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G20シンポジウム「人口動態変動とマクロ経済面での挑戦」麻生大臣閉会挨拶(仮訳)

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日本銀行・財務省共催シンポジウム
より良い未来のために:人口動態変動とマクロ経済面での挑戦
麻生副総理兼財務大臣兼金融担当大臣 閉会ご挨拶(仮訳)

 ご来場の皆さま、こんにちは。

 本高齢化シンポジウム、「より良い未来のために:人口動態変動とマクロ経済面での挑戦」は、この後に行われる「G20財務大臣・中央銀行総裁代理級会議」及び、昨日行われた「包摂的な開発のためのイノベーションに関するセミナー」と合わせて、日本議長下でのG20財務大臣・中央銀行総裁会議に向けたキックオフ会合という位置づけになります。皆さまの積極的な参加と議論への貢献をいただき感謝申し上げます。また、本シンポジウムを成功裏に開催していただいた日本銀行に対する謝意を示したいと思います。

 先進国、新興国を問わず、G20各国にとって、高齢化が重要な政策課題になりつつあることには賛同いただけると思います。高齢化は、人口動態の変化のみを意味するわけではありません。高齢化は、経済成長や財政、金融など様々な側面を通してマクロ経済に影響を与えます。高齢者の金融包摂は、とりわけ特別な配慮が示されるべきでしょう。

 国際社会の中で、日本は高齢化の最前線にいます。一例を申し上げますと、私はG20各国の中でも最も高齢の財務大臣の一人でしょう。老年人口指数(国連の統計では、65歳以上の人口を、25歳から64歳の人口で割った百分率)は、2015年には50%を超えました。この数値は1980年には、わずか17%でした。このように、30%を超える劇的な数値の上昇は、ここ30年の出来事です。日本で高齢者が急速に増加していく一方、その多くが、私のように、健康かつ活動的でいられることは、新たな機会の出現を意味しています。

 中国、韓国、シンガポール、タイそしてベトナムといったアジアの国では、日本の高齢化社会に急速に追いつきつつありますし、中にはとても低い数値からそうなりつつある国もあります。南米にも同じことが言えて、ブラジル、メキシコ、チリなどがそうです。G20各国の多くで急速に高齢化が進んでいます。国連によれば、現在G20の中で最も平均年齢が若いサウジアラビアも、老年人口指数は2015年から2050年の間で5倍、6%から30%になります。これは大きな課題と言えるでしょう。

 都市化の進行が、拡大家族による伝統的な支えを弱める傾向にある新興国及び発展途上国にとっての課題は、財政的に持続可能な形で社会保障システムを拡張するということでしょう。そして、先進国にとっての課題は、縮小する労働供給による成長力の低下の中で、社会保障システムの長期的持続可能性を確保することでしょう。

 これこそが、日本が議長国として、高齢化を本年の主要な政策課題の一つに位置づけた理由です。高齢化社会の先頭ランナーとして、日本は高齢化によって生じる諸課題への最適な政策対応を見出す不断の努力を行ってきました。日本は、高齢化がさらに進行し続ける中で、強固で、持続可能で、均衡ある、かつ、包摂的な成長を維持するための最善の努力を行っております。我々は、高齢化の負の影響を克服すべく長年にわたって様々な政策に取り組んできました。例えば、高齢者の福祉を確保するための社会保障システムの長期的持続可能性を高める取組を実施してきました。また、金融政策当局は、本日のシンポジウムで語られたように、海図なき航海に挑んでいます。女性や高齢者の労働参加を増加させるための労働市場政策にも積極的に取り組んでいます。

 高齢化は国際社会にとって大きな「チャレンジ」です。しかし、同時に、各国の状況に合わせて正しい政策対応が取れれば、「チャレンジ」は「チャンス」にできると確信しております。

 本日の素晴らしい登壇者、参加者による知的貢献は、私のこの確信を証明してくれるでしょう。高齢化は、ヘルスケアや製薬などの既存産業を活性化するとともに、労働効率的な技術革新への投資を行うインセンティブを与えてくれます。生産年齢人口による引退後に備えた貯蓄は、中期的に潜在成長を引き上げる質の高いインフラ投資への長期資金供給に繋がります。

 高齢化によって生じる諸課題への対応について、時には成功に繋がった話、時には失敗に終わった話、あるいは道半ばの話もあるかと思いますが、我々の経験をG20各国で共有することで各国の状況に適応できる解決策が見つかるかもしれません。この点、日本当局を代表して、来るG20会合の高齢化を巡る議論に向けた有益な論点を提示するため、遥々東京まで足を運んでくれた本日のすべての登壇者への多大なる感謝を表したいと思います。

 私は、本日の議論が、我々が取りうる政策対応とともに、高齢化のもたらす課題と潜在的恩恵についての理解を深めることに貢献することを願っております。

 G20の成功に向けた皆さまの弛まぬ、力強い支持に感謝の意を表明し、私からの挨拶といたします。