財務省財務局60年史 【第2章 理財編】

第3節 証券事務


1.証券動向

平成13年以降、行政改革や金融システムの改革により、証券市場と証券行政の関係は大きく変遷している。証券市場の規模はバブル経済期に比して相対的に縮小しているが、自由競争市場として成熟を追及しており、証券行政は金融行政の一環として市場の構造改革を進めたところである。そういった状況の下、平成12年のITバブルの崩壊後沈滞していた株式市場は、平成15年半ばから回復基調にあったが、平成19年7月の米国サブプライムローン問題が、我が国の市場にも深刻な影響を与えた。

平成13年8月に公表された「証券市場の構造改革プログラム」は、個人投資家が証券市場に積極的に参加することを目指し、平成14年8月に公表された「証券市場の改革促進プログラム」は更に市場機能を中核とした金融システムを作り上げるために、証券会社の最低資本金の引下げ、販売代理店制度(証券仲介業)の導入、小額投資の促進、証券決済システムの整備等が進められることとなった。また、平成16年12月には銀行の証券仲介業への参入が解禁された。

平成16年12月の「金融改革プログラム」は「金融システムの活力」を重視した金融行政への転換が意識されるものとなっており、証券市場においても、利用者保護ルール等の整備・徹底、市場機能の充実とその信頼性の向上が求められた。金融・投資サービスに関する横断的な法制が求められたことから証券取引法が改正され、平成19年9月に金融商品取引法が施行された。主な改正内容は、利用者保護ルールの徹底と利用者利便の向上、貯蓄から投資に向けての市場機能の確保及び金融・資本市場の国際化への対応を図ることを目的とし、投資性の強い金融商品を幅広く対象とする横断的な制度の整備、開示制度の拡充、開示書類の虚偽記載及び不公正取引の罰則強化等、取引所における自主規制機能の強化等となっている。

  • (1)債券市場

    • イ.債券市場の動向

      発行市場は、依然として国債が債券市場の中核的な存在となっているものの、国債の発行額は減少傾向にある。地方債は、地方自治体の財政悪化や公募地方債の発行増加から、増加傾向にある。一方、社債の発行額は平成10年度をピークとして減少しているが、その背景として、投資家が信用リスクに敏感になり、国債へシフトしていること、景気回復により外部資金調達のニーズが低下していること等が挙げられる。また、財政投融資制度の改革に伴い、平成12年度に初めて住宅金融公庫が財投機関債を発行した後、発行額は着実に伸びている。なお、平成19年11月には40年債の国債が発行された。

      国債の発行は増加を続けていたが、平成17年度の165兆円をピークに減少に転じ、平成20年度は127兆円となったものの、残高は平成10年度末の295兆円が平成20年度末には553兆円と倍増している。

      公社債の流通市場の店頭売買高も拡大している。平成10年は2,607兆円の売買高があり、平成14年に一度落ち込んだものの、平成18年以降、国債の発行が大きく増加したことなどから、平成20年は11,288兆円と平成10年の約4倍の規模となっている。売買高が大きく拡大している要因としては、国債が大量に発行され、残高が大きく増加してきたこと、金融機関等が引き受けた国債を資金繰り等のために売却を要したこと、証券会社、金融機関等が売買益を目的に積極的に取引を行ってきたこと等が挙げられる。

    • ロ.公社債の振替決済制度

      近年、公社債の取引が大量に行われている状況や、その決済処理を機動的、迅速に行う必要性等が生じ、証券の引渡しを必要とする現物債や、特定の登録簿への記載等を要する登録債によることは問題が生じてきたこと等から、決済制度の見直しの必要性が高まってきた。更に、我が国の証券市場全体の国際競争力を左右する制度的基盤ともいえる証券決済システムを、より安全で効率性の高いものに改革していくことが急務であるとの認識が高まってきた。このような状況を背景として、平成14年6月に成立した「証券決済システム改革法」により、証券のペーパーレス化、決済の迅速化、決済リスクの低減等を目的として、「社債等の振替に関する法律」が改正され、公社債の振替決済制度が措置された。平成15年1月より、国債について新たに日本銀行による国債振替決済制度が開始され、また、平成18年1月より、国債以外の公社債について株式会社証券保管振替機構による一般債振替決済制度が開始され、ペーパーレス化が図られているところである。

  • (2)株式市場

    この10年間の歴年の動向の概括は次のとおりである。

    平成11年は、日経平均株価の始値は13,415.89円からスタートしたが、ゼロ金利政策や大手銀行への公的資金注入、景気回復期待への高まりを受けて株価は上昇し、年末には18,934.34円の年間最高値を記録し4年ぶりに年初水準を上回って取引を終了した。同年の東証1日平均売買高は6.3億株であった。

    平成12年は、夏場以降は景気先行き不安材料が重なり、株価は下落基調に転換し、年末には13,785.69円となって取引を終了した。同年の東証1日平均売買高は7.0億株であった。

    平成13年は、前年に引き続き輸出の低迷等により景気悪化の状況に陥り、また、夏場以降に民需の低迷が顕著となったほか、輸出の減速が進み、国内景気は一段と鈍化した。年初13,691.49円からスタートした株価は、実体経済の悪化から下落基調となり、9月には米国同時多発テロ事件等の影響から急落し、結局10,542.62円で取引を終了した。同年の東証1日平均売買高は8.3億株であった。

