財務省財務局60年史 【第2章 理財編】

第2節 理財事務


1.有価証券届出書等の審査

平成11年以降、最近10年間の制度改正等のうち、財務局の業務に関係する主なものは次のとおりである。

なお、公開買付に係る開示書類については、すべて関東財務局長が取り扱っているほか、課徴金に係る業務は、証券取引等監視委員会等が行っている。

  • (1)連結ベースのディスクロージャーへの移行

    内閣総理大臣の指示により、『フリー、フェア、グローバル』の三原則の基に開始された六つの改革の集大成として、証券取引法を含む「金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律」の施行に伴い、平成11年4月1日以後に開始する事業年度に係る有価証券報告書等の記載内容に関して、企業集団(連結財務諸表提出会社及びその子会社)を中心とした経理の状況等を記載することとなり、開示書類様式の大幅な改正や規定の整備が行われた。

  • (2)企業内容等の開示手続の電子化

    • イ.開示用電子情報処理組織(EDINET)を使用した手続の導入

      投資者が企業情報へ容易・迅速にアクセスできるように、企業内容等の開示手続を電子化するための改正証券取引法が、平成12年5月23日に成立したことを受けて、平成16年6月1日以降の原則義務化に向けて、段階的に手続の電子化が実施された。

      平成13年6月からの第一段階では、有価証券報告書、半期報告書等の流通開示書類が任意提出の対象となり、第二段階の平成14年6月からは、他の開示書類(有価証券届出書、発行登録関係書類、公開買付関係書類等)が任意提出の対象に拡大され、最終段階の平成16年6月からはEDINETの使用による手続が完全義務化された。

      この結果、開示書類の提出、受理の手続をオンラインにより行うことによって、提出会社の事務負担の軽減や、財務局での受理、審査及び縦覧事務の効率化が図られたうえ、提出された開示書類はモニター画面により公衆縦覧に供するほか、金融庁からインターネットを通じて広く一般に情報提供が行われることとなった。

    • ロ.EDINETの高度化(XBRLの導入)とシステムの再構築

      その後、開示書類に係る分析能力の向上等、EDINETの高度化に向けた取組みを計画的・効率的に進めていくことを目的に、「EDINETの高度化に関する協議会」において、財務情報の分析・加工が容易となるコンピュータ言語(XBRL)の導入及びシステム再構築に向けた検討が進められ、平成18年3月に「有価証券報告書等に関する業務の業務・システム最適化計画」が策定された。

      更に、EDINETタクソノミの品質向上及び新システムへの円滑な移行等を目的として、平成19年中には2回のパイロット・プログラムが実施され、平成20年1月から2月には、開示書類提出者向けに、新旧システムの相違点を中心とした説明会が各財務局等において実施されたうえ、同年3月17日に新システムが稼動した。

      また、平成20年4月1日以降開始する事業年度から、XBRL形式で作成された財務諸表等の提出が義務化され、3月決算の上場会社においては第1四半期報告書からXBRL形式による提出が始まり、書類の提出が集中する時期には、各財務局等から提出会社に対して、スムーズな提出に向けた協力要請を行った。

  • (3)金庫株解禁等商法改正に伴う開示制度の改正

    与党3党での検討による、自己株式の取得目的に関する規制の撤廃や自己株式の保有の解禁等(金庫株の解禁)を内容とする商法改正が平成13年6月に行われ、同年10月1日から、これまで自己株式取得決議ごとにそれぞれ3ヶ月ごとに提出・開示することとされていた自己株券買付状況報告書が、自己株式取得の定時株主総会決議後、次期定時株主総会まで1ヶ月ごとに提出・開示することと改正された。

    また、同年11月の商法改正により「新株予約権」の概念整理が行われたことに伴い、取締役等に対するストック・オプションとしての新株予約権の付与について、原則として有価証券届出書の提出を要しないことや、「新株予約権証券」の創設に伴い、有価証券届出書等の様式改正を含めた所要の規定整備が行われ、平成14年4月1日から施行された。

  • (4)民間・独立の企業会計基準等設定主体の設立

    企業会計審議会では、金融システム改革の一環として、また、国際的な調和の観点等を踏まえて、連結財務諸表原則の改訂、退職給付会計、税効果会計、金融商品会計、固定資産減損会計及び企業結合会計等の基準整備を進めてきたところ、政府から独立した主体で会計基準を議論すべきであるとの強い社会的認識を背景に、平成13年7月26日、経済団体連合会、日本公認会計士協会、全国証券取引所協議会、日本証券業協会、日本商工会議所等関連民間10団体を母体とする「(財)財務会計基準機構」が設立され、同機構内に「企業会計基準委員会(ASBJ)」が発足した。

