1日時 令和8年6月16日(火)13:00~14:42
2場所財務省第3特別会議室及びWEB会議
3出席者
| (懇談会メンバー) | |
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秋山 咲恵 |
株式会社サキコーポレーション ファウンダー |
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伊藤 元重 |
東京大学 名誉教授 |
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翁 百合 |
株式会社日本総合研究所 シニアフェロー |
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田中直毅 |
CIPPS 理事長 |
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田中弥生 |
元会計検査院長 東京大学 客員教授 |
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広瀬道明 |
東京ガス株式会社 相談役 |
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山本 清 |
東京大学名誉教授、 |
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座長吉野直行 |
慶應義塾大学名誉教授、金融庁金融研究センター顧問、 |
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(敬称略、五十音順) |
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(財務省) 新川事務次官、坂本官房長、弓大臣官房審議官、宇波主計局長、藤井国際租税総括官、 |
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(国税庁) 江島国税庁長官、武田国税庁審議官、祝監督評価官室長 |
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(事務局) 湯下政策立案総括審議官、熊澤政策評価室長 |
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4議題
令和7年度財務省政策評価書(案)について令和8事務年度国税庁実績評価実施計画等(案)について
5議事録
○吉野座長
定刻になりましたので、ただいまから第86回財務省政策評価懇談会を開催させていただきます。
本日も前回と同様に対面とオンラインを併用するハイブリッド形態とさせていただきたいと思います。オンラインで御参加の方々は、音声が聞こえないなど何かトラブルがございましたら、事務局まで御連絡いただきたいと思います。
また、公募により傍聴を希望された方々がオンラインで傍聴されておられます。
それでは、議題に入らせていただきたいと思います。議題は2つありまして、財務省の令和7年度政策評価書(案)及び国税庁の令和8事務年度の実績評価実施計画等(案)、この2つであります。これらを一括して湯下政策立案総括審議官から、まず御説明をお願いしたいと思います。お願いいたします。
○湯下政策立案総括審議官
よろしくお願いいたします。
それでは、財務省の令和7年度政策評価書(案)につきまして、資料1の概要ペーパーに沿って御説明いたします。資料の右下に通しでページ番号を付しております。3ページからとなります。
4ページを御覧ください。こちらは令和7年度における財務省の政策の目標の体系図で、目標ごとの評定を括弧書きで付記しております。黄色を付した評定は前年度から変わった評定で、全ての評定が上がっております。
5ページを御覧ください。こちらは令和7年度財務省政策評価書(案)のポイントとなります。上段の総合目標1(財政)、下段右の政策目標1-2(必要な歳入の確保)は、令和6年度の評定は「B 進展が大きくない」でしたが、令和7年度の評定は「A 相当程度進展あり」となりました。下段左、政策目標1-1(重点的な予算配分を通じた財政の効率化・質的改善の推進)につきましては、引き続き「B 進展が大きくない」との評定となりました。
具体的に御説明いたします。上段、総合目標1ですが、令和7年度におきましては、「内閣府の中長期試算においては、債務残高対GDP比は、2025年度から2026年度、更にはその後の期間においても着実に低下する」、「国・地方のPBについても改善が続き、2026年度には、プライマリーバランス目標を掲げた2001年度以降で最も改善した形」となり「2027年度以降には一定の黒字幅が見込まれる等、財政状況が着実に改善する姿が示され」たとの理由でA評定となりました。「ただし、上述の中長期試算における国・地方のPBの見通しは、2026年1月時点のデータを基に試算されたものであり、近年、大規模な補正予算が常態化する中で、経済状況の変化や追加的な対応が生じた場合の影響等によって変化する可能性があることに留意が必要」とされております。
下段右、政策目標1-2ですが、令和7年度においては、「国の一般会計において、令和7年度当初予算額と比較し税収が5.9兆円増加すること等から政策的経費を税収及び税外収入が上回り、28年ぶりにPB黒字化を達成」、また、「施策の推進に当たって必要となる財源確保に向けた具体的な制度改正等の取組を行うことができたことから、必要な歳入の確保について進展が認められ」るとの理由からA評定となりました。
下段左、政策目標1-1ですが、令和7年度においては、予算全体のメリハリ付けを行い、重要施策に予算を重点化しつつ、歳出歳入両面の改革を推進しましたが、「『租税特別措置・補助金見直し担当室』の取組を更に推進する」ほか、「補正予算は緊要性の高いものに限定し、恒常的な施策については、原則、当初予算で措置するなど、予算編成改革に取り組む必要」があり、「今後とも歳出改革を徹底し、その取組を進める必要」があるとの理由で引き続きB評定としております。
以上がポイントの説明となります。
6ページを御覧ください。こちらはそれ以外で令和7年度の評定が令和6年度から変更となった目標の評定理由です。上段、総合目標6につきましては、ポイントにございました総合目標1(財政)に記載のとおり、財政状況が着実に改善する姿が示されたこと等から、令和7年度は「A 相当程度進展あり」となりました。
中段、政策目標1-4、下段、政策目標9-1は、令和7年度は全ての施策において目標を達成し、評定がsとなったことから、目標の評定も「S 目標達成」となりました。
7ページを御覧ください。評価マニュアルの「測定指標以外の事情として、特段の事情がある場合には、適切な理由を付して評価を下方修正することができる。」との規定により評価を行った政策目標の説明となります。
上段は、先ほどポイントで御説明した政策目標1-1(重点的な予算配分を通じた財政の効率化・質的改善の推進)となりますので、説明は省略させていただきます。
次に下段、こちらもポイントにございました政策目標1-2です。「施策1-2-1 必要な歳入の確保等」の測定指標、「必要な歳入の確保及び説明責任の向上」が令和7年度は「○」となりましたが、「物価上昇の影響等を注視する必要がある」との理由で当該施策の評定はa、政策目標1-2の評定もAとしました。
8ページを御覧ください。こちらは逆に評価マニュアル「『b』とされた施策が一部にとどまり、かつ他の施策の重要性が高いような場合には、適切な理由を付した上で、『A』とすることができる。」との規定によって評定を行った政策目標です。
政策目標5-3は、施策「政5-3-5 税関行政に関する情報提供の充実」の主要な測定指標「密輸取締り活動に関する認知度」の目標達成が「×」となり、当該施策は「b 進展が大きくない」評定となりました。一方で、政策目標5-3においては、貿易円滑化の推進と水際取締りの強化をより高いレベルで両立するため、税関手続の改善、リスク管理手法の高度化などの施策を着実に進めており、政5-3-5以外の施策の評定は「s 目標達成」や「a 相当程度進展あり」となっております。
これらを踏まえ、「b 進展が大きくない」とされた施策が一部にとどまり、かつ他の重要な施策がsまたはaであることを総合的に勘案し、当該政策目標の評定を「A 相当程度進展あり」といたしました。
9から11ページは令和6年度及び令和7年度における目標の評定結果です。緑で色をつけている箇所が前年度と異なる評定となった目標で、先ほど5ページ、6ページで御説明させていただきました。
12ページを御覧ください。こちらは評定ごとの集計結果です。一番右の合計欄を見ていただくと分かりますように、令和7年度においてはSが2つ増え19、Aが1つ増え10、Bは3つ減り1となっております。
13ページを御覧ください。13から14ページは令和7年度における財務省の主な取組について取り上げております。お時間の関係から説明は割愛させていただきます。
15ページを御覧ください。15ページから16ページは評価書に記載されている令和7年度における財務省のデジタル化の主な取組を一覧としてまとめたものです。
最後、17ページは評定基準を参考に載せております。
以上が令和7年度財務省政策評価書(案)についての御説明となります。
続きまして、国税庁の令和8事務年度実績評価実施計画等(案)につきまして、19ページから資料2の概要ペーパーに沿って御説明いたします。
20ページを御覧ください。令和8事務年度実施計画の概要となります。令和8事務年度実施計画の全体の方向性といたしましては、これまでの目標体系を大きく変えず、継続性を重視した計画となっております。また、各測定指標については取組の成果や委員の皆様からの御意見を踏まえ、より実情に即した見直しを行っております。