    平成14年は、我が国の金融システムに対する不安、米国株式市場の急落等、依然として先行き不透明感が強い状態で推移し、株価は前年に引き続き下落基調であった。同年の東証1日平均売買高は8.7億株であった。

    平成15年は、大手銀行の不良債権問題等による金融不安、イラク戦争並びに新型肺炎(SARS)等の国内外の不安要素が重なった影響から株価は下落基調をたどり、4月28日には、7,607.88円を記録した。しかし、5月以降、大手銀行に対する公的資金投入を契機に金融不安が解消されるとともに、米国景気回復期待から上昇に転じ、10,676.64円と4年ぶりに前年末の水準を上回って取引を終了した。同年の東証1日平均売買高は12.9億株であった。

    平成16年は、不良債権処理が進展する等、日本経済再生への期待が高まったことにより、株価は4月26日に年間最高値の12,163.89円を記録したが、年後半は国内景気の減速感、原油先物価格の上昇や為替相場での円高・ドル安が進行する等、弱含む展開となり、年間高値・安値の差が1,800円の狭い範囲にとどまる膠着相場となった。同年の東証1日平均売買高は15.4億株であった。

    平成17年は、株価は5月17日の年間最安値の10,825.39円を底に上昇傾向となり、好調な企業収益見通しや海外投資家の旺盛な投資から、年末には16,344.20円にまで一本調子で上昇した。同年の東証1日平均売買高は22.8億株で、11月8日の東証1部売買高は45億5800万株と過去最高を記録し、1980年代のバブル期の5倍となった。

    平成18年は、年央まで外部環境の先行き不透明感を背景に外国人の売りが続き、6月13日に年間最安値の14,218.60円をつけた。その後は、景気回復期待感からおおむね上昇基調で推移した。同年の東証1日平均売買高は20.3億株であった。

    平成19年は、年後半以降、米国サブプライムローン問題の深刻化とそれに端を発する世界的な金融・資本市場の混乱、原油価格の高騰、その他穀物等の原材料価格の高騰による海外要因のほか、国内における住宅着工の大幅な落ち込み等、国内要因が多数存在した。これらの要因を背景に、市場の先行きが不透明となり、株価は7月の年間最高値18,261.98円から低下基調で推移して15,307.78円で取引を終えた。同年の東証1日平均売買高は22.9億株であった。

    平成20年は、年央まで一進一退の動きであったが、景気先行き不透明感から、株価は6月以降、対前月末比で11月まで下落を続けた。9月には米国のリーマン・ブラザーズの破綻に端を発し、世界的な金融不安や景況感の悪化から10月27日に年間最安値の7,162.90円をつけ、バブル後最安値を更新する展開となった。同年の東証1日平均売買高は22.7億株であった。

    平成20年末現在の外国証券会社は28社で、東京証券取引所の総合取引参加者としては12社となっている。

2.金融商品取引所の振興

全国証券取引所別株式売買高に占める各証券取引所の売買シェアは、次のとおりである。

【証券取引所の売買取引高シェア(平成20年)】

(単位:%)

取引所東京大阪名古屋福岡札幌ジャスダック
売買シェア96.201.800.000.000.001.97

この10年の株式市場の概括は、前述(第2章−第3節−1-(2)株式市場)のとおりであり、平成12年4月に日経平均株価が20,833.21円の高値をつけた後、平成13年9月の米国同時多発テロ事件、平成19年8月の米国サブプライムローン問題、平成20年9月の米国のリーマン・ブラザーズの破綻等の影響による景気先行き不透明感・金融不安から徐々に株価は下落を続け、平成21年3月には1982年10月以来27年ぶりの水準となる7,054.98円の安値を記録した。

この10年における各取引所の取組みは、以下のとおりである。

地方証券取引所の合併が進められ、平成12年3月に広島及び新潟証券取引所が東京証券取引所と、平成13年3月に京都証券取引所が大阪証券取引所と合併した。

また、組織体制面では、一部の証券取引所及び金融先物取引所が株式会社に組織変更している。

大阪証券取引所(平成13年4月)

※ 平成14年4月、ヘラクレス市場に上場

東京証券取引所(平成13年11月)

名古屋証券取引所(平成14年4月)

東京金融先物取引所(平成16年4月)

※ 平成19年9月、東京金融取引所へ名称変更

また、新設としては54年ぶりとなるジャスダック証券取引所が平成16年12月に市場業務を開始した。

このほか、新興企業向け市場が各証券取引所に創設された。

名古屋証券取引所:セントレックス(平成11年10月)

東京証券取引所:マザーズ(平成11年11月)

札幌証券取引所:アンビシャス(平成12年4月)

福岡証券取引所:Q−Board(平成12年5月)

大阪証券取引所:ヘラクレス(平成14年12月)

※ 平成12年5月創設のナスダックジャパンを名称変更

ジャスダック証券取引所:NEO(平成19年8月)

証券取引所における新商品の導入についてみると、東京証券取引所等において株価指数連動型のETF(上場投資信託受益証券、平成13年7月)、REIT(不動産投資信託証券、平成13年9月)が上場された。

なお、各証券取引所及び日本証券業協会が共同で設立した統一清算機関である株式会社日本証券クリアリング機構が平成15年1月に発足し、現物取引に係る清算業務の一元化・効率化が図られた。

