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日時 平成30年12月14日(金)13:30~14:30
場所 中央合同庁舎第4号館 1208特別会議室
内容
 

1. 平成31年1-3月期における物価連動債の発行額等について

○平成31年1-3月期における物価連動債の発行額等について、理財局から以下のように説明を行った。

・物価連動債については、P.3のとおり、30年度発行計画では、1回の入札当たり4,000億円で年4回の発行としつつ、「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて、柔軟に発行額を調整」することとされている。本日は、1-3月期における発行額等について、御意見をお伺いするもの。

・10-12月期については、P.4のとおり、11月に発行額4,000億円で入札を行うとともに、10月と12月に200億円の買入消却入札を行うとしていたところ。
 P.5のとおり、11月の入札は、応募倍率は3.70倍となり、問題なく終了している。
 買入消却入札と日銀買入オペについては、P.6のとおり、応募倍率に振れはみられているが、概ね市場実勢に即した結果となっている。
 流通市場の状況については、P.7に示したとおり、BEIは、12月入り後、名目債の金利低下に伴い0.3%台に低下している。

・こうした中で、皆様から事前に御意見を伺ったところ、1-3月期における物価連動債の発行額と買入消却入札は、現状維持が望ましいとの意見が多かった。もっとも、引き続き投資家層の拡がりが限定的であることや、足元の市場環境から先行きの需給動向について一定の懸念を示す声も聞かれているところ。

・こうした状況を踏まえて、P.8にお示ししているとおり、1-3月期については、10-12月期と同様、発行額を4,000億円とし、偶数月の2月に200億円の買入消却入札を行うこととし、また、「ただし書き」の文言のとおり、市場環境等について引き続きしっかりとフォローし、必要に応じて柔軟な対応を検討していきたいと考えている。
 なお、本案については、昨日の国債市場特別参加者会合でも議論いただいており、多くの参加者から賛同いただいたところ。

・当局としては、物価連動債の市場育成は国債管理政策上の重要な課題と考えており、そうした観点も踏まえ、1-3月期における発行額等について、皆様の御意見を承りたい。

○平成31年1-3月期における物価連動債の発行額等については、当局の提案に異論はないとする意見で一致した。

2. 平成31年1-3月期における流動性供給入札について

○平成31年1-3月期における流動性供給入札について、理財局から以下のように説明を行った。

・流動性供給入札については、P.10のとおり、30年度発行計画では、
 ①残存15.5年超ゾーン3.0兆円、残存5-15.5年ゾーン7.2兆円、残存1-5年ゾーン2.4兆円で、年間12.6兆円を発行することを想定しつつ、
 ②最終的には「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて柔軟に調整」することとされている。
 これを受け、本日は、1-3月期におけるゾーン毎の発行額等について、御意見をお伺いするもの。

・P.11のとおり、10-12月期においては、発行計画で想定されているのと同様、残存1-5年ゾーンについては、奇数月の11月に4,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、毎月6,000億円、残存15.5年超ゾーンについては、偶数月の10月と12月に5,000億円の発行とした。

・P.12以降に、最近の流動性供給入札の結果を示している。12月分の残存5-15.5年ゾーンの入札は未実施だが、これまでのところ、総じて、安定した結果となっている。

・こうした中で、1-3月期の流動性供給入札について、皆様から事前に御意見を伺ったところ、残存15.5年超ゾーンの増額を希望する意見もあったが、現状の発行額等を維持することが適当との意見が多かった。

・これを受け、P.15にあるとおり、1-3月期におけるゾーン毎の発行額の当局案を作成した。10-12月期と同様に、残存1-5年ゾーンについては、奇数月の1月と3月に4,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、毎月6,000億円、残存15.5年超ゾーンについては、偶数月の2月に5,000億円の発行としてはどうかと考えている。
 この点につき、昨日の国債市場特別参加者会合では、現状の発行額等を維持することが適切との意見を多くいただいたところ。