21ページを御覧ください。こちらは国税庁の使命と実績目標等の体系図です。体系図については、昨年度からの変更点はございません。税務行政DXの推進に特に力を入れて取り組んでまいります。
22ページを御覧ください。22ページから26ページは令和8事務年度実施計画(案)における主な変更点です。
まず22ページです。「業績目標1-2-1 オンラインによる税務手続の推進」では、e-Taxの利用状況を踏まえ、さらなる推進を目指し、令和8年度は指標の目標値を引き上げております。また、マイナポータル連携の利用拡大を目指した取組を行っており、新たに「所得税の確定申告におけるマイナポータル連携の利用人員数」を参考指標に追加しております。
23ページを御覧ください。こちらも税務行政のDX化の取組です。一番上の段、「業1-2-1-4 キャッシュレス納付の推進」。キャッシュレス納付の利用拡大の取組のうち、国税納付件数全体に占める割合が大きい源泉所得税について重点的に推進しており、これまでの参考指標を定量的な測定指標に格上げいたしました。
2段目、「業1-2-1-5 申請・届出等の合理化・デジタル化」。これまで手続自体の見直しや記入項目の簡素化に取り組んでまいりましたが、今後はさらなるデジタル化推進の観点から指標の名称を「簡素化」から「デジタル化の状況」へ変更しております。
3段目、「業1-2-2-1 内部事務のセンター化の推進」。税務署ごとに行っていた申告書の入力や審査などの内部事務を業務センターで集約処理する効率化を段階的に進めてきました。令和3年7月から対象となる税務署を順次拡大し、これまで評価書で進捗をお示ししてきましたが、令和8事務年度に全ての税務署の内部事務センター化が完了しましたので、施策を廃止しております。
一番下、「業1-2-2-2 照会等のオンライン化の推進」。対象が金融機関以外にもクレジットカード事業者等も加わっていただけることになりましたので、測定指標の名称を変更したほか、目標値を450機関から500機関へ引き上げております。
24ページを御覧ください。上段、「業績目標1-3-1 広報・広聴活動等の充実」。広報活動に新たな参考指標として「国税庁LINE公式アカウントの登録者数」を設けております。
下段、「業績目標1-3-2 相談等への適切な対応」。令和8年分確定申告から休日相談対応を廃止することに伴い、参考指標「閉庁日における相談件数」を廃止することとしております。
25ページを御覧ください。「実績目標(大)2 酒類業の健全な発達の促進」についてでございます。日本産酒類の輸出促進の取組施策に関し、令和8事務年度では指標体系をより実情に即した形に見直ししております。
26ページ、「実績目標(大)3 税理士業務の適正な運営の確保」です。より高い水準の行政運営を目指し、税理士専門官の事務のうち、税理士に対する指導監督の割合の目標値を引き上げております。
27ページ以降は参考資料です。27から29ページは各実績目標に対する施策の一覧表で、指標の数と増減を記載しております。
30ページから31ページは国税庁で力を入れているDX推進の取組の令和8事務年度の主なものを取り上げております。
32ページは過去5年間の施策の数と指標の数の推移の一覧表となります。
以上が令和8事務年度国税庁実績評価実施計画の概要等(案)の説明となります。
私からは以上でございます。
○吉野座長
湯下政策立案総括審議官、ありがとうございました。
それでは、各委員から御発言を頂きまして、最後にまとめて財務省の側から御発言を頂くということにしたいと思います。
まず最初は対面の皆様にあいうえお順で、オンラインの方々にはその後にお願いしたいと思います。会場にいらっしゃる委員の先生方はお手元のマイクをオンにして御発言を頂きたいと思います。また、オンラインで御出席の委員の方々はミュートボタンを押して御発言の際には御意見を頂きたいと思います。お一人5分以内で御発言いただきたいと思います。
それでは、田中直毅委員から、よろしくお願いいたします。
○田中直毅委員
ありがとうございます。今日はちょっとしたレジュメを配らせていただきました。
金融規律と財政規律との関連について指摘したい。このいずれもマーケットで試されるという共通点がある。対イラン戦争で100日以上たったんですが、ウィークリーデータでチェックしてみますと、アメリカの連銀のバランスシートは半年前に比べて抑制という形になります。そのことはマーケットを通じていろいろな形で伝わるわけです。とりわけアメリカの例えばマニファクチャリングのセクターにおいて原材料資材を、インフレ期待がもし高いんだったら事前に早く買っておいたほうがいいということになる。ところが、連銀はどうやらバランスシートを圧縮して、マーケットからお金を回収することに熱心との判断が広がった。連銀のバランスシートは、ウィークリーデータとして発表されます。どうもアメリカではこれを根拠に助言をする人もいるし、資材調達者自身もこれを見ているようで、現実に尿素とか白金とか、そういうものの値段は上がっていません。すなわちインフレ期待はマーケットの中に広がっていないというのが現実で、それには連銀が自ら決めることができるバランスシートのサイズを膨れ上がらないようにしている。今のように物価が上がっているから連銀のバランスシートは増えていくのかなと思う人が多いんですけれども、半年前と対比して、むしろ抑制している。それがサインとして経済を構成する人たちにシェアされまして、結果として期待インフレ率が抑制されているということではないのか。
これに対して日本銀行は何かメッセージに近いものをマーケットに、あるいはリアルセクターに投げかけているのかというと、残念ながらそういう事実はデータで検証する限りない。例えば日銀のバランスシートは上旬、中旬、下旬という発表の仕方でありまして、ウィークリーデータに直すためには手作業といいますか、幾つかの前提でウィークリーデータをつくらなきゃいけない。上旬、中旬、下旬という区分は、五十日とか何とかという決済習慣があったものの延長線上だと思います。日本銀行は自らの姿勢を示すのにバランスシートのサイズを圧縮するとか、そういうことを通じて期待インフレ率の抑制に関わることがないというのが実態です。ただし、東アジアには中国経済の停滞等がありますので、現実に日本においても、いわゆる原材料資材の価格は幾つかの商品において上げ止まりの気配があります。しかし、これは金融規律が貫徹しているからではなくて、たまたま東アジアにそういうデフレ要因が存在しているからだと理解しております。
問題は財政規律との関係です。私は財政規律と金融規律との間にはっきり関連がついた典型的事例は2022年の英国トラス政権は、財源の保証もなしに減税策を中心として財政支出を拡大しようとした。これがマーケットでポンド売り、債券売りにつながり、内閣は2カ月足らずで終わったわけですが、そのときマーケットでは同時に何が起きたか。ヨーロッパにはJGB(日本国国債)のETF(上場投資信託)が組成されています。中期から超長期にわたって一定比率で商品構成をして、それをユーロ建てで売り買いできるというマーケットが成立しています。金融業者は何でも商売にするんですけれども、そういう意味ではJGBはユーロ建てでヨーロッパでマーケットを造り出す意味があった。2022年9月にこのETFは暴落いたします。黒田日銀総裁の最後の意思決定ですけれども、2022年12月にイールドカーブコントロールを緩めるという第1弾を発表しました。それから4か月後に黒田さんは退任されるわけですが、黒田さんの退任の4か月前にイールドカーブコントロールはもう無理だった。ユーロ建てのJGBのETFにこれだけ売りが立っている、金融市場で財政規律についての点検が行われている、その結果はもう明々白々、これでもうイールドカーブコントロールは無理というのが黒田さんの判定だったと思います。そういう材料を日銀当局も出したんだろうと推察いたしております。
いずれにしろ、こういう形で財政規律はマーケットで問われる局面はやっぱり来る。これは為替レートと、それから長期債価格に特にはっきり出ます。次に我が国において財政規律維持のための意思が内閣においても国会の審議においても十分感じられない、しかも状況は悪い、例えば期待インフレ率が日本でどう推移するかはこれから注目すべきことですが、ここにもし火がついたとすると、円と日本国国債はマーケットで売りたたかれる、それを手ぐすね引いて待っている集団も金融市場にはいっぱいいるということです。
我々は財政規律の問題をマーケットを通じてだけしか言及できないというのはあまりにも情けない話ですので、内閣にも国会にも何らかの形で財政規律に関わる重要な情報を有権者が理解できるような形で提示することが重要です。選挙結果で政権がつくられますので、有権者が分かるような形で財政規律の重要性、もしそれを無視した場合には金融市場を通じて日本国民がひどい目に遭うことについて思いを馳せさせることが必要だと思います。
ちなみに、世界の金融市場で大儲けした人は大体こういう局面を選んで売りをかけます。1992年でしたか、ジョージ・ソロスがポンドを先物取引を通じて大幅に売りまして、結果としてポンドの大暴落でソロスは財をなした。彼はなかなか立派な人ですが、やり方はこれなのかと当時思ったんですけれども、そういう人たちに蓄財のための条件を与えるのが別に日本国の国策でも何でもないんですが、結果としてそういうことになるというのは恐らく国民にとって一番不幸なことではないか。我々の前にはいろいろなマーケットデータがありますので、それを通じて財政規律に関わってもいろいろ議論すべきではないかと思っております。
以上です。
○吉野座長
田中直毅委員、どうもありがとうございました。
それでは、続きまして田中弥生委員、お願いいたします。
○田中弥生委員
ありがとうございます。今のすばらしいプレゼンテーションの後だったので、ちょっと気が引けるところがあるんですが、先ほど話題になった規律に関連して、そしてこの評価書を使いながら意見を申し上げたいと思います。
