財務省財務局60年史 【第1章 総論】

第4節 職員の教育訓練


1.概要

平成12年7月、財政金融研究所が財務総合政策研究所に機構改正されたことに伴い、それまでの財政金融研究所研修部は財務総合政策研究所研修部に改称された。

また、中央省庁等改革に伴い、平成13年1月6日に「大蔵省財務総合政策研究所研修部」から「財務省財務総合政策研究所研修部」(以下、「研修部」という)に改称された。

現在研修部では、財務本省及び全国の財務局(沖縄総合事務局財務部を含む)の職員を対象に、税関、国税庁に所掌される分野を除く財務省の総合的研修機関として、複雑・多様化する財務省・財務局の業務に対応すべく、研修機能、内容の充実強化に努めている。

  • (1)基本的な考え方

    研修の実施に当たっては、財務省・財務局を取り巻く環境がますます厳しさを増す中、適正かつ効率的な行政運営を行うためには、職員の職務遂行能力の維持・向上を図るとともに、専門知識の習得に止まらず、幅広い教養と良識を兼ね備えた職員を育成することが肝要であるという認識のもと、研修に関する職場のニーズや受講者の意見等を踏まえ、環境変化に適応した研修の実施に努めることとしている。

  • (2)研修体系の整備

    研修の種類には、研修部において実施する「中央研修」、自学自習の学習活動による「通信研修」及び研修支所において実施する「地方研修」があり、地方研修は中央研修を補完する役割を担っている。

    特に中央研修においては、社会経済情勢の変化に加え、財務局新規職員の採用が平成16年度以降ローマ数字2種のみといった採用形態の変化にも対応するため、平成17年度研修計画の策定においては、任用と連携した効果的な研修システムの構築を基本に研修体系の抜本的な見直しを行い、現在に至っている。

    研修体系の概要及び研修受講者数の推移は以下のとおり。

    【研修受講者数の推移】

    研修受講者数の推移
    (注)

    1.「幹部」は幹部セミナー、「管理監督」は管理監督者研修、「一般」は一般研修、「専門」は専門研修、「実務」は実務研修、「基礎」は基礎研修、「還元」は還元研修、「委託」は委託研修の略。

    2.中央研修の「実務」には、特別理論研修の受講者を含む。

    • イ.中央研修

      昭和60年の財政金融研究所の発足後、中央研修の内容は、新規採用者を対象とする「一般研修」、各業務別の職員を対象とする「専門研修」、新任の管理監督者等を対象とする「管理監督者研修」、幹部職員を対象とする「幹部セミナー」といった四つの区分に分けられ、充実が図られてきた。

      その後、平成17年度に研修体系の抜本的な見直しを行い、研修区分を「基礎研修」、「実務研修」、「特別理論研修」、「一般研修」、「幹部セミナー」といった五つに組み替えるとともに、研修内容では実務に関する知識付与について大幅な充実強化を図った。

      研修コース数及び延べ研修生数は年々増加し、平成20年度では55コース、2,598人に達している。

      • (イ)基礎研修

        • A.財務局ローマ数字1種基礎研修

          平成13年度以降、基礎科目・専門科目の多くをローマ数字2種・ローマ数字3種との合同講義で実施するなど効率化を進める一方で、平成14年度には、実務能力の向上のため企業会計等に関する科目を新設し、研修期間を大幅に延長している。更には、平成15年度より従来の研修内容(「基本研修」)に加え、財務局の業務を実際に体験するための「実地研修」を別途実施するなど内容の充実に努めている。

        • B.ローマ数字2種基礎研修

          従来から、研修の効率的実施及び職場のニーズを考慮して、教科目の見直し、財務局ローマ数字1種及びローマ数字3種との合同講義の拡充を行ってきた。

          研修期間については平成10年度以降おおむね2ヶ月間としているが、平成17年度に内容の大幅な見直しを行い、配属別の事務処理に役立つ実務中心のカリキュラムに改正し現在に至っている。具体的には、研修内容の専門化、高度化を図り、全研修生に共通の必須科目に加え、実務のカテゴリーを四つの系統・部門(経済調査、財務、金融、管財)に整理し、配属先毎に研修生を分けた配属別実務講座を設け、重点的な時間配分を行うなど実務面の充実を図っている。

        • C.ローマ数字3種基礎研修

          平成16年度以降研修生が大幅に減少したため、平成17年度に抜本的な見直しを行い、研修期間をそれまでの3ヶ月間から2ヶ月余りに短縮し現在に至っている。講義内容については、簿記、法学の基礎的教養の時間をスリム化する一方で、実務的講義を充実させるなどの見直しを行っている。

          平成18年度以降は、ローマ数字2種と同期間としている。

        • D.配置転換事前研修

          平成19年度から平成22年度を対象期間とする「国家公務員の配置転換、採用抑制等に関する実施計画」により財務局職員となる他府省の職員に対して、財務行政実務に円滑に対応できるよう必要な知識を付与することを目的に事前研修を実施している。

