現在位置 : トップページ > 国際政策 > 主要な国際会議・二国間協議 > ASEAN+3(日中韓)財務大臣会議 > 第22回ASEAN+3(日中韓)財務大臣・中央銀行総裁会議共同声明(2019年5月2日 於:フィジー・ナンディ)

第22回ASEAN+3(日中韓)財務大臣・中央銀行総裁会議共同声明(2019年5月2日 於:フィジー・ナンディ)

English 印刷用(PDF)

ローマ数字1. 序

  1. 我々は、第22回ASEAN、中国、日本、韓国(ASEAN+3)財務大臣・中央銀行総裁会議を、タイのアピサック・タンティヴォワン財務大臣及び中国のリュウ・クン財政部長の共同議長の下、フィジー・ナンディにて開催した。本会議には、アジア開発銀行(ADB)総裁、ASEAN+3マクロ経済リサーチ・オフィス(AMRO)所長、ASEAN事務総長、国際通貨基金(IMF)副専務理事も参加した。

  2. 我々は現下の世界・地域経済の動向や見通し、およびリスクや課題への政策対応について意見を交換し、強固で、持続可能で、均衡ある、かつ包摂的な世界経済の成長に貢献するため、地域経済の強靭性や頑健性の強化に向けて一丸となって取り組むことに合意した。

  3. 本年はASEAN+3財務プロセス創設の20周年目に当たることから、我々は、これまでの努力や成果に立脚した将来のビジョン、及び、将来的な課題に対処できるようASEAN+3財務プロセスの適切性や実効性を確保するための改革策について議論した。我々は、チェンマイ・イニシアティブ(CMIM)、AMRO、アジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI)を含め、地域金融協力について、前回のフィリピン・マニラでの我々の会議以降の進捗をレビューした。

 

ローマ数字2. 最近の地域経済・金融情勢

  1. 世界の経済状況は難しさを増しているが、ASEAN+3地域は、世界経済の成長の主要な源泉であり続けている。貿易摩擦や外需の減少、世界的な金融環境のタイト化による逆風にもかかわらず、ASEAN+3地域の経済成長は引き続き底固いと見込まれる。域内は貿易をめぐる保護主義の影響を避けられないが、その影響は域内の力強い消費や域内貿易の伸びによって部分的に緩和されるだろう。主要中銀による最近の金融政策スタンスの転換は、金融市場のセンチメントを改善することに貢献した。

  2. 我々はショックに対する域内の脆弱性を高めうる下方リスクを注視し続ける。域内の多くのエコノミーでは、金融の安定性に注意を払いつつ、予期される逆風の中で経済成長をサポートするために金融、財政、マクロ・プルーデンス政策を再調整する用意が整っている。我々は、持続可能でバランスが取れ、包摂性を促す健全なマクロ経済政策の実施を継続する。我々は、潜在成長率を向上させるために構造改革をサポートするよう努め、また、デジタル・イノベーションを追求するとともに、高齢化、格差拡大、およびデジタル化による混乱への対処を引き続き行う。

  3. 我々は、あらゆる形式の保護主義に対抗しつつ、ルールに基づく多角的な貿易体制及び開かれた地域主義を支持することへのコミットメントを再確認する。我々は、域内の貿易・投資活動の加速を含めた地域的な取り組みの更なる向上、及び、強靭性を築くための国内資本市場の更なる深化にコミットする。長期的には、我々は経済発展の次なるフェーズへの移行を促すような政策の優先順位を高めるよう努力する。

 

ローマ数字3. 地域金融協力の強化

【ASEAN+3財務プロセスの戦略的方向性】

  1. 我々は、ASEAN+3財務プロセスが、域内の経済統合のための努力と合わせ、過去20年の間に域内の経済と金融の安定性を大きく向上させたことを称賛する。我々は、世界および域内の経済や金融の環境が変化する中で新たな課題やより大きな好機に直面しており、ASEAN+3がより強靭で包摂的で統合された地域となるためのASEAN+3金融協力の更なる深化及び拡大へのコミットメントを再確認する。