    以降、企業会計基準及び実務上の取扱いに関する適用指針、実務対応報告等の審議・開発等は、ASBJにおいて行われることとなった。

  • (5)継続企業の前提に関する開示の導入

    平成14年1月、企業会計審議会第二部会からリスク・アプローチの徹底や継続企業(ゴーイング・コンサーン)の前提への対処に関する注記の導入等を内容とする「監査基準の改訂に関する意見書」が公表されたことに伴い、同年10月に財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等関係府令が改正され、平成15年3月1日以後終了する事業年度に係る財務諸表等から、継続企業の前提に関する開示が義務付けられた。

    その後、国際的な監査・会計基準における開示との整合性を図ること等の理由から、監査基準の改訂及び財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等関係府令の改正が行われ、平成21年3月期有価証券報告書から適用された。

  • (6)証券市場の改革促進に基づくディスクロージャー制度の整備

    平成14年12月16日公表の金融審議会・第一部会報告「証券市場の改革促進」に基づき、平成15年4月1日を施行日とする政令及び内閣府令等の改正が行われ、ディスクロージャー制度の整備が図られた。

    • ・ 有価証券報告書等における「コーポレート・ガバナンスに関する情報」、「リスクに関する情報」及び「経営者による財務・経営成績の分析(MD&A)」について、開示の充実(記載項目の新設)。

    • ・ 有価証券報告書等の記載内容の適正性に関する代表者の確認書を任意の添付書類とする。

    • ・ 組込方式の有価証券届出書の効力発生期間の短縮、EDINET提出による訂正発行登録書に係る効力停止期間の短縮及び会社更生手続中の有価証券報告書提出会社に対する提出義務の免除等、ディスクロージャーに関する手続等の簡素化、迅速化を図る。

  • (7)ディスクロージャー制度の信頼性確保に向けた取組み

    平成16年10月中旬以降、証券取引法上のディスクロージャーを巡り、不適正な事例が相次いで判明したことを受け、同年11月16日及び12月24日に金融庁から「ディスクロージャー制度の信頼性確保に向けた対応について」が公表され、次の方策が強力に進められた。

    • イ.全開示企業による自主的点検

      平成16年11月、各財務局等から全開示企業に対して、有価証券報告書等の「株主の状況等」に係る開示内容を自主的に点検し、必要があれば訂正報告書を提出するよう要請したところ、総会社数4,538社のうち589社から訂正報告書が提出された。

      また、訂正された開示内容の分析結果等を踏まえ、平成17年3月期には、有価証券報告書の「記載上の注意」の明確化や、コーポレート・ガバナンスに係る開示の充実が図られるとともに、全開示企業に対して文書を送付し、開示上の留意点について周知を図り、適正なディスクロージャーに向けた経営者の継続的な取組みを要請した。

    • ロ.親会社等情報の開示を義務化

      平成17年3月期から、親会社が継続開示会社でない場合には、継続開示会社である子会社の有価証券報告書において親会社の株主や役員等に関する情報を開示することが義務付けられた。

      更に、平成17年6月の改正証券取引法では、上場会社の親会社が有価証券報告書の提出会社でない場合、当該親会社自身の情報(親会社等状況報告書)の開示が義務付けられ、同年12月1日に施行された。

    • ハ.財務報告に係る内部統制の整備

      ディスクロージャーを巡る不適正な事例は、財務報告に係る企業の内部統制が有効に機能していなかったとの懸念から、平成16年12月24日付金融審議会第一部会報告を踏まえ、「財務報告に係る内部統制の有効性に関する経営者による評価と公認会計士等による監査」の各基準の明確化について、平成17年2月から企業会計審議会において検討が開始されるとともに、評価及び検証の義務化についても検討が開始された。

      その結果、平成18年6月7日成立の改正証券取引法(金融商品取引法への改組)に基づき、平成20年4月1日以降開始する事業年度から、上場会社に対して、財務報告に係る内部統制の有効性に関する経営者による評価と公認会計士による監査を義務付ける内部統制報告書及び経営者確認書の提出が義務付けられることとなり、平成19年2月15日には、「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の設定について(意見書)」が企業会計審議会から公表された。

