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第3回マニラ・フレームワーク会合プレス・ステートメント(仮訳)(1998年11月7,8日於:クアラルンプール)

 

 

第3回マニラ・フレームワーク会合
プレス・ステートメント(仮訳)
(1998年11月7、8日 於:マレーシア、クアラ・ルンプール)

 

 


 

1.1998年11月7日及び8日、クアラ・ルンプールにおいて、マニラ・フレームワーク
 会合が開催された。オーストラリア、ブルネイ、カナダ、中国、香港特別行政区、
 インドネシア、日本、韓国、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン、シンガ
 ポール、タイ及び米国の14の国・地域の蔵相代理及び中央銀行総裁代理が本会合に
 出席した。IMF、世界銀行及びアジア開発銀行からもハイレベルの代表が出席し
 た。

2.域内サーベイランスの議論のなかで、いくつかのポジティブな動向が指摘された。

 (i) 金融市場における安定・強化の徴候、

 (ii) 先進国における利下げ、

 (iii) IMFの追加的な資金基盤確保に向けた進展、

 (iv) 危機の最も大きな影響を受けた国々における為替相場の安定により、景気回復
   のプロセスを支えるための金利低下が可能となっていること、及び、

 (v) 現在行われている経済・金融の改革の断固たる実施。

3.同時に、本会合は、いくつかのリスクが依然残っていることを認識した。これらに
 は、ロシアの動向以降の対外的な資金調達環境の悪化の影響や、世界的な成長の減速
 のリスク、及び危機に見舞われた国々における金融機関・企業のリストラクチャリン
 グ実施にあたっての課題などが含まれる。このため、危機の影響を受けた国々による
 構造改革を遂行していく継続的な努力や、先進国による力強い内需主導型成長のため
 の環境を維持又は創出する継続的な努力を含め、各国が持続的な成長を促進する健全
 な政策を忍耐強く堅持することが必要である。

4.本会合はまた、危機の影響を受けた国々が、貧困層や脆弱な層への危機の影響を緩
 和するため社会政策プログラムを強化・加速するため、国際金融機関及び二国間支援
 供与国からの支援のもと、緊急に行動をとることを求めた。

5.各国の危機への対応策についての議論の中で、代理たちは、インドネシア、韓国及
 びタイがIMF、世界銀行及びアジア開発銀行の支援を受けた改革プログラムの実施
 を確実に進展させていることに留意した。彼らは、特に銀行のリストラクチャリング
 や企業のリストラクチャリングのフレームワークの確立という分野において、これま
 で得られた成果を継続させていくことの重要性を協調した。日本は継続的な内需刺激
 を供与するというコミットメントを強調し、適切な条件の下での銀行の資本増強を含
 め、迅速かつ効果的に包括的な銀行改革を行っていく意図を表明した。中国において
 は、経済成長を一層刺激するために、利下げが行われ、拡張的な財政パッケージが実
 れている。人民元の為替相場を維持することは、地域の金融の安定を確かにする重要
 施さなアンカーの一つとなっている。

6.代理たちは、民間資金調達及び公的資金フローの強化のために必要な具体的な方策
 を強調した。海外からの投資に適した環境を促進する適切なマクロ経済政策及び構造
 政策を引続き遂行していこくとが、こうしたプロセスを促進するであろう。代理たち
 は、日本が提案した、アジアにおける景気回復への努力を支える300億米ドルの金
 融パッケージを歓迎した。彼らは、アジア地域内における貯蓄資金の金融仲介がより
 効率的なものとなるよう、国内金融市場を拡大し、深みのあるものにしていくことの
 重要性を強調した。本会合は、公共セクター及び民間セクターの両者におけるより高
 い透明性と開放性の必要性について合意した。

7.本会合は、先般のピア・レビューに基づくASEANサーベイランス・プロセスの
 正式な設立を歓迎した。本プロセスは、マニラ・フレームーク内の域内サーベイラン
 スを補完し、IMFのサーベイランスを活用していくであろう。代理たちは、リージ
 ョナル・サーベイランスを強化していく努力は、国際金融システムの構造を強化する
 方策によって補完されなければならないことを認識した。

8.代理たちは、10月にワシントンで開催されたIMF暫定委員会及び26か国の蔵相・
 中央銀行総裁による会合でエンドースされた提案、並びに先般のG7蔵相・中央銀行総
 裁ステートメントに含まれる提案に照らし、国際金融システムの改革における進展に
 ついて議論した。彼らは、これらの提案を迅速に実行することは、地域全体の持続的
 な長成の見通しを改善するために、また、将来の金融危機を防止する能力を強化する
 ために必要不可欠であると考えた。彼らは、この作業を進捗させるにあたり、域内の
 各国が積極的に関与していくことを求めた。

9.代理たちは、マレーシア政府の歓迎と準備に感謝した。次回会合は、1999年3月、
 オーストラリアで開催される予定である。