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第101回世銀・IMF 合同開発委員会における日本国ステートメント(令和2年4月17日)

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  1. 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大

     世界は、今、新型コロナウイルス(COVID-19)の全世界的な感染拡大により、過去に例を見ない危機に直面しています。
    新型コロナウイルスの感染は、保健システムが脆弱で十分な対応力がない途上国にも拡大しつつあり、こうした国々に手を差し伸べることが喫緊の課題となっています。さらに、途上国に対する支援を通じ、これらの国々における保健危機の発生を防ぐことにより、感染の更なる拡大を抑え込むとともに、途上国における経済活動の維持・活性化を図ることで、世界経済全体の早期回復につなげることが可能となります。
    この未曽有の危機の克服に向け、国際社会が一体となって、あらゆる手段を尽くしていくことが求められています。

  2. 新型コロナウイルスの影響を受ける途上国の支援

    (1)世銀グループの支援パッケージ

    世銀グループは、3月17日に、総額140億ドルの支援パッケージを発表し、さらに、3月26日に、今後15か月で最大1,600億ドルの支援を行う用意があることを表明しました。コロナ対策に取り組む途上国に対する支援は喫緊の課題であり、日本は、世銀グループによる積極的・機動的な対応を歓迎します。また、これらの支援が一刻も早く途上国の人々に届くよう、日本は世銀に対し、迅速な実施を求めます。
    こうした中、世銀グループの資本基盤を盤石なものとすることが極めて重要です。日本は、第19次IDA(国際開発協会)増資に4,005億円(36.7億ドル)、また、IFC増資に5.6億ドル(617億円)の出資を行うこととしており、3月31日、両機関への増資法が成立したことをご報告いたします。併せて、日本以外の国々においても、速やかな対応が取られることを期待します。
    特に、IDA19増資については、パンデミック対策やUHC(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)などの国際保健が、債務持続可能性や質の高いインフラ投資、自然災害に対する強靭性強化と並び、重要政策の一つとして位置付けられていることを高く評価するとともに、これらの取組が着実に実施されることが重要です。

    (2)世銀グループと連携した日本の支援

     パンデミック対策は、これまで日本がリードしてきた政策分野です。新型コロナウイルスに対しても、これまでの知見を活かして、国際社会の先頭に立って早期収束に取り組む所存です。このため、日本は、世銀グループと連携して、以下の支援に取り組んでいきます。

    @新型コロナウイルス対応のための迅速な支援メカニズムの立上げ
     感染症による被害を最小化するためには、発生の初期段階で適切な医療提供体制を確保し、感染拡大防止策を講じることが不可欠です。このため、途上国が感染症に適切に対応(response)できるよう、迅速かつ効果的に支援を行うためのメカニズムが必要です。また、こうした取組が一過性のもので終わらないためには、途上国自身が主体的に感染症の備え(preparedness)の強化に取り組むよう促す必要があります。
    日本は、世銀グループと連携して、途上国の感染症への対応を迅速かつ効果的に支援しつつ、途上国自身による感染症の備えの強化を促す画期的なメカニズムとして、「保健危機への備えと対応に係るマルチドナー基金」を立ち上げます。このメカニズムに対して、日本は当面必要な緊急の資金として100百万ドルを拠出し、世銀グループによる支援の手が届きにくい国々・地域を含め、途上国における新型コロナウイルスを含む感染症に対する取組を、迅速かつ強力に支援します。他の国々からも積極的な貢献を期待します。

    A新型コロナウイルスに対応するための能力強化支援
    上記のメカニズムを効果的なものとするためには、途上国における感染症の予防・備え・対応のための体制の強化、人材育成などの能力強化が必要です。日本は、世銀に設けた日本信託基金を活用した新型コロナウイルスへの緊急対応として20百万ドルを拠出し、感染症に関する政策アドバイスや医療従事者の能力強化等の支援、NGOを通じた草の根の感染症対策支援を実施します。こうした取組は、医療サービスへのアクセス・質の向上を通じて、途上国におけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進にも資するものです。

    B新型コロナウイルスの根本的な克服のためのワクチン開発支援

    新型コロナウイルスに対する根本的な解決策は、感染症の拡大が生じないよう、ワクチンの開発を推進することです。「国際エイズワクチン推進構想(IAVI)」は、エボラ出血熱に対するワクチンを実用化した実績を活用して、新型コロナウイルスに対するワクチンの開発に取り組んでいるところ、日本は10百万ドルを拠出して、この取組を支援します。

    (3)最貧国からの債務返済の一時的な猶予

     新型コロナウイルスの感染拡大により世界的に経済活動が収縮する中、貧困国の一部は深刻な流動性危機に直面しています。これらの国々が、自国における感染拡大の防止と経済基盤の維持に専念できるためには、こうした流動性危機に対処することが必要です。このため、日本として、最貧国のための債務返済猶予イニシアティブを支持し、G20 及びパリクラブが合意し、世界銀行グループ及びIMFから支持された、協調的なアプローチを歓迎します。
    本イニシアティブを真に効果的なものとするため、パリクラブ主導の下、全ての主要な二国間の公的債権者が参加することを歓迎します。また、このイニシアティブを通して、猶予された返済資金が、感染症拡大によって生じた喫緊の資金ニーズに適切に充てられることが重要です。世銀とIMFが、その実現に向けて主要な役割を担うことを期待します。
    また、実際に本イニシアティブを進める中で、世銀とIMFが、債務国と密接に連携し、債務の透明性を確保するとともに、債務の持続可能性に関する分析を迅速に行うことを期待します。

    (4)ポスト・コロナウイルス対策を見据えた途上国支援

     足元では、新型コロナウイルス対策を進めることが最優先課題ですが、パンデミック収束後も見据え、途上国の持続可能な貧困削減・成長促進に資する取組を継続することも重要です。
    こうした観点から、質の高いインフラ投資の促進を図り、途上国の持続可能な成長を支援するため、日本は、世銀東京開発ラーニングセンター(TDLC)及び日本・世銀防災共同プログラムを活用した知見の共有や、「質の高いインフラ・パートナーシップ基金」を活用した案件組成支援の取組を更に強化していきます。


  3. 結語:危機の終息と早期の回復に向けて

     新型コロナウイルスの感染拡大による未曽有の危機を一刻も早く終息させ、世界経済の早期回復を実現するため、国際社会が一丸となって取り組んでいくことが重要です。
    こうした中、世界の開発をリードする世銀グループが、マルパス総裁のリーダーシップの下、豊富な知見とネットワークを活用し、加盟国や他の国際機関と緊密に連携しつつ、主導的な役割を果たしていくことを期待します。
    日本は、世銀グループとの長年にわたるパートナーシップを更に発展させ、その取組について、資金面、政策面、そして人材面で、積極的に支援してまいります。


(以 上)