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20か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明(仮訳)(2019年6月8-9日 於:福岡)

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  1.  世界経済の成長は、足元で安定化の兆しを示しており、総じて、本年後半及び2020年に向けて、緩やかに上向く見通しである。この回復は、緩和的な金融環境が継続すること、幾つかの国々で景気刺激策の効果が発現すること、一時的要因が解消することによってもたらされている。しかしながら、成長は低位であり続けており、リスクは依然として下方に傾いている。何よりも、貿易と地政を巡る緊張は増大してきた。我々は、これらのリスクに対処し続けるとともに、更なる行動をとる用意がある。

  2.  我々は、強固で持続性があり均衡のとれた包摂的な成長を実現するため、また、信頼を高める対話と行動を強化することにより、下方リスクから守るために全ての政策手段を用いるとの我々のコミットメントを再確認する。必要に応じて財政バッファーを再構築し、かつ、公的債務が持続可能な道筋にあることを確保しつつも、財政政策は、機動的に実施し、成長に配慮したものとすべきである。金融政策は、中央銀行のマンデートと整合的な形で、インフレが目標に向けた軌道を維持するか目標付近で安定することを確保すべきである。中央銀行の決定は引き続きよくコミュニケーションがとられる必要がある。構造改革の実行を続けることは、我々の潜在成長力を高める。我々は、国際的な貿易及び投資が、成長、生産性、イノベーション、雇用創出及び開発のための重要なエンジンであることを改めて強調する。我々は、ブエノスアイレス・サミットでの貿易に関する首脳の合意を再確認する。我々は、国際的な協力及び枠組みを強化するために、引き続き共同行動をとる。我々はまた、2018年3月に行った我々の為替相場のコミットメントを再確認する。

  3.  世界金融危機の後、グローバル・インバランス(経常収支不均衡)は、新興国や開発途上国を中心に減少し、次第に先進国に集中してきた。しかしながら、不均衡は依然として高水準かつ持続的であり、対外資産・負債の水準も拡大を続けている。我々は、対外収支を評価するにあたっては、サービス貿易・所得収支を含む経常収支のすべての構成要素に着目する必要があることに留意する。我々は、対外収支には、景気循環要因、国内政策及び経済のファンダメンタルズ、海外からの波及効果が複合して反映していることを認識する。我々は、対外不均衡の中には、経済のファンダメンタルズに沿ったものもあれば、過度でありリスクを孕むものもあるという見解を共有する。過度な対外不均衡の根底にある要素には、過剰な法人貯蓄、誤った財政政策、財・サービス分野の貿易障壁が含まれうる。我々は、協力推進の精神に基づいた上で、過度の対外不均衡に対処し、強固で持続性があり均衡のとれた包摂的な成長というG20の目標実現に対するリスクを低減するには、各国の実情に即しつつ、注意深く策定されたマクロ経済・構造政策が必要であることを確認する。一方で、我々は、外国直接投資などのように、より安定的な資金を提供する形態もあるため、資金調達の構成についても注視すべきことを認識する。我々は、IMFによるグローバル・インバランスに関する更なる分析を期待する。

  4.  高齢化を含む人口動態の変化は、G20すべての国に対して課題と機会をもたらす。我々は、このアジェンダの複雑性に鑑み、人口動態の状況に応じたグループに分かれて、高齢化に関連する包括的議論を行った。人口動態の変化は、財政・金融政策、金融セクター政策、構造改革など広い分野にわたる政策行動を必要とする。 各国は必要に応じ、以下の政策を考慮すべきである。
    • スキルへの投資、女性・高齢者における労働参加率の促進、高齢者に優しい産業の育成などによる生産性及び成長の向上。
    • 公共支出・投資の効率性や実効性の向上、世代間及び世代内の公平性に考慮した機能的かつ財政持続的な社会保障の強化。
    • 高齢化がもたらす課題により良く対応するための公正で成長を促す税制の設計。
    • 金融政策に対する高齢化によるインプリケーションのより良い理解。
    • 金融機関がそのビジネスモデルとサービスを必要に応じて適応できるよう支援。
    • 人口動態変化による国境をまたがるインプリケーションの管理(資本移動や移民など)。
     高齢化社会における金融包摂を強化するため、我々は、金融包摂のためのグローバル・パートナーシップ(GPFI)とOECDが策定した「高齢化と金融包摂のためのG20福岡ポリシー・プライオリティ」を承認する。我々は、「GPFI作業計画提案」を承認し、2020年までのロードマップに基づき、GPFIがその体制を簡素化することを求める。

