・ | 日時 平成30年12月13日(木)16:00~16:55 | ||
・ | 場所 中央合同庁舎第4号館 1208特別会議室 | ||
・ | 内容 1. 平成31年1-3月期における物価連動債の発行額等について ○平成31年1-3月期における物価連動債の発行額等について、理財局から以下のように説明を行った。 ・物価連動債については、P.3のとおり、30年度発行計画では、1回の入札当たり4,000億円で年4回の発行としつつ、「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて、柔軟に発行額を調整」することとされている。本日は、1-3月期における発行額等について、御意見をお伺いするもの。 ・10-12月期については、P.4のとおり、11月に発行額4,000億円で入札を行うとともに、10月と12月に200億円の買入消却入札を行うとしていたところ。 ・こうした中で、皆様から事前に御意見を伺ったところ、1-3月期における物価連動債の発行額と買入消却入札は、現状維持が望ましいとの意見が多かった。もっとも、引き続き投資家層の拡がりが限定的であることや、足元の市場環境から先行きの需給動向について一定の懸念を示す声も聞かれているところ。 ・こうした状況を踏まえて、P.8にお示ししているとおり、1-3月期については、10-12月期と同様、発行額を4,000億円とし、偶数月の2月に200億円の買入消却入札を行うこととし、また、「ただし書き」の文言のとおり、市場環境等について引き続きしっかりとフォローし、必要に応じて柔軟な対応を検討していきたいと考えている。 ・当局としては、物価連動債の市場育成は国債管理政策上の重要な課題と考えており、そうした観点も踏まえ、1-3月期における発行額等について、皆様の御意見を承りたい。 ○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・当局の提案に賛成する。物価連動債の市場育成を考えると、現状の1回の入札当たり4,000億円の発行が望ましい。 ・当局の提案どおり、1回の入札当たり4,000億円の発行、200億円の買入消却で問題ない。足元は、日本だけでBEIが大きく低下しているというわけではなく、米国、ドイツともにBEIが大きく低下しており、マーケットの状況に即した動きであるため、現状維持で問題ないと考えている。 ・当局の提案に賛成する。1回の入札当たり4,000億円の発行額を維持するとともに、買入消却についても1回の入札当たり200億円でよいと考える。一頃はBEIの水準が40~50bpsのレンジであったところ、足元は少し低下しているが、これについては、海外のBEIが低下基調にあることに連動した調整だと思われるため、そうした足元の調整をもって現状の発行額等を見直す必要はないのではないか。 ・当局の提案に賛成する。BEIの低下に伴い、わずかながら取引参加者が増え、投資家層の裾野の拡大が見られている。ただ、足元の名目債の金利低下のスピードについていけていないことから、BEIが低下傾向にあるため、投資家が様子見姿勢を強めている点には注意する必要がある。投資家が安心して取引できるように、大きな変動があった場合には、必要な対策が実施できるよう、当局にはマーケット全体に目配りしてほしい。 ・基本的には当局の提案のとおりでよい。しかし、足元は需給環境が良好ではない中、BEIが30bps台まで低下する展開となっており、今後、買入消却を毎月実施する対応を検討してもらいたい。先行き、更に需給が悪くなると、価格が非連続的に下落する可能性があり、今までの経験上、そういった状態が続くと一気に大幅な下落につながることもある。このため、そうした需給をサポートするような対応を今後考えていく必要がある。 ・発行額は1回の入札当たり4,000億円でよいと思うが、足元の需給を踏まえ、買入消却を、1回の入札当たり200億円で毎月実施することを希望。 2. 平成31年1ー3月期における流動性供給入札について ○平成31年1-3月期における流動性供給入札について、理財局から以下のように説明を行った。 ・流動性供給入札については、P.10のとおり、30年度発行計画では、 ・P.11のとおり、10-12月期においては、発行計画で想定されているのと同様、残存1-5年ゾーンについては、奇数月の11月に4,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、毎月6,000億円、残存15.5年超ゾーンについては、偶数月の10月と12月に5,000億円の発行とした。 ・P.12以降に、最近の流動性供給入札の結果を示している。12月分の残存5-15.5年ゾーンの入札は未実施だが、これまでのところ、総じて、安定した結果となっている。 ・こうした中で、1-3月期の流動性供給入札について、皆様から事前に御意見を伺ったところ、現状の発行額等を維持することが適当との意見が多かった。 ・これを受け、P.15にあるとおり、1-3月期におけるゾーン毎の発行額の当局案を作成した。10-12月期と同様に、残存1-5年ゾーンについては、奇数月の1月と3月に4,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、毎月6,000億円、残存15.5年超ゾーンについては、偶数月の2月に5,000億円の発行としてはどうかと考えている。 ・1-3月期における流動性供給入札のゾーン毎の発行額等については、本日の議論も踏まえて総合的に判断することとしており、改めて御意見を頂戴したい。 ○平成31年1-3月期における流動性供給入札については、当局の提案に異論はないとする意見のほか、以下のような意見があった。 ・当局の提案に賛成する。残存5-15.5年ゾーンの対象であるチーペスト周辺銘柄に市中残高の少ない銘柄もあるが、以前に比べると流動性供給入札での落札銘柄が一部の銘柄に偏るわけではなく、チーペスト銘柄も追加発行されているため、現状維持でよい。 3. 平成31年度国債発行計画について ○平成31年度国債発行計画について、理財局から以下のように説明を行った。 ・31年度国債発行計画について、現在の検討状況をお知らせする。 ・P17の左側に、「発行根拠法別発行額」、すなわち使途別の要調達額についての検討状況をお示ししている。新規国債及び復興債は予算編成過程において、財投債は財政投融資計画の策定過程において、それぞれ発行規模が決定されることになるが、現時点において確たることを申し上げられる状況にない。 ・ただ、国債発行総額の大宗を占める借換債については、前回会合において、「国債発行額の将来推計」を基に説明したとおり、今年度と同程度になる見込み。 ・右側には消化方式別発行額の検討状況をお示ししている。「個人向け販売分」・「日銀乗換」についてもまだ精査中であり、「市中発行額」については、その結果により若干の増減が発生する。 ・P18及びP19には、先月の本会合及び国債投資家懇談会で頂戴した、カレンダーベース市中発行額の年限構成に関する意見を整理させていただいた。 ・超長期債については、国債市場特別参加者・投資家とも、昨年度減額した30年債・40年債は、投資家のニーズもあり減額は避けた方がよいが、昨年減額を見送った20年債は減額可能という意見が多かった。 ・10年以下のゾーンについても、ある程度の減額が可能という点で概ね一致が見られたが、2年債やT-Billについては、銀行等の担保ニーズや海外投資家の強いニーズに配慮してほしいという声もあった。 ・なお、1年T-Billのうち国債発行計画の対象になるのは割引短期国債(いわゆるTB)のみであるが、市場の予見可能性確保の観点から、政府短期証券(いわゆるFB)を合わせた1年T-Billの発行総額を発行計画の欄外に注記する取扱いとなっている。したがって、国の資金繰りの観点から、1年FBの発行額の見直しを行う場合には、その旨計画の欄外に注記されることになるので、併せてお伝えする。 ・また、流動性供給入札については、市場の状況を踏まえれば、発行総額が減少する中でも現状の発行規模を維持することが適当という意見が多かったところ。 ・今後、これらの意見を踏まえ、来年度国債発行計画の具体的内容を決定の上、例年どおり、来年度予算と併せ公表する予定。 ○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・2年債、5年債、10年債及び20年債に減額の余地があると考えている。T-Billについては、仮に減額する場合は、海外投資家からの需要がある3か月物を除いた6か月物と1年物に減額の余地がある。流動性供給入札については、各ゾーンとも安定した需要があるため、現状維持を希望。 ・超長期ゾーンについては、今年度に続けて2年連続で減額することは、投資家ニーズや需給的なバランスの観点からあまり好ましくないと思われるため、今年度減額しなかった20年債の減額が適当。