財務省財務局60年史 【第3章 管財編】

第3節 国家公務員宿舎事務


1.国家公務員宿舎制度

国家公務員宿舎は、国家公務員等を対象として、国自らが宿舎を設置し、その維持管理を行うことにより、国家公務員等の職務の能率的な遂行を確保し、国等の事務・事業の円滑な運営に資することを目的に設置されたものである。

2.事務処理体制について

平成10年7月、総理大臣から「各省各庁の公館公舎等を含めた各種施設は、徹底した情報公開をし、資産の売却及び転用について検討を行う」との指示を受け、宿舎行政については、集約・高層化による老朽・狭隘宿舎の建替え及び大都市地域を中心として不足している独身用宿舎の確保等を重点とする整備等が加速することとなった。

このため、宿舎関係事務処理体制については、従来からの総括部門、宿舎管理部門、建設部門の三部門による機能的、効率的な執務体制を維持しつつ、建設部門については建替等整備事業の増加に対応するため、これまでの宿舎建設課のほかに、特別宿舎建設官、統括宿舎建設官が増員配置され、組織強化のうえ機動的な事務処理運営を図っていくこととした。

その後、平成12年7月に行われた管財部門の抜本的な組織再編により、宿舎業務においても、計画部門、実施部門に再編され、実施部門に統括官制度が導入された。

また、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(PFI法、平成11年法律第117号)の一部改正を受け、PFI事業による宿舎建設事務等にかかる事務対応として、平成20年度機構要求において関東財務局に国有財産調整官が配置された。

3.国家公務員宿舎に係る平成11年以降の主な制度改正

  • (1)国家公務員宿舎使用料

    宿舎使用料については、国家公務員宿舎法第15条の規定に基づき、その標準的な建設費用の償却費、修繕費、地代及び火災保険料に相当する金額を基礎とし、かつ、宿舎法第18条第1項に規定する居住の条件その他の事情を考慮して算定されているところであるが、平成16年4月の政令改正(同法施行令第13条)によって、平成16年4月に全国平均で約13%、平成19年4月に約12%、合わせて約25%の使用料引上げ(東京23区内の新築宿舎においては、同様にそれぞれ約21%、約22%、合わせて約43%の引上げ)が実施された。

  • (2)宿舎規格

    宿舎規格についても、平成16年4月に次のとおり改正され現在に至っている。

    延べ面積規格
    25 平方メートル未満 a
    25 平方メートル以上55 平方メートル未満b
    55 平方メートル以上70 平方メートル未満c
    70 平方メートル以上80 平方メートル未満d
    80 平方メートル以上 e

4.国家公務員宿舎の戸数推移等

  • (1)宿舎分類

    国家公務員宿舎については、貸与対象とされる職員との区分によって次のとおり分類される。

    省庁別宿舎

    同一の各省各庁に所属する職員(当該各省各庁の所属する独立行政法人の職員を含む。)のみに貸与する目的で設置する宿舎で、当該各省各庁の長が維持管理する宿舎

    合同宿舎

    省庁別宿舎以外の宿舎(その所在地又はその周辺に所在する官署(独立行政法人の事業所を含む。)に勤務する職員を貸与の対象とし、財務大臣が総合調整的な立場において維持管理する宿舎)

  • (2)戸数推移

    平成20年9月において、平成10年9月比で、全体で約35%の戸数減少となっているが、高層、集約化に伴う建替整備による減少の外、国の機関(郵政事業、国立大学等)の法人化等に伴う減少が大きな要因となっている。

    (単位:戸)

    区分、年次平成10年9月平成15年9月平成20年9月
    省庁別宿舎241,550183,349135,536
    合同宿舎101,189101,75788,627
    合計342,739285,106224,163

5.今後の宿舎行政(国家公務員宿舎の移転・再配置計画の実施)について

平成17年11月の経済財政諮問会議において、小泉総理(当時)から、公務員宿舎の売却の検討についての指示があり、これを受けて、同年12月、東京23区内の宿舎の有効活用を検討するため、理財局長主催の「国家公務員宿舎の移転・跡地利用に関する有識者会議」が発足した。

更に、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」(平成18年7月7日閣議決定)において、極めて厳しい国の財政事情を踏まえ、国の資産はできる限り圧縮し、売却可能な資産はできる限り売却することとされ、平成27年度までの10年間における国有財産全体の売却収入の目安として約12兆円を見込まれた。このうち廃止宿舎財産の売却収入は約1.0兆円とされた。

これを受け、平成18年8月に同会議を財務大臣主催の「国有財産の有効活用に関する検討・フォローアップ有識者会議」に改組し、国家公務員宿舎の移転・再配置計画の策定がなされ、宿舎財産については、東京23区内と東京23区外の政令指定都市等の91市町村を対象地域とし、マル1法定容積率に対する利用率が5割未満の宿舎、マル2小規模敷地(23区内:3,000m2未満、23区外:1,000m2未満)に所在する宿舎、マル3老朽化した宿舎(RC造:経年が40年以上のもの)、マル4その他都市再生等への活用が考えられる土地に存在する宿舎を廃止対象とし、平成20年6月に取りまとめられた報告書において、東京23区内については360団地から111団地へ約6,600戸の削減、東京23区外(政令指定都市等91市町村)については、1,050団地から388団地へ約12,600戸の削減が図られることとなり、東京23区内外の宿舎の移転・再配置計画の対象地域内の宿舎1,410箇所(83,916戸)が平成27年度までに499箇所(64,717戸)に減少することとなった。

本計画によって、東京23区内外で911箇所、362haの土地が捻出されることとなり、売却収入としては1.1兆円が見込まれることとなった。

宿舎行政としては、有識者会議における報告書を踏まえ、移転・再配置計画の着実な実行に向け、省庁別宿舎等の廃止手続き、地元調整等の難題が山積する受皿となる宿舎建設、宿舎戸数の量的な減少に伴う入居調整などの業務に対応していくこととなるが、平成27年度までの完遂に向けて計画的な処理を図って行くこととしている。


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