財務省財務局60年史 【第2章 理財編】

第6節 経済調査事務


財務局経済調査課(財務事務所財務課)は、地方経済に関する資料・情報の収集・整理、調査や、法人企業に関する統計の作成事務を行っている。

なお、財務局における情報収集機能を強化し、広報機能の一層の充実を図るため、平成13年に、経済調査課を理財部から総務部等に移管するとともに、理財課が担当していた法人企業統計調査事務を経済調査課に移管した。

1.地方経済に関する調査

法人企業景気予測調査等をはじめとする経済指標や、企業に対するヒアリング等を通じて、生産活動、個人消費、雇用情勢等の足元の動向を調査し、各地域の経済動向の把握に努めている。

この調査結果は、全国財務局長会議において各財務局長等から大臣等に対し直接報告するとともに、財務省(「全国財務局管内経済情勢報告概要」)、各財務局及び各財務事務所(各都府の県内経済情勢報告)において、ホームページ等を通じ、対外公表している。

また、管内の足元の経済動向に加え、財政経済政策の管内経済における効果や、我が国経済を取り巻く状況の変化が管内経済に与える影響など、地方経済について様々な観点から調査を行っている。

これらの調査結果についても、全国財務局長会議での報告等を通じ情報共有を図り、財務省の所掌事務運営上の参考とされている。

2.法人企業統計調査

法人企業統計調査は、我が国における法人企業の活動の実態を把握するため、営利法人等の中から抽出した標本法人を対象に、その資産、負債、純資産及び損益等の状況について調査している。本調査には、その年度における確定決算の計数を調査する「年次別調査」と、四半期ごとに仮決算計数を調査する「四半期別調査」がある。調査結果は、四半期別国民所得統計及び財政施策運営の基礎資料等として利用されている。

  • (1)調査方法の改正

    • イ.平成13年度の改正

      コンピュータ・ソフトウェアの会計処理などを定める「研究開発費等に係る会計基準」等の新設に伴い、ソフトウェアの取得額を把握するため、調査項目の変更を行った。

      この改正について、年次別調査は平成13年度上期調査(平成14年1月実施)から、四半期別調査は平成13年7〜9月期調査(平成13年11月実施)から適用した。

    • ロ.平成15年度の改正

      「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年11月27日大蔵省令第59号)の改正、「金融商品に関する会計基準」の新設に伴い、貸借対照表の資本の部等について、調査項目の変更を行った。

      また、日本標準産業分類が改定されたことから、業種分類を37業種44区分から43業種52区分に改定した。

      これらの改正について、年次別調査は平成16年度上期調査(平成17年1月実施)から、四半期別調査は平成16年4〜6月期調査(平成16年8月実施)から適用した。

    • ハ.平成18年度の改正

      「会社法」(平成17年法律第86号)の施行等に伴い、貸借対照表の資本の部を純資産の部に変更、また、それまで利益処分項目であった役員賞与を費用項目とするなど、調査項目の変更を行った。

      この改正について、年次別調査は平成19年度上期調査(平成20年1月実施)から、四半期別調査は平成19年4〜6月期調査(平成19年8月実施)から適用した。

    • ニ.平成19年度の改正

      「金融業、保険業」を調査対象に追加したほか、「リース取引に係る会計基準」の適用などに伴う調査項目の追加・変更を行った。

      これらの改正について、年次別調査は平成20年度上期調査(平成21年1月実施)から、四半期別調査は平成20年4〜6月期調査(平成20年8月実施)から適用した。

    • ホ.平成20年度の改正

      調査結果を年度間でより円滑に接続させるよう、毎年4月に、業種別・資本金別の各階層に割り当てられた標本法人数の半数を入れ替えし、一度抽出した標本法人を2年間継続して調査することとした(全数抽出となる階層を除く)。また、統計の推計精度向上のため、「金融業、保険業以外の業種」について、資本金1億円以上10億円未満の標本抽出方法等を変更した(資本金による確率比例抽出から、資本金1億円以上5億円未満は等確率系統抽出とし、資本金5億円以上を全数抽出とする等)。

      更に、日本標準産業分類が改定されたことから、「金融業、保険業以外の業種」の業種分類を43業種52区分から45業種58区分に改定した。

      これらの改正について、年次別調査は平成21年度上期調査(平成22年1月実施)から、四半期別調査は平成21年4〜6月期調査(平成21年8月実施)から適用した。

  • (2)調査の概要

    • イ.標本抽出の方法

      母集団を資本金階層別、業種別に層化し、「金融業、保険業以外の業種」については、資本金5億円未満の各階層は等確率系統抽出とし、資本金5億円以上の法人は全数抽出としている。「金融業、保険業」については、資本金1億円未満の各階層は等確率系統抽出とし、資本金1億円以上の法人は全数抽出としている。

    • ロ.調査の方法

      従来からの郵送調査に加え、平成15年4−6月期調査以降、インターネットを利用したオンラインシステムであるFABNETシステムが稼動している。

      • (注)FABNETシステム

        Network System of “Financial Statements Statistics of Corporations” and “Business Outlook Survey”

