1.不正薬物
不正薬物全体の摘発件数は733件(前年比30%減)、押収量は約1,906kg(同43%減)となり共に減少したものの、5年連続で1トンを超え、2トンに迫る過去3番目となる押収量を記録し、深刻な状況となっている。
(1)覚醒剤
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覚醒剤の摘発件数は、72件(同83%減)、押収量は約800kg(同69%減)と共に減少した。
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押収した覚醒剤は、薬物乱用者の通常使用量で約2,668万回分、末端価格にして約512億円に相当する。
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密輸形態別では、海上貨物の押収量をみると、大口密輸事件の摘発もあり、前年比約15倍と増加し、押収量全体の約8割を占めた。
一方、航空機旅客、航空貨物、国際郵便物及び船員等をみると、摘発件数・押収量共に減少した。
(注)航空機旅客には、航空機乗組員を含み、船員等には、洋上取引、船舶旅客を含む。
航空貨物には、航空での別送品を含み、海上貨物には、海上での別送品を含む。
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密輸仕出地別では、摘発件数をみるとアジア40%、北米17%と2地域で過半数を占めた。
押収量をみると、アフリカ32%、北米31%、アジア19%と3地域で約8割を占めた。
(2)大麻
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大麻(大麻草・大麻樹脂等)の摘発件数は203件(前年比16%減)と減少した一方、押収量は約116kg(同42%増)と増加した。
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大麻草の摘発件数・押収量は減少したが、一方で、大麻樹脂等(大麻樹脂のほか、大麻リキッド・大麻菓子等の大麻製品を含む。)の押収量は約68kg(同約3.2倍)と増加した。
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仕出地別の摘発件数では、アメリカが67%、カナダが9%であり、北米で約8割と大宗を占めた。
(3)麻薬
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麻薬(ヘロイン、コカイン、MDMA等)の摘発件数は163件(前年比22%減)と減少したものの、押収量は約821kg(同25%増)及び約9万錠(同48%増)と増加した。
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コカインの摘発件数は27件(同48%減)と半減したものの、押収量は約818kg(同28%増)と増加した。
押収量が増加した要因として、過去最高となる約722kgの大口密輸事件を摘発した。【事例7参照】
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MDMAの摘発件数は74件(同10%増)、押収量は錠剤型が約9万錠(同48%増)、その他の形状が約2kg(同約4.3倍)と摘発件数・押収量共に増加した。
(4)指定薬物
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指定薬物の摘発件数は293件(同78%増)、押収量は約168kg(同約12倍)と共に増加した。
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押収量が増加した要因として、シバガスの密輸事件を大量に摘発した。【事例10参照】
2.金地金
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金地金*1密輸入事件の摘発件数は51件(前年比16%減)、押収量は約150kg(同53%減)と共に減少した。
*1金地金には、金塊に加えて一部加工された金製品も含む。
H23 | H24 | H25 | H26 | H27 | H28 | H29 | H30 | R1 | R2 | |
摘発件数(件) | 17 | 18 | 12 | 119 | 465 | 811 | 1,347 | 1,086 | 61 | 51 |
押収量(kg) | 63 | 79 | 133 | 449 | 2,032 | 2,802 | 6,277 | 2,054 | 319 | 150 |
(注)令和2年の数値は速報値。
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密輸形態別では、摘発件数51件のうち、航空貨物と航空機旅客によるもので46件となり、全体の約9割を占めた。
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密輸仕出地別にみると、アジアからの密輸入が全体の98%と大宗を占めた。
[事例]航空貨物による密輸入事件
香港から航空貨物により金地金約30kgを密輸入しようとした韓国人2名を関税法違反で告発した。
(令和2年12月・東京税関)
3.知的財産侵害物品等
(1)知的財産侵害物品
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商標権を侵害するマスクや著作権を侵害するDVD等の知的財産侵害物品の密輸事件を10件告発した。
[事例1]商標権を侵害する物品の密輸入事件
中国から国際郵便物により商標権を侵害するマスク等247点を密輸入しようとした日本人を関税法違反で告発した。
(令和2年12月・函館税関)
[事例2]商標権を侵害する物品の密輸入事件
中国から国際郵便物により商標権を侵害する衣類250点を密輸入しようとしたフィリピン人を関税法違反で告発した。
(令和2年11月・東京税関)
[事例3]著作権を侵害する物品の密輸入事件
マレーシアから航空貨物により著作権を侵害するDVD600枚を密輸入しようとした日本人を関税法違反で告発した。
(令和2年12月・横浜税関)
(2)ワシントン条約該当物品
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オーストラリアハイギョ等の密輸事件3件を告発した。
[事例4]オーストラリアハイギョの密輸入事件
インドネシアから航空貨物によりオーストラリアハイギョ15匹を密輸入した法人及び日本人2名を関税法違反で告発した。
(令和2年3月・東京税関)
(3)輸出事案
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うなぎの稚魚や中古自動車エンジン等の密輸事件5件を告発した。
[事例5]うなぎの稚魚密輸出事件
航空機により香港へうなぎの稚魚約58kgを密輸出しようとした日本人6名及び韓国人1名を関税法違反で告発した。
(令和2年8月・大阪税関)
[事例6]中古自動車エンジン不正輸出事件
外国籍船舶によりドミニカ共和国へ盗難品を含む中古自動車エンジン10台を不正輸出した法人及びドミニカ共和国人2名を関税法違反で告発した。
(令和2年12月・門司税関)
(4)その他
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わいせつDVD等の密輸事件を告発した。
[事例7]わいせつDVD等の密輸入事件
アメリカから国際郵便物によりわいせつDVD等62枚を密輸入しようとした日本人を関税法違反で告発した。
(令和2年12月・東京税関)