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国有財産分科会(平成26年4月24日開催)議事録

財政制度等審議会 第24回国有財産分科会 議事録

平成26年4月24日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 第24回国有財産分科会 議事次第

 

平成26年4月24日(木)9:30〜11:45
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)
 1.開会の辞
 2.議事
  (1)庁舎等使用調整計画について
    ・ 質疑
 (2)証券市場関係者からのヒアリング
  

  マル1日本証券業協会

  

  マル2野村證券株式会社

  

  マル3株式会社東京証券取引所

  

  ・  質疑

 

3.

閉会の辞

   配付資料
 資料 1

平成26年4月24日諮問文

 資料 2

庁舎等使用調整計画の変更

 資料 3新規上場株式の価格決定方式及び従業員持株会への親引けについて
 (参考1)有価証券の引受け等に関する規則及び同細則(抄)
 (参考2)株券等の募集等の引受け等に係る顧客への配分に関する規則
 (参考3)親引けガイドライン
 (参考4)持株制度に関するガイドライン
 資料 4株式市場/IPO市場の動向等について
 資料 5親子上場の事例と株価の推移
 資料 6東京証券取引所への上場について

   出席者
 

分科会長 

 佃   和夫

           

  林

 理財局長 

    

  美並

 理財局次長

        委員  荒谷  裕子

 

  谷内

 理財局総務課長
   佐谷  和江

  

  角田

 理財局国有財産企画課長
   山内  弘隆

  

  岡本

 理財局国有財産調整課長
   横溝  タカ

  

  内野

 理財局国有財産企画課
   

 

  

 政府出資室長
 臨時委員  緒方  瑞穂

 

  

 
 

  角  紀代恵

 

 参考人

 

  川口 有一郎

 

  平田 

 日本証券業協会常務執行役

  児玉  平生

 

  内尾 

 日本証券業協会自主規制本部

  林田  晃雄

 

   

 エクイティ市場部総括部長

  望月 久美子

 

  奥田 

 野村證券株式会社常務執行役員

  持永  勇一

 

  田中 

 野村證券株式会社公共法人部

  吉野  直行

 

   

 マネージング・ディレクター

  

 

  静  

 株式会社東京証券取引所

 専門委員 林   正和

 

  

 常務取締役

  

 

  林 

 株式会社東京証券取引所

  

 

   

 上場部企画グループ統括課長

      

 

 

   

 

 
 

 

 
     

午前9時30分開会

 

〔 佃分科会長 〕 おはようございます。ただいまから財政制度等審議会第24回国有財産分科会を開催いたします。

 大変皆様お忙しい中御出席をいただきまして、大変ありがとうございます。

 なお、野城智也委員及び角紀代恵委員におかれましては、御都合により少し遅れて御参加なさるということでございます。

 まず初めに、庁舎等使用調整計画についてでございます。

 お手元にお配りしております資料1「中央合同庁舎第4号館に係る庁舎等使用調整計画の変更について」が、本日、財務大臣から財政制度等審議会に諮問されました。

 この諮問につきましては、財政制度等審議会規則によって、当分科会の了承が財政制度等審議会の了承となります。

 それでは、事務局より御説明をお願いいたします。

〔 岡本国有財産調整課長 〕 おはようございます。それでは、早速御説明さしあげたいと思います。

 資料の1枚目は先ほどの諮問・答申手続きでございますが、資料2をご覧いただきたいと思います。中央合同庁舎4号館の使用調整計画につきましては、昨年の6月に、4号館に今入居しております内閣府、あるいは総務省の公害等調整委員会が、新たに官邸の向かいに内閣機能の集約を主な狙いとして建てられます8号館に移転するということで、それによって生じる空きスペースに、現在、民間からオフィスを借りている消費者庁や復興庁、あるいは公益認定等委員会を入居させ、それによって借り受けの解消を図る。同時に、今、青海の総合庁舎に入っております海上保安庁の海洋情報部を業務効率化のために4号館に入居させるという内容で、当分科会で御了承をいただいたところでございます。

 その後、事情の変更が生じまして、先般、4月11日に改正国家公務員法が成立いたしました。これに基づきまして、新たに全省庁の幹部職員人事を一元的に担う内閣人事局が設置されることになりました。この内閣人事局の設置場所につきましては、内閣官房、内閣府から、4号館から8号館にもともと移転を予定しておりました総務省の公害等調整委員会の代わりに、内閣人事局を8号館に入居させたいという要請がありまして、これに伴いまして公害等調整委員会を現行のまま4号館に留めます。そういたしますと、調整の対象になります面積が減ります。床面積を1万5,000平米から約1万4,000平米に減らす。そういう方向で4号館の使用調整計画を変更する必要が生じているというものでございます。

 なお、8号館を含めました新築庁舎の入居調整につきましては、国交省の官庁営繕が担当しておりまして、私どもの使用調整計画は、既存庁舎の入居調整を効率的な使用の観点から行うというもので、その対象外になっておりますので、念のために申し上げます。

 具体的な変更内容でございますが、資料2の下段をご覧ください。表がございますけれども、2点ございます。

 1つは、先ほど申しましたように、公害等調整委員会を、4号館の10階なのですけれども、そこに残留させるということに伴いまして、同じ4号館の10階に民間から移る予定であった復興庁の事務室がそのフロアでは足りなくなりますので、別途6階にも事務室を手当てする。同時に、今年度から復興庁は定員が増えておりますので、その分も勘案いたしまして、割り当てスペースを約320平米ほど拡充させたいというのが1点でございます。

 もう1点は、先ほど申しました復興庁の事務室を新たに別の階に割り当てるということから、昨年の計画では、そのスペースに民間から入居予定であった内閣府の公益認定等委員会の4号館への移転を取りやめることとさせていただきたいという点でございます。

 これに伴いまして、資料の右下にございますように、民間からの借受料につきましては、同じ内閣府の消費者委員会と合わせた数字ですけれども、借受料年額が2.6億円から0.9億円、また、復興庁、消費者庁の借り受け解消を含めた計画全体では、当初の9.7億円から約8億円に、約1.7億円ほど圧縮されることになります。

 なお、民間からの借り受け庁舎につきましては、先般公表されましたけれども、日本郵政が所有する旧郵政省が入っておりました経産省の隣のビル、これは日本郵政ビルでございますが、これを大手町にあります国有財産と交換することにより、平成30年度以降、国の庁舎として取得する予定でございます。その際には、公益認定等委員会を含めまして借り受けの解消を図ってまいりたいと考えております。

 私からは以上でございます。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

〔 佃分科会長 〕 ただいまの御説明につきまして御意見、御質問がございましたらお願いいたします。

〔 林田委員 〕 御説明ありがとうございます。別にこの結論に反対というわけではありませんが、仮に内閣人事局の新設を規定した国家公務員制度改革関連法が今国会で成立しなかった場合は、公害等調整委員会は予定どおり3月に完成した合同庁舎8号館に移転していたということになるのでしょうか。

 例えばの話ですけれども、来年の通常国会でこの法律が成立する。そうすると、やはり内閣人事局は官邸の近くに置きたいということになって、またそこに一旦入ったものをこじあけて、どこが移るのかわかりませんが、内閣人事局を入れるというと、短期間の間に行ったり来たりということも起こり得たと思います。

