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国債市場特別参加者会合(第72回)議事要旨

   

 

日時 平成29年9月22日(金)16:00〜16:55 

 

場所 財務省 第3特別会議室

 

内容

1. 平成29年10-12月期における物価連動債の発行額等について

○平成29年10-12月期における物価連動債の発行額等について、理財局から以下のように説明を行った。

・物価連動債については、P2のとおり、29年度発行計画では、1回の入札当たり4,000億円で年4回の発行としつつ、「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて、柔軟に発行額を調整」することとされている。本日は、10-12月期における発行額等について、御意見をお伺いするもの。

・7-9月期については、P3のとおり、8月に発行額4,000億円で入札を行うとともに、同月に200億円の買入消却入札を実施したところ。8月の入札は、P4のとおり、応募倍率が3.19倍となり、引き続き問題なく終了している。買入消却入札と日銀買入オペについては、P5のとおり、概ね安定した結果となっている中で、9月19日のオペでは、応募倍率が低下し、買入平均価格格差もプラスとなっているが、これは直前に解散総選挙に絡んで消費税引き上げに関する報道がなされた影響もあると思われる。
  流通市場の状況については、P6に示したとおり、BEI(ブレーク・イーブン・インフレ率)は、一時0.2%台後半まで低下したが、その後は持ち直しており、ここもとは0.4%程度で推移している。

・こうした中で、国債市場特別参加者の皆様から事前に御意見を伺ったところ、物価連動債については、引き続き投資家層の拡がりが限定的であることを懸念する声が聞かれており、10-12月期における物価連動債の発行額と買入消却入札は、現状維持が望ましいとの意見が多かった。

・こうした状況を踏まえて、P7にお示ししているとおり、10-12月期については、7-9月期と同様、発行額を4,000億円とし、偶数月の10月と12月に200億円の買入消却入札を行うこととしてはどうかと考えている。

・当局としては、物価連動債の市場育成は国債管理政策上の重要な課題と考えており、そうした観点も踏まえ、10-12月期における発行額等について、皆様の御意見を承りたい。

○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・当局の提案どおり、従来同様に4,000億円の発行と偶数月に200億円の買入消却を続けることが望ましいと考える。BEIの低下基調が底値をつけて反転したことで投資家の不安心理は和らいでおり、10月の入札を終えると年内は発行が無いこともあって、需給環境は緩やかに改善に向かうと考えられる。現状維持でマーケットにサポーティブな形で発行を続ければ、マーケットの育成にもつながると思っている。 

・当局の提案に賛成する。現在の発行額と買入消却、日銀買入オペの金額は、投資家の需要と絶妙なバランスを保っている。BEIは需給だけではなく外部環境によって変動するなど、市場が機能しているため、当面は現行のバランスでよいのではないか。また、4,000億円の発行額であれば、最低限の市場規模を確保していけると認識している。

・当局の提案に賛成する。BEIは引き続き安定的に推移しており、また、市場育成のためにも、発行額の4,000億円は維持してほしい。なお、買入消却については、今後もし需給が崩れるようなことがあれば、毎月実施も選択肢に入れてほしい。 

・当局の提案に賛成する。この1、2週間は需要が見られており、流動性も上がってきている。現状の4,000億円の発行、隔月の200億円の買入消却で問題なくバランスが取れている。 

・当局の提案に賛成する。現行の発行額と買入消却額で、基本的にはバランスよくマーケットが成り立っている。足元で少し価格が動いているのは、当局の説明にもあったような材料に反応したものだと思う。

2. 平成29年10-12月期における流動性供給入札について

○平成29年10-12月期における流動性供給入札について、理財局から以下のように説明を行った。

・流動性供給入札について、29年度発行計画では、P9のとおり、年間10.8兆円を発行することとしつつ、「ゾーン毎の発行額等は、市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて柔軟に調整」することとされている。これを受け、本日の会合では、10-12月期におけるゾーン毎の発行額等を御議論いただくもの。