  2. こうした観点から、我々は、ビジョン文書『ASEAN+3財務プロセスの戦略的方向性』を採択した。これは、長期的な視点から域内の経済や金融の安定性を維持しようとする現在のイニシアティブに関する作業を継続しつつ、域内の経済成長を促進し経済統合を進展させるという戦略的方向性に向けた、共通の利益や補完性を有する新たな潜在的分野を探求することを目的とする。

  3. 我々はまた、ASEAN+3財務プロセスの実効性や効率性を向上させるために、手続きや制度的取極の両面をさらに改善させる具体的な方策をとる。特に、我々はAMROに対し、域内の金融機関・組織が積極的にシナジーを築くよう、パートナーシップ戦略を活用していくことを慫慂する。こうした取極は、域内のその他の経済協力のメカニズムと協働することで、域内の経済的な安定、持続的な開発及び統合を育む強固な域内の経済ガバナンス構造のための良い基盤を築くだろう。


【チェンマイ・イニシアティブ(CMIM)】

  1. 近時の域内経済・金融情勢の動向に鑑み、我々は、地域金融取極であるCMIMを、ASEAN+3における効果的かつ機動的な自助メカニズムとして、また、グローバル金融セーフティーネットの強固かつ信頼できるレイヤーとして更に強化することに対するコミットメントを再確認する。この点、CMIM契約書の最初の定期的な見直しが成功裏に完了したことを歓迎し、早期に発効することを期待しつつ改訂CMIM契約書を承認する。我々は、IMFとCMIMの連携強化を含む契約書の改訂内容と整合的にするためのCMIM運用ガイドライン(OG)の更新作業の進展を称賛し、2019年末までに作業が完了することを期待する。

  2. 我々はCMIMコンディショナリティ・フレームワークの指針が採択されたことを歓迎し、同フレームワークのための手引書をできるだけ早期に最終化することを代理に慫慂する。我々はまた、AMROのサーベイランス業務に組み込まれることになった、経済レビュー及び政策対話(ERPD)マトリックス・スコアカードを適格性の参考資料として採択することにより、CMIM危機予防ラインの適格性指標の改善にさらなる進展があったことを歓迎する。我々は、CMIMとIMFの強化された協働メカニズムを伴った第9回共同テストランが成功裏に完了したこと、及び、同テストランで明らかとなった課題への対応を運用ガイドライン改訂に早急に反映したことを歓迎する。我々は、CMIMの即応性とAMROのCMIM実施支援機関としての役割を強化するため、今年、第10回テストランを実施する。

  3. 我々は、域内の金融安定を確実にするための中長期的な観点から、常にCMIMを強化していくことが非常に重要であることを認識する。この点、我々はCMIMの将来的な方向性に関する代理の検討の進展を歓迎し、また、 “現地通貨を使ったCMIM支援の在り方に関する一般的ガイドライン”(Annexを参照)を承認する。我々は地域金融取極(RFAs)の比較研究に留意し、代理に対して、CMIMの将来的な方向性に関して提案された論点をさらに議論し、優先順位付けし、その進捗を次回の会合で報告するよう求める。


【ASEAN+3マクロ経済リサーチ・オフィス(AMRO)】

  1. 我々は、AMROが、域内のマクロ経済サーベイランス、CMIMの実施支援、そしてメンバー国への技術支援を通して、域内のマクロ経済・金融の安定性強化に積極的に貢献していることを認識する。我々は、AMROのパートナーシップ戦略とコミュニケーション戦略を歓迎するとともに、メンバー国に対する説明責任を向上させようとするAMROの努力を称賛する。我々は、AMROが、独立の、信頼に足る、専門的な国際機関として、そしてASEAN+3メンバー国に信頼された助言者としての使命を果たせるように、引き続き支援を行うことを再確認する。

  2. 我々は、AMROが、サーベイランス能力の強化において進展を成し遂げたこと、特に時事的で分野横断的な課題に関するテーマ別研究が増加したこと、包括的なサーベイランス・フレームワーク及びデータベースの改良がなされたこと、及び、強化されたERPDマトリックス及びその他の分析ツールを開発したことを称賛する。我々は、CMIMの実施を支援する能力の強化に向けたAMROの努力を認識し、AMROからより分析的な支援が得られることを期待する。我々は、AMROに対して、技術支援プログラムを通して、メンバー国の能力強化を支援するために更に努力することを慫慂する。我々は、第21回ASEAN+3首脳会合でのAMROのポリシーノートによる貢献を歓迎する。

