・ | 日時 平成29年12月15日(金)13:30~14:20 |
・ | 場所 財務省 第3特別会議室 |
・ | 内容 |
1. 平成30年1-3月期における物価連動債の発行額等について〔参考配布:資料1〕 ○平成30年1-3月期における物価連動債の発行額等について、理財局から以下のように説明を行った。 ・物価連動債については、P3のとおり、29年度発行計画では、1回の入札当たり4,000億円で年4回の発行としつつ、「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて、柔軟に発行額を調整」することとされている。本日は、1-3月期における発行額等について、御意見をお伺いするもの。 ・10-12月期については、P4のとおり、10月に発行額4,000億円で入札を行うとともに、10月と12月に200億円の買入消却入札を実施したところ。10月の入札は、P5のとおり、応募倍率が3.09倍となり、引き続き問題なく終了している。買入消却入札と日銀買入オペについては、P6のとおり、概ね安定した結果となっている。 ・こうした中で、皆様から事前に御意見を伺ったところ、物価連動債については、引き続き投資家層の拡がりが限定的であることを懸念する声が聞かれており、1-3月期における物価連動債の発行額と買入消却入札は、現状維持が望ましいとの意見が多かった。 ・こうした状況を踏まえて、P8にお示ししているとおり、1-3月期については、10-12月期と同様、発行額を4,000億円とし、偶数月の2月に200億円の買入消却入札を行うこととしてはどうかと考えている。 ・また、P9には、物価連動債の入札日程について、皆様から頂いたご意見をお示ししている。現状、物価連動債の入札は4月・8月・10月・2月に実施しており、間隔にばらつきがあるが、偏った需給バランスにならないよう、等間隔での発行を希望するご意見を多くいただいている。 ・物価連動債の市場育成は、国債管理政策上の重要な課題と考えており、そうした観点も踏まえ、1-3月期における発行額等、及び、入札日程を等間隔にするという方向性について、皆様の御意見を承りたい。 ○平成30年1-3月期における物価連動債の発行額等については、当局の提示案に対して問題ないとする意見が多数聞かれたほか、以下のような意見があった。 ・買入消却については、売却機会として重要であり、流動性の確保に資することから、現状維持を希望する。 ・当局の提案に異論はない。物価連動債の発行スケジュールに関しては、利付債全体の需給バランスに配慮した現行の発行月にも一定の合理性があるとは思うものの、物価連動債の需給バランスや安定消化という観点から見れば、等間隔にすることにも一理ある。 2. 平成30年1-3月期における流動性供給入札について〔参考配布:資料2〕 ○平成30年1-3月期における流動性供給入札について、理財局から以下のように説明を行った。 ・流動性供給入札については、P11のとおり、29年度発行計画では、年間10.8兆円を発行することとしつつ、「ゾーン毎の発行額等は、市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて柔軟に調整」することとされている。これを受け、本日の懇談会では、1-3月期におけるゾーン毎の発行額等を御議論いただくもの。 ・10-12月期においては、P12にお示ししたとおり、7-9月期と同様、残存1-5年ゾーンについては、11月に3,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、毎月5,500億円、残存15.5年超ゾーンについては、10月と12月に4,000億円の発行とした。 ・P14に、最近の流動性供給入札の結果を示している。12月分の入札は未実施だが、これまでのところ、各ゾーンにおいて、概ね安定した結果となっている。 ・こうした中で、1-3月期の流動性供給入札について、皆様から事前に御意見を伺ったところ、残存1-5年ゾーンや残存15.5年超ゾーンの増額を希望する意見もあったが、現状の発行額等を維持することが適当との意見が多かった。 ・こうした状況を踏まえて、P16にお示ししているとおり、1-3月期については、10-12月期と同様、残存1-5年ゾーンについては、1月と3月に3,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、毎月5,500億円、残存15.5年超ゾーンについては、2月に4,000億円の発行としてはどうかと考えている。 ・1-3月期における流動性供給入札のゾーン毎の発行額等については、本日の議論も踏まえて総合的に判断することとしており、改めて御意見を頂戴したい。 ○平成30年1-3月期における流動性供給入札については、当局の提案に異論はないとする意見が多数聞かれたほか、以下のような意見があった。 ・当局の提案に賛成する。当社の事情から言えば、投資妙味のある長期・超長期ゾーンの割合を高く配分してほしいとも思うが、同時に中短期ゾーンの需給が逼迫しているマーケットの状況も認識している。したがって、当局の判断において最適な配分とすることで問題ない。 ・当局の提案に異論はない。ただ、残存1-5年ゾーンを増額し、残存5-15.5年ゾーンを減額することも一案と考えられる。 ・決算期末にかけては、資産と負債のデュレーション・ギャップを埋めるため、超長期ゾーンの銘柄を買うことでデュレーションを延ばすというオペレーションが行われやすい。最近、30年債や40年債の金利が低下したのは、12月決算の投資家がそのような行動をとったためではないかと思われる。3月決算の投資家は数多く存在するため、超長期ゾーンに対するニーズが高まり、需給が逼迫することも十分に想定される。したがって、1-3月期においては残存15.5年超ゾーンに多く配分してほしい。 3. 平成30年度国債発行計画について〔参考配布:資料3〕 ○平成30年度国債発行計画について、理財局から以下のように説明を行った。 ・30年度国債発行計画について、現在の検討状況をお知らせする。 ・P18の左側に、「発行根拠法別発行額」、すなわち使途別の要調達額についての検討状況を示している。新規国債及び復興債は予算編成過程において、財投債は財政投融資計画の策定過程において、それぞれ発行規模が決定されることになるが、現時点において確たることを申し上げられる状況にない。 ・ただ、借換債については、これまで、本年8月の概算要求の数字を基に、復興債を除いて1.5兆円、復興借換債を含めれば1.8兆円の発行減が見込まれる旨説明してきたが、左下に注記したとおり、国債整理基金の年度末の残高調整のため、更に1兆円程度減少する見込み。この結果、国債発行総額については、一定の減額が見込まれる状況。 ・右側には消化方式別発行額の検討状況を示している。「個人向け販売分」・「日銀乗換」についてもまだ精査中であり、「市中発行額」については、その結果により若干の増減が発生するが、それに加え、前回の本懇談会で説明したとおり、来年度計画では、オーバーパー発行による収入の上振れも考慮した市中発行額の減額が必要と考えている。 ・P19及びP20には、先月の国債市場特別参加者会合及び本懇談会で頂戴した、カレンダーベース市中発行額の年限構成に関する意見を整理した。 ・超長期債については、国債市場特別参加者からは、30年債・40年債は、発行総額が減額されるのであれば減額が適当であるが、投資家層が広い20年債は、できれば発行額を維持してほしいという意見が多かった。一方、投資家の意見は分かれており、30年債・40年債も含め発行規模の維持を求める意見が多かったものの、減額は30年債・40年債を中心に行うべきという意見も見られたところ。 ・10年以下のゾーンについては、ある程度の減額が可能という点で概ね一致が見られ、特に5年債については、比較的多めの減額が可能という意見が多かったと認識。 ・また、流動性供給入札については、オフ・ザ・ラン銘柄の流動性低下等を踏まえ、発行総額が減少する中でも一定の増額が適当という意見で一致したところ。 ・今後、これらの意見を踏まえ、来年度国債発行計画の具体的内容を決定の上、例年どおり、来年度予算と併せて公表する予定。 ○平成30年度国債発行計画については、以下のような意見があった。 ・マイナス金利下において、最もニーズが乏しいのは5年債である。したがって、5年債については、他の年限と比べて多めに減額することができるのではないか。 ・残存10年以下のゾーンについては、減額が可能であると考えている。 ・マーケットの流動性が乏しくなってきている状況であるため、投資機会を分散させる効果もある流動性供給入札については、増額を希望する。 ・30年債については、減額しても問題ないが、40年債については、依然として市場育成の途上にあるため、発行額を維持することが望ましい。 ・30年債については、グローバルに見ても超長期ゾーンのベンチマークになっている国が多いので、減額は避けてほしい。 ・超長期ゾーンの発行減額については、できるだけ避けてほしい。 ・30年債と40年債の減額について、国債市場特別参加者と一部の投資家との間で意見が食い違っているが、短期的に見て国債の消化に問題がない現在の局面では、投資家の意見の方を重視すべきだと思っている。超長期ゾーンの投資家は、日本経済において金融面で重要な役割を担っており、長い目で見て市場に残す必要がある。国債管理政策において、低金利が望ましいのは当然だが、他方で、日本銀行の総括的検証においても明らかにされたとおり、過度な低金利及びイールドカーブのフラット化は景気によくないと指摘されている。