 国家公務員制度改革関連法というのは色々曲折があって、廃案に2度なっておりますし、なかなか先が読みにくいということはあったのでしょうが、昨年秋の臨時国会の段階で、自民・公明・民主の修正合意が成立しておりまして、その時は色々な事情で継続審議になったわけですけれども、この国会で成立するであろうということは大体見えていたと、我々取材する側はそう受けとめておりました。

 国会で成立していない法律を先回りして、内閣府なり、内閣官房が場所をとるというのは難しいということは実際にそうだろうと思いますし、無論、国会を尊重するということは大切だとは思うのですけれども、建前を重視するあまり、短期間で引っ越しをして、幾らかかるかわかりませんが、相当なお金がかかるといった無駄を看過するようなことになってはいけないのではないかという気がします。

 多分水面下でいろいろと御検討はされていたのだと思いますが、上手に対応できなかったのかということをお尋ねするのも何か事務局の方に申し訳ない気がするのですが、何かいい知恵というか、こういったことに直面した場合に、後々お役所仕事だねと言われないようにするにはどんな知恵があるのかお考えがあれば、お聞きしたい。

〔 岡本国有財産調整課長 〕 御指摘ありがとうございます。今回の内閣人事局の事務室の手当てについては、確かに御指摘のとおり、国家公務員法が成立しないとそもそも組織ができないということで、なかなか当初の段階では見通しが立たなかった。ただし、おっしゃったとおり、年末に3党合意もできて早期に成立を図ろうという約束はありました。ただ、政権内でも内閣人事局の職務内容とか規模についても色々御議論がある中で、具体的にいつ成立するかという見通しが立たなかったと。一方で、全省庁の幹部人事を担当するということで、内閣府側としては官邸の近くに事務所を設置したい。そういう事情もありましたので、場所としてはとにかく官邸周りのどこかで、かつ、特に今後、この間建ちました8号館については、内閣府、官邸機能の強化の一環ですので、できればそこに入れたいというのは大体方向としてはあった。

 今回、たまたまギリギリ何とか、去年立てた計画を物理的には実施しないで、公調委を動かさない前提で入れることになったので助かったのですけれども、今後もできるだけ先を見通して無駄が生じないようにはしたいと思います。

〔 佃分科会長 〕 そのほかにございませんでしょうか。

 よろしゅうございますか。それでは、庁舎等使用調整計画について了承したいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

 

〔「異議なし」の声あり〕

 

 〔 佃分科会長 〕 それでは、原案どおり国有財産分科会として了承することといたします。

 次の議題ということで、日本郵政株式に関する調査審議といたしまして、証券市場関係者からのヒアリングを行います。

 本日は、日本証券業協会、野村證券株式会社、株式会社東京証券取引所から御説明いただくこととなっております。

 なお、前回の御質問に対する回答につきましては事務局から報告がございます。では、お願いします。

〔 内野政府出資室長 〕 前回御質問がございました親子上場の事例と上場後の株価の推移につきましては、野村證券株式会社に御協力をいただきまして資料を作成いただきました。後ほど野村證券様から御説明いただきますので、その際にあわせて内容も御説明いただくことにしております。よろしくお願いいたします。

〔 佃分科会長 〕 それでは、証券市場関係者にお入りいただき、御説明をいただきます。

 なお、御質問等は、3社の説明が全部終わった後、一括してお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

 〔 証券市場関係者入室 〕

 

 〔 佃分科会長 〕 それでは、日本証券業協会・平田常務執行役から御説明をお願いいたします。

〔 平田日本証券業協会常務執行役 〕 ただいま御紹介に預かりました日本証券業協会の平田でございます。本日はよろしくお願いいたします。

 座らせていただいてお話をさせていただきたいと思います。

 お手元に資料3「新規上場株式の価格決定方法及び従業員持株会への親引けについて」という表題の資料を御用意させていただいていますが、その資料に基づきましてお話をさせていただければと思います。

 まず、本日、このような機会を与えていただきましたことに関しまして厚く御礼申し上げたいと思います。なお、実は、私ごとで恐縮でございますが、この後大阪の方に出張に出なければいけないので、10時半過ぎをめどに退出させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。もし何かその後に御質問があるようでしたら、隣におりますエクイティ市場部の内尾でお答えをさせていただきたいと思います。

 では、資料を1枚おめくりいただきますと、今日お話をさせていただく2つの件に関しまして、コンテンツとして掲げさせていただいております。

 1点目は、既に前回事務局の方から御説明をされたということをお聞きしておりますけれども、新規上場株式の価格決定方式、ブックビルディング方式につきまして、おさらいを兼ねまして、簡単にその仕組みに関して御紹介をさせていただきたいと思います。その後に従業員持株会と親引け規制との関係についてもお話ができればと考えてございます。

 それでは、お手元の資料、4ページをご覧いただきたいと思います。新規上場株式の価格決定方式でございますが、まず新規上場する際には、現在、2つの方式によって価格決定がされるような仕組みになってございます。資料には東京証券取引所の上場規程の写しをつけておりますけれども、その233条に「上場前の公募等の手続」ということで、ブックビルディング、もしくは競争入札による公募を実施するということが記載されております。

 価格決定方式に関しては、ブックビルディングを行う場合には、その下の234条の(1)の部分でございますが、ブックビルディングにより把握した投資者の需要状況をもとに価格を決定するということにされてございます。

 もともと、平成9年以前は入札方式で株式公開が行われておりまして、過去行われましたNTTをはじめとする多くの民営化企業に関しましては入札方式で実施されておりましたが、平成9年以降は主にブックビルディング方式が扱われ、今IPOが行われているという状況になってございます。

 5ページをご覧いただきますと、ブックビルディング方式のプロセスを記載させていただいております。基本的には、ブックビルディングにより把握した投資家の状況に基づいて、払い込みまでの間にかかる相場変動リスクを勘案して、総合的に価格を決めるというプロセスをとるわけでありますが、まず届出書を提出する前に、理論価格等をもとに想定発行価格を決め、届出書にそれを記載し、その後、実際にロードショー等で機関投資家に対してヒアリングを行った上で仮条件というものを決め、その仮条件をもとに、ブックビルディングといういわゆる機関投資家を中心とした需要調査が行われ、正式に公開価格が決まるという流れになっているわけであります。

 もともと、この方式に関しましては、入札方式がうまくいかなくなってしまったことを受けて、米国で導入されていたものを平成9年以降日本でも新規公開に持ち込んだのですが、個人投資家に需要を聞くと様々な価格が提示をされてしまうということがございまして、現在は機関投資家を中心にブックビルディングが行われているという実態にございます。

 具体的に、それぞれの想定公開価格、あるいは仮条件、公開価格の決定についてお話をさせていただきたいと思います。

 6ページをご覧いただきますと、まず想定価格の決定方式でございますが、基本的には、当該発行会社がどういう事業内容なのか、利益計画がどのようになっているのかをもとに、既に上場している類似の企業との比較を行う、「類似会社比準方式」というフォーミュラに基づいて「理論価格」を算出します。

 その後、その「理論価格」をベースに、投資家の需要の見込み、あるいは期間リスク等を勘案し、主幹事証券と発行会社で協議をした上で、想定価格というものを決めるということが行われております。

 この「想定価格」につきましては、そこに記載のとおり、届出書に記載される資金調達額の金額の見込みの基礎となる株価として、投資家に対して特に勧誘が行われる時に提示がされるという価格になるわけでございます。

