財務省財務局60年史 【第2章 理財編】

第5節 融資事務


1.概要

財政投融資とは、政策的な必要性があるものの民間では困難な長期・低利の資金の供給や、大規模・超長期プロジェクトの実施を可能とするため、財投債の発行など、国の信用に基づき調達した資金を財源として、国が、独立行政法人や地方公共団体等に対し、有償資金の貸付け等の金融的手法によって行う投融資活動である。

財務局・財務事務所等は、このうち地方公共団体向けを担当し、地方公共団体の財政規模や資本市場へのアクセス可能性の差による資金調達能力の差にも配慮しつつ、災害復旧や廃棄物処理等の政策的な重要性や国の責任の度合いが高い投資的な事業について、財政投融資を活用している。また、有償資金の使用には、上・下水道等の社会資本整備による便益が将来にわたる場合に世代間の負担公平に寄与すること、長期・低利の資金の活用により住民の租税負担の軽減が図られること等の意義がある。

なお、この10年間において、融資事務の具体的な事務内容は、財政投融資改革と地方分権の推進により大きく変貌を遂げている。

【財政投融資の仕組み】

財政投融資の仕組み

【財政投融資とその対象分野・対象事業】

財政投融資とその対象分野・対象事業

2.財政投融資改革とその後の取組み

  • (1)財政投融資改革の概要

    平成12年に、「資金運用部資金法等の一部を改正する法律」(平成12年法律第99号)が成立し「資金運用部資金法」等が改正され、昭和26年4月1日に預金部から資金運用部への改正が行われて以来50年目の平成13年4月1日に、財政投融資改革が実施された。

    改革前の財政投融資は、郵便貯金及び年金積立金から国(資金運用部)に義務的に預託された資金を主要な資金として社会資本の整備等、我が国の経済発展に大きく貢献してきた。一方で、財政投融資改革以前の仕組みでは、資金調達手段が郵便貯金、年金積立金等からの預託という受動的なものに限られているため、資金需要に応じた効率的な資金調達が行えないといった問題を抱えていた。財政投融資改革は、こうした点を踏まえて、財政投融資制度をより効率的で、市場原理と調和のとれたものとするために行われた。

    資金調達という観点からは、郵便貯金・年金積立金が全額自主運用(原則市場運用)される仕組みへと改められ資金運用部資金への預託義務が廃止され、特殊法人が行う財投対象事業については、民業補完の観点から見直すとともに、真に必要な資金については財投債又は財投機関債によって市場から調達することになった。

    このほか、政策コスト分析の導入により、財政投融資対象事業について、将来、補助金や出資金の機会費用等の政策コストがどの程度生じるのかを明らかにすることで、財政投融資のディスクロージャーが進み、事業の妥当性の判断材料の提供、財投機関の財務の健全性の確保等が促進されることとなった。

    【財政投融資改革のイメージ】

    財政投融資改革のイメージ
  • (2)財政投融資改革のその後の取組み

    財政制度等審議会財政投融資分科会では、平成16年に、財政投融資の実施状況が財投改革の趣旨を反映したものとなっているか点検し、財投機関の事業について、特殊法人等整理合理化計画(平成13年12月)の事業見直しの実施状況を確認するとともに、事業の政策的必要性、財務の健全性等について精査を行い、その結果を平成16年12月に「財政投融資改革の総点検について」として取りまとめた。

    (参考)

    「財政投融資改革の総点検について」(平成16年12月10日財政制度等審議会財政投融資分科会)(抄)

    マル14 地方公共団体・公営企業金融公庫

    地方公共団体への公的資金(政府資金及び公営企業金融公庫資金)の貸付は、民間金融機関では供給困難な長期・低利の資金を地方公共団体に融資することを通じて、地域に密着した社会資本の整備等に貢献してきた。

    今後の在り方については、財投改革の趣旨を踏まえるとともに、地方公共団体の自立的な財政運営を促す観点から、地方公共団体の資金調達は市場公募等の民間資金によることを基本とし、公的資金はこれを補完するものとすることが適当である。具体的には、地方公共団体の資金調達力及び資金使途を踏まえた重点化が重要である。なお、赤字補填の性格を有する地方債については、資源配分機能を有する財政投融資の対象として相応しくない面があるものと考えられる。地方公共団体向け公的資金貸付については、貸付先の財務状況、事業の収益性等を適切にチェックすることが求められる。

    更に、翌年、総点検で指摘した事項が着実に実行に移されていることを確認し、平成17年12月に「財政投融資改革の総点検フォローアップ」として取りまとめた。

    (参考)

    「財政投融資改革の総点検フォローアップ」(平成17年12月12日財政制度等審議会財政投融資分科会)(抄)

    マル13 地方公共団体及び公営企業金融公庫

    • (イ) 総点検の指摘事項

      • (a) 地方公共団体

        財投改革の趣旨を踏まえるとともに、地方公共団体の自立的な財政運営を促す観点から、地方公共団体の資金調達は市場公募等の民間資金によることを基本とし、公的資金はこれを補完するものとすることが適当である。具体的には、地方公共団体の資金調達力及び資金使途を踏まえた重点化が重要である。なお、赤字補填の性格を有する地方債については、資源配分機能を有する財政投融資の対象として相応しくない面があるものと考えられる。地方公共団体向け公的資金貸付については、貸付先の財務状況、事業の収益性等を適切にチェックすることが求められる。

