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第21回ASEAN+3(日中韓)財務大臣・中央銀行総裁会議共同声明(2018年5月4日 於:フィリピン・マニラ)

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ローマ数字1. 序

  1. 我々は、第21回ASEAN、中国、日本、韓国(ASEAN+3)財務大臣・中央銀行総裁会議を、シンガポールのヘン・スウィー・キート財務大臣及び韓国のキム・ドンヨン経済副総理兼企画財政部長官の共同議長の下、フィリピン・マニラにて開催した。本会議には、アジア開発銀行(ADB)総裁、ASEAN+3マクロ経済リサーチ・オフィス(AMRO)所長、ASEAN事務総長、国際通貨基金(IMF)副専務理事も参加した。

  2. 我々は、最近の世界・地域経済の情勢及び政策運営につき意見を交換し、強靭かつ持続可能でバランスの取れた包摂的な世界経済の成長に貢献すべく、地域経済の強靭性や頑健性強化に向けて一丸となって取り組むことに合意した。我々は、チェンマイ・イニシアティブ(CMIM)、ASEAN+3マクロ経済リサーチ・オフィス(AMRO)、アジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI)を含め、地域金融協力について、前回の日本・横浜での我々の会議以降の進捗をレビューした。

 

ローマ数字2. 最近の地域経済・金融情勢

  1. ASEAN+3地域は、先進国経済の回復とグローバルな力強い需要を取り込みながら、貿易や投資の、より同調した拡大をもたらす世界経済の成長に貢献している。ASEAN+3地域の経済成長は、好調な世界経済に後押しを受けつつも、域内の強靭な需要、好調な輸出、安定したインフレ率によって下支えされている。我々は、こういった良好な経済情勢の機をとらえ、マクロ経済政策を含むあらゆる政策を動員しつつ、構造改革を継続的に実行する。

  2. 一方で、我々は、世界経済の回復を脅かす下方リスクも注視する。我々は、保護主義の拡大、早期の金融引き締め、地政学的不安定性といった世界経済に対するリスクについて議論した。これらのリスクは、個別にまたは総合的に、世界経済の回復を脅かし、ASEAN+3地域からの資本の流出や地域の金融ボラティリティを高める可能性がある。我々は、2018年4月27日南北朝鮮の両首脳間で合意された板門店宣言を歓迎し、域内の地政学的リスクの緩和に向けた更なる進展を期待する。

  3. こうした状況を踏まえ、我々は、ルールに基づく開かれた多元的な貿易・投資システムに対するコミットメントを再確認する。また、我々は、インフラ開発の促進を含む、域内の貿易・投資の連結性を深化させるとともに、世界規模で強く結合した貿易・投資の連結性を維持するべく、あらゆる保護主義に対抗することの重要性を認識する。我々は、持続可能かつバランスの取れた包摂的な成長のために、各国の個別事情を勘案しつつ、財政、金融及び構造政策を適切に組み合わせて実行することにコミットする。

  4. 財政政策は、債務残高対GDP比を持続可能な道筋に乗せることを確保する一方で、構造改革と包摂性を促進させることを企図しつつ、経済成長の支援を促し、格差を是正する。金融政策は、中央銀行のマンデートと整合的に、物価の安定を確保する。金融システムリスクの緩和に資する、マクロ・プルーデンス政策を積極的に採用する。我々は、更なる経済成長にとって中核となる柱として、健全な金融セクターの重要性を認識する。我々は、潜在的経済成長率の向上及び民間セクターの経済活動への関与を促進すべく、構造改革を実行する。我々は、政策を調整していく上で、市場や国民への意思疎通を図る努力するとともに、地域の競争力や連結性を強化するものとして、インフラ開発を加速させることの重要性を認識する。

  5. 我々は、地域経済と金融安定性を堅持するために、金融協力を強化することを約束する。資本フローの重要性や利益を認識しつつも、過度な資本フローの変動に起因する波及リスクを引き続き警戒する。我々は、地域金融セーフティネットを継続的に強化することによって、外的ショックに対する十分な強靭性を構築する。

 