・1-3月期における流動性供給入札のゾーン毎の発行額等については、本日の議論も踏まえて総合的に判断することとしており、改めて御意見を頂戴したい。

○平成31年1-3月期における流動性供給入札については、当局の提案に異論はないとする意見が大宗だったが、以下のような意見もあった。

・基本的には当局の提案に賛成する。ただし、超長期ゾーンのオフ・ザ・ラン銘柄は、負債のデュレーションに対応した年限として非常に重要な投資対象であるため、残存15.5年超ゾーンは増額してほしい。

・毎年1~3月期は決算に向けて、資産と負債のデュレーションを合わせる必要から超長期ゾーンの購入ニーズが膨らむ傾向にある。日銀買入オペの減額余地が縮小する中、この1~3月期についても、需給のひっ迫が懸念されるため、残存15.5年超ゾーンの増額を希望する。

3. 平成31年度国債発行計画について

○平成31年度国債発行計画について、理財局から以下のように説明を行った。

・31年度国債発行計画について、現在の検討状況をお知らせする。

・P.17の左側に、「発行根拠法別発行額」、すなわち使途別の要調達額についての検討状況をお示ししている。新規国債及び復興債は予算編成過程において、財投債は財政投融資計画の策定過程において、それぞれ発行規模が決定されることになるが、現時点において確たることを申し上げられる状況にない。

・ただ、国債発行総額の大宗を占める借換債については、前回懇談会において、「国債発行額の将来推計」を基に説明したとおり、今年度と同程度になる見込み。

・右側には消化方式別発行額の検討状況をお示ししている。「個人向け販売分」・「日銀乗換」についてもまだ精査中であり、「市中発行額」については、その結果により若干の増減が発生する。

・P.18及びP.19には、先月の国債市場特別参加者会合及び本懇談会で頂戴した、カレンダーベース市中発行額の年限構成に関する意見を整理させていただいた。

・超長期債については、国債市場特別参加者・投資家とも、今年度減額した30年債、40年債は、投資家のニーズもあり減額は避けた方がよいが、今年度減額を見送った20年債は減額可能という意見が多かった。

・10年以下のゾーンについても、ある程度の減額が可能という点で概ね一致がみられたが、2年債やT-Billについては、銀行等の担保ニーズや海外投資家の強いニーズに配慮してほしいという声もあった。

・また、流動性供給入札については、市場の状況を踏まえれば、発行総額が減少する中でも現状の発行規模を維持することが適当という意見が多かったところ。

・今後、これらの意見を踏まえ、来年度国債発行計画の具体的内容を決定の上、例年どおり、来年度予算と併せ公表する予定。

○出席者からは追加的な意見はないとの意見が大宗だったが、以下のような意見もあった。

・来年度の発行計画について、基本的に異論はない。ただし、20年債については、年間発行額がそこまで大きくない一方で、マイナス金利環境下で投資家層や投資ニーズがそれなりに拡大しているため、発行額は据え置きでもよいのではないか。

・10年債については、イールドカーブ・コントロールにより、金利が非常に低くなっている。また、30年債、40年債は、負債とのバランスを考えると、デュレーション・コントロールには中々使えない。よって、引き続き消去法的に20年債に投資せざるを得ない。ただ、来年度、超長期ゾーンを減額しなければならない場合には、20年債が対象になるかもしれないということは認識している。

4.最近の国債市場の状況と今後の運用見通しについて

○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・グローバルな景気後退懸念が続く状況では、超長期ゾーンを中心に日本国債が買われてイールドカーブがフラット化してしまい、運用難の状況が更に悪化するのではないかと考えている。これまで海外市場が好況な中で国際分散投資を進めてきたが、景気の先行き見通しが不透明になる中で、より慎重に、国際情勢を見極めながら、国際分散投資を継続していかざるを得ないと考えている。

・グローバルな景気動向は、不透明かつ不安定な状態が継続している。景気先行き不透明感に対して、今後は、経済指標を確認しながら、一時的な調整なのか、本格的な景気減速なのかを見極めていく必要があると思っている。
 国内に関しては、以前までは、日本銀行が更なる金融政策修正の機会を窺っているという見方が市場のコンセンサスだったが、足元では、先行き不透明感が強まる中、当面は現状の金融政策を続けざるを得ないという見方がコンセンサスになってきた。その結果、金利上昇懸念が後退し、安心して日本国債を買える状況になったため、円金利が低下しているのではないか。今後は、金利低下局面での日本銀行の動きが注目される。不透明感が後退し、金融政策の先行きが読みやすくなれば、日本国債についても金利変動を捉える形での投資妙味が出るのではないか。