  5.  グローバル金融セーフティ・ネットにおけるIMF の中心的役割を維持すべく、我々は、強固で、クォータを基礎とし、かつ、十分な資金基盤を有するIMF にコミットしていることを再確認する。我々は、第15次クォータ一般見直しを遅くとも2019年年次総会までに完了することに引き続きコミットしており、IMF資金とガバナンス改革に関する作業を最優先事項として早めることをIMFに求める。我々は、賢人グループの提言のフォローアップ作業の進捗を支持する。我々は、効果的なカントリー・プラットフォームに関するあり得る原則の策定に向けた進展を歓迎し、また、我々の考え方を固めコンセンサスを形成するための更なる作業を期待する。加えて、我々は、新たな標準契約書の作成及び複数の国際開発金融機関(MDBs)との協力合意を含む、多国間投資保証機関による開発金融におけるリスク保険を向上させるために進められている努力を歓迎する。我々は、G20賢人グループの提言を受け、4月の代理レベルや昨日の大臣レベルで見られたような、開発金融に係る議論を歓迎する。我々は、資本フローに関する国際機関の取組を歓迎する。OECDは、資本移動自由化コードの見直しを完了し、資本フローの自由化と金融安定を支えるようコードを近代化した。我々はまた、価格に見合った価値に関する国際開発金融機関の報告書を歓迎するとともに、適切で、過剰な負担とならず、かつ明確な利益を生む形での指標の調和化に関する更なる作業を期待する。我々は、賢人グループの提言が複数年にわたる性質のものであることを認識しつつ、その作業を継続する。

  6.  我々は、債務の透明性を向上し、債務の持続可能性を確保するための、債務者及び公的・民間の債権者双方による協働の重要性を再確認する。我々は、IMF及び世銀グループによる、新たに生じつつある債務脆弱性に対処するための「様々な角度からのアプローチ」の直近の進捗に関するアップデートを歓迎し、更なる実施を支持する。とりわけ、我々は、IMF及び世銀グループに、債務の記録・監視・報告、債務管理、公的財政管理、国内資金動員の分野における債務者の能力強化のための取組を継続することを求める。我々は、IMF及び世銀グループに、債務上限ポリシー及び非譲許的借入ポリシーの見直しの文脈で、担保付貸付の慣行の分析を引き続き深めることを奨励する。我々は、「G20持続可能な貸付に係る実務指針」の実施に関する任意の自己評価の完了、及びその評価結果と政策提言をまとめたIMF及び世銀グループのノートを歓迎する。我々は、評価を完了したG20及び非G20メンバーを称賛する。我々は、貸付慣行の改善を目指して、このノートで強調されている課題を引き続き議論していく。我々は、民間貸付に係る債務の透明性及び持続可能性を向上させるための、「債務透明性のための任意の原則」に関する国際金融協会の取組を支持し、フォローアップを期待する。我々は、二国間の公的債務を再編するための主要な国際フォーラムとして、債権者たる新興国のより多くの参加に向けてパリクラブが進めている取組を支持する。これに関連して、我々は、パリクラブと協働するために、インドがパリクラブに事案に応じた参加を自発的に決定したことを歓迎する。