また、流動性を供給するという観点からも、長期間、同程度の発行を続けることによって、安定供給、安定消化を目指すのがマーケット全体にとって最適だと思っている。 ・30年債、40年債の減額は望ましくなく、また、T-Billは全体として減額は望ましくないと思っている。一方で、2年債から20年債については、仮に来年度以降、投資家需要が高まることがあっても、日本銀行の買入額の調整によって、需給バランスが極端に偏ることはないと考えるため、ある程度減額することも可能なのではないか。また、流動性供給入札については、日本銀行の買入額が多かった頃に新規発行された銘柄の市中残高が少なく、流動性供給入札に対する需要が高まっている。一頃よりは日本銀行の買入額が減少している状況を踏まえると増額の必要まではないが、来年度は今年度と同額とすることが望ましい。 ・2年債から40年債については、市場流動性維持の観点から現状維持が適当と考えている。一方で、減額が必要となる場合に、減額対象とすることに特段問題がないのは、発行量の多いT-Bill 3か月物である。反対に担保としての需要が見られるため大幅な減額が望ましくないのはT-Bill 1年物と考えている。 4. 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて ○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・7月末の日本銀行の金融政策修正以降、長期金利の変動幅再拡大を懸念する投資家が多く、日本銀行の動向に集中するあまり、グローバルな視点を失っていた。そのような中、世界的に今後の景気に対する懸念が生じ、米金利が大きく下がるなど、予想とは違った方向に相場が動いてしまったことが、足元の予想以上の円金利低下やイールドカーブのフラット化につながっている。世界景気の先行きが来年の大きなテーマになると思うが、景気に対する懸念が一服すれば、再びマーケットは、金利変動幅拡大や長期金利ターゲットの引き上げなど、日本銀行の動きを懸念するようになるだろう。 ・先月、FRBのクラリダ副議長のハト派的発言以降、米国の利上げ観測が大幅に後退し、マーケットでは、来年は利上げが実施されないのではないかという観測も出て、米金利は低下していった。11月以降に円金利が低下し、10年金利が0.1%を大幅に下回った動きは、そうした海外金利の動きと整合的な動きだと思われ、これは7月末の日本銀行の金融政策修正の唯一の成果ではないか。一方、海外金利との連動性を取り戻した中では、日本国債の金利低下の歯止めをかけるために、日本銀行が買入額の減額をすることは考えにくい。 ・年末に向けてリスクオフの動きが強まる中で、今年の年末は、投資家及び証券会社の体力が弱く、世界的に、反対サイドのポジションをとることが困難だったのが特徴的だったと思う。低いインフレや景気サイクルの転換点が意識されたことで、低金利環境の長期化というものが強く織り込まれ、日本銀行の再度の金融政策調整や出口に向かう動きに対する考え方も大きく修正されてしまった。また、大規模な金融緩和政策で景気を支えてきたため、次の景気後退局面に何ができるのかという点について、来年以降、非常に重要な議論が必要になってくるのではないか。 ・足元では、経済環境の悪化に加えて、FRBの利上げに対するスタンスの変化から、マーケットでは、来年どのタイミングで利上げを打ち止めにするのかと考えるようになったため米金利は低下方向となり、グローバルな経済環境に沿って円金利も低下した。今後は、グローバルに経済見通しが下方修正されていることや、銀行や生保といった市場参加者がこれ以上日本国債残高を減らしにくいということも考慮すれば、長期金利変動幅の上限である0.2%に近い水準まで金利が上昇することは中々難しいと想定している。 ・直近の国債市場の状況については、海外の金融政策に対する見通しが変わってきたため、7月以降根強かった円金利上昇期待が後退し、大きく金利が低下した。また、日銀買入オペの実施方法が変更されたことにより、入札の翌日に、単純に日銀買入オペで売却するという売買ではなく、顧客の売買のフローも受けてリスクヘッジしながら在庫を管理するといった元来の姿に戻ってきた。イールドカーブ・コントロールの下、市場の正常化と言うにはほど遠いが、今年前半に比べれば、狭いレンジ内ではあるが、金利が動くようになり、海外市場の動きとの相関性も高まっている。 | ||
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