財務省財務局60年史 【第3章 管財編】

第1節 総説


1.国有財産を巡る動き

  • (1)平成11年度以降の国有財産の管理処分については、平成11年6月18日開催の国有財産中央審議会において取りまとめられた「今後の国有地の管理処分のあり方について」により、行政財産の効率的な管理のあり方、国有財産の売却等を巡る諸問題等について、次のように報告され、この報告を基に具体化された各種方策により運営された。

    • イ.行政財産の効率的な管理のあり方

      • (イ)従来、行政財産は所有を原則としてきたが、今後は効率的調達のため必要に応じ賃貸を検討

      • (ロ)効率的利用のため、民間等との共同利用を検討

      • (ハ)庁舎・宿舎等を整備する場合、PFI方式の活用など民間企業的な柔軟な考え方の導入を検討

      • (ニ)行政財産全体の効率化を進めるため、実態調査・監査を充実し一元的な状況把握に努め、省庁横断的な相互融通・機動的な転用を検討

    • ロ.国有地の売却等を巡る諸問題

      • (イ)未利用国有地については、将来の利用に備えて国が保有すべきか、民間に売却すべきかを判断することが必要である。

      • (ロ)当面、国が保有する国有地はより効率的、収益的な管理を図る必要がある。

      • (ハ)売却すべき国有地については、

        • ・ 物納財産の売却予定価格の機動的な設定

        • ・ 売買仲介の拡大の検討

        • ・ 複数物件を一括して入札に付す方法の検討

        • ・ 大都市に所在する大規模財産の地区計画型処分方法の検討

        • ・ 郵送による期間入札方法の導入

        • ・ 権利付財産の売却の促進

        等、売却手法の多様化を図り、売却促進に取り組む

    • ハ.国有財産に関する情報公開のあり方

      • (イ)既に相当量の情報を提供しているが、国民への周知が不足し、利用の便宜面でも必ずしも十分でないため、情報の所在を明らかにし国民に周知を図るとともに、国民のニーズを踏まえた情報を電子化し情報公開システムの構築を推進

      • (ロ)国有財産の実勢を把握することが重要であり、台帳価格改定の実施に当たっては、より一層時価を反映させることが必要

  • (2)平成11年4月に閣議決定された「国の組織等の減量、効率化等に関する基本的計画」を受け、国有財産業務については、普通財産の管理処分事務を中心に包括的民間委託を推進することとされ、平成12年4月に民間委託の効果を先取りする形で管理処分部門のスリム化が実施されたことから、早期に減量効果を発揮させるため、委託業務の簡素・合理化、通達の改正を行うとともに、新規参入業者にも理解しやすい業務マニュアルの作成等を行った。

  • (3)平成10年5月に閣議決定された「地方分権推進計画」において、法定外公共物である里道・水路のうち機能を有している財産については市町村に譲与し、機能管理及び財産管理ともに市町村の自治事務とし、機能を喪失しているものについては国が直接管理することとされた。これを受け、平成12年度から5年間で譲与することとし、公図混乱地区等特別な地域を除き完了した。

  • (4)平成18年1月の財政制度等審議会から、効率性を一層重視した国有財産行政へと転換するとの基本的な考えの下、制度・運用の両面について幅広く具体的提言が示され、これを受けて国有財産関係法令等の改正が行われた。

    • 【制度改正】

      • イ.総括権の強化

        • (イ)借受庁舎も監査・使用調整の対象とする

        • (ロ)庁舎の余剰調整スペースの民間への貸付 等

        なお、使用調整については、行政手続きの透明性の確保・計画の実効性の向上の観点から財政制度等審議会に付議することとし、その計画策定にあたっては、地方有識者会議を各財務局等に設置し、地方の実情・意見を反映させることとした。

