・ | 日時 平成30年11月21日(水)13:30~14:45 |
・ | 場所 財務省 第3特別会議室 |
・ | 内容 |
1. 最近の国債市場の状況と今後の運用見通しについて ○平成31年度国債発行計画について、理財局から以下のように説明を行った。 (国の債務管理の在り方に関する懇談会(10/22)における議論①(理財局からの説明))・10月22日に開催された「国の債務管理の在り方に関する懇談会」は、当面の発行政策というより、むしろ中長期的な政策について議論する場であるが、来年度の国債発行計画についての意見交換を行うに当たり、在り方懇における議論を紹介させていただく。
(国の債務管理の在り方に関する懇談会(10/22)における議論②(当日の議論の概要)) ・市場流動性に関しては、日本銀行のより積極的な対応があれば状況が改善するとの意見があった。 ・前倒債の発行残高の増加に関しては、残高の減少を求める意見が多かったが、現在の金融財政状況等を踏まえ、ある程度の残高を保持することの意義を認める意見もあった。 (国債市場特別参加者会合(PD会合)(11/20開催)の議論の紹介)) ・全体として、減額するのであれば、特定のゾーンに偏らずバランスよく減額すべき ・年限別の発行額について、超長期ゾーンについては、今年度減額した30年債・40年債より、20年債の減額が望ましい ・10年債については、指標金利であり、ある程度の発行規模を維持する必要があるが、小幅な減額は可能 ・中短期ゾーンについては、国内投資家の実需が限定的であり減額可能 ○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・10月以降、リスクセンチメントが悪化するような状況が発生し、円金利は、一時期少し上昇基調にはあったものの、現在は再び低位で推移しているため、日本国債への投資機会は引き続き限定的。来年以降も、米国の利上げは継続され、それによって全般的に景気がスローダウンする懸念があるため、長期金利が大きく上昇するという状況は中々想定しづらい。 ・来年度の国債発行計画に関しては、まず5年債について、1回の入札当たり1,000億円程度減額することを最優先とし、その次に、比較的発行額の多い10年債を、1回の入札当たり1,000億円程度減額してはどうか。5年債は、2年以下のゾーンほど余剰キャッシュの行き先としてのニーズが強くなく、現状の金利環境下ではそれほど投資妙味がないため、減額してもよい。その他については、現状維持が望ましい。 ・足元、米中貿易摩擦の長期化懸念や英国のEU離脱の不透明感等を背景として、世界的にリスクオフの地合いが強まっており、国内外ともに、債券買いの動きが広がっている。国内債券市場は7月末の金融政策修正以降、国内外の経済環境や指標を反映した動きをするという意味で、市場機能が若干回復した印象。 ・保有国債の大量償還が続く中、現在の金利水準では再投資は中々難しい。ALMの観点からは、中期的には、10年債、20年債を中心に、国債への投資を一定程度行う必要があるものの、足元のイールドカーブの状況や金利水準では抑制的にならざるを得ない。 ・7月末の金融政策修正以降、国債市場において、大きな変化は見られていない。足元、グローバルな金融緩和を受けて、金融資産が全般的に割高化してきた状況に対する調整が起こりやすい時期であるとの認識の下、基本的には安全資産に資金を置いた上で、短期的・機動的な投資戦略を実行するという運営を継続している。そのため、日本国債については、担保目的及び余資運用目的で、引き続き短期ゾーンを中心に保有する予定。 ・日本銀行の金融政策は、7月末の修正以降、物価目標の達成と副作用への配慮の二兎を追うかたちとなったことから、先行きが非常に見通しづらい。7月末以降、金利上昇方向に対する円金利の感応度は高まっているものの、円金利の低下局面において日本銀行が買入額を減らすのではないかとの疑心暗鬼的な状況が続いていることから、直近のように、海外がリスクオフによって金利低下している局面においては、中々円金利が低下しない状況になっている。そうした中、日本国債への投資は難しい局面を迎えている。今後、円金利の上下両方向の感応度が復活すれば、日本国債に対する需要は戻り、市場機能度も回復してくるのではないか。 ・日本銀行が国債市場に大きな影響を及ぼしている状況は引き続き変わっていない。7月末の金融政策修正により正常化への期待が一旦高まったものの、足元では米金利低下や株安の地合いが続き、その熱が冷めてしまった印象。ただ、日本銀行の金融政策のスタンスに対する期待はまだ残っている。 ・一時期よりは市場の動きが出てきて、多少なりとも売買しやすくなってきたが、未だに大きい額で売買しようとすると価格に影響が出てしまう。運用については、ALMの観点から、負債のキャッシュフローを勘案しながら、今後とも円建ての債券又はヘッジ外債を中心に投資していく。ただし、ヘッジコストが上昇し、ヘッジ外債の投資妙味が落ちている中で、国債への投資はもちろん、国債以外の円建て債券にも広く投資していくことを考えている。 ・7月末の金融政策修正以降、円金利は、経済情勢を反映して金利低下方向には動くが、上昇方向には動かないという印象を持っている。金利が上昇方向に動くのは、日銀買入オペの運営方法や買入額の変更があった時であり、そういうことへの反応でしか上昇しないと感じている。これは、発行金額に占める日本銀行の保有割合が高いというストック効果の影響が大きいと思っている。今後の運用方針については、米国で金融引き締めが進み、マーケットのボラティリティが大きくなっているが、今の円金利水準では負債コストとのかい離が大きいため、引き続き、株式等のリスク性資産又は外債中心に運用していく。 ・足元では、海外発のリスクオフの動きが国内金利を引き下げている。しかし、海外発の要因にも関わらず、海外よりも国内金利の方が大きく低下している印象。国内債券が安全資産として買われていることに加え、日本銀行が大量の国債を保有していることに伴うストック効果や、国債の流動性が低いため買われた時に金利が下がりやすいことが要因ではないか。7月以降、海外市場やファンダメンタルズに対する円金利の感応度が高まってきたことはよい傾向だと感じている。一方、流動性が低いことから市場の価格発見機能が有効に働いていないようにも感じている。 ・7月末の日本銀行の金融政策修正を受け、日本銀行が金融政策正常化の方向に動いていけば、円金利は緩やかに上昇していくだろう。一方、足元では、欧州の政治リスクや、2019年の景気の見通し等でやや懸念が高まっており、日本銀行の正常化に向けた動きも止まってしまうかもしれないと考えている。そのため、円金利の行方を見極める上でも、海外情勢に注目しなければならない。当面の運用方針については、7月以降、多少円金利は上昇したが、まだ魅力的な水準までには至っていないため、引き続き、ヘッジ外債中心の運用を継続する予定。 ・米国の継続的な利上げに伴い、米長期金利が上昇する中でドル高が進行していることから、日本銀行も金融政策を少し引き締め方向にできている。しかし、米長期金利が長期均衡金利を上回り、為替も購買力平価から見るとドルが割高な水準になってきている中、景気減速懸念で米国の利上げがスキップされるようだと、為替に影響し、日本銀行の金融政策修正も停滞するリスクが出てくると考えている。運用見通しについては、中々積極的に投資しづらい状況だが、金利上昇局面においては、多少、長期・超長期ゾーンを中心に投資していきたい。 ・7月末の金融政策修正後、一時的に日本国債市場の流動性と機能度の改善が見られたが、プラスマイナス0.2%の変動幅では改善は限定的。一方で、日本銀行は買入オペの柔軟化を実施しており、スティープニング・バイアスはかかるだろう。また、米国の利上げが引き続き行われる前提の下では、外債投資はヘッジコストが高く、ボラティリティも高くなるであろう点を踏まえると、相対的に日本国債の魅力度が上昇してくる可能性がある。 ・7月末の日本銀行の金融政策修正については、グローバルに経済がよくなり、海外金利が上昇していく際に、円金利も上昇することを許容するという政策修正だったと理解しているが、金利やボラティリティが大きく上昇するとは認識しておらず、引き続き、キャリーとロールダウンの厚いゾーンに投資していくというスタンスである。 ・7月末の金融政策決定会合を受けて少しは市場機能が回復したように思える一方で、引き続き、日本銀行主導の市場になっている。日本銀行は、日銀買入オペの減額や回数、スケジュールの変更などボラティリティを上昇させる微調整を行ってきたが、金利の絶対値はあまり動いておらず、思ったほどタームプレミアムが乗っていない状況。リスクオフ環境であることに加え、日本銀行が大量の国債を保有していることに伴うストック効果でタームプレミアムが低く押さえつけられており、このような状況下では、アウトライトでの日本国債への投資は難しい。 ・財政制度等審議会が昨日提出した来年度予算に関する建議の中では、平成の財政を振り返り、受益の拡大および負担の軽減・先送りを求める圧力に抗いきれなかったという過ちを、今後二度と繰り返すことがあってはならない、という認識が示された。 |
問い合わせ先
電話 代表 03-3581-4111 内線 5700