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議長総括:7か国財務大臣・中央銀行総裁会議(仮訳)(2019年7月17日〜18日 於:フランス・シャンティイ)

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 G7財務大臣・中央銀行総裁は、2019年7月17日、18日にシャンティイにおいて会合した。大臣・総裁は、現在及び将来の経済・金融の課題へ対処するための緊密な連携の重要性を再確認し、より包摂的、平等かつ持続可能な経済モデルに向けて協働することにコミットした。大臣・総裁は特に次の方策を議論した。(1) 第一に、幅広い繁栄を生み出す、強固で持続性があり均衡のとれた包摂的な成長を支えるために、世界経済及び金融システムにおける現在のリスクへの対処を続けること。(2) 第二に、最重要のものとして国際課税システムをより公正なものとすること、経済の電子化に伴い生じる競争上の課題に対処すること、及び気候資金及びグリーン資金に関するアジェンダを進めることを含む、新たな課題に対処するための作業を加速させること。(3) 第三に、先進国・途上国間及び国内における不平等と闘い、成長の便益がより広範に共有されるよう確保すること。

世界経済及び金融システムにおけるリスクへの対処
世界経済

 大臣・総裁は、世界経済及び金融システムに関する意見を交換した。大臣・総裁は、世界経済の成長は、足元で安定化の兆しを示しており、2020年に向けて緩やかに上向く見通しである一方で、リスクは依然として下方に傾いていることに留意した。何よりも、貿易と地政を巡る緊張は増大してきた。
 大臣・総裁は、適切な場合にはさらなる行動をとることを含め、引き続きこれらのリスクに対処し、国際的な協力及び枠組みを強化することに合意した。大臣・総裁は、強固で持続性があり均衡のとれた包摂的な成長を実現し、下方リスクから守るために全ての政策手段を用いるとのコミットメントを再確認した。必要に応じて財政バッファーを再構築し、かつ、債務残高対GDP比が持続可能な道筋にあることを確保しつつも、財政政策は、機動的に実施し、成長に配慮したものとすべきである。中央銀行のマンデートと整合的な形で、金融政策は、金融の安定性に注意し、金融政策だけで全ての経済的課題に対処することはできないことを認識しながら、引き続き、経済活動を支える。構造改革の実行を続けることは、我々の潜在成長力を高める。
 また、大臣・総裁は、これまでの為替相場のコミットメントを再確認した。大臣・総裁は、金融セクターの強靭性を確保し、波及と伝染を抑えるためのコミットメントを想起した。大臣・総裁は、世界の成長を支えるような方法で、政策立案者が経済成長を支援するやり方で過度なグローバル・インバランス(経常収支不均衡)を縮小するために努力するべきであることに合意した。  
 大臣・総裁は、必要なWTO改革に関するG20大阪サミットの結論を想起し、強固で、クォータを基礎とし、かつ、十分な資金基盤を有する国際通貨基金(IMF)を中心としたグローバル金融セーフティネットを更に強化するとのコミットメントを再確認した。ブレトンウッズ協定の75周年の機会に、G7議長国により2019年7月16日に開催されたハイレベル公開会合での重要なメッセージ、特に、国際金融システムが、2008年の国際金融危機に対し強靭であった一方で、国際公共財の円滑な供給を含め、新たに生じてくる課題に適応し続ける必要がある、ということが議論された。

金融セクターにおけるサイバーセキュリティ  
 大臣・総裁は、G7サイバー専門家グループ(CEG)が2019年6月に実施した金融システムに影響を与えるサイバーインシデントに備えたG7合同の国境を越えた危機管理演習について歓迎した。この複合的な取組は、G7の金融当局(財務省、中央銀行、銀行監督当局、市場監督当局)間で、初めての演習である。  
 サイバーリスクは増加しており、金融セクターの安定性と健全性に対して真の増大する脅威をもたらしている。大臣・総裁は、情報共有と信頼に基づく連携したアプローチのみが、この拡大する課題に対応することができることに合意した。公的当局同士の協力が金融セクターにおけるサイバーセキュリティに関して重要な役割を果たすことを認識し、G7がこの問題について多国間で取組みを進めるための適切なフォーラムであることを認識した。
 大臣・総裁は、3つの分野で関与を深めることの重要性を強調した。
- 規制については、すべての市場参加者にとって透明かつ一貫した規制環境を維持するために、異なる基準設定主体がイニシアティブを連携されることの重要性を強調した。CEGに対して、G7レベルで策定された基礎的要素が、金融関係者への勧告の一貫性確保に向けた動きに対して十分な影響を与えたかどうかについて、計画された自己評価の一環として、レビューを行うよう依頼した。
- 情報については、影響のよりよい計測のため、金融セクターに影響を与えるサイバーインシデントの共通分類の取組を進める方法を分析することをCEGに要請した。
- 準備については、国内および国際的な将来の演習に向けて、 G7合同の危機管理演習から教訓を得ること、そして、今後数年間の演習の計画を策定することに合意した。