 7ページでございますが、その後、想定価格をもとに、主に価格発見機能に優れた機関投資家の間を発行会社と証券会社が一緒に回りまして、「ロードショー」というものを実施します。そこで、機関投資家の意見を様々に吸い上げるという作業をさせていただくことになっていまして、妥当な価格、あるいは申込予定数量をベースに、どのぐらいの価格であれば市場が受け入れるのかという協議をさせていただいて、ある一定のバンド、価格帯で仮条件を決めるということになってございます。

 これを仮条件と呼びますが、1回目の訂正届出書でこのバンドがこういう形で決まったという訂正が行われております。大体、仮条件の下限の価格から15%ぐらいディスカウントした価格というのが、今、会社法上の払込価額となるという形になってございます。

 この仮条件をベースに実際のブックビルディングが実施されるということで、8ページでございますが、仮条件のバンド帯を、様々な実際に興味のある機関投資家を中心にヒアリングをするという作業がございます。通常、大きな会社ですと複数の証券会社が幹事団として参加をしておりますが、それぞれの会社、証券会社が様々な機関投資家にヒアリングをし、その結果を主幹事証券に集めて集計を行うという作業が行われております。

 主幹事証券はこれを集計しまして、ブックビルディングにおいて需要が最も多かった価格の状況、あるいは申し込みの分布状況等を勘案の上、発行会社と協議をし、最終的に「公開価格」を決めるというやり方になっているということでございます。基本的にはこのような形で価格を決めることによって、非常に合理的な価格決定ができるということになってございます。

 今日は時間がないので御説明できませんが、我々で定めさせていただいております引受規則を添付させていただいております。その引受規則の中には、実際にブックビルディングの方法に関しまして、証券会社が守るべき行為に関して規定をさせていただいておりますので、この辺の手続はそれぞれの証券会社が勝手にやっているわけではなくて、きちんと共有化されたルールのもとで行われているわけです。もしこのルールに基づいて行動しなければ、日証協の罰則がかかるという性格の規則が存在しているということで、現在、IPOの公開価格の決定方式というのはそれなりのきちんとした手続に基づき、合理的に価格決定が行われているという状況になっているということでございます。

 この辺につきましては、既に事務局から御説明がされているということでございますので、もし何か御質問があるようでしたら、後ほどお聞きをさせていただきたいと思います。

 続きまして、9ページ目の従業員持株会への親引けについてのお話をさせていただきたいと思います。

 まず、10ページをお開きいただきたいと思いますが、そもそもIPO、新規公開時の公募増資、あるいは売出しに関しましては、広く一般の投資家を含めて配分が行われるべきだという公正性の考え方が昔からございましたが、現在は、証券会社による配分に求められる基本的な考え方として、公正性、それから合理的な理由なく特定の投資家に偏ることがないことが我々の配分規則というきちんとした規則の中に立て付けられおります。

 特に日本の場合は、IPOに関しましては一般の個人投資家が広く参加をするマーケットであったということから、考え方としては広く不公正がない形で参加した方に配分が行われるということが前提になっていたわけでありますけれども、ここ数年、セカンダリーのオファリングも含めまして、やはりリスクのある上場会社さんもあるといったことから、必ずしも全ての投資家に対して一律にそのリスク関係なく配分するという考え方はいかがなものかという考え方も示されたものですから、公平性という考え方は少しちょっとトーンダウンしておりまして、むしろ公正性を考え方として強く出していこうという考え方に切りかえて、ルールの見直しをしているということでございます。

 このような考え方をベースにしまして、次のページでございますが、親引け規制というのが古くから作られておりました。親引けに関しましては、元をたどりますと、昭和47年の証券取引審議会の中で、時価発行公募増資についての考え方が示された折に、やはり広く一般の方々に対して公正性、公平性を確保するために、特定の発行会社が指定した者への配分というものをできる限りやめましょうという考え方が示されました。それを受けて、引受証券会社の自主ルールとして制定されたのが契機となっております。

 現在は、日本証券業協会の規則として立て付けられておりまして、原則としてはこの親引けに関しましては禁止がされているということになってございます。そこに四角で囲っておりますが、親引けとは、「発行者が指定する販売先への売付けをいい、販売先を示唆する等実質的に類似する行為を含む」ということでございます。例えば、公募増資と同時に発行されるような第三者割当というものに関しましても親引けに該当する蓋然性が高いので、こういうものについてはある意味規制がされるべきであるという考え方が示されているということでございます。

 なぜ禁止されたのかというのは、昭和47年の当時はいわゆる持合いが非常に多く存在していた。この持合いを解消するという一つの目的があったということでございまして、発行者による株主や支配権の存在の恣意的な選択を抑止するというようなこと、あるいは持合いを助長しないというような目的でこの規制が入ったわけでありますが、その後大分時間が経ちまして、現在では、主に特定の者への利益供与に当たらないという考え方のもと、この親引けルールというものは現在も存続をしているということになってございます。

 ただ、実は平成24年に大改正をしました。従来、一律に親引けを禁止し、特定のものだけを例外として解禁をするという考え方がございまして、具体的には、12ページに記載のとおり、そのマル1からマル5に記載をしてあるような例示の事案以外は全て親引けは禁止をするということになっていたわけでございますが、先ほどお話をしたように、やはりそれぞれのIPOの特性、リスク等を勘案すると必ずしもこれだけに限らず、もう少し広い範囲でやってもいいような親引けもあるのではないか。それぞれのイシューに基づいて、やはり引受証券会社がきちんと判断し、発行会社と相談した上で実施をすべきではないかという考え方が示されたことから、この改正に至りました。平成24年以前に関しましては、主にいわゆる資本関係の維持、それから従業員持株会に対してのみ親引けを解禁をするという考え方が示されていたわけであります。

 13ページにございますとおり、趣旨に反しない親引けであるかどうかを引受証券会社が判断をした上で、実際に過去の先ほどお示しした5つの事例をもとに、さらにそれをどういう形で広げていいのかということを具体的に検討していただき、適正であるということを判断した場合に関しましては開示をしていただくという形に修正をさせていただいております。

 ただし、基本的には払込期日から180日間はロックアップ、いわゆる保有をし続けてくださいという制限を入れさせていただいておりまして、短期に売却をする目的、いわゆる短期の利益供与目的での配分というものは引き続き禁止がされるような仕組みになっているということでございます。

 今、IPOに関しましては、主に従業員持株会への配分が行われておりますので、従業員持株会への配分について特にスポットを当てて御説明をさせていただけばと思います。15ページをご覧いただきますと、既に皆さんよく御存じだと思いますが、従業員持株会というものが多くの企業で存在しています。特に従業員への福利厚生の増進だとか、あるいは経営の参加意識の向上を目的に資産形成をするということで、一定額毎月給料等から拠出をしていただき、持株会が定期的に自社株を買い付けるという仕組みでございます。

 現在、東京証券取引所の上場会社の約9割が従業員持株会を設立しておりまして、上場企業全体で時価総額としては3兆円の持株を持っていると言われております。全体の約1%の保有比率に当たるようなものが従業員持株会で持たれているということになってございます。

 この従業員持株会と親引けの関係でございますけれども、16ページをご覧いただきたいと思います。基本的には原則として親引けは禁止しているものの、IPOという一つの記念すべき株式公開の時点にあって、やはりそれまで頑張ってきた従業員に報いるという意味もございまして、ここの部分に関しましては特定の親引けは認めてもいいのではないかということで、10%を限度として過去から認めてきたという経緯がございました。

