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国債投資家懇談会(第59回)議事要旨

日時 平成27年3月19日(木)13:30〜15:00
 
場所 財務省 第3特別会議室
 
内容
 

1. リオープン方式等について〔参考配布:資料1(PDF:259KB)

○リオープン方式等について、理財局から以下のように説明を行った。

・10年債のリオープン方式については、これまで本懇談会及び国債市場特別参加者会合で四半期ごとに議論しており、平成26年1月以降は、新発債の表面利率と入札日の市場実勢利回りの乖離がおおむね20bps以内である場合にはリオープン発行としてきている。この方式の下、平成26年12月に発行した336回債はシングル・イシュー、平成27年1月・2月に発行した337回債はダブル・イシューでの発行となった。

・ここで10年債の各銘柄の市中残高をみると、大規模な日銀買入が継続する中、資料1のP3のとおり、1銘柄当たりの市中残高が著しく減少している。特にシングル・イシューとなった銘柄の中には市中残高が1兆円を切るものも出てきており、こうした銘柄が将来チーペスト銘柄になった場合における先物市場への影響等も懸念される状況となっている。

・こうした中で今回、事前に意見を伺ったところでは、1銘柄当たりの市中残高を確保する観点から、原則リオープン発行を望む意見がこれまで以上に多く聞かれた。一方で、投資家の簿価分散ニーズ等に配慮した現行方式が望ましいとの意見に加え、1銘柄当たりの発行額ができるだけ大きくなるようにすることは適当であるが、金利が大きく変動する場合には、国債の安定消化の観点から、新発債として発行して投資家の需要を喚起することが望ましいとの意見も聞かれた。

・これらの意見を踏まえ、10年債については資料1のP1のとおり、金利が上下に大きく変動する場合以外はリオープン発行とすることとしたい。具体的には、市場実勢利回りと表面利率の乖離が30bpsを超える場合には新発債の発行とすることを考えている。この30bpsという乖離幅は、資料1のP4に示しているとおり、VaRショックや平成18年の量的緩和解除といった大きなイベントが過去発生した時に観測された金利変動幅を参考としており、これらに相当するような金利変動が発生したときを除けば基本的にリオープン発行となるというイメージである。

・また、今回はこの方式を、平成27年度を通じた発行方式とし、四半期ごとに議論することはしないこととしたい。ただし、市場環境に大きく変化が生じた場合等に見直すことはあり得る。

・次に、20年債及び30年債のリオープン方式については、資料1のP1及びP2のとおり、現状維持の年間4銘柄とする案を提案している。事前に意見を伺ったところでは、大多数がこの提案を支持する結果となった。

・40年債については、資料1のP2のとおり、今年度と同じ年間1銘柄とし、利回りダッチ方式の入札とする案を提示した。事前に意見を伺ったところでは、これらの提案を支持する意見が大勢であった。

・最後に物価連動債について、資料1のP5は入札の状況、資料1のP6は発行再開後の各銘柄のBEI(ブレーク・イーブン・インフレ率)の推移を示している。オフ・ザ・ラン銘柄である17・18回債に比べてカレント銘柄である19回債のBEIが高く推移していることが示されている。

・以上の状況を踏まえ、平成27年度における物価連動債のリオープン方式については、資料1のP2のとおり、新日銀ネットの第2段階開発分が候補日どおりに稼動開始することを前提に、年間1銘柄とすることを提案する。事前に意見を伺ったところでは、BEIの指標性を確保する等の観点から現行の年間2銘柄を支持する意見も聞かれたものの、カレント銘柄の発行量を増やして流動性の向上を図る観点から年間1銘柄を希望する意見が多かった。

・また、物価連動債の入札方式は価格ダッチ方式を継続し、5月の発行額は5,000億円とする案を提示している。事前に意見を伺ったところでは、これらが適当とする意見が多数であった。