  • (8)企業内容等開示制度に係る処分権限等の移管

    有価証券報告書等の虚偽記載等や不公正な証券取引の問題に的確に対応するため、平成17年7月、証券取引等監視委員会事務局に課徴金調査・有価証券報告書等検査室が設置され、有価証券届出書の届出者等に対する効力発生後の検査等権限が同委員会に委任されるとともに、金融庁総務企画局に、ディスクロージャーを巡る問題を専担とする企業開示課が設置された。

    併せて、これまで関東財務局長権限であった有価証券届出書の届出者等に対する報告徴求、検査及び行政処分等について、有価証券届出書等の受理権限を持つ各財務局長等に移管された。

  • (9)金融商品取引法の施行

    =四半期開示の法定化、財務報告に係る内部統制の強化等=

    平成16年10月以降、金融審議会第一部会ディスクロージャー・ワーキング・グループでは幅広い検討が行われ、平成17年7月7日、同部会において「今後の開示制度のあり方について」が了承された。

    報告の主な内容は、証券取引法上の開示規制の再編として、有価証券の性質及び流動性に応じた開示規制のあり方やその適用に柔軟な判断を導入する枠組みを検討することが適切であるとされた。

    金融・資本市場を取り巻く環境の変化に対応し、投資者保護のための横断的な法制として平成18年6月7日に成立した改正証券取引法では、証券取引法を改組して「金融商品取引法」(いわゆる投資サービス法)とするほか、開示規制のあり方も取り込んだ法整備が行われ、平成19年9月30日に施行された。

    開示規制における具体的な内容としては、流動性の高い有価証券については、頻繁に密度の濃い投資情報を提供するとの観点から、平成20年4月1日以降開始事業年度からの適用として、上場会社を対象に、四半期開示の法定化(四半期報告制度の導入と義務化)と、財務報告に係る内部統制の強化(財務報告に係る内部統制の有効性に関する経営者による評価と公認会計士による監査を義務化した内部統制報告制度、有価証券報告書等の記載内容の適正性について経営者に確認を求める確認書制度の導入と義務化)が図られた。

    また、平成18年5月施行された会社法において、三角合併等の組織再編成に係る規定整備が行われたこと等を受けて、消滅会社等が開示会社であって、消滅会社等の株主に交付される存続会社等の有価証券が非開示である場合に当該有価証券の発行会社に開示を義務付けるための特定組織再編成に係る有価証券届出書が新設され、通常の企業情報に加え、組織再編成情報も記載が求められることとなった。

  • (10)公開買付制度の見直し整備

    公開買付制度は、会社支配権に影響を与えるような取引等が行われる場合に、投資者にあらかじめ情報開示を行うとともに、株主等に平等に株券等の売却の機会を与える制度として、昭和46年に証券取引法上の制度として導入され、平成2年には、大量保有報告制度の導入に合わせて全面的な改正が行われた。

    また、平成14年12月16日公表の金融審議会第一部会報告「証券市場の改革促進」や、平成15年12月24日公表の同部会報告「市場機能を中核とする金融システムに向けて」に基づき、事業再編行為等の迅速化、手続の簡素化の観点等から、公開買付規制の緩和等の制度見直しが行われてきた。

    しかし、証券市場を巡る情勢の変化に対応するとともに、我が国証券市場の国際競争力の向上を図るため、平成17年6月22日成立の改正証券取引法においては、公開買付規制の対象外であった立会外取引のうち、買付け後の株券等所有割合が3分の1を超えるものを規制の対象としたほか、いわゆるライブドア事件を契機として、平成18年6月7日成立の改正証券取引法(金融商品取引法への改組)では、同年12月13日を施行日として、市場内外取引を組み合わせた買付規制の適用範囲の明確化、買付対象会社による意見表明の義務化・買付者に対する質問の機会の付与・買付期間の延長請求、買付者による買付けの撤回等の柔軟化及び応募株券の全部買付けの一部義務化等を内容とする制度の整備が図られた。

  • (11)大量保有報告書等提出、縦覧手続の電子化等

    • イ.開示用電子情報処理組織(EDINET)を使用した手続の義務化

      平成12年5月に成立した改正証券取引法に基づき、企業内容等の開示手続の電子化は段階的に実施されてきたが、平成15年6月からは、大量保有報告書等も任意提出で電子化の対象とされた。

      平成18年6月7日成立の改正証券取引法(金融商品取引法への改組)では、平成19年1月1日を施行日として、機関投資家による特例報告の制度趣旨を歪める形での利用を防止する観点から、その報告頻度・期限の短縮(原則3ヶ月ごと15日以内⇒おおむね2週間ごと5営業日以内へ)等が図られるとともに、同年4月1日からは、証券市場の効率性向上及び迅速な公衆縦覧の一層の促進等の観点から、大量保有報告書等の電子提出(EDINETによる手続)も完全義務化された。