ステーブルコイン及びその他の様々な金融商品  
 大臣・総裁は、金融セクターにおける技術革新は大きな便益をもたらしうるが、それらはまたリスクも伴うものであることを認識した。大臣・総裁は、リブラのようにグローバルで潜在的にシステミックな足跡を伴う取組を含め、ステーブルコイン及びその他の現在開発されている様々な金融商品は、深刻な規制上ないしシステミックな懸念とともに、幅広い政策上の課題を引き起こすことに合意した。これらの懸念や課題はいずれも、こうした取組が実施される前に対処される必要がある。  
 規制上の懸念に関し、大臣・総裁は、今後実現する可能性のあるステーブルコインのイニシアティブ及びその運用者が、金融システムの安定や消費者保護を脅かすことのないよう、いかなる場合においても、特にマネーロンダリング及びテロ資金供与対策をはじめとする最高水準の金融規制を満たす必要があることに合意した。規制上生じうるギャップについても、対処される必要がある。  
 システミックな懸念に関し、大臣・総裁は、リブラのような取組が通貨主権や国際通貨システムの機能にも影響しうることに合意した。  大臣・総裁はしかし、こうした取組が、国境を超える決済システムが顕著に改善され、消費者にとってより安価になる必要があることを示していることでも合意した。  
 大臣・総裁は、決済・市場インフラ委員会(CPMI)議長であるブノワ・クーレ氏が束ねるG7ステーブルコイン作業部会[1]の暫定的な見解を歓迎するとともに、上記で述べられたような課題につき検討を深めるよう求めた。勧告を含む同作業部会の最終報告は、IMF世銀年次総会のタイミングまでに期待されている。作業部会は、G20及び、金融安定理事会(FSB)その他基準設定主体と連携する。

[1] 当初、G7の中央銀行並びにIMF、国際決済銀行(BIS)及びFSBの高官によって構成されていた本ワーキンググループは、G7の財務省の代表者にも拡大されることとなっている。CPMIの事務局がこのグループを補佐している。


新たなる課題への挑戦
国際租税  
 財務大臣は、現行の国際課税の枠組みについて、その原則を損なうことなく改善する必要があることを考慮し、経済の電子化がもたらす課税上の課題及び現行の移転価格税制の短所に対処することが差し迫ったものであることに合意した。従って、財務大臣はG20首脳によって承認された作業計画に基づき二つの柱から成る解決策を2020年までに採択することを完全に支持した。  
 第1の柱について、企業が何ら物理的存在なしに域内で事業を行うことができる高度に電子化されたビジネスモデルなどの新たなビジネスモデルに対処するため、新たなネクサスルールを開発すべきである。
 さらに、特に販売活動の移転価格については、税の安定性を強化し、過度なタックスプランニングを制限すべきである。  第1の柱の下の新たな課税権は、貴重な無形資産や高度に電子化されたモデルの活用など、市場またはユーザーが所在する国・地域におけるビジネスの積極的な活動のレベルを反映した基準を参照して決定することが考えられ、これについてOECDが更によく検討すべきであることに財務大臣は合意した。
 新しいルールは執行可能で簡素なものとすべきである。
 財務大臣はまた、二重課税を防止し国際課税システムの安定性を確保するため、強制的仲裁を通じた強固かつ効果的な紛争解決制度をグローバルな解決策の一要素とする必要があることに合意した。
 第2の柱については、財務大臣は、例えば米国のGILTI制度のように、最低限の水準の実効的な課税が、企業の公平な税負担の確保に資するものとなることに合意した。税率の水準はルールの具体的な制度設計に依存する。
 G7はG20の文脈での更なる進展及びBEPS包摂的枠組みによる2020年1月までの制度の大枠についてのグローバルな合意を期待している。