3.証券監督行政

平成8年11月、橋本総理の指示の下、「フリー・フェア・グローバル」というビッグバンの理念が法律の施行を待たずに浸透したことにより、平成9年の総会屋グループへの利益供与問題等の証券不祥事が、それまでの同種の事件とは全く比較にならないほど大きな社会問題として報道され続けたのは、金融取引の公正さに対する社会の要求水準が一挙に厳格になったことを反映している。また、平成9年秋の三洋証券、北海道拓殖銀行、山一證券と続いた大型破綻は、破綻に至る実質的要因はそれぞれ異なるが、いずれも市場の評価に耐え得なくなったことを直接の契機としていた。その後、金融行政と金融業界の意思疎通の態様としても、より厳格で透明性の高いものが求められることとなった。

こうした中、平成10年半ばに成立したいわゆる金融システム改革法(いわゆる日本版ビッグバン)は、それまでの業界コンセンサスを得ながら、漸進的に規制緩和を進めてきたものを、当時として考え得る範囲で一気に抜本的に実行し、金融面から日本経済の構造改革を促そうという試みであった。

証券取引所集中義務の撤廃や未上場株の取扱解禁等、証券会社の免許制から登録制への移行や委託手数料自由化等、市場仲介者の資格や業務範囲の見直し、店頭デリバティブや私募投信・会社型投信等、多様な投資対象の品揃えといった、メニューとしては米国並みの整備が行われた。そこで、主に意図したのは、東京をニューヨーク、ロンドン並みにという市場改革であった。

その後も、市場の国際化は常に意識され続けてきた課題の一つであり、平成19年の金融商品取引法施行や金融資本市場競争力強化プランの策定等、証券行政面においても多くの制度改正が実施されてきている。

最近の主な制度改正等は次のとおりである。

  • (1)証券仲介業制度の導入

    平成14年6月、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」が閣議決定され、「預貯金中心の貯蓄優遇から株式・投信などへの投資優遇への金融のあり方の転換を踏まえた直接金融へのシフトに向けて、個人投資家の証券市場への信頼向上のためのインフラ整備など、証券市場の構造改革を一層推進していく」こととされた。

    これを踏まえ、金融庁は同年8月6日に「証券市場の改革促進プログラム」を公表した。このプログラムは、マル1誰もが投資しやすい市場の整備、マル2投資家の信頼が得られる市場の確立、マル3効率的で競争力のある市場の構築という三つの柱に沿って、発行体である企業、市場仲介者、市場開設者、投資家に関する制度の改革についての包括的取組みを定めたものである。

    更に、同年12月16日、金融審議会第一部会において「証券市場の改革促進」の報告を公表し、基本的考え方において、「証券市場を幅広い投資家の参加する真に厚みのあるものとし、市場機能を中核とした我が国金融システムの中心を担うものとしていくため、『証券市場の改革促進プログラム』や各ワーキング・グループの報告を踏まえ、証券市場の構造改革の一環として、市場仲介者、ディスクロージャー、取引所について、基本的考え方に基づく制度整備を行うことが必要である。」とされ、その基本的考え方として、特に、市場仲介者については、「投資家にとって、アクセスが容易で、かつ、質の高い多様な金融サービスの提供が行われるようにすることが必要である。近年、インターネットを通じた証券取引が活発となっているが、他方で、証券会社の営業店を通じた取引にも引き続き根強いニーズがある。証券会社の店舗網が限られていることから、投資家の証券市場へのアクセスを一層容易にするため、銀行と証券会社の共同店舗や銀行における証券取引の書面取次ぎが既に実施されたところであるが、これに加えて、投資家保護に十分配意しつつ、証券会社の代理店制度(仮称)を導入することが適当である。」とされた。

    平成15年5月に公布された証券取引法等の改正により、金融機関以外の者が内閣総理大臣の登録を受けて、証券仲介業を営むことを可能とした制度を導入(平成16年4月施行)。

    証券仲介業制度の導入により、証券会社等の販売チャネル機能が拡充され、投資者の証券会社等へのアクセスが容易となるとともに、証券会社の最低資本金の引下げとあいまって競争を通じたサービスの多様化が期待され、多様な投資者の幅広い証券市場への参入が促進されると考えられたものである。

    平成15年5月公布の改正証券取引法においては、銀行等の企業に対する影響力に鑑み、有価証券の公正な取引を阻害する恐れがあること等から、同法第65条において原則として証券業務を行うことが禁止されており、証券仲介業についても金融機関が融資先の発行する株式を媒介する場合等には同様の懸念が生じ得ることから、金融機関については証券仲介業が認められなかったが、平成16年6月に公布された証券取引法等の改正において、銀行等(登録金融機関)にも証券仲介業が解禁された(平成16年12月施行)。

  • (2)外務員登録制度の改正

    平成15年5月に公布された証券取引法等の改正により、証券仲介業制度のほか、外務員登録制度にも改正が加えられている。

    従来から外務員については、その責任の所在を明確にする等の観点から、1社専属制とされ、複数の証券会社への登録が認められておらず、証券仲介業者についても外務員制度が採用され、証券仲介業者と証券会社との間の外務員の二重登録も同様の趣旨から禁止された。

    外務員の登録事務について、証券業協会(現在の金融商品取引業協会)に所属する証券会社の外務員は、その所属する証券業協会に対し委任することができるとされていたが、証券業協会に所属していない証券会社の外務員は内閣総理大臣自らが行う必要があった。しかし、事務効率化の観点から、証券業協会に所属していない証券会社の外務員の登録事務についても証券業協会を一つ定めて、その証券業協会に対して委任することができることとされた。