    • ロ.EDINET使用時の届出手続の見直し等

      平成20年1月、重要な事項について「虚偽の記載」に該当する大量保有報告書が関東財務局長へ提出されたことに伴い、当該提出者に対して、当該報告書の訂正報告書の提出を命ずる行政処分が行われた。

      本件は、大量保有報告制度及びEDINETに係る重大な問題であるとの認識から、再発防止・危機管理策が早急に検討され、システムチェック機能等の強化が図られるとともに、平成21年度中の導入を目処として、EDINET運用改善のためのシステム開発が進められている。

      また、訂正命令を行った開示書類に係る公衆縦覧を制限する等の金融商品取引法改正が行われるとともに、平成20年12月以降、EDINET使用時の届出においては、当該届出者の実在性の確認を強化する等所要の措置がとられた。

  • (12)課徴金制度の創設と対象範囲の拡大

    平成16年6月2日成立の改正証券取引法では、証券市場への信頼を害する違法行為に対して、行政として適切な対応を行う観点から、規制の実効性確保のための刑事罰に加え、行政上の措置として違反者に対して金銭的負担を課す課徴金制度が新設され、平成17年4月から、有価証券届出書等の虚偽記載である発行開示義務違反を対象に導入された。

    更に、同年12月からは、有価証券報告書等の虚偽記載である継続開示義務違反についても、その対象範囲として拡大された。

    また、平成20年12月からは、発行開示・継続開示書類の不提出、公開買付届出書・大量保有報告書等の不提出・虚偽記載についても対象に加えられることとなり、同時に導入された課徴金の加算・減算制度について、各財務局等が開示企業や提出者に対する周知を行うこととなった。

2.たばこ業務

  • (1)たばこ小売販売業の許可

    たばこの小売販売に関しては、近年、管理の十分行き届かない一部のたばこ自動販売機について、未成年者のたばこ購入を容易にしているとの批判があり、社会的要請から、従来から実施しているたばこ自動販売機の店舗併設の許可条件化に加え、成人識別自動販売機導入の許可条件化等、未成年者喫煙防止の取組みを更に進めてきたところである。

    その主な動きは、次のとおりである。

  • (2)未成年者喫煙防止等の動き

    平成11年 7月

    製造たばこ小売販売業許可等取扱要領(以下「取扱要領」という。)の改正により、たばこ自動販売機の設置場所については「店舗併設」に加え、店内から視認できる場所への設置を許可の条件に追加。

    平成12年12月

    未成年者喫煙禁止法の一部改正により、小売販売業者が未成年者自ら吸うことを知ってたばこを販売した場合の罰金を50万円以下に引き上げ。

    平成13年 1月

    取扱要領の改正により、たばこ自動販売機を併設する「店舗」の概念を「原則として製造たばこの販売を対面で行う施設」として明確化し、店舗併設を徹底。

    平成13年11月

    たばこ業界団体が成人識別自動販売機の平成20年導入を発表。

    平成13年12月

    未成年者喫煙禁止法の一部改正(未成年者の喫煙防止のより一層の推進に資するため、小売販売業者において、年齢の確認その他の必要な措置を講ずるものとする規定等を追加)が施行。

    平成14年 2月

    未成年者喫煙禁止法の一部改正を受け、関係業界に対し、関係省庁(警察庁、厚生労働省、財務省)の連名により、対面販売時の年齢確認の徹底、自動販売機の設置場所の適正化等を要請。

    平成14年10月

    財政制度等審議会たばこ事業等分科会において、「喫煙と健康の問題等に関する中間報告」を取りまとめ公表(成人識別自動販売機について、「すべての小売販売店での導入に向け当局の適切な指導を期待する」旨を明記)。

    平成16年 6月

    我が国が「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」を締結(「たばこ自動販売機が未成年者によって利用されないこと」を規定)(平成17年2月発効)。

    平成16年 6月

    「青少年育成施策大綱」の決定を受け、関係業界に対し、関係省庁(警察庁、厚生労働省、財務省)の連名により、自動販売機の設置場所の適正化等を再度要請。

    平成18年12月

    「成人識別機能付自動販売機の導入を拒否等している製造たばこ小売販売業者に対する指導について」(通達)により、成人識別自動販売機の導入拒否又は逡巡している小売販売業者に対して個別指導を実施。