当局としても、市場との対話に加え、日本銀行ともコミュニケーションを取りながら、日本経済全体を考えた国債管理政策に取り組んでほしい。 4.最近の国債市場の状況と今後の運用見通しについて ○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・来年度については、低金利、フラットニング、低ボラティリティ、及び、地政学リスク等の不確実性が共存する投資環境になると考えている。債券から安定的な収益を得ることが難しい状況は変わらず、タイミングを慎重に探りながら投資を行っていく1年になるだろう。 ・償還資金を再投資する際の利回りが低下していること、また、マイナス金利となっている中期ゾーンには再投資ができないことから、厳しい投資環境が続いている。来年度については、できることは限られているが、金利が上がるタイミングを上手く捉えて投資を行っていきたい。 ・日本国債については、中短期ゾーンの金利がマイナスのため、投資ができない状況が続いている。運用に当たっては、リスク分散で投信等に資金を振り向けながら収益を確保するという方針で行っている。 ・円金利の低下に伴い、ヘッジ付き外債等の海外資産への投資を増やしてきたが、このところ、外債の長短スプレッドが縮小してきている。 ・グローバルな傾向として、インフレ圧力が弱くなっており、イールドカーブがフラットニングしている。今後、米国の政権運営の動向や地政学リスクといった不安定要因があり、一時的にボラティリティが高まる局面もあるのではないかと想定している。 ・足元、グローバルに低金利と低ボラティリティが続いており、その背景には低インフレがある。このような環境下で、イールドカーブのフラット化が継続しているが、今後、どこかのタイミングでスティープ化するとみている。こうしたタイミングで債券に資金を振り向けていきたいと思っており、それまでは、デュレーション・リスクを取らずに、我慢しなければならないと考えている。 ・来年度の運用計画について議論しているところであるが、今後も、相場の状況を見ながら、国債残高をあまり増加させない程度に投資していくことを考えている。 ・一般に、保険会社は金利水準や経済のファンダメンタルズの動向に関わらず、決算期末に向けては、ALM上の観点から国債投資を増やす傾向がある。日本銀行の国債保有比率が40%を超える中、こうした動きにより、年度末にかけて、マーケット全体が動いてしまうことを懸念している。 ・来年度の運用計画について議論しているところであるが、投資方針を大きく変更するつもりはない。引き続き、金利リスクを低減させるため、負債に見合った形で、超長期ゾーンへの投資を行っていきたい。 ・日本国債の代替として、ヘッジ付き外債の残高を増やしてきたが、足元ではドルのヘッジコストが上昇しており、ヘッジ付き外債の投資妙味が落ちてきている一方、相対的に日本国債の投資妙味が増してきている。ただし、日本国債の金利水準は物足りず、また、急に日本国債への投資を増やすとイールドカーブに強いフラットニング圧力がかかるため、金利水準も見ながら、注意深く投資を行っていきたい。 ・来年度の運用計画を策定中であるが、引き続き、ALM目的で一定程度円債を購入していくニーズはあり、ヘッジ付き外債にも投資を行っていきたい。 ・グローバルに低ボラティリティやイールドカーブのフラット化が長期化する可能性がある。引き続き、ヘッジ付き外債や、相対的に投資妙味がある20年債を中心に日本国債にも投資していきたい。 ・グローバル全体で見て、経済の見通しは堅調であるが、社債やハイイールド債等のリスク資産の価格には既にこの要素が織り込まれているとの印象を受ける。このような中、ポートフォリオの運用方針としては、マーケットの変動によって生じる次の投資機会に十分なリスクが取れるよう、足元では柔軟性と流動性を確保しておきたいと考えている。 ・日本国債については、流動性が低下していること、ボラティリティが非常に小さいことから、抑制的に運用している。来年についても、低ボラティリティの環境は変わらず、流動性の低下も更に進むと考えているため、引き続き、抑制的に運用していきたい。 ・イールドカーブ・コントロール政策の下、我が国の長期金利は低ボラティリティの中で安定的に推移するとみている。グローバルな景況感が改善していることを踏まえると、金利レンジの下限が切り上がっている可能性があり、今後、長期金利がマイナスになるようなシナリオは想定していない。 ・過去の景気拡大局面と違い、足元では世界的に労働分配率が低下傾向にある。こうした労働分配率の低下が、我が国や他国の金融政策及び金利の動向に影響を与えている可能性があり、その動向についてよくみていく必要がある。 |
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