      • ロ.特定国有財産整備計画の仕組みの見直し

        • (イ)不要となった庁舎等跡地の売却収入を、必要な耐震性を備えた合同庁舎整備の財源として活用

        • (ロ)一般会計からの繰入れを廃止し、一般会計への繰入れを創設

      • ハ.売却を円滑にするための交換制度の拡充

        • (イ)売りにくい不整形地の一部を隣接地の一部若しくは全部と交換

        • (ロ)借地権と底地の一部を交換

    • 【運用面改革】

      • イ.未利用国有地の売却ルールの明確化

        • (イ)地方公共団体等からの取得要望受付(3か月)、契約期限(2年間)を設定

        • (ロ)取得要望が競合した場合、事業の必要性、緊急性及び実現性の審査を行い、売却の相手方を決定

      • ロ.優遇措置の見直し

        物納財産、移転経費を要した財産については、優遇措置の対象外(全面積時価売払)

      • ハ.情報提供の拡充

        未利用国有地に関する情報をタイムリーに提供

2.組織再編

  • (1)国有地の一層の有効活用の促進という社会的要請を踏まえ、総括権をより積極的・効率的に行使し、現地完結型へと転換していく必要があるとして、平成12年7月、これまでの普通財産、行政財産といった財産別の組織体系から、計画策定部門、審理部門及び実施部門へと再編し、併せて機動的・効率的な執行体制を目指し統括官制度を導入した。

  • (2)この組織再編にあたっては、従来の組織の抜本的な見直しであったため、執行体制と所掌事務の確定や計画部門と実施部門に関連する事務の取扱いの明確化について綿密に検討したものであるが、再編後も逐次組織の見直しを行い効率的な事務処理体制の構築に努めた。

  • (3)その後、「国の行政機関の定員の純減について」(平成18年6月30日閣議決定)により定員が減少される中、平成18年度財務局所掌事務考査「効率性重視に向けた国有財産行政について」を実施し、その結果を踏まえ、更に効率的な業務執行体制の確保のための見直しを行った。

  • (4)具体的には、マル1統括官について、一定のまとまりのある業務ごとに処理するよう業務分担制を導入する、マル2財務事務所の総括権の強化のため、行政財産に関する協議事務を管財課に集約することとした。

    また、管財第一部及び第二部の二部体制の関東財務局においては、宿舎関係業務について建設等計画業務と建設等実施業務が両部に分かれていることにより、事務の重複や決裁ラインの二元化等の非効率な状態が生じていたことから、宿舎業務運営体制の効率化(宿舎事務の一元化)を図るため、平成19年7月、宿舎部門を管財第一部に集約する機構改正を行った。

3.近年における管財業務の重要事項の変遷

  • (1)一般競争入札による未利用国有地の売却促進(〜平成16年度)

    バブル崩壊以降の物納急増により、平成11年度末の未利用地ストックが約15,000件となったことから、未利用地の売却が喫緊の課題となり、平成12年度以降、既存ストックを全件入札に付すとともに、物納財産は引き受け後1年以内に入札に付す(平常化)ための計画を策定した。特に、大量件数が集中する関東財務局に対し、平成13年7月から平成17年6月にかけ、他財務局等からの応援者派遣が行われた。

    このため、新規分を除く誤信使用財産の処理等、不急と判断された業務については、処理を留保し入札業務に傾注した。

    また、入札制度についても、大量物件の一括入札に対応すべく郵送による期間入札を平成11年1月、落札率の向上等に資するため最低売却価格を公示した入札を平成14年11月、それぞれ導入する等の所要の改正を行った。

  • (2)処分困難財産の是正、貸付財産等の売却促進(平成17年度〜)

    • イ.処分困難財産の是正の促進

      前述3-(1)の取組みにより、平成16年度に平常化を達成したほか、未利用の物納財産の激減もあり、未利用地ストックは大幅に減少した。しかし、売却の容易な財産の入札から取り組んだ結果、境界未確定等の理由により直ちに売却が困難な「処分困難財産」や農地・山林等の「宅地及び宅地見込地以外の財産」の割合がストックの5割を突破した。このため、売却を促進する観点から、処分困難財産等の是正を促進し、入札対象財産の創出に傾注した。