ローマ数字3. 地域金融協力の強化

【チェンマイ・イニシアティブ(CMIM)】

  1. 我々は、CMIMの強化へのコミットメントを再確認する。この文脈において、我々は、第1回目のCMIMの定期的な見直しにおける主要な事項について、基本合意に達した。今回のCMIMの定期的な見直しは、ASEAN+3の地域金融セーフティネットの中心であるCMIMを更に強化するための重要な画期をなすものである。この関連で、我々は、CMIM を時機に合ったものとする観点から、メンバー国の個別事情やグローバルな経済・金融情勢に応じて、IMFリンクポーションにおける支援期間の延長にかかる柔軟性を含む金融支援の拡充に合意した。さらに、我々は、CMIMの金融支援や政策提言を通じて、メンバー国によるリスクや脆弱性への対応を支援するために、CMIM契約書の中でコンディショナリティ付与に関する包括的な法的根拠を追加することに合意した。我々は、代理に対しCMIM改訂契約書が早急に発効できるように、署名に向け、CMIMの定期的な見直しの最終文言案を年内に準備するように促す。

  2. 我々は、世界金融システムの統合が進む中で、将来の危機を未然に防ぎ、グローバルな金融安定を守るために、グローバル金融セーフティネットにおける各階層間の協力を強化することが、必要不可欠であると認識する。我々は、8回目のIMFとの合同テストランが、成功裡に完了したことを歓迎する。このテストランでは、CMIMの発動とIMFプログラムに関する情報共有プロセスを検証し、その中で、CMIM、IMF双方の独立性やガバナンスは尊重しつつ、IMFとより緊密に連携することの重要性を強調した。この成果を踏まえ、地域金融セーフティネットの有効性をさらに高めるため、我々は、CMIMとIMFが危機のより早期の段階から緊密に連携することを慫慂する。我々は近年のテストランにおけるIMFの支援に感謝する。我々は、メディアを含めた関係機関等とのコミュニケーションを強化することが、CMIM発動時において社会一般の信任を高めることに資すると確信する。加えて、我々は代理に対し、中長期的な視点からCMIMの進むべき方向性を継続的に議論し、その進捗を次回の会合で報告することを求める。

  3. 我々は、CMIM 運用ガイドラインの更新や、IMFとの合同テストランの継続実施も含め、CMIMの即応性を強化するための代理の継続的な作業を歓迎する。我々は、AMROのサーベイランス業務に組み込まれる、経済レビュー及び政策対話(ERPD)マトリクスのフレームワークの強化により、CMIM危機予防ラインの適格性指標の改善に進捗が見られたことを認識した。我々は、AMROの協力の下、新たなパイロットプロジェクトを実施することを代理に慫慂し、第9回のCMIMのテストランがIMFと合同で実施されることを期待する。我々は、CMIM コンディショナリティフレームワークの開発に関して進展があったことを歓迎する。我々はCMIMコンディショナリティフレームワークのための基本原則ならびに運用ガイドラインの策定について更なる進展を期待する。我々は、デリンクポーションの潜在的な引き上げに関する評価手法に関する進展を期待する。


【ASEAN+3マクロ経済リサーチ・オフィス(AMRO)】

  1. 我々は、域内のマクロ経済サーベイランス、地域金融アレンジメントの実施支援、メンバー国への技術支援において、AMROが果たす役割の重要性を認識する。我々は、AMROが、メンバー国から信頼されるアドバイザーとしての役割を果たすとともに、独立し、信頼できかつ専門的な機関としての使命を果たすために、サーベイランス及び組織能力を強化することを、引き続き支援することを再確認した。

  2. 我々は、2017年5月以降、AMROの主要機能強化に関して、進捗を成し遂げたことを歓迎する。AMROは、サーべイランス機能や分析ツールを強化するため、いくつかの主要なイニシアティブに着手した。我々はこれらの取組みの成果を期待する。

  3. 我々は、AMROが、広報活動の改善や認知度の向上につながる、情報公開ポリシーと対外広報ポリシーを策定したことを歓迎する。我々は、AMROが、自身のサーベイランスの質やアウトリーチ活動強化に向けて、継続的に、サーベイランス評価及び報告書を公表することを慫慂する。

  4. 我々は、国際金融機関との連携を深めるためのAMROの取組みを支援する。この関連で、我々は、AMROとIMF、及びAMROと欧州安定メカニズム(ESM)の間の覚書締結を歓迎する。我々は、さらにAMROの国連のオブザーバー地位獲得について称賛する。我々は、次回会合時までのAMRO パートナーシップ戦略の策定を期待する。