まず財務省のほうですが、総合目標1が前の年よりいい評価になったということですけれども、PBにしても債務残高対GDP比にしても、やはりインフレによる影響は否めないわけでして、一旦改善したからといって、ここで手綱を緩めてはいけないだろうと思います。ましてや債務残高対GDP比については、インフレボーナス時期にありますので、数年後にはここのボーナスもなくなってゆくだろうと思われます。このボーナス時期に数値が少し改善したからと債務を増やした場合には、ボーナス時期が終わったときに反動が来ると思われますので、注意をしていく必要があるだろうと思います。
そして、政策目標1-1では補正予算についてしっかりこれをやっていくと。管理をしていく、緊要性の高いものに限りという文章が示されています。これは、財政法29条に基づくところですけれども、ただ、現実はどうかというと、緊要性という言葉が反故になっているような現状で、そうした中で補正予算が措置されているというのが近年の動向だろうと思います。実際にこれは会計検査院で調べたところ、平成28年から令和5年に措置された、補正予算の総額は約150兆円、うち75%は国債が財源になっています。金利が低い時代はよかったんですけれども、金利が上昇する中で利払い費の負担も増加します。のみならず、補正予算の執行率も芳しくなく繰越が4割以上になっている。さらに繰越後の執行率を見ても5割を切っており、残りは不用になっていました。国に返すからいいじゃないかという意見もあるんですけれども、利払費が発生することに鑑みると、やはり補正予算というものについて厳しく見ていく必要があると思います。幸い、総理は補正予算の在り方について見直すと明言されています。近年、補正予算について明言された総理は現総理だけではないかと思いますが、これを機に補正予算の在り方というものをしっかり見ていく必要があります。財政法に記された「緊要」というものをどう解釈して、どういうタイミングで、どのぐらいの金額を出していくのかについて、今までガイドラインがなかったわけですけれども、総理が言ってくださっているわけですから、このタイミングで検討する必要があるのではないかと思います。
財政のほうですが、1-4で決算の作成を通じた国の財政状況の的確な開示ということが目標に掲げられています。財政の規律というと、どちらかというと予算のほうに目が向きがちなんですけれども、決算を見ていかないと規律というのは完遂しないだろうと思います。決算制度上、補正予算も予備費もそれだけを取り出して何にどう使ったのかということは、見ることができない状況です。そうした中、何とか工夫をしながら予備費の一部は、財務省は少しずつ公開をするようにはなっています。しかしまだ全てではないというところです。やはり予算と決算と両方見た上でPDCAを回す必要があると思いますし、そのための制度等の改善が必要だと思います。
国税庁の方ですが、一丁目一番地はデジタル化だろうと思いますが、評価書を拝見すると、かなりのスピードで進んでいまして、e-Taxを見ると、この数年で利用率が40%から60%台に進んでいます。何が利用率を押し上げている要因なのか、是非伺わせていただきたいと思いました。
さらに、質問させていただきたいのがシニア住民とデジタル化の問題です。シニア住民がデジタル化についてこられないとよく聞きます。しかも今人口のボリュームゾーンがシニアになってきているので、デジタル化を進める際のハードルになってしまう可能性もあると思います。国税庁においても、あるいは税務署においても同じような問題を抱えていないかどうかということについて教えていただけたらと思います。
以上になります。
○吉野座長
ありがとうございました。
それでは、続きまして広瀬委員、お願いいたします。
○広瀬委員
ありがとうございます。何点か御質問というか、確認をさせていただきたいと思います。
まず財政関係ですけれども、田中弥生委員からもお話がありましたけれども、今回評価がAと、改善されたということですけれども、制度としてはそうなるんでしょうけれども、一般国民の受止めは必ずしもそういうふうなことにはならないのかなと。今の財政状況はそんな楽観できる状態じゃないというのが今の国民の率直なところではないかなというふうに思っております。最後のところに今後の変化に留意が必要であると、こういうふうに書かれておりますので、正にそこが一番のポイントかなと思っております。財政の健全化は財務省の一丁目一番地でありますから、引き続き着実に進めていただきたいというふうに思います。
2点目は税関業務でございますけれども、以前にもここでお話ししたと思うんですけれども、日本の一番の財産、魅力は安全・安心ということで、特に銃と薬物が無いというのが一番日本の誇れるべきことだと思っておりまして、特に薬物は税関の皆さんが本当に御努力していただいて、水際で相当な量が押収されております。一方で、最近は金の価格が上がって、消費税分の利ざやを稼ぐとかというふうな、あるいは密輸が増えているというふうな声も、これは本当かどうか分からないんですけど、そういうふうな報道もされておりまして、特に最近びっくりするのは都内のど真ん中で何億という現金が強奪されたりなんかしておりまして、そういった背景もあるのではないかというふうなことも言われているんですけど、是非薬物、それから最近はそういった金みたいなものも含めて、税関業務、大変だと思うんですけれども、是非御努力していただきたいなというふうに思っています。
3番目は、どこの項目に入るか分からないんですけれども、財務省の人づくり、人材力についてですけれども、最近はどこでも人材獲得競争が本当に熾烈になっていまして、民間も含めて、あるいは役所もそうだと思うんですけれども、さらに離職とか転職も珍しくない、当たり前と、こういう世の中で、財務省の人材力アップというのは極めて重要になってきているんじゃないかなと。財務総合政策研究所で若手の研修などを行っているということですけれども、最近の人づくり、今AI、AIといって、何でもこれからAIがあればできるなんていうふうな話もあるんですけれども、もちろんAIはこれから使っていかなくちゃいけないんですけど、やっぱり最後は一人一人の能力、あるいはやる気、そういうところだと思うんですけれども、財務省の人づくり、その辺をお聞きしたいなというのが3番目です。
最後に、国税庁関係で1点、先ほど話がありましたけれども、オンライン化、デジタル化は本当に確実に進展していまして、これ以上なかなか数字は難しいなというところまで行っておりまして、それは本当に評価できるんですけれども、その成果として、1つはサービスの向上があると思うんですけれども、もう1つの成果として人員の効率化、あるいは人員の重点分野へのシフト、恐らくそういったことも進めていらっしゃると思うんですけれども、さらに将来、税務署の統廃合というんですかね、そういった可能性があるのかどうか、税務署というのはそんなに頻繁に行くところでもないものですから、そういったような、いろいろなオンライン化が進めばそういう対面業務、あるいは対面の機能が縮小されていく世の中ですから、そんなようなことも将来的なものとして検討されているのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
以上4点、確認させていただければと思います。よろしくお願いします。
○吉野座長
ありがとうございました。
それでは、山本委員、お願いいたします。
○山本委員
ありがとうございます。
まず評価書(案)も実施計画(案)もおおむね私は評定並びに全体的な修正について、そのまま評価したいと思っております。
個別に財務省の政策評価書(案)について、幾つか事前に出しておるんですが、そのうち、3点ばかり少し申し上げたいと思います。
先ほど事務局から御説明もありまして、あるいはほかの委員からも御発言があったとおり、総合目標1の記載におかれては、確かに正確ではあるんですが、28年ぶりに予算でプライマリーバランスの黒字化を実現したということが書いてあるんですが、それはあくまでも一般会計においてということなんですよね。それがどこまで国民の方に正確に伝わるのかということにおいては若干疑問もありまして、これはかねてからかなり議論もあるところなんですが、むしろ財務省としての管理可能性等々から考えていく、あるいは早く適時的な指標だということにおいては、案外むしろここに書いておられるように一般会計ベースできちんとコントロールするということが前提になって、その結果としてSNAベースの国と地方のプライマリーバランスというのは当然出てくるわけですので、どうしても誤差も多いものですから、そこら辺はより、冒頭、国民に対する広報活動が重要だという田中直毅委員からも御発言があったんですが、そこら辺は慎重に表現並びに広報に努めていただきたいと思います。
2番目は租税の広報ですが、これも非常に重要であって、将来を支えていただけるような児童・生徒に対してきちんと租税の役割等について、これは非常に重要であると思うんですが、かねがね私個人的にも気になっておることは、財務省のホームページにおかれてもお書きになっておられるように、租税は社会の会費だという表現があって、公会計のほうでも大分昔は収益か、出資かなんていう、ややマニアックな議論があったんですが、会費というのは確かに分かりやすいんですが、例えば町内会であるとか課の親睦会なんていうイメージに近いんだと思うんですね。高い収入がある人は少し高く取るような、しかし、いろいろな税目があるとか、任意かどうかなんていう判断があるので、これはどうも財務省の公式見解のようですが、そこら辺は、もし時間があれば、どういう趣旨でこういうふうな表現になっているのかということを分かればお教えいただければと思います。
3点目は、NACCSの指標を廃止されたというのは、これは全く問題ないんですが、それに代わる別の指標があるとよりいいなという気がいたしました。評価においてもですね。