    一つの証券業協会を定めて委任することとされたのは、複数の証券業協会が存在した場合に、いずれの証券業協会にも属さない証券業協会の外務員に関する登録事務を委任する場合に、当該証券会社にとって、どこの証券業協会に外務員の登録を委任すれば行えばよいかが明らかではなくなることから、委任を受けて登録事務を行う証券業協会を一つに定めることとされたものである。

    また、登録金融機関についても同様に外務員登録制度が採られており、法令上準用されているため、登録金融機関の外務員の登録事務についても従来どおり証券業協会に委任することができることとされた。

    外務員の登録事務について、登録金融機関のうち、信用金庫、信用組合や農業協同組合等の大部分は、証券業協会に加入していないため、各財務局等が各外務員の登録事務を直接行っているところ。

  • (3)課徴金制度の導入

    平成16年6月に公布された証券取引法等の改正において、新たに課徴金制度が導入された(平成17年4月施行、公認会計士法については平成20年4月施行)。この制度は、従来の刑事罰と異なり、行政上の措置として、法令違反行為を行った者に金銭的な負担を科すことで、違反の防止を図る趣旨とされ、有価証券届出書等の発行開示書類の虚偽記載のほか、風説の流布や偽計取引、相場操縦、インサイダー取引等がその対象とされている。

    課徴金制度の対象とされている行為は、いずれも以前から証券取引法によって禁じられており、そのほとんどが既に刑事罰の対象とされていたものである。しかし、刑事罰には謙抑性・補充制の原則(刑事罰は重大な結果を伴うことから、人権保障等の観点から、刑事罰を用いなくても他の手段で法目的を達成することができる場合は、刑事罰の発動は控えるべきだという考え方)が存在していることから、規制の実効性確保のための新たな手段として、刑事罰に加え、インサイダー取引等の証券取引法違反行為の抑止を図り、証券取引法制度の実効性を確保するという行政目的達成のため、証券取引法の一定の規範の違反者に対して、金銭的負担を課す行政上の措置としての課徴金制度が平成17年4月から導入された。

    課徴金制度の流れについては、法令違反行為が疑われる場合には、証券取引等監視委員会が調査を行い、実際に違反行為があると認められる場合、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金納付命令を発出するよう勧告する。勧告を受けて、金融庁長官(内閣総理大臣から委任)は審判手続開始決定を行い、審判官が審判手続きを経た上で、課徴金納付命令決定案を作成し、金融庁長官(内閣総理大臣から委任)に提出する。金融庁長官(内閣総理大臣から委任)は、決定案に基づき、課徴金納付命令の決定を行う。

    【課徴金納付命令までの流れ】

    課徴金納付命令までの流れ
  • (4)最良執行制度の導入

    平成16年6月に公布された証券取引法等の一部を改正する法律において、取引所取引原則(顧客が明示しない限り取引所において執行すること)を見直し、証券会社の最良執行義務を導入するとともに、PTS(私設取引システム)に取引所と同じオークションによる価格決定方法を認めることとした(平成17年4月施行)。

    これは、平成10年の金融システム改革法において、市場間競争を促進する観点から、取引所集中義務を撤廃し、取引所外取引としてPTSを導入したが、この改正時点まで、PTSにおける株式取引が低迷しているのは、取引所(とりわけ東京証券取引所)の流動性、利便性が高いこともあるが、制度的に取引所を優先していることにも原因があるとの指摘があった。

    最良執行義務の内容としては、大多数の投資家にとって、取引所で執行することが利益に合致している実情を踏まえ、価格のみならず、コスト、スピード、執行可能性等様々な要素を総合的に勘案し執行する義務とし、具体的な執行方法は証券会社自らが定めて顧客に示す、そしてその通り執行されているかどうか検証するための報告・公表を一層充実させることとされた。

  • (5)外国為替証拠金取引の規制対象化(金融先物取引法の改正)

    平成16年12月に公布された金融先物取引法等の改正において、外国為替証拠金(FX)取引を取り扱う業者を「金融先物取引業者」の定義に含め、規制対象(登録制)とするとともに、取引を行う顧客を保護するために必要な規制の整備を行うこととした。

    FX取引とは、一般に、証拠金を差し入れて外国通貨の売買を差金決済で行う取引である。平成10年に改正された外国為替及び外国貿易法により外国為替業務が完全自由化されて以降、外国為替証拠金取引を取り扱う業者の数は増加し、商品先物会社や証券会社のほか、業法による監督を受けない専業会社も数多く参入した。

    市場規模の拡大とともに、FX取引を巡るトラブル・苦情も増加し、その主な原因は、業者の執拗な勧誘や断定的判断の提供、説明不足、無断売買等の不公正な取引、決済後のトラブル(出金依頼しても拒否される等)であるといわれた。訴訟にまで発展するケースも少なからず見受けられ、中には業者の不法行為責任を認め、顧客の損害賠償請求を全額認容した事例もあった。

    このような状況に鑑み、平成16年6月23日公表された金融審議会第一部会「外国為替証拠金取引に関する規制のあり方について」報告において、FX取引に基づく被害の拡大を防止するため、FX取引が先物取引と同様の性質を有するデリバティブ取引であると整理し、金融先物取引法を改正することにより、FX取引を取り扱う業者に対し、金融・証券先物取引に関するルールに倣ったルールに基づいて、行政による監督がなされるよう措置することが妥当であると判断がなされた。