・以上の諸提案については、本日いただいた意見も勘案して総合的に判断していきたいと考えており、改めて意見をいただきたい。

・なお、前回の懇談会でもお伝えしたとおり、4月以降、すべての国債及び国庫短期証券の入札において、各入札参加者による応募の限度額が発行予定額の2分の1に引き下げられるとともに、国債市場特別参加者の応札責任が発行予定額の4%以上となるので、協力願いたい。

○リオープン方式等については、提示案に対して問題ないとする意見が多数見られたほか、10年債のリオープン方式について以下のような意見があった。

・簿価分散ニーズ等から現行方式を希望していたが、投資家のニーズを勘案するとともに流動性にも配慮して、乖離幅を20bpsから30bpsに拡大した当局の提案を高く評価する。

・現行方式を希望していたが、流動性が大きく低下している現状にあっては、乖離幅を拡大して原則リオープン方式に近づけていくことに賛成する。

・当局の提案に大きな異論はない。ただし、将来の金利上昇局面において国債の安定消化を確保する観点からは、市場実勢利回りと表面利率が大きく乖離した結果、保有簿価との乖離が大きくなりすぎると、投資家がそのような国債を購入しづらくなる点には配慮してほしい。

・当局の提案に異論はない。もっとも、市場実勢利回りと表面利率が大きく乖離した際に、そのような国債の購入を望まない投資家が代わりに政府保証債や地方債を購入し、それらの市場に影響を与えているケースがある。こうした観点からは、市場実勢利回りと表面利率の乖離幅はある程度小さい方が望ましいと考えており、今後、市場環境が大きく変化した場合には、柔軟に対応してほしい。
           
・本来は原則リオープン方式が望ましいと考えている。乖離幅を30bpsまで広げるのであれば、原則リオープン方式としてもよいのではないか。

・当社は簿価分散ニーズから、現行方式が望ましいと考えている。当局の提案する方式を採用するのであれば、将来的に金融政策が変更された時には、改めて望ましい発行方式について議論することとしてほしい。

2. 平成27年4-6月期における流動性供給入札及び買入消却入札について〔参考配布:資料2(PDF:355KB)

(1) 平成27年4-6月期における流動性供給入札について
○平成27年4-6月期における流動性供給入札について、理財局から以下のように説明を行った。

・資料2のP1及びP2は最近の応札状況を示しているが、残存5-15.5年ゾーンの応札倍率が相対的に高い状況が続いている。資料2のP3では、1-3月期の入札における残存期間別発行額を示している。

・事前に意見を伺ったところでも、残存5-15.5年ゾーンへの配分を増額することが適当であるとの意見が多かったところであり、これらを踏まえ、4-6月期における配分は、資料2のP4のとおり、残存5-15.5年ゾーンを月5,000億円、残存15.5-39年ゾーンを月3,000億円とすることを提案する。なお、流動性供給入札の対象銘柄は、これまで同様、カレント銘柄以外の全ての銘柄とする方針である。

・次に、流動性供給入札の対象ゾーンについて説明する。

・残存5年以下の一部の銘柄の流動性が低下していることから、流動性供給入札の対象ゾーンを残存5年以下に拡大してほしいとの要望が多く聞かれるようになっている。

・当局としては、国債流通市場の流動性確保については、まずは流動性提供が責務とされている国債市場特別参加者による対応を期待する一方、発行当局による流動性供給入札の役割は補完的なものと位置付けている。また、平均償還年限の長期化を目指す国債管理政策との整合性を確保する必要等もあり、対象ゾーンの拡大については、国債市場の機能維持という観点を勘案しつつ、その必要性を慎重に見極めることが適当であると考えている。