国税庁の実施計画(案)については、今年度かなり改善が見られて、非常に前向きな姿勢はいいと思いました。ただ、あえて要望を3点ばかり申し上げれば、確かにデジタル化促進のためには、国税当局だけではなくて事業者側もデジタル促進をしなきゃいけないんですが、国税庁としてどれぐらい事業者に対するデジタル化促進を直接的に働きかけられるかというと、手法とか財源等がかなり制限されておられますので、ここら辺がいわゆる世間で言われるようなロジックモデルですね、これがいいかどうかという議論もあるんですが、ロジックを整理されて、管理可能な指標に落とし込まれることが今後なおいいのではないかと思いました。
租税に関する啓発活動は、国税庁のところにも出てまいるんですが、当然これは主税局との教材の共有化等々を図っておられると思うんですが、そこら辺、より連携を図られると、よりいいのではないかというふうに考えました。
一番高く私がこの実施計画を読んで評価したいのは、日本産酒類の輸出促進の取組につきまして、行動変容に着目した指標を設定されたというのは、これは非常に高度化された、あるいはより促進事業に対して働きかけが妥当かどうかということを見るということで、これは非常に高く評価したいと思います。
以上でございます。
○吉野座長
ありがとうございます。
それでは、オンラインの委員の方で、まず秋山委員からお願いいたします。ミュートを解除してお願いいたします。
○秋山委員
ありがとうございます。私もコメント、御質問しようと思っていたことが既に多くの委員の皆様からお話しいただいておりますので、重ならない部分だけお話をしようと思います。コメントさせていただいて、あと細かい質問を2つほど。
まず全体としての評価案につきましては賛同させていただきます。その中でやはり一番注意を向けることになったのが財政規律です。評価書を検討するというお仕事をさせていただいている中で、政策評価の観点からも国際情勢だとか経済環境だとか、ボラティリティが非常に、特に急激に大きくなっている時代において財政規律というものの考え方をどのように整理するべきなのかということを、そういう現実を突きつけられているなというふうに思っておりますし、政策評価の観点から見ても、先ほどコメントがありましたように、財務省の努力でできること、それから環境の要因で影響を受けるもの、この辺りを混然一体として評価することの難しさ、そこに課題があるなというふうに思っておりまして、評価のシステムというのはそもそも全体として物事がよりよいものになっていくように、関わっている職員の皆さんにとってよりよい方向に仕事をどんどん変えていこうというインセンティブになるものでなければならないと思います。そういった中で、せっかく一生懸命やっている取組が別の、自分たちではマネージできないような要因で影響を受けた結果がこういう結果であるということは、財務省の皆さん、そんな環境の中でも皆さんしっかりお取り組みいただいているということは理解はしておりますけれども、評価システムとしての課題はそこにあるなということを改めて感じましたので、コメントをさせていただきます。
あと、細かい質問ですけれども、取組の中で例えば5ページ目の政策目標1-1の令和7年度のところに新しく大臣が設置されました租税特別措置・補助金見直し担当室の取組、こういったものもしっかり進めていただいていると思うんですけれども、こういう取組を進めておられる中で、更に進めるためにどんな課題に直面されておられるのかというようなことについて共有いただけたら、理解が深まりますので助かります。
もう1点が、多くの皆さんからコメントいただいたデジタル化に関する部分ですけれども、国税庁においてもデジタル・トランスフォーメーションということを打ち出されて、財務省においてもデジタル化の取組もいろいろ御説明いただいておりますけれども、デジタル化が進めば、これからの時代はAIの活用というものが非常に重要なテーマになってくるわけですが、国税庁の資料の中には、AIを使ってこういうことをやっているという記述があったのですが、財務省のほうの資料には特段、明確にはそういう記載が見つからなかったので、例えば行政における生産性の向上であるとか、働き方改革ですとか、そういった観点で活用されておられるような事例があれば御紹介いただきたいなというふうに思いました。
以上です。
○吉野座長
ありがとうございます。
それでは、伊藤元重委員、お願いいたします。
○伊藤委員
どうもありがとうございます。毎年のことなんですけれども、非常に丁寧に分析されていて、全体の報告については特に異論はないので、今日は何人の方からもお話があったインフレと財政について、一言コメントさせていただきたいと思います。
レポートの中にもあったと思うんですけれども、インフレが財政に及ぼす影響は主に2つのチャネルがあって、1つがプライマリーバランスが好転するという部分と、もう1つは債務残高対GDP比というんですか、バランスシートに影響を及ぼすと。言うまでもないことにこの2つは非常に異なったもので、当然時間の流れとともにかなり変わっていくんだろうと思います。プライマリーバランスに関わるのに非常に近いのは、経済学の言葉を使うとインフレーションタックスと言われているもので、インフレが起きているときには、それに応じて貨幣に対する需要も増えるものですから、貨幣の発行に応じた収入があると。ちょっと教科書的な議論で恐縮なんですけど、教科書的な議論で言うと、それは何をしたのかと言うと、マネーバランスというんですか、M1でいいと思うんですけど、これをGDPで割った比率ですね。つまり経済全体で貨幣がどれだけ流通しているかと。それに貨幣の発行率を掛けたものになるわけです。非常に単純な議論をすると、要するに日本のM1というのは大体1,000兆円ぐらいですから、約GDPの倍ぐらい、2倍になっていて、貨幣の発行率はほぼインフレ率に等しくなっているとすると、2%のインフレを想定すると、GDPの2倍のマネーバランスということであるとすると、おおよそGDP比で4%ぐらいのインフレーションタックスが入ってくると。これはもちろん非常に単純な議論ですから、もうちょっと精緻化しなきゃいけないと思うんですけど、申し上げたいことはかなりのマグニチュードで財政に大きな影響が及ぶことが起きていると。これはある意味で財政運営という形から見れば好ましいことであるわけで、大事なことは、その数字というのは今後もインフレが続く限りは変わらないということだろうと思うんです。もっとも、インフレ税の源泉としてどの貨幣の定義を使うのかは議論のあるところで、例えば上の計算でM1のかわりにハイパワードマネーを使えば、税収は半分くらいになります。
ただ、議論があるのはDebt to GDP比のほうで、物価が上昇する中で分母のGDPは増えてくるんですけど、分子のDebtはあまり変わらないということで、これが先ほど言ったDebt to GDP比が少し減少傾向にあると。ただ、厄介なことは、これは時間を追うにつれて名目金利が物価上昇率を反映して上がってくるために、今の状況では非常にある意味で恩恵を被っているわけですけど、数年するとかなり状況は変わってくると。ただ、その場合でも、最悪の場合で名目金利の水準が物価上昇率にほぼ等しくなるということを想定すると、要するに今あるボーナスみたいなものがなくなるだろうということだと思います。もっとも、長期的に名目金利と名目成長率のどちらが高くなるのかは一概には決められませんが。
いずれにしても、財政の結果だけ見るとプライマリーバランスと債務残高対GDP比がかなり大きな変化になるわけですが、その裏側でかなり大きな構造変化があるわけで、この中で財政運営をどうするべきかという議論になってくると、なかなか政策分析の中では難しいのかもしれませんけど、今大きな変化があっているということを是非申し上げたいと思いますし、そこはインフレになったから財政が楽になったという話ではなくて、もうちょっと詰めたプライマリーバランスとか、あるいはDebt to GDP比とか、それぞれ分けた中で、しかも時間の軸の中でどう変わってくるかということを少し議論していく必要があるのかなと思います。
どうもありがとうございました。
○吉野座長
どうもありがとうございます。
それでは、翁委員、お願いいたします。
○翁委員
御説明ありがとうございました。私も全体の評価書につきましては特に違和感ないので、これで進めていただければと思います。何点か申し上げたいんですが、まず1点目は伊藤委員がおっしゃったことを私も申し上げようと思っておりました。税収が良くなって、全体としてもPBは良くなってきているんですけれども、この要因分解が非常に重要だと思っております。特にインフレがどういうルートで財政に影響を及ぼしているのかについては、しっかり分析していただきたいと思っておりますし、まさにインフレ税の問題、伊藤委員、御指摘されましたけれども、どういう状況になっているのか、そしてこれから、まだインフレが続いていく見込みが強いわけでございますけれども、これからの影響も含めて分析、説明できる必要があると思います。これは歳入面だけでなく、歳出面におきましても、インフレがどのような影響を及ぼしていくかが大変重要で、今「相当程度進展あり」ということになってきておりますけれども、この辺の分析もぜひお願いしたいと思っております。
それから、政策目標の財政の効率化・質的改善の推進のところにつきましては、他の委員の先生もおっしゃいましたけれども、特に現在の動きとして好ましいと思っているのは、補正予算を緊要性の高いものに限定する方向になっていることでございまして、しっかりこの方向に向けて御努力いただくことは大切だと思っております。また、これもほかの委員も御指摘いただきましたけれども、租税特別措置の見直しとか補助金の見直しは、データでしっかりエビデンス・ベーストの議論を積み重ねていくことが大切だと思っております。主税局ではそういう取組を、ほかの官庁も含めて、説明、アカウンタビリティを求めるような形で進めておりますけれども、補助金などにつきましても、財務省だけでなく、ほかの省庁にもエビデンス・ベーストなポリシー・メイキングのしっかりしたアカウンタビリティを求めるような形で是非進めていただく地道な努力が必要ではないかと思っております。