・マイナス金利政策導入以降、基本的に日本国債への投資を見送っている。7月末の日本銀行の金融政策修正以降若干金利が上昇したため、残存20年ゾーンへの投資再開を検討したが、足元、米中貿易摩擦問題や世界的な景気減速観測が強まり、長期金利の水準は再び低下している。米中貿易摩擦問題や欧州の政治・財政の問題等、いずれも根が深く、一過性のものではないため、当面は日本銀行による金融政策の正常化が中々進まず、むしろ追加緩和を迫られる可能性も排除できないのではないか。そういった中で、日本国債への投資が難しい環境が更に長期化することを懸念している。

・7月末の日本銀行の金融政策修正以降、円金利は内外の経済環境等を反映して動くように変化したと思う。世界的な景気減速懸念や米国等の金融政策に対する見方の変化から、幅広いゾーンに金利低下圧力がかかっているが、以前に比べれば、国債市場の流動性や機能度は改善していると感じる。足元では、年末を越える米ドルの調達コストが上昇しており、相対的に日本国債への投資妙味が増している状況。海外の不透明要因は多いため、今後のマーケットの方向性を見極めながら投資していきたい。

・国債市場の流動性に関して特段変化はないが、当局においては、引き続き、国債市場の流動性補完を十分意識した運営を行ってほしい。足元は、グローバルに景気の先行き不透明感が高まっており、金利低下リスクに対する警戒感をやや強めて運用している。

・7月末の日本銀行の金融政策修正を受け、マーケットに動きが少し出てきたことは好感している。しかしながら、足元は、海外金利主導で円金利も低下し、長期金利が再びマイナス金利になる可能性が懸念される。この金利水準では、日本国債を中心に投資することは難しく、引き続き、海外資産への分散投資を進めていく。

・円金利は、日本独自の材料ではなく、米国等のグローバルな金利動向に連動して低下している。今後の円金利も、FRBの金融政策次第で上昇も低下もあり得るだろう。その中で、10年債は足元の金利水準を勘案すると魅力に欠け、20年債にはデュレーションの調整のため一部投資しているが、20年債の金利も低いため、大きく投資を振り向けるほどの魅力はない。ただし、日本銀行が買入オペを工夫したことで、以前よりは円金利が動くようになり、流動性もそれなりに出てきたと思っている。

・負債は円建てであるため、投資対象の中心が日本国債や地方債、社債等の円建て債券であることに変わりはないが、その代替として、為替ヘッジコストを勘案しながら、ヘッジ外債等に投資していきたいと思っている。足元では、日本銀行による買入オペの弾力化により、日本国債市場が、ようやく海外金利と連動する動きになってきた。引き続き、日本銀行が買入オペの弾力化を実施し、海外やファンダメンタルズに連動して日本国債市場が動いていくことを期待している。

・7月末の日本銀行の金融政策修正以降、一時的に、ボラティリティを伴って金利が動き、取引量が増えた局面もあったが、それが落ち着いてしまった後は、結局、金融政策修正前のマーケットとそれほど変わらない状況に戻ってしまった。ビッド・アスク・スプレッドや、一回に取引できるボリューム等を考えると、あまり流動性も回復していない。景気減速懸念から、金利がグローバルに低下する中で、円金利は海外の金利に連動して低下していると感じる一方で、海外の金利が上昇した時に、円金利もそれに連動して上昇するのか懐疑的である。日本銀行の国債保有残高が大きく、マーケットに十分に取引できる国債がない状況であるため、金利上昇にもついていけるように、引き続き、日本銀行には買入オペの工夫等を行ってほしい。