    平成20年 1月

    財政制度等審議会たばこ事業等分科会において、成人識別自動販売機の導入を製造たばこ小売販売業の許可の条件とする方針を決定。

    平成20年 7月

    タスポ方式の成人識別自動販売機が全国で稼働開始。

    新規の小売販売業のすべてに、自動販売機でたばこを販売する場合には、成人識別自動販売機で販売することを条件として付し、平成20年6月30日以前に小売販売業の許可を受けている者については、成人識別自動販売機の導入状況を調査し、成人識別自動販売機を導入していない者に対し成人識別自動販売機を導入することを許可条件として付与。

    平成20年9月

    成人識別自動販売機の稼働に伴い、未成年者が対面販売でたばこを購入しようとするケースの増加が予想されたため、関係業界に対し、関係省庁(警察庁、厚生労働省、財務省)の連名により、対面販売時における未成年者に対する年齢確認の徹底等を要請。

    【たばこ小売販売業の許可件数の推移】

    区分/年度H16H17H18H19H20
    申請件数14,79113,49112,60011,77815,879
    許可件数9,2118,7698,4397,6087,165

    (注) 処理件数及び許可件数は、一般小売販売及び特定小売販売に係るもの。

    【たばこ小売販売業店舗及び販売組合等数(平成21年3月末現在)】

    小売販売業
    店舗数
    出張販売件数卸売業者数販売組合数耕作組合数
    292,660349,968477513 (23)22

    (注) 販売組合の( )内書は、中央会及び連合会の数である。

3.塩業務

塩専売制度は、明治38年に設けられて以来、塩の需給及び価格の安定に寄与してきたところであるが、環境の変化等を背景にこれを廃止し、原則自由な市場構造に転換するため平成9年4月1日に「塩事業法」(平成8年法律第39号)が施行された。

これにより、塩専売制度の下では、日本たばこ産業株式会社による指定や委託を受けなければ行うことができなかった塩の製造・輸入・販売については、大蔵大臣への登録又は届出制への移行、また、塩の小売については、自由に行うことができることとなった。この塩関係事務のうち、塩の製造業及び卸売業の登録、特殊用塩等製造業の届出関係の事務が財務局長に委任された。

塩専売制度廃止に伴う経過措置として、塩製造業者については、卸売業者等に販売先を限定することや、塩卸売業者については、5年以上の経験が要件とされていたが、平成14年3月31日をもってこの期間も終了した。

4.外国為替及び外国貿易法に関する業務

財務局における外国為替及び外国貿易法(以下、「外為法」という。)に関する事務は、平成10年4月1日に施行された改正外為法に基づき実施されている。改正外為法では、経済制裁等に係る規制が残されており、この規制の実効性確保の観点から、同法第68条に基づく立入検査が行われている。

  • (1)外為法に基づく検査

    改正外為法では、経済制裁の遵守状況や銀行等の確認義務の履行状況等を目的とした検査に変更され、主として次の4項目が行政によるチェックの対象とされた。

    • ・ 経済制裁の遵守状況

    • ・ 銀行等の確認義務の遵守状況

    • ・ 銀行等の本人確認義務の履行状況

    • ・ 特別国際金融取引勘定の経理基準等の遵守状況

  • (2)平成14年の外為法の改正

    平成13年9月の米国同時多発テロ事件以降、国際社会においてテロ対策の推進が喫緊の課題となり、平成14年5月の外為法改正では、次のとおりテロリスト等に対する資産凍結等の措置の効果的な実施を図った。

    • ・ 本人確認義務の努力規定を義務化し、併せて本邦から外国に向けた一定金額を超える送金に加え、非居住者預金等の資本取引等を本人確認義務の対象とした(施行は平成15年1月6日。)。

    • ・ 資産凍結等の対象となるテロリスト等を適切に指定するため、関係省庁との間の情報提供の協力に係る規定が整備された(施行は平成14年5月7日。)。

    上記の改正及び「金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律」(以下、「本人確認法」という。)の施行を機に、外国為替検査規則の規定に基づき、外国為替検査の検査事項及び検査方法等に関する細目として、平成15年1月6日に外国為替検査マニュアルが定められた。同マニュアルには、外国為替検査に関する行政当局の基本的考え方等及び検査事項に係るチェックリストが盛り込まれており、これらが公表されることにより、外国為替検査において以下の改善が図られた。