もう1つは、社会保障国民会議のほうで給付付き税額控除の議論が始まっておりまして、これは2年後と言われていますけれども、大変大事な取組であり、様々な周辺の課題も出てきておりますので、これを財務省としても必要なことはしっかり受け止めて、着実に進めていただきたいと思っております。給付付き税額控除そのものを進めていくための所得把握とか、そういった迅速給付といったデジタル化のインフラももちろん必要なことですし、また、小さく産んでということで大きく育てるということにはなっておりますけれども、それだけでなく、導入にあたって明らかになっている様々な課題、医療費の増加抑制といった社会保障の改革とか、様々な生活扶助のようなものの仕組みの見直しとか、あと税制も人的控除の見直しも含む所得税全体の見直しとか、様々な課題が出てきております。これからの議論ではあるかと思いますけれども、現在の低所得勤労者の負担軽減を実現していくためには、この制度だけでは全然片づかない問題がたくさんございますので、そういった問題意識を持って、財源を確保した上でこの制度も入れ、更に検討を深めていただきたいと思っております。
最後に、国税庁のほうでございますけれども、国税庁のデジタル化、着実に進めておられることにつきまして、私も大変心強く思っておりますけれども、一層AIを活用していく必要が出てきているのではないか、そのAI活用についてのお考えとか方針について教えていただきたいと思います。また、これは国税庁だけの問題ではないですけれども、どんどんフロンティアAIと呼ばれるAIの高度化によって、セキュリティの観点でいろいろ備えなければならない点も出てきているのではないかと思っていますので、そういったことの検討状況などにつきましても教えていただければと思っております。
以上になります。
○吉野座長
どうもありがとうございます。
それでは、私からも何点かコメントさせていただきたいと思います。
まず1つは、プライマリーバランスが先ほど皆さんの御意見のように良くなってきたのでAになっている部分がありますけれども、プライマリーバランスというのはあくまでも1つの通過点であって、一番重要なことはオーバーロールな全体のバランスであると思いますので、是非目標を、プライマリーバランスでなくてオーバーロールバランスという形に設定し直さないと、一般の方々が随分良くなってきているんじゃないかというふうに間違ってしまわれると思います。特にこれから利払費がインフレで増えると思いますので、オーバーロールバランスのほうがいいというのは1979年に「The American Economic Review」の論文にもありまして、プライマリーバランスでは駄目だと言われているわけですから、全体のバランスとしての財政を考えることが大事だと思います。
2番目は、同様ですけども、過去の債務をどのように減らしていくかという、これも本当は考えないといけないわけで、これまではとにかくプライマリーバランスということだったわけですけども、是非これからの、これまでの残高をどうやって減らすかと。残高がずっとあるということは、将来の世代にこの負担を先延ばししているということでありますので、是非その2つのオーバーロールバランス、それから今まで積み上げてきた債務の残高をどのように減らしていくのかということも是非これから議論していただきたいと思います。
それから、利子率と成長率を比較するというのは、前も申し上げたんですけども、アメリカではこの公式が当てはまるんですけども、普通の国は国債の需要をきちんと見ないといけないわけですから、JGBの場合に債務の供給の残高とそれをちゃんと消化できる安定的な需要、これがあり続けられるかどうかということが最も重要というふうに思います。
それから、ほかの委員の方々からもお話がありましたけども、日本の場合、公務員の魅力、財務省、国税庁を含め、公務員の魅力をいかに高めていくかということが必要であると思いまして、その中では例えば財務省や国税庁の方々で、最近ですと夜、あるいは土・日に大学院に行って勉強するという制度も随分出てきております。ですから、そういう意味では人材の育成、そして入られた方々が更に人材の知識を確保していただくという意味では、いろいろな形で魅力のあるプログラムを是非つくっていただきたいというふうに思います。
それから、一番最初に田中直毅委員から最悪のシナリオということだったわけですけども、よく途上国で見る最悪のシナリオは債務の残高が増えて、田中直毅委員の言い方と同じですけども、JGBが不安になると。そうすると価格が下がり、金利が上がる。それで利払費が増えると。国債の不安が来ると海外の資金が外に逃げていって、さらには日本の資金も外のほうに逃げていく。そうしますと円安になり、結局、大インフレと、それから大赤字、政府のですね、これで破綻するということになるわけですから、後に延ばせば延ばすほど、多分そのショックというのは大きくなるわけですから、そうしますと一番最初に申し上げたオーバーロールバランスをしっかり保つこと、そして過去の債務残高を減らしていくと、こういう目標をきちんと立てていただいて、それでそれを着実に実行するという形が是非必要ではないかというふうに思います。
国税庁のほうに関しましては、皆様から御意見あるようにDXが非常に進んでいて、それによって調査のほうにもっと時間が割ける、あるいは広瀬委員のおっしゃったように集約化ができて、それでセンター化ができれば、いろいろな国税庁のオフィスが地方にもあるわけですけども、それが集約化されることによって、更に効率化が促せると思います。また、是非将来お願いしたいのは日本でのDX化が、ほかの国がこれをまねしてくれると。昔、よくエストニアの話が出たわけですけども、日本の国税のシステム、あるいは日本政府のDX化、これをアジアの方々もみんな、我々もまねしてみようと、そういうふうになるぐらいの形で進めていただければというふうに思います。
最後は、秋山委員からいろいろな、こういう政策評価のときに財務省自身の政策による帰結と、それから政治的、外生的要因による帰結と、両方あるというお話で、全く以前からこの懇談会でもその話がありまして、特に財務省の場合には政治的な要因による部分がすごく大きいわけで、どこまでが外生要因で、どこまでが内生要因かというのは、合わせることは難しいですけども、外からの要因というのもある程度考えて見ていく必要があるのではないかというふうに思います。
酒類に関しましては、フランスのワインはあれだけ売っているわけですから、日本酒だって、それ以上に売れるのではないかと思いまして、是非ここでも頑張っていただければというふうに思います。
以上が私からのコメントでございます。
ほかの委員の先生方で何か追加の御発言があるようであれば、挙手をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、これから頂いた御意見、御質問に関しまして、財務省、国税庁の側から御発言を頂きたいというふうに思います。
まず最初に、湯下政策立案総括審議官からお願いいたします。
○湯下政策立案総括審議官
秋山委員から財務省のデジタル化の効率化の評価について御質問いただきました。昨年からも同様の御指摘を頂いているところでございます。まずは今回も12ページ、13ページにございますように、財務省におけるデジタル化の取組一覧を別途作成させていただいて、取組状況が分かるようにさせていただいているところでございます。しかしながら御指摘いただいたように、この中を御覧いただいても、どれぐらい減ったのかとか、何が高度化したのかというところまでは至っていないわけですので、委員の御指摘も踏まえながら引き続き検討してまいりたいと考えております。
以上です。
○吉野座長
それでは、宇波主計局長、お願いいたします。
○宇波主計局長
ありがとうございます。各委員の先生方から同様の指摘が多かった財政の総合目標1、それから政策目標1-1に関連しての各御指摘について、回答及びコメントさせていただきたいと思うんですが、政策目標の仕組みの構造上、設定した目標に対して、当該年度にPB、あるいは債務残高対GDP比がどの程度改善したかというふうなことを見て評価をするという仕組みでありますので、目標の設定に当たって今まで御説明したように、その点に鑑みるとPB、あるいは債務残高対GDP比において、目標に対して改善が見られるので、総合目標についてAに引き上げてはどうかということを提案させていただいているところであります。
他方で、これで完了したのかということでありますが、それは決してそうではないと、財政当局としてもそこの指摘については同じように考えています。少し状況は変わりつつあるというふうに思っておりまして、お話が少し長くなるんですけれども、令和8年度の当初予算は、昨年度の前年の当初予算に比べて税収が約6兆円増えております。翻って歳出のほうは、物価とか賃金を反映した社会保障費等の増、税収の伸びに伴う地方交付税の伸び、利払費の増、この3つを合計すると約6兆円であります。つまり歳入が増えた分だけ歳出も膨らんでいるという形なので、ある意味、物価の上昇に伴う財政の姿というのは、税収が増えるとともに歳出がそのように増えている中で進むということなんですが、そこで気になるのは、吉野座長からもお話があったように、この6兆円の歳出増のうち、利払費の増が2兆円を超えております。したがって、PBは改善しているんですけれども、財政収支という意味で利払費まで含めると、そこは利払費の増がかつてとは違っていて、金利の上昇に伴って非常に大きなものになってきているというふうに思います。