  • (6)証券取引法から金融商品取引法へ

    平成18年6月7日、第164回国会において、「証券取引法等の一部を改正する法律」及び「証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」が可決・成立し、同年6月14日に公布された。

    これらの法律は、金融審議会金融分科会第一部会報告「投資サービス法(仮称)に向けて」(平成17年12月22日)を受け、証券取引法を改組して「金融商品取引法」とする等の法整備を行うことにより、金融・資本市場をとりまく環境に対応し、利用者保護ルールの徹底と利用者利便の向上、「貯蓄から投資」に向けての市場機能の確保及び金融・資本市場の国際化への対応を図ることを目的とするものである。

    この法整備は、「包括化・横断化」、「柔軟化(柔構造化)」、「公正化・透明化」及び「厳正化」をキーワードとして、次の四つの柱からなる。

    • I.投資性の強い金融商品に対する横断的な投資者保護法制(いわゆる投資サービス法制)の構築

    • II.開示制度の拡充

    • III.取引所の自主規制機能の強化

    • IV.不公正取引等への厳正な対応

    • <平成18年6月成立の改正証券取引法等の主な内容>

      • I.投資性の強い金融商品に対する横断的な投資者保護法制(いわゆる投資サービス法制)の構築

        • マル1 「証券取引法」から「金融商品取引法」へ

          この法整備では、現行の縦割り業法を見直す観点から、金融先物取引法等の4法律が廃止され、証券取引法に統合された。また、投資信託及び投資法人に関する法律をはじめ89法律を改正しており、その改正規定の一部が証券取引法に統合された。

          これにより、証券取引法は、従来よりも幅広い金融商品を対象とする法律となることから、名称についても「金融商品取引法」に改正した。

        • マル2 規制対象商品の拡大規制対象業務の横断化

          近年、金融技術の進展等を背景として、証券取引法その他の既存の利用者保護法制の対象となっていない金融商品が出現しており、利用者被害が生じている事例も見受けられた。金融商品取引法では、こうした既存の利用者保護法制の「隙間」を埋める観点から、次のように、規制対象商品の拡大を図った。

          • ア)有価証券の範囲の拡大

            従来の証券取引法の規制対象商品である「有価証券」の範囲を拡大し、例えば、信託受益権の全般を有価証券とみなし(法第2条第2項第1号及び第2号)、また、いわゆる集団投資スキーム(ファンド)の持分を包括的に有価証券と位置付ける(法第2条第5号及び第6号)。

          • イ)規制対象となるデリバティブ取引の範囲の拡大

            従来の証券取引法では、有価証券関連の「デリバティブ取引」のみが規制対象とされていたが、金融商品取引法では、金融先物取引法の対象である取引(例えば、外国為替証拠金取引)をはじめ、幅広い資産・指標に関する取引や様々な類型の取引を規制対象とした。いわゆる通貨・金利スワップ取引や天候デリバティブ取引についても、規制対象とした(法第2条第20項〜第25項)。

          【規制対象商品】(出典:アクセスFSA第44号)

          規制対象商品
        • マル3 規制対象業務の横断化

          従来の証券取引法は、有価証券・デリバティブ取引に関する「販売・勧誘」業務を「証券業」と位置付け、基本的に登録制により規制している。金融商品取引法では、縦割り業法を見直し、証券業のほか、幅広い業務を「金融商品取引業」と位置付け、登録制により横断的に規制することとした(法第2条第8項及び第29条)。

          • ア)「販売・勧誘」業務

            金融商品取引法では、前述(第2章−第3節−3−(6)−ローマ数字1マル2規制対象商品の拡大規制対象業務の横断化)のように有価証券・デリバティブ取引の範囲を拡大することに伴い、例えば、従前、金融先物取引法で規制されている金融先物取引業を統合する等、規制対象業務(金融商品取引業)の範囲を拡大。

            また、証券取引法では、有価証券の発行者自身による「販売・勧誘」(いわゆる自己募集)は規制対象とされていなかったが、金融商品取引法では、集団投資スキームの持分等の自己募集について、新たに規制対象業務と位置付けた(法第2条第8項第7号)。

          • イ)「投資助言」、「投資運用」、「顧客資産の管理」業務

            金融商品取引法では、有価証券・デリバティブ取引に関する「販売・勧誘」のほか、「投資助言」「投資運用」「顧客資産の管理」についても、本来業務として規制した。

            なお、集団投資スキームの財産を主として有価証券又はデリバティブ取引への投資として運用する業務(いわゆる自己運用)についても、規制対象となることを明確化した(法第2条第8項第15号)。

          【規制対象業務の横断化】

          規制対象業務の横断化
        • マル4 業務の内容に応じた参入規制の柔軟化

          金融商品取引法においては、前述(第2章−第3節−3−(6)−ローマ数字1マル3規制対象業務の横断化)のように金融商品取引業を登録制により横断的に規制する一方で、業務内容の範囲に応じて金融商品取引業を区分し、各区分に応じて、個人による参入の可否や財産的基礎要件等、参入規制(登録拒否要件)を規定した(法第29条の4)。

          金融商品取引業者が、その行っている業務とは異なる区分の業務に参入しようとする場合は、変更登録の手続を受ける必要がある(法第31条4項)。







          第一種金融商品取引業流動性の高い有価証券の販売・勧誘や顧客資産の管理の業務等
          第二種金融商品取引業流動性の低い有価証券の販売・勧誘の業務等
          投資運用業投資運用に関する業務
          投資助言・代理業投資助言に関する業務等
        • マル5 金融商品取引業者等が遵守すべき行為規制の整備