・7-9月期においては、P10にお示ししたとおり、流動性が不足している銘柄を追加発行し、市場機能の維持・向上を図るという流動性供給入札の目的を踏まえ、ゾーン毎の発行額の見直しを実施した。具体的には、残存1-5年ゾーンについては、1回の入札当たり1,000億円増額し、7月と9月に3,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、従来どおり毎月5,500億円、残存15.5年超ゾーンについては、1回の入札当たり1,000億円減額し、8月に4,000億円の発行とした。

・P11以降に、最近の流動性供給入札の結果を示している。各ゾーンにおいて、概ね安定した結果となっている。

・こうした中で、10-12月期の流動性供給入札について、国債市場特別参加者の皆様から事前に御意見を伺ったところ、現状の発行額等を維持することが適当との意見が多かった。

・こうした状況を踏まえて、P14にお示ししているとおり、10-12月期におけるゾーン毎の発行額については、7-9月期と同様、残存1-5年ゾーンについては、11月に3,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、毎月5,500億円、残存15.5年超ゾーンについては、10月と12月に4,000億円の発行としてはどうかと考えている。

・10-12月期における流動性供給入札のゾーン毎の発行額等については、本日の議論も踏まえて総合的に判断することとしており、改めて御意見を頂戴したい。

○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・当局の提案に賛成する。今週2回実施された流動性供給入札は、ともに無難な結果となっており、このことからゾーン毎の発行額と直近の需給環境は、概ねバランスしていると感じている。8月下旬から9月上旬頃までは、中短期ゾーンの一部銘柄に品薄感が出て金利低下していたが、振り返ってみると、前回の本会合における議論を踏まえて、残存1-5年ゾーンを増額したことが功を奏した形になっている。10-12月期についても、現状の発行額を維持するのがよいのではないか。

・当局の提案に賛成する。残存5-15.5年ゾーンについては、引き続き旺盛な需要があるので、7-9月期と同様、毎月5,500億円の発行を希望する。残存1-5年ゾーンと残存15.5年超ゾーンに関しては、7-9月期に金額を変更したばかりであり、入札結果が無難だったことも考えると、現状維持でよい。 

・当局の提案に賛成する。連続性のある安定的な発行は流動性の厚みを提供するものと考えている。マーケット環境に応じた柔軟な発行額等の変更は、足元の地合いだけではなく、次四半期、さらには半年先への影響まで考えた上で、実施する必要がある。その意味では、先般、ゾーン毎の発行額の見直しを実施したばかりであることから、今回は現状維持としてほしい。

・当局の提案に賛成する。需給がタイト化している中短期ゾーンに投資家から大口の買い注文が入ったときに、値段を出しづらく、円滑なマーケット・メイクが難しいと感じる。正直に言えば、需給改善のためには、残存1-5年ゾーンの発行額は3,000億円でも少ないので、もう少し増額してほしいとは思うが、その見合いで超長期ゾーンを減額するとなれば、投資家からは異論も出てくるかもしれない。したがって、将来的にさらなる流動性の低下が懸念されるような事態となった場合には、残存1-5年ゾーンの増額を要望することがあるかもしれないが、今の状況であれば、バランスとしては、当局の提案が落としどころとしてよいと思う。

・当局の提案に賛成する。今年度の発行額が決まっている中で、ゾーン毎の発行額のバランスを考えれば、現状維持が最も理想的だと思う。ただ、マーケット・メイクを行っている立場からすると、残存1-5年ゾーンにおいて、銘柄によっては需給がタイトになっていると感じている。足元、当該ゾーンの需給は多少改善しているが、隔月3,000億円の発行では少し足りないと考えている。来年度以降は、2年債のカレントの発行額を減額して、残存1-5年ゾーンの流動性供給入札をもう少し増額してほしい。