したがいまして、今後物価が上昇している、あるいは金利が上昇していく中において、より一層、御指摘のあったように債務残高対GDP比が安定的に引き下がるということの実効性を確保するということが極めて大事だということと、PBではなく、利払費を含めた全体の財政収支をきちんと見ていくことが重要ではないかというフェーズに変わってきつつあると思います。これは田中直毅委員からも御指摘のあったように、全体の財政収支は翻ってみれば市中への国債の発行額の増であります。昨今、かつてと違ってマーケットの国債金利が、財政に関するいろいろな課題に対する感応度というか、反応が非常にビビッドになっておりまして、そういう意味ではマーケットが財政の持続可能性に対して見方が厳しくなってきつつあるというふうに思いますので、そういう意味で債務残高対GDP比の分母であるGDPの成長率引上げとあわせて財政収支、裏返すと市中への国債発行額をきちんと管理をし、財政の信認を引き続き確保すること、持続可能性についてマーケットの信認を確保することが引き続き極めて重要だと思っているということであります。
また、「今回、総合目標のほうはAに変えつつ、もう1つ、御説明を申し上げたように政策目標1-1という財政の質に関するところは、それぞれの指標に照らして機械的に判定すると、こちらもAになるわけですけれども、こちらは引き続きBの据え置きを提案させていただきました。ここの問題意識は、何人かの委員から御指摘のあったように、財政の質という意味ではこの近年、非常に多額の補正予算を毎年つくることが常態化しております。今後、財政の健全化を進めるに当たって、同時に予算の中では、高市政権が進めようとしているものは歳出歳入改革をきちんと進める、財政の質を改善するという意味において、それから年間を通じた財政収支、あるいは債務残高対GDP比をコントロールするという意味においても、補正予算は真に緊要性の高いものだけに限って、必要な投資は当初予算で計上するという方針が、これは政権の方針となっておりますので、今年の夏の骨太からこの予算編成改革を進めようと考えております。これによって財政規律が、当初予算ではPBが改善しているけれど、補正を組んだ後に悪化するということの繰り返しにならないようにするということと、併せて財政の質を改善して、予見可能性を高めて、必要な投資をきちんと当初予算で計上していくということが重要であると思います。また、何人かの委員方から御指摘のあったように、債務残高対GDP比は金利が上がり始める前にインフレで、分母が成長率で上がっているものですから、ある意味、足元は少し下がっているところが先に下がってくる、伊藤委員からもお話があったように、いわゆる数年間に限って財政余力が拡大したかのように見えるということかというふうに思います。そこは債務残高対GDP比を安定的に引き下げるという意味において、補正予算ではなく、必要な予算は当初予算で計上するということを通じて、中長期的に債務残高対GDP比を安定的に下げつつ、予算の予見可能性を高めるといった方向に改革が必要ではないかというふうに考えておりまして、その点においては、今年度の予算についてはまだ大きな進展がありませんし、日本版DOGEの活動などもまだ始めたばっかりでありますので、令和8年度予算において進捗が見られないということでBでいかがでしょうかということを提案させていただいておりまして、両方併せ見て、委員方から御指摘のあったように、引き続き来年度以降に向けても予算の質の改善、財政規律の維持と成長との両立を引き続き進めてまいりたいと考えているところでございます。ありがとうございます。
○吉野座長
ありがとうございます。
それでは、続きまして藤井国際租税総括官、お願いいたします。
○藤井国際租税総括官
主税局の藤井でございます。本日様々な御意見を頂戴して、ありがとうございます。何点か御質問いただいておりますので、それにお答えをさせていただきたいと思います。
まずインフレの関係につきましては、主計局長からも大部分御回答させていただいておりますが、税収の部分についてインフレが今後定着していく中で、税収の見積り等をより精緻にしていく必要があるのではないかという御意見を頂戴したかと思います。その点、まさしくそのとおりだと思いますので、私どもの担当の係で日々取り組んでいるところですけれども、更に努力をしていきたいと思っております。
なお、令和8年度の税収はプラス約6兆円になっております。例えば主要基幹税であります所得税、法人税、消費税で増加要因を申し上げますと、所得税につきましては賃金や雇用者数の伸びなどを基に算出しておりますし、法人税は企業の生産活動や輸出の伸び等を見てプラス1.5兆円、消費税は消費や輸入の増加などを反映しております。様々な税があるものですから、シンプルにインフレがこうなるというよりは、もう少しいろいろきめ細かに見ているところでございますが、いずれにしても更に努力をしてまいりたいと思っております。
山本委員から租税は社会の会費という表現について御意見を頂戴しました。私ども何が一番正しい言葉かというところはいろいろな御意見があると思っておりますが、山本委員の御発言にもございましたとおり分かりやすさという意味で会費と説明しているということでございます。租税につきましては、社会保障、教育、社会資本整備、それから警察・消防といった、いわば公的サービスの費用負担を皆さんで分かち合っていただくものであり、社会共通の費用を賄うための会費ではないかということでこういう言葉を使わせていただいているところでございます。一方で、税をどういう形で御負担いただくかというところにつきまして、いろいろな考え方があるかと思います。税制のあり方について、専門用語で言いますと応益負担という考え方と応能負担という考え方を組み合わせて検討しておりますし、税の大事な機能であります所得再分配機能をどう確保していくか、それから先ほど申しました所得・消費・資産といった様々な租税がございますので、会費と申しましても単純な形の会費ではなくて、いろいろな組み合わせをした中の、いわばタックスミックスという形で会費をお願いしていくということかと思います。ただ、いずれにしましても、こういった考え方を国民の方々に分かりやすく伝えていくというのは非常に大事なことだと思っておりますので、引き続き努力をしていきたいと思っております。
3点目、広報につきましても御質問を頂いたと思います。国税庁から後で詳しく御回答いただけると思いますが、主税局でも広報の教材の制作、財務省のウェブサイト、それから税制改正について各地で講演などもさせていただいて、いろいろ御説明をさせていただいております。また、こういった活動を委員御指摘のとおり国税庁と財務省と連携をしてやっていくというのは非常に大事なことかと思っておりますので、こちらも頑張らせていただきたいと思います。
租税特別措置の見直しにつきまして、秋山委員と翁委員から御指摘を頂いたかと思います。こちら前回の懇談会でも翁委員から御指摘いただいたと承知しておりますけれども、今回の令和8年度改正でもいわゆるEBPMの考え方に基づきまして、例えば法人税の関係の租特の見直しについて、できる限り相手省庁と協力をしてやるということを今回の令和8年度改正でもやらせていただいてきておりますし、今年の秋に議論することになると思いますけれども、令和9年度の税制改正におきましても租税特別措置の見直しについて、相手省庁との間でいろいろデータに基づいて、エビデンスにできる限り基づいて見直しをしていきたいと思っております。
最後、翁委員から国民会議、給付付き税額控除について御指摘があったと思います。その議論自体はまさに国民会議で行われておりますので、それ自体は私が何か申し上げることはございませんけれども、翁委員の御指摘に関わる延長線でいろいろ検討することがあるだろうと考えております。例えば税のところでいきますと、人的控除の見直しといった課題があるという御指摘はまさにそのとおりでございまして、国民会議での議論とは別に伝統的に主税局のほうでそういった改革というのは考え続けてきているところでございますけれども、こういった大きな流れの中で主税局の固有の議題というのも併せて引き続き議論、それから検討してまいりたいと思っております。
引き続きよろしくお願いいたします。
○吉野座長
ありがとうございます。
続きまして、寺岡関税局長、お願いいたします。
○寺岡関税局長
税関についてコメント、御意見を頂きました。足元、税関をめぐる環境はかなり大きく変化してございまして、例えば輸入許可件数は現在2億数千万件になり、コロナ前の5倍ぐらいに増えてございます。また、海外からの渡航者も昨年は4,000万人を超え、1,000万人が目標だった時代に比べると、かなりの水準で増えております。我々は迅速な通関と、御指摘のありました国民の安全・安心のための厳格な水際管理が使命であり、特に後者のほうで言いますと、現在相当大きな負荷がかかっております。他方、業務が増えた分、定員や機器をそのまま増やすというわけにいきませんので、例えば画像解析や品目分類等についてもAIの活用の余地が大きいと思っています。そのようなものを大胆に業務の全てに取り入れ、新しい形の税関をつくっていくべく、様々な取組を進め、まさに迅速な通関を行いながら、御指摘いただいたような国民の安全と安心を確保する体制にしたいと思ってございます。
金につきましては、空港では、粉状の金を成形して体腔、体の中に隠して持ち込むといった少量のものから、かなり重量のある貨物に金を潜ませて持ち込む大型の事案まで、価格の高騰もあって密輸は増える傾向にございます。金は社会悪物品ではございませんが、密輸した金について、国内に入る際に消費税を払わずに、国内で溶解、成形し、転売を繰り返すことによって流通経路をごまかして、最終的に輸出申告を行い、輸出の申告が認められると消費税が還付されるという意味で相当悪質な事案だと考えてございます。御指摘のありましたキャッシュクーリエとも相当密接に結びついている組織的な犯罪ではないかと考えており、我々は関税法で許されている検査権限を最大限行使し、水際取締を行っておりますところ、これらの取組を進めつつ、政府全体で制度的な対応も含めて検討していくことが課題ではないかと認識してございます。
