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日時 平成30年9月21日(金)16:00~16:45 

 

場所 財務省 第3特別会議室

 

内容

1. 平成30年10-12月期における物価連動債の発行額等について

○平成30年10-12月期における物価連動債の発行額等について、理財局から以下のように説明を行った。

・物価連動債については、P.3のとおり、30年度発行計画では、1回の入札当たり4,000億円で年4回の発行としつつ、「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて、柔軟に発行額を調整」することとされている。本日は、10-12月期における発行額等について、御意見をお伺いするもの。

・7-9月期については、P.4のとおり、8月に発行額4,000億円で入札を行うとともに、8月に200億円の買入消却入札を実施したところ。P.5のとおり、8月の入札は、応募倍率は3.12倍となり、過去の入札と比べて遜色ない水準となっている。買入消却入札と日銀買入オペについては、P.6のとおり、応募倍率に振れはみられているが、概ね市場実勢に即した結果となっている。
 流通市場の状況については、P.7に示したとおり、BEIは、8月入札前に一旦0.4%程度となったが、その後水準を戻し、ここもとは0.5%を若干下回る水準で推移している。

・こうした中で、皆様から事前に御意見を伺ったところ、物価連動債については、引き続き投資家層の拡がりが限定的であることを懸念する声が聞かれているものの、BEI0.4から0.6%のレンジ圏内で売買がみられることから、10-12月期における物価連動債の発行額と買入消却入札は、現状維持が望ましいとの意見が多かった。

・こうした状況を踏まえて、P.8にお示ししているとおり、10-12月期については、7-9月期と同様、発行額を4,000億円とし、偶数月の10・12月に200億円の買入消却入札を行うこととしてはどうかと考えている。「ただし書き」の文言はこれまでと同様であるが、市場環境等については引き続きしっかりとフォローしていきたい。

・当局としては、物価連動債の市場育成は国債管理政策上の重要な課題と考えており、そうした観点も踏まえ、10-12月期における発行額等について、皆様の御意見を承りたい。

○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・当局の提案どおり、発行額買入消却とも現状維持を希望。当社店頭では、BEIが40bps台前半になればしっかりと買いに来る投資家も散見されているところ。 

当局の提案に賛成する。8月に実施された入札は、事前にBEIが大きく調整されたこともあり、投資家需要をしっかり集めてBEIが41bps程度で無難な結果に終わった。その後は、BEIが40bps台後半になったところで少し戻り売りも見られたほか、足元については、携帯電話料金の引き下げの報道もあり、積極的な買いが見られない状況ではあるものの、現状BEIは40bps台で安定的に推移している。市場流動性が少しずつ向上していることや、現在の店頭での売買量を考えると、11月の発行額は現状維持とし、買入消却に関しても、偶数月に1回の入札当たり200億円の実施を維持することが望ましい。 

・当局の提案に賛成する。外部環境を鑑みると厳しい状況が続いており、入札においても消化に苦戦するものと思われるが、一方で投資家の中にも割安感を好感して購入し始めている先もあるため、物価連動債の顧客層を広げる好機として捉え、うまく開拓していけばよいと考える。目先の環境の不安定さは拭いきれないが、マーケットの成長を後押しすべく、現状の額の発行と買入消却を継続してほしい。 

・当局の提案のとおりで問題ない。当社店頭では、ヘッジファンド等による、BEIが低水準の時に買い、水準が上がったところで売るようなレンジトレードが取引の大半を占めている。こうした動きがここ数年でかなり増えてきている印象であるため、足元のネット発行額とのバランスを踏まえ、現行どおりの発行と買入消却のペースでさほど問題はないのではないか。 

・結論としては、当局の提案のとおりでよい。もっとも、先行きの需給に関しては相当懸念している。価格が非連続で動くような局面が見受けられるほか、買い手と売り手のバランスが崩れてきている。また、日本銀行のフォワード・ガイダンスやインフレに対してのコミットメントを強めたアナウンスにも関わらず、需給だけで価格が下がっていく状況も見られ始めている。ただ、足元はBEIが40bps台後半で推移しているため、早急に発行減額や買入消却の毎月化を行う必要はない。物価連動債市場は、海外投資家が参加して形成されているところ、年末に向けて海外投資家のリスク許容度が低下するため、11月の入札が低調な結果になった場合、来年度の発行減額も含めた検討が必要となるのではないか。 

・当局の提案に大きくは反対しないが、需給バランスが崩れ始めている点に対して若干懸念を持っている。最終投資家の新規需要の拡大があまり見込めない中、ネット発行額はそれほど大きくはないものの、BEIを適正に反映している需給環境というよりは、需給の悪さでBEIが低く抑えられている状況になっていると見ている。需要自体にムラがある中、マーケット育成の観点から、発行減額には賛成ではなく、発行額は現状維持でよい。一方、現状どおり隔月でもよいので、買入消却の額を250億円に増やすなど、ネットの発行額を調整するような対応も、そろそろ必要ではないか。 

