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「地震保険制度に関するプロジェクトチーム」フォローアップ会合第8回 議事要旨

1.日時 平成27年6月3日(金)13:00〜15:00
2.場所 財務省第1会議室(本庁舎4階)
3.出席者
(メンバー)
 佐藤主光(座長)、市川眞一、大谷孝一、纐纈一起、清水香、高梨晃一、丹野美絵子、畠中誠二郎、堀田一吉(敬称略)
(オブザーバー)
 日本損害保険協会、外国損害保険協会、日本地震再保険(株)、損害保険料率算出機構、金融庁
(事務局)
 迫田総括審議官、馬場信用機構課長兼政策金融課
4.議事内容
 ○損害保険料率算出機構、日本損害保険協会より報告ののち、議論。
5.議論経過

 ○第7回会合における質問に対する日本損害保険協会の説明のポイントは以下のとおり。

・建物全体の損害割合が主要構造部の損害割合の1.5〜1.6倍であるという点について過去の経緯を調べたので説明する。
 この考え方は主要構造部に着目して損害査定をするという現行の方式が導入された昭和55年に整理されていた。
 主要構造部の損害割合が50%以上の場合を全損とすることについて、建物の主要構造部が50%も損害を受けたときには、そのほかの部分にも相当な損害が出ているのが実情であり、そのような場合には建物全体で見ると80%以上の損害が出ていると考えられると、当時の大蔵委員会の議事録に記録されており、そうした制度設計の考え方が示されている。
 また、損害保険業界が過去に実施したある一定の仮定を置いた試算では、建物の損害割合は主要構造部の損害割合の1.5〜1.6倍になるという記録も残っている。かなり昔のことであり詳細な記録は残っていないが、このような考え方をベースに主要構造部の損害割合が設定された経緯がある。

・保険金支払割合毎の保険金支払いの分布は、発生する地震によって異なるため、一概にはわからない。保険料率への影響試算においては、半損の中で損害が一様分布していると仮定して算出しているが、4区分案の案マル3の保険料率への影響はマイナスという結果が示されており、全体としては保険金支払額が減少する結果となっている。

 ○損害保険料率算出機構からの説明のポイントは以下のとおり。
 (資料1:震源モデルの更新などによる保険料率への影響)

・平成26年12月に文部科学省地震本部から公表された確率論的地震動予測地図の影響を主な要因として保険料に不足が生じている。
 地震本部では、震源モデルの種類を3つの区分に分けているが、保険料の43%の不足のうち38%がカテゴリーローマ数字2の海溝型地震のうちの震源断層を特定しにくい地震を原因としている。これは新たな震源モデルにおいて、カテゴリーローマ数字2の地震の規模、最大マグニチュードが引き上げられたことが主な要因である。
 また、カテゴリーローマ数字2の地震の震源領域が日本全国に広がっていることから、保険料率への影響も、地域差はあるものの日本全国に及ぶ結果となっている。
・損害区分の見直しパターン別の全国平均での保険料率への影響については、現行の損害区分3区分の場合には28%の保険料の引き上げが必要となるのに対して、損害区分を4区分案の案マル3にした場合には19%の引き上げが必要となる。

 ○日本損害保険協会からの説明のポイントは以下のとおり。
 (資料2:損害区分細分化(イメージ))

・損害区分の4区分案において、保険金支払割合を小半損の場合に30%、大半損の場合に60%と設定した考え方を説明する。
 まず、保険金支払割合を一部損の保険金支払割合5%、全損の保険金支払割合100%の間を均等に3等分した場合には、大半損の切れ目が68.3%、小半損の切れ目が36.7%という数値になる。その上で、議論の出発点が一部損と半損の保険金支払割合の格差が指摘されていることから、一部損と半損の保険金支払割合の格差を縮小させる観点から小半損の保険金支払割合を30%とし、大半損の保険金支払割合も同様に60%にした。
 次に、建物の主要構造部が50%の損害を受ける場合には、建物全体では80%以上の損害を生じていると考えられるといった国会議事録の答弁や、損害保険業界が過去に一定の基準のもとで試算した結果では、建物全体の損害割合は主要構造部の損害割合の1.5〜1.6倍になるという前提と照らし合わせた。
 また、家財の半損の損害割合は30%から80%となっているが、これもただ今説明した考え方と整合性がとられており、半損の主要構造部の損害割合(20%以上50%未満)から推計される建物全体の損害割合(30%から80%)と同様に割合が設定されている。
 これらを踏まえると、4区分案の案マル3では、建物の主要構造部の損害割合が20%以上40%未満、すなわち建物全体の損害割合が30%以上60%未満の場合の保険金支払割合を30%に、建物主要構造部の損害割合が40%以上50%未満、すなわち建物全体の損害割合が60%以上80%の場合の保険金支払割合を60%にしており、保険金支払割合が、より実際の損害状況に応じたものとなっている。

 ○メンバー等からの主な意見は以下のとおり。

・4区分案の案マル3が一番保険料率の引上幅が抑制されるということであり、また、損害の実態から見ても案マル3が適当ではないか。ただし、契約者にどのように説明するかというのは気になるところである。
・損害区分を細分化すれば、加入者の間での不公平感が高まるのではないかという懸念もあった。保険金支払割合が50%から60%に上がる面もあるが、逆に50%が30%に下がるという面もあるため、その点を加入者にどのように説明するか。
・今後検討を進めていくが、これまでの議論の経緯や、半損の中でも損害が大きい層の保険金支払いを手厚くしていくこと、一部損と半損の保険金支払割合の格差が縮小するということを説明することが考えられるのではないか。
 さらに、今回の震源モデルの見直しにより大幅な保険料率の引上げが必要になる中で、可能な限り手の届きやすい保険料率にするということも考えて、総合的に議論した結果、このような形になったと説明することになるのではないか。

・損害区分を細分化することで(保険金の支払いが)なだらかになり、公平性が高まるということもあるのではないか。あわせて、保険料率を引き上げる必要がある中で、できる限り引上幅を抑える形で着地できるのであれば、損害区分の細分化を実施することもあり得るのではないか。すなわち、国民が制度を信頼して安心して地震保険に加入していただくためにこのようなこともあり得るのではないか。
 損害区分を4区分にすることで損害査定の迅速性が損なわれるのではないかという点についても、損害保険業界より、損害査定の簡素化により対応できるとの説明があった。
 地震保険制度に関する認知度はまだまだ低いものがある。損害区分の細分化により、地震保険制度がよくなったということで多くの方に制度を支えてもらう流れを作ることが大事ではないか。あわせて、損害保険業界においては、リスクコンサルティングができるような体制を整えることや、損害調査に関しても尽力をお願いしたい。
・現行の損害区分に対する不満はかなりあるが、顕在化していないだけではないか。損害区分の細分化により保険金支払割合が50%から60%に上がる場合もあり、保険金支払割合が下がることばかりを強調する必要はないのではないか。例えば、半損の中でも損害割合が大きい場合に保険金支払割合が高くなることを説明すれば、納得されるのではないか。

・損害区分を細分化することには懸念はあったが、損害保険業界より、努力すれば適正に対応できるという説明があったので、残る課題は強靱性や加入のしやすさという部分ではないか。保険料が上がることは、消費者にとっては地震保険に加入する際の大きなハードルになるので、損害区分の細分化により保険料の引上幅を抑える方向へ大きく寄与するのであれば、実施することで良い。地震保険料率への影響という点では、損害区分の細分化は非常に大きく貢献するものだと評価をしたい。
 ただし、今回4区分に細分化することには賛成したいが、今後の方向性として、公平性を担保するためにさらに区分が増えていくのは、地震保険制度の目的からは適切ではない。
・地震保険制度の持続可能性の確保が最優先であり、4区分案の案マル3に賛成する。ただし、4区分案を採用することによって地震保険料率が下がるということは、半損の被災者のほとんどが被害実態よりも少ない保険金しか受け取れないということで実現しているという点は念頭に置いて考えておく必要はあるのではないか。
・損害区分の細分化により、損害割合の中央のところをさらにマイルドな形に段階をつけることにより、損害割合が20%から40%の場合には保険金支払割合は30%となり現行よりも下がるが、逆に損害割合が40%から50%の場合には保険金支払割合が60%となり、現行よりも上がることになり、加入者にとってメリットを感じる方がある程度いれば理解を得られるのではないか。
・全体として言えるのは、一部損から半損に至るところに関しては、今は保険金支払割合が現在は5%と50%にところを5%から30%になるため、保険金支払割合の格差は抑えられる。他方で、保険金支払割合が50%から60%に上がる部分もあり、半損の中でも本当に大変な契約者の補償を手厚くする効果がある。この点は商品性にかかわる部分だと思う。
 また、損害区分の細分化により、今回の地震保険料率の改定による引上幅を抑える方向にも作用するという点においては、地震保険制度の頑健性や強靱性の担保にもつながるほか、地震保険に加入しやすい環境の維持にもつながる。保険金支払割合が30%のところばかり見ると誤解が生じるのではないか。
 全体としては、最終的には地震保険料率への影響の点が一番大きかったと思うが、4区分の案マル3が望ましいという方向で会合としての意見を集約できる。

・震源モデル等の更新による地震保険料率への影響がプラス43%とあるが、震源モデルがどのように変更されたのか。
・保険料に43%の不足が発生している中の主な理由はカテゴリーローマ数字2の地震という海溝型地震のうちで震源断層を特定しにくい地震(「地震の発生位置・規模・発生間隔などが明らかでないため、震源の特徴を領域ごとに評価した地震」)の地震の規模、最大のマグニチュードを既往の最大のものから、地震本部において想定している最大のものに上げた結果、地震の規模が大きくなり支払保険金の増加をもたらしている。
・想定外の地震があるということが今後も続くと考えて、カテゴリーローマ数字2の震源を特定できない地震の最大マグニチュードと発生確率を上げた。

・確率に大きく依存して地震保険料率を決めるという前提には不確定な要素があるのではないか。仮に確定的な確率が成り立つものであれば、そもそも地震保険自体が国の信用力を利用した体系にはなっていないはずである。一つの参考としては震源モデルがあると思うが、それだけではない部分を相当考えておかないと、正しいことをやっているように見えて、実は間違っていることをやっていることになる可能性があるのではないか。

・必要な保険料を確保しておかないと収入に不足が生じて累積していくという説明があったが、これは財源を確保するという意味合いを含んでいるのか。リスクに応じた保険料を徴収するという考え方は理解するが収入が不足するというのはどのような意味なのか。
・1年当たりに支払いが必要と見込まれる金額を予測している。地震保険料率を算出する場合には、全ての地震の再現期間を用いて、例えば500年に1回であれば500分の1という形で計算し長期の収支均衡をとる形になっている。したがって、財源があるかどうかという問題ではなく、現在そのようなスキームで収入される保険料と、そのスキームで支出が見込まれるものを対比させるという意味での必要保険料ということである。
・500年という単位で収支を考えるということは、我々の生きる人生の10倍も先のことまで想定して、それを不足分として換算するというのは現実離れしているのではないか。
・地震保険は超長期の収支相償を前提にしており、必要保険料は保険金の期待値になるため、毎年発生するだろう地震の支払保険金の期待値ということになる。
・リスクに見合った期待値としてのコストを支払うということは、地震保険以外の保険でもそのような考え方に立っているのではないか。例えば、自然災害では30年で基本的に収支が合う形になっているが、地震保険はより超長期の単位を持ち込むことが荒唐無稽のような部分があり、国家的な財源を備蓄していくという性格になっていくのではないか。
・長期的な収支相償の考え方から外れてしまうと、国の隠れ債務になるため、その考え方を変えることは難しい。したがって、各年に起こり得る損害に確率を掛けて、毎年単年度会計の中でやっていくという考え方を建前とすることは理解できる。
 あまり個別の地震保険料率について、確率に重きを置き過ぎると、これから加入する者や既に加入している者が違う印象を受けてしまう形になるのではないか。

・確率を外すと算出する根拠がなくなってしまうのではないか。
・地震保険料率は、一時的な財政事情において上げたり下げたりということはするべきではなく、基本的には確率に基づく期待値によって設定すべきである。
・地震はどこで起こるかわからないため、平成26年7月の料率改定時に、等地区分を4つから3つに統合した。また、可能な限りの科学的な知見を全て使って、確率計算による地震保険料率にしている。
・理論的に算出される保険料率に対して、現在の料率が低い段階にあるため、理論値に合わせるという考え方はよいと思うが、収入を確保して全体として財源を保つには相当な長い間が必要であるので、収入不足という概念は合わないのではないか。

・理論的な保険料率に段階を踏んで近づけるという考え方はよいが、全体としての収支を合わせるためであるということを組み入れた仕組みにはなっていないのではないか。
・1年間の期待値に対する収入不足という使い方をしている。
・消費者の優先度としては、不公平でないこと、複雑でないこと、なるべく将来に負担が回らないことの3点が大事であり、保険料はなるべく抑制してほしいということである。
・保険料率を細かい段階で引き上げる場合には引上げが目立たないが、毎年少しずつ上がっていくのは、消費者にとっては受け入れがたいのではないか。
・現行の保険料をどのようにして必要保険料に近づけていくかということについては、何段階かに分けて近づけていく場合には、段階を増やせば増やすほど本来集めるべき収入を下回るという意味での不足が生じてくる。
・この不足分は解消しないといけないが、そのためには、必要保険料を一時期上回る形での保険料を取らないといけない。将来の契約者は本来払う必要な保険料よりも若干高い保険料を払わされるということになるため、将来の契約者への負担の転嫁という問題になる。
 現在の加入者にとっては、保険料を支払うタイミングが5年後に先延ばしになっているだけであるが、新たに加入する者にとっては、若干高い保険料を支払っていただかないと、長期の収支相償の帳尻が合わなくなる。また、引上げが多段階になればなるほど、これが大きくなるということになる。
・論理的には、超過的な保険料を払わなければいけないのかもしれないが、超長期で見れば、実は極めて薄い誤差の部分になっていくのではないか。一定程度は確率論に依存する必要はあると思うが、そもそも非常に長い期間で収支が相償することになっているので、ある程度激変緩和するという考え方はあり得るのではないか。
・後で加入する契約者に負担を負わせるのはいかがなものかという点は理解できる。ただし、マンション購入時にはローンの利払いを一定年限は低く抑えておいて一定年限が過ぎると利払いが増えていき、全体としては損をしないという制度があった。そのような考え方を地震保険ではできないのか。例えば、同一人について、1年目は保険料を低く抑えて、2年目以降少しずつ上げていき、同一人で、全体としては必要な保険料は確保できるような仕組みというのはできないのか。
・毎年、契約を更新をするのであればあり得るのではないか。
・地震保険は、毎年加入期間1年で更新していく場合と、複数年で入る場合もある。複数年の契約では一度決まった保険料は変えられないので、そのような対応は今の制度では存在しない。

・毎年払い込まれている保険料は世代を超えた財源貯蓄のようになっているのではないか。 東日本大震災の例でも、今まで払い込まれていた契約者の保険料を積み立てた準備金が保険金として支払われた。今度は次に起こる大きな地震に向けて、国民的に財源を確保していくということではないか。
・積立金は意図して積み立てたものではなく、結果的に積み立ててきたお金である。すなわち、期待値としての保険料を毎年徴収した結果、たまたま地震がなかったので支払わずに済んだため積み立てられているものである。理論的には積立金が不足する可能性もあるが、その場合には将来の保険料で不足額をカバーしていくことになる。このように、必ずしも毎年度の収支が相償する必要はない。

・制度の持続可能性という点では、大震災がいつ起こるかとはわからないため、可能な限り早く準備金を積み上がるようにするという観点で言えば、地震保険料率は一度に引き上げることが適切ではないか。
・制度の強靱性という点では必要保険料を速やかに実現するように上げないといけないという理解ではないか。
・発生確率は仮の数字であり、あまりこだわる必要はないのではないか。
・段階的な引上げについては、将来の契約者に負担させるのはよくないので最初から1回で引き上げればよいのではないか。保険理論からしてもそれがよいのではないか。

・地震保険法において、政府の再保険に係る再保険料率は長期的に再保険料収入が再保険金を償うように合理的に定めなければならない、すなわち、収支相償する必要があるとされている。保険数理に基づく料率改定を速やかに実施することを求めるというのが大前提であるが、一方で、複数段階の料率引上げに関連して言えば、求められているのは長期的な収支相償であって、必ずしも短期的な収支相償を求めている規定ではなく、地震保険料率の引上幅が保険数理上の引上幅を何らかの形で下回るからといって直ちにこの規定に抵触するものではない。ただし、それ以降の保険料率の引上げの段階で、複数段階でカバーされなかった保険料収入額(アンカバー部分)を事後的に上乗せするなど別途の手当てをすることで長期的に収支を相償させる必要があるという解釈に立っている。

・全国の確率を掛けた必要とされる保険料は、地域別の確率を掛けたものの積み上げで全国を出しているということか。
・必要保険料を地域毎に算出した後に、激変緩和措置による調整を行うものである。
・平成24年度のPTでの議論を踏まえ、料率格差の平準化を念頭に等地区分を4区分から3区分に減らしたが、実態としては激変緩和措置によって6つの料率が適用されている。また、等地間での保険料の逆転現象もあり得る状態となっている。
・本来は、1等地の地域から2等地、3等地になるにつれて危険度が増していき、保険料率が上がるはずであるが、(今回の改定により、)逆転現象が起こるかもしれない。それは、激変緩和措置が全部終わるまでの間は続くということか。

・今回の料率改定において激変緩和措置の30%の上限を杓子定規に適用すると、料率の逆転現象や、同じ等地の中での保険料率の格差が残るということになる。
 また、激変緩和措置をどのように理解するかということも引上げ回数と絡んでくる。すなわち、複数段階で引き上げる場合に引上げ全体を1回とみなすのか、あるいは複数段階で引き上げる毎に30%の上限を設けるのかという点がある。仮に1回に引き上げる上限を30%とすると、2回、3回、…と上げていけば、料率の逆転現象や、同じ等地の中で保険料率の格差が残る状態は解消できることになる。一方で、複数段階での引上げ全体を通して上限を30%とすると、何回引き上げたとしても、これらは解消しないことになる。
・逆転現象については、必然的に計算されたら仕方ないのではないか。
・激変緩和措置の年限を決めておけばよいのではないか。

・地域間での保険料格差、同じ等地内での保険料の格差をどのように理解するべきか。全国平均では19%の引上げとなるが、それをどのような形で全国に割り当てていくかということは方向感を出さないと、引き上げるスピードや地域間での引上げ方が決まらないことになる。
・制度上は地震保険料率を段階的に上げるということも可能ということか。
・制度上、地震保険料率を段階的に引き上げるということ、言い換えると、保険数理上必要となる引上幅を下回るからといって、直ちに長期的な収支相償に抵触するものではない。ただし、事後的には、カバーされなかった収入分について上乗せするなどの別途の手当てをすることによって収支を相償させる必要がある。
・保険料率は確率で決まると理解していたが、政策判断で上げ下げすることも可能ということか。
・金融庁、損害保険料率算出機構の議論の中で、1度に大幅な引き上げを行うと契約者に影響が大きいことから、激変緩和的な対応があり得るかという問いかけがあった。それに対する整理としては、直ちに地震保険法に抵触するものではないが、カバーできなかった保険料収入分は事後的に上乗せをして手当てするということであれば、激変緩和的な対応が可能であるという整理である。
・確率論に基づいて保険数理上長期的に適正な保険料を取るという前提に立ったとして、段階的に引き上げる場合に、その不足分を賄うためにどの程度保険料を引き上げないといけないかがわからないと、何回で引き上げることがよいのかといった議論は行いにくいのではないか。
 地震保険法の建付けからいけば、最終的には帳尻を合わせなければならないということは理解できるし、確率に基づいて保険料を算出する以上はそうであるべきである。ただし、最終的な地震保険料率に至るまでの期間や具体的な数字をもう少し整理していただくと、これぐらいまでであれば保険料を支払えるのではないかとか、一度に地震保険料率を引き上げることはいかがか、といった議論ができ得るのではないか。

・複数段階で地震保険料率を引き上げる場合に付加保険料が影響を受けることはあるのか。
・複数段階での引上げを行うから経費が上がるといったことはないが、複数段階で引き上げる都度、付加保険料率の検証を行いそのときの実績で洗い替えていくことになるため、引上げ回数を増やせば付加保険料率が変わるということではないが、(付加保険料率の水準を)判断する時点がずれることになる。
・現在の激変緩和措置も、引上幅が30%を超える地域の保険料をそれ以外の地域でカバーしており、それ以外の地域は実際の危険度よりも高い保険料を払っていることになる。したがって、理屈として、段階的に引き上げるということも許されるのではないか。その場合、仮に4区分案の案マル3を採用すると、全国平均で19%の引上幅になるのであれば、2段階ぐらいでよいのではないか。

・複数段階で引き上げる場合に何段階で行うのかということと、(地域毎の)引上幅の最大の上限を何%にするかということはリンクする面がある。
 全国平均では19%引き上げる必要があるが、今回の震源モデルの改定によって、どこで起こるかわからない地震をモデルに入れてマグニチュードを上げたことで、理論上は保険料を大幅に引き上げないといけないところもある。そうすると、1回2回で引き上げるということは考えにくいと思う。逆に、例えば引上幅の上限を30%にすると引上げ回数は何回でいいかということになる。
 このように、全国平均の保険料率の水準を重く見るのか、あるいは一番大きな影響を受ける地域の契約者を念頭に置いて考えていくのかというところが判断になる。

・実際にこのような前提を置くと地震保険料率はこうなるという数字を示してもらわないと、判断ができないのではないか。
・確率には、震源モデルによる確率と、震源モデルによる保険料の過去の実際の地震とのトラックレコードの確率という2つがある。例えば保険料が大幅に引き上げる必要がある地域では今後も地震が起こらない一方で、保険料率が低い地域で地震が起こるということも十分にあり得る。
 高い保険料を支払った契約者が、自分の地域で地震が起こらずに、保険料としてプールしているものを今まで保険料が安かった地域で大震災が起こって支払うことになったときの逆の不公平感というのは相当あるのではないか。
 しかし、被災地域以外の契約者が被災地域の契約者をサポートしたいという気持ちはあると考えられるので、自分たちが支払っていた保険料が自分たちの住む地域で地震がなくても準備金が使われることはあるべきことだと思う。ただし、震源モデルに依存してあまりに極端な料率格差があると制度がもたなくなる可能性があるのではないか。

・どの程度地震保険料を上げれば加入率にどの程度影響するのか、という計算は可能か。
・地震保険料をあまりにも上げてしまうと地震保険に加入しないという契約者が出てくれば、最終的な収支に影響してくるということはあるのか。

・地震が起きない地域を選んで住んでいる者は例外的であり、その他の者は様々な理由でその地域に住んでいるのであり、保険料率の等地が高いから引っ越すということはない以上、地震保険料率に特異な料率格差ができるのは望ましくないのではないか。
・平成24年の報告書でもあまり極端な料率格差は好ましくない点を指摘し、等地区分を4つから3つに統合した経緯がある。ただし、引上幅に30%の上限を設ける激変緩和措置を適用しているため、同じ等地内で保険料率のばらつきが残っている状態が今に至っている。
 これまでの料率改定の際にも、引上幅の上限を30%とする激変緩和措置のために、十分に引き上げができていない部分があるなど過去の料率改定の宿題が残っている面がある。地域間の料率格差をどうするかということも合わせて考えていく必要がある。
・耐震割引は最大5割であり、耐震化を普及させれば、実際には引き上がる保険料も最大の割引率では半分になる。したがって、耐震化をどのように普及させていくかということも考えないといけない。
・立地割増・立地割引の課題は、現在、損害保険料率算出機構において研究中であるが、その結果によっては、地震保険料率にもう少しメリハリがつくこともあり得る。例えば、地震保険料率の等地が高い地域の中でも、立地によっては保険料が安い地域も生じ得る。今回の料率改定に間に合わないが、立地割増・立地割引が将来的な保険料にどう反映されていくかという点も見きわめる必要があるのではないか。

以上 

財務省の政策