    • (ロ) 指摘の実施状況

      • (a) 平成17年度においては、地方向け財投(地方公共団体向け政府資金貸付及び公営企業金融公庫の政府保証債調達額)について、特に次の点に重点を置いて縮減・重点化を推進した。

        • ・ 資金調達能力を踏まえた重点化を図る観点から、都道府県・指定都市を中心に公的資金の充当を縮減

        • ・ いわゆる赤字地方債に対する政府資金の充当については、資金使途の観点も踏まえ、都道府県・指定都市のみならず、中核市・特例市についても政府資金の充当を縮減

      • (b) また、地方向け財政融資資金の融資審査の充実を図る観点から、融資主体として貸付先である地方公共団体の財務状況を把握し、必要に応じヒアリングを実施することとした。

    • (ハ) 財務の健全性、今後の留意事項等

      地方向け財投については、引き続き、地方公共団体の資金調達能力及び資金使途に着目した重点化を図る必要がある。また、公営企業金融公庫の貸付規模・貸付分野及び政府保証のシェアを縮減する必要がある。

      なお、平成18年度からの地方債協議制度への移行等を踏まえると、地方公共団体の財政健全性の維持・向上を促すような環境づくりが重要であり、地方向け財投については、融資主体が貸付先の財務状況、事業の採算性等を適切にチェックしていく枠組みが重要である。

    平成19年2月には、財投改革以降の取組みを踏まえ、今後の財政投融資の在り方について本格的に議論するため、財政制度等審議会財政投融資分科会の委員の一部及び外部有識者をメンバーとし、分科会長が主催する検討会として「財政投融資に関する基本問題検討会」が設置された。基本問題検討会では、財投改革以降の取組み状況を検証するとともに、マル1財政投融資の役割と対象分野、マル2資金調達の在り方、マル3産業投資、マル4地方公共団体への貸付けなどを中心に、今後の財政投融資の在り方について議論を行い、こうした議論を踏まえ、平成20年6月に報告書「今後の財政投融資の在り方について」が取りまとめられた。

    (参考)

    「今後の財政投融資の在り方について」(平成20年6月財政投融資に関する基本問題検討会)(抄)

    (2)今後の地方公共団体への貸付けの在り方

    地方公共団体への貸付けについては、今後とも、地方公共団体の資金調達能力及び資金使途に着目した重点化の方向性を維持していく必要がある。

    また、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」に基づく早期健全化措置(アーリー・ウォーニング)等による、地方公共団体の自己規律による財政健全化の進展も踏まえつつ、地方の財政規律の維持・向上を促すため、貸し手として、地方公共団体の財務状況を的確に把握し、事業の採算性等をチェックすることが必要である。

    具体的には、今後以下のような取組みを図ることが必要と考えられる。

    • マル1 地方公共団体に対する実地監査における監査手法の充実

      平成20年度から、これまで中心であった適債性の非違事項の確認については簡素化を図る一方、公営企業について、貸付金の償還確実性の確保を図る観点から、経営状況の実態把握及び評価に努める。また、これらの実態把握等を踏まえ、地方公共団体に対して、公営企業の経営状況を改善するための取組みを含め、償還確実性の確保について報告を求めるなど、監査手法の充実を図る。

    • マル2 補償金免除繰上償還の審査と財政健全化計画等のフォローアップ

      地方公共団体の厳しい財政事情等を踏まえ、平成19年度から21年度までの臨時特例の措置として、徹底した行政改革・経営改革の実施等を条件に、財政融資資金の地方公共団体への貸付金のうち高金利(5%以上)のもの3.3 兆円程度について、補償金を免除した繰上償還を実施する。

      (中略)

      今後、5年間の財政健全化計画等の期間中、毎年度、計画の執行状況についてフォローアップを行うことにより、計画の実行性を担保するとともに、地方公共団体の早期の財政健全化を図る。

    • マル3 地方公共団体の財務状況把握の更なる充実・活用

      財務状況の把握については、導入から3年が経過したところであり、今後、その更なる充実を検討した上で、分析の結果に基づき財務状況の厳しい地方公共団体に対する財務改善のためのアドバイスを含め、その財務状況を早期に改善するために活用を図る。

      なお、こうした財務状況把握の充実・活用を含め、地方公共団体に対する財政融資の在り方について検討を深めていくため、平成20年6月、本検討会に「地方公共団体向け財政融資に関するワーキングチーム」を設けたところであり、本ワーキングチームにおいて更に議論を行うこととしている。

