財務省財務局60年史 【第3章 管財編】

第2節 総括事務


1.はじめに

国有財産のうち、国の事務・事業等の用に供されている庁舎等の行政財産は、国の行政活動を支える物的基礎であり、当該財産を所管する各省各庁の長がその行政目的を遂行するため管理を行っている。

財務省及び財務局等は、「国有財産の総括機関」として、各省各庁が所管する行政財産について、財産の適正な管理と効率的な使用が促進されるよう必要な調整を行っている。

国の厳しい財政事情において、財政構造改革を進めることが喫緊の課題となり、平成18年1月の財政制度等審議会の答申を受け、同年4月に国有財産法等が40年ぶりに改正され、併せて運用面での改正が行われたところである。

財務省及び財務局等は、これを受け、これまで重点を置いてきた土地の有効利用の観点に加え、既存庁舎等についてより効率的な使用と適正な管理を推進するため、国有財産の総合調整機能をより一層充実、強化し、「効率性重視に向けた国有財産行政への改革」を推進することとした。

2.行政財産の有効活用を推進するための具体策

  • (1)庁舎等の使用調整

    平成18年1月の財政制度等審議会答申では、行政組織の見直し等によって生じる既存庁舎等の過不足を解消するため、効率性を重視した監査の結果などを活用し、使用調整を徹底すべきことが提言された。

    その具体策として、「国が庁舎等使用調整計画を策定する場合には、行政手続きの透明性の確保とその実効性向上の観点から、『国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法(以下、「庁舎法」という。)』第4条に基づき、財政制度等審議会の意見を聴いて計画を策定すること」及び「既存庁舎等の効率性を重視した監査を実施し、その結果を使用調整に反映させること」とされた。

    この結果、これまで国有財産法第10条による総括権に基づく調整によって行ってきた官署の移転・再配置等による事案についても、財政制度等審議会の意見を聴いて庁舎等使用調整計画を策定する必要が生じたが、実務上、多大な負担を要することから、建物の延べ面積が600m2以上の事案については使用調整計画を策定することとし、600m2未満の事案については、国有財産法第10条に基づく調整を行うこととされた。

    また、財務省における使用調整計画案の策定に資するため、まず各財務局等において、それぞれの地域の実情を踏まえた具体案を検討し、その際には、各地域の実情に応じた民間有識者の知見を活用することとされた。

    このため、各財務局等において「国有財産の有効活用に関する地方有識者会議」を開催し、財務局案の検討のため意見を聴取することとし、国有財産法第10条に基づく調整については、調整が整い次第、各財務局等において決定し、その状況について事後に開催される地方有識者会議及び国有財産地方審議会へ報告することとされた。

  • (2)庁舎等の取得等に係る調整

    各省各庁の長が行政財産を取得等しようとする時は、国有財産法第12条及び第14条に基づき、財務大臣は各省各庁の長から協議を受けることとなっている。

    財務省(理財局)は、上記協議に先立ち予算編成の時期に、各省各庁における個々の庁舎等取得予定事案毎にその適否を判定し、「庁舎等の取得等調整計画」を策定してその結果を毎年度の庁舎等の整備予算に反映させるよう努めている。

    庁舎等の取得等調整計画の策定に当たって、各財務局長等は取得等予定事案について、取得等の必要性、緊急性に主眼を置き、その適否を厳正に審査のうえ意見書を作成し理財局長に提出することとされている。

    なお、庁舎等のより効率的な調達方法の検討が重要であるとの要請を踏まえ、平成18年度からは、建替え等により国が保有する場合と民間施設を借受けする場合の経済合理性の検証内容を確認することとされた。

  • (3)耐震性を確保した庁舎等の整備

    地震災害時に防災機能を果たす合同庁舎の緊急整備等の必要性が高まっていることから、耐震性を備えた庁舎等の整備を推進するため、平成18年4月、庁舎法第5条第3号「地震防災機能を発揮するために必要な建物」として、特定国有財産整備計画に新たな仕組みが導入された。

    耐震性能を確保した庁舎等の整備計画策定に当たっては、国有財産を総括する立場から財務局等において、既存庁舎の現況及び庁舎等の需要見込みを把握し、入居予定官署との調整を行っている。

  • (4)庁舎等の中期的な施設の整備予定を把握するための措置

    前述(2)で述べた取得調整計画をより確実なものとし、同時に行政の簡素合理化の要請に伴う庁舎需要も踏まえ、平成16年6月16日付で「庁舎等及び省庁別宿舎の有効かつ適切な取得等を図るための措置の実施について」通達が定められ、中期的な施設の整備予定を的確に把握し、施設整備の計画的かつ適正な実行を更に推進するなど、一層の国有財産の有効活用を図ることとされた。

    これを受け、各省各庁の各部局は、翌々年度以降3ヵ年の会計別順位を付した庁舎等にかかる整備予定を取りまとめ、各財務局等において当該整備予定について審査し、関係部局に対し意見を表明することとされた。

3.国の資産・債務改革関連

国の資産・債務改革が重要な課題となる中、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」(平成18年7月7日閣議決定。以下「基本方針2006」という。)では、平成27年度末までの10年間で国有財産の売却収入の目安として約12兆円が見込まれた。このうち、庁舎については約0.5兆円、宿舎については約1.0兆円の売却収入が見込まれた。

資産・債務改革に積極的に取り組むため、平成18年8月に理財局長主催の「国家公務員宿舎の移転・跡地利用に関する有識者会議」を財務大臣主催の「国有財産の有効活用に関する検討・フォローアップ有識者会議」に改組(以下「有識者会議」という。)し、庁舎・宿舎の有効活用について検討が開始された。

  • (1)東京23区内の庁舎及び全国の宿舎の移転・再配置計画

    有識者会議において、東京23区内の庁舎の具体的な移転・再配置の検討を行うとともに、23区外の地域の宿舎についても、検討対象地域や宿舎廃止基準の考え方を議論・整理した。

    なお、23区外の宿舎の具体的な移転・再配置の検討は各財務局等と各財務局等に設置された「国有財産の有効活用に関する地方有識者会議」で行われた。

    こうした検討の結果、平成19年6月に「国有財産の有効活用に関する報告書」が取りまとめられ、23区内の庁舎及び全国の宿舎の移転・再配置計画が策定された。

  • (2)東京23区外の庁舎の移転・再配置計画

    東京23区外の庁舎について、それぞれの地域の実情に応じた検討を行うため、宿舎と同様に各財務局等及び地方有識者会議において具体的な検討が行われ、横浜や大阪においてブロック機関が入居する庁舎を核として集約化するとともに、法務局・税務署等の地域に密着した業務を行う庁舎の移転・集約化や分室・会議所・研修所等の廃止が打ち出された。

    平成20年6月、各財務局等の地方有識者会議の検討結果を踏まえ、有識者会議において、「東京23区外の庁舎等の移転・再配置計画」が取りまとめられた。

    これにより、全国の庁舎・宿舎について、移転・再配置計画が策定されたことにより、全体で404haの跡地が捻出され、「基本方針2006」の売却収入の目安を上回る約1.7兆円の売却収入が見込まれている。


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