          講義内容は、本省及び財務局業務の概要、財政・経済の現状などの基礎的知識の付与に加え、財務局講師による実務講義を取り入れている。

      • (ロ)実務研修

        実務研修は、業務経験が複数年にわたる役付職員等を対象に、本省及び金融庁の関係原課職員を主な講師とする講義を実施し、業務に関する専門知識を付与しているもので、財務局所掌業務の複雑・高度化や新規業務に適切に対応できる職員を育成する観点から、毎年度、環境変化に適応した見直しを行っている。

        なお、平成17年度の研修体系見直し時に、「専門研修」を「実務研修」に改称したものであるが、その際、中央研修の「実務研修」については、原則、役付任用後において、実務経験(課員時代を含む)が複数年にわたる者を対象とすることとした。

        平成12年度以降に新設した主な研修をみると、「主計事務研修」(平成13年度)、「国有財産総合研修」(平成13年度)、「人事・給与事務担当者研修」(平成15年度)、「財政融資資金電算システム研修」(平成15年度)のほか、金融庁との共同研修では、「デリバティブ研修」(平成13年度)、「金融会社監督実務研修」(平成14年度)、「保険監督実務研修」(平成18年度)、などとなっている。

        また、平成20年度には、財務局管財部門の基幹職員の資質向上を図るための「国有財産総合(高等)研修」や金融検査・監督、証券取引の監視・監督強化のための「金融関連法研修」、「リスク管理研修」、「取引審査実務研修」などを新設している。

        平成21年度では、外国為替検査の強化のための「為替実査官研修」の新設を含め、39コースの実施を予定している。

      • (ハ)特別理論研修

        本省及び財務局の所掌事務について、レベルの高い専門的理論・実務的知識等を付与するもので、高度かつ最新の会計理論の習得を目的として実施してきた「財務会計理論研修」については、平成16年度から、国際会計及び英文での契約実務等の知識の修得も目的とした研修に再編し、国内研修の選抜者を米国でのセミナー等に派遣することとした。

        また、中堅の係長クラスを対象に、各実務系統において業務遂行の核となる指導的立場の職員を養成し、組織全体のレベルアップにもつなげていくことを目的として、公募・選抜による「高等理論研修」を平成17年度に新設し、よりレベルの高い一般的教養、系統別実務、管理者としての知識等を付与することとした。なお、当研修の新設にあたり、主に役付後のローマ数字2種・ローマ数字3種職員を対象に実施してきた「財務理論研修」を整理統合したほか、従来の「財務会計理論研修」のカリキュラムの一部を取り込むこととした。

      • (ニ)一般研修

        一般的素養の向上のほか、任用段階に応じて必要となる知識を付与するもので、服務・倫理、メンタルヘルス、ハラスメント、組織管理等について、中堅役付者、新任管理者、幹部職員などを対象に各種研修を実施している。

        管理監督者向けの研修については、平成17年度に、財務局における将来の上級管理者としての素養を身に付けるための「主要課長クラス研修」を新設したほか、平成18年度には、「中堅管理者研修」、「新任管理者研修」については、それぞれ、「新任(本局)課長クラス研修」、「新任上席クラス研修」に改称するとともに、業務や組織の在り方について主体的に議論するセミナー形式を重点的に取り入れるなど、一層の充実強化を図ることとした。

        このほか、従来からの「セクシャル・ハラスメント相談員研修」、基礎研修教育官のための「教育官研修」のほか、平成18年度には、係長クラスを対象に、プレゼンテーションやディベートなどの講義を通じて、論理的思考に基づいた問題解決力の向上及び自らの主張を効果的に伝える能力を身に付けることを目的とする「スキルアップ研修」を新設している。

      • (ホ)幹部セミナー

        幹部セミナーについては、次の3コースからなっている。

        • A.省内トップセミナー

          各界の第一人者を講師に迎え、本省幹部等を対象として実施しており、昭和60年度に新設以降、年5回程度継続的に開催し、平成21年6月現在で117回の開催を数える。

        • B.夏季トップセミナー

          毎年8月に各界の第一人者を講師に招き、本省幹部、財務局長等を対象として実施している。

        • C.上級管理セミナー

          平成13年度に従前の「上級管理セミナー」(財務局部長クラス)と「財務行政管理セミナー」(財務事務所長クラス)を統合し年1回実施しているものであり、本省課長、財務局部・次長クラス及び財務事務所所・次長を対象に経済情勢、マネジメント、危機管理、時事問題等広範にわたるテーマを取り上げてセミナーを実施している。

    • ロ.通信研修

      通信研修は、自学自習を基本とし、全国各地で勤務する多くの職員が職場にありながら受講できるもので、職員の資質向上のための効率的研修として実施している。

      平成12年度以降、業務に関係する専門知識や技能の向上と幅広い教養等の修得を図ろうとする職員の自己啓発意欲に応えるため、語学力強化のための「英語」(平成12年度〜)、経済・金融の基礎知識の修得に資するための「金融」(平成15年度〜)、資産運用・管理に関する知識修得を目的とした「ファイナンシャルプランナー」(平成17年度〜)の新設など、研修科目・コースの拡充に努めている。