    • ・ 検査における評価基準を明確化することによる行政の透明性の向上

    • ・ 金融機関等における外為法令遵守のための内部管理体制の整備促進

    • ・ 検査の質的向上・効率性の向上及び財務省・財務局を通じた検査の均質性の担保

  • (3)検査対象の拡充

    平成18検査事務年度から外貨両替業者に対する検査を実施することとし、月中取扱高100万円相当額を超える外貨両替実績のある業者を選定し、検査を行った。

    平成18年7月5日に北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことから、国連安保理決議を受けて、同年9月19日付で、北朝鮮のミサイル又は大量破壊兵器計画に関連する者(15団体・1個人)に対する資金の移転を防止する措置が講じられたことに伴い、当該措置の確実な実施を図るため、外国送金について確認義務を果たすべき金融機関に対し、同年9月下旬以降、外為法に基づく特別検査を実施した。

    平成19検査事務年度においては、両替業者に対して犯罪収益移転防止法に定める義務の周知を図る観点から、全国の主な財務局所在地において、財務省の担当官が講師となり、両替業者に対する説明会を開催し、その後両替業者に対する検査を実施した。

  • (4)法令改正

    平成18年9月には、外国為替令及び本人確認法施行令が改正され、本人確認を要する為替取引の敷居値が200万円相当額から10万円相当額に引き下げられた(施行は平成19年1月4日。)。

    平成19年3月には、本人確認法が廃止され「犯罪による収益の移転防止に関する法律」に組み込まれた(施行は平成20年3月1日。)。また、「疑わしい取引の届出義務」も同法に組み込まれ(従前は「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律防止法」に規定。)、罰則の対象となる義務となったほか、新たに電信送金に係る送金人情報の通知義務が同法に定められ、これらの義務に係る法令遵守状況が外国為替検査の検査項目に加えられた。

    以上により、現状(平成21年検査事務年度において)は、従来のマル1資産凍結等経済制裁に関する外為法令の遵守状況、マル2金融機関等の本人確認等に関する外為法令の遵守状況、マル3特別国際金融取引勘定の経理等に関する外為法令の遵守状況に加え、マル4両替業務に係る疑わしい取引の届出義務等に関する犯罪収益移転防止法令の遵守状況、マル5外国為替取引に係る通知義務に関する犯罪収益移転防止法令の遵守状況等を重点事項とした外国為替検査が実施されている。

5.公認会計士試験に関する業務

  • (1)公認会計士試験制度の改正

    公認会計士は、監査、会計の専門家として、独立した立場で、財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社の公正な事業活動、投資者や債権者の保護等を図り、国民経済の健全な発展に寄与することを使命としており、公認会計士としての資格を得るためには、公認会計士試験に合格することが主たる要件となる。

    公認会計士試験は、公認会計士になろうとする者に必要な学識やその応用能力を有するかどうかを判定することを目的としており、その実施に当たっては、受験願書の配付・受付、試験会場の確保、試験当日の立会業務等の業務が、全国の各財務局において行われている。平成15年5月30日に成立した改正公認会計士法では、受験者層の多様化と受験者数の増加を図ることにより、一定の資質を有する多様な人材を多数輩出していくことを目指し、試験体系の簡素化、試験科目の見直し、試験の一部免除の拡大、実務経験の位置付けの変更等が行われ、新公認会計士試験が平成18年から実施されることとなった。

    また、公認会計士試験を実施する公認会計士審査会(平成16年4月からは、公認会計士・監査審査会に改組)の下に設置された新公認会計士試験実施に係る準備委員会において、新たな公認会計士試験の実施のあり方について検討が行われ、公表案に寄せられた意見等も踏まえ、新しい公認会計士試験の実施に係る検討結果を平成15年12月25日に公表した。

    • (参考)新たな試験実施の枠組み

      • <試験体系>

        従来、第1次試験、第2次試験及び第3次試験の3段階5回の試験体系で実施されていたが、これを1段階2回(短答式試験、論文式試験)に簡素化。

      • <試験の一部免除の拡大>

        従来の大学教授・准教授や博士の学位取得者に対する試験の一部免除に加え、短答式試験合格者に対する有効期限を設けた短答式試験免除、論文式試験で相当と認める成績を得た科目に対する有効期限を設けた免除、一定要件を満たした実務経験者や会計専門職大学院終了者に対する短答式試験の一部免除等を導入。