 今は10%という形で必ずしも制限をしているわけではありませんが、実際に従業員持株会が拠出できる金額の範囲で、適正な水準で買っていただくということが慣行として行われております。ただ、持株会も小さいIPOの企業ですと10%までなかなか買えないという企業が多くて、概ね従業員持株会への親引けはされているケースが多いわけでありますが、10%上限まで親引けしているケースはそれほど見受けられないというような状況になってございます。

 したがいまして、平成24年の改正前には原則禁止の適用除外になっていましたけれども、ここは過去から認めておりましたし、今後も従業員持株会が親引けをするということは基本的には認められる行為だということが考えられております。過去、民営化の企業が行った親引けも、NTT等は親引けはなかったわけでありますが、JT等では親引け等が見受けられておりまして、従業員持株会等への配分が行われたという経緯があると言われております。

 大変雑駁ではございますけれども、私からのお話は以上でございます。ありがとうございました。

〔 佃分科会長 〕 続きまして、野村證券株式会社・奥田常務執行役員から説明をお願いします。

〔 奥田野村證券(株)常務執行役員 〕 ありがとうございます。ただいま御紹介いただきました野村證券の奥田と申します。インベストメント・バンキングのヘッドをしております。本日はこのような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 早速ではございますけれども、今日は、株式市場の近況、それからIPO市場の最近の動向につきまして御説明をさせていただきたいと思います。

 資料の4をご覧ください。まずページをめくっていただきまして、3ページ目にお進みいただきますと、「株式市場の動向」というグラフが出てこようかと思います。この赤線のところが日経平均、それから棒グラフのところが出来高になっておりまして、日経平均につきましては右側で、最近、1万8,000円ぐらいのところを弊社として予想していますというのが出ています。左側が売買代金の推移でございまして、上は80兆円までということになっております。

 御承知のとおり、いわゆるアベノミクス相場ということで2012年以降株価がかなり上昇してきております。2013年の日本企業の業績の実績につきましても大幅な増益となっておりまして、株価の上昇につきましては、業績の裏づけもしっかりあるということで上昇しているのかなと。それから、株式売買代金につきましても昨年は顕著に増加しておりまして、市場の厚みが増してきているということが言えようかと思います。

 最近の株価動向につきましては、米国の金融緩和の縮小及び海外、それから新興国の景気動向の影響などを受けまして、また消費増税の影響などに対する懸念等もあるのかもしれませんが、少し軟調になってきているということでございます。ただ、様々な政策的な対応もとられていることもございまして、日本経済は増税後も堅調に推移して、株式市場も上昇傾向で動いていくのではないかというのが弊社の予測でございます。

 それでは、次の4ページをご覧ください。世界の株価指数の推移でございます。赤線が日経平均となっております。ご覧いただきますと、2008年9月のリーマン・ショック後の株価の推移を各国ごとに並べてございますが、日本の株価も上場してきてはいるものの、まだ当時の水準までは届かず、それから、海外と比べましても少し遅れ気味というところが見て取っていただけるかと思います。

 それでは、6ページ目をご覧いただきますと、「IPO市場の動向と株式オファリングの規模について」というところで、その中の日本のIPO市場の動向について御説明させていただきます。上の方のグラフがIPOの金額、下の方がIPOの件数になっております。まず、下のIPOの件数につきましてご覧いただきますと、2007年のリーマン・ショック以降かなり大幅に減少していまして、2006年度は187件、2009年度には19件というところまで大幅に減ってきております。

 この理由は、株式市場の軟調が大きかったのでございますけれども、景気減速によりまして企業業績も悪化し、IPOを予定していたところも延期したというようなこともあります。言うなれば、供給サイドの減少の影響というのが非常に大きくなってきております。一方で、ここ足元の動きをご覧いただきますと、景気の回復、企業業績の回復に伴いまして、IPOを検討される企業が増加してきているというのが現状でございます。

 また、上をご覧いただきますと、大型のIPOを少し名前を入れて、金額も記載してございます。数千億から1兆円の規模の案件も概ね継続的にここ何年間では実施をされてきておりまして、例えばでございますけれども、リーマン・ショック以降につきましても、第一生命さん、あるいは日本航空さんといった大型のIPOが実施されて、市場できちんと消化をされているということでございます。

 次の7ページ目にお進みください。こちらは世界のIPO市場の動向でございます。左の棒グラフをご覧いただきますと、金額の推移を書いてございます。下の方から、青いところが中国、茶色いところが米国ということで、以下、上の方にずっと細かく書いてありますけれども、世界のIPO市場というのは、右側の円グラフをご覧いただきますと、2010年からの集計ですが、中国が25.9%、米国が24.2%ということで、日本はその2国に続く第3位でございますが、金額ベースでいきますと5.7%で、大きさという意味では少し両国の後塵を拝しているということでございます。中国企業につきましては景気の先行き不安等もございまして、昨年、一昨年と少しずつ金額が落ちてきてございます。一方で、米国は早目に株式市場がターンアラウンドしましたので、マーケットの上昇にも乗りまして、金額も件数も増えている。というのが、最近の米国、中国、また各国の動きということでございます。

 8ページ目をご覧ください。こちらのページにつきましては、世界のIPOの金額、それから株式市場の規模を少しご覧いただければと思いまして、出してございます。左側が時価総額、右側が世界の市場の売買代金になっております。こちらも、日本企業につきましては米国の2大市場に次ぐ規模ということで、市場の大きさをご覧いただければということでございます。

 それでは、9ページ目を見ていただけますでしょうか。こちらは日本の大型の株式オファリングについて並べてございます。左側は新規公開の時の大型のIPOです。右側はPOとなっていますけれども、公募で、フォローオンとも呼んでいますけれども、その後のIPOをした企業が資金調達する時のサイズを載せたものでございます。

 NTTの株式の売出しをはじめとする民営化の案件がやはり大型のものには非常に多くございまして、1987年のNTTの第2次の売出しは約5兆円という規模ですが、これは当時のバブル経済の環境下の中でのサイズということで、現状で参考になるかなというのはちょっと難しいところかもしれません。したがいまして、市場環境にもよりますけれども、概ね1兆円から2兆円の案件がここ20年ぐらいの間では出てきているというのが実績だというふうにご覧いただければよいかと思います。

 10ページ目にお進みください。こちらは世界の大型の株式オファリングにつきまして、同じように1番から60番まで見たものでございます。世界的に見てみましても、大規模な案件という中では2兆円程度の、左の方から一番上のNTTさんの例でいきますと、時期が1987年、NTT2回目、Japan、403億USドルは100円で計算しますと4兆円ぐらいのものでございます。

 こういうサイズでいきますと、2兆円程度の案件というのは存在してきているのですけれども、それを超えるのは非常に限られている。このケースでいきますと、NTTさんとブラジルのPetrobrasさんの2件だけになっていますが、このようなところが世界のトレンドだというふうにご覧いただければと思います。

 続きまして、大型のIPO案件の株価推移ということで、幾つか実例を少し掲載させていただければと思いまして、13ページ目にお進みいただけますでしょうか。先ほど、IPOの価格決定につきましては、日本証券業協会の平田常務様から詳細な御説明がございましたけれども、想定仮条件、それから仮条件レンジを経まして、最終的な公開価格の決定という3段階のプロセスを経ております。その中で、投資家の意向も十分に反映した適正な公開価格を決定するようにということで努めております。

