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日時 平成30年6月25日(月)16:00~16:50 

 

場所 財務省 第3特別会議室

 

内容

1. 平成30年7-9月期における物価連動債の発行額等について

○平成30年7-9月期における物価連動債の発行額等について、理財局から以下のように説明を行った。

・物価連動債については、P3のとおり、30年度発行計画では、1回当たり4,000億円で年4回の発行としつつ、「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて、柔軟に発行額を調整」することとされている。本日は、7-9月期における発行額等について、御意見をお伺いするもの。

・4-6月期については、P4のとおり、5月に発行額4,000億円で入札を行うとともに、4月と6月に200億円の買入消却入札を実施したところ。P5のとおり、5月の入札は、応募倍率が発行再開後で最も高い4.01倍となるなど、問題なく終了している。買入消却入札と日銀買入オペについては、P6のとおり、応募倍率に振れは見られているが、概ね市場実勢に即した安定的な結果となっている。
  流通市場の状況については、P7に示したとおり、BEIは、ここもとは0.5%台半ばで推移している。

・こうした中で、皆様から事前に御意見を伺ったところ、物価連動債については、引き続き投資家層の拡がりが限定的であることを懸念する声が聞かれており、7-9月期における物価連動債の発行額と買入消却入札は、現状維持が望ましいとの意見が多かった。

・こうした状況を踏まえて、P8にお示ししているとおり、7-9月期については、4-6月期と同様、発行額を4,000億円とし、偶数月の8月に200億円の買入消却入札を行うこととしてはどうかと考えている。

・当局としては、物価連動債の市場育成は国債管理政策上の重要な課題と考えており、そうした観点も踏まえ、7-9月期における発行額等について、皆様の御意見を承りたい。

○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・当局の提案に賛成する。4月以降の外部環境が大きく動いた状況においても、BEIは55~60bps程度で安定した推移となっており、日銀買入オペの結果についても比較的安定している。供給過多でも需要超過でもない状況であると言えるため、現状の発行額等を維持することが望ましい。

・当局の提案に賛成する。マーケットが混乱している中で行われた2月の入札は若干低調な結果だったが、5月の入札はしっかりした結果となった。発行増額は時期尚早であるが、マーケットの更なる育成という観点から、発行額を現状維持とすることが妥当と考える。買入消却に関しても、偶数月に1回の入札当たり200億円の実施を維持することが望ましい。

・当局の提案のとおりでよい。中期的に見ると需給バランスはちょうど釣り合っている。市場の流動性や参加者が増えれば発行増額が望ましいが、今はその環境にない。一方で、発行減額は当局の物価連動債に対するコミットメントに疑念を招くため、望ましくない。買入消却に関しては、毎月実施することも考えられるが、需給バランスは取れているため、現状の偶数月に200億円で問題ない。

・発行額は1回の入札当たり4,000億円で問題ない。ただ、強い結果となった5月の入札以降、当社で見えているのは海外勢からの売り一辺倒のフローであり、ほぼ毎日のように売りの引き合いがあるなど、価格が保たれている割には、需給は相当悪化してきている印象もある。したがって、買入消却に関しては、需給を均す意味でも、隔月200億円ではなく毎月200億円としてほしい。

2. 平成30年7-9月期における流動性供給入札について

○平成30年7-9月期における流動性供給入札について、理財局から以下のように説明を行った。

・流動性供給入札については、P10のとおり、30年度発行計画では、
①残存1-5年ゾーン2.4兆円、残存5-15.5年ゾーン7.2兆円、残存15.5年超ゾーン3.0兆円で、年間12.6兆円を発行することを想定しつつ、
②最終的には「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて柔軟に調整」することとされている。
これを受け、本日の会合では、7-9月期におけるゾーン毎の発行額等を御議論いただくもの。

・P11のとおり、4-6月期においては、発行計画で想定されているのと同様、残存1-5年ゾーンについては、5月に4,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、毎月6,000億円、残存15.5年超ゾーンについては、4月と6月に5,000億円の発行とした。