          金融商品取引法では、主として投資者保護の観点から、金融商品取引業者等に対して、行為規制を定めている。

          • ア)「販売・勧誘」業務に係る行為規制

            金融商品取引業者等が有価証券・デリバティブ取引の「販売・勧誘」を行う際に遵守すべき行為規制としては、広告等の規制、契約締結前の書面交付義務、契約締結時の書面交付義務、損失補てん等の禁止、適合性の原則等の行為規制がある。

          • イ)「投資助言」、「投資運用」、「顧客資産の管理」業務に係る行為規制

            金融商品取引業者等が「投資助言」や「投資運用」を行う際には、顧客への忠実義務や善管注意義務(法第41条及び第42条)等が適用される。

            金融商品取引業者等が「顧客資産の管理」を行う際には、善管注意義務や分別管理義務(法第43条ないし第43条の3)等が適用される。

        • マル6 顧客の属性に応じた行為規制等の柔軟化

          従来の証券取引法等に基づく行為規制は、投資家の属性にかかわりなく一律に適用されていた。これに対し、金融商品取引法では、利用者保護を前提としつつ、リスク・キャピタル供給の円滑化も両立させるといった観点から、次のような制度を整備した。

          • ア)「特定投資家」(プロ)と「一般の投資家」(アマ)の区分

            投資家のうち、適格機関投資家、国、日本銀行及び投資者保護基金その他の内閣府令で定める法人は、特定投資家(プロ)と位置付けられる(法第2条第31項)。

            これらのうち、内閣府令で定める法人(上場会社等)は、金融商品取引業者等に申し出ることにより、所要の手続を経て一般の投資家として取り扱われることも可能とされる(法第34条の2)。

            一般の投資家に該当する法人は、金融商品取引業者等に申し出ることにより、所要の手続を経て特定投資家として取り扱われることも可能とされる(法第34条の3)。

            個人は、基本的にすべて一般の投資家となるが、知識・経験・財産等の状況に照らして特定投資家に相当する者として内閣府令で定める要件に該当する個人等は、金融商品取引業者等に申し出ることにより、厳格な手続きを経て特定投資家として取り扱われることも可能とされる(法第34条の4)。

          • イ)特定投資家に対する特例

            金融商品取引業者等が特定投資家との間で取引を行う場合には、例えば「契約締結前の書面交付義務」のように、情報格差の是正を目的とする行為規制の適用を除外している(法第45条。他方、損失補てん等の禁止のように、市場の公正確保を目的とする行為規制は、適用除外とされない。)。

            (参考)適格機関投資家等特例業務について

            金融商品取引法では、集団投資スキーム持分に関する自己募集・自己運用を行う者には金融商品取引業の登録を求めている(前述第2章−第3節−3−(6)−ローマ数字1マル2、−マル3参照)が、健全な活動を行うファンドを通じて金融イノベーションを促進する観点から、特定投資家(プロ)向けのファンドに関する業務については、登録を求めないこととしている。

            具体的には、適格機関投資家及び適格機関投資家以外の者であって政令で定める人数以下の者を投資家とする場合が該当する。こうした業務を行う者は、その実態把握が可能となるよう「特例業務届出者」として届出制とし、損失補てん等の禁止など限定的な行為規制が適用される。(法第63条)

        • マル7 投資性の強い預金・保険の取扱い

          この法整備では、同じ経済的機能を有する金融商品には同じ利用者保護ルールを適用するとの考え方の下、金融商品取引法以外にも関係各業法を改正し、利用者保護のための横断的な法制の整備が図られた。

          • ア)預金・保険・信託等

            金融商品のうち預金・保険・信託等は、銀行法・保険業法・信託業法等で規制されていることから、金融商品取引法の直接の規制対象とはなっていないが、投資性の強い預金・保険・信託等の「販売・勧誘」業務については、金融商品取引法と同等の行為規制が適用されるよう、各業法を改正した。

            例えば、銀行法においては、銀行等が行う「特定預金等契約」(金利・通貨等の変動により元本欠損が生ずる恐れがある預金・定期積金等として内閣府令で定めるもの(外貨預金・デリバティブ預金))の「販売・勧誘」について、金融商品取引法に定める行為規制を準用した(改正銀行法第13条の4等)。

          • イ)不動産特定共同事業

            不動産特定共同事業は、不動産特定共同事業法において不動産固有の規制が数多く定められていることから、引き続き同法において規制することとして金融商品取引法の規制対象からは除外されている(金融商品取引法第2条第2項第5号ハ)一方、金融商品取引法と同等の行為規制が適用されるよう、不動産特定共同事業法を改正。

          • ウ)商品先物取引

            商品先物取引は、商品市場に関する制度としての側面があることから、引き続き、商品取引所法において規制することとして金融商品の規制対象としない旨を明示した(金融商品取引法第2条第24項第4号及び第25項第3号)一方、金融商品取引法と同等の行為規制が適用されるよう、商品取引所法を改正。

        • マル8 利用者保護のためのその他の制度整備

          • ア)金融商品の販売等に関する法律

            平成12年に制定された金融商品の販売等に関する法律(以下、「金融商品販売法」という。)は、預金・保険・有価証券等の幅広い金融商品の販売に関し、民法の損害賠償規定の特則を定める法律である。同法では、業者が金融商品の販売を行う際に顧客に説明すべき事項を定め、業者が当該説明を行わなかった場合には、当該金融商品に関する元本欠損額を損害額と推定して、業者に損害賠償責任が生じる旨を定めている。

