・ | 日時 平成30年3月23日(金)10:30~11:30 |
・ | 場所 財務省 第3特別会議室 |
・ | 内容 |
1. 平成30年4-6月期における物価連動債の発行額等について ○平成30年4-6月期における物価連動債の発行額等について、理財局から以下のように説明を行った。 ・物価連動債については、P3のとおり、30年度発行計画では、1回当たり4,000億円で、年4回(5・8・11・2月)の発行としつつ、「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて、柔軟に発行額を調整」することとされている。本日は、4-6月期における発行額等について、御意見をお伺いするもの。 ・1-3月期については、P4のとおり、2月に発行額4,000億円で入札を行うとともに、200億円の買入消却入札を実施したところ。P5のとおり、2月の入札は、海外及び国内の市場で株価が大きく下落するなど、リスクオフの流れの中で迎えたことから、市場予想よりも低い価格で発行することとなったが、入札後には買いも入っていたようであり、需給面で特段の問題があったわけではないと考えている。買入消却入札と日銀買入オペについては、グローバルなインフレ期待が底堅く推移する中で、P6のとおり、安定した結果が続いている。 ・こうした中で、皆様から事前に御意見を伺ったところ、物価連動債については、引き続き投資家層の拡がりが限定的であることを懸念する声が聞かれており、4-6月期における物価連動債の発行額と買入消却入札は、現状維持が望ましいとの意見が多かった。 ・こうした状況を踏まえて、P8にお示ししているとおり、4-6月期については、1-3月期と同様、5月の発行額を4,000億円とし、偶数月の4月と6月に200億円の買入消却入札を行うこととしてはどうかと考えている。 ・また、毎年3月に、翌年度の物価連動債のリオープン及び入札の方式について御議論をいただいているが、これについても、29年度と同様、年間1銘柄でのリオープン、価格ダッチ方式での入札としてはどうかと考えている。 ・当局としては、物価連動債の市場育成は国債管理政策上の重要な課題と考えており、そうした観点も踏まえ、4-6月期における発行額等について、皆様の御意見を承りたい。 ○平成30年4-6月期における物価連動債の発行額等については、当局の提案に異論はないとする意見が多数聞かれたほか、以下のような意見があった。 ・当局の提案に異論はない。物価連動債の流動性は低いので、その向上のためにも、買入消却入札を続けていくことに賛成する。リオープン方式については、1銘柄当たりの市中残高を確保することが必要であるため、現状維持に賛成する。 ・現状程度の発行と買入消却のバランスが適当である。 ・安定消化が続いているので、特段の変更は必要ない。 ・入札方式については、物価連動債の投資家の裾野が限られている中では、価格ダッチ方式を維持することが望ましい。 2. 平成30年4-6月期における流動性供給入札について ○平成30年4-6月期における流動性供給入札について、理財局から以下のように説明を行った。 ・流動性供給入札については、P10のとおり、30年度発行計画では、 ・1-3月期においては、P11にお示ししたとおり、10-12月期と同様、残存1-5年ゾーンについては、1月と3月に3,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、毎月5,500億円、残存15.5年超ゾーンについては、2月に4,000億円の発行とした。 ・P12以降に、最近の流動性供給入札の結果を示している。各ゾーンにおいて、安定した結果となっている。 ・こうした中で、4-6月期の流動性供給入札について、皆様から事前に御意見を伺ったところ、30年度発行計画で想定されているとおり、全てのゾーンをバランスよく増額すべきとの意見が多かった。 ・これを受け、P15にあるとおり、4-6月期におけるゾーン毎の発行額の当局案を作成した。残存1-5年ゾーンについては、5月に4,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、毎月6,000億円、残存15.5年超ゾーンについては、4月と6月に5,000億円の発行としてはどうかと考えている。 ・4-6月期における流動性供給入札のゾーン毎の発行額等については、本日の議論も踏まえて総合的に判断することとしており、改めて御意見を頂戴したい。 ○平成30年4-6月期における流動性供給入札については、当局の提案に異論はないとする意見が多数聞かれたほか、以下のような意見があった。 ・当局の提案に賛成する。入札結果を見る限り、1-3月期のゾーン毎の発行額に大きな問題があったとは思われないので、4-6月期については、バランスよく全てのゾーンに増額分を振り分けることで問題ない。 ・当局の提案に賛成する。特に残存5-10年ゾーンにおいては、大規模な日銀買入オペのストック効果が高まっており、レポの引き締まりが目立っているので、市場で織り込まれているとおりに増額してほしい。 ・当局の提案どおり、当社の主要な投資対象となる残存5-15.5年ゾーンを含めて、全てのゾーンでバランスよく増額してほしい。 ・当局の提案に異論はない。流動性が枯渇してきているので、きめ細かく増額してほしい。 ・当局の提案に異論はないが、足元のSCレポ市場の動向を見ると、需給は引き続きタイトである。今後も状況や市場との対話を踏まえて適切に対応してほしい。 ・30年債と40年債の発行が減額される中、残存15.5年超ゾーンの更なる増額を検討してほしい。 ・今年4月に標準生命表が改定され、生保のALMミスマッチが拡大する見込みである。負債のデュレーションに合わせるかたちで、資産のデュレーションを延ばす必要があるため、残存15.5年超ゾーンを更に増額してほしい。 3. リオープン方式等について ○リオープン方式等について、理財局から以下のように説明を行った。 ・P17以降に、30年度のリオープン方式等について、事前にお伺いした皆様の御意見を踏まえて策定した実施案をお示ししている。 ・10年債については、27年度から、新発債の表面利率と入札日における市場実勢の乖離がおおむね30bps以内の場合に、リオープンによる発行としている。事前に御意見をお伺いしたところでは、1銘柄当たりの市中残高を確保する観点から、原則リオープン発行とすべきとの意見が聞かれる一方、金利が大きく変動する場合には、新発債として発行し投資家の需要を喚起することが国債の安定消化に資するとの意見も聞かれたところ。 ・当局としては、引き続き現行方式を支持している投資家の皆様の意見には配慮しつつも、1銘柄当たりの市中残高を確保し、先物取引における受渡適格銘柄でもある10年債の流動性を向上させる観点から、30年度についても、新発債の表面利率と入札日における市場実勢の乖離がおおむね30bps以内の場合にはリオープンによる発行とする現行方式を維持してはどうかと考えている。 ・20年債・30年債・40年債のリオープン方式については、現行方式を支持する意見がほとんどであったため、29年度と同様、20年債・30年債は年間4銘柄、40年債は年間1銘柄としてはどうかと考えている。 ・なお、昨年6月に本懇談会における御議論も踏まえて決定したとおり、大量償還月(3・6・9・12月)の利付債(5~30年債)に関してはT+1化を予定しており、これに伴い、6月発行の5~30年債は3月償還となる予定である。このため、年間4銘柄のリオープン発行となる場合には、発行月と銘柄(償還月)の関係については、資料において下線でお示ししているとおり、3・4・5・6月債の合計4か月分を同一銘柄として発行し、7月債以降は通常どおり合計3か月分を同一銘柄として発行する予定であることに御留意いただきたい。 ・次に、40年債の入札方式については、事前に御意見をお伺いしたところ、利回りダッチ方式を維持すべきという意見と価格コンベンショナル方式に移行すべきという意見の両方があった。 ・利回りダッチ方式を支持する意見としては、30年債や20年債と比べて40年債の投資家層が限定的であり、このため、40年債の需給は季節性によって偏りやすく、流動性が比較的低いという声があった。また、イールドカーブの端でもあることから、利回りダッチ方式の方が安定消化に資するという意見も聞かれたところ。 ・他方、価格コンベンショナル方式への移行を希望するとの意見としては、40年債の発行開始から10年が経過しており、流通市場での流動性が当初よりも厚くなっていることから、価格コンベンショナル方式に移行しても問題がないという意見が聞かれた。また、利回りダッチ方式の入札は、市場実勢利回りと比べて強い結果となることも多いため、高値掴みが警戒されるという指摘も聞かれているところ。 ・当局としては、発行開始から10年の節目を迎えた40年債の市場には厚みが生まれつつあると考えているものの、他の年限と比べれば投資家層が限られており、値動きが一方向に偏りやすいという指摘もある現在の状況に鑑みれば、多くの皆様から御意見をいただいているとおり、利回りダッチ方式を維持することによって安定的な消化を図ることが望ましいのではないかと考えている。このため、P18のとおり、30年度については引き続き、40年債の入札方式を利回りダッチ方式とする案をお示ししている。 ・当局としては、本懇談会での議論を踏まえて、リオープン方式及び40年債の入札方式を最終的に決定することとしているので、忌憚のない御意見をいただきたい。 ○リオープン方式等については、当局の提案に異論はないとする意見が多数聞かれたほか、以下のような意見があった。 ・10年債は日銀買入オペの吸収率が最も高く、指値オペが実施されるとその吸収率が更に高まるため、カレント債の流動性を確保する観点から、10年債も原則リオープン方式とする方が望ましい。 ・現行の金融政策の下では、シングル・イシューまたはダブル・イシューの10年債が発行された場合には、スクイーズの可能性が極めて大きくなるため、原則リオープン方式とするのがよい。 ・40年債、30年債及び20年債のリオープン方式については、流動性の観点からは、1銘柄当たりの発行額を増やすことが非常に重要だと認識しているものの、市場実勢の金利水準から乖離した場合には、10年債と同様に、新発債を発行することを検討してもよいのではないか。 