財務省財務局60年史 【第3章 管財編】

第6節 監査事務


1.監査の権限

国有財産の総括大臣である財務大臣は、国有財産の適正な方法による管理及び処分を行うため必要があると認めるときには、国有財産法第10条第1項及び第4項、国有財産法施行令第6条第9項、国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法第3条の2並びに国家公務員宿舎法第6条第2項の規定に基づき、各省各庁の所管に属する国有財産等について実地監査を行うことができることとなっている。

2.監査の制度

国有財産の監査が、組織法上制度化されたのは旧大蔵省設置法が制定された昭和24年6月からであり、当時は総括事務等に従事していた職員が所属長の命によってその都度監査を行う等、比較的消極的な監査となっていた。

その後、昭和30年4月に大蔵省組織規定(昭和24年大蔵省令37号)が改正されて、監査部門に専担者となる「国有財産監査官」(以下、「監査官」という。)が誕生し、また、昭和36年4月には監査官を統括する機構として「首席国有財産監査官」が設置され、監査体制の確立が図られた。

更に平成11年7月には、監査機能の充実強化を図るため、当該機構を「特別並びに統括国有財産監査官」へと改組し、併せて監査官の増設及び財務事務所監査官の新設を行った。

3.監査要領通達の改正等

国有財産の監査については、法令の定めによるところのほか、「国有財産監査要領について」(昭和57年3月30日付蔵理第1326号)通達により実施している。

しかし、本通達制定後、社会情勢や国有財産を取り巻く環境が変化し、一部において必ずしも現状にそぐわなくなったこと等から、現状に即した監査を行うとともに事務の簡素合理化を図り、監査の実効性を確保することを目的として、本通達の一部改正を随時行ってきた。

平成18年4月には、平成17年12月24日に閣議決定された「行政改革の重要方針」や平成18年1月18日の財政制度等審議会答申「今後の国有財産の制度及び管理処分のあり方について」において効率性を重視した監査が求められたことから「庁舎等の使用効率等実態監査について」(平成18年4月5日付財理第1381号)通達を制定した。

その内容は、これまで以上に各省各庁が所管する国有財産の適正かつ効率的な使用の推進を図るため、従来の土地の有効利用の観点に加え、既存庁舎等の監査を強力に実施するものとなっている。

また、同時期に国有財産法及び国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法(昭和32年法律第115号)の改正も行われた。

更に、平成20年2月には、これまで以上に国有財産の適正かつ効率的な使用の推進を図るとともに、その結果、不要又は余剰となる財産の処分を促進し、的確に資産債務改革を進めるために、「各省各庁所管財産の実態監査の実施について」(平成20年2月26日付財理第708号)通達を制定した。

4.監査業務の変遷

従来の行政財産監査や国有農地監査並びに用途指定財産等の監査に対し、平成10年度以降は、高まる行財政改革のもと各省各庁が所管する国有財産の適正使用及び効率的使用等が求められている中、国有財産監査業務は、土地の有効利用の監査、庁舎等の使用効率等の実態監査を主要業務とした対応が求められ、以下のとおり推し進めてきた。

    • ○ 平成10年度〜12年度

      【行政財産等使用状況実態調査】

      本業務は、平成10年から3ヵ年にわたって全国に所在する行政財産等を対象に実施した実態調査で、総括課(現管財総括課)、宿舎課(現宿舎総括課)が中心となって実施し、国有財産行政の最重要実施事項として監査官も全面協力することとなった。

      監査官が当初担当した対象財産は、特別会計所属の公用財産及び企業用財産のうち庁舎等並びに普通財産、宿舎財産である。

      調査範囲は、

      • マル1 東京都23区及び道府県庁所在都市に所在する行政財産等(第一年次)

      • マル2 上記マル1を除く人口10万人以上の都市に所在する行政財産等(第二年次)

      • マル3 人口10万人以下の都市に所在する行政財産等(第三年次)

      また、平成11年度以降の実態調査は、一般・特別会計の区別なくすべての対象財産を監査官が担当し、本調査の結果、非効率使用の国有財産について有効利用化財産の判定を行った。

    • ○ 平成13年度〜14年度

      【有効利用化財産の監査】

      本業務は、平成10年度から3ヵ年にわたり実施された実態調査において、有効利用化財産と判定された財産について、進捗状況等を踏まえた監査を行った。

    • ○ 平成15年度〜20年度

      【有効利用化財産のフォローアップ】

      本業務は、有効利用化財産と判定された財産の処理の問題点や進捗状況等のフォローアップを行い、適正な処理に努めた。

    • ○ 平成15年度〜19年度

      【効率使用財産の監査】

      本業務は、平成10年度から3ヵ年にわたって実施した使用状況実態調査において、効率使用と判定された財産について、使用収益、台帳整備状況等の監査を行った。

    • ○ 平成17年度〜19年度

      【庁舎等の使用効率等実態監査】

      本業務は、既存庁舎等の使用効率等を的確に把握し、庁舎等の効率的な使用を図るために監査を行った。

      • ・ 平成17年度(試行調査)

        平成18年度及び19年度に本格的に実施される使用効率等実態監査に先駆けて試行調査を行った。

      • ・ 平成18年度〜19年度(実態監査)

        監査範囲は、

        • マル1 東京23区及び道府県庁所在都市に所在する庁舎等(第一年次)

        • マル2 第一年次に監査を実施しなかった地域に所在する庁舎等、また、財務局長等が第一年次に引き続き、第二年次においても監査を実施する必要があると認める庁舎等(第二年次)

    • ○ 平成20年度

      国有財産の適正かつ効率的な使用の推進を図るとともに、その結果、不要又は余剰となる財産の処分を促進し、的確に資産債務改革を進めるために、以下の監査を行った。

      【行政財産(土地)の使用状況実態監査】

      全国に所在する行政財産のうち公用財産及び企業用財産の土地並びに国有建物の敷地等として借り受けている民公有地について、土地の使用状況、建物の経年状況、効率化のための整備コストを調査し、効率的な使用を推進する必要がある財産(効率化検討対象財産)について処理計画を策定する監査を行った。

      【各省各庁所管普通財産実態監査】

      各省各庁が所管する普通財産のうち未利用国有地について、今後の処理予定等を把握し、その処理を促進するための監査を行った。

      • (1)行政財産等の監査

        平成10年度から12年度にかけて「行政財産等使用状況実態調査」を行い、その結果、有効利用化財産と判定した財産について、フォローアップ監査を行うとともに、有効利用化財産と判定しなかった効率使用財産についても、平成15年度から5か年計画で実態監査を行う。

        また、平成20年度においては、「行政財産(土地)の使用状況実態監査」及び「各省各庁所管普通財産実態監査」を行うとともに、行政財産等について5か年計画を策定し、行政財産等管理状況等監査を行う。

      • (2)用途指定財産の監査

        用途指定財産について、譲渡等の相手方の用途指定義務の履行状況を把握し、用途指定違反の未然防止及び用途指定義務の履行の確保を目的として監査を行う。

      • (3)漁港等に所在する公共用財産の監査

        漁港等に所在する公共用財産について、その実態を把握するとともに、公共の機能を有している財産の適正な管理並びに公共の機能を喪失している財産の管理及び処分の適正化を期することを目的として監査を行う。

        また、是正未済事案については、解消を図るため平成15年度を初年度とする5か年計画に基づき監査を行い、20年度からは処理状況の報告を求め監査を行う。

5.監査方針

財務局における国有財産の監査は、毎年度、財務大臣が定める監査方針に基づき行っており、平成12年度以降においては、以下の項目を主な監査方針としている。


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