    • ハ.地方研修

      全国の研修支所においては、中央研修との連携に配意しながら、毎年度策定している「地方研修計画基準」に基づき、新規採用者、初任者・転課者に対して業務全般に関する基礎的な知識を付与する「基礎研修」、個別業務について各財務局で個別性のある事例研究、模擬査定等を盛り込んだ「実務研修」、倫理・服務に関する知識、管理監督者としての資質など一般的な素養の向上を目的とする「一般研修」を実施している。

      地方研修については、平成17年度の研修体系の見直しにおいて、中央研修との連携を図るとともに、内容の重複を避けることとし、各支所において必ず行うもの(必須の研修)と各支所がその必要性を個別に判断したうえで行うもの(任意の研修)に整理している。

      なお、地方研修の実施にあたっては、研修効率の観点から、必要に応じて複数の研修支所が合同で行う「ブロック研修」の積極的な活用を図っている。

    • ニ.その他の研修

      研修部が実施する研修のほかに、他の機関が主催する研修にも積極的に研修生を派遣している。

      会計センター研修部が実施する会計事務職員研修、人事院の各種行政研修、総務省の統計研修など、職員により幅広い見識を与える機会を設けることで、能力の向上を図っている。

2.機構・定員及び研修関係予算

  • (1)機構・定員

    研修部の機構は、平成12年度の機構改正に伴い、財政金融研究所研修部から改称されたほかは改正されておらず、所長、総括担当次長の下、研修部担当次長(地方課長が兼務)、研修部長が配置され、2課4係の機構に加え、教官・教育官の体制で、円滑な研修業務の実施に当たっている。

    また、各財務局に研修支所が置かれ、それぞれ支所長、幹事(沖縄を除く)、研修課長、支所員が配置されている。

    定員(行(一))については、平成13年度に改正が行われ、現在、本所7名、支所20名の計27名となっている。

    【財務総合政策研究所研修部の機構(平成21年4月1日現在)】

    財務総合政策研究所研修部の機構(平成21年4月1日現在)

    【財務総合政策研究所研修部及び研修支所の予算定員(平成21年4月1日現在)】

    (単位:人)

    職名研修部研修支所
    部長
    課長
    支所課長1010
    係長
    調査主任
    一般職員
    2027
  • (2)研修関係予算

    職員の資質の向上には、所掌事務内容の変化や社会的なニーズに即応した研修内容の充実・強化が不可欠であることから、所要の予算額の確保に努めているところであり、近年の厳しい財政事情の中でも、職員養成の必要性とその重要性が認められ、研修に必要な相当額の予算を確保している。

    平成12年度以降の研修関係予算の推移は次表のとおりである。

    平成17年度までは、ほぼ前年度並みの予算額となっているが、平成18年度以降は、執行実績を反映したものとして、前年度を下回る予算額となっている。

    なお、平成19年度には、研修部企画課に非常勤職員1名を配置するための予算が認められている。

    【研修関係予算の推移】

    (単位:千円)

    科目/年度12年度13年度14年度15年度16年度17年度18年度19年度20年度21年度
    諸謝金36,29833,90632,98630,36530,62830,76726,00023,81724,15720,687
    職員旅費4,8994,9184,9184,9184,8594,6004,2865,3736,2105,823
    研修旅費144,365143,949145,342141,717141,295133,330132,691125,688121,98798,052
    外国旅費00001,5711,5711,2151,2151,2151,161
    委員等旅費9991,3211,3211,3211,3121,2081,7041,5801,0931,615
    庁費※51,87255,01053,98659,36560,18361,05852,24045,09643,99948,262
    非常勤職員手当00000003,7513,5213,675
    合計238,433239,104238,553237,686239,848232,534218,136206,520202,182179,275

    ※19年度までは研修所庁費、20年度から庁費

  • (3)研修施設

    研修施設については、経年による老朽化が進む中、研修環境の改善と合宿研修生の居住環境の向上及び安全性の確保を図るため、様々な対応を行っている。

    • イ.施設の改修等

      施設改修については、引き続き、優先順位を勘案の上、計画的な実行に努めているところである。

      最近では、平成17年度に本館外壁の塗装工事、平成18年度には講師用エレベータの更新、平成20年度には本館の照明をセンサー方式に改良するなどしている。

    • ロ.備品等の整備

      より効率的・効果的な研修を行うことができるよう、逐次、寄宿舎の家電製品等の更新などを行ってきたほか、平成18年度には研修講義を録画し、各支所に配布するためのソフト・ハードウェア環境の整備を、平成19年度には大教室の後方座席の研修生向けにプロジェクターの増設を行うなどしている。


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