・日本銀行のこれまでの国債買入量が多いことによるストック効果により、イールドカーブ・コントロールが非常によく機能し、日本国債市場は日本銀行の管理相場になっている。7月末の日本銀行の金融政策修正以降、一旦金利上昇の流れとなったが、足元は、海外のリスクオフ基調の強まりにより、今後の日本銀行の金融政策正常化へ向けた動きへの期待が後退している。そのような期待がなくなる中、日本銀行の買入量が相変わらず多く、かつ潜在的なマーケットの買いニーズも大きいことから、金利はじりじりと低下している。今後の運用については、慎重に相場をモニタリングしながらも、引き続き、海外のクレジットマーケットを中心に投資していくことを考えている。

・超長期の円建て負債を抱えている中では、金利リスク低減等の観点から、超長期債に投資せざるを得ない。しかしながら、この低金利環境下で、投資を進めてよいのかという点については悩ましいところであり、今後は金利の動向を注視しながら、濃淡をつけた運用を考えざるを得ない。

・米国の利上げの見通しの変化により、当面円金利についても低下バイアスがかかりやすい。このような金利低下局面においては、積極的な買いはせず、売却が中心になっていくと考えている。一方で、足元は金利が低下し過ぎている印象もあるため、反転して金利上昇局面になれば、10年債や20年債への投資も検討していきたい。

・最近の国債市場の状況については、米中貿易摩擦やブレグジットなどの問題により海外金利が低下する中、連動して円金利も小幅に低下している。また、海外投資家のショートカバーや海外のCTA、リスクパリティファンドなどの動きもある程度入っているようで、現物対比で先物とスワップがアウトパフォームしている。
 今後は、引き続きQQEの長期化による副作用対策として、日本銀行の買入減額が続く可能性が高いと思われるが、2019年の景気後退が懸念される中で、より海外情勢を注視する必要が出てくる。日本国債については、ターム・プレミアムが押さえつけられた状況下では、レラティブバリューでの投資よりも、アウトライトでの投資の方が難しい。

・最近の国債市場では、グローバルな金利低下に連動する中、円金利の低下幅が大きいことが特徴的。その要因は大きく分けて2つあると考えている。
 1つ目は、7月の日本銀行の金融政策修正以降、投資家の中で金利先高観が強まったこと、及び日本銀行が着実に買入オペ減額を進めたことにより、日本国債がアンダーウェイトになった中で、多くの投資家にとって想定外の金利低下が生じ、一気にそのポジションを巻き戻す動きが出たため、金利の低下幅が大きくなっている。2つ目は日本銀行によるストック効果が強いことである。ストック効果は今後も強まっていくことを考えると、日本銀行の望むような機能度の高い市場は遠い将来のことになるのではないか。
 7月に日本銀行は物価見通しを引き下げながら、10年金利の変動幅拡大を行っていることから、物価は政策反応関数として重要ではないと考えられ、このような物価環境においても、いつ日本銀行が金融政策の修正を行ってもおかしくない状況。ただ、政治日程や米国の金融政策のサイクルを考えると、金融政策修正を行えるチャンスは限られ、現状の金融政策が長期化するのではないかと思っている。
 そうした状況の下、国内債券の投資は、大きな金利変動が生じないことを前提にした運用戦略、つまり、キャリーに注目したクレジットへの投資やロールダウンの高い年限への投資が中心になると考えている。

・現在のイールドカーブは、残存7年未満がフラットな状況であるが、残存7-10年はそれに比べてスティープであるため、残存7年ゾーンが割高になっている。また、既存銘柄の流動性がかなり低い一方で、足元は日本銀行の買入額がやや減少してきているため、カレント銘柄の5年債、10年債の日銀買入オペでの吸収量が大きく減少している。このように、銘柄間のつり合いが取れていない状況を踏まえ、引き続きキャリーロールダウンの高い年限に投資をしたい。

・先進国全体の景気動向等を背景に、日本の景気と物価のアップサイドに対する期待が後退してきており、イールドカーブ・コントロール政策の出口の展望を持ちにくくなっている。こうした中で、来年度の当初予算規模が膨らむことが見込まれ、財政規律の後退が懸念される。大きなリスクを将来に向かって積み上げているこのような状態に対し、マーケットが警告を発することができていないため、マーケット参加者が声を上げることがますます重要だと思っている。

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問い合わせ先

財務省 理財局 国債業務課 中対・武田
電話 代表 03-3581-4111 内線 5701