  5. 我々は、CMIMの実施支援のためのAMRO自身の能力強化に向けた取組みを歓迎するとともに、CMIMの発動に向けた体制の強化、及びCMIM契約書 の定期的な見直し作業への支援を称賛する。我々は、CMIMの諸課題に関するAMROのより分析面での支援を期待する。

  6. 我々は、AMROが、中国、日本、韓国の信託基金による、メンバー国向けの各種技術支援プログラムを提供していることを称賛する。我々は、AMROが、メンバー国の能力強化のニーズに応えられるような、革新的な方法を模索しつづけることを慫慂する。我々は、メンバー国が、AMROの技術支援(TA)プログラムを支援することを慫慂する。

  7. 我々は、ASEAN+3首脳会議、ASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁会議、及びランカン・メコン協力会議における、地域の将来の経済情勢見通しに関する議論へのAMROの貢献を認識するとともに、より広範な地域のアジェンダ及びイニシアティブへのAMROの継続的な支援を慫慂する。

  8. 我々は、AMROの発展のための継続的な努力と強いリーダーシップに関して、チャン・ジョンホン所長率いるAMROのシニアマネジメントチームを称賛するとともに、AMROによる戦略的方向性と中期の執行計画(SD&MTIP)の実施に伴う、より具体的な成果を期待する。


【アジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI)】

  1. 我々は、域内の現地通貨建て債券市場を発展させ、域内金融統合を可能とするABMIの重要な貢献を歓迎する。ABMIの取組みが、域内の貯蓄を長期の投資の資金に向かわせ、資金調達の代替手段として現地通貨建て債券市場の発展に貢献している。我々は、グローバルな金融市場の変動の高まりを制御する方法として、現地通貨金融の利用促進も含め、域内の金融システムの強靱性を高めるためにABMIが果たす重要な役割を認識した。それに関連し、我々は、インフラ開発のための現地通貨建てグリーンボンドの促進に関する、ADBによるスタディの完了と報告書の刊行を歓迎する。我々は、域内のインフラニーズに対応する現地通貨建てグリーンボンドを促進する取組みを慫慂する。また、我々は、ABMI中期ロードマップに則り、域内の債券市場の最も重要な情報源としてグローバルに認識されている、AsianBondsOnline(ABO)が改良されたことを歓迎する。

  2. 我々は、信用保証・投資ファシリティ(CGIF)の中期ビジネス戦略の承認、及び7億米ドルから12億米ドルへのCGIFの授権資本の増加を可能とする、増資決議の承認を歓迎する。さらに、我々は、日本、フィリピン及びシンガポールによる早期の資金拠出を歓迎し、他の出資者も拠出を完了するよう奨励する。

  3. 我々は、現地通貨建て債券市場育成のための、ASEAN+3の知見と良い市場慣行を他地域に共有することが、経済及び金融システムの強靱性を改善させるためのグローバルな議論に貢献することを認識する。このような点は、G20においても強調されている。この関連で、我々は、代理に承認された、「非ASEAN+3国によるASEAN+3債券市場フォーラム(ABMF)への参加のための一般的な原則」を歓迎する。また、我々は、この一般的な原則の適切な手続きに基づく、モンゴルのABMFへの参加を喜ばしく思う。また、我々は、国債市場に加えて社債市場を定めた、「債券市場育成のグッド・プラクティス」の改訂に向けた努力を歓迎する。

  4. 我々は、証券集中振替機関と即時資金決済システム(CSD-RTGS)を安全に接続するために不可欠となる、クロスボーダーの事業継続計画及びサイバーセキュリティの共通理解が、クロスボーダー決済・インフラフォーラムにより公表されたことに満足している。我々は、日本銀行と香港金融管理局により、CSD-RTGSリンケージを、2021年春頃の実施に向けて開発することが決定されたことを歓迎する。これは、クロスボーダーかつクロスカレンシーによるレポ取引における決済リスクの削減に貢献する。我々は、ASEAN+3債券共通発行フレームワーク(AMBIF)に基づく、さらなるクロスボーダーの債券発行及び、自国の国債市場開発に向けた準備をより良く進めるため、技術調整チーム(TACT)の下での継続的な能力強化を期待する。