    • ハ.調査項目

      • (イ)年次別調査

        法人の基本情報(法人の名称、本店所在地、決算月等)、業種別売上高、資産・負債及び純資産、損益、剰余金の配当、減価償却費、費用、役員・従業員数、店舗数(金融業、保険業のみ)

      • (ロ)四半期別調査

        法人の基本情報(法人の名称、本店所在地、決算月等)、業種別売上高、資産・負債及び純資産、固定資産増減、減価償却費、投資その他の資産、損益、人件費

    • ニ.調査結果の公表

      調査結果については、財務省において、記者発表やホームページ掲載を行っているほか、財政金融統計月報等により協力法人へ資料還元している。

      また、各財務局においても、平成9年7−9月期調査から地域別集計結果をホームページにて公表している。

3.法人企業景気予測調査

法人企業景気予測調査は、企業経営者の見通し判断、収益や設備投資の見込み額等を調査し、我が国経済活動の主要部分を占める企業活動を把握することにより、経済の現状及び今後の見通しに関する基礎資料を得ることを目的とし、資本金1千万円以上の法人企業から選んだ標本法人(約15,000社)を対象に年4回(4-6月、7-9月、10-12月、1-3月)行う調査である。

本調査は、従前の財務省所管「財務省景気予測調査」と内閣府所管「法人企業動向調査」を一元化し、共管調査として平成16年度から実施しているものである。

  • (1)調査の一元化

    財務省所管「財務省景気予測調査」と内閣府所管「法人企業動向調査」は、調査客体の重複是正による報告者負担の軽減などを図るため、関係府省(財務省、内閣府、総務省)で検討を重ねた結果、平成14年6月に両調査の一元化が決定された。

    その後、「法人企業景気予測調査(仮称)の設計に関するワーキング・グループ」(平成14年7月〜平成15年12月、計7回開催)における、標本抽出、調査項目、集計・推計方法など具体的な調査設計に関する検討を経て、平成16年4−6月期の第1回調査を実施するに至った。

    一元化後の「法人企業景気予測調査」の特徴としては、マル1標本法人数が旧調査の約12,000社から約15,000社に増加し、調査規模が大幅に拡大したこと、マル2金融・保険業が調査対象となり、全産業をカバーする調査となったこと、マル3設備投資等の項目において、旧調査は中小企業に限られていたが、中堅企業(資本金1億円以上10億円未満)、大企業(資本金10億円以上)も含めた全規模調査となったこと、マル4財務局・財務事務所を系統とする調査体制のもとで地域別標本数も増加したことから、地域別公表調査として一層の充実が図られたこと、マル5実績統計としての法人企業統計調査(二次QEの基礎資料)との接続性が強化されたこと、である。

  • (2)調査の概要

    • イ.調査対象

      資本金1千万円以上の法人企業(ただし、電気・ガス・水道業及び金融業、保険業は1億円以上)

    • ロ.標本抽出の方法

      • (イ)母集団情報に関する名簿

        法人企業統計調査の管理法人名簿(金融業、保険業を除く資本金1億円以上の法人)と低階層法人名簿(金融業、保険業を除く資本金1億円未満の法人のうち、一定の方法により抽出された調査対象法人)を利用するとともに、金融業、保険業については、事業所・企業統計調査名簿を利用する。

      • (ロ)標本抽出の方法

        金融業、保険業以外の業種は法人企業統計(四半期別調査)の標本から、金融業、保険業は事業所・企業統計調査名簿から、一定の方法により標本を抽出(資本金20億円以上の企業は全数抽出)。母集団数約113万社に対し、標本数は約15,000社となっている。

    • ハ.調査の方法

      郵送により調査票を回収する方法に加え、インターネットを利用したオンラインシステム(FABNETシステム)による回収も行っている。

    • ニ.調査項目

      • (イ)判断調査

        貴社の景況、国内の景況、売上高、経常利益、販売価格、仕入価格、資金繰り、融資態度など11項目(動向判断)

        製(商)品在庫、原材料在庫、生産販売設備、従業員の4項目(期末水準判断)

        貴社の景況判断の決定要因(選択肢調査)

        資金調達の方法、設備投資のスタンス、利益配分のスタンス(選択肢調査、調査期毎に設問項目を変更)

      • (ロ)計数調査

        売上高、経常利益、新規設備投資額、うち土地購入額、ソフトウェア投資額の5項目

    • ホ.集計方法

      • (イ)判断調査の集計方法

        資本金規模別、業種別にBSI(Business Survey Index)を算出している。

        選択肢調査については、回答社数構成比を算出している。

        全国集計は母集団推計とし、財務局集計は単純集計(標本集計値)としている。

        • (注) BSI = (「上昇」等とした企業の構成比)−(「下降」等とした企業の構成比)

      • (ロ)計数調査の集計方法

        資本金規模別、業種別に、金額、前年同期比、及び前年度比を算出している。全国集計は母集団推計とし、財務局集計は単純集計(標本集計値)としている。

    • ヘ.調査結果の公表

      調査結果については、財務省、各財務局及び各財務事務所において、記者発表やホームページ掲載を通じて対外公表している。


前頁へ │ 次頁へ