・基本的には、当局の提案に異論はない。ただ、今回現状維持となると、当面はこのままの発行額が続く可能性が高いと思われるが、残存15.5年超ゾーンにも需要はある。もちろん、残存1-5年ゾーンに需要があることも重々承知しているため、各ゾーンの相場状況等を勘案して、柔軟に対応してほしい。

・残存1-5年ゾーンは1回の入札当たり1,000億円の増額、残存15.5年超ゾーンは1回の入札当たり1,000億円の減額を提案する。中短期ゾーンと超長期ゾーンとを比較すると、特に既発債に関しては、需給の差が歴然としている。今年度は40年債が増額されたことによって、イールドカーブにスティープニング圧力がかかっており、超長期ゾーンの需給は軟化している。それを修正するためにも、中期ゾーンを増額する一方で、超長期ゾーンを減額することが必要と考える。
  流動性供給入札は、日本証券業協会の売買参考統計値を参照して入札を行っている。売買参考統計値は、報告会社が5社未満の銘柄については算出されない仕組みとなっており、8月下旬には物価連動債でそのような事例が一度あった。また、外資系証券会社を中心に、社外に対してこうした報告を行うことのハードルが高まってきている。例えば、流動性供給入札が予定されているにも関わらず、売買参考統計値が算出されていない場合、当局としてはどのように対応するのか。

(これに対し、理財局からは、「そのような場合には、前営業日の売買参考統計値を用いて入札を実施するということになる。現時点ではこのように整理しているが、必要があれば日本銀行とも相談しながら今後の取扱いについて検討したいと考えている」旨回答した。)

 

3.最近の国債市場の状況と今後の見通しについて

○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・イールドカーブ・コントロール政策が導入され、マーケットの中で試行錯誤がなされてきたが、日本銀行が買入オペの金額の増減や数回の指値オペを実施する中、時間の経過とともにマーケットが上手く対応できるようになってきた。日本銀行のターゲットが10年まででも、20年、30年、40年といった超長期ゾーンにもそれなりに影響を与えることも十分に理解できた。当面大きな相場変動は起きないと考えているが、マーケットにおける金融政策の影響が大きいことから、来年の日銀総裁の人事によって、多少なりともボラティリティが上がる可能性がある。
  懸念事項としては、イールドカーブ・コントロール政策を通じて流動性が低下していること、国債の価格発見機能が損なわれていることの2点がある。前者の流動性の低下については、具体的な数値で示すことが難しい。ただ、大量の国債を日本銀行が買っている中、仮に、マーケットで大量の売りが出たとしても、日本銀行が買うので、流動性が低下していても問題ないと考えるのは不健全ではないか。後者の価格発見機能については、財政拡大という話が出た際に、本来、利回りが上がって、そういった動きをけん制する機能があったところ、現在のマーケットの中には見られない。こうした状況が長期化するに従って、本来あるべき価格との乖離が大きくなっていく。こうした事態をこのまま見過ごしていいのかという懸念は絶えず持っている。

・来年の日銀総裁の人事以降、マーケットがどのように変わっていくのかという点に注目している。金融システムに過度に負荷がかかるのではないか、イールドカーブ・コントロール政策が長期化するのではないかという懸念を持っているところ、長い目で見れば、日銀総裁の任期は5年であり、場合によってはその5年間で出口戦略を考えなければならない可能性もある。日本銀行の金融緩和が出口に向かう際には、民間金融機関の助けが必要であり、その助けがないと、国債市場が壊れてしまう可能性もある。そういう意味では、次期日銀総裁には、物価目標達成と同時に、長い目で見て、市場機能を残していく、金融システムをしっかりと安定させるという視点も求められると考える。
  流動性の低下、市場機能の低下に関しては、数値で示すことは難しいが、市場参加者のサーベイの結果を見る限りでは、必ずしも改善していない。流動性の低下を明確に示す指標がない中でも、様々な数字、指標を見ていく必要があるのではないか。

