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大臣挨拶要旨(令和2年1月30日)

全国財務局長会議の開催に当たり、一言挨拶申し上げます。

はじめに、日本経済につきましては、海外経済の減速等を背景に外需が弱いものの、雇用・所得環境の改善、高水準の企業収益等により、内需を中心に緩やかな回復を続けております。
 一方で、昨年は、自然災害が相次ぎ、広範囲にわたり甚大な被害が発生しました。また、通商問題を巡る動向をはじめ、様々な不確実性が存在しており、海外発のリスクには留意していく必要があります。

こうした経済認識の下、昨年12月5日に「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」を閣議決定し、13兆円規模の財政支出を講じることといたしました。総合経済対策は、自然災害からの復旧・復興を加速するとともに、経済の下振れリスクを確実に乗り越え、日本経済の生産性・成長力の強化を通じて民需中心の持続的な経済成長の実現につなげていくことを目指しております。

令和2年度予算は、消費税の増収分を活用した社会保障の充実、総合経済対策の着実な実行、歳出改革の取組の継続によって、経済再生と財政健全化の両立を実現するものとしております。
 今回の予算では、全世代型社会保障制度の構築に向け、消費税の増収分を活用し、幼児教育・保育の無償化や高等教育の無償化を着実に実施するほか、社会保障の充実を実施するとともに、昨年12月5日に閣議決定した総合経済対策を実行するため、「臨時・特別の措置」を計上し、東京オリンピック・パラリンピック後も見据えて、個人消費や投資を切れ目なく下支えすることとしております。
 また、「新経済・財政再生計画」の下、歳出改革の取組を継続し、一般歳出の「目安」を達成するとともに、税収は、過去最高となる63.5兆円を見込んでおります。この結果、新規国債発行額は、安倍内閣発足以来8年連続で減額することができたところです。

令和2年度税制改正につきましては、持続的な経済成長の実現に向け、オープンイノベーションの促進及び投資や賃金引上げを促すための税制上の措置を講じるとともに、連結納税制度の抜本的な見直しを行うこととしております。また、経済社会の構造変化を踏まえ、全てのひとり親家庭の子どもに対する公平な税制を実現するとともに、NISA制度の見直しを講じることとしております。

地域経済につきましては、各財務局から管内の経済情勢に加え、各地域における地価の動向と土地・不動産の利活用状況について、報告をいただいております。
 管内経済情勢報告のとりまとめ結果によりますと、本年1月の全局総括判断は「生産に弱さがみられるものの、回復している」とし、前回から判断を据え置いております。
 各財務局におかれましては、引き続き、地域の経済状況について、きめ細かな把握を行っていただきたいと思います。

次に、金融行政について申し上げます。

地域金融機関につきましては、とりまく環境が厳しさを増す中、安定した収益と将来にわたる健全性を確保した上で、金融仲介機能の発揮を通じ、地域経済の発展に貢献していくことが必要です。
 そのためには、経営陣が、確固たる経営理念を確立し、その実現に向け、的確な現状分析に基づく経営戦略を策定・実行することが重要です。また、取締役会等が適切なガバナンスを発揮し、経営に対して規律付けを行うことも重要です。このような金融機関の取組を促すため、引き続き財務局と連携し、継続的なモニタリングや対話の充実に取り組んでまいります。
 また、アベノミクスの成果が最終受益者である家計にもたらされるようにするためには、国民の安定的な資産形成に向けた環境整備が重要です。そのため、金融サービスを理解し活用する能力の向上に向けて、日本銀行をはじめ関係団体と連携し、引き続き、金融経済教育を推進してまいります。さらに、先程申し上げたNISA制度については、「つみたてNISA」については5年間の延長、一般NISAについては一部見直しの上、2024年から5年間措置することとされており、今後制度の周知・普及に向けて努めてまいります。
 各財務局におかれましては、これまでも、金融リテラシーの向上に向けた施策に取り組んでいただいておりますが、引き続き、各地域の実情を踏まえ、力強く取組の推進をお願いいたします。

最後に、財務省再生に向けた取組につきまして、秋池参与のお力添えを頂き策定した「国の信用を守り、希望ある社会を次世代に引き継ぐ」という財務省の組織理念の下、引き続き、コンプライアンス確保のための取組を徹底して進め、令和の時代にふさわしい組織へと改革していくことが重要と考えております。
 そうした改革を進めつつ、様々な政策課題に対応するため、各財務局の皆様におかれましては、本年も引き続きご協力をよろしくお願い申し上げます。

以上のお願いを申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。