・ | 日時 平成29年11月22日(水)16:00~17:10 | ||
・ | 場所 財務省 第3特別会議室 | ||
・ | 内容 1. 平成30年度国債発行計画について ○平成30年度国債発行計画について、理財局から以下のように説明を行った。 (国の債務管理の在り方に関する懇談会(10/18開催)での議論の紹介) ・先月開催した在り方懇では、国債管理政策の在り方について当局から問題提起を行った上で意見を頂戴した。初めに、当日の説明資料の抜粋を用いて、当局の問題意識を紹介する。 ※在り方懇における当局の説明部分については、下記URLに記載されている議事要旨参照 http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/gov_debt_management/proceedings/outline/d20171018.html ・P22のとおり、総論について、「中長期的な需要動向を見極め、より安定的で透明性の高い国債発行を行っていく」必要性については賛同が得られた。その上で、今後、国債の保有構造が変わる可能性があり、それを把握していくことの重要性が指摘された。 ・一方で、P23のとおり、年限別の需要動向については、意見が分かれた。人口動態の変化に伴う投資家の需要変化の可能性等を踏まえ、超長期債を増額し中・短期債を減額してきた従来方針を見直す必要を指摘する見解が出された一方、超長期債への継続的な需要の存在や債務の長期化を継続する意義を指摘する意見もあった。 ・また、流動性供給入札については、市場環境に応じた国債発行の柔軟性を確保できるという意義を積極的に評価する意見が多かった。 (平成30年度国債発行計画について) ・今年度の発行計画においては、要調達額が昨年度比8.2兆円減となったが、公的部門(日銀乗換)を5.0兆円減額することにより市中発行額の減少を抑制した。ただ、この結果、日銀乗換の額が3兆円になっており、来年度も同じことをするのは難しい状況。 ・もう一点、当局として、来年度計画の策定に当たって留意すべきと考えているのは計画の積算方法について。 ・投資家ニーズの多様化に応えるため、また、一時的な需給のアンバランスを是正することで流動性を向上させるため、流動性供給入札の増額及びカレント銘柄の減額を希望する。 ・一般的に、発行減額は増額に比べてマーケットへのストレスが少ないため、幅広い年限で減額が可能である。ただ、現在のマーケット環境を考えると、20年債及び物価連動債の発行額は、維持することが望ましい。20年債については、現在、比較的利回りが高いため、幅広い層の投資家が参加しており、マーケットの流動性を保つ必要がある。また、超長期ゾーンにおける各年限の発行額のバランスを考慮する必要もある。したがって、30年債や40年債よりは、20年債の発行額を維持する方がよい。物価連動債については、引き続き流動性が低い状況にあるため、今後の市場育成の観点から発行額を維持すべきと考えている。 ・年限構成を考える場合には様々なアプローチがあると思うが、マーケット・メイカーとしての立場から考えると、国債の安定消化を支えるためには、多くの投資家が機動的に売買できる、健全なセカンダリー・マーケットを維持していく必要がある。そういった観点から考えると、現状の課題として、残存5年未満のゾーンについては、海外投資家がそれなりの量を買いに来るため、値段を提示することが非常に困難な状況となっている。 ・5年未満のゾーンについては、担保需要を含めて国内外投資家のニーズが強く、2年債は減額できない一方で、5年以上のゾーンについては、最近はカレント債の需給がひっ迫することもないため、減額が可能である。ただ、40年債については、市場育成の観点から、ある程度流動性を確保できるような発行額を維持してほしい。また、10年債については、将来の先物のチーペスト銘柄になることを念頭に、発行減額は最小限にしてほしい。 ・カレンダーベース市中発行額の減額が避けられない中で、どれだけ流動性供給入札を増額又は維持することができるかが重要と考える。日本国債のマーケットの特性として、オフ・ザ・ラン銘柄の取引量の増加が、市場の流動性向上や売買高の活況につながるため、当面は流動性供給入札を通じたオフ・ザ・ラン銘柄の積極的な供給を継続してほしい。特に、日本銀行の買入と海外投資家のニーズにより、中期ゾーンのオフ・ザ・ラン銘柄、中でも残存3-4年くらいまでのゾーンについては、常に需給が引き締まっており、相場が一方向に傾きやすい状況が続いているため、残存1-5年ゾーンについては、増額を検討してほしい。また、日本国債のマーケットでは、先物取引に流動性を依存している部分もあるため、残存5-15.5年ゾーンについても、発行額を維持してほしい。 ・発行が全体として減額となる中では、30年債と40年債を各々1回の入札当たり1,000億円ずつ減額するのが自然だと思う。