    これを受け、「地方公共団体向け財政融資に関するワーキングチーム」では、マル1地方公共団体向け財政融資の在り方、マル2財務状況把握の充実、マル3財務状況把握の活用などについて更に検討を行うこととなった。平成20年6月に第1回会合を開催し、地方公共団体の財務運営、公営企業の財務・経営状況、民間資金の現状と市場規律などについて、外部の有識者からのヒアリングを含め、活発な議論を行い、平成21年3月の第7回会合では、これまでの議論の成果を平成21年度の財政融資の運営や財務状況把握の実施に迅速に活かすべく、地方公共団体向け財政融資の在り方及び財務状況把握の充実策を中心に、「中間論点整理」が取りまとめられた。

    今後、財務状況把握の活用策を中心に更に検討を進め、本年夏頃を目途に最終報告書を取りまとめる予定としている。

    (参考)

    「中間論点整理」(平成21年4月財政投融資に関する基本問題検討会地方公共団体向け財政融資に関するワーキングチーム)

    • 経緯

    • 検討の視点

      • 1.財投改革以降の環境変化

      • 2.地方公共団体の資金ニーズへの対応

      • 3.地方公共団体の財務規律の向上

    • 地方公共団体向け財政融資の在り方

      • 1.国の政策と密接な関係のある分野等への資金供給

      • 2.民間資金との役割分担及び資金調達能力の差を踏まえた資金供給

      • 3.金融市場の混乱への対応

      • 4.地方公共団体金融機構資金との関係

      • 5.赤字補填の性格を有する地方債(赤字地方債)の引受けの在り方

      • 6.財政困難に陥った地方公共団体へのセーフティネット機能

    • 地方公共団体の財務規律の向上

      • 1.地方公共団体による財務状況の十分な把握と情報開示の充実

      • 2.市場規律の活用

      • 3.貸し手としての事前警鐘(アーリー・ウォーニング)機能の強化

      • 4.他の施策との連携

      • 5.地方分権との関係

      • 6.国の財政との関係

    • 財務状況把握の充実

      • 1.財務状況把握の現状

      • 2.財務状況把握の指標の充実

      • 3.公営企業会計に係る財務状況把握の充実

      • 4.財務状況把握のタイムラグの短縮化

      • 5.分析手法の充実

      • 6.基礎的財政収支(プライマリー・バランス)の活用

      • 7.公社・第三セクターなどの外郭団体の問題

    また、平成18年5月に成立した「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」、平成18年7月に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」等を踏まえ、政府は、平成27年度末までに国の資産規模の対GDP比を平成17年度末と比べて半減することを目指して、国の資産を約140兆円規模で圧縮することとし、このうち、財政融資資金貸付金については、今後10年以内で130兆円超の圧縮を実現することとしている。

  • (3)地方債計画額等の推移にみる財政投融資改革

    財政投融資計画の総額と地方公共団体向け財政融資資金の額の推移では、地方公共団体向け財政融資資金の規模(フロー・ベース)は、財政投融資改革・行政改革の趣旨等を踏まえ、規模の段階的縮減、地方公共団体の資金調達能力及び資金使途に着目した重点化を図ってきた結果、次表のとおり平成20年度では3.2兆円と、ピーク時(平成8年度)における7.0兆円の半分以下の水準となった。なお、財政投融資計画の残高についても、平成13年の財投改革移行逐次減少しており、平成12年度末が439兆6,626億円(うち地方公共団体向け貸付金残高69兆6,187億円)である一方、平成20年度末には、203兆7,965億円(うち地方公共団体向け貸付金残高59兆69億円)となっている。

    【財政投融資計画総額と地方公共団体向け財政融資資金の推移】

    財政投融資計画総額と地方公共団体向け財政融資資金の推移のグラフ

    【財政投融資計画総額と地方公共団体向け財政融資資金の推移】拡大画像へリンク

    また、各年度の地方債発行額についての量的基準として、地方財政法第5条の3第6項に基づき総務大臣が毎年度作成・公表する「地方債計画」によると、計画額に占める民間等資金の割合は、財政投融資改革が実施された平成13年度では40.8%であったのに対し、平成20年度では63.4%まで上昇しており、次表のとおり、市場公募の割合は、同期間に10.2%から27.2%まで上昇している。

    【地方債計画における資金区分別の推移】

    地方債計画における資金区分別の推移のグラフ

    【地方債計画における資金区分別の推移】拡大画像へリンク

    なお、平成21年度にあっては、いわゆるリーマンショックに端を発した平成20年度後半からの金融経済情勢の急速な悪化による国、地方公共団体の税収の落込みに伴い、臨時財政対策債の発行額の大幅な増加が見込まれるため、財政投融資計画のうち地方向けの財政融資資金額は対前年度比21.4%の増加となり、地方債計画額に占める財政融資資金の割合も27.7%(平成20年度26.0%)となった。

3.地方債協議制への移行と融資事務

  • (1)地方分権推進計画に伴う地方債許可制度の廃止と協議制度の発足

    地方分権推進委員会第二次勧告(平成9年7月8日)に基づき平成10年5月29日に閣議決定された「地方分権推進計画」において、「地方債許可制度については、地方公共団体の自主性をより高める観点に立って廃止し、地方債の円滑な発行の確保、地方財源の保障、地方財政の健全性の確保等を図る観点から、地方公共団体は国又は都道府県と事前協議を行う」こととされたことを踏まえ、地方財政法等関係法令の改正等が行われ、地方債協議制度が平成18年度から導入された。