・以上を踏まえつつ、本件について事前に意見を伺ったところ、具体的な事例とともに、残存5年以下の銘柄の流動性が低下しているとの意見が多く聞かれた。一方で、3月に入って従来需給が著しく逼迫していた銘柄が売却され始めており、4月以降こうした動きが加速する可能性があるとの指摘もあった。また、対象ゾーンの拡大を希望する意見が多く聞かれた一方で、既存の残存5年超のゾーンの減額を望まないなどの観点からゾーンの拡大に慎重な意見も相応に聞かれ、現時点で意見の収斂は必ずしも見られなかった。

・流動性供給入札の具体的な実施方法は、本懇談会及び国債市場特別参加者会合において四半期ごとに議論することとしているところ、流動性供給入札の対象ゾーンの在り方についても、今後の市場の状況を注視しつつ、引き続き議論、検討することとしたい。

○平成27年4-6月期における流動性供給入札については、提示案に対して問題ないとする意見が多数見られたほか、以下のような意見があった。

・超長期ゾーンは、特に残存28、29年近辺のオフ・ザ・ラン銘柄を中心に流動性が大きく低下しており、証券会社がオファーを出せない状況。こうした観点から残存15.5-39年ゾーンの増額を希望するものの、より年限の短いゾーンの需給が逼迫していることも認識しているため、当局の提案に反対はしない。

・超長期ゾーンの流動性が低下する中、残存15.5-39年ゾーンの増額を希望してきた。もっとも4月以降、30年債及び40年債の発行額が増額される中、新発債の安定消化を優先するとの考え方も理解できるため、当局の提案でもやむを得ない。新発債が安定的に消化されるようになれば、金額配分を見直してほしい。
              
・流動性供給入札は補完的なものであるとの位置付けは認識しているが、異例とも言える金融政策が継続している中、市場の状況に応じた流動性の提供は、市場の安定に資すると考えており、今後とも市場参加者の意見を聴取してほしい。残存5年以下のゾーンを流動性供給入札の対象とすれば、市場の安定に資するのではないか。
 
・期末要因もあってか、残存5年以下の一部の銘柄では需給が極めて逼迫している状況。この状況が4月以降も続くのであれば、何らかの対応を検討した方がよいのではないか。

・残存5-6年及び残存10年近辺の銘柄を日本銀行が多く保有しているため、残存期間の短い方のゾーンの区切りを残存5-10年としてもよいのではないか。

(2)平成27年4-6月期における買入消却入札について
○平成27年4-6月期における買入消却入札について、理財局から以下のように説明を行った。

・足元の物価連動債の買入消却入札の結果は資料2のP5のとおりである。2月の入札では、100億円のオファーに対して48億円の応募しかなかった。3月の入札では、196億円の応募があったものの、買入最大価格格差はゼロ円となり、売却ニーズは著しく減退しているものと見られる。

・資料2のP6は、物価連動債の市中残高を示している。買入対象である第4回債から第16回債までの日本銀行保有分を除いた市中残高は、約1.1兆円まで減少している。

・こうした状況を踏まえ、資料2のP7のとおり、4月以降は物価連動債の買入消却入札を実施しないこととしたい。この点について事前に意見を伺ったところ、買入規模を縮小しつつ継続を希望する意見も一部聞かれたものの、入札動向等に照らし、4月以降は実施しないことで問題ないとする意見が多数であった。

・次に、足元の15年変動利付債の買入消却入札の結果は資料2のP8のとおりであり、昨年12月以降、買入最大価格格差及び買入平均価格格差はプラス圏で推移している。

・また、資料2のP9に示されているとおり、15年変動利付債の全銘柄平均の市場価格は、リーマン・ショック以前の水準に戻っており、今年度は1回の入札当たりの買入額を3度にわたって100億円ずつ減額したにも関わらず、その後も下落することなく推移している。なお、多くの銘柄について市場価格が理論価格を上回る状況である。

・資料2のP10は、これまで示した残高推計を更新したものである。これまで同様、15年変動利付債の残高は、6月からの償還の開始に伴って逓減する見通しとなっており、平成27年度においては1兆円を超える償還が予定されている。

