に向けた大きな一歩であると考えています。一方で、消費税率引上げに伴う反動減を緩和し、景気の下振れリスクに適切に対応するため、GDP比で1.1%(5.5兆円)規模の経済対策を実施しているところです。こうした一連の措置を通じて、持続的な経済成長と財政健全化の双方の実現に向けて全力で取り組んでいきます。

  2. IMFへの期待

     世界金融危機や欧州政府債務危機によって国際金融が不安定化する中、IMFは改革支援やサーベイランス等を通じて、危機対応における中心的な役割を果たしてきました。日本としてもIMFに対し、2009年に1000億ドル相当、2012年に600億ドル相当の融資枠を設定するなど、積極的に協力してきたところです。現在、世界経済はテール・リスクが低下し、緩やかな回復基調にあり、危機に直面した国々においても金融市場が安定を取り戻す等の改善が見られています。IMFが今後とも、国際金融の安定や世界経済の持続可能な成長実現のために重要な役割を果たしていくことを期待しています。

    【クォータ・ガバナンス改革】
     IMFが国際金融の安定のための主要な役割を引き続き担っていくためにも、IMFの正当性、有効性、信頼性の維持・向上が必要です。 第14次増資と理事会改革を内容とする2010年改革の発効は依然として最優先事項であり、早期の発効を期待します。また、第15次クォータ見直しについて、期限とされていた2014年1月までに終了させることができなかったことは極めて遺憾です。2015年1月という新たな検討期限に向け、日本としても積極的に議論に貢献していきます。
     第15次クォータ見直しにおいては、第14次増資の結果倍増するクォータ等を踏まえ、IMFスタッフにより、IMFに対する資金需要に関する信頼性の高い見通しが示されることを期待します。また、クォータ見直しの中で、加盟国の資金貢献実績を適切に考慮することの重要性を改めて強調したいと思います。
     このほか、スタッフの多様性を改善させることもIMFの正当性、有効性、信頼性を高めるために重要です。日本は、IMFに対し、資金面での貢献のみならず、人材面でも同等の貢献を行う準備があります。

    【ウクライナ支援】
     IMFがウクライナ当局との間で、経済改革プログラムとスタンド・バイ取極による支援につき、事務レベルでの合意に達したことを歓迎します。IMFがウクライナの改革支援において果たしている役割は非常に重要です。日本としても、財政支援やインフラ整備を含む円借款、貿易保険引受け、無償資金協力、技術協力等、合計で最大約15億ドルのウクライナ支援策を発表する等、IMFの取組みと歩調をあわせているところです。

    【低所得国支援】
     我々はアフリカをはじめとする低所得国支援の重要性を忘れてはならず、この点においてもIMFの果たす役割は重要です。IMFが低所得国への支援ニーズを今後も十分に満たしていくため、貧困削減・成長トラスト(Poverty Reduction and Growth Trust、以下PRGT)の資金基盤強化は重要な課題です。日本は、2回目の金の売却益のPRGT利子補給金勘定への貢献について、本年2月にすでにIMFへの拠出を実行しました。加えて、IMFには、PRGTの活用にとどまらず、低所得国向けサーベイランスや技術協力といった機能の活用についても大いに期待しています。
     また、債務上限ポリシー改革の議論の進展を歓迎します。低所得国の債務を持続可能とするには、借入計画と投資計画が整合的であることが重要です。その際、インフラ投資など、巨額の初期投資を要する一方、収益が後から生じる低所得国の資金ニーズの特徴に鑑み、長期の譲許的融資の安定的供給を確保できる仕組みとなっていることが必要です。引き続き、議論の結実に向けて貢献していきたいと思います。

(以 上)