      • <実施日程>

        • ・ 短答式試験は、年1回の実施とし、5月下旬と6月上旬の連続する日曜日の2日間に実施する。なお、マークシート方式の採用により、合格発表を迅速化。

        • ・ 論文式試験は、年1回の実施とし、論文式試験受験者の準備期間への配慮、試験委員の採点期間の確保等の観点から、8月下旬の連続する3日間に実施。

  • (2)平成20年試験以降の試験実施面の改善

    平成15年の制度改正の趣旨に則り、より多くの人が公認会計士試験に挑戦するよう、実施面での改善に向けて検討するため、公認会計士・監査審査会(以下、「審査会」という。)に置かれている公認会計士実施検討小委員会の下に、平成19年5月に公認会計士試験実施検討グループ(以下「検討グループ」という。)が設けられ、具体的な改善策について、検討が行われた。

    審査会は、検討グループからの検討結果の取りまとめの報告を受け、平成19年10月25日に「公認会計士試験実施の改善について」を公表し、以下の事項につき、平成20年試験より、試験実施の改善を順次図ることとなった。

    • (参考)主な改善策

      • ○ 短答式試験

        • <平成20年試験より実施>

          • ・ 基本的な問題を幅広く出題し、問題文・選択肢は簡素化する。

          • ・ 従来の2週間の週末にわたる2日間の実施日程を短縮し、週末1日の試験とする。

        • <平成22年試験より実施>

          • ・ 短答式試験を年2回実施する。

      • ○ 論文式試験

        • <平成20年試験より実施>

          • ・ 思考力、応用能力、論述力等を問う問題とし、出題範囲を短答式試験より絞り込む。

          • ・ 従来の企業法、民法の2科目のほかに、新たに会計学、監査論、租税法の3科目についても、法令基準等を受験時に配付した上で試験を実施する。

          • ・ 従来の平日3日間の実施日程を、例えば、金土日といった連続する平日1日、週末2日の試験とする。

  • (3)市場化テストの実施

    平成21年7月10日に公共サービス改革基本方針の改定が閣議決定され、公認会計士試験業務の一部について、民間競争入札の導入による「市場化テスト」が実際されることとなった。

    具体的には、平成24年試験から、関東財務局において実施する、受験願書の確認、試験会場の確保、試験の立会等の試験業務が市場化テストの実施対象とされることとなった。

6.政策金融に関する業務

  • (1)政策金融改革に関する経緯

    政策金融改革に関しては、平成13年12月の「特殊法人等整理合理化計画」(閣議決定)において、「マル1民業補完、マル2政策コスト最小化、マル3機関・業務の統合合理化の原則の下、抜本的な検討を行った上で、公的金融の対象分野、規模、組織の見直しを行うこととする。このため、経済財政諮問会議において、平成14年度始めに検討を開始し、その検討結果を踏まえ、内閣として、経済情勢を見極めつつ、できるだけ早い時期に結論を得ることとする。」とされた。

    これを受け、同会議で検討がなされたが、平成14年12月の「政策金融改革について」(経済財政諮問会議)においては、不良債権集中処理期間(平成16年度末まで)、あるべき姿に移行するための準備期間(平成17年度から平成19年度まで)を経て、政策金融機関が平成20年度以降速やかに新体制に移行することとされた。

    平成17年に入り、政策金融改革に関する議論が再開され、同年11月の「政策金融改革の基本方針」(経済財政諮問会議)、12月の「行政改革の重要方針」(閣議決定)において、政策金融機能は三つの機能(マル1中小零細企業・個人の資金調達支援、マル2国策上重要な海外資源確保、マル3円借款(政策金融機能と援助機能を併せ持つ))に限定し、それ以外は撤退することとされ、政策金融として残すものについては一つの政策金融機関に統合することを基本とし、国民公庫等の5機関を統合することとされた。

    その後、平成18年5月に成立した「行政改革推進法」において、政策金融機能の限定、貸出残高対GDP比半減、政策金融8機関の再編(国民公庫等5機関の統合による新政策金融機関(以下、「新公庫」という。)の設立、日本政策投資銀行と商工組合中央金庫の完全民営化、公営公庫の廃止)等の基本的な方針が規定され、同年6月の「政策金融改革に係る制度設計」(政策金融改革推進本部等決定)において、新公庫や完全民営化機関等の業務や組織のあり方等が決定された。

    その後、マル1新公庫法案等は、行革担当大臣の下で関係大臣と連携して作成され、マル2日本政策投資銀行、商工組合中央金庫の完全民営化や公営公庫の廃止に係る法案は、行革担当大臣の総合調整の下、各主務大臣により行革担当大臣と共同して作成され、いずれも第166回国会に提出され、成立した。

