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第100回世銀・IMF合同開発委員会 日本国ステートメント(令和元年10月19日)

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  1.  マルパス総裁の下、世銀の二大目標である貧困削減と繁栄の共有に向けた取り組みが進んでいることを歓迎します。また、ゲオルギエヴァ前世銀CEOのIMF専務理事就任を歓迎し、世銀・IMFの協力関係の深化を期待します。

  2. 日本と世銀のパートナーシップ(G20の成果とフォローアップなど)
     日本と世銀のパートナーシップが深まり、開発アジェンダで大きな成果が得られていることを歓迎します。本年6月には、G20大阪サミットで、国際的な開発戦略の議論に資する大きな成果が得られました。日本は、世銀と共に、こうした国際的な議論の実践に向け、引き続き取り組んでまいります。

    (1)質の高いインフラ投資
     インフラは経済の成長と繁栄の原動力であり、持続可能な成長と開発のための強固な基盤となるものです。インフラにおいて、質と量は補完的な関係であり、質の高いインフラ投資は、インフラそのものの物理的価値を超え、長期的な経済・社会への波及効果をもたらします。こうしたことを念頭に、G20大阪サミットでは、「質の高いインフラ投資に関するG20原則」が承認され、ライフサイクルコストでみた経済性の向上、マクロレベルの債務持続可能性を含むインフラ・ガバナンスの重要性が確認されました。
     今後は、策定された原則を具体的なプロジェクトに反映させていくことが重要です。世銀グループには、この原則を踏まえたプロジェクトを各国で実施すると共に、各国や各国際機関による質の高いインフラ投資の実践に役立つ取組の線を通じ、質の高いインフラ投資の推進に貢献することを期待します。
     質の高いインフラ投資を促進するため、日本は、世銀を始めとする国際機関とも協力しつつ、積極的に支援していく考えです。具体的には、日本・世銀防災共同プログラムや世銀東京開発ラーニングセンター(TDLC)とのパートナーシップも活用しつつ、日本における質の高いインフラの具体的事例を世界に紹介すると共に、より効率的・効果的な質の高いインフラの整備に向け、知見の共有を図ります。また、世銀に設けた「質の高いインフラ・パートナーシップ基金」を活用し、質の高いインフラ案件の組成支援を続けてまいります。更に、インフラ投資計画と債務持続可能性の整合性確保などを支援するIMFのインフラ・ガバナンス・ファシリティに2百万ドル拠出しました。
     質の高いインフラ投資の拡大には、公的資金に加え、民間資金の動員も重要です。日本は、IBRD・IDAとIFC・MIGAの緊密な連携を期待します。また、民間資金動員には、官民双方から信頼を得て、中立的な立場から助言を行う、プロジェクト・ファイナンスの専門家の存在が重要です。日本は、PPP案件の組成を支援するGlobal Infrastructure Facility(GIF)の役割を評価し、15百万ドルの貢献を行っており、事業化に至る案件が増えることを期待します。日本としては、他ドナーがGIFに対して追加拠出することなどを前提に、3百万ドルの追加拠出を行う用意があることを表明します。

    (2)Universal Health Coverage
     強固な保健財政制度の構築は、人的資本形成の基盤となるUHC達成に不可欠です。途上国では、十分に保健サービスにアクセスできていない現状に加え、過大な医療費負担により新たな貧困が生じています。また、途上国は、高齢化、生活習慣病の増加、パンデミックや薬剤耐性といった公衆衛生上の緊急事態による医療コストの増加に直面しており、これらを考慮した持続的な保健財政制度の構築が急務です。
     日本は、世銀と協力して途上国によるUHCの推進やhealth emergencyへの対応に向けた取組を支援してきました。2015年以降、日本は、世銀に設けている日本信託基金(PHRD:Policy and Human Resources Development Fund)を活用し、これまで33件・21百万ドルの支援を実施しています。今後は、持続的な保健財政制度の構築、保健人材の育成、民間部門の活用等にフォーカスし、更なる支援を行っていきたいと考えています。
     また、保健分野への資金動員の観点から、Global Financing Facility(GFF)は、母子保健分野への574百万ドルの支援が呼び水となって、世銀の資金を44億ドル動員することに成功しました。この成果を踏まえ、GFFに対して拠出済みの30百万ドルに加え、20百万ドルを追加拠出することを表明します。今後も、GFFを通じて、保健分野への支援が更に拡大することを期待します。
     UHCの推進は保健危機への対応としても有用ですが、保健危機の発生に備えたprevention、preparednessの強化も必要です。日本が立上げを主導したPEF(Pandemic Emergency Financing Facility)は、民間資金も活用し、パンデミックの発生に際して迅速かつ効果的な支援を可能とする保険機能を備えた画期的な仕組みです。こうした保険機能がより効果的に発揮されるよう、後続フェーズの立上げに向けた検討が進められることを期待します。
     UHCの推進に向け、日本は、G20議長国として、UHCファイナンスの重要性に関するG20共通理解文書(G20 Shared Understanding document)を成果の一つとして取りまとめたほか、G20大阪サミットのマージンで、財務・保健大臣合同セッションを開催しました。同会合では、UHC達成に向けた持続的な保健財政システム構築の必要性や、G20 Shared Understanding documentへのコミットメントが確認されました。今後も、途上国におけるUHCファイナンスを推進していくための取組が継続されることを期待します。