            この法整備では、利用者にとって、より使いやすいものとするための改正を行っている。具体的には、例えば、業者の説明義務について、

            • ・ 現行法が定める「元本欠損が生じるおそれがあるとき」に加えて、「当初元本を上回る損失があるとき」についても説明対象に追加し、

            • ・ 「取引の仕組みのうち重要な部分」を説明事項に追加するほか、

            • ・ 業者が説明義務を尽くしたかどうかの解釈基準として、適合性の原則の考え方を取り込み、顧客の知識・経験・財産の状況及び契約締結の目的に照らして当該顧客に理解されるために必要な方法・程度によらなければならない旨を定める

            等その拡充を図った(改正金融商品販売法第3条)。

          • イ)その他(認定投資者保護団体制度等)

            このほか、今回の法整備では、いわゆる自主規制機関以外の民間団体のうち金融商品取引業に関する苦情の解決や争いの斡旋等を行う団体を行政が認定し、その業務の信頼性を高めるための枠組みとして、「認定投資者保護団体」に関する制度を整備する等(金融商品取引法第79条の7ほか)、投資者保護に向けた様々な制度を整備している。

      • II.開示制度の拡充

        (記載省略)

      • III.取引所の自主規制機能の強化

        (記載省略)

      • IV.不公正取引等への厳正な対応

        • マル1 罰則の強化

          最近の一部上場企業を巡る一連の不正事件を受け、投資者保護の徹底、公正かつ透明な証券取引の確保及び証券取引に対する国民の信頼の確保を図る観点から、証券取引法の罰則の法定刑の水準を引き上げている。

        • マル2 「見せ玉」への対応

          「見せ玉(ぎょく)」とは、売買が盛んなように見せかけるため、架空の注文を出し、約定が成立しそうになると取り消す行為であり、相場操縦の一手法である。

          従前は、「見せ玉」に該当する行為のうち、顧客による売買申込み行為が、相場操縦行為として刑事罰の対象とされていたが、不公正取引に関する規制の実効性を確保するため、証券取引等監視委員会の建議(平成17年11月29日)も踏まえ、次のとおり改正している。

          • ・ 顧客による売買申込み行為を相場操縦行為として課徴金の対象とする(金商法第174条第1項)。

          • ・ 証券会社の自己の計算における売買申込み行為についても、相場操縦行為として刑事罰及び課徴金の対象とする(金融商品取引法第159条第2項第1号、第3項及び第174条1項)。

  • (7)市場強化プラン

    我が国金融・資本市場に関して、これまで、その時々の経済社会情勢を踏まえ、累次の制度改正が行われてきたところである。特に、国際化という観点からは、平成8年11月の橋本内閣総理大臣(当時)より、フリー、フェア、グローバルの理念の下に我が国市場がニューヨーク、ロンドン並みの国際金融市場となって再生することを目指すとの指示を受け、平成9年6月にプランが策定された金融システム改革(日本版ビックバン)が改革の嚆矢であり、その後も、平成16年12月に策定された「金融改革プログラム」において、「国際的に開かれた金融システムの構築と金融行政の国際化」が柱の一つとなる等、市場の「国際化」は常に意識され続けてきた課題といえる。

    また、前述の平成19年9月30日に本格施行された金融商品取引法についても、基本的視点として、「利用者」、「市場」及び「国際化」を掲げているところ。

    以上のような背景の下、「貯蓄から投資へ」の流れの中で、我が国金融・資本市場の国際金融センターとしての魅力を更に向上させていく観点から、金融庁の金融審議会は、平成19年1月30日、「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ」を金融分科会の下に設置。この審議結果は、同年6月13日、「中間論点整理(第一次)」として、金融・資本市場の課題が取りまとめられた。

    更に、金融審議会スタディグループにおける審議をはじめとするこれらの一連の議論を踏まえ、政府は、平成19年6月19日に「経済財政改革の基本方針2007」を閣議決定。我が国金融・資本市場の競争力強化のための総合的な改革プランとして、平成19年内を目途に「金融・資本市場強化プラン(仮称)」を金融庁が取りまとめ、政府一体として推進するとの方向性が明らかにされた。

    金融庁では、金融審議会における検討等を踏まえ、平成19年12月21日に「市場強化プラン」を策定・公表した。

    • I.信頼と活力のある市場の構築

    • II.金融サービス業の活力と競争力を促すビジネス環境の整備

    • III.より良い規制環境(ベター・レギュレーション)の実現

    • IV.市場をめぐる周辺環境の整備

    の四つの柱から構成され、市場競争力強化のための施策を包括的に盛り込んだ政策パッケージである。このプランにおいて、経済財政改革の基本方針2007等で提言されている項目については、原則として、関連法案の早急な提出を図るとの基本的な取組み方針が明らかにされた。

    これを受け、我が国金融・資本市場の競争力強化のために必要な制度整備を包括的に盛り込んだ「金融商品取引法等の一部を改正する法律案」が国会に提出され、平成20年6月6日に成立した。