競争とデジタル経済  
 大臣・総裁は、経済のデジタル化が競争上の課題を引き起こすことを認識した。大臣・総裁は、最近の研究及び政策提案[2]を含め、学者及び他の団体等により現在進行中の検討や意見を歓迎すると共に、今後の検討やありうべき政策行動の参考として更なる貢献を期待した。

[2]Jason Furman教授が主導した専門家グループが英国政府に提出した報告書「デジタルな競争の開放」、Jacques Crémer, Yves-Alexandre de Montjoye及びHeike Schweitzerが欧州委員会に提出した報告書「デジタル時代の競争政策」及びFiona Scott MortonがAriel Ezrachiと共に主導したシカゴ大学スティグラーセンター・デジタルプラットフォーム研究委員会が公表した報告書  大臣・総裁は、G7競争当局が合意した、一致した見解及び課題への対処に係る道筋を示す「共通理解」を歓迎した。かかる成果を踏まえ、大臣・総裁は、競争法及び競争当局の執行活動が、その指導原則を維持しつつ、デジタル化又は新たな経済学上の知見によって提起された課題を含む新たな課題へ適切に対応でき、また、対応しているものであることを再確認した。

 大臣・総裁は、G7競争当局に対して、協調した活動を継続すると共に、以下の事項へ特段の注意を払うことを慫慂する:(@)ネットワーク効果に伴ってデータ集積が市場支配力及び参入障壁が生じ得ることの影響;(A)競争当局として、デジタル市場における支配的企業による反競争的行為に対して対処するため、また、企業結合が競争及びイノベーションに与える影響を分析するためにその手法を必要に応じて改める必要性;並びに(B)競争と、デジタル経済の課題に対処するために行われる規制との関係性。
 大臣・総裁は、学術的な及び制度に係る分析を含め、これらの問題に関する議論が引き続き継続するものであることに留意した。大臣・総裁は、競争政策は国(又はEU)単位で立案及び実施される一方で、国・地域の協調及び整合性が不可欠であることを強調した。


気候資金及びグリーン資金
 
 大臣・総裁は、9月の次回国連気候行動サミット及び本年の緑の気候基金の増資を見据え、気候資金及びグリーン資金の目標及び戦略について、進捗の確認や議論を行った。
 大臣・総裁は、グリーンで低炭素な経済への移行における民間部門の役割について、より具体的な議論も行った。金融セクターの役割、特に、共通の基本的な原則や地域レベルの既存のタクソノミー(分類手法)間の対応関係に依拠しつつ、持続可能な活動に係るタクソノミーを構築するとの提案に対して注意が向けられた。「気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク」のメンバーである大臣・総裁は、「気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク」の包括的なレポートの中で掲げられた提言の実施を奨励した。これらの提言は、環境リスクの管理及びグリーン・低炭素投資への資本の動員において、金融関係者の役割を強化することを目的としている。
 大臣・総裁は、MDBs及びIMFが環境への配慮を業務の主流に組み込むためにとった行動を歓迎するとともに、この点に係る継続的な取組を期待する。