 例えば、13ページ目は第一生命さんの概要と株価推移をご覧いただけるかと思います。左側の囲みの中に出ておりますけれども、IPOの総額につきましては1兆89億円です。それから、日程が以下に書いてございまして、価格決定の中でございました想定仮条件は15万円、仮条件で、もともとマーケットに提示していますのが12万5,000円から15万5,000円、最後にIPO価格は14万円に決まりましたということでございます。

 グラフの方はそれを時系列で追っておりますが、IPO価格の14万円というところで線を引いております。上場日の時は、株価は少し14万円よりも高く、その後、マーケットの動きに応じまして株価は推移しています。

 一方で、棒グラフをご覧いただきますと、売買代金でございますが、上場日、それから上場直後はやはり大きくて、その後マーケットの中で消化されながら、ある程度安定した動きになっていくということがご覧いただけるかと思います。株価につきましては、IPO価格を上回ることも下回ることもあるのかなというのが見て取っていただけるかと思います。

 以下、日本航空様、サントリー食品インターナショナル様、こちらは昨年度でございます。ジャパンディスプレイ様といったところが、日本の典型的な大型の例ということで最近のものを掲載させていただいております。

 17ページ目をご覧いただけますか。こちらはGeneral Motors。今度はアメリカの方でございますけれども、米国政府、カナダ政府等が売出人となったケースでございます。こちらのIPO価格は33ドルで決定されまして、この時言われていましたのは、政府の取得価格を下回る株価だったのではないかというようなことでございましたが、その後株価は堅調に推移し、マーケットの中で33ドルを割る時も直近では出てきているという状況でございます。

 18ページ目は、最近話題になりましたFacebookさんの例でございます。この時には、上場時に取引所のシステムの障害がございまして、若干の混乱が発生しました。その時に株価は公開価格を割ってスタートしているというところでございますけれども、現在につきましては、公開価格をかなり上回る水準まで一度上昇してきているというところでございます。

 19ページ目、20ページ目は、今回、少し日本郵政さんと同じようなところということで、bpost、ベルギーポストが昨年上場しております。その時の動きを載せております。

 それから、20ページ目につきましては、Royal Mail Group、こちらはイギリスでございますけれども、チャートをご覧いただきますと、上場直後から株価がIPO価格をかなり上回るようなことで動いておりまして、イギリス国内におきましては、少し公開価格が安かったのではないかというようなことも含めましていろんな議論があったように記憶しております。

 いずれにいたしましても、株価につきましては、上場直後大きく動いているケースもございまして、特に21ページ目をご覧いただきますと、日本のIPOの中で初値がどのくらいのところで動いているかというのを初値の騰落率と呼んでおりますけれども、ちょうど13年に120.8%というのが出ておりますが、昨年につきましては株式市場が大きく上昇したこともありまして、上場初値の公開価格からの上昇率の平均が100%を超えている年もございました。

 ただ、22ページ目に進んでいただきますと、こちらは初値の同じ騰落率をIPOの規模が100億円以上で見たものでございますが、やはり大型のものになりますと、上場初値が公開価格を大幅に上回ってくるケースというのは少なくなってきております。特にここでは100億以上のものでとっておりますけれども、直近でご覧いただきますと、近年では概ねIPO価格近辺で上場直後の株価の形成がなされております。そういう意味では、マーケットの動向、それから市場のデマンドをきちんと把握しながら、公開価格の決定ができてきているのかなということが考えられるかと思います。

 次に、投資家別の日本株投資動向につきまして御説明をさせていただいております。25ページ目までお進みいただけますか。

 日本の株式につきましては、どのくらいの方がどういうふうに持っているかというのがこちらの円グラフでございまして、概ね30.5%が海外の機関投資家になります。それから、2割ぐらいが日本の個人の投資家、また2割ぐらいが国内の年金、投資信託といった機関投資家が保有していただいているということがご覧いただけるかと思います。そういう意味では、これらの投資家がIPOにおいても主要な投資家となってきます。需要の最大化という観点からいきますと、これらの投資家に対するマーケッティングをきちんと行っていくということが重要だと思います。

 それから、右側の折れ線グラフをご覧いただきますと、86年からそれぞれの投資部門別にどのように比率が変わってきているかということを載せてございますけれども、外国法人は、1986年の時は5%と0%の間ぐらいにございましたが、ブルーのところですけれども、ここ直近では30%近くまで来ている。そういう意味では、海外の機関投資家を中心とした外国法人がかなり日本株式を保有しているようになっているということがご覧いただけるかと思います。

 それでは、26ページ目をご覧いただけますでしょうか。こちらは、日本株式市場における売買動向でございます。売買シェアでとっていただきますと、左側の折れ線グラフの赤いところが海外の投資家でございまして、約6割。それから個人の皆さん、ちょうど青いところでございますが、こちらが3割程度になっております。

 ここ最近では、高速取引という取引を使う投資家も多いものですから、これの影響で一部海外の機関投資家は大きく出ているケースが考えられるかもしれませんけれども、いずれにしましても、公開ということを考えた時に、それから上場後の円滑な株価形成という観点からも、ここで出てきています売買代金の大きな投資家の皆さんというのは非常に重要になってくると考えられます。

 また、右の方に国内市場の投資部門別売買動向の推移(ネット)を入れてございます。こちらを少しご覧いただきますと、2013年、昨年になりますが、外国人が約15兆円の買い越しということで、市場を牽引してきたということがご覧いただけると思います。

 一方で、今年に入りまして株価が調整局面になってきておりますが、外国人は売り越しに転じております。一方で、NISAの導入効果などもあるのだと思うのですけれども、国内の個人投資家の買い越しということがご覧いただけるかと思います。このようなものが最近の売買動向の特徴でございます。

 それでは、27ページにお進みください。このように、国内のみならず、海外の機関投資家も重要な対象の投資家となっておりますので、ここ最近の大型のIPOにつきましては、グローバルIPOということで、海外の機関投資家に対しましても、新規公開の段階から直接にマーケティングを行うというような形態がとられることが多くなってきております。

 結果といたしまして、これらのグローバルIPOと呼ばれる方式では、概ね3割から4割の株式が海外機関投資家に販売されている状況でございます。もちろん、これは個別ケースによって数字が大きく変わってくるかもしれません。なお、国内の状況につきましては、日本証券業協会様のデータによりますと、個人投資家に8割から9割程度が販売されているということになっております。

 先ほども申し上げましたこのような国内外の配分比率、あるいはどこの投資家にどのくらい販売しているかということにつきましては、個別案件の売却方針も重要になってまいります。また、市場環境、それから需要状況等に応じて慎重に検討しながら決定していくということでございますので、個別の案件によりまして状況が変わってくるということかと思います。

 それでは、続きまして、資料5をご覧いただけますでしょうか。「親子上場の事例と株価の推移」という資料でございます。親子上場のケースにつきまして、後から上場した会社のIPO時点での株価の状況を調べた資料というふうにご覧いただければよいかと思います。

 それでは、1ページをご覧ください。こちらは、子会社が先に上場して、親会社が後から上場したケースです。こちらはまずケースとしては非常に少ないです。通常、企業の成長段階を考えますと、親会社ができて、それが大きくなる過程で資金ニーズが出てきて、子会社がIPOをするということが通常の成長課程でございますので、子が先に上場しているというケースは少ないのですけれども、ここでは電通国際情報サービスさん、こちらの親会社は電通さんになります。それから、クリエアナブキという、穴吹興産さんが親会社の会社の上場の時の株価についてご覧いただけるようにしてございます。