4.最近の国債市場の状況と今後の見通しについて ○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・来年度の運用に関しては、円金利のボラティリティが低い状況が続くと見込まれるため、株式や国内外の債券にバランスよく投資し、機動的にアロケーションを変更しながら運用する方針である。 ・ポートフォリオにおいて株式の比率が高くなっている中、本来、債券には株式の動きと逆相関するというヘッジ機能が求められるが、現状においては、円金利のボラティリティが小さいため、ほとんどヘッジ機能の役割を果たしていない。当社では、ヘッジ機能を求めて外債への投資を行っているが、ユーロ債等、特定の通貨に投資が偏ってしまうという懸念を持っている。 ・来年度の運用においては、中短期国債への投資はALMの観点から最小限に留める方針であり、その代替として、社債等に資金を振り向けざるを得ないと考えている。 ・来年度においても、過去に投資した国債が償還を迎えるが、足元のようなマーケットの状況では、国債に十分に再投資ができず、国債の保有残高を維持することは難しい。償還資金については、一部、地方債や一般債で代替し、また、年限の長い国債を買うという対応をとっているが、運用していく上では、もう少し金利が上昇してほしいと思っている。 ・海外資産は為替のヘッジコストを考慮すると、投資資金が戻ってくるか不安定なところがある一方で、円債は満期まで保有すると額面で確実に償還されるというメリットがある。 ・日本の金融政策の変更が見通しづらい中で、引き続き、日本国債への投資は抑制せざるを得ず、代わりに、ヘッジ付き外債に資金を振り向けている。ヘッジコストの上昇により、米国債では収益が得られにくくなっているので、欧州債やクレジット物に投資している。 ・中短期ゾーンの金利がプラスに戻れば、投資対象になってくるが、現在のマーケット環境下では、同ゾーンは対象にならず、難しい状況である。 ・当社は負債のデュレーションが比較的短いため、中短期ゾーンに投資ニーズがあるが、当該ゾーンの日本国債は利回りがマイナスであることから、政府保証債、地方債、財投機関債、社債などを中心に購入せざるを得ない。また、ヘッジ付き外債も購入してはいるが、流動性を勘案すると一定程度は円債で運用せざるを得ない。 ・20年を超えるデュレーションの円建て債券は、国債以外に見当たらず、金利が低くとも、国債を一定程度買っていかなければならない状況にある。一方で、年限の短いゾーンについては、ヘッジ付き外債やクレジットリスクをとって社債等を中心に運用している。 ・当社には円建ての負債しかないので、負債のデュレーションに見合った形で資産のデュレーションを延ばしていくためには、今後も、超長期ゾーンの日本国債を計画的に組み入れていくことが必要になる。 ・利回りが高い国債が償還されて、国債に再投資するときに利回りが下がるため、償還に対して十分に再投資ができないというリスクに直面しており、運用は難しい状況にある。 ・償還再投資については状況次第であり、日本国債の償還資金をヘッジ付き外債や、場合によってはオープン外債の購入に充てることもある。このほか、先物などのデリバティブも含めて工夫しながら、少しずつ再投資部分を埋めていくこととしている。 ・円建て債券の投資家にとっては、短期的には引き続き厳しい環境が続くと思っている。日本国債もそうだが、直近では、米国の短期金利の上昇とイールドカーブのフラット化などによってヘッジコストが上昇しており、ヘッジ付き外債、特に米国債は買いにくくなっている。オープン外債についても、日米金利差と為替との相関が崩れてきているため、持ち続けるのは難しい。 ・当社では昨年来、円のバランス・シートについては抑制気味に運営してきた。ただ、昨年4月からレポ取引の非課税措置が拡充されたため、バランス・シートの大きさは徐々に回復しており、取引相手となっている証券会社も増加している。 ・ここ数か月の国債市場において注目されていたテーマは、日銀正副総裁の人事であったが、結果的には黒田総裁の続投と雨宮理事の副総裁就任となり、金融政策が変わるという期待は相当に低下した。このため、来年度の運用の検討に当たり、引き続き動かない相場を前提に如何にリターンを上げていくかを考えていく必要がある。当社としては、ロールダウン効果による収益機会が残る超長期ゾーンへの投資や、国債の利回りがマイナスである中短期ゾーンにおけるクレジットへの投資を積極化していく。ただ、通常の社債については、日銀が買入れを行っており、過去と比較してスプレッドの妙味がなくなっている。したがって、例えば劣後債などへの投資によってリスクを取り、ポートフォリオの利回りを高めていく必要があると考えている。 ・日本銀行のイールドカーブ・コントロール政策の下で、金利の変動幅が小さくなっており、マーケットの声が聞こえづらくなっている。これから夏頃にかけて、政府は新しい財政健全化計画の策定に取り組むことになっているが、財政悪化に対する危機感等について、本日のような議論を通じて、発信していければよいと思っている。 |
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