・今後1、2年というスパンで見た時に、マーケットに大きな変化があるとは考えていない。ただ、足元、政府が本来よりもはるかに安い金利でファンディングできる環境にあり、この間に財政健全化を進めること、金融政策の正常化が進められた場合に十分に対応できるよう市場環境を整備すること、年限毎の国債発行残高の構成を検討すること等の政策を是非積極的に実施してほしい。
  金融機関にとって、円金利市場で収益を上げることが難しい中、外貨ビジネスに活路を見出す動きがここ数年見られている。その際に日本のソブリンとしての信用力が重要になる。消費増税に向けた動きが出始めていることはポジティブに捉えるべきであるが、プライマリー・バランスの黒字化目標の達成見通しが立たない中、今後、社会保障費が膨らんでいくという構造を考えると、中長期的に見れば、日本国債の格下げリスクは相当程度高い状態にある。昨日に中国の国債の格付が引き下げられたが、将来的に日本国債の大幅な格下げがあると、金融機関の外貨ビジネスの活路が断たれてしまう。財政健全化に向けた動きは緩めるべきではない。

・イールドカーブ・コントロール政策の下で、ボラティリティが低下していること、市場で流通する国債の量が極めて少なくなっていることにより、マーケット・メーカーから見ると、いくつかの問題が生じている。
  一つ目は、市場参加者の取引量が減少傾向にあることが挙げられる。市場で流通する国債が不足し、需給が極端に引き締まると、レポ市場が非常にタイトになり、レポコストが上昇する。これは、業者のバランス・シートのコスト上昇につながり、そのコストの転嫁によって、投資家にとっても取引コストの増加になる。市場のボラティリティが極端に低い中で、取引コストが上がり、投資家にとって、コスト対比でリターンが見合わず、結果として、取引量の減少につながっている。先般、欧州の政府系ファンドの日本国債への再投資見送りや残高を削減するとの報道があったが、流動性が不足していることが判断材料として挙げられていた。こういう動きが加速度的に進んでいるという危機的な状況にはないが、様々なところに危険信号が出てきている。
  二つ目は、市場の発信機能の低下が挙げられる。本来、財政規律、景気の好不調、今後の経済見通し等に対して、市場は様々なサインを発信するが、ボラティリティが低下していることによって、市場の発信機能が低下している。金融当局及び発行当局は、市場からのサインを見て政策判断を行っていくことが望ましいが、発信機能が低下していくことによって、結果として政策判断を間違えるリスクが高まっている。

・マーケット・メイクを日々行っている立場として、流動性が低下しているという印象を持っている。特に投資家からの大口の買いニーズに対応することが難しい環境となっており、日本銀行に対しては、国債の流動性を高める手段として、国債補完供給の利便性の向上をお願いしている。
  金利の見通しについては、イールドカーブ・コントロール政策が非常に効いたマーケットになっており、マーケット参加者のほとんどが現在の状況が変わると思っていない中、しばらくの間、上下どちらにもトレンドが出るのは難しいマーケットが続くだろう。一方で、現行の金融政策が長く続くことが完全に織り込まれている中、それを覆すような事象が起こった時には値動きが出るだろう。足元は総選挙、将来的には日銀総裁の人事に影響を受ける可能性があり、この2つのイベントに注目している。

・100億円、200億円という単位で取引する際には、ビッド・オファーの数値は以前と変わっておらず、スムーズに取引できる。一方で、1,000億円、2,000億円という単位での大口取引は難しい状況になっている。
  今後の見通しについては、基本的にイールドカーブ・コントロール政策が続くという前提に立っており、ボラティリティの低下傾向が継続すると考えているが、総選挙や北朝鮮の地政学リスクについては注目している。

 

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問い合わせ先

財務省 理財局 国債業務課 北條・武田
電話 代表 03-3581-4111 内線 5701

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