    地方債協議制度においては、地方公共団体は、地方債を起こし、又は起債の方法、利率若しくは償還の方法を変更しようとする場合は、地方債の起債の目的、限度額、起債の方法、資金、利率、償還の方法その他政令で定める事項を明らかにして、総務大臣又は都道府県知事に協議しなければならない(地方財政法第5条の3第1項及び第2項)。当該協議の上、総務大臣又は都道府県知事の同意を得ないで地方債を起こし、又は、起債の方法、利率若しくは償還の方法を変更しようとする場合には、その旨をあらかじめ議会に報告しなければならない(同条第5項)こととされており、また、地方公共団体は、協議において総務大臣又は都道府県知事の同意を得た地方債についてのみ、公的資金を借り入れることができる(同条第3項)とともに、当該地方債に係る元利償還に要する経費が地方財政計画の歳出総額の見込額に算入されることとなっている(同条第4項)。

    なお、実質赤字額が一定以上の地方公共団体、実質公債費比率が一定水準以上である地方公共団体及び赤字公営企業の赤字比率が一定水準以上の公営企業など同法第5条の4第1項各号及び同条第3項から第5項に規定する事由に該当する団体は、総務大臣又は都道府県知事の許可が必要となっている。これらの規定は、協議制移行後において民間引受けの地方債のリスク・ウエイトがゼロとされてきた現行の位置付けを維持していくためにも、地方債全体の信用維持等を図る必要があるとの観点から、国による関与の特例として設けられたものである。

  • (2)地方債の同意等にあたっての財務省(財務局・財務事務所)の事務

    総務大臣は、各年度の地方債発行額についての量的基準である「地方債計画」を作成しようとするときは、あらかじめ財務大臣に協議をするものとされており、地方債の同意等に当たっての審査において質的基準として機能する「地方債同意等基準」を定めようとするときは、その基本的事項について、あらかじめ財務大臣に協議するものとされている(地方財政法施行令第6条第2項及び同条第3項)。

    また、総務大臣は、地方公共団体の起債の協議において同意しようとするときは、当該同意に係る地方債の限度額及び資金について、あらかじめ、財務大臣に協議するものとされている(同令第2条第4項)。起債に許可が必要なケースにおいて許可等をしようとするときも同様である(同令第7条第4項)。

    具体的には、総務大臣が地方公共団体の起債計画書等を基に、同意等予定額(資金区分を含む。以下、同じ。)を定めて通知する際に、あらかじめ財務大臣に協議(大臣間協議)する。また、このうち市町村等分については、総務大臣から都道府県に対し通知された都道府県ごとの同意等予定額の範囲内で都道府県が市町村等ごとの同意等予定額を定めて通知することができ、その際、都道府県(市町村担当課)は、あらかじめ財務局・財務事務所等と充当調整を行うこととなっている。なお、各地方公共団体においては、議会の議決等の諸手続きを経たうえ、通知をされた同意等予定額の範囲内で、都道府県等分にあっては総務大臣、市町村等分にあっては都道府県知事に起債協議書を提出して協議を行い、同意を受けることとなる。

    財務局・財務事務所等は、これらの協議及び調整に備えて、各地方公共団体の起債計画の内容を把握しておく必要があるため、各地方公共団体から起債計画書等の審査に必要な書類を受領するとともに、必要に応じてヒアリングを行うが、事務負担軽減を勘案し手続きの簡素化を図っており、協議制に移行した平成18年度以降については、以下のとおりとなっている。

    • イ.都道府県等の起債のうち、全額民間資金債については、起債計画書の 提出及びヒアリングを求めず、代替として当該都道府県から受領する起債の概要が把握できる起債予定額リスト・同意等予定額(案)通知書に基づき検討し意見を述べる。

    • ロ.市町村等の起債のうち、国庫補助負担事業債及び全額民間資金債については、起債計画書の提出及びヒアリングを求めず、代替として都道府県から受領する起債の概要が把握できる起債予定額リスト・同意等予定額(案)通知書に基づき検討し意見を述べる。

    • ハ.市町村等の起債に係るヒアリングについては、原則として、直接市町 村等からではなく、都道府県から行う。

    なお、財務局・財務事務所等は、受領した書類をもとに事業の適債性を審査し、予算の議決状況や事業の進捗状況、事業費の支出状況等を確認のうえ、貸付けを行っている。

    【起債の同意等に当たっての財務局・財務事務所の業務】

    起債手続きの流れのイメージ

    【起債の同意等に当たっての財務局・財務事務所の業務】拡大画像へリンク

  • (3)「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」に基づく健全化判断基準への対応

    • イ.「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」の制定経緯

      地方公共団体に係る財政再建制度としては、地方財政再建促進特別措置法(昭和30年法律第195号、以下「再建法」という。)による赤字の地方公共団体に対する財政再建制度と、地方公営企業法(昭和27年法律第292号)による赤字の企業に対する財政再建制度が設けられており、一定限度以上の歳入欠陥を生じた団体は、再建法第22条第2項の規定によって「準用団体」として財政再建を行う場合でなければ、地方債をもって公共施設又は公用施設の建設事業等地方財政法第5条第5号に掲げる経費の財源とすることができないなどとする起債制限が定められていた。