NACCSにつきましては、御指摘のとおり指標は廃止いたしました。システムの稼働率が100%であり、NACCSを利用した申請、輸入・輸出の申告が99%という実績が5年以上続いておりますので、指標としての役割は終わったと考えてございますが、NACCSについてはむしろ利便性の向上や、今後サイバーセキュリティの観点からどう対応していくといった新しい課題があると思いますので、そのようなものも踏まえながら、どういった指標が適切なのか検討を進めてまいりたいと考えてございます。
○吉野座長
ありがとうございます。
続きまして、井口理財局長、お願いいたします。
○井口理財局長
ありがとうございます。理財局でございます。
本日、何人かの委員から国債についての御質問をいただきました。理財局の政策目標のトップに「国債の確実かつ円滑な発行及び中長期的な調達コストの抑制」ということで、まさにその政策目標が入っているわけでございます。今後の国債の消化につきましては、財政の問題を取り上げておりますけれども、そうした財政事情から直接影響を受ける新発債と、当然既に発行した分の借換債がございます。今年の計画の中でも借換債は135.7兆円ございますので、こうしたものをどのように安定的に消化するかというのは大きな課題だと思っております。この中で、令和6年8月以降、日銀による長期国債の買入減額が始まっておりまして、今日の政策決定会合でも来年4月以降の買入れを月間2兆円程度ということが発表されておりますけれども、こうしたものが進む中で国内外の幅広い投資家にどのように国債を保有していただくかという努力は一層重要だと思っております。ですので、市場環境、投資家需要に即した年限構成の見直し、新商品の開発とともに、国内外の投資家に向けたIRの実施も引き続きやっていかなければいけないと思っております。
本日、田中直毅委員からもユーロ建てのETFのお話がございました。このETFにつきましては、基本的にETFは比較的低コストで外国国債に分散投資するためのツールとして活用されているものが基本だと思っております。現在の日本国債の海外保有割合、これは利付債とTB込みですけれども、10%台、昨年12月末で大体12.8%でございますけれども、こうした海外投資家の中にもポートフォリオに組み込んで分散投資をしているリアルマネーの投資家、年金、保険、公的機関とともに比較的足の速いヘッジファンドなどの多様な投資家があり、投資活動も様々と思っております。これにつきまして、特に海外の国債IR活動につきましては日本の経済動向、あるいは高市政権の下での財政政策、また日銀の金融政策の現状について理解してもらうよう努めるとともに、我々のほうでもヘッジファンド等を含めた海外投資家の投資動向をもっと把握できないかという問題意識を持っております。これにつきましては、海外の国債発行当局含め、そうしたところの情報交換をはじめ、どういったことができるかということを今後改めて検討し、進めていきたいと思っております。本日、田中直毅委員からもございました海外の金利の動きというものも非常に重要だと思っておりますが、金利動向自身、やはり相当多様な要素がございます。ですので、委員御指摘のものも含めて、あるいは海外の投資家の動向も踏まえて対応していきたいと思っております。
以上でございます。
○吉野座長
ありがとうございます。
それでは、坂本官房長、お願いいたします。
○坂本官房長
官房長の坂本でございます。
広瀬委員から財務省の人材力のアップについて、どういう取組をしているのかというお話がございました。伝統的に財務省は若い頃からなるべく厳しい修羅場を経験させて、重い権限を与えて、積み重ねる中で忍耐力と判断力と度胸と愛嬌を蓄えていくという基本的な流れはあまり変わっていませんで、例えば些細な例で言うと、国会、今もやっていますけども、野党の先生からの質問を取りに行くというのは多くの省庁では30代の職員の仕事になっているわけですけれども、財務省では社会人になって最初の1年生に取りに行かせています。それで質問をもし取りそびれてしまうと国会が止まってしまうという緊張感の中で野党の先生方の話をしっかり聞き取ってくるというふうなところからスタートし、課長補佐ぐらいになりますと、例えば予算とか税のいわゆる査定権を持つことになりますので、他省庁の同窓生では持たないような重たい権限を持って相手省庁と折衝する、あるいは国際交渉に臨むといったような重たい権限を持って経験を積むというふうなことでやってきております。
その基本は今もあまり変わっていないんですけれども、若干時代に合わせていかなきゃいけない工夫をしている点としては、1つは政治主導という要素が非常に強くなってきて、昔いろいろなことを意思決定するときに各局の局長の部屋でじっくり議論をして決めていたような事柄が、幹部がバババッとどこかに行って、帰ってきたら物事が決まっていたというような、若い人が意思決定のプロセスが見えないところで決まってしまうとか、あとデジタル、スマホの時代になったので、幹部同士だけがバーッと連絡を取り合って、出来上がった政策がこれですよというふうなことにやや放っておくとなりがちですので、意思決定をきちんと積み重ねていくときには、若い職員もなるべく幹部室に入れて、こうこうこういうことだったよねというふうに指さし確認しながら、一体感とリアル感、ライブ感を持って政策形成に参画させるということですとか、あとは昔は先輩方と飯を食ったり何だりしながら、いろいろな、昔役所でこういうことがあったとか、今動いている、政策がこう動いている、同時並行では政治でこういうことが動いているんだよとか、あるいは主税局はこう動いているけど、隣の主計局はこう動いているんだよとかというふうなことを学ぶ課外授業の機会があったわけですけど、今働き方改革の時代でそういったことがなくなってきているので、かなりそこは意識的に、例えば昼間の機会でもいいので、幹部と若手が今起きていることを共有する機会をつくったり、あるいは知見共有勉強会と称して、隣の局の課長補佐は今どんなことで自分は苦労しているんだというふうなことを各局の補佐が自由に聞けるような知見の共有、体験の共有の場をつくって、隣の局は今こうなんだというのを学んだり、OBの人が今だから語れる私の役人時代の大失敗みたいな話をする機会を設けて、昔の修羅場の話を聞いたりというふうな形で、少し時代に合わせた、コンプライアンスが守れるような形で知見の共有をして若手を育てているといったような工夫をしてございます。そのほか研修等々、デジタルツールを使ってというふうなことも財総研も含めてやっているというような状況でございます。
○吉野座長
ありがとうございます。
それでは、木村財務総合政策研究所長、お願いいたします。
○木村財務総合政策研究所長
坂本官房長から研修についての補足がありましたので、吉野座長、広瀬委員から頂きました人材育成についての説明をさせていただきます。
財務総合政策研究所には研修部で行っているもの、総務研究部で行っているものなどの研修プログラムがございます。研修部におきましては、財務本省及び財務局職員に対して財務行政に必要な研修を行う機関、こちら税関と国税庁は別にございますので、こちらは財務省の総合的研修機関として幹部から新規採用者まで、各階層に応じた研修を実施しております。主に東京の西ケ原研修合同庁舎で実施する中央研修、財務局で実施する地方研修、それから自学自習による通信研修の3つの組み合わせで約360の研修コースを実施しまして、延べ1万5,000人以上の職員が研修に参加しているところでございます。また、この一般職員向けとは別に、幹部向け研修としまして本省トップセミナー、上級管理セミナーなどを行いまして、行政に関わる広範囲かつ高度な諸問題、また内外情勢の変化に即応する行政運営に資するための幹部向け研修も行ってございます。
さらに、財務総合政策研究所の総務研究部で行っている若手職員、これは総合職だけなんですけれども、総合職の若手4年目の職員を4月から6月、全く仕事から切り離しまして3か月間の研修をしております。こちらは経済学を中心に200コマの座学と1人ずつ学者・研究者の指導担当を割り当てて、データ分析に基づく論文を書かせる研修を行っています。EBPMが政策形成に多く使われるようになってきておりますので、その後、彼らが大学院に留学にするに当たっての土台にもなりますし、また、若者が自分自身の成長を実感し、行政事務により魅力を感じてもらうということにも役立つ研修となっております。
引き続き効率的・効果的な行政運営を行うための専門知識、技能の修得を通じて、職員の能力向上に努めますとともに、魅力ある職場形成に尽力してまいりたいと考えております。
○吉野座長
ありがとうございます。
それでは、江島国税庁長官、お願いいたします。
○江島国税庁長官
ありがとうございます。
委員の皆様には日頃から税務行政のご理解とサポート、温かい励ましをいただきまして本当にありがとうございます。感謝申し上げます。幾つかご質問いただきました。お答えできる範囲でお答させていただきたいと思います。
まず田中弥生委員から、e-Taxがかなり進んでいるけれども、何がこれを押し上げているのかとご質問をいただきました。データを見てみますと色々あるかと思いますが、多分一番大きいのは、自宅からスマホで申告される方がものすごく増えている、4年前は153万人でしたが、直近の令和7年分申告ですと500万人ぐらいということで、3倍以上に増えている、これが多分一番大きいのではないかなと思っています。要因としてはスマホの画面に合わせた入力ができるとか、あるいは今までAndroidだけでしたが、令和7年分からiPhoneのマイナンバーカードに対応したことで、マイナンバーカードを読み取らなくてもe-Tax送信できるようにするといったきめ細かな取組を少しずつやっているということで、ユーザーが増えていると考えております。引き続き伸ばしていきたいと思います。
