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大臣挨拶要旨(令和3年10月27日)

全国財務局長会議の開催に当たり、一言挨拶申し上げます。

まずはじめに、日本経済の現況につきましては、新型コロナの影響により、依然として厳しい状況にありますが、持ち直しの動きがみられます。
 政府としては、引き続き、新型コロナ対応に万全を期すとともに、通常に近い社会経済活動を一日も早く取り戻すことができるよう取り組んでまいります。

財政につきましては、まず、新型コロナへの対応や、ポストコロナ時代の経済社会を展望した対応をしっかり行わなければなりません。
 同時に、我が国の財政は、新型コロナ以前から、少子高齢化に伴う財政の悪化という構造的な課題に直面しています。
 社会保障制度の受益と負担のアンバランスを解消していくことは引き続き重要な課題であり、厳しい財政状況のもとで、財政健全化の観点を十分に踏まえた質の高い予算を作ってまいります。

税制につきましては、経済のデジタル化に伴う課税上の対応策として、先般、「BEPS包摂的枠組み」会合において、136か国・地域の賛成を得て、国際課税の新たなルールについての合意が実現し、G20においても支持されました。日本政府は、2013年のBEPSプロジェクトの立上げ時から、国際課税改革に関する議論を一貫して主導してきました。今般の合意は、100年来続いてきた国際課税原則を見直す歴史的な合意と言えます。今後は、多国間条約の策定・批准や、国内法の改正に向け、引き続き、各国と協調しつつ取り組んでまいります。

地域経済につきましては、各財務局から管内の経済情勢に加え、各地域における新型コロナによる企業活動への影響とポストコロナに向けた新たな事業展開や需要創造等の対応について、報告をいただいています。
 管内経済情勢報告のとりまとめ結果によりますと、本年10月の全局総括判断は「新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、供給面での制約などもあって、そのテンポが緩やかになっている」とし、前回から判断を下方修正しています。
 各財務局におかれましては、新型コロナの状況を含め、地域の経済状況について、引き続き、きめ細かな把握を行っていただきたいと思います。

次に、金融行政について申し上げます。
 地域金融機関は、我が国地域経済を支える「要」となる存在です。今後もこうした存在であり続けられるよう、時間軸を持って、経営基盤の強化に着実に取り組むことが重要です。
 こうした中、足もと、例えば、本年7月に施行された改正金融機能強化法に基づく資金交付制度を活用して合併・経営統合等に取り組む事例や、来月に施行予定の改正銀行法による業務範囲規制・出資規制の見直しの活用も見据えつつ、グループ内での業務の多様化やガバナンスの高度化を目的として持株会社を設立する事例など、持続可能なビジネスモデルの確立に向けた動きもみられます。引き続き、経営改革に向けた地域金融機関の取組みを支援してまいります。
 また、先月末に緊急事態宣言が解除されましたが、地域金融機関には、累次の要請を踏まえ、引き続き、事業者の立場に立った資金繰り支援に取り組んでいくことが期待されます。さらに、今後は、経済活動の再開が見込まれる中、地域に根差した金融機関が、資金繰りにとどまらない経営課題を抱える事業者に対して、地域の関係者と連携し、経営改善・事業再生等に取り組んでいく必要があります。引き続き、関係省庁とも連携しながら、地域金融機関による事業者支援の取組みを、しっかりと後押ししてまいります。
 各財務局におかれましても、継続的なモニタリングや対話の充実を通じ、地域金融機関に対して、適切な対応を促していただきますよう、よろしくお願いいたします。

最後になりますが、各財務局長におかれましては、引き続き、地域の最前線で国民の信頼にこたえる行政を遂行していただくようお願いし、私の挨拶といたします。