・もう少し買入消却の額を増やした方が、需給が安定すると思う。確かに、BEIは8月の入札時に調整された後、安定的に推移しているが、店頭のフローでは、圧倒的に売りが多い状況が続いているため、できれば隔月ではなく毎月200億円の買入消却を実施してほしい。

2. 平成30年10-12月期における流動性供給入札について

○平成30年10-12月期における流動性供給入札について、理財局から以下のように説明を行った。

・流動性供給入札については、P.10のとおり、30年度発行計画では、残存1-5年ゾーン2.4兆円、残存5-15.5年ゾーン7.2兆円、残存15.5年超ゾーン3.0兆円で、年間12.6兆円を発行することを想定しつつ、最終的には「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて柔軟に調整」することとされている。これを受け、本日の会合では、10-12月期におけるゾーン毎の発行額等を御議論いただくもの。

・P.11のとおり、7-9月期においては、発行計画で想定されているのと同様、残存1-5年ゾーンについては、7・9月に4,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、毎月6,000億円、残存15.5年超ゾーンについては、8月に5,000億円の発行とした。

・P.12以降に、最近の流動性供給入札の結果を示している。総じて、安定した結果となっている。

・こうした中で、10-12月期の流動性供給入札について、皆様から事前に御意見を伺ったところ、現状の発行額等を維持することが適当との意見が多かった。

・これを受け、P.15にあるとおり、10-12月期におけるゾーン毎の発行額の当局案を作成した。残存1-5年ゾーンについては、11月に4,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、毎月6,000億円、残存15.5年超ゾーンについては、10月と12月に5,000億円の発行としてはどうかと考えている。

・10-12月期における流動性供給入札のゾーン毎の発行額等については、本日の議論も踏まえて総合的に判断することとしており、改めて御意見を頂戴したい。

○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・当局の提案に賛成する。現行の日本銀行の金融政策の中では、流動性供給入札のいずれのゾーンに対するニーズも強い。入札の結果を見ても非常にバランスよく発行されている。

・当局の提案に賛成する。直近の入札結果における好不調の較差はわずかであり、全体として、現在の発行額は市場の需給バランスに見合っている。また、需給がタイトな銘柄や、日本銀行の保有比率が高めの銘柄が残存5-15.5年ゾーンに比較的多く見られることを踏まえると、両サイドのゾーンの発行額が薄く、真ん中のゾーンの発行額が厚い現状の案は、バランスがよいと考えている。 

・当局の提案に賛成する。一頃と比べて海外投資家の中短期ゾーンのオフ・ザ・ラン銘柄への需要がやや減退したと感じており、残存1-5年ゾーンの増額の必要性はない。残存5-15.5年ゾーンは、倍率やテールを勘案しても極めて安定的に推移しており、需要も安定している。残存15.5年超ゾーンは、市場環境や入札のタイミングによってやや甘めの結果になることもあるが、最終投資家からの興味を一番引き出せるゾーンであるため、5,000億円という発行額は丁度よい。

3.最近の国債市場の状況と今後の見通しについて

○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・7月末に、日本銀行は金融政策の修正により、金利変動幅の拡大や、市場機能向上を企図しているところ、例えば、本日の日銀買入オペの減額など、マーケットが予期していなかった直接的な材料が提供されることで、マーケットが少し沸き立つような状況になる。しかし、買入量は引き続き多く、ストック効果も働いているため、どうしても短期的な回復にとどまってしまう。
 フォワード・ガイダンスにより、来年10月の消費税増税までは、長期金利ターゲットの引き上げは難しいだろう。マーケットでは、変動幅の再拡大という見方がそれなりに存在しているが、長期金利をゼロ%程度で推移させるという中で、上下0.2%というのは許容できても、上下0.3%というのは許容できないだろう。この点を踏まえると、変動幅の更なる拡大というのは難しく、やはり0.2%前後というのが上限になってくる。
 その前提の中で、日本銀行の買入減額以外の変動要因は、米国の長期金利だろう。ただし、今の枠組みの中では、日本国債の長期金利が0.2%前後で日本銀行から上昇を抑えられるということに変わりはない。 

・海外金利を見ると、米長期金利が3%を超え、独長期金利も0.5%付近まで上昇しており、夏枯れ相場であった8月とは異なる相場環境になったように思う。金利先物取引を見ると、2019年末時点での2.75%から3%までのレンジでの利上げ確率が50%を超えており、来年も利上げサイクルが継続するとマーケットは見ているが、2020年以降の利上げはほとんど織り込まれていない。FF金利については、目標上限である3%が当面の目安になるのではないか。そのような中、前日に米5年債金利が2.96%という水準に達したが、これは多くの市場参加者が想定しているレンジの上限に接近しているのではないかと見ている。
 一方、海外が金利上昇傾向にあるにも関わらず、日本の国債金利に関しては、10年債は0.1%付近でほとんど動かず、海外市場の影響はかなり限定的となっている。本日こそ、20年債入札翌日に、想定外の残存25年超の日銀買入オペ減額があったため金利が上昇したが、改めて日銀買入オペに大きく反応するマーケットだと感じた。そういった意味で、海外金利に連動するような自然な価格形成がなされるマーケットに戻るには、まだまだ課題が多い。
 今後のイベントとしては、来週の超長期ゾーンの日銀買入オペの減額の有無や月末に発表される10月の日銀買入オペ方針、来月に予定されている市場調節に関する懇談会ということになるが、日本銀行が更なるてこ入れをしていくことで、より自然な価格形成がなされるマーケットに戻ることを期待している。