      しかしながら、これらの制度には分かりやすい財政情報の開示や早期是正措置機能がない等の問題点が指摘されたことを踏まえ、平成19年第166回国会の審査を経て「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」(平成19年6月22日法律第94号、以下「地方財政健全化法」という。)が公布され、同法附則抄第3条により「再建法」は廃止された。

    • ロ.健全化判断基準及び資金不足比率への地方公共団体の対応

      地方財政健全化法においては、地方公共団体の財政状況を判断するための四つの「健全化判断比率※」(マル1実質赤字比率、マル2連結実質赤字比率、マル3実質公債費比率、マル4将来負担比率)が定められている。

      地方公共団体は、毎年度健全化判断比率をその算定資料とともに、監査委員の審査に付した上で議会に報告し、公表しなければならず、更に、当該比率のうちいずれかが、早期健全化基準以上の場合には「健全化団体」として「財政健全化計画」を、再生判断比率(健全化判断比率のうち将来負担比率を除いた三つの比率)が財政再生基準以上の場合には「再生団体」として「財政再生計画」を定めて、それぞれ健全化又は再生に取り組まなければならない。

      また、公営企業を経営する地方公共団体は、毎年度、公営企業会計ごとに資金不足比率※を監査委員の審査に付した上で議会に報告し、公表しなければならず、当該比率が経営健全化基準以上の場合には「経営健全化計画」を定めなければならない。

      なお、健全化判断比率及び資金不足の公表に関する規定は、平成20年4月1日に施行し、平成19年度決算から適用され、財政健全化計画等の策定義務などその他の規定は、平成21年4月1日に施行し、平成20年度以降の決算に基づく判断比率等に適用することとなっている。

    • ハ.財政健全化団体及び財政再生団体に対する地方債許可基準

      平成21年度以降における、財政健全化団体、財政再生団体に対する起債の許可に当たっては、平成21年度の「地方債同意等基準」等において、財政健全化計画等の内容が適当なものであり、また、その実施が着実に行われている地方公共団体については、特に制限する必要があるものを除き、同意基準と同様の内容の許可基準によって、許可を行うものとし、計画の内容に問題がある又は実施が着実に行われていない地方公共団体については、その内容に応じ、地方債の発行を制限するなどとしているところである。

    • ※ 各指標について

      • ・ 実質赤字比率…地方公共団体の一般会計の赤字の程度を指標化し、財政運営の深刻度を示すもので、一般会計等を対象とした実質赤字の標準財政規模に対する比率。

      • ・ 連結実質赤字比率…すべての会計の赤字や黒字を合算し、地方公共団体全体としての赤字の程度を指標化し、地方公共団体全体としての財政運営の深刻度を示すもので、全会計を対象とした実質赤字の標準財政規模に対する比率。

      • ・ 実質公債比率…借入金の返済額及びこれに準じる額の大きさを指標化し、資金繰りの危険度を示すもので、一般会計等が負担する元利償還金及び元利償還金の標準財政規模に(補正値)に対する3カ年平均の比率。

      • ・ 将来負担比率…地方公共団体の一般会計の借入金(地方債)や将来支払っていく可能性のある負担等の現時点での残高の程度を指標化し、将来財政を圧迫する可能性が高いかどうかを示すもので、一般会計等が将来負担すべき実質的な負債の標準財政規模(補正値)に対する比率。

      • ・ 資金不足比率…公営企業の資金不足を、公営企業の事業規模である料金収入の規模と比較して指標化し、経営状況の深刻度を示すもので、公営企業ごとの資金の不足額の事業の規模に対する比率。

4.財政融資資金地方資金の運用

  • (1)地方資金の貸付実績

    財政融資資金地方資金とは、管理運用規則第13条に定める「財政融資資金のうち地方公共団体に対する運用に係るもの」をいい、国(他の会計)、政府関係機関(公庫、機構)、特別法人(公団、事業団等)への貸付けが行われる本省資金に対応するものであり、運用は証書貸付の方法により行うこととされている。この地方資金は、管理運用規則第15条により、地方長期資金、地方特別資金及び地方短期資金に分類される。

    地方資金の貸付実績を年度末貸付件数でみると、昭和40年代においてはおおむね10万件台で推移し、その後、昭和50年度に20万件を、昭和60年度には30万件を、平成8年度には40万件を突破するなど増加してきたが、直近10か年度は約40万件で推移している。また、地方資金残高は、平成13年度の財政投融資改革を受け、平成15年度末の72兆 5,140億円をピークに減少に転じ、平成20年度末では59兆69億円となった。

    なお、財務局別の貸付実績(直近10か年度)は別表のとおりである。

    【地方資金年度末残高に係る直近10か年度の財務局別内訳】

    (単位:件、百万円)