    • ロ.貸付財産の売却促進

      物納が急増した平成5年度以降、権利付財産(貸付財産)の引受件数は毎年増え続け貸付財産のストックが累増した。このため、平成16年度以降、貸付相手方に対し、概ねの価格(取得目安額)及び延納制度を活用した場合の支払額を記載した文書を送付する「新たな貸付財産の買受勧奨」を実施し売却促進に取り組んだ結果、平成16年度から平成19年度に約9,000件を売却したが、近年の権利付財産の引継の増加もあり、平成19年度末のストック件数は、30,000件を超えており売却促進の継続が必要となっている。

      なお、平成21年度以降、底地の信託・一般競争入札等の更なる処分促進策の実施を予定している。

  • (3)資産・債務改革への対応(平成17年度後半〜)

    • イ.政府の資産・債務改革

      • (イ)国有財産を含む政府の資産・債務改革については、「簡素で効率的な政府」の実現を目指す観点から、様々な角度により検討されてきたが、平成17年12月に閣議決定された「行政改革の重要方針」において、

        • A.政府資産については、真に必要な部分のみを厳選して保有する。

        • B.政府の資産規模の対名目GDP比を、今後10年間で概ね半減させる。

        等の方針が決定された。

      • (ロ)その後、行政改革推進法(平成18年法律第47号)において、売却が可能と認められる国有財産の売却を促進するとされたほか、「骨太の方針2006」(平成18年7月、経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006)において、国有不動産の売却収入を、平成18年度から27年度の10年間で約3.6兆円(未利用国有地等の売却2.1兆円、庁舎・宿舎跡地の売却1.5兆円)を見込むとした。

    • ロ.庁舎・宿舎の移転・再配置計画の策定(平成17年度後半〜平成19年度)

      資産・債務改革への取組みが政府の重要課題として急浮上し、国有地等の有効活用(売却促進)が喫緊の課題となった。このため、本省の有識者会議(座長:伊藤滋早大教授)において、首都圏(とりわけ東京23区内)を焦点とした庁舎・宿舎の移転・再配置計画の検討が行われた。

      庁舎・宿舎の移転・再配置計画は、東京23区内宿舎から策定され、平成20年6月の23区外庁舎の移転・再配置計画の策定をもって終結した。

      • 【移転・再配置計画】

        ・ 平成18年6月東京23区内宿舎の移転・再配置計画
        ・ 平成19年6月東京23区内庁舎の移転・再配置計画
        東京23区外宿舎の移転・再配置計画
        ・ 平成20年6月東京23区外庁舎の移転・再配置計画
    • ハ.移転・再配置計画の実行(平成19年度〜)

      • (イ)庁舎の移転・再配置計画

        これまで受動的(国交省営繕部主導又は新営を希望する部局の申請を待った対応)であった庁舎の新営等については、各財務局等が積極的に総括権を行使。

      • (ロ)宿舎の移転・再配置計画

        計画宿舎建設はもとより財務局等所管業務であるが、本計画策定にあたっては、省庁別宿舎を大量に廃止し、合同宿舎に集約化するなど、宿舎建設においても積極的に総括権を行使。

    • ニ.跡地処分の着実な実行(平成20年度〜)

      移転・再配置計画によって、約1.7兆円の売却収入を上げる必要があり、その計画の実行にあたっては、廃止庁舎・宿舎を早期に引継ぎ、売却可能財産とすることが重要であるほか、大都市の中心部に所在する大規模な跡地等については、二段階入札等民間提案を活かす新たな入札方法により、付加価値を加えたうえで処分することが求められている。

  • (4)適正な財産管理への転換(平成20年度〜)

    これまで未利用地の売却促進、資産・債務改革への対応を最重要課題としてきたことから、誤信使用財産の実態把握等、適正な財産管理に向けた取組みは優先度の低いものとなっていたが、未利用地の入札による処分が平常化の達成によりピークアウトしていることから、財産の適正な管理の実施に転換していく時期にあり、平成21年度から業務委託を活用し、優先順位をつけながら誤信使用財産等の早期処理を進めていくこととしている。


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