・資料2のP11は、15年変動利付債の前年度末の市中残高に対する買入額の割合を示している。平成26年度の買入額の割合は7.13%と、金融危機対応時の割合と比較しても2倍以上の水準となっている。

・以上に鑑みれば、15年変動利付債の買入消却入札を現状規模で継続することは困難であり、前回の懇談会においても示したように、買入消却入札は平成27年度も縮小していく方針であることを改めて理解いただきたい。一方で、市場や価格に不測の影響を与えることを避ける必要は当局としても理解しており、減額幅や入札回数については、市場参加者との対話を十分に行った上で適切に判断していく方針である。

・4-6月期の15年変動利付債の買入消却入札については、事前に意見を伺ったところ、現状維持を望む意見も聞かれたものの、買入額を段階的に減額することは問題ないとの意見が多数であった。また、一部からは、多くの銘柄で市場価格が理論価格を1円近く上回る中、市場価格よりも更に高い価格で当局が買入れを行うことは合理的でなく、一刻も早く買入消却入札を終了すべきであるとの意見も聞かれた。

・そこで、4-6月期の15年変動利付債の買入消却入札については、資料2のP12のとおり、買入頻度は現状維持とした上で、1回の入札当たりの買入額を800億円に減額することとしたい。その上で7月以降については、入札結果や市場環境等を踏まえつつ、買入規模や入札回数を更に縮小していく方向で進めていきたい。

・以上について、本日いただいた意見も勘案して総合的に判断していきたいと考えており、改めてご意見を頂戴したい。

○物価連動債の買入消却入札については、提示案に対して問題ないとする意見が多数見られたほか、以下のような意見があった。

・全体として買入消却入札を縮小する方向性には賛成するが、3月の入札では応募倍率が約1.9倍となっており、投資家の売却ニーズは残っているものと思う。買入額を減額した上で継続し、その後の状況を踏まえて廃止を検討してもよいのではないか。

○15年変動利付債の買入消却入札については、提示案に対して問題ないとする意見が多数見られたほか、以下のような意見があった。

・理論価格と買入価格が乖離している状況を修正する必要があり、当局の提案のとおり縮小していくことが望ましい。              

・当社には15年変動利付債の売却ニーズはあるものの、市場の状況等を踏まえ、当局の提案に異論はない。当社は、理論価格を用いて15年変動利付債を評価しており、理論価格と大きく乖離する価格では売却できないため、買入消却入札における買入価格と理論価格が乖離している場合には、当該入札で売却することができない。

・当社は15年変動利付債をインデックスとするファンドを運用していることから、潜在的には流動性がある方が望ましい。もっとも、市場価格が理論価格を上回っていることを踏まえると、買入額を徐々に減額していく方向性に異論はない。

・15年変動利付債の市中残高は今後減少するとはいえ、未だ26兆円近くあること、当面はクーポンの上昇も期待できない中、一部投資家の売却ニーズは依然としてあると思われることから、できれば現状維持としてほしい。

3. 最近の国債市場の状況と今後の運用見通しについて〔参考配布:参考資料(PDF:879KB)

○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・米国では利上げが視野に入る一方、日欧では金融緩和が継続しており、こうした各国の状況が国境を超えてそれぞれの国債市場に大きな影響を与えている。欧州金利の低下が進む中、欧州から日本への資金流入が円金利に影響する可能性もあり、来年度もこうした各国の状況や資金の流れを注視していく必要があると考えている。
 米国においてテーパリングがうまく進展した要因として、1つは財政が改善方向にあること、もう1つは日欧において金融緩和が継続していることが挙げられる。このことを踏まえれば、米国でテーパリングがうまく進展したからといって日欧の場合も同じとは限らず、留意が必要。

・引き続き日本国債中心の運用を行う中、各国中央銀行の政策及び地政学リスクを注視している。円金利は当面上昇しないと考えているものの、日本銀行の出口戦略については頭の片隅に置いておく必要がある。来年度以降は日本国債の運用の収益低下が見込まれる中、投資対象の多様化により収益確保を図りたいが、資金調達の問題もあって対外証券投資を一気に増やすことは難しい。

・1月末からの金利やボラティリティの上昇は、国債市場の機能低下・流動性低下を反映しており、日本国債は現状、リターンに比してリスクが高い印象を持っている。何かをきっかけに金利やボラティリティが上昇する事態は今後これまで以上に起こるものと考えているが、リターンとリスクを勘案した慎重な運用を行い、国債投資の残高は維持していきたい。

・金利が低下する中、資金の一部をETFやREIT、米債等にシフトしている。日本国債の金利低下が続き、投資対象とすることが難しくなると、金利上昇のきっかけとなり得るものと思う。今後も日本国債が投資の中心となるが、貸出とのバランスを含め、資産をどう管理していくかが課題。
 
・国債市場の流動性が低下する中、売りが売りを呼び、買いが買いを呼ぶ不安定な市場となっている。市場機能が低下する中、中央銀行の適正なバランス・シートの大きさについても、今の金融緩和が続いているうちに議論する必要があるのではないか。

・「量的・質的金融緩和」はいつまでも続けられるものではないと考えているところ、米国のように、経済が好転する中で金融緩和の出口に向かうことができるか否かがポイント。
 また、欧州の急速な金利低下に伴って日本国債の相対的な魅力が増している。このことは足元ではよいが、高齢化の進展に伴って民間部門の余剰資金が減少していくことが見込まれる中、潜在的なリスクをため込んでいるとも言える。

・昨日のFOMC声明文を踏まえると、米国の金利上昇のタイミングが少し遅くなる可能性も出てきているものと思う。日本の金融緩和も今後とも継続すると考えられることを踏まえれば、金利上昇は起こりにくいと考えており、投資家としては抑制的なスタンスで臨む必要があると考えている。

・先日の20年債入札以降、再び金利が低下しており、来年度の運用を不安視している。金利水準が購入ターゲットに入ってくればしっかり買うというスタンスで臨む所存。
 日本銀行による巨額の国債買入が継続する中、証券会社から必要な量を必要な時に買うことができない状況となっており、証券会社のマーケット・メイク能力が低下していることを懸念している。

・1月から2月にかけてのボラティリティ上昇は、日銀買入を背景に金利が投資家の求める水準を下回る中、金利が上昇しても買い手が現れず、市場参加者のリスク許容度が低下したこと等が要因。国内投資家は今回、一定の経験を積んだものと思うが、今後欧州マネーの流入がボラティリティを増幅しないか懸念している。
 財政規律に関連して、財政健全化目標を巡る議論に注目している。日本はGDPの2倍を超える債務を抱えており、他の要因が一定であれば、GDPが金利上昇の2倍以上のペースで拡大しないと債務残高対GDP比が拡大することとなるが、この達成は非常に困難。債務残高対GDP比の削減が達成できないと市場が見た場合や、急激な円安に伴う金利上昇などによって成長率と金利が逆転した場合の反応が懸念される。
 将来の人口減少を考えると、一人当たりの債務が累増することは明白であり、これにより潜在成長率が押し下げられる可能性もある。歳入・歳出の見直しを先送りせず着実に進めることが必要。             

・大量の日銀買入によって名目金利が抑えられつつインフレ率が上向いてきた現状を考えると、財政規律が緩むことを懸念している。
 将来金利が上昇すれば、付利金利の引上げにより日本銀行、ひいては国民の負担は大きくなる。政府と日本銀行をセットで考えれば、こうしたリスクを踏まえ、きちんと財政健全化に取り組む必要がある。

・財政健全化に加えて、国債の平均償還年限の長期化によってリスクを低下させることも重要。
 証券会社のマーケット・メイク能力低下の背景には、国際的に資本規制が強化される中、流動性低下によって収益を上げづらくなっている日本国債部門に対して資本やスタッフの配分が薄くなっている面があるのではないか。この結果、日本国債のボラティリティが上昇すると、投資家としては他の投資対象も検討せざるを得なくなる。
 欧州金利が低下する中、ヘッジ・コストの上昇により米債もそこまで魅力のある投資対象ではなくなってきている。逆に言えば、ドルを円に換えて日本国債に投資した時のスプレッドが高まっている状況。日本国債の信用リスクが高まっているわけではないにも関わらず、こうした日本国債のスプレッドの高まりを反映して日本国債のCDSのスプレッドも上昇するといった事態も生じてきており、誤解を生まないよう注意が必要。

・世界的に緩和的な金融環境が続く中、先進国の金利は投資家からみて適正な水準にはなかなか上がっていかないと見ている。そうした歪みはボラティリティ上昇につながるが、基本的には金利ではなく為替で調整されると考えている。各資産の相対的な価値を踏まえながら運用を行っている状況。

・世界的な金融緩和、原油価格の下落は、各国が構造的な課題に対処するためのある種の「余裕」のようなものを作り出している。こうした観点からは、原油価格が再び上昇することで、新興国が引締めに転じざるを得なくなるといった形で、世界経済に影響が出てくる可能性が考えられる。
 日本としても、今のうちに成長戦略を進め、少子高齢化への対処を進めておかなければ、将来のテーパリングや世代間格差の問題に対処する力が低下し、ひいては財政の発散につながるおそれがある。

・金利が投資対象として誰にとっても魅力のないところまで低下し、その後上昇したという動きを見れば、日本国債はバブルの領域に入っていると言えよう。こうした動きを生んだのは中央銀行であり、その政策が続く限り、金利は低位で推移を続けるものと思う。
 当社はイールド・カーブの形状が一定期間変わらない前提で投資対象を分析しているところ、ボラティリティが上昇するとこの前提が崩れてしまうことから、大きく投資することが難しくなる。
 証券会社がヘッジをしづらくなっていることもボラティリティ上昇の一因ではないか。証券会社からすると、市場の流動性が低下し、最大の国債保有者である中央銀行が国債の補完的な供給しか行わない中、ある銘柄を買った時に他の銘柄でヘッジすることが難しい。そのため保有する国債を売却しようとすれば、利回りが投資家の求める水準に届かない結果、自然とボラティリティが上昇してしまう。

・今年の投資のテーマは中央銀行の金融政策と原油価格の下落。金利は低位で推移すると考えられる中、デュレーションよりもスプレッドを重視した投資を行っていく。欧州金利が低下する中、ドルを円に換えて日本国債に投資することの魅力が高まっており、日本国債に関しては金利が上がれば淡々と買っていくというスタンス。
 リスクとしては、ボラティリティの上昇に加え、証券会社のバランス・シート縮小によって、買いたいときに買えない、売りたいときに売れないリスクが挙げられる。とはいえ短期的に見れば、運用という観点からは、むしろ金利低下の方がリスクではないかとも思っている。

・長い目でみれば国債金利は成長率を上回るというのが普遍的な命題。もっとも、内閣府の試算では、長期金利は長期的に成長率を上回る水準に戻っていくというシナリオの下にあっても、プライマリー・バランスの赤字が続いても債務残高対GDP比が逓減していく見通しとなっている。こうした点を踏まえて、プライマリー・バランス黒字化は不要と主張する向きがあるが、これは誤解である。より先の将来を試算の対象に含めれば、債務残高対GDP比は上昇していくこととなる。
 また、金融緩和の出口においては償還期間の長い債券の発行が難しくなることを踏まえれば、平均償還年限の長期化は段階的に進めていくことが適当ではないか。

 

 

 

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問い合わせ先

財務省 理財局 国債業務課 矢原・高橋
電話 代表 03-3581-4111 内線 5701

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