【ASEAN+3災害リスク保険における金融協力】

  1. 我々はASEAN+3諸国の自然災害に対する金融強靭性を向上させることへのコミットメントを再認識する。我々は、東南アジア災害リスク保険ファシリティ(SEADRIF:Southeast Asia Disaster Risk Insurance Facility)の最初の成果物として、日本、シンガポール、世界銀行の協力の下、ラオス、ミャンマーにおける地域災害リスク保険プールの設立に合意したことを歓迎する。また、我々は、カンボジアがフィージビリティスタディの結果次第で、災害リスク保険プールへの参加する可能性があることを認識する。我々はSEADRIFが、シンガポールにおいて設立され、気候変動や自然災害についてのリスクマネジメントや保険ソリューションをASEANメンバー国に提供し、地域における自然災害プロテクションギャップを埋める一助となることを認識する。我々は自然災害保険プログラム(ADRFI:ASEAN Disaster Risk Financing and Insurance Program)がSEADRIFとの間で、データ分析やモデリング、能力構築(キャパシティビルディング)といった点で協働することを歓迎する。我々は、他のASEAN+3メンバー国のSEADRIFへの参加を促し、ASEAN+3域外の国もドナーパートナーとしてこのイニシアティブを支援することを奨励する。

 

ローマ数字4. 結語

  1. 我々は、2018年のASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁プロセスの共同議長としての優れたアレンジメントに対し、シンガポール及び韓国に謝意を表明した。また、フィリピン政府の温かい歓待に感謝した。

  2. 我々は、2019年にフィジー・ナンディにおいて会合を開催することに合意した。タイ及び中国が2019年のASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁会議の共同議長となる。




[Annex]
  1. CMIMIMFリンクポーションにおける支援期間の柔軟化

    CMIMメンバーは、各国への金融支援を拡充するため、CMIM契約書に規定する支援条件の改善に合意した。特にCMIMの支援期間については、IMFリンクポーションにおいて必要に応じて満期の更新の回数を最大2回から複数回可能となるような柔軟化の改訂を行う。この改訂によってIMFとの連携における(CMIMの)融資保証を提供することができる。

  2. IMFとの連携強化

    IMFとの緊密な協力と連携は、域内の危機を予防し、解決する上で重要であると認識された。この点について、IMFとの整合性を保つために、CMIMの運用ガイドラインにおいて、IMFとの協調プロセスが構築される見込みであり、CMIMとIMFは経済金融情勢、資金ニーズ等に関する情報共有が可能となる。早期の段階におけるCMIMとIMFの連携は、それぞれの資金支援の決定に際し、政策提言や主要な指標に対する共通認識を形成することに資する。

  3. コンディショナリティフレームワークの強化

    CMIMメンバーは、危機予防のための既存のコンディショナリティに加え、危機対応の場合にも適用可能とすることで、コンディショナリティのための包括的な法的な根拠を追加することに合意した。CMIMは適切な経済財政政策の適切な計画と運営を支援することによって、経済成長を持続的にするための方策を決め、速やかにメンバーが危機を乗り越えることで、CMIMはさらにメンバーを支援することが期待される。今や、IMFと協調して資金支援を実行するにあたり、早期の情報共有等を通じ、CMIM取極のコンディショナリティは、IMF支援プログラムのそれと首尾一貫していることが、新たな契約書では明文化される。

  4. 強化されたレビューと事後のモニタリング

    CMIM取極が承認された後において、レビュー及びモニタリングの対象となる課題が特定されることによって、融資プログラムのレビュープロセスが強化される。協調融資について、CMIMとIMFによるプログラムのレビューとそれに基づくディスバースはIMF支援プログラムとより連携できるようになる。

  5. 金融支援条件等の更新

    金融支援に係る一連の条件は関連するIMF支援プログラムと整合するように更新される。例えば、IMFリンクポーションの場合、ELDMB(CMIMの意思決定機関)の決定に基づきディスバースのスケジュールが柔軟化されることに合意。

  6. 守秘義務条項の義務の調整

    CMIMが発動された際に、市場の信頼を回復するためにELDMB(CMIMの意思決定機関)及び支援要請国の同意に基づいて、CMIMに係る情報は必要かつ可能な範囲でマスメディアへ開示され、またIMFを含む第3者へ共有される。