    • <平成20年6月に成立の改正金融商品取引法の主な内容>

      • マル1 プロ向け市場の整備

        • ・ 参加者をプロ投資者(特定投資家)に限定した取引所市場を創設

        • ・ プロ向け市場における規制の実効性確保

      • マル2 ETF(上場投資信託)の多様化

        • ・ 商品現物と交換可能な投資信託を導入(金銭信託の例外である投資信託に商品組込型の投資信託を追加)

        • ・ 商品先物に投資する投資信託に係る規制の適用関係の整理(商品先物に投資する投資信託の運用業務に関し承認を受けた投資運用業者については、商品投資顧問業に係る規制を適用除外)

        • ・ 金融商品取引所の業務範囲の見直し(排出権取引に関する市場の開設業務を金融商品取引所の兼業業務として追加)

      • マル3 証券・銀行・保険間のファイアーウォール規制の見直し

        • ・ 証券会社・銀行・保険会社間の役職員の兼職規制を撤廃

        • ・ 非公開の顧客情報に係る授受制限の見直し

        • ・ 利益相反管理体制の構築

      • マル4 銀行・保険グループの業務範囲の拡大

        • ・ リスク管理等に優れた銀行グループの銀行兄弟会社に対して商品現物取引等の業務を解禁する枠組み(許可制)の導入

        • ・ 投資助言業務、排出権取引の解禁

      • マル5 金融商品取引法上の課徴金制度の見直し

        • ・ 現行の課徴金の金額水準を引上げ

        • ・ 課徴金の対象範囲の見直し

        • ・ 課徴金の加算・減算制度の導入

        • ・ 除斥期間の延長

        • ・ 審判手続の見直し

  • (8)行政機構改革等

    • イ.金融監督庁から金融庁へ

      平成10年6月に、民間金融機関等に対する検査・監督及び証券取引等の監視等を担う行政機関として、金融監督庁が設立(総理府の外局)され、同年12月には金融再生委員会が設立されたことに伴い、金融監督庁は同委員会の下に置かれる組織となった。

      平成12年7月、金融監督庁を改組して金融庁が設置され、これまで大蔵省が担ってきた金融制度の企画立案に関する事務も併せて担うこととなった。

      平成13年1月には、中央省庁の再編により、内閣府の外局となり、また、金融再生委員会の廃止に伴い、金融機関の破綻処理等の事務を引き継ぐこととなった。

      更に、平成16年4月、改正公認会計士法に基づき、金融庁の下に、合議制の機関として公認会計士・監査審査会が設置された。

      平成4年7月〜平成10年6月
      機構図 平成4年7月から平成10年6月
      平成10年6月〜平成10年12月
      機構図 平成10年6月から平成10年12月
      平成10年12月〜平成12年6月
      機構図 平成10年12月から平成12年6月
      平成12年7月〜平成13年1月
      機構図 平成12年7月から平成13年1月
      平成13年1月〜平成16年3月
      機構図 平成13年1月から平成16年3月
      平成16年4月〜現行
      機構図 平成16年4月から現行
    • ロ.証券取引等監視委員会が行う検査範囲の拡大

      平成16年6月9日に公布された証券取引法等の改正において、証券会社等に対する検査権限を証券取引等監視委員会に一元化し、また、投資信託委託業者・投資顧問業者等に対する検査権限についても証券取引等監視委員会に委任することとした(平成17年7月施行)。

      併せて、財務局においても、証券検査の一部を担っていた理財部検査部門を証券取引等監視官部門に一元化している。

  • (9)その他

    • イ.米国のリーマン・ブラザーズ破綻について(平成20年9月)

      平成19(2007)年夏頃から米国のサブプライム住宅ローン問題を契機に始まった金融混乱は、同20(2008)年秋口以降、世界的な金融危機へと発展していった。米欧の金融機関が、大きな流動性・信用リスクを抱え込みながら国際資金取引の仲介において業容を拡大させてきたこと、そして、そうした金融取引の拡大が、実体経済の拡大に比べ、行き過ぎていたこと等が、その後の調整を深くしたとされる。

      平成20年9月15日、リーマン・ブラザーズ・ホールディングス・インクが米国において連邦破産第11章の適用を申請したことを受けて、同日夜、金融庁は日本法人であるリーマン・ブラザーズ証券に対して投資者等利益を保護するため、業務停止命令を発出。翌16日早朝、同社は民事再生手続開始の申立てを行い、同月19日には、東京地方裁判所により再生手続きの開始が決定された。

      その後、野村ホールディングスが、リーマン・ブラザーズのアジア・パシフィック地域部門及び欧州・中東における株式・投資銀行部門の継承について公表したほか、この金融混乱を契機に、三菱UFJフィナンシャルグループが米国モルガン・スタンレーに出資・提携し、国際的な再編が見られることとなった。

    • ロ.株券電子化(平成21年1月)

      株券電子化(株式のペーパーレス化)とは、「社債、株式等の振替に関する法律(以下「社債株式等振替法」)」により、上場会社の株式等に係る株券をすべて廃止し、株券の存在を前提として行われてきた株主権の管理を、証券保管振替機構及び証券会社等の金融機関に開設された口座において電子的に行うこととするものである。

      社債株式等振替法の平成21年1月5日施行により、新たな株式振替制度により株券電子化が実施され、電子的な管理に統一されることとなった。

      株券電子化の主なメリットは、次のとおりであり、利用者の安全性・効率性・利便性の向上に資するものである。

      • ・ 株券の紛失、盗難、偽造等のリスクの削減

      • ・ 株券発行、受渡し、名義書換等のコスト削減

      • ・ 株主管理の効率化等


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