それから、シニアの方とデジタル化の関係ということで何か問題がないのかというご指摘がございました。先ほど自宅から申告されている方が多いと申し上げましたけれども、私も今年の2月、3月の確定申告会場に行きましたが、やはり税務署には、今でも晴れやかな顔で申告書を持って来られる方が、必ずしもシニアの方だけではないですけれども、一定数お見えになります。スマートフォンを持っていないという方もおられますし、マイナンバーカード自体もあまり使いたくないという方もおられる中で、どこかで頭打ちになるとは思いますけれども、私どもとしてはデジタル化とかe-Taxを引き続き進めていかなければならないと思います。また、そういったデバイスを持ってこられない方が一定数おられるということを踏まえて、そういった方にも寄り添い、温かく迎えられるような行政にしていきたいと思っております。
それから広瀬委員から、効率化の一環として税務署の統廃合の可能性があるのかというお話をいただきました。税務署は明治以来ずっとやってきているわけですけれども、歴史をさかのぼると、激増したり、あるいは激減したりとかなり振れ幅がございます。今の524署になりましたのは平成の頭の頃で、それ以降、令和になっても524署でやってきておりますけれども、内部事務のセンター化を進めると、管理運営部門のようなところが櫛の歯が欠けたようになくなっている署、署長を含めても9人しかいない署、そういう署が全国にちらほらでてきております。今現在、足元で統廃合の議論をしているわけではございませんけれども、デジタル化による効率化を進めることと裏腹で、物理的に524署を今後もずっと維持し続けることが本当にいいのか、税務署が1つあれば必ず署長と総務課長の2人が必要なわけですから、9人の署だと実働7人ということになってしまいますので、そういった署がいくつもあるという状況に仮になっていったときにどうしようかということは、検討していかなければならない時期が来るのではないかと考えております。
山本委員から、事業者のデジタル化推進にあたって管理可能な指標を設定するべきというお話をいただきました。事業者のデジタル化促進は大切な取組だと思っておりまして、それがどのぐらい進んだのかという効果を測定するということも必要になってくると思います。例を申し上げますと、デジタルインボイス、まだあまり火が付いている状況ではないんですけれども、これがどのぐらい普及しているのかといったことも1つではないかというふうに考えております。引き続き、周知広報を進めるとともに、ご指摘のあったような管理可能な、測定可能な指標の設定についても検討していかなければいけないと考えております。
それから同じく山本委員から税の啓発活動について、主税局とよりきちんと連携・協調すべしというご指摘をいただきました。おっしゃる通りでございます。国民の義務として納めていただいた税金、これはどういう制度に基づいているのかということは非常に重要だと思っております。加えて、せっかく納めていただいた税を何に・どのように使っているのかという使い道の話も、やはり大切だと思っておりまして、主税局、それから主計局もそうかもしれませんけれども、より一層財務省との連携を密にして、租税教育を進めてまいりたいと考えております。
それから翁委員からAIについて、より一層活用するにあたっての考え方、方針、それからセキュリティ関係のご質問をいただいております。AIにつきましては私ども非常に重要だと思っており、いろいろな面で活用しております。予測AIと生成AIがありますが、予測AIについては税務調査において申告漏れの可能性が高い納税者をターゲティングするということに既にかなり使っておりまして、成果が出てきております。今後は、今入れている情報を活用しつつ、例えば不動産を売買するとお知らせのはがきが来たりするのですが、そのはがきをむやみやたらに送るのではなくて、ヒットする可能性が高いところに絞って送るとか、いろいろ活用の仕方が出てくると思いますので、順次その範囲を拡大することを検討したいと思っております。生成AIについては、もうすでに庁内での各種文書の作成などに活用しているところです。今後例えば申告書のチェックですとか、決議書の作成ですとか、あるいは外部から寄せられた様々な情報、ここに脱税があるんじゃないかというような情報がありますので、その処理の効率化という分野に活用範囲を広げていければなと考えております。生成AIにつきましては、今、部内の話を申し上げましたけれども、納税者の方々のサービスの向上についても活用していくべきものと考えておりまして、セキュリティリスクやハルシネーションリスクに十分注意しながら、より納税者の方々の疑問の解決を円滑化できないかという観点から、チャットボットの高度化などを中心に積極的に検討を進めてまいりたいと思っております。生成AIについては、納税者情報は個人情報の最たるものになりますので、これを仮に入れるとなると相当なセキュリティを確保しないと危ないということになりますので、そこはしっかりやっていきたいと思っております。
それから吉野座長からいくつかご質問をいただいております。まず日本の税務のDXが進んでいるけれども、例えばアジアの各国が真似をしてくれるぐらい進めて欲しいというご指摘や励ましをいただきました。国際会議などに出席して思いますのは、日本の技術は頑張ってはいると思いますけれども、例えばシンガポールの方とお話をしますと、AIなどは向こうが進んでいて、こちらがいろいろ教えていただく立場であるということもございます。AIに限らず、重要なミッションとしてキャパシティビルディングという切り口でアジアの国を中心に、例えば各国の税務署の若い人を税務大学校に研修に来ていただいて勉強してもらう、こういうことをやっておりまして、各国からかなりの評価をいただいているところでございます。DXも含めて、グッドプラクティスがアジアに広がっていく、それはそれでアジア全体としての脱税者あるいは租税回避者に関して地域全体で厳しく対処することに繋がりますので、そういった面では引き続き取り組んでいきたいと考えております。
それから日本酒について。ぜひ輸出を頑張っていただきたい、と激励をいただきました。おっしゃる通りでございまして、私もこのポストに就いてその魅力を再発見しているところでございます。2025年の日本酒以外を含めた日本産酒類の海外輸出額は1,495億円と過去最高になっておりまして、各種努力もあって着実に伸びております。一昨年の暮れに「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録されたといううれしいニュースもございましたので、そういったこともモメンタムとしつつ、一層輸出促進に頑張ってまいりたいと思っております。以上です。
○吉野座長
ありがとうございます。
それでは、最後に新川事務次官から、まとめを含めてお願いいたします。
○新川事務次官
本日は大変お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございました。大変貴重な意見、たくさん賜りました。今後の行政に生かしていきたいと思います。
政策評価というものの性質上、一定の指標を定めて、それの達成度合いを見て評価していただくということになると思いますが、今日多くの委員方から問題提起、御指摘のあった例えばインフレーションの問題1つ取り上げましても、財政状況に与える影響は例えばフローですとかストックですとか、ロングタームなのかショートタームなのかでいろいろな経路を伴って影響を与えると思いますが、恐らく顕著な物価上昇があったような場合はショートタームでストック指標を見れば財政改善ということになるとは思いますが、留意すべきはその向こうにいる国民に対する影響、特に脆弱な部分、零細な事業者であるとか、あるいは低所得者でありますとか、そういった方々に特に比較的強いしわ寄せが行くという、こういったところにも意を用いなきゃいけないのかなと思っております。もちろん財政政策そのもの、あるいはもちろん金融政策はそうなんでしょうが、それ自体はインフレに与える影響というのも非常に注視しなきゃいけない、そういう状況になっているんだと思います。
それから、DXですとかAIの活用というのは、こういう時代の中でどうやって財務省の職員、人をつくっていくか、あるいは人をリクルートしてくるかという面で、特に現業部門を中心に見直すべき業務もあると思いますし、体制もあると思いますし、それから職員、あるいは財務省を志す方々にとって魅力あるものとするためには、特に若い方々中心に非常に成長願望といいますか、非常にそこは前向きなこととして評価すべきところでありましょうが、そういったものに応えられるような内部での様々なプログラムですとか配置、体制、そうしたものも考えていかなきゃいけないなと思っております。
つまみ食い的なコメントになってしまいましたけれども、いずれにいたしましても、こういった政策評価という点での様々な御示唆もありましたし、それを超えた財務省の政策ですとか、あるいは財務省の体制、在り方そのものについても非常に有益なコメントを賜りました。今後の財務省全体の行政、それから組織運営にも活用させていただきたいと思います。本日は本当にありがとうございました。
○吉野座長
ありがとうございました。
これをもちまして本日の議題は全て終了いたしました。
次回の懇談会ですが、通例ですと10月頃開催の予定です。議事内容としましては国税庁の令和7事務年度の実績評価書を予定しております。具体的な開催日時、議題につきましては、改めて事務局から御連絡させていただきたいと思います。
また、本日の懇談会の議事内容につきましては、各委員の御確認の上、財務省のウェブサイトで公開を予定しております。財務省におかれましては、今日の委員の先生方から頂きました様々な御意見を踏まえまして、しっかりとPDCAサイクルを回していただき、よりよい政策を目指していただければと思います。
これをもちまして第86回財務省政策評価懇談会を閉会とさせていただきます。皆様、どうもありがとうございました。
── 了 ──