    年度平成11年度末平成12年度末平成13年度末平成14年度末平成15年度末
    局別件数金額件数金額件数金額件数金額件数金額
    関東99,50219,074,264103,23419,772,518106,36420,040,957107,54420,038,200107,48020,036,146
    近畿54,37211,199,12256,39311,552,90557,47311,663,29358,11711,700,05458,10111,642,434
    北海道31,0934,041,10432,5314,063,83133,5474,057,13234,0064,011,57734,0413,952,239
    東北58,7756,840,51161,5997,327,61663,5927,624,65364,8157,800,51965,3917,822,615
    東海37,5656,570,21838,8036,922,40739,8197,191,18740,3537,351,56140,4087,412,925
    北陸18,1992,351,09718,8082,507,64519,2592,610,23919,4142,688,03319,5052,760,344
    中国46,4255,170,86748,1825,514,06649,5065,784,17650,1335,997,38850,2276,055,673
    四国26,7782,731,75927,2782,918,87127,6273,064,29227,6903,157,70127,5203,211,100
    九州37,6224,096,92839,1094,336,42440,4254,499,95741,0554,588,16941,6594,753,373
    福岡30,4623,839,06431,4484,068,98231,9914,126,67032,3784,189,04832,3724,186,872
    沖縄5,913612,4076,141633,4526,342646,8566,437667,9966,532680,303
    合計446,70666,527,341463,52669,618,719475,94571,309,411481,94272,190,245483,23672,514,023

    (単位:件、百万円)

    年度平成16年度末平成17年度末平成18年度末平成19年度末平成20年度末
    局別件数金額件数金額件数金額件数金額件数金額
    関東105,25219,576,399103,60818,952,363101,36618,236,31394,07116,978,49188,04715,889,911
    近畿57,04311,345,60956,02010,956,72455,20110,536,51250,7889,782,41247,2129,146,427
    北海道33,7593,914,55533,1903,800,78832,7003,694,91830,2403,473,36128,3313,247,461
    東北64,4827,717,72963,5497,456,47262,6767,164,86958,5766,718,77854,3746,274,309
    東海39,5077,288,55638,9277,086,67938,4596,902,62636,2106,498,51834,0626,147,222
    北陸19,1532,763,24118,8472,736,07318,5152,690,23317,0922,545,65215,6332,390,535
    中国49,3606,066,53348,5245,942,58947,5555,766,42844,1595,446,36340,5925,103,781
    四国26,6823,172,57626,1023,113,38225,4063,051,51923,3562,870,92521,3292,693,541
    九州41,1014,753,97940,6414,655,58740,1064,548,62937,8684,300,51235,3124,034,175
    福岡31,9034,144,03331,0534,003,13430,1963,901,75727,7243,621,59825,7443,395,279
    沖縄6,550695,5546,615704,0336,595718,9486,368701,0446,172684,262
    合計474,79271,438,764467,07669,407,824458,77567,212,752426,45262,937,655396,80859,006,902
  • (2)貸付金利

    昭和62年3月に資金運用部資金法の一部改正が行われ、その後平成13年3月までの間、郵便貯金、厚生年金保険料及び国民年金保険料等から資金運用部への預託金利は、国債の金利その他市場金利を考慮するとともに、約定期間に応じ政令で利率を定めていた。これに基づき、大蔵(財務)大臣が地方公共団体への貸付金利を決め、預託期間7年以上の預託金利と同率で地方公共団体へ貸付を行っていた。

    財政投融資改革に伴い、平成13年4月からは、預託金利については「約定期間に応じ国債の利回りに即して財務大臣が定める」(財政融資資金法第7条第3項)こととされ、政令での規定を廃止し、市場に連動した条件で利子を付すこととなった。また、貸付金利についても、貸付期間や償還形態に応じ、国債の市場金利を基準として設定することとなり、併せて、従来の固定金利方式に加え、金利見直し方式も選択できることとなった。更に、平成16年度からは、従来の固定金利方式、利率見直し方式について、地方債計画の事業毎に選択できることとなったほか、平成17年度からは、利率見直し方式について、10年毎見直し方式に加えて5年毎見直し方式も導入され、地方公共団体による金利選択の幅が拡大された。

  • (3)財務状況把握の実施

    地方向け財政投融資については、財政制度等審議会財政投融資分科会において、平成16年12月10日に取りまとめた「財政投融資改革の総点検について」の中で、「地方公共団体向け公的資金貸付については、貸付先の財務状況、事業の収益性等を適切にチェックすることが求められる。」と指摘されたところである。

    これらの点を踏まえ、確実かつ有利な運用が義務付けられている財政融資資金の融資主体として、債務者たる地方公共団体の財務状況を的確に把握し、地方向け財政融資資金の融資審査の充実を図るとともに、地方公共団体の財政規律の向上を促していく観点から、平成17年度より地方公共団体(市町村)の財務状況把握を実施することとした。