・ここ1か月ほどの相場環境を見ると、マーケットはほぼ日本銀行の動きのみを見ている印象。震災による影響等よりも、本日の日銀買入オペの減額に大きく反応していることが市場機能の喪失を示唆している。
 フェアと考えられる水準まで金利上昇していかなければ、市場機能は回復しないと考えられるが、金融政策の引き締めは諸外国の状況を勘案しながら進めていくことになる。また、今週前半のように、海外金利が上昇する局面でも円金利が全く反応しないのは、フォワード・ガイダンスが効いていることが如実に出た結果ではないかと考えている。
 来年度に向けて、発行計画が議論されていくことになると思うが、消費税増税があったとしても、恐らく財政赤字は膨らむことになるのではないかと思う。金融政策による低金利と好景気による増収というほぼ最善と考えられる組み合わせは、今後悪化していく方向しかないということは留意しておかなければならないと考えている。 

・日本銀行のイールドカーブ・コントロール政策下における長期金利のレンジ拡大に伴い、価格発見機能の強化が図られたことで、今後は徐々にボラティリティ上昇が期待されるが、現時点では、落ち着きどころを見つけると、その水準から中々動かない状況が続いている。このように、日本銀行の強力なオペレーションが行われている現状では、価格発見機能は依然弱いままである。
 一方で、日本銀行の7月末の政策変更の効果がなかったということではない。実際に、業者間の取引については、6月と比較すれば売買高は増加傾向であり、徐々にではあるが効果は出ていると思っている。また、5糸単位の取引が出合わないということをもって流動性がないと結びつけているコメントが多く見られるが、実際には1糸単位の取引がかなり見られている。
 日本銀行が買入額を徐々に減額し、マーケットに多くの国債が出回るようになることで、次第に市場機能やマーケットの流動性の改善が期待できるのではないかと思っており、少し長い目で見ていく必要があるのではないかと考えている。 

・市場の価格発見機能や流動性の改善を図る上では、日銀買入の回数が多いことに加えて、日本銀行の買入比率が非常に高く、フロー・ストックの両面から買入がまだ多いように思う。日本銀行がより柔軟なオペレーションを行っていけば、市場参加者も日本銀行の動きだけを見るのではなく、マーケット自身の価格水準というものを意識せざるを得なくなってくる。日銀買入オペの回数がもう少し減ってくれば、市場の裁定機能や、ヘッジ取引、押し目買い、戻り売りといった投資家のアクティビティが増えてくるのではないかと思っている。こういった期待が後退しないように、当局や日本銀行においても、市場機能回復に向けた取り組みに対して継続的にコミットメントを示してほしい。 

7月末の決定会合後、1~2週間は多少金利が変動したが、お盆の週あたりからは、10年債金利は0.1%を挟んだところで均衡点を見出したような形になり、政策変更前から変わっていないと感じるほど相場が落ち着いてしまい、マーケットが期待するほどの変化は見られなかった。グローバルなファンダメンタルズを反映した価格形成機能に達するにはまだ道半ばだとは思うが、今後とも弾力的なオペ運用を目指していく中で、日銀買入オペの回数やゾーンなど、これまでにあった暗黙のルールというものを徐々に取り除いていくことによって、イールドカーブ・コントロールの下であっても、今より少しずつ市場機能が改善していくことを期待している。 

・7月末の決定会合後に4,000億円の追加の日銀買入オペが実施されて以降、10年債が0.1%程度の水準でもみ合ってくると非常に値動きが少なく、店頭での投資家の売買はあまり見られなかった。先物のボラティリティも低下しており、売買高は少し増えたものの、政策変更前の6月から7月前半までとあまり変わらなかったという印象である。
 一方、本日は、20年債入札の翌日というサプライズなタイミングで超長期ゾーンの日銀買入オペが減額されたことで、相場が少し動き出した。月末にかけては、10年債も対象となる日銀買入オペや40年債入札後の日銀買入オペも予定されているが、全ての日銀買入オペが今まで通りに実施されるという雰囲気ではない。また、月末には日銀買入オペ方針の発表も控えているので、10月以降は、今までより少し市場機能が向上していくのではないか。
 来月の10年債入札について、現在の水準から更に金利上昇するようなことがあれば、久しぶりにクーポンが0.2%となる可能性もあり、そういったことで投資家サイドからの動きも増えてくるとよいと思っている。

 

 

 

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問い合わせ先

財務省 理財局 国債業務課 中対・武田
電話 代表 03-3581-4111 内線 5700