 左側だけ御説明させていただきますと、赤い方が電通国際情報サービス様、それからグレーのグラフが電通様ということでございます。これで何かが言えるのかというところは非常に難しいところかと思いますけれども、このような株価の動きになっておりまして、ここだけとりますと大きな影響を受けているようには見えないかなと思います。

 次の2ページ目は、エムスリーさんというソネットの子会社が先に上場して、ソネットさんが上場されたケースでございまして、こちらも非常に株価の動きが似ているというところはありますけれども、親会社が上場したことで子会社が大きく下がったとか、上がったとかというようなことは、ここを見る限りではなさそうに見えております。

 それでは、3ページ目をご覧いただけますか。こちらは親会社が先に上場したケースです。こちらの方が多いわけでございますが、3ページ目、4ページ目につきましてNTT様のケース、それから5ページ以降にその他の会社のケースを載せてございます。

 3ページ目の方では、NTTが上場した後のNTTデータさんの上場による株価の変異、それからNTTドコモ様が上場した時の株価の推移ということでございます。こちらをご覧いただきましても、なかなか一概に言えるかということはわからないんですが、親会社がしっかりした経営判断をして、子会社を上場させているということでいきますと、親会社の、そして子会社の企業価値には、子会社が上場することがプラスに働くということなのかなと思います。

 そういう意味では、左側、NTTデータさんが上場した後も、持株会社のNTTさんの株価が大きく下がるというようなことも出ておりません。ドコモさんのケースも同様かと思います。短期的には色々な要因があるのだろうと思いますけれども、少数株主の利益の保護が適切に図られていれば、長期的な観点から見ますと、子会社の上場が親子双方の株価にプラスに働いていくということも可能ではないかと考えております。

 以上、駆け足で大変恐縮でございましたが、私からの説明はここまでとさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

〔 佃分科会長 〕 ありがとうございました。

 それでは、最後に株式会社東京証券取引所・静常務執行役員から説明をお願いします。

〔 静(株)東京証券取引所常務取締役 〕 東京証券取引所の静でございます。上場部門を担当しております。

 本日は、私ども東京証券取引所への株式の上場について話してほしいという御用命を頂戴しましたので、概括的な話でございますけれどもさせていただきたいと思います。

 資料6でございます。まず1枚おめくりをいただきまして、私どもへ上場していただく場合の新規上場までの流れについてご覧いただきたいと思います。私どもへの新規上場につきましては、まず上場を希望する会社さんは東証に直接来るわけではございません。野村證券さんをはじめとした引受証券会社、主幹事証券会社を選んで、その方と上場準備を進めてくるわけでございますが、その上場準備は、最終的に証券会社による引受審査という形で完了します。そして準備ができますと、私ども東京証券取引所に初めて上場申請を行います。

 上場審査につきましては、(注1)のところにございますように、私ども東京証券取引所ではなくて、独立した立場で公正な審査を行うために、自主規制法人という別の団体に委託して行います。期間につきましては標準で3カ月ということになってございますが、3カ月経つと自動的に上場審査が終わるということではなくて、会社の規模などによってこれが少し変わってくる場合があります。単純に言いますと、大きな会社ほど時間がかかる可能性はあるが、通常は3カ月で終わるということでございます。

 この自主規制法人の審査の結果、上場会社として適性があると確認できた場合には、私どもは上場を承認します。上場承認の時には上場するということが公表されます。そして、それに引き続いて上場のための公募や売出し、最初に日本証券業協会さんから御説明があったような行為が行われます。これは主に上場した後の流動性をつけるというか、株主づくりのために行われるという部分がございます。

 そして、公募・売出しの期間につきましては、(注2)のところに書いてございますけれども、標準で1カ月程度です。そして、この公募・売出しが終わりますと、株主もたくさん増えて、そこで売買ができるような状態になったということで、直ちに上場をする。こんな日程になってございます。以上が主な流れでございます。

 次に、今御説明申し上げました自主規制法人が行う上場審査についてお話ししたいと思います。上場審査は、一定の形式要件を満たして初めて受けることができるものであり、誰が来ても受けられるというわけではありません。その形式要件を3ページからお話ししたいと思います。形式要件については、流動性の要件とその他の要件に分けてお話をします。

 まず流動性の要件でございます。この中には、大きく分けて、流通株式の要件、そして株主数の要件の2つがございます。

 1つ目の流通株式というのは、(注1)のところに書いてありますけれども、大株主が保有する株式を除いた株式のことです。つまり、大株主が持っている株式は通常なかなか流通しにくいので、それ以外の容易に流通する株式を上場までの間に一定程度確保できる見込みがあるかどうか確認することになります。

 この流通株式というのは、先ほど申しましたように、公募や売出しを通じて確保していくというケースが通常でございます。どれぐらい必要なのかについては、要件欄に書いてありますけれども、流通株式で4,000単位。通常、100株1単位になっていますから、100株×4,000で40万株が必要です。それから、流通株式時価総額については10億円、そして流通株式比率は30%、これら3つとも確保できれば上場ができるということでございます。括弧内に「2万単位」とか、「35%」とか、少し高い数字が書いてございますけれども、これは一部指定の要件でございまして、このぐらいまで数字が高くなれば、市場一部にも上場できる。上場してすぐに一部になれるということでございます。

 2番目が「株主数」と書いてあるところでございますが、こちらも上場までに800人を確保できれば上場できます。そして、2,200人を確保できれば、市場一部に直接行けるということでございます。

 さて、日本郵政さんはどうなるかということでございますけれども、上場のために行われる売出しをどれぐらいやるかということで決まりますので、現時点では何とも言えないのですが、参考までに、過去の民営化案件ということで、右側にNTTとJTのケースを書いております。ご覧いただいて一目でおわかりいただけますように、圧倒的に超越しているというか、大きな流動性となっておりますので、過去の例と比較してみますと、まず形式要件は、市場一部に上場するのに全く差し支えのないぐらいのものとなる可能性が高いのではないかと見ております。

 次に、ページを1枚お開けいただきまして、流動性以外の要件についてお話します。まず、経営成績や財政状態に関する要件がありますけれども、時価総額、事業継続年数、純資産の額、利益の額と4つの要件がございます。時価総額につきましては、これは上場時の見込みですけれども、40億円でございます。これが確保できれば上場できますし、250億円が確保できれば、市場第一部に指定されることになります。

 今申し上げました時価総額の要件は上場時の見込みですけれども、その下の3つの要件は見込みではなくて実績値で確認をいたします。事業継続年数は3年でございます。純資産は連結で見て10億円、利益の額は直近2期合計で5億円あれば上場できます。これらの要件につきましては、市場第一部に指定される場合でも変わりはありません。

 日本郵政さんについてどうなるのかにつきましては、ご覧のように、右側に書いてありますけれども、現時点で見る限りは、全て市場一部の要件を恐らく大幅に上回ることが見込まれます。

 そのほかにも、下に書いてありますけれども、幾つかの要件がございます。例えば監査報告書に適正意見が付いているとか、株式事務代行機関を置いているとか、形式的なものでございますけれども、こういうものを満たす見込みがあって初めて上場審査を受けることができるということでございます。

 続きまして、形式要件を満たした後にいよいよ上場審査を受けるわけですが、どういう審査が行われるのかという点について申し上げたいと思います。ご覧いただいている5つの観点に基づいて、上場会社としての適性を審査いたします。