    【財務状況把握についての基本的枠組み】

    財務状況把握についての基本的枠組みのイメージ

    【財務状況把握業務の流れ】

    財務状況把握業務の流れのイメージ
  • (4)地方向け財政融資資金の繰上償還

    • イ.補償金付繰上償還の導入

      財政融資資金(財政投融資改革以前は資金運用部資金)の貸付は、利ざやを取らずに収支相償うよう運営されていることから、任意の繰上償還に応ずる場合、補償金の支払いが前提となるが、財政投融資改革以前は補償金の概念が十分に確立していなかったことから、財投機関からの繰上償還については基本的に応じないこととしていた。

      しかし、財政投融資改革の議論において、「金融システム改革の進展等を踏まえ、市場メカニズムとの調和を一層促進することが必要」との観点から、補償金の「支払を前提とした繰上償還のルール」の適用を受ける「新しい貸付制度の一層の普及に努めるべき」(平成9年7月23日財政投融資の改革に向けて(資金運用審議会懇談会座長談話))とされ、最終的に平成13年4月の地方公共団体に対するルール導入を最後に全財投機関との間で補償金の支払を前提とした繰上償還ルールを導入し、既往貸付資金についても、追証書を差し入れたうえで補償金を支払えば繰上償還ができることとされた。

    • ロ.補償金免除繰上償還の実施

      上記イのように、補償金の概念が確立した財政投融資改革以後は補償金の支払を前提としない繰上償還が実施されることは想定されていなかった。しかし、本省資金である住宅金融公庫(現在の住宅金融支援機構)、都市再生機構、年金資金運用基金(現在の年金積立金管理運用独立行政法人)について、例外的な措置として、次の要件が満たされた上で透明性のある形で法律に基づいて行われることで補償金免除繰上償還が認められ(平成16年12月23日財政制度等審議会財政投融資分科会了承)、平成17年度から平成21年度まで実施される予定である。

      • (i) 繰上償還の対象となる業務からの撤退を含む抜本的な業務見直しが行われること

      • (ii) 存続する事業との勘定分離を行い撤退事業の経理を明確にすること

      • (iii)事業見直しに伴い、業務運営効率化等の自己努力を担保するため経営改善計画が策定されること

      • (iv) これらを実施することにより、財政融資資金に対する債務の償還確実性を高めることができる等、最終的な国民負担を軽減するために財政融資資金の得べかりし利益(補償金分の利益)の放棄が必要かつやむを得ないと認められること

      また、地方公共団体については、平成18年12月18日の総務大臣・財務大臣間の事前大臣協議において、厳しい財政状況等を踏まえ、平成19年度から平成21年度までの臨時特例措置として、上記住宅金融公庫等の前例に倣い、徹底した行政改革・経営改革の実施等を条件に、地方公共団体に対する財政融資資金の貸付金の一部について、補償金の支払いを免除した繰上償還を最大3.3兆円実施することが合意され、平成18年12月22日財政制度等審議会財政投融資分科会において了承された。

      なお、対象となる地方債は、平成4年5月31日までに貸し付けられた金利5%以上の地方債で、普通会計債における金利5%以上6%未満の地方債の場合は、実質公債費比率が18%以上の団体に限る等、対象団体の要件が定められている。

      当該繰上償還については、これを希望する団体から財政健全化・公営企業健全化へ向けた新規の計画(健全化計画等)を策定・提出させ、財務大臣等の承認を得ることを必要としており、財務省(財務局・財務事務所等)において審査を行い財務大臣等の承認後、各年度3月25日に繰上償還が実施されることとなっている。

      また、承認された健全化計画等については、計画の着実な実施を担保するため、平成20年度以降、各計画承認後5年間における毎年度に執行状況のフォローアップを行うこととされた。

5.資金管理

  • (1)管理事務

    財政融資資金の貸付資金の交付並びに貸付後の管理及び回収等事務のうち、地方資金については財務局等(本局)が手続きを実施している。具体的には、地方公共団体からの借入れ(若しくは借換え)申込みの受付、貸付金元帳等への登記に関する事務、償還年次表の作成及び送付、納入告知書等の発出を財務省理財局へ請求すること等が挙げられる。

  • (2)電子計算機の活用

    地方資金の平成20年度末残高件数は約397千件にも上る。この地方資金の元金の回収及び利子の徴収に関する事務は、正確かつ迅速に処理しなければならないが、これらの事務処理に必要な書類は多種多様にわたり、内容も複雑なものが多い。

    このような状況の下で、事務の簡素化合理化を図るために、昭和41年度に「地方貸付金管理システム」を開発、電算化が行われた。以来、電算処理に対する需要の増加及び地方資金のより一層の効率的管理運用等処理システムへの期待及び要請の高まりに対応するため、累次システムの強化を図っている。

    また、平成14年6月の政府の「e-JAPAN重点計画2002」に基づく「財務省行政手続等の電子化推進に関するアクション・プラン」の一環として、借入申込書をはじめ、各種申請のオンライン化や、電子納付による元利金の支払いを可能にする等、関係機関の事務の合理化・効率化を推進する目的で平成15〜16年度に集中してシステム開発が行われ、「財政融資資金オンラインシステム」(以下、「オンラインシステム」という。)が平成17年6月から運用を開始している。なお、これに併せて、貸付資金の交付は、財務省会計センターの歳入歳出外現金の出納に関する共同利用システムを利用して団体の指定口座に直接振り込むこととなり、また、償還金及び利子等歳入金の出納は理財局長口座に集約された。