国内および国際的な不平等との闘い
先進国経済における不平等
 大臣・総裁は、バーリで2017年に開始され、2018年にウィスラーで更に進められた不平等に関する政策的議論を深めた。大臣・総裁は、G7経済が直面する重要な課題は、すべての人が経済的成功に貢献し、分かち合うための実質的で公平な機会を有することを確保することであると再確認した。  
 大臣・総裁は、あらゆる人のためになるより包摂的な経済をもたらすために機会の平等を強化する重要性を強調した。大臣・総裁は、この目的の達成のためにグッドプラクティスを共有する意義について合意し、この観点から、先進国経済における機会の平等を高めるための一連のグッドプラクティスに関するOECDのプレゼンテーションを議論した。また、OECDは7月12日に公表した「成長に向けて(Going for Growth)」報告書を提出したが、このレポートは機会の平等を高めることと潜在的成長率を高めることの間に正の関係があることを強調している。  
 また、大臣・総裁は、企業内における賃金格差を特定し、企業内における公平性を高めるために、報酬の透明性に関する政策に関してより具体的に議論した。大臣・総裁は、経営層と従業員との間の賃金格差に関する集合的な選好に関しては各国ごとに違いがあることを認識する一方で、報酬に関する透明性がこの問題に光を当てる助けとなることに合意した。また、大臣・総裁はジェンダーによる賃金格差を縮小し、あらゆる種類の差別と闘う必要性を再確認した。
 最後に、大臣・総裁は、機会の平等を促進し差別と闘うためのイニシアティブをとるにあたって民間部門が果たすことができ、かつ、果たすべき重要な役割について強調した。この点について、大臣・総裁は、ジェンダー平等諮問委員会(Gender Equality Advisory Council)の代表によって示された職場におけるさらなるジェンダー平等を支持するイニシアティブを議論した。また、大臣・総裁は、ジェンダー平等に関する拡大セッションにおいて、ビジネス・コミュニティや市民社会の代表と行われた非公式の意見交換を歓迎した。
 報酬の透明性等に関するグッドプラクティスの交換と経験の共有を含む、機会の平等に関する政策的議論は、国際的なアジェンダの重要な部分としてあり続ける。

開発のための金融  
 大臣・総裁は、特にアフリカにおいて、開発のための金融を改善させる方法について議論した。大臣・総裁は、アフリカ、とりわけサヘル地域の低所得国が直面する重要な課題を認識し、あらゆる開発パートナーを更に動員し、その協調を強化する必要性を強調した。
 債務脆弱性の高まりを背景に、大臣・総裁は、2019年5月7日にパリで開催されたパリフォーラム会合の成果を踏まえ、輸出金融を含む国際的な金融と投資に関するグローバルな基準を策定し、官民全ての関係者による実施を確保する必要性を強調した。この点に関し、透明性と、金融慣行とIMF・世界銀行の債務持続可能性分析との整合性を向上させることが鍵となる。
 大臣・総裁は、譲許的資金へのアクセスを増加させ、プログラムの柔軟性や国ごとのニーズへの適応を高め、債務脆弱性及びその他の構造的問題に対処することを目指す、IMFと世界銀行による進行中の作業も歓迎した。また、大臣・総裁は、公的支出及び財政管理の効率性とともに、能力構築及び国内資金の動員を強化することの重要性も強調した。大臣・総裁は、国際開発協会(IDA)及びアフリカ開発基金の増資の成功に協力を表明し、引き続き最貧国に対する資金供給に焦点を当てることを求めた。
 更に、大臣・総裁は、民間資金を更に強化し、現地の民間部門が発展するための条件を作り出すことの重要性を強調した。大臣・総裁は、G20「アフリカとのコンパクト」への支援を再確認するとともに、コンパクトの目的達成を後押しするため、このイニシアティブの強力な実行を奨励することに合意した。あり得る強化策として、改革のための技術支援により一層焦点を当てることに加え、世界銀行グループにより強固な役割を与えることが考えられる。

アフリカ女性デジタル金融包摂  
 大臣・総裁は、アフリカにおける女性のデジタル金融包摂に関するビル&メリンダ・ゲイツ財団のレポート及びその勧告についても議論した。レポートでは、この分野での進捗を図るための関連する一貫したパッケージを全体として構成するものとして、5つの既存のイニシアティブを特定している。[3]大臣・総裁は、女性の経済的エンパワーメントの重要な側面として、アフリカにおける女性のデジタル金融包摂というアジェンダを推し進めることの重要性を強調した。大臣・総裁は、この作業への意義ある貢献として、レポートの勧告を歓迎した。

[3]アフリカ開発銀行の「アフリカデジタル金融包摂ファシリティ」、世界銀行の「開発のための身分証明イニシアティブ (ID4D)」、国連資本開発基金の「アフリカ政策アクセラレーター」、「身分証明、支払い及びガバナンスに関するアフリカ研究イニシアティブ」、及び、ブラバトニック公共政策大学院の「繁栄への道筋委員会のファシリティ」。