    (3)債務持続可能性
     安定的な投資資金の流入を確保し、持続的な経済成長を促進するためには、債務の持続可能性を確保することが必要です。しかし、現在、一部低所得国では、公的債務の急速な積み上がりから、債務持続可能性に懸念が生じており、債務国と公的・民間債権者の双方による協働が不可欠です。この観点から、世銀には、IMFとともに、債務国への能力構築支援を強化すると共に、債権者による持続可能な貸付の定着に向けた取組を後押しし、国際社会の債務問題への取組に一層の貢献を果たすことを期待します。
     世銀・IMFのmulti-pronged approachの下、低所得国の債務透明性、債務管理、公的財政管理、国内資金動員における能力強化を進めることが重要です。世銀・IMFには、「債務管理ファシリティ第3フェーズ」や「決定のためのデータ基金」の効果的な活用や、担保付債務の更なる分析・透明性向上支援の強化を求めます。また、世銀・IMFが公的及び民間の債権者へのアウトリーチの取組を強化し、持続可能な貸付を促進することを期待します。

    (4)自然災害に対する強靭性の強化
     自然災害への強靭性強化には、自然災害保険の活用も重要です。日本も支援する東南アジア災害リスク保険ファシリティ(SEADRIF:Southeast Asia Disaster Risk Insurance Facility)は、年内にラオス・ミャンマー向け自然災害保険を開始します。その他ASEAN諸国や他地域への拡大に向け、日本も協力していきます。

  3. IDA第19次増資と世銀グループの増資パッケージの着実な実施

    (1)IDA第19次増資(IDA19)
     IDAは、低所得国支援で中核的な役割を担う機関です。日本は、IDA19において、質の高いインフラ、UHCファイナンス、パンデミック、債務持続可能性といった重要な課題への対応がしっかりと行われることを期待します。
     例えば、IDAがインフラの近代化を行うに当たり、環境やガバナンス面を含め、質を確保することは重要です。また、UHCについては、人的資本の投資に加え、UHCを支える保健ファイナンスの強化が重要な課題です。日本はIDAがUHCファイナンス強化への取組を一段と進めることを期待します。
     このほか、エボラ熱などのパンデミックについては、UHC達成に向けた平時からの取組強化に加え、万が一の事態に備え、資金面を含め、迅速に対応できる仕組みの構築が重要です。IDA19では、平時からの備えの強化や危機初期時における対応の充実に加え、危機が本格化した場合も視野に入れ、保険機能の活用を含めた形で、パンデミック対策の仕組みがしっかりと構築されることが重要と考えます。
     低所得国が抱える多様な開発ニーズに対応するためには、適切な資金規模の確保が重要であり、市場借入の継続が不可欠です。また、伝統的ドナーに加え、新興ドナーからの資金貢献も重要です。日本は、低所得国支援に果たすIDAの重要性に鑑み、引き続き、相応の貢献をしてまいります。

    (2)IBRD・IFC増資パッケージ
     昨春合意されたIBRD・IFCの増資パッケージは、より貧しい国への優先的な資金配分や民間資金の積極的動員を図るもので、着実な実行が重要です。IBRDに続き、IFC総務会決議が一刻も早く採択されることを期待します。

  4. 結語
     世銀グループは、世界最大の開発機関として、世界の開発アジェンダをリードする立場にあります。そうした世銀に対し、日本としては、引き続き、資金面、政策面、そして人材面で、積極的に支援してまいります。

     マルパス総裁の強いリーダーシップの下、世銀グループが、貧困削減と繁栄の共有を促進し、SDGsの実現に向け、大きな役割を果たすことを期待します。