  3. 我々は、AMRO所長のチャン・ジュンホン博士に対し、過去3年間、その優れたリーダーシップと献身により、AMROが、広く認められ、認知度を向上しつつ、域内における一流の国際機関としての地位を築き上げていったことについて、感謝の意を表する。我々は、土井俊範氏が次期所長として、今後数年間、この強固な礎をさらに強化しつつ、AMROをさらなる高みに率いていくことを確信する。


【アジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI)】

  1. 我々は、ABMIの下で、通貨と期間のミスマッチの軽減や、域内の貯蓄の長期投資への動員に資する現地通貨建債券市場の育成が、継続的に進展していることを認識する。我々は、ABMIの将来的な方向性や主要な活動を定める「ABMI新ロードマップ2019-2022」を承認する。我々は、「ABMI新ロードマップ2019-2022」において、インフラファイナンスへの支援を深化し、グリーンボンドやASEAN+3債券共通発行フレームワーク(AMBIF)に基づく債券の発行を促進し、債券市場に関する規制の標準化や協調を促進し、クロスボーダー取引を促す債券市場のインフラを改善し、及び域内のイニシアティブの協働を強化する。我々は、ABMIにおける努力が、地域の経済・金融情勢の安定に貢献し、地域の金融統合を前進させることを期待する。

  2. 我々は、信用保証・投資ファシリティ(CGIF)の出資者による、増資提案に応じた追加出資を歓迎し、増資が予定通りに完了することを慫慂する。また、我々は、インフラプロジェクトにおける現地通貨建ての資金調達を更に促進するインフラ投資パートナーシップ(IIP)という革新的な提案を検討するCGIFの努力を称賛する。さらに、我々は、持続可能な形で域内のインフラ需要に応えるために、現地通貨建てグリーンボンドの発行促進に向けた努力を慫慂する。

  3. 我々は、アジアンボンドオンライン(ABO)の継続的な改良やASEAN+3債券市場フォーラム(ABMF)の下での市場統合の着実な進捗を歓迎し、ABMFやCGIFとの協業を通して、AMBIFが更に拡大することを期待する。我々は、クロスボーダー決済インフラ・フォーラム(CSIF)による「証券集中振替機関と即時資金決済システム(CSD-RTGSリンケージ)の統合に関する国際基準及びゲートウェイに関する共通理解」の公表に留意する。我々は、技術支援調整チーム(TACT)の下での、受益国の債券市場育成によりよく取り組むための継続的な能力強化支援に期待する。また、我々は、ABMIの実質的な進捗をASEAN+3域外に共有するにあたり、「債券市場育成のグッド・プラクティス-ABMIからの教訓」の改訂を歓迎する。


【ASEAN+3災害リスク保険における金融協力】

  1. 我々は、ASEAN事務局と世界銀行の協力の下、ASEAN諸国の気候・災害リスクに対する財政強靭性を向上させる東南アジア災害リスク保険ファシリティ(SEADRIF)の取組を支援する。我々は、カンボジア、インドネシア、日本、ラオス、ミャンマー、及びシンガポールのSEADRIFへの参加を歓迎する。また、我々は、ラオス及びミャンマー向けの災害リスク保険プールの本年中の開始に向けた作業の進展、及び、他のASEAN諸国に展開するための準備作業の開始を歓迎する。我々は、他のASEAN+3国すべてがSEADRIFに参加することを促すとともに、ASEAN+3域外のドナーパートナーが本取組を支援することを奨励する。

 

ローマ数字4. 結語

  1. 我々は、2019年のASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁プロセスの共同議長としての優れたアレンジメントに対し、タイ、中国政府に謝意を表明する。また、フィジー政府の温かい歓待に感謝する。我々は、2020年に韓国・仁川において会合を開催することに合意する。ベトナム及び日本が2020年のASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁会議の共同議長となる。