 まず1つ目、「企業の継続性及び収益性」でございますけれども、継続的に事業を営んでいること、そして安定的な収益基盤を有していることを確認いたします。例えば、上場直後に赤字転落してしまうような状況だと問題になるというぐらいに考えていただければよろしいかと思います。

 2つ目が「企業経営の健全性」でございますけれども、こちらでは、コンプライアンスの遵守をはじめとして、事業を公正かつ忠実に遂行していることを確認いたします。こちらも例えばの話をしますと、経営者の資産管理会社に不必要な手数料を落としているようなことがありますと問題になるということでございます。

 3つ目の「企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性」という項目ですが、こちらについては、ガバナンスや内部管理体制が上場会社にふさわしいレベルで整備されているか、機能しているかを確認いたします。例えば、社外役員はいるけれども、独立性が認められないような状況だと問題になるということでございます。

 4つ目は「企業内容等の開示の適正性」という項目がございます。ここでは、上場会社はよく新聞でいろんな情報が流れたりしますので、そういうものに対応して適時適切な情報開示ができるかということを確認します。例えば、上場会社は決算発表を行いますけれども、これが通常2カ月以内にしていただくことになっておりますので、そのぐらいの期間で決算発表をきちんとできるか体制が組まれているかどうかを確認するような項目でございます。

 最後に5つ目、「その他公益又は投資者保護の観点から必要と認める事項」というのがあります。これはいわゆるバスケット条項、包括条項でございます。公益、あるいは投資者保護の観点から問題になるようなことが起こっていないかどうかを確認いたします。例えを申し上げますと、事業活動に関連して社会問題が起こっているようなケースについては問題になることがあります。

 以上、申し上げました5つの観点で私どもでは上場審査を行っておりますが、これで何か問題があれば上場できないというわけではございません。問題があった場合には、それが改善可能な不備であれば改善をしていただいた上で、上場していただくということでございます。

 以上が上場の要件、そして上場の審査でございます。

 次に、いざ上場するとなったらどんな問題があるのかということについて簡単に御説明申し上げたいと思います。

 まず、全株上場原則という問題です。上場していただく際の一つのルールなのですけれども、上場する場合には発行済株式数の全てを上場するというのが大原則になっております。下の図をあわせてご覧いただければと思います。発行済株式は、「原則」と書いてあるように、発行しているものを全部上場する。これが大原則であります。なぜかといいますと、上場銘柄になると全ての発行済株式が流通する可能性が出てくることから、いつ売買されるかわからないので全部上場しておいてもらうということでございます。

 その例外もございまして、どういう場合かといいますと、発行済株式の中に流通可能性がないような株式が混じっていれば、そこは確かに売買される可能性がないので除外して上場することができる。これを「流通に適さない株式」と私どもは呼んでおります。

 ただし、もう1つ問題がありまして、問題は、そういう流通に適さない株式がある場合でも、最低半分の50%以上は上場していただくことが必要ということです。これは昔からある規制で、私どもの考え方としては、流通可能性がない株式が上場後に何らかの形で流通可能性を取り戻すということは当然あるわけでございまして、そうなった場合に、今流通している数よりも多い株式がいきなり市場に出てくることになりますと、一時的に需給関係が大きく崩れて価格形成に悪影響があるのではないか。それを防ぐための歯止めとして、半分は上場しておいてもらうということを昔から求めているのではないかと考えております。

 一方で、民営化会社に特有の政府保有株について考えてみますと、一遍に全部が放出されるということはなかなかありません。しかしながら、その放出というのは、この審議会のように政府の一定の手続を経まして、公開の場で審議されるということになりますし、ましてや、国有財産を国が売るという形でございますので、虎の子をたたき売るということは通常は考えられませんから、市場への影響についても十分配慮して売却が行われるということが容易に想定されます。

 したがいまして、民営化会社の場合には、政府保有株が多くて50%未満しか上場できないという場合でも、上場を可とするような特例を設けて対応してきたというのがこれまでの通例でございます。NTT、JTの時はいずれもそうでございました。日本郵政につきましても、上場のために行われる売出しの規模次第でどうなるかわかりませんけれども、仮に50%を下回っていても、この特例を設けることを想定して対応していくことになるのだろうと想像しております。

 以上が全株上場原則の話でございます。

 続きまして、ここからちょっと複雑な話になるのですけれども、先ほど野村證券さんからお話があったことと関連する問題で、親子上場について話をしたいと思います。

 まず、親子上場一般についてでございます。仮に郵政さんと、そして法律に書いてありますとおり金融2子会社、ゆうちょ、かんぽが親子の資本関係を維持したまま上場するという形になりますと、いわゆる親子上場と言われる状態になります。

 親子上場は、海外でやっていないのではないかとおっしゃる方もいるのですけれども、実は親子上場を認めていない取引所というのは、国際的に見ますと皆無でございます。現によく盛んに行われているのがヨーロッパ、そしてアジアでございます。アメリカ、イギリスは少ないのですけれども、スピンオフの前段階として行われているというのが一般的です。スピンオフの前段階というのは、最終的に親子関係を解消するための一種の準備行為として親子上場している状態が一時的にある、こんな意味合いでございます。それだけでもないのですけれども、一般にはそういうふうに使われていますので、その場合には親子上場になっているということでございます。

 私ども東京証券取引所には、現在、3,000社以上の株が上場しておりますけれども、322社の親子上場がございます。1割程度は親子上場という状況でございます。

 一方で、この親子上場というのは親子で上場しますので、親会社にも少数株主がいる、子会社にも少数株主がいるということになります。しかも、その親と子の会社の間には、利益相反関係が生じるのは本質的に避けることができませんので、私どもとしては、必ずしも望ましい資産政策ではないというスタンスで物事を考えております。

 そこで、そういう弊害を避けるために、上場時の上場審査は、親会社、子会社それぞれの少数株主保護の状況を確認して上場していただくことにしております。まず子会社の少数株主保護について申し上げますと、子会社の場合には親会社が支配権を持っておりますので、下手にまごつくと不当に利益を搾取されるというようなことも起こり得ます。そこで、子会社がきちんと親会社から独立しているかどうかを確認いたします。

 どのように確認するかということについては、ここに書いてありますが、例えば親子間で取引関係があるということを想定しますと、その取引条件がどちらかにとって不当なものになっていないか、つまり妥当な条件で取引が行われているかどうかを確認します。

 それから、グループの中に子会社と同じ業務をやっている同業の会社などがあった場合に、親会社がこっちの会社を可愛がるとか、逆の会社を可愛がるというようなことがあってはいけませんので、親会社がその2つの会社の間で不当に事業調整をしていないかといったことも細かく確認をしてまいります。これは子会社少数株主保護のための審査の見方でございます。

 次に、親会社の少数株主保護について申し上げます。親会社は一応子会社に経営を任せてありますので、日常的な監視はなかなか行き届かないということがございます。例えば子会社で一大不祥事が起こったなんてことになってしまいますと、親会社にとっても大きな不利益を被るおそれがございます。そこで、親会社はもちろんですけれども、主要な子会社も含めまして、企業集団としての内部管理体制がきちんと機能しているかどうかといった目で確認しております。

 今申し上げましたのは、上場する時に身体検査をしておいてもらうという話でございますけれども、上場後、ずっと身体審査を受けられるわけではございません。上場後は、株主の皆さんの監視によって未然防止をしていただくということを主眼に置いております。