    起債申請から充当・貸付に至るまでの計数管理及び各種帳票等の作成に対応するため、平成2年度から開発されていた「財務局地方債管理システム」については、オンラインシステムの稼動に伴い、同システムと連係して動作していたが、平成17年度に策定された「財政融資資金関連業務の業務・システム最適化計画」に基づき、平成20年11月25日から、クライアントパソコンから地方拠点サーバを通じて本省の集約サーバに接続する方式から、地方拠点サーバ、データベースの統合(本省一括管理)が図られ、オンラインシステムと同様のWEB構成により、オンラインシステムの一機能として提供されるシステムとなった。

    更に、オンラインシステムは、最適化計画に基づき、平成21年度に、汎用受付口の構築、証書の電子化等の最適化が図られている。

6.貸付先実地監査

貸付資金の使用及び経理の状況並びにその他財務に関する事項等を実地に赴き把握することにより、貸付資金の使用の適正化を図り、以って財政融資資金の効率的運用に資するため、「貸付先実地監査」を実施している。

地方資金に対する実地監査の実施からその結果の処理に至る事務手続きについては、従来から規程等が整備されているが、平成12年12月28日付蔵理第4444号をもって「財政融資資金地方資金貸付先実地監査細則」(以下、「監査細則」という。)が、同日付蔵理第4446号をもって「財政融資資金地方資金貸付先実地監査実施要領」(以下、「実施要領」という。)が、同日付蔵理第4448号をもって「財政融資資金地方資金貸付先実地監査の結末処理に関する審査基準」(以下、「結末処理基準」という。)がそれぞれ全面改正されている。

これは、財政投融資改革に伴い平成13年4月1日から「資金運用部資金」が「財政融資資金」に改められること等への対応に加え、中央省庁改革のスタートに併せた平成13年1月5日付の財務省組織規程の制定に当たり、昭和60年7月1日の省令等の改正による管理事務等の局集中以降、財務局等(本局)で実施していた「貸付先実地調査」を一般的な調査にとどまらないとの主旨で「貸付先実地監査」に改めるとともに、財務局・財務事務所にそれぞれ「資金実地監査官」の機構を置くことにより、財務事務所の貸し付けた資金のうち市町村等分については、財務事務所で監査を行うとの充実策が執られたことに対応するものである。

更に、平成17年12月の「財政投融資改革の総点検フォローアップ」において、実地監査については、「これまで貸付対象事業の適債性に係る非違のチェックが中心であったが、今後は公営企業の経営状況の確認等に重点をシフトしていくことが望ましい」との指摘があり、これを踏まえ、「実施要領」の実地監査事項に関する規定に、従来から実施していた財政に関する事項の監査の充実のため「普通会計の財務状況」を明記する(平成18年4月1日)、公営企業会計等の経営状況等の確認を徹底するため「公営企業会計に係る事業計画(中略)等の作成状況及びその経営状況」を明記する(平成18年11月22日)等の所要の改正が行われ、実地監査の実務にそれぞれ反映された。

しかしながら、これらの経緯を経てなお、公営企業の経営状況の確認については手法が未熟である等本格的な導入には至っていないことから、平成20年度からは、マル1貸付対象事業の適債性の確認については、一定の要件に該当する場合には帳簿等の確認を省略できることとする等抜本的に簡素化することにより、マル2公営企業については、貸付金の償還確実性の確保を図る観点から経営状況の実態を把握及び評価することに重点を置くものとし、マル3実地監査の結果、当該企業の経営状況が悪化している場合等には、要処理事案の善後措置として文書照会等を行い、経営状況改善のための取組みを含め報告を求めることとしている。

このマル1マル2の実施のため「監査細則」に「公営企業経営状況ヒアリングシート」が規定される等、所要の改正が行われたほか、マル3の実施のために、新たに「財政融資資金地方資金貸付先実地監査の公営企業の経営状況に係る結末処理に関する審査基準」が制定されるとともに、従来の「結末処理基準」は、「財政融資資金地方資金貸付先実地監査の貸付資金の使用状況等に係る結末処理に関する審査基準」に改正された。

実地監査の年度別実績は次表のとおりである。

【財政融資資金(資金運用部資金)地方資金貸付先実地監査年度別実績】

(単位:団体、件、百万円)

年度

区分

1011121314151617181920








実地監査実績監査実施団体数749718733785825869875719599388367
監査対象資金件数5,4675,0215,1605,2935,2705,8486,4316,5275,0763,0031,832
不備不当事項処理実績不備不当事項のあった団体5155571009411210993583419
繰上償還           
件 数8411892412391
金 額253194134119282470985814455
その他不備不当事項件数777987140139153139129774724









実地監査実績監査実施企業数          924
要処理事案処理実績要処理事案のあった企業数          122
文書照会          60
文書注意          62

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