  7.  インフラは経済の成長と繁栄の原動力である。質の高いインフラを強調することは、「投資対象としてのインフラに向けたロードマップ」に沿いインフラ・ギャップの縮小に向けて継続中のG20の努力の必要不可欠な一部である。この文脈で、我々は、公的財政の持続可能性を保つ形での持続可能な成長と開発を達成するためのインフラの正のインパクトの最大化、ライフサイクル・コストでみた経済性の向上、女性の経済的なエンパワーメントを含めた環境・社会配慮の統合、自然災害その他のリスクに対する強靭性の強化、及びインフラ・ガバナンスの強化の重要性を強調する。我々は、この理解に基づき、また、テーマ横断的な協働を歓迎しつつ、我々の共通の戦略的方向性と高い志として、「質の高いインフラ投資に関するG20原則」を承認する。我々は、国際機関に対して、効果的な実施のために有用であろう、質の高いインフラ投資に係るレファレンス・ノート及びファシリティとリソースに係る新たなデータベースを作成したことを感謝する。我々は、質の高いインフラ投資に係るあり得る指標を探求することを含めて、インフラを投資対象へと育成するための作業項目を引き続き前進させていくことを期待する。

  8.  我々は、自然災害に対する財務上の強靭性を促進させる手段としての、災害リスクファイナンシング・保険スキームの重要性を認識する。こうしたスキームは、政府が民間部門の資金を効果的に活用し、それによって時宜を得た形で自然災害からの財務上のリスクを管理することに資する。この関連で、世銀からの報告書「災害ショックに対する財務上の強靭性の強化:グッドプラクティスと新たなフロンティア」は、マクロ経済・財政計画の策定を通じたものを含む、災害リスクファイナンシングに係る手法に関する知識を広げることに役立つものである。

  9.  ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)に向けた前進は、途上国において、人的資源の開発、持続可能で包摂的な成長と開発、パンデミックや薬剤耐性といった公衆衛生上の緊急事態の防止、発見及び対応に貢献する。この観点から、我々は、「途上国におけるUHCファイナンス強化の重要性に関するG20共通理解」へのコミットメントを確認する。「共通理解」文書に示されたとおり、国際機関による活動を基礎とし、民間部門や非政府団体による適切な貢献を伴った、多分野にわたるアプローチ、特に財務当局と保健当局の連携は、保健財政強化のために重要である。この点に関し、我々は首脳サミットに際して開催される財務大臣・保健大臣合同セッションに期待する。我々は、世界銀行グループが作成したレポート「21世紀における持続可能かつ包摂的成長の推進のための優れた保健財政」に感謝する。

  10.  我々は「アフリカとのコンパクト(CwA)」への継続した支持を強調する。これには、民間部門の投資家とのより緊密な関与や、二国間の関与の強化が含まれるべきである。後者には、開発金融機関からの一貫した貢献や、CwAを実施する上での役割に対する明確な理解の上に立った、参画する国際機関(WBG、AfDB、IMF)の役割の強化が含まれる。

  11.  我々は、世界規模で公正、持続可能かつ現代的な国際課税システムのための協力を継続するとともに、成長志向の租税政策を推進するための国際協力を歓迎する。我々は、G20/OECD「税源浸食と利益移転(BEPS)」パッケージの世界的な実施及び税の安定性向上の重要性を再確認する。我々は、経済の電子化に伴う課税上の課題への対応に関する最近の進捗を歓迎し、BEPS包摂的枠組みによって策定された、2つの柱からなる野心的な作業計画を承認する。我々は、2020年までの最終報告書によるコンセンサスに基づく解決策のための取組を更に強化する。我々は、税に関する金融口座情報の自動的交換の進捗を含む税の透明性に関する最近の成果を歓迎する。我々はまた、国際的に合意された税の透明性基準を満足に実施していない法域の更新されたリストを歓迎する。我々は、強化されたすべての基準を考慮した、OECDによるリストの更なる更新を期待する。リストに載った法域に対しては、防御的措置が検討される。この点において、我々は利用可能な措置を列挙した2015年のOECD報告書を想起する。我々は、全ての法域に対し多国間税務行政執行共助条約への署名及び批准を求める。我々は引き続き、「税に関する協働のためのプラットフォーム(PCT)」を通じた協調や、中期歳入戦略に関する経験の活用、能力が限られた国々における国内資金動員を支援する各国の状況に合わせた努力等により、開発途上国における税に関する能力構築支援を支持する。我々はPCTの最初の進捗報告書及び日本における「アジア大洋州租税・金融犯罪調査アカデミー」を歓迎する。

  12.  合意された国際基準に基づく、開かれた、強靭な金融システムは、持続可能な成長を支えるために極めて重要である。我々は、合意された金融規制改革の完全、適時かつ整合的な実施に引き続きコミットしている。我々は、これらの規制改革の影響を引き続き評価し、中小企業金融についてのFSBの市中協議文書を歓迎する。我々は、金融安定性に対する脆弱性と生じつつあるリスクについて、引き続き注視し、マクロ・プルーデンスの手段を含め、必要に応じ対処する。我々は、ノンバンク金融仲介が金融システムに与える多様性を歓迎する一方、引き続き、関連する金融安定リスクを、適切に特定、注視、対処する。我々は、FSBと証券監督者国際機構(IOSCO)による市場の分断についての報告書を歓迎し、10月に、進行中の作業も含めた進捗報告を受けることを期待する。我々は、規制・監督上の協力等により、意図せざる、悪影響をもたらす市場の分断に対処する。我々は、コルレス銀行関係の解消の原因及び結果と、銀行サービスへの送金業者のアクセスにかかる課題について、引き続き監視し、対処する。サステナブル・ファイナンスの動員及び金融包摂の強化は、世界の成長にとって重要である。我々は、こうした分野における民間部門の参加と透明性を歓迎する。

  13.  暗号資産の基礎となるものを含む技術革新は、金融システム及びより広く経済に重要な便益をもたらし得る。暗号資産は、現時点でグローバル金融システムの安定に脅威をもたらしていないが、我々は、消費者及び投資家保護、マネーロンダリング及びテロ資金供与への対策に関するものを含め、リスクに引き続き警戒を続ける。我々は、マネーロンダリング及びテロ資金供与への対策のため、最近改訂された、仮想資産や関連業者に対する金融活動作業部会(FATF)基準を適用するというコミットメントを再確認する。我々は、FATFが今月の会合にて、解釈ノート及びガイダンスを採択することを期待する。我々は、消費者及び投資家保護や市場の健全性に関し、暗号資産取引プラットフォームについてのIOSCOの報告書を歓迎する。我々は、FSBの暗号資産当局者台帳や、暗号資産における現在の取組、規制アプローチ、及び潜在的なギャップに関する報告書を歓迎する。我々は、FSBと基準設定主体に対して、リスクを監視し、必要に応じ追加的な多国間での対応にかかる作業を検討することを要請する。我々はまた、分散型金融技術、それが金融安定性や規制、ガバナンスにもたらす潜在的な影響、及び当局が広範なステークホルダーとの対話をどのように強化できるかについてのFSBの報告書を歓迎する。我々は、サイバーの強靭性を高める努力を強化し続けるとともに、サイバー攻撃への対応や復旧のための効果的な取組を明らかにするFSBのイニシアティブの進捗を歓迎する。

  14.  我々は、マネーロンダリング、テロ資金供与及び拡散金融と闘い、これを防止するための国際基準の設定主体としてのFATFの不可欠な役割を強調する国連安保理決議2462号を歓迎する。これらの脅威と闘う努力を強化することについての我々の強いコミットメントを再確認する。我々は、FATF基準の完全、効果的かつ迅速な履行を求める。我々は、今年4月に開催されたFATF大臣会合において、FATFマンデートが恒久化されるとともに、大臣級会合の2年に1度の開催やFATF議長・副議長の任期延長を含めたFATFのガバナンス強化につながる成果が得られたことを歓迎する。我々は、FATFの「戦略的な見直し」に期待する。我々は、金融技術革新がもたらすリスクと機会をモニターし、FATF基準が変化に適応した適切なものであり続けることを確保するとのFATFによるコミットメントを歓迎する。我々は、その進捗を2021年に報告するようFATFに求める。我々は、拡散金融への国際的な対応を強化するためのFATFによる更なる行動を期待する。

(以 上)