 具体的には、開示や内部統制に関する制度を整備しています。例えばということで申し上げますと、親会社と子会社が取引している場合には、親会社の取引について、子会社の方に親会社との取引をどういうふうにやっていくのかという基本方針、例えばほかの会社との取引と同じ条件でやりますということを言うわけですけれども、そういう基本方針ですとか、この1年間どれぐらいそういう取引があったのかといった過去の実績ですとか、そういったことを開示してもらっておりますし、内部統制について申し上げますと、企業集団としての内部統制について、適切な構築、運用を上場ルールで義務づけるという形で、何か問題が起こると大変なことになるよということで、牽制機能を果たしていくというようなことをやっているわけでございます。

 以上申し上げましたような親子会社間の利益相反の緩和の問題というのは、荒谷先生も御存知のとおり、会社法制の見直しも一部進行中ではありますけれども、全てが完全に解決されるわけではないということもございますので、社外取締役による監視の強化をはじめ、ガバナンスの充実を通じて少数株主利益の保護を適切に図っていくことが、親子上場の場合には特に重要になってくるのではないかと考えております。私どもでは未然防止を一生懸命やりますけれども、事後的な救済は必ずしも万全ではないということでございます。

 次に、最後でございますけれども、中核的な子会社上場という問題についてお話しします。親子上場の中でも極めて例外的なケースだと思っていただければよろしいかと思います。子会社上場という仕組みを利用しますと、例えば大きな企業グループがあって、その中に有望な事業が埋もれているというケースが日本にはよくあるわけですけれども、その埋もれている有望な事業を子会社にして表へ出す。それを上場するとその事業にだけ投資ができるということで、投資家にとってもとても魅力的な投資対象が出てくるということが往々にしてあります。

 例えば、いろんな事業をやっている大きな音響会社がインターネット事業を一部やっていて、その部分だけ切り出して子会社に出してあげると、「俺は音響会社の株は嫌だけれども、その下にあるネット会社はすごく面白そうだから、そっちの株は買いたい」というような要望に応えられるということがあります。そういう形での子会社上場というのは、投資家にとっても魅力的な投資対象の提供ができるということでございます。

 これに対して、上場している親会社があって、グループの中の一番大きい部分を持っているような子会社を後から上場させたという形を考えますと、状況によっては、証券市場にとっては先ほど申し上げた新しい投資物件とはなかなか言えないようなもので、既にみんな買っていたものだよなと。親会社と子会社を上場させて、結果、新規公開で2回利得を得るような結論になるのではないか、そういうおそれが生じる場合がございます。

 それを私どもは「中核的な子会社の上場」と呼んでいますけれども、中核的な子会社の上場につきましては、それぞれの企業グループですとか、それぞれの会社の事業の特性を見たり、あるいは事業規模の大きさを比較したり、過去の業績の状況を比較したり、将来の収益見通しがどうなっていくかというようなことを予測しながら、慎重に判断をしていこうということで、上場審査に臨んでおります。

 どうしてそんなことをしているのかといいますと、実は過去に変な例が出てきたということがあるからでございます。ご覧いただいている8ページの真ん中あたりにある例なのですけれども、この絵のように、親会社が未上場会社として存在していたわけですが、その会社があるマーケットに上場しました。これをA社として、Aという事業をやっているわけですが、そのAという事業をやっているA社が、Aという事業を、後から作った子会社Bに全部移して、自分はもぬけの殻になって、B社をもう一回違う市場に上場させる、といったものです。

 このケースの場合は違う市場に上場させたわけですけれども、そっちの市場では、新しい投資物件が上場したということになり、もう一回同じような値付けをしかねないということで、会社から見ると同じAという事業でもって2回お金を取ってしまうという、ちょっと詐欺的な行為が現実には起こっているわけでございます。こういうものは問題だということを典型的には想定して、中核的な子会社の上場については慎重に判断すると申し上げているわけでございます。

 今回の当てはめで申し上げますと、金融2子会社であるゆうちょ、かんぽにつきましては、親会社の上場時には既に子会社として独立した事業を営んでいるということになっておりますし、法律を見ましても、全株式を早期に処分にするという方針も明確になっておりますので、今申し上げたようなケースとは確かにかなり異なると思います。

 しかしながら、子会社株を処分していきますと親会社株の企業価値に影響があるというのは否定できない事実でございますので、やり方を間違うと同様の問題が生じないとも限りません。したがいまして、最終的には今後明らかになっていくであろう、親会社の上場時における情報開示の内容ですとか、あるいは金融2子会社(株)の処分スキーム、処分スケジュールなどを踏まえまして、金融2子会社の上場の際に行う上場審査において慎重な判断をしていくことになるだろうと思います。

 ということになりますので、日本郵政の上場を考える際にも金融2子会社の上場に差し支えがないよう、今後選定されるであろう主幹事証券会社とよく御相談をいただきまして、十分な御配慮をいただくことが必要ではないかと思っております。

 私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。

〔 佃分科会長 〕 ありがとうございました。

 証券市場関係者からのヒアリングは以上となりますので、これからまとめて御質問等がございましたらお願いしたいと思います。

〔 吉野委員 〕 吉野です。どうも御説明ありがとうございました。

 二、三あるのですが、1つ目は、マーケット状況として今がやはり一番いい時期なのかどうか。国としては財政赤字ですから、なるべく高い価格で売れれば国にとっては一番いいわけですけれども、もうちょっと待ったほうが更にいいのか、現在の状況としてはどういう感じなのか、お聞きしたいと思います。

 2つ目は、類似会社と比較をしてよく価格を出されるということなのですが、日本郵政の場合にはほとんど類似会社がないような気がするのです。例えば民間の金融機関とも違いますし、民間の宅配会社とも違いますので、そういう場合に、理論価格なり、IPOの価格というのをどういう形で出されるのかどうか。

 最後は、親子に関しましては、ゆうちょもかんぽも使用料みたいのを日本郵政に払いますし、日本郵政としてはその使用料が高ければ高いほどいいですし、今度は子会社にとっては、その使用料が低ければ低いほど自分にとっては上場の時にはいいわけで、まさに両方のつば迫り合いみたいのが生じているような気がするのですけれども、そういう時に、両方の親子上場で、親を先にして、子を後でやるという時にどのような影響があるかというのをお聞きしたいと思います。

 以上の3点です。

〔 佃分科会長 〕 1番目、2番目、3番目、それぞれ各社、どなたがよろしいですか。

〔 内野政府出資室長 〕 1番目と2番目は野村證券さんでお答えいただいて、3番目は東証さんでお願いします。

〔 奥田野村證券(株)常務執行役員 〕 そうしましたら、まず1番目の吉野先生の御質問にお答えさせていただきます。正直申し上げまして、株式市場を見通すことはなかなか難しいので、今が一番いいかどうかというのは難しいところでございますが、先ほど、3ページのところでも少しお話しさせていただいたのですけれども、景気、それから企業業績も今回復してきていまして、弊社の見通しとしましては、今年末に1万8,000円ぐらいを予想しております。

 そういう意味では、ここ数年の中では非常にいいタイミングに来ている。ただ、その後、景気の上昇に合わせてマーケットがよくなるということも可能性としては期待しているわけでございますけれども、環境的には、今、大型のIPOも順調に消化ができているというところでいきますと、いい環境下にあるのかなというふうに考えております。

 2つ目の御質問でございますけれども、日本郵政さんについては全く同じ類似会社がないのではないかということでございまして、日本郵政さんのケースをどうするかというのはまