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国有財産分科会(平成30年4月12日開催)議事録

 

財政制度等審議会 第40回国有財産分科会 議事録

平成30年4月12日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 第40回国有財産分科会 議事次第

 

平成30年4月12日(木)13:29~15:26
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)
 1.開会の辞
 2.議事
  (1)森友学園への国有地売却に関する決裁文書について
  (2)国有財産の管理処分手続き等の見直しに係る通達等の改正について
 

3.

閉会の辞

 配付資料
    資料1森友学園への国有地売却に関する決裁文書について
    資料2

国有財産の管理処分手続き等の見直しに係る通達等の改正について

     (参考1)

公共随契を中心とする国有財産の管理処分手続き等の見直しについて

     (参考2)

公共随契を中心とする国有財産の管理処分手続き等の具体的な見直し内容


  出席者

               委員

  亀坂 安紀子 

 

 

 

   川口 有一郎

 

 

           小林 健 

 

    

   横溝 髙至

 

 

 

 

 

 
                    臨時委員      荒谷 裕子

 

   

 
                       緒方 瑞穂

 

   

 
           角 紀代恵

 

  

 
    児玉 平生

  

  

 
    望月 久美子

  

  

   持永 勇一

  

  

 
    山内 弘隆

 

 

 
 

 

 

 
              専門委員   林 正和

  

  

 
  

  

 

 
             財務省  太田 理財局長  

  

  

 
    井口 理財局国有財産企画課長

 

    

 

   嶋田 理財局国有財産調整課長

 

 

 

   明瀬 理財局国有財産業務課長

 

 

 

   木㔟 理財局管理課長

 

 

 

   福田 理財局国有財産企画課政府出資室長

 

 

 

   丸山 理財局国有財産調整課国有財産有効活用室長

 

 

 

   立川 理財局国有財産調整課国有財産監査室長

 

 

 

   木村 理財局国有財産業務課国有財産審理室長

 

 

 

   永井 理財局管理課国有財産情報室長

 

 

 

   細田 理財局国有財産企画官

 

 

 


午後1時29分開会

 

〔 小林分科会長 〕 それでは、ただいまから財政制度等審議会第40回国有財産分科会を開催いたします。

 本日は、御多用のところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。

 森友学園への国有地の売却に関して、昨年11月の会計検査院の検査報告を受けまして、本年1月に当国有財産分科会で公共随契を中心とする国有財産の管理処分手続き等の見直しについて取りまとめたところでございますが、その後、3月12日に森友学園に係る決裁文書の書き換えについて国会に報告されております。これを受けまして、国有財産分科会としても報告をいただく必要があると考えまして、本日、国有財産分科会を開催することといたしました。

 本日これらについて事務局より説明をいただきたいと考えております。また、その後、皆様から御議論いただきまして、本年1月に私どもが取りまとめました管理処分手続き等の見直しについてに関して、訂正あるいは加筆する必要があるのかどうか等も含めて御議論いただきたいと思います。

 それでは、早速でございますが、森友学園への国有地売却に関する決裁文書について、事務局から説明をいただきます。

〔 太田理財局長 〕 理財局長の太田でございます。お忙しいところお集まりをいただき、大変申し訳ありません。

 これから御説明を申し上げますが、最初に会長からお話がありましたとおり、3月12日に国会に、全部で14件の森友学園に関する決裁文書の書き換えをしたという報告をさせていただいたということです。昨年の2月、3月の国会での審議、それぞれの答弁が誤解を受けないようにということでございますが、財務省理財局において、近畿財務局に命じてやらせていたので、責任は本省理財局にあり、そういう書き換えを行ったということでございます。

 大変申し訳ないことであって、委員の皆様方にもいろいろ御指導いただいたにもかかわらず、こういうことに至ったことは心から本当におわびを申し上げます。

 それ以降もいろんな報道があって、NHKの報道で、要すれば、先方に対してこういうふうに言ってほしいと言ったというような話もあって、それも事実でございますので報告を申し上げているのですが、今ほど申し上げましたように、昨年の2月下旬から4月にかけてその書き換えをしたのと同じようなタイミングにおいて、国会答弁との整合性でそういったことをやっていたということでございます。

 そこのところはもう弁解の余地は全くない話でございますが、事実関係を御説明させていただいて、いろいろ御指摘、御批判を頂戴できればと思っております。

 それでは、御説明させていただきますので、お聞き取りいただいて、その上で御批判、御意見を賜ればと思います。どうかよろしくお願い申し上げます。

〔 小林分科会長 〕 それでは、お願いします。

〔 井口国有財産企画課長 〕 国有財産企画課長の井口でございます。本日は、このような形でお集まりいただき、大変恐縮でございます。

 私から資料をもとに説明させていただきます。

 お手元の資料1、本年3月12日の「決裁文書についての調査の結果」でございます。ここに至るまでの経緯を若干御説明いたしますと、本年3月2日に決裁文書に書き換えがなされているのではないかとの新聞報道がされました。3月2日は金曜日でしたが、早朝に報道があり、その日のうちに参議院予算委員会の審議に引き続き、衆議院の財務金融委員会もございました。財務省としてしっかり調査をしてほしいとのことであり、その後、大臣からの指示も受けながら、3月6日には調査の状況についての報告を行い、職員の聞き取りですとか、文書の確認等をしながら、官房も含めた全省を挙げて調査をしていくという大臣の指示のもと、調査結果をお示しできたのが、3月12日でございます。

 その結果、昨年2月に森友事案が国会で取り上げられて以降の昨年2月下旬から4月にかけて、財務省理財局において、下記の決裁文書について書き換えが行われたことを確認しました。

 大きく分けて3つの文書があり、一つ目が貸付決議書、これは近畿財務局から森友学園に対する売払い前提の貸付けですが、それについての決裁文書。これは平成27年4月28日付のものと5月27日付のものの2つがあります。

 二つ目は売払決議書となっておりますが、いわゆる新しい地下埋設物が見つかった後に、貸し付けていた財産について先方から買い受けたいというお話がございましたので、それを売却する際の決裁文書であり、平成28年6月14日付となっています。

 さらに、3つ目は、貸付の際の特例承認の決裁文書です。通例、3年以内であれば、財務局限りで貸付を行えるところですが、今回の森友事案では10年間の事業用定期借地で行っていますので、それについて本省に対してこうした貸付けを行ってよいかとの承認を求める決裁文書です。近畿財務局からは平成27年2月4日に申請があり、それに対して本省からそれを認めたものが4月30日付でございますが、これについての決裁文書がそれぞれ1通ずつございます。

 この3種類、5つの文書が大きなものでございます。

 このほか、これまでの決裁文書の書き換えの内容を反映するかたちで、残り9件の決裁文書の書き換えが行われており、計14の決裁文書について書き換えが行われていることを確認したということを御報告をさせていただいたものです。

 これらにつきましてさまざまな報道がなされているところですが、要点について御説明させていただきます。先ずは、「決裁文書の書き換えの状況」の14ページを御覧いただければと思います。貸付決議書につきまして書き換えられておりましたのは、事案の経緯についてですが、書き換え前は左側で、貸付けに至るまでの経緯がかなり詳しく書かれているものです。

 書き換え後の右側を御覧いただきますと、非常にコアな事実関係、森友学園理事長が来所して本件土地の取得を検討している旨を聴取。その後、近畿財務局への連絡、取得要望書の提出、大阪府に対し森友学園の小学校の設置認可申請書の正式受理が行われたこと。あるいは、大阪府の私立学校審議会におきまして認可相当の答申を得たこと、財務省の国有財産近畿地方審議会において売払いを前提とした10年間の事業用定期借地契約を行うことについて処理適当の答申を得るといった記載がされております。右側は、この経緯の主要な部分について書かれておりますけれども、従前のものについてはこの間のさまざまな経緯が書かれていたということです。

 例えば、左側ですと平成25年8月21日で森友学園側とのやりとりについて、森友学園理事長が大阪航空局に参りまして、本件土地については学校経営が安定する平成35年3月ごろまでは貸付けを受け、その後購入することを希望する旨を聴取ということで、これがいわゆる売払い前提の貸付けを先方が希望した経緯ですが、こうしたものは書き換え前のものにはございましたけれども、書き換え後のものについては落としています。

 続きまして、平成25年10月30日には、近畿財務局が小学校の設置認可権限を有する大阪府の私学・大学課に認可の事前審査状況について照会したところ、審査できる書類の提出がなされていない状況である旨を確認しており、以後、この認可の状況について大阪府に確認をしたことや、森友学園側が開校予定時期までに校舎を建てるためには豊中市との間の開発協議を急ぐ必要があるため、国有地を先行して貸し付けることができないか等々のやりとりがあったということも記載されております。

 以下は省略いたしますが、そういうやりとりについての記載が書き換え後にはなくなっているという状況です。

 15ページを見ていただきますと、平成26年6月2日ですが、先方から、開発関係で豊中市に出す書類、手続きをどうしたらいいかということについて、本省理財局と相談の結果、当局から森友学園に対し、①当局の審査を延長すること、②豊中市に対して、開発行為等に係る手続きのみを可能とする「承諾書」を当局から提出すること、あるいは、③売払いを前提とした貸付けについては協力する旨を回答、といったことについても記載があったものでございます。

 貸付けにつきましては、学園側とのやりとり、大阪府とのやりとり、本省とのやりとりについてかなり詳細に書かれていたものを削除したということです。

 引き続きまして、17ページをお開きいただければと思います。先ほど貸付決議書には2つあると申しておりましたけれども、2回目について、「下記のとおり、違約金額等について森友学園が不満を示し、貸付合意書第32条で定めた公正証書の取り交わし期限までに、契約書等の締結及び公正証書の取り交わしができなかったもの。」ということで、決裁を取り直したことにより2つ目の貸付決議書が必要になりました。これについて、いろいろな経緯が書かれていましたが、書き換え後のものについては非常に簡単な記載としたことが違いでございます。

 その他若干ございますが、貸付決議書は以上でございます。

 売払決議書については、20ページを御覧いただければと思います。これは報道もございましたけれども、調書の部分につきまして、最初の「事案の概要」では、「今般、学園から早期に本件土地を買受けたいとの要請を受けて、価格等について協議した結果、学園が買受けることで合意したため」となっておりますが、書き換え後ですと、「今般、学園から早期に本件土地を買受けたいとの申し出があり、売払申請書の提出があったことから」と、「要請」という言葉が「申し出」になっている。また、「価格等について協議」という言葉を落とした形で書き換えられています。

 さらに、20ページの下のところ、「4.貸付契約までの経緯」ですが、貸付決議書について詳しい経緯を割愛した関係で、売払決議書ではこの「4.」の部分が全て削除される形になっております。

 続いて、22ページを御覧いただきますと、「5.本件売払いに至る経緯について」ですが、左側の「5.」の(2)、(3)、(4)が書き換え前の文書には書いていたものが、書き換え後では非常にコンパクトな形になっております。この部分は、3月11日にいわゆる新しいごみが出た後の対応について記載をしていたものですが、こうした記載が削除されているということでございます。

 この売払決議書につきましては、その契約書について標準書式を修正したという部分も細かく直っています。

 さらに、特例承認の文書につきましては、32ページを御覧いただければと思います。これは近畿財務局から本省に向けた承認申請の経緯の部分です。右側の書き換え後では、学園理事長が来所、近畿局へ架電、取得要望書を提出、といった貸付決議書とほぼ同じ内容が書かれていますけれども、書き換え前はかなり詳細に書かれており、例えば平成25年8月13日、鴻池議員の秘書から近畿局へ照会があり、籠池理事長が、本件土地について購入するまでの間、貸付けを受けることを希望しており、大阪航空局に直接相談したいとの要請を受ける、といった記載があります。この8月21日の記載は貸付決議書にもございました。

 また、32ページの下の平成26年4月28日の記載でございますが、「近畿財務局から森友学園に対し、資料提出を速やかに行うよう要請したところ」これは小学校の設置認可に関する資料の提出を求めていたところですが、「森友学園から、①当初計画していた本年7月の大阪府私立学校審議会への諮問を本年12月に変更したいので、その前提で対応してほしいとの要望とともに、②豊中市との開発協議を急ぐ必要があるため、大阪府が小学校新設に係る設置計画書を受理した段階で、近畿財務局から豊中市に「森友学園と本財産の契約を締結することを証する」旨の文書を提出してもらいたいとの要望あり。」これは先ほどの要望書の提出ということで貸付決議書でも記載されていたものです。その際、「なお、打合せの際、「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください。』とのお言葉をいただいた。」との発言あり(森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で並んで写っている写真を提示)。」といった記載がございます。

 さらに、34ページですが、平成27年1月8日、「産経新聞社のインターネット記事(産経WEST産経オンライン【関西の議論】)に森友学園が小学校運営に乗り出している旨の記事が掲載。記事の中で、安倍首相夫人が森友学園に訪問した際に、学園の教育方針に感涙した旨が記載される。」27年1月9日にも、「近畿財務局が森友学園を訪問し、国の貸付料の概算額を伝える。」1月15日には、「森友学園が国土交通省北川イッセイ副大臣秘書官に「近畿財務局から示された概算貸付料が高額であり、副大臣に面会したい。」と要請。国土交通省は、「貸付料は近畿財務局において決定する内容であるため、面会しても意味はなさない。」旨回答。」といった記載があります。また、27年1月29日にも「平沼赳夫衆議院議員秘書から財務省に「近畿財務局から森友学園に示された概算貸付料が高額であり、何とかならないか。」と相談。財務省は、「法律に基づき適正な時価を算出する必要があるため、価格についてはどうにもならないこと、本件については学校の設立趣旨を理解し、これまで出来るだけの支援をしていること。」を説明。」といったような記載について書き換え後のものでは削除されています。

 これは近畿財務局側からのものでしたが、本省側の決裁文書にも経緯についての記載があり、39ページ以降、今御覧いただいたものがほぼそのまま載っておりました。41ページの平成27年1月29日までは近畿財務局からの文書にも記載がございましたが、2月10日以降のところには、国有財産近畿地方審議会において処理適当の答申を得るとか、その後、森友学園が行った記者発表や、2月16日、鳩山邦夫衆議院議員秘書から国会連絡室に相談したいということについて、同様の説明をしてお断りをした等々の記載がなされており、こうしたものについて、書き換え後は削除されていたということです。

 また、43ページに、「「学校法人 森友学園」の概要等」ということで、理事長の名前に引き続いて、同氏は、「日本会議大阪(注)代表・運営委員」を始めとする諸団体に関与している。として、日本会議大阪の説明や、注の下に、「なお、国会においては、日本会議と連携する組織として、超党派による「日本会議国会議員懇談会」が平成9年5月に設立され、現在、役員には特別顧問として麻生太郎財務大臣、会長に平沼赳夫議員、副会長に安倍晋三総理らが就任。」といった記載や、参考として森友学園への議員等の来訪状況などが記載されていたものです。

 以上、主な3種類の文書について書き換えが行われていましたが、基本的には、経緯等の詳細について割愛する、削除する形で書き換えられていたものです。

 こうした形で、書き換えの状況についてご報告したところですけれども、現在、これらがどういう形で行われたか、どういう動機で行われたかにつきまして、主に大臣官房を中心とした調査が進められております。本件につきましては、大阪地検において捜査が行われていますけれども、その影響に留意しながら、できるだけ早く御報告すべく、現在調査が進められているところでございます。

 さらに、今の文書の後に本年3月14日付と3月19日付の紙があります。これらは全てホームページに載っておりますが、12日の発表後にわかりましたことについて追って御報告をさせていただいたものでございます。

 3月14日の文書につきましては、14文書の中の一つでございます「予定価格の決定について」の文書の中で調書の後ろに添付されておりました「メモ 公租公課相当額の取扱いについて(考え方の整理)」に関するものです。文書の書き換えは、平成29年2月下旬から4月にかけて行われたものですが、これは平成27年6月に決裁をとった際に元々あったものが削除されていたことがわかったため、御報告をしたというものです。

 公租公課相当額といいますのは、いわゆる固定資産税に該当する部分について税法上免除されるということでして、その分の賃料を下げるかどうかについて、社会福祉法人につきましては減額するという取扱いが確立しておりますが、学校法人についてはこの時点で例がなかったということで、学校法人に定期借地をする場合にはどうするかを本省と相談し、これについては定期借地である以上、減額する取扱いの例外にする必要はないだろうということで、この公租公課相当額を控除した形で賃料を決めたわけですが、その整理した1枚を決裁後に削除してしまったというものです。

 3月19日の文書につきましては、普通財産売払決議書の27ページの後ろに「決裁参考メモ「森友学園事案に係る今後の対応方針について(H28.4.4)」」の1枚が書き換え前の文書として本来含まれているべきものでしたが、1週間遅れで、削除されていたことが判明したので、御報告したものです。

 内容としては、この時点での対応方針を取りまとめていたもので、本来3月12日の時点で気づいているべきものについて、おわび申し上げたものです。

 今後につきましては、これは国会等でも議論になっているところですが、できるだけ早いタイミングで、これがなぜ行われ、どういう形で、誰の指示で行われていたか。動機あるいは経緯、目的についての報告をしなければならないということで、現在調査を行っているところでございます。

 私のほうからの最初の説明は以上でございます。ありがとうございます。

〔 小林分科会長 〕 それでは、ただいまの説明の内容、あるいは今まで皆様が認識されていることも含めまして、御意見、御質問をお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。

〔 望月臨時委員 〕 もう言いたいことは山ほどあるので、それを今ここで云々じゃないです。

 まず1つ確認したいのは、この審議会のこの問題についての役割はどうなるのかというのが気になります。今の段階は、こういうことが起こっているという説明を聞くと言うことですが、すごく嫌な言い方をすると、アリバイづくりをしているだけだったらば非常にむなしいものになると思います。ですから、この段階ですけれども、この審議会としては意見や、回答を新たに求めるとか、審議会としての見解を、中途段階だけれども、この問題についての考え方をきちっと表明することができるのかどうかという点が気になるところです。

 それから、まさに途中経過なので、こういう問題がなぜ起こったかについては今後調べてということでいくと、我々はそれをただひたすら受け身で待っている状況で果たしていいだろうか。この段階で我々というか、私自身、意見は言っておかなくてはいけないかと思っています。そういう意図であえて非常にざっくりと言わせていただくと、こんな情けないことをしてしまった大もとがこれから本当に明らかになるのか疑問ですけれども、別に自分の保身とか関係のない立場から見ていくと、為政者であったり、行政の人たちのまさに大義のない行い。何のためにこれをやるのか、この政策をするのか、この契約をするのかという大義が全く見られないということです。よしんば大義があると本人たちが思っているのは、単なる自分の保身であったり、ある権威を守るための大義というものであるようなところも感じます。多少のプロセスのいろいろな行き過ぎたところとか間違ったところも、もともと大義があれば認められるはずですよね。でも、これは認められないというのは、大義がないことをしてしまっている。それに気づいたか気づいていないのか。その辺のところ、明らかにしなければいけない大もとが1つ。

 それから、実際問題が起きている。そこの段階で何が一番問題だったのかということをやっぱり恥じずに謝るところは謝る、認めるところは認めるという志と潔さ。言ってみれば、国のトップも公僕も含めて持ち合わせなければいけない部分が全く欠落しているのではないかと感じている。そういう中で、少なくともこの審議会でかかわっている人間としては非常にじくじたるというか、腹立たしいというか、本質のところを自ら明らかにすることができないのかと感じています。

 この間に何度も、重く受け止めます、真摯に対応します、忌憚のない御意見を下さい、この3つの言葉というのはこの問題が起きてからずっとあるんですけど、こんなむなしい言葉はない。本当の意味で真摯になっていただきたいというのが私の感想です。

〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。

 ただいまの御意見の中で、なぜこの分科会を開いたかということに関しては、私のほうから開催をお願いしました。それはどういうことかというと、毎日毎日いろんなことが出てくるわけですが、我々は財務大臣から諮問を受けてワーキングチームをつくって、今後の国有財産の処分のあり方について取りまとめた。その取りまとめた、あるいは検討している最中に違うことが起こっていたということ。この事実をやはり我々でもう一回共有しなきゃいけないということです。

 それから、途中経過にならざるを得ないかもしれませんが、ともかく当局からの説明は聞く。本来、我々の職務というのは、諮問を受けて、その諮問に答えることが本務ではありますが、しかし、国有財産の処分ということを共有しているわけですから、そういう意味でモラルとか、望月先生が今おっしゃった大義とか、そういうことも含めてもうちょっと人間的にフラットな場でディスカスしていく。つまり、諮問されたことをこなしていくこと自体が、そのもとの事実が事実でなくなってきている現状で、そのことに対する御意見、御批判はもちろんですが、それともう1つ、本年1月に出した取りまとめが、今となっては、皆さんの中で御意見が変わってくる可能性もある。それは、取りまとめについて変えることも一つながら、もう1つは、基本的な姿勢を、当局に我々から意見を申し上げてちゃんと理解してもらうこともあるかと思うんですね。そういう意味で開いたということでございます。

 したがいまして、これから展開がどうなるかわかりませんが、もちろん検察の発表もあるでしょうし、そういうことも含めて節目節目でこういう会を開いて、意見、あるいは事実の共有をしていくことは必要じゃないかと思っております。今後これをどういうふうに展開するか。まだ本日の議論が終わってから、あるいは最後に皆さんの御意見を聞いてということになりますが、そういう趣旨で開かせていただいたということでございます。

〔 川口委員 〕 今の説明をいただき、私自身、一般国民としてではなくて、委員である者の任務として、その責任と権限があるのかわかりませんが、その立場として、本日のテーマである『書き換え』ということについて、怒るべきなのか、そうではないのか、考えました。この場だけでなくテレビで国会の答弁等を聞きながら考えました。それは今、会長から御指摘がありましたように、私はワーキングチームで副座長を務めさせていただいていますが、怒るべきかどうかの判断基準は、我々が今後どうするかという見直しにおいて、それを考える上で、そこに虚偽や隠されたことがあると、それは我々の分科会やワーキングチームが形骸化というか、全く意味がないという観点から考えました。今回いただいたような詳細な書き換えというものの事実と、それから我々の分科会、ワーキングチームでの議論を振り返ってみて、私たちの議論にこの書き換えと言われるものが大きく影響しているというふうには私はそう考えません。

 それは、国会での答弁においてこういう資料が出される前に、私たちの検討において、こういう方向にすべきであるという財務省、事務局からの示された方向の中に、今回、書き換えだと国会やマスコミで報じられているものを是正する方向で事務局から案が示され、我々はそれに基づいて議論をしてきたので、我々のこれまでの議論の流れは全く形骸化もしていないし、嘘に基づいて議論したということはないと判断をいたしました。

 私は、財務省の皆さんにお伺いしたいのは、書き換える必要はなかったんじゃないかと感じている人も内部にはいらっしゃると思うんですね。財務省は事実として書き換えたんですけれども、それは書き換える必要はなかったんじゃないかとお思いの方もいらっしゃるんじゃないか。

 私は以前、イギリスと日本の政治とか、官僚に対する役割を比較したことがあるのですが、そこには明確な差がありました。イギリスの場合には事実を淡々と述べればいい。しかし、日本の場合には、国民とその相手方(今回の場合には森友学園と国民との間)、あるいは政策や産業界との調整役があるので、事実を淡々と述べるよりは、今回のような国会答弁の整合性をとるとか、誤解を受けないようにという方向に行ったのは、それは大きな日本の行政のあり方の問題ではないかということです。

 ただ、一方で、今回のものはかなり特殊であって、相手が1億円もの補助金を不正取得するという嫌疑がかかる、その人の経営している学校の名誉校長に総理夫人が就任なさっていた。しかも担当者が、そういう人たちと口裏合わせをするようなことは、先ほど申し上げた日本の行政とイギリスの行政の違いということではなくて、かなり特殊な個人的なミスによる部分があるんじゃないか。そういう意味でも、我々の議論の流れに、今回の書き換えのことが間違った方向に導いているというふうには私は理解していませんし、本日は今回の書き換えを踏まえてさらに今後どういうふうに見直しをするかが重要だと考えます。

 ただ1点、不動産取引の利害関係人取引というキーワードで一言であらわしますけれども、この点を今後の見直しにおいて追加すべきではないかとは考えます。

〔 角臨時委員 〕 連日報道されて、何が本当かわからないという状況で、若干雑駁な話になってしまうんですけども・・・。今まで森友学園の話についていろいろ伺っていて、何かもやっとしていて、自分の中で納得できません。私は国有財産分科会に随分長い間出ておりまして、役人はきちんと手続きに則って業務を行っているとずっと思っています。ですから、説明を受けてもこれだけクリアにならないというのは、何かあったんだろうなと思いました。

 それは、例えば当人のミスなのか。それとも、もっと何か別のことなのかわからなかったのがずっともやもやしていたことです。ですから、最後は国会答弁と合わせるために書き換えをしたということで、先ほど川口委員がおっしゃったように、この事案は、私は極めて特殊な事案じゃないかと思います。登場人物があまりにも多く、土地を売るときにはいろんな人が出てきたと思います。だから、そういうときに、前の審議会でもどなたかがおっしゃったと思いますが、いろんな人をきちんとさばくプロセスを持っていなかったのも悲劇だった。お役人は皆さん真面目な方だったので、自分たちで何とかしよう、とにかく穏便に、でも、片方で訴訟すると脅されるし、いろんなことで切羽詰まってということだと思うのですけども、それだけなのかなというのもあります。

 それは置いておいてですけれども、ワーキングチームでの見直しのことは、私は川口先生と同じ意見で、公文書管理とか、そういうことのなかで見直さなきゃいけないことはあるのかもしれませんけれども、ルールを打ち出したら、そのルールが、ごまかされないように、ちゃんとやってくれるように何をすべきかというのは、この国有財産分科会の仕事を超えているのではないかと思います。

 それから、公文書管理の問題も、国有財産が絡んだ事案で起きましたけれども、この審議会の問題というより、官僚組織の劣化などいろいろあると思います。それはもっと違う角度からどうしたらいいかとか、日本国のためにどう立て直すかということをきちんと分析するという全く違う観点からの話じゃないかなと思います。

 国会というところは、いろんな人の思惑というのもあるかもしれませんけれども、今、財務省は正念場にあると思います。もちろん、検察も入っており、そういう意味でなかなかできないかと思いますけれども、いつの時点かできちんと第三者委員会を立ち上げて、何が起きたのかということを究明することは、本当にしんどいことだし、いろんな圧力もかかるかもしれませんけれども、やっていただきたいと思います。それから、刑事訴追という話はおいといて、必ず懲戒処分という話は出てくると思いますので、そのときに誰かにトカゲのしっぽ切りだけはやってほしくないということ。雑駁ですけれども、以上でございます。

〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。

 今、角先生がおっしゃった森友事案の特殊性と、それから将来にわたっての国有財産処分のあり方、方向性を我々が出してきたこととは、全く関係ないということではないけれども、方向性としては別のもので、我々がそこまでエスタブリッシュしたということかと、これは私個人の意見でございます。特殊性というのは、以前の分科会でどなたか、取引するときには相手の人となり、特に信用情報を調べて事にかかるのは当然のことであって、事情はいろいろあったでしょうが、その基本のところが欠けていた。我々が出している取りまとめの中にも、今後はそういうところも調べてやっていきましょうということは書いてあるわけですから、これは私個人の意見でございますが、これをもって我々ワーキングチームの取りまとめの内容を大きく変える必要はあまりないのではないか。むしろ、モラル規定というか文章にはしづらいところで、我々の考え方を財務省にもしっかり伝えていくことが本会の役割の一つとも思っております。

〔 緒方臨時委員 〕 私も会長のおっしゃるとおりだと思います。本年1月の時点で処分手続きの見直しの取りまとめが出ましたけれども、その時点では、そのときまでに起こっている問題全てに対応できる内容でつくられておりまして、その1月の時点では不満のない内容になっていると思います。

 その後の、文書の書き換えは、それは省庁のガバナンスだとか国家公務員の倫理の問題であって、国有財産分科会のワーキングチームで見直しをするに当たって考慮に入れなければならないような問題ではない。ちょっと別な話だろうと考えています。

 ですから、会長がおっしゃったように、この見直しの内容を、もしかしたら細かい見直しは必要かもしれませんけれども、大きな方向性についてここでもう一度見直す必要はないのではないかと考えております。

〔 児玉臨時委員 〕 私もワーキングチームなんですけれども、ワーキングチームでは、二度とこんなことが起こらないようにということで、それを封じる方策を定めたものです。今回問題になっているのは書き換えの問題で、公文書管理の問題と言えないこともないでしょうけども、ただし、これは公文書の毀損ですから、そもそも公文書管理以前の問題であると思うんですね。そうすると、書き換えを行えないようなシステムをどうするのかというのは全政府的な問題として取り組んでいくべき課題として、分けて考えるべきじゃないかと思います。

 もう1点、この件は大阪地検特捜部で捜査されているわけですけれども、公務員法には違法行為を見つけたら告発する義務があると書かれています。これに対して、理財局として独自にそういう措置をとるのかという考え方があればお示しいただきたいと思います。

〔 井口国有財産企画課長 〕 幾つかお尋ねがございました。できるだけお答えしたいと思っております。本日の分科会を、我々としても受け止めて、今後のことを考えていかなければならないと思っております。

 まだ調査は継続中であり、今、お示しできているのは、どう書き換えてしまったかであり、なぜこうなったのかはまだ調査が進んでいるということで、また御報告をする機会を設けなければならないと思っております。そうした中で、本日のご意見を我々としてもしっかり受け止めた上で進めさせていただきたいと思っております。

 今、伺いました告発義務についてですが、いわゆる内部通報制度については、国会でも質問を受けております。内部通報制度は財務省にもございますが、これまであまり適用事例がないということで、これについてはもっときちんと周知なり活用させるべきではないかという意見もいただいています。そういう形で国会でも議論されておりますので、それは主に大臣官房の秘書課が中心になると思いますが、そうした取り組みも当然していかなければならないと思っております。

 ただ、本件の場合ですと、告発を受けて捜査が始まる中で現在に至ったという意味では、通常とは違う形だったのかなと個人的には思っております。

〔 横溝委員 〕 本日、書き換え前、書き換え後の情報をお見せいただきまして、率直に考えて、あえて書き換えなくてもいいのになというふうには思うわけですよね。どうして答弁に合わせて書き換えまでする必要があるのかなと私自身は感じているところでございます。

 あと、書き換え自体について、こういうことがあったわけだから、今後こういうことはないようにしないといけない。そういう意味で、それを倫理問題で捉えておくにとどめるのか、さらにもう少し厳しく何らかの方法で制度化していかないといけないのかというところではあろうかと思いますけども、今度私どもがつくった公文書管理の部分について、きちんと作成しましょう、管理保存していきましょうということは記載してあるんですけれども、書き換えができないようなシステムのあたりは直しておいてもいいのかなと思います。

〔 山内臨時委員 〕 今回、書き換えの問題については、皆さんのいろいろな御意見が出て、それと同意をするといいますか、同じ感覚を持っているところです。我々の審議会としてどういうことをしなければいけないかと考えたときに、もちろん、ワーキングチームの取りまとめは取りまとめとしてあって、それをどうするかという問題はあるんですけど、もう1つは、我々は、国有財産の処分について、それについて報告を受けて、それを認めるという形をやってきたわけですね。そうすると、そのシステム自体がどうなのか。さらに言うと、国有財産の処分のあり方自体がどうなのかということを考えていかないといけないと思うんですね。今回の場合、このことについて我々は何も知らなかったわけで、昨年報道になって知ったわけです。ですから、我々が一件一件調べてこういうことがいいか悪いか、そういうことではないんです。ただ、こういうことが起こらないようなシステムをどうつくるかを審議する役目は我々にあると思っていまして、そういうことについてやはり考えなければいけないと思っています。

〔 持永臨時委員 〕 2つございます。森友学園の問題があって今回の普通財産の管理処分手続きのルールを策定したわけですけれども、ルールに不明確なところ、さらには詳細なルールをつくっていなかったところを認識して今回のルールがつくられていると思いますので、その意味では、書き換えとは全く関係なしに、この分科会では有効に議論されたのではないかと思います。

 それから、先ほどの文書の書き換え、これは、別に理財局ではなくて、政府全体の施策の中で検討されればいいと思いますけれども、1つだけ、我々の業界の状況だけ御説明させていただくのが多分御参考になるのではないかと思い、お話しさせていただきます。

 我々監査法人等も、監査が適切かどうかということで、事後、当局の検査・処分、場合によっては裁判になる場合があります。電子化というのは実はここ5年ぐらいで急速に深化されてきています。私どもの監査調書は今、アーカイブといいますけれども、監査報告書を出して60日以内に電子媒体に保管する、要は電子化して監査チーム等がもういじれなくするような手続になっています。

 ただ、これは日本ですとほとんど会計士がやっているのですが、アメリカ等は有資格者以外の無資格者もいて、そのようなものも含めて全部電子化する必要があるのではないかという形で入ってきています。

 ただ、国家公務員の皆様は、ある意味では行動規範なり、先ほど会長がおっしゃられた倫理の話なり、さばき方はいろいろあると思います。ですから、手続き的には私どもがやっていますような電子化、アーカイブして、サーバー上、管理者が一括管理をするというやり方はあるわけですけれども、これはバランスの問題ですので、政府全体の中で議論されるとよい話かとは思います。

〔 亀坂委員 〕 私もこのところ、そもそも分科会の役割とは何だろうと思うことがありまして、先ほど分科会長もおっしゃったとおり、諮問されたことだけ考えていればいいのかなど、いろいろ考えました。確かに分科会として何か今の段階でもメッセージを発信したりすることに意味があると。その意味では、こういった会を開いていただくのはいいことかと思います。

 感想めいたことになるのですけれども、ワーキングチームで議論したことは無意味ではなかったと私も思っています。ただ、思うのは、我々の議論の大前提がことごとく崩れていくように感じたのは事実であります。森友問題以外にも加計学園の問題とか自衛隊の日報問題とかいったこのところの報道状況を伺っていると、分科会レベルで話しても及ばないような問題が政府全体で起きているようにしか、どうしても思えないんですね。この書き換え前の文書と書き換え後の文書について御説明を受けていても、政治家が関与したのかとかいうレベルじゃなくて、どう見ても、素人が見たら政治家が関与しているとしか思えないわけでして、そもそも政治家が関与していると普通の一般の人に思われるようなシステムになっている、政府全体のシステムにひずみとか問題が生じているような気がします。

 例えば、今、森友問題では理財局の方ばかり非難を受ける格好になっておりますが、そもそも制度自体が問題を抱えているようにしか思えない。なので、分科会ではどうにもならないレベルでいろんなことが起きているように感じられて、少なくともそういった疑いを持たれるようなシステムを脱却する大きな政府全体での改革が必要だと思います。あるいは、官僚のシステムとか、マスコミが報道している人事制度とか、そういったところを全部見直していただかないとだめじゃないかとも思っております。なので、公務員の倫理の問題でもおさまらずに、公務員の制度全体の問題になってしまっている。少なくとも現行制度ではひずみが明らかに生じているのではないかと感じました。

〔 荒谷臨時委員 〕 私もおおむね皆様と同じですけれども、私が素朴に思うのは、ここに書き換え前の文書がありますが、これは、公表しても全然問題なかったと思うんです。これをきちっと開示していれば、誰がどう動いたというようなこともわかりますし、全然不透明さはなかったわけですから、そのまま出せばよかったのではないでしょうか。一番の問題は、今の情報開示のあり方そのものではないかと思うんですね。情報開示請求をするとほとんど黒塗りになったものが出てくるので、余計に疑いを持たれるわけでして、きちっと公表すれば大騒ぎにならなかったのではないかと思います。この文書を見れば、本件がいかに特殊な事例であるかということもわかる事例だと思います。

 なお、取りまとめていただいたワーキングチームのルールはとてもいいルールだと思います。私も直す必要はないと思いますが、このルールをつくっている時点でこういう書き換えがあったということはわからなかったのでしょうか。せめてワーキングチームの皆さんには、こういう事態があったことを知らせてもよかったのではないかと思います。

 今もまだ調査中だとおっしゃっていますけれども、そんなに調査に時間がかかるのだろうかというのは、すべからくみんなが思っていることだと思うので、せめて審議会のメンバーですとかワーキングチームのメンバーの方々にはこういう事実の端々でも、文書が残っていることがわかった時点で教えていただければよかったのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

〔 小林分科会長 〕 その点、いかがですか。

〔 太田理財局長 〕 たくさん御意見をいただいて、ありがとうございました。

 今、最後に荒谷委員がおっしゃられたことはよくわかります。おっしゃっていることはよくわかりますし、国会でも、とにかく早く出せとずっと言われ続けていました。3月2日に報道があって、それで国会で調べろということになりました。

 ところが、3月2日に報道が出て、国会の議論が始まって、国会でよく言われるのは、国会は国政調査権を持っているんだ。捜査が大事なのもあるけれども、一方で国権の最高機関たる国会の国政調査権があるんだ。だから、それを背景にして調査をせよという話になります。それで調査をし始めたのがその日です。結果的には3月12日に報告ができるのですが、いろいろ作業をしていて、我々なりにはもちろん一生懸命やるんですが、どうしてもわからないことがあります。最後のところはわからないところが多いんです。結局、こちらもしかるべきことをやった上で、捜査機関に協力をお願いできたのが3月9日の金曜日でした。3月10日の土曜日の日付変更線を越えたあたりでようやく最終的なものが、日曜日には大臣に報告できて、月曜日の12日に報告をしているという格好です。

 今おっしゃったことはよくわかるんですが、事前に1月の時点でこれがわかっていれば必ず報告をしています。それより先にわかっていて報告しなければ、国会でとても立っていられないので、そんなことはありません。そういう状況だということであります。

 それから、いろんな方から御意見をいただきましたけれども、基本的に本分科会は国有財産の管理処分ということで御審議をお願いしています。今は平成30年ですが、平成29年、昨年の2月、3月、4月のころに書き換えということが起きていた話です。これは国有財産の管理処分ではなくて、国有財産の管理処分を踏まえた結果を国会で議論されているときに国会にどう対応するかという話でした。もう1年前の平成28年春、4月あるいは5月、3月11日に初めて新しい地下埋設物が発見されたということですが、それから最終的に契約ができ上がるのは6月20日になるんです。その間の売買契約、あるいはその1年前、平成27年になるんですが、そのときの貸付契約について問題があればというか、こういう書き換えのようなことが起きているのであれば、それは国有財産の管理処分そのものについての問題が起きているということですが、今少なくとも我々が報告をして国会でも議論になっているのは、平成29年、国会対応としての話でございますので、国有財産の管理処分そのものではなくて、その結果を踏まえたところの国会対応でというところだと思っております。

〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。

 極めて重いコメントで、我々としてもその心中察するにあまりあるところはございますが、1つだけ私からの質問。今議論されているのは平成29年の話で国会対応。この案件で掘り返しするのはあまり私も好きじゃないんだけど、例の8億円の値引き、あれは随分前ですよね。

〔 太田理財局長 〕 はい、平成28年です。

〔 小林分科会長 〕 あそこのところはどうなんでしょうか。

〔 太田理財局長 〕 今の会長の御指摘は、本日の朝日新聞の報道でございます。要すれば、このところいろんな報道があって、それについて次々と事実を確認して御報告をさせていただいたのは全部平成29年の話ですが、本日の朝日新聞の報道は、平成28年に決めた売買価格についてということの議論です。報道は、要すれば、国土交通省の大阪航空局が一回数字をつくったんだけど、近畿財務局が増額するようにという要請をしたという報道になっています。本日、国会でも聞かれて御答弁を申し上げているのですが、その話はまさに国有財産の管理処分にかかわる話ですし、これまでずっと国会で我々が、当然悪いことをしたので批判を受けている話は平成29年の話です。本日の朝日新聞の報道は、もちろん事実関係を調べて報告しますと申し上げましたが、これまでの議論とは次元の違う話です。要すれば、国会対応で云々という話ではなくて、管理処分そのものが適切だったかどうかという話なので、これは全然次元の違う話です。これについてももちろん捜査が行われているわけですが、それも含めて仮にそこで問題があるとすれば、管理処分がどうかという話になりますので、それはまさに当分科会でやっていただいていることそのものに非常に近い話になるとは思っております。

〔 小林分科会長 〕 わかりました。それでは、ほかにいかがですか。

〔 川口委員 〕 結局、今後のことともつながりますし、今の値引きの話ともつながりますが、私自身いろいろ考えていましたけれども、公共随契における売払い等における利害関係人という問題が横たわっているのではないでしょうか。利害関係人というのは、契約、売買の当事者ではないが法律上利害関係を有するという定義です。森友学園のケースでは、総理夫人が名誉校長であった。総理夫人は直接の当事者ではありませんけれども、総理は行政のトップなので、その妻であるということは、通常は利害関係人とみなされるというのが一般的な解釈だと思います。

 財務省の主張はこれまで、売払いの一切において、値引き8億円を含めて、総理夫人の存在は無関係であったというのが一貫した主張であったと思います。それは当然とそうでなければならないという主張です。ただ、その主張をするために書き換えたという不正を行ったところには間違いがあるわけですが。一貫して我々が説明を受けているのは、利害関係人であるけれども、そこに一切の不正はない。それが一環して主張されてきたことです。ただ、国会では野党の議員がそれを認めない。ということで、国民や我々はどちらを信じるかということですけれども、我々は分科会に参加をさせていただいており、財務省のおっしゃるとおりだろうと私はそう考えています。総理夫人の存在が取引をゆがめたことは一切ないだろう。しかし、これを証明するのはとても難しい。それで書き換えがおこなわれたと思います。

 私たちの課題は、今後そういう証明できないものをどういうふうにして証明していくか。先ほど山内先生からありましたけれども、処分に関する適切性、正当性をどういうふうに証明していくかが課題だと思います。今回の見直し案では、第三者チェックを入れる。私は、人間がなし得ることでこれ以上のことはないと思います。今年3月19日に近畿財務局が公表していますけど、衆議院議員が監事をしている社会福祉法人に1億8,000万の売払いがされています。この衆議院議員は野党の議員の方ですけれども、この例のように、売払先に政治家が関与していることはあり得るわけですね。今回の国会における野党の主張は、この案件についても、この衆議院議員は要するに利害関係人に当たる可能性があります。それを忖度して1億8,000万で売り払ったのではないかというような国会の議論はあり得ると思います。

 したがいまして、公共随契における利害関係人、特に政治家が取引相手先の組織に関与するものについての適切な対応は今後も求められるでしょう。もちろん、口利き規制という既に日本には法律がありますので、口利き規制に我々の審議会がかかわることはないと思います。

 ただ、国有財産の売払いとか貸付けにおいて、先ほどの大義は何かといいますと、少子化の中で子どもを育てる、また高齢者の福祉法人のために国有財産を有効活用するというのが大義で、そこに政治家が利害関係人とした間接的にかかわる取引であっても一切不正は行っていないし行わないという主張、財務省のその主張を私は受け入れています。難しい問題はそれをどう証明するかです。

 そういう意味では、民間で一般に行われている利害関係人取引の仕組み、つまり政治家が関与する場合の公共随契においては、こういうプロセスでもって第三者チェックで、要するにきれいにして情報開示をする。ということで今回のような国会での議論が長引くようなことを止めていくには、この仕組みが一つ参考になると考えています。

〔 望月臨時委員 〕 ちょっと言葉を気をつけて言わないといけないかもしれないんですけど、何となく皆さん少し物が挟まったような言い方をされているんじゃないかと思うんです。書き換える必要はなかったんじゃないかというお話もありました。でも、書き換えたんですよね。そこのところが今まさに追及されなければいけないところだと思うのですけど、最初に私が申し上げた、もし間違ったことをしていたら、早い段階で謝ってしまえばよかった。そういう反省をやっぱりされるべきだと私は思います。

 こんなに嘘に嘘を重ねるようになる前に、例えばこのまま出した。確かに総理夫人の名前が出てうかつにもそこはわからないです。忖度したのか仮に信用してしまって無理を通すような契約をしてしまったというところまでは、私は事実だと思うんですよね。だったら、無理筋を通そうとしてしまって契約に至ったことに関しては、素直にちょっと考え過ぎたとか、さきに話も出ましたけれども、仮にいろいろなものを含めて性善説に立って相手を信用して、罠にはめられたみたいな、結果としてはそうなった。そのことに関して、そこは間違ったことをした。誤って判断をした。計算の仕方が正しかったかどうかという検証以前に、そんな無理筋を通さなきゃいけない状況を選択してしまったことについては、早い段階で素直に非を認めておくことをしていなかったことが事をこれだけややこしく複雑にしてしまったと思うので、この詳細な決裁文書そのものをもって正しい判断をしたかどうかというところに関して、一旦きちっと総括される必要はあるんじゃないかと思います。

 後の無理筋で答弁したのに合わせるとか、誰かを守らなきゃいけないために一生懸命なことをしてみたいな話にずるずるといってしまう前に、やるべきことがその折々にあったと思うんですけども、そこにブレーキがかからないことがずるずるとあったので、私としては、もう一回総括するときに、どの時点できちっと膿を出すなり、ブレーキをかけることをするべきだったという、最終的なものになるのかもしれませんけれども、そういうちゃんとした反省はしていただきたいと思います。

〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。

 今の望月先生のお話は非常にポイントを突いていると私は個人的に思います。それはどういうことかというと、いろいろ混乱になっていますが、結局、もとの文書が出てきて、もとの文書に書いてあったことが事実であるということですね。したがって、もちろん書き換えは悪いけれども、どういう判断に基づいて書き換えがされたかということよりも、今おっしゃったように、我々この分科会としての国有財産処分のあり方からいうと、point of no returnを越えるときにもう一度検証し、川口先生がおっしゃったように第三者も入れて、そこである程度客観的に検証して判断し決裁すると。決裁したものには責任が伴うわけだから、これについてはやはり間違った判断だったということを申し出ることが本来です。

 だから、もともとの文書でもって我々としてはどういう判断をすべきだったかということで、それができなかったということは、処分の制度に何か欠陥があったのではないか。それをこれからどう直していって将来につなげるかということを議論すべき場だと思うんですね。そういう意味からいうと、局長が言われたこととはちょっと時差がある部分もあるんだけれども、議論の本質はそういうことかと思います。

 皆さん、ありがとうございました。私もこの分科会長をやってちょうど1年になりますが、これだけフランクな真摯な議論をしていただいて、しかも責任者の方も財務省側もいらっしゃる場でこういう話をできたことは非常によかったと思います。

 まとめということからいうと、私は大きく3つあると思うんですね。レベルの高い順番から申しますと、そもそもこの審議会の意義とは何か。これは皆さんの意見、議論を通じてほぼ共通して浮かび上がってくる。国民の福祉も含めたよりよい生活をアシストするために国有財産をうまく使っていくために、我々はまず大義として検討しているんだということが1つです。ですから、意義、役割を再確認したことは非常によかったと私は思っております。

 2番目には、財産処分のあり方について、実際に最近の国有財産行政を巡る状況を踏まえた、今後の国有財産の管理処分のあり方について、こういう諮問が来て我々はワーキングチームを立ち上げて本年1月の取りまとめを行ったわけです。これに関しては、いわゆる森友学園の件の詳細がこれに影響することはないと皆さん思っていらっしゃる。私ももう一度答申を読み返してみて、必要なものがあれば理財局とも相談して訂正加筆をしたいと思いますが、基本的にはあそこでうたわれている我々の取りまとめ、それをバックアップする原則、考え方は変える必要はないと、今の御意見をまとめるとそういうふうに思いました。

 3番目は、公文書管理にも影響する。つまり、財産処分をする途中の手続き、意思決定の詳細といいますか、意思決定の原因、理由をやはり公文書として残しておく必要はある。ですから、どういうシステムでこれをやっていくかについては、この分科会というよりも、やはり政府、いわゆる行政のレベルで総括的にもうちょっと議論をしていただいて、それに関してある程度の方向性が出たときに、我々の国有財産処分に関してはどういう残し方をしていったほうがいいのか。基本は透明、誰でも見られる、残るということが原則ですが、そういう形でステップを踏んでいきたいと思っております。

 あとは、いろいろございましたが、我々分科会を代表してやはり当局に苦言は呈すべきであると。これは我々が出した取りまとめとはちょっと次元が違うベースではありますが、どういうことが原因であれ、公文書を書き換えることはよくない。あってはならないものである。したがって、深く反省してくださいということは、この会として申し上げる。

 それから、この事案の経緯、その他いろんな報道が出てくる。それに対しての対応、またいろんな展開、これは私どもも予測できません。そういうことに関しては、ある程度時を区切って、もし長引くのであれば御報告をいただきたいと思います。その報告がどういう形でなされるにせよ、我々がつくったこれからの財産処分の将来に向けての取りまとめにはそう大きな影響はないだろうと、これは今から私は推測をしております。ただし、事案についての事実関係の報告はまたしていただくことになると思います。

 そういうことで、いろいろありますが、再発防止、信頼の回復に向けた取り組みを着実に進めていただきたい。これはよろしくお願いしたいということであります。

 いろいろ御意見、ありがとうございました。次の会を開くまででも適宜皆様と御連絡はとりたいと思います。また、皆様から御意見がございましたら私あるいは横溝委員にぜひ御意見をいただきたい。その意見の中身によっては、理財局側の中間報告も含めてもう一度これを開きたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、第2議題の国有財産の管理処分手続き等の見直しに係る通達等の改正について、事務局から御説明いただきます。

〔 明瀬国有財産業務課長 〕 国有財産業務課長の明瀬でございます。いつもお世話になっております。

 それでは、私から資料2の国有財産の管理処分手続き等の見直しに係る通達等の改正について説明をさせていただきます。

 1ページをお開きください。第1で改正状況の概要と書いてございますけれども、本会で本年1月19日に取りまとめをいただいております。その取りまとめを踏まえて、その後、先ほどお話がありました書き換えなどの問題も発生したわけでございますけれども、この取りまとめの項目のうちの管理処分手続きの明確化及び価格の客観性の確保という中の主な項目につきましては、対応すべきことは早く対応すべきと考えまして、本年3月に関連する通達の改正を行い財務局に周知しました。

 ただ、さらに本会で御議論をいただきたい国有財産の有効活用の更なる推進についてのほか、価格についての第三者チェック、外部との調整が必要な項目などにつきましては、引き続き通達改正の内容について検討を行い、今後、通達を改正する必要があると考えているところでございます。

 また、文書管理につきましては、やはり決裁文書の書き換えに関する対応を踏まえながら検討を行う必要があると考えているところでございます。

 2ページをお開きください。この3月の通達の改正の概要でございます。この資料の内容でございますけれども、見直しの具体的方向性と書いてあるところは、本会で取りまとめていただきましたお手元の資料2の参考1の見直しの具体的方向性を項目ごとに書かせていただいたものを要約したものでございます。主な改正概要が、それを踏まえて通達の改正を行った具体的な内容で、基本的には具体的な方向性を踏まえて必要な通達の改正を行ったということで、ほぼ同じような内容になっているところでございます。なお、文言といたしまして、「明記する」とか、「明確化する」というのがありますけれども、これは私どもの通達の中ではっきりとこういうことを追加するということで書かせていただいていることでございます。また、中に「契約書に明記する」と書いているものにつきましては、標準契約書式についての通達を改正しまして、その契約の項目の中で書かせていただいているところでございます。

 では、順に説明させていただきます。まず売払い等結果の情報開示についてでございます。国有財産を一般競争入札や公共随契により貸付けや売払いを行う場合は、基本的には財産の概要とか契約金額、契約内容などについては公表しているところでございます。ただ、森友事案でございますが、一部例外があったところでございます。契約金額などについては公表の同意を契約締結の要件とする見直しの方向性をいただきましたので、今後は契約をされるものについては必ず公表する形になります。

 それから、売払いの結果などの公表に当たっては、周辺地価の形成要因の参考にも資するということで、公表項目を充実する、特に価格の減価要因につきましては、はっきりと地下埋設物などを減価要因にしたということを公表するようにさせていただいたところでございます。

 (2)処分等価格の決定手続きは、見積り合せを行うことは会計法令上の必須ではないということでございますので、見積り合せを省略して契約価格を相手方に通知することも例外的に許容する場合もあったわけでございますが、4月以降、例外は設けずに、全ての場合に見積り合せを行う、それから、当然、見積り合せを行うためには、例えば地下埋設物がありますとか、所有者が知っているような情報は提供するということでございます。

 見積り合せの回数ですが、見積り合せというのは、売払いの場合は下の価格からどんどん刻んでいけばいずれ予定価格に合ってしまう、そういう弊害もなくすために、見積り合せの回数につきましては、3ページにありますように5回までとする、こういう手続きの明確化を通達に記載したということでございます。

 それから、(3)の売払い前提の貸付けにつきまして、通常、国有財産の売払いは一括払いでございます。その原則の例外であったわけですけれども、売払い前提の貸付けは廃止しました。

 それから、売払い代金の延納につきましては、予算上制約があります地方公共団体については2億円以上であれば認める、個人につきましては、政策的に貸付中の財産などにつきましてはその権利がある個人にしか売れないような財産でございますので、資力が乏しい方については延納を認めるということでございます。その個人と地方公共団体の金額が大きいところに限定をする。また、延納につきましては、即納金という、最初に支払うと所有権が全部移転しておりました。即納金の割合は、今、売払代金の2割ですが、それを5割に引き上げます。さらに、延納の審査については、当初だけではなく、事後的にもフォローをしていくような改正を行ったところでございます。

 それから、4ページでございます。必要費や有益費の取扱いにつきましては、今でも基本的には相手方と相談しながら例外的に認めていたのですが、これはもう認めない、国において対応する形にさせていただきました。

 ここで1点、貸し付けた後に、例えば地下埋設物が出た場合には、貸付中の財産であれば、そういう是正を行うのは貸主の義務になるわけですけれども、それを行わないために、事前に土壌汚染や地下埋設物の状況を的確に把握する。見直しの方向性では、規模の大きな財産などという形でいただいたところでございますけれども、規模が大きいだけではなくて、地歴などを確認して、小さな財産でも蓋然性が高い財産については地下埋設物等の状況について調査を行うことにさせていただいたところでございます。

 それから、特別会計所属の普通財産の契約事務委任につきましては、役割分担、責任分担が明確ではないという御指摘がございましたので、それぞれの役割、責任について通達において明確化するという対応をさせていただいたところでございます。さらに、それぞれの事務の委任範囲についても細かく書かせていただくような対応をしたところでございます。

 それから、4ページに(7)利用計画等の審査がございますが、今後の改正予定でございます。これは後ほど説明をさせていただきます。

 5ページの(8)の①取引の手続き等の明確化につきましても、今まで入札では割と詳しく入札の手引などという形を出していたところでございますけれども、公共随契についても、ホームページなどであらかじめ手続きの流れ等を示すようなことといたしますし、受付時においても必要な手続きを記載した書面を用いて相手方に説明する形にしたいところでございます。

 それから、②の契約前の開発行為等の取扱いにつきまして、事業の円滑な執行のためには、財務省においてそういう申し出があれば個々に対応していたところでございますが、例えばボーリング調査などについては行えますということを明確化したいと考え、開発許可の協議についても、相手方が決定する前でも、地方公共団体との協議につきましては認める、ただし、看板設置になると、これは相手方が明らかになり、無用な誤解を与えることになりますので、それは認めない形で明確にしたということでございます。

 5ページ、③の地方審議会への付議・報告でございますが、地方審議会にかける場合には認可が前提であることはよくあることでございます。認可されれば処分をするような手続きはよくあるのですけれども、それが通達には書いてなかったので、それを、手続きを明確にする形にさせていただいたところでございます。

 次の6ページでございますが、取得等要望の受付につきましては後ほど説明をさせていただきます。

 価格の客観性の確保も、例えば契約前に判明しているような瑕疵は特定して、瑕疵担保責任の対象とならないことを契約書に書いたり、瑕疵担保責任の範囲は売払代金の額を上限とすることは運用上やってきたところでございますが、こちらも通達で明記することにさせていただいたところでございます。

 第三者チェックにつきましては、後ほど説明させていただきます。

 それから、国有財産評価事務の適正化、文書管理につきましては、後ほど説明させていただきます。

 7ページをお開きください。今後、通達改正を予定している事項で、先ほど概要で説明させていただきましたけれども、利用計画等の審査ということで、認可権者と財務局の審査の項目とか、それを役割分担すべきであるということで見直しの具体的な方向性をいただいたところでございます。今後、この会での国有地の有効活用の更なる推進の議論の中では、定期借地の対象事業などが拡大されるのではないかと思っているところもございまして、その議論を踏まえて対応ができたらと考えているところでございます。

 次の(8)の④も同じでございまして、これから有効活用する場合に、例えば複雑な施設があるケースなどいろいろあり、現行の3カ月よりも長くすることを検討するような見直しの方向性をいただいておりますので、これも国有地の有効活用の更なる推進の議論を踏まえて検討したいと考えているところでございます。

 それから、2番の(1)の処分価格等の明確化につきまして、基本的には処分価格の算定は、我々、不動産鑑定評価において算出しておるところでございますが、まれに、例えば森友学園のケースであれば第三者という大阪航空局に地下埋設物の処分費用については見積りをお願いしたわけでございます。国同士ということもあったわけでございますけれども、地下埋設物の撤去費用等の見積りにつきましては民間精通者において行ってもらう、事前にわかっていればそういう形をとりますが、事後的に必要な場合であっても、不動産鑑定士にやっていただくなり、もしくは業者にやっていただくなり、少なくとも国の内部ではやらないとしております。さらに、減価が大きい場合には第三者チェックをお願いする。それから、契約の締結後に仮に瑕疵が判明した場合においても、原則、瑕疵担保責任において対応することになるわけでございますけれども、その価格が適切であるかどうかも第三者チェックを行うことで見直しの方向性をいただいたわけでございます。この第三者チェックのスキームなどの具体的な規定内容については、今、検討しているところでございます。

 (2)国有財産評価事務の適正化につきましても、第三者チェックのスキームなど、具体的な改正内容の検討を踏まえて検討をしたいと考えているところでございます。

 3の文書管理につきましては、行政文書の管理に関するガイドラインに基づいて、意思決定過程の重要な打合せ記録でございますとか、文書の作成・保存の徹底を図ることとあわせて、決裁文書に編綴するような資料とか、契約に関して記載すべき内容を明確化して決裁文書の充実化を図るという見直しの方向性をいただいたわけでございます。先ほど申し上げましたけれども、決裁文書の書き換えに関する対応を踏まえて必要な対応を検討したいと考えているところでございます。

 私からの説明は以上でございます。

〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。

 それでは、今の説明内容に関しての御意見、御質問がございましたら、どうぞ。

〔 川口委員 〕 7ページの2の価格の客観性の確保の処分価格等の明確化の下から5行目、相応の時間を要する。森友学園の事例でいきますと、2016年3月にごみが発見されて、向こうの代理人から損害賠償みたいな話が出てきたのが3月です。鑑定評価をお願いしたのが4月15日で、先ほど御説明いただいた。6月に随意契約を結ばれた。そうすると3カ月ですね。この相応の時間を要するというのは、相手方は急ぐのでしょうけれども、相応の時間の具体的なイメージというのは、3カ月、あるいはそれを超えてという読み方でしょうか。

〔 明瀬国有財産業務課長 〕 特に減価が大きい場合の第三者チェックなどを行うとなるとさらにプロセスも増えたりということもあります。まず1つは、仮に不動産鑑定評価からさらに埋設物を試算する場合に、これを第三者にお願いするか、もしくは不動産鑑定士がやっていただくケースもあるかと思います。仮に第三者で行う場合には、その入札手続きとかもございますので、3カ月というわけではなくて、どういう時間軸にするのか今検討しているところでございます。十分に時間をとることとして、しかもそういうようなものであることを通達などに明記をして、国に対してそういう責任を負わないような形でできればと考えているところでございます。

〔 川口委員 〕 もう1つですけれども、客観性ということを今までも担保されてきたと思います。今回、特に国会等でそれが認められない。要するに、8億円の値引きは大き過ぎるということですね。適正な値引きであったとしてもそういう意見を言い張る人はありえます。そういう意味で、私自身は、いくら財務省で、いや、客観的ですよと言っても信じてもらえないので、第三者がそれを負うような仕組みとする。今後は森友学園案件のような特殊はないんでしょうけれども、政治家が関与することはいろんな意味であるかもわかりません。そういう場合での第三者機関をどうするかは今後検討されるという理解でよろしいでしょうか。

〔 井口国有財産企画課長 〕 御説明します。本年1月のときにまさに川口先生からその議論をいただきました。今回の場合、おそらく我々として、大阪航空局は財務局ではないので第三者性が十分あると考えたのだと思うのですが、よく考えてみれば、土地の所有者そのものであったわけです。損害賠償のおそれがあって急ぐ中で、手続上認められていたのでお願いをしてしまったということだと思います。今後は、当事者はやらないという意味で第三者にお願いする。ただ、第三者にお願いするとなると、会計上の手続きもあり、時間がかかりますが、時間がかかることは承知の上でこの取引に入ってくださいということを決めたのが今回の手続だと思います。

 ですので、どのぐらいの時間がかかるのかということも明示しないと、取引関係に入る人がどのぐらい待たされるのかわからないということになりかねないので、そこをはっきりさせた上で通達など整理したいという趣旨でございます。

〔 角臨時委員 〕 今の話の続きみたいなことになると思うんですけれども、確かにぎりぎりになると最後は相手が訴訟を起こすという話、それは必ず可能性としてあると思うんです。もちろん、リーガルリスクは小さくすべきだと思うんですけれども、訴訟を起こされることについてどういうふうに捉えていらっしゃるのか。ぎりぎりになったら、最後はもう裁判官の前で決めてもらうという話なのか。それとも、訴訟は起こされたらおしまいだと思っていらっしゃるのか。何か相場観で結構ですけども、ちょっと教えていただきたいのですが。

〔 井口国有財産企画課長 〕 その点につきましては、本来は、できるだけ訴訟に関与しない方がいろんな意味でいいかと思います。ただし、今回について言いますと、訴訟になったとしても、あるいは、損害賠償のおそれがまさに現実化したとしても、やっぱり手続を踏むべきだったというのが今回の反省点の一つだと思います。あえて訴訟にするということではないと思いますが、手続が待てないということであれば、最悪そういうことも起こるかもしれませんが、手続上やむを得ないという覚悟で臨んでいくということかと思います。

 最近、情報開示等で訴訟に移行しているものもあります。その意味で、我々が望まなくても訴訟になることはあり得ますので、やるべきことをやった上で、最終的に訴訟になるのは恐らくやむを得ないという形にならざるを得ないのではないかと考えております。

〔 小林分科会長 〕 ほかはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。

 それでは、これをもちまして、今回、財政制度等審議会第40回国有財産分科会を終了させていただきます。

 次回は事務局からまた御連絡申し上げます。先ほど私が申し上げましたようなタイミングでもう一度と思っておりますので、よろしくお願いします。

 なお、本日の資料、議事要旨、議事録は、会議後にインターネットに掲載いたします。記者レクについては事務局で対応させていただきます。

 それでは、本日、御多用のところ誠にありがとうございました。



 

午後3時26分閉会