・P12以降に、最近の流動性供給入札の結果を示している。各ゾーンにおいて、安定した結果となっている。

・こうした中で、7-9月期の流動性供給入札について、皆様から事前に御意見を伺ったところ、現状の発行額等を維持することが適当との意見が多かった。

・これを受け、P15にあるとおり、7-9月期におけるゾーン毎の発行額の当局案を作成した。残存1-5年ゾーンについては、7月と9月に4,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、毎月6,000億円、残存15.5年超ゾーンについては、8月に5,000億円の発行としてはどうかと考えている。
  なお、2年債の発行に係る決済期間の短縮化を実施したことに伴い、対象銘柄を明確化する観点から、P15の注における残存期間の起算点等について従来とは若干異なる記載にしているが、銘柄選定ルールの基本的な考え方はこれまでと同様である。

・7-9月期における流動性供給入札のゾーン毎の発行額等については、本日の議論も踏まえて総合的に判断することとしており、改めて御意見を頂戴したい。

○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・当局の提案に賛成する。これまで当社は残存1-5年ゾーンの増額を主張していたが、足元のマーケットでは、一部の投資家による残存3-4年セクターのオフ・ザ・ラン銘柄に対する買いは途切れてきており、証券会社としても、当該セクターの恒常的なショートカバーニーズは落ち着いてきているため、現状維持を希望する。残存15.5年超ゾーンについては、40年債入札よりも発行額が多く負担感があるため、4月の入札結果もやや甘かった。このため、当面は残存15.5年超ゾーンを増額することは難しいと考えている。流動性供給入札は4-6月期に昨年度対比増額したばかりであり、今回修正を加えると3か月で再び発行額を見直すということになるので、連続性を担保する観点からも現状維持が望ましい。

・当局の提案に賛成する。現在の発行額で需給のバランスは基本的に取れている。仮に残存1-5年ゾーンを増額し、残存15.5年超ゾーンを減額すると、イールドカーブをフラット化させ、最終投資家の需要を減らしてしまうおそれもある。また、残存5-15.5年ゾーンに関しては、先物のチーペスト周辺銘柄の希少性が高い状況にあるため、1回の入札当たり6,000億円の発行額を維持していくことが妥当である。

・当局の提案に賛成する。これまで長期間にわたって残存1-5年ゾーンの需給は逼迫しており、需給の引き締まりに対して先手を打つという観点から増額の余地もあると思うが、足元の需給を踏まえれば、引き続き1回の入札当たり4,000億円の発行で異論はない。残存15.5年超ゾーンについては、増額すると継続的な安定発行への懸念が生じかねないため、当局の提案のとおりでよい。

・当局の提案に賛成する。あえて言えば、残存5-15.5年ゾーンを減額して残存1-5年ゾーンを増額することも考えられるが、しばらくは様子を見ながら、需給の変動等を見極めていけばよいのではないか。

3.最近の国債市場の状況と今後の見通しについて

○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・本年4月に20年債、30年債、40年債の利回りが2016年12月以来の低水準となった。これは、6月に5年債0.4%、10年債1.8%という高いクーポンの国債が償還されることを念頭に、一定の金利収入を確保するため、より長い年限の国債を買った投資家がいたことが背景にあると見ている。また、ドルの調達コストが上がっているため、昨年度同様、米債での運用が難しく、円債への回帰が一定程度あったことも影響している。
  4月には米国債金利が上昇したが、日本国債の金利は日本銀行のイールドカーブ・コントロール政策の下で大きな動きにはならず、今後も、現在のような状況が継続すると見ている。すぐに金融政策が出口を迎えることは難しいと考えるが、市場参加者は、長期金利ゼロ%程度というターゲットが引き上げられるのではないかという懸念を持ちながらも、より長い年限の国債に投資していくのではないかと見ている。

・FRBが利上げを継続する一方、ECBは来年夏頃まで政策金利を維持するという方針を示しており、欧州では金利が上がりづらい環境になっている。日本国債に関しては、動意が薄い状況が続いており、10年債金利が0.025%をなかなか下回らないなど、非常に狭いレンジで推移している。
  こうした中で、市場機能が落ちてきていると言わざるを得ないとの認識を持っている。背景としては、チーペスト周辺の1銘柄当たりの市中残高が日銀買入により1兆円未満となるなど、市場にモノがない環境になっていることがある。また、入札後のパフォーマンスがよくない中で、証券会社の体力が落ちており、市中での売買もかなり減少している。このような状況がこのまま継続してしまうことに危機感を抱いている。
  市場機能が失われ、市場参加者が減ってしまうと、何かイベントが起きたときに、受け皿になるような参加者がいなくなり、大きなボラティリティを生み出すのではないかと懸念している。市場機能をいかに残していくのかということを真剣に考えていかなくてはならないとの問題意識を持っている。

・ボラティリティが非常に低い状況がこのまま続いていくと、債券部門における収益が低下し、同部門に割り当てられるバランスシートの金額も減少する。こうした低金利・低ボラティリティ・低収益の状況が続くことにより、金利が動いたときの受け皿となるマーケットの深みが失われることを懸念しており、当局においても注視してほしい。

・外部環境に関係なく、日銀買入オペに依存した取引が中心になっており、マーケットとして重要な価格発見機能が失われていると考えている。また、ファンダメンタルズからかけ離れた低金利と低ボラティティの長期化によって、収益性が乏しくなった国債売買への興味が大きく低下しており、市場参加者も減少している。
  オファー・ビッドが狭いのは一見流動性に問題がないように見えるが、実際にはカレント銘柄中心の取引しかなく、オフ・ザ・ラン銘柄については売買できる銘柄の選択肢が少なくなっている。このような状況が日に日に強くなっていると感じており、流動性については懸念している。

・市場参加者の行動が画一的になっており、相場観にばらつきがなくなっている。現状、積極的に一つのポジションを構築していくと、ポジションの巻き戻しが容易ではないため、過度に大きなポジションを持つことが難しいと感じている。プライマリー・ディーラーは国債市場の中で流動性を提供しなければならない立場であるが、こうした展開が続いていくと、マーケット・メイク能力が業界全体で低下していくとの危機感を抱いている。

・ボラティリティの低下によって、イールドカーブ上の銘柄間の価格修正があまり行われなくなっており、ヘッジファンド等の海外投資家やアクティブ系年金の売買も減ってきている。
  本日も業者間のカレント銘柄の売買がほとんど行われておらず、このような状況が続くことによって、収益性が低下し、バランスシート・資本・人員といった面で債券部門への割り当てを考え直さざるを得なくなってきている。今後も、市場機能を確保できるかどうかが難しくなってきていると感じている。

・カレント銘柄を取引する場合には、比較的流動性もあり、自由に取引ができる一方、オフ・ザ・ラン銘柄を取引する場合には、思うとおりのサイズで取引ができず、流動性の低下や取引のしづらさを感じている。
  こうした中で、流動性供給入札でオフ・ザ・ラン銘柄が発行されているのは、市場にとって非常にありがたいと感じている。

・国債決済期間のT+1化はスムーズに進んだと認識しており、取引の執行において不便は感じていない。レポ市場においては、銘柄先決め取引と銘柄後決め取引の間にスプレッドが生じ、裁定機会となっているが、そうした部分を含めて流動性が出てくることによって、T+1化後のマーケットは形になってきていると感じている。

・一部の投資家からはT+2での取引を要望する声が依然としてあり、市場全体が完全にT+1決済へ移行したわけではない。ただ、そうした細かい部分を除けばトラブルなくT+1決済に移行できており、当社のバック事務を含めた体制もかなり円滑に回るようになってきている。

・今回のT+1化の対象外となっている海外投資家からも、T+1での取引を希望する声がちらほら聞かれている。

・T+1への移行はスムーズに行われ、移行に際して大きな問題は発生しなかったと考えている。ただ、マーケットの流動性が全体として落ちている中で、事務負担が大きいため投資家のT+1でのレポ取引が減る15時以降、業者間市場におけるT+1の売買取引が更に細ってしまうことは今後の課題である。また、銘柄後決めGCレポ取引に参加する投資家層が拡大すれば、証券会社としては非常に有難い。

・T+1化の当初、レポ市場の流動性が一時的に低下した局面もあった。足元ではかなり流動性が戻ってきているが、引き続き証券会社のファンディングは少しタイトになっていると感じている。

 

 

 

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問い合わせ先

財務省 理財局 国債業務課 北條・武田
電話 代表 03-3581-4111 内線 5701