  • (2)(株)日本政策金融公庫の設立

    国民公庫等5機関の統合による新政策金融機関として、(株)日本政策金融公庫(以下、「新公庫」という。)が平成20年10月に設立された。

    目的として、行政改革推進法において、新公庫に担わせることとされた機能(国民一般、中小企業者及び農林水産業者の資金調達を支援するための機能、我が国にとって重要な資源の海外における開発及び取得を促進し、並びに我が国の産業の国際競争力の維持及び向上を図るための機能)を踏まえた目的規定に加え、民業補完の趣旨を明記し、併せて、国内外の金融秩序の混乱又は大規模な災害、テロリズム若しくは感染症等による被害に対処するために必要な金融がより迅速かつ円滑に行われることを可能とする旨を規定しているところである。

    業務としては、統合された機関の業務規定をベースに、行政改革推進法における業務限定を忠実に反映し、新公庫の業務が規定されているところであり、民業補完業務、危機対応円滑化業務等が規定されたところである。

  • (3)危機対応業務

    「政策金融改革に係る制度設計」の「ローマ数字5.危機対応関係について」の「1.危機対応の在り方」において、「今回、政策金融機能の限定により政策金融として対応できなくなった危機に関する金融のうち、新政策金融機関の業務のみでは適切に対応することができない手形割引による資金融通その他の短期資金の供給、社会基盤整備に係る資金供給等必要なものについて、政府は、完全民営化機関をはじめ希望する民間金融機関の業務による適切かつ円滑な対応が行われるよう、措置を講ずる」とされ、これに基づき新公庫の危機対応円滑化業務に関し、次の事項が規定され、民間金融機関を指定金融機関として活用する危機対応体制を講ずることとなった。

    • ・ 主務大臣が、必要性を認定した場合に、危機対応業務を行う指定金融機関に対して必要な資金の貸付、リスクの一部補完、利子補給を実施することができること。

    • ・ 「危機対応円滑化業務実施方針」の策定、指定金融機関との間で締結する協定等に関する規定。

    • ・ 民間金融機関からの申請に基づく国が指定金融機関をあらかじめ指定すること。

    指定金融機関を活用した危機対応体制のスキームは、次のとおりとされた。

    • ・ 政府は、新公庫の「危機対応円滑化業務勘定」に出資、資金の貸付、利子補充金の交付を行う。

    • ・ 新公庫は、危機対応円滑化業務実施方針の策定・公表を行う。新公庫自らも旧政策金融機関からの承継業務の範囲内で、必要な融資を実施する。

    • ・ 民間金融機関は指定金融機関の申請を行い、申請する民間金融機関のうち、一定の基準を満たすものを主務大臣が指定する。

    • ・ 新公庫は指定金融機関と、資金の貸付、リスクの一部補完、利子補給の協定を締結する。

    • ・ 指定金融機関は、主務大臣が危機を認定した場合には、新公庫からのリスク補完等を受けて、貸付等の「危機対応業務」を実施する。

    指定金融機関の活用が想定されるものとして、被災インフラ復興資金としての長期設備資金の貸付、地域金融不安時の資金融通としての短期資金の貸付や手形割引、激甚災害被災事業者への再建資金としての低利資金の貸付、新公庫から指定金融機関に対して、長期・固定資金の貸付、非弁済額の一部補填、利子補給金の交付等がある。

  • (4)指定金融機関の指定及び監督に係る事務の地方支分部局への委任

    危機対応業務については、地域金融の不安、大規模災害の発生に対する対応を行うことから、地域金融機関が指定金融機関の申請を行うことを鑑みて、地方支分部局へ事務の委任が法律上明記されており、財務局の事務分掌規則に、指定金融機関に関する業務が追加された。主な事務として、次のとおり規定された。

    • ・ 指定申請書の受理(法第16条第2項)

    • ・ 商号等変更届出の受理(法第17条第2項)

    • ・ 事業の譲渡及び譲受の認可申請書の受理(法第19条第1項)

    • ・ 合併又は分割の認可申請書の受理(法第19条第2項)

    • ・ 危機対応円滑化業務の実施に必要な事項の指定金融機関への通知(法第22条第3項)

    • ・ 危機対応業務に関する監督命令(法第24条)

    • ・ 指定金融機関に対する報告徴求(法第59条第2項)

    • ・ 指定金融機関に対する検査(リスク管理にかかるものを除く)(法第59条第2項)


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