これらの年限については、日本銀行の買入額が発行対比で少なくなっており、最終投資家の動向によって需給バランスが大きくぶれやすいゾーンである。足元、30年債の金利は1%を下回って推移しており、日本証券業協会のデータをみても、生保の買いは限定的となっている。今年度に入ってからの月間の平均買い越し額は2,000億円程度となっており、黒田日本銀行総裁が就任した2013年度から2016年度の月間平均買い越し額と比較すると、5割程度にまで落ち込んでいる。したがって、減額はやむを得ないと思う。 ・これまで発行増額を続けてきた30年債、40年債は減額してよく、イールドカーブ上で割安となっている20年債についても、減額可能である。これらを減額した分、2年債及び5年債を増額することが理想ではあるが、そこまでは実現できなくても構わない。 ・どのゾーンも需給は非常にタイトではあるが、減額するのであれば、発行額が多く、減額のインパクトが小さい年限を万遍なく減額するのがよい。具体的には、2年債、5年債、10年債について、1回の入札当たり1,000億円の減額であれば、インパクトは小さいだろう。銀行の担保ニーズは、T-Billを中心として、2年債までが主流である。また、海外投資家のニーズは、ベーシス・スワップに依存しており、中長期的にこのニーズが続くとは考えにくい。したがって、これらの年限を少しずつ減額することが望ましい。ただ、最小単位であれば、30年債、40年債を減額しても大きな影響は出ないのではないかという印象を持っている。 ・来年度、カレンダーベース市中発行額をそれなりに減額しなければならない中で、基本的には各年限を万遍なく減らすべきだと思う。ただ、物価連動債と20年債については、減額しない方がよい。物価連動債に関しては、流動性の観点等を考えると、これ以上の減額は避けた方がよい。20年債に関しては、今のイールドカーブ・コントロールの環境下では一定のニーズがあり、需給バランスはとれている。ここ数年、超長期ゾーンの中では20年債の減額が先行してきたということもあり、来年度は、20年債の発行額を据え置きつつ、他の年限を減額していくべきだと考えている。もっとも、投資家からは超長期ゾーンに一定の需要があるという声も聞かれている。そこで、発行額が相対的に少なく、マーケットを育成するという観点もある40年債に関しては、仮に減額をする場合でも、他年限よりは少なめに減額すべきだと考えている。 ・中期ゾーンの需給を踏まえると、2年債は減額せず、5年債を減額する方が望ましい。2年債やT-Billについては、イールドカーブの形状や金利水準に関係なく、旺盛な需要があるため、中短期ゾーンで減額するのであれば、5年債を多めに減額することが望ましい。超長期ゾーンについては、30年債と40年債を比較すると、30年債は減額してもよいと思う一方、40年債は減額しない方がよい。40年債は市場を育成していく過程にあり、発行額がある程度増えていかないと、いつまでも流動性が低いままということになりかねない。したがって、2年債以下は減額せずに5年債を多めに減額する、40年債は減額せずに20年債と30年債を多めに減額する、10年債は減額するという形がよいと思う。 ・総論として、カレント債を減額して流動性供給入札を増額すべきという意見に賛成する。日本においては、日銀買入オペが金利水準やイールドカーブの形状を決めている。そうした中では、最終投資家の実需がある年限と、日本銀行の買入に依存している年限とを見極めて、後者の発行を減額していけばよい。 ・新発債の発行が減額されても、結局は日銀買入オペとのバランス次第であるため、40年債、30年債、20年債、10年債については、どの年限が減額されても構わない。ただ、新発債を万遍なく減額した場合には、流動性供給入札を1回の入札当たり1,000億円増額してほしい。また、現在は残存1-5年ゾーンと残存15.5年超ゾーンが隔月実施となっているが、全ゾーンを毎月実施とすることも検討してほしい。
○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・日本銀行によるイールドカーブ・コントロール政策が効いており、長期金利はゼロ%から0.1%の範囲で推移している。日本銀行の国債保有によるストック効果等により需給がタイトになり、国債金利が下がると、日銀買入オペが減額されて、需給はバランスされる。こうした枠組みが崩れるのは、物価上昇率2%を達成した時であるが、マーケットでは現行の枠組みの変更は当面ないだろうと考えられている。 ・短期的な市場の動向については、日本銀行の政策次第ではあるが、その日本銀行の政策に関しても、国内の需給要因により決まる部分は一部で、基本的に為替や海外の動向によるところが大きいとの認識を持っている。 | ||
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