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ステーブルコインに関するG7作業グループ議長によるアップデート (仮訳)¹

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多くの国において、既存の決済システムは、総じて、誰もが利用しやすく、安全で、効率的な小口決済サービスを提供している。もっとも、多くの地域において、決済サービスを利用しやすくする必要があり、クロスボーダー決済は、より速く、より安価となるべきである。新たな技術は、こうした欠点に対応し、利用者に対しより大きな便益をもたらす可能性がある.

暗号資産は、当初、利用しやすくボーダーレスな支払手段として機能することが想定されていたが、総じて価格の変動が激しく、既存の手段と比較して、取引の処理能力は限定的である。結果として、暗号資産は、主として、リスクの高い投資対象、もしくは実態が不明確な支払手段として機能しており、既存の決済・金融システムに対し大きな影響を与えるほどの規模で活用されるには至っていない。

「ステーブルコイン」と呼称される暗号資産の開発者は、参照資産(例:法定通貨)または複数の資産で構成されるバスケットに「コイン」を結び付けることで、価格変動を抑制することを企図している。現状では、ステーブルコインの発行や利用は限定的だが、規模の大きいテクノロジー企業や金融機関による多くの新たなステーブルコインの取り組みは、広く普及する可能性がある。

グローバルなリテール決済に利用できるステーブルコインは、より速く、より安価な送金を可能とするほか、決済分野での競争を促し、従ってコストを引き下げ、金融包摂を後押しする可能性がある。この点、ステーブルコインに関する取り組みは、既存の決済システムの改善に向けた官民双方の取り組みが強化される必要性を浮き彫りにしている。

もっとも、ステーブルコインは誕生して間もない技術であるため、実際の利用環境下や、グローバルな決済システムを運営するうえで求められる規模での検証がほとんどなされていない。さらに、特にマネーロンダリング及びテロ資金供与対策をはじめ、消費者・データ保護、サイバーレジリエンス、公正な競争、税務コンプライアンスといった公共政策上の優先課題に関連する多くの重大なリスクが生じる。

また、金融政策の波及や金融安定、グローバルな決済システムの円滑な機能や社会的な信認に関する課題も生じ得る。 規模の大きいテクノロジー企業や金融機関は、既存の顧客基盤を活用して急速にグローバルに存在感を高める可能性があることから、当局は、常に警戒を怠らず、グローバルな金融システムに対するリスクと影響を評価していくことが必要不可欠である。

G7作業グループでは、ステーブルコインの取り組みについて議論し、解決されるべき重要な論点の基準を定めるための、幾つかの主要な考慮すべき事項を特定した。当然ながら、これらは、全ての公共政策上の優先課題に対応するために必要となる考慮事項の一部を構成するに過ぎない。
 
第一に、ステーブルコインの取り組みは、最も高い水準の規制を満たし、当局の慎重な監督やオーバーサイトに服することで、社会的信認を得ることが求められる。まずは(これらに限定されるものではないが)、金融活動作業部会(FATF)による関連ガイダンスや、BIS決済・市場インフラ委員会(CPMI)及び証券監督者国際機構(IOSCO)による「金融市場インフラのための原則」を遵守することが求められる。「同一のビジネス、同一のリスクに対しては、同一のルールを適用する」との基本原則が適用される。規制に関するアプローチは世界的に整合的である必要があり、いかなるギャップや非整合的な取扱いも、特定され、解消されるべきである。

第二に、ステーブルコインの取り組みは、全ての関連法域において、確かな法的基盤を示し、全ての関係者および利用者に対して十分な保護と保証を確保することが求められる。少なくとも、ステーブルコインの発行者には、コイン保有者に対して履行を約束している事項の性質や、当該資産を保有することに伴うリスクを、明確に説明することが求められる。

第三に、ガバナンスやリスク管理の枠組みは、オペレーション面での頑健性やサイバーレジリエンスを確保することが求められる。 ・第四に、特に、幅広い金融市場の統合性を確保し、状況の良し悪しに関わらずコイン保有者の信認を得る観点から、裏付けとなる資産の管理は、安全に、慎重に、透明性をもってなされるべきであり、かつコインの保有者に対する義務の性質またはコイン保有者の合理的な期待と整合的になされるべきである。

こうした考慮すべき事項に対し適切に対応するには、透明性を確保し、適切な評価のためにより詳細な情報を利用できるようにすることが必要となる。このことから、ステーブルコインの開発者は、関係当局による承認を得る前に、多大な作業と、一般社会や当局との関係のさらなる強化が求められている。

作業グループは、今後、G7の財務省や関連する基準設定主体およびG20と協働し、作業を進めていく方針である。

以  上


 ¹ 「ステーブルコインに関するG7作業グループ」は、G7の中央銀行、国際通貨基金(IMF)、国際決済銀行(BIS)、金融安定理
事会(FSB)の幹部職員で構成。BIS決済・市場インフラ委員会(CPMI)事務局が支援している。