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アジアの成長と経済回復のためのイニシアティブ(Asian Growth and Recovery Initiative)

アジアの成長と経済回復のためのイニシアティブ

Asian Growth and Recovery Initiative

 

 

この数ヶ月の間に、アジア諸国の金融情勢が幾分安定してきたことに伴い、国際社会及び域内諸国の政府の関心は、成長回復の促進という重大な課題へと移行してきている。この取組においては、民間企業の重い債務の処理の促進と民間企業による資金調達の回復を支援することにより、これら諸国の民間セクターを再生することが必要不可欠である。従って我々は、世界銀行とアジア開発銀行

(ADB)と協調しつつ、この地域における民間企業・金融機関のリストラクチャリングの加速、新たな民間資本の動員、及び迅速な成長回復の促進を支援する多国間イニシアティブを提案する。需要と経済活動を再活性化するための政策と、危機の社会面での悪影響を緩和するための行動を補完するこのイニシアティブは、4つの主要な項目からなっている。

 

 

 

金融機関・民間企業のリストラクチャリングの促進

:アジアにおける成長の回復のためには、リストラクチャリングの迅速な進捗が不可欠である。この取組を成功させるためには、金融機関の資本基盤の強化のための十分な資金調達及び債務処理にあたり債権者と債務者が建設的な役割を果たすようなインセンティブにより支えられた、金融機関・民間企業のリストラクチャリングに向けた一貫性のある、包括的なアプローチが必要である。域内諸国はこの取組の指針となる枠組みを着々と整備してきてはいるものの、依然として、必要なリストラクチャリングのためには重大な障害が残っている。

 

 

  • 金融機関・民間企業のリストラクチャリング促進策の主要な要素は、世界銀行、
ADB、及び様々な手段による二国間支援により一部資金負担される、「アジアの成長と経済回復のためのプログラム (AGRP)」である。AGRPは、域内諸国政府による金融機関の資本基盤の強化のための資金調達を支援する取組の中で、革新的かつ効率的な金融手法を活用して相当程度の追加的民間資本の動員を図る。AGRPからの支援は、支援を必要とし、民間企業・金融機関のリストラクチャリングのための、一貫性のある包括的な枠組みを実施している国に対して供与される。

 

 

  • 日本、米国、世界銀行、
ADBは協調してプログラムを創設し、財源を確保する。我々は、さしあたり二国間・多国間支援により、50億ドルの資金を動員することを目指しており、これによって相当規模の民間資本が追加的に調達されることが期待される。

 

 

我々はまた、債務者と債権者の双方が、自主的な債務処理に建設的に参加することを促す方策を共同で検討している。そのため、我々は以下の措置を支援する。

 

  • 世界銀行と
ADBは、未だ残っている金融機関・民間企業のリストラクチャリングへの障害を撤廃する取組において、域内諸国と緊密に協力するべきである。必要となる変革は各国毎の事情によりそれぞれ異なるだろうが、措置としては、なかでもリストラクチャリングへの障害を撤廃するための法制・行政上の変更、仲裁・紛争処理手続きの強化、情報公開・透明性確保措置の実施促進、及び資産処理策の強化が挙げられよう。AGRPの活用は、このような強化されたリストラクチャリングのための取組を実施することが条件となる。

 

 

  • 我々は、また、債権者である我々の国の金融機関が、アジアにおける債務のリストラクチャリングに積極的に参加することを妨げる障害を見直し、必要であれば撤廃する。

 

貿易及び運転資本へのファイナンス

:機能的なアジアの金融システムを回復するために、金融機関の資本基盤の強化は不可欠であるが、この地域の民間企業は、生産と雇用を維持するために必要な当面の運転資本、及び貿易金融が不足している。

 

 

  • この問題の緩和のため、米国輸出入銀行、日本輸出入銀行、及び日本の貿易保険は、この地域における貿易金融計画の相当程度の拡大を図る。

 

  • 我々はまた、国際開発金融機関に対し、深刻に必要とされている運転資本と貿易金融の、域内諸国の民間企業に対する供与の促進のための方策について検討するよう求める。

 

民間資本再流入の促進

:アジアの民間企業・金融機関のリストラクチャリングの成功にはまた、バランス・シートの改善と業務・金融の必要なリストラクチャリングの実施を支援する、新たな民間資本の大規模な注入が必要である。

 

 

  • 多国間投資保証機関(
MIGA)、米国海外民間投資会社(OPIC)、及び日本の貿易保険は、政治リスクについての保険の供与を通じてこの過程を支援するのに格好の機関である。OPICは、20億ドルを上限として、政治リスク保険と、域内の発展を促す採算性のあるプロジェクトへのプロジェクト・ファイナンスの供与を通じて、域内への米国民間投資の再流入の促進を図る。さらにOPICは、最近アジア、及び他の新興市場国における開発事業に対する民間資金の動員を支援する新しい債券保証機能を開発した。

 

 

  • 国際金融公社(
IFC)は、金融、戦略及び技術面での支援を、既にIFCの投資先となっている企業及び銀行にはじまり、現在では潜在的な新規投資先にまで拡大している。その資金のレバレッジのため、IFCは、民間により資金が提供されかつ管理された投資基金の設立を支援するためのプログラムを有している。これは、追加的な資金供与にあたり、少なくとも5億ドルを動員することを目的としており、またそれは非常に重要なリストラクチャリングの専門的知識も伴うものである。

 

 

  • OPIC
  • はまた、投資基金プログラムを通じて、域内における新たな民間資本の動員を支援する。OPICのアジア開発基金の150百万ドルは、域内における民間企業の債務・株式への投資を行うために、既に準備が整っている。さらに、OPICは、アジアの中規模企業への民間資金による投資を動員することを目的とした、100百万ドルの新たな基金の設立を検討している。この基金に民間セクターから需要があった場合は、これらの企業のリストラクチャリングと国内成長を促すために必要な、米国の民間資本の注入と経営支援を供与することとなる。

     

     

    技術支援

    :非常に多くの破綻した金融機関・民間企業のリストラクチャリングを実施するという膨大な課題は、この地域の国々の制度的能力を大幅に超えてしまっている。日本と米国は、国際通貨基金、世界銀行、
    ADBが実施している取組と協調して、既存の技術支援プログラムを増強する。これらのプログラムは、同地域の国々において、金融機関・民間企業のリストラクチャリングと市場に基盤を置いた必要な改革に取り組むために必要不可欠な、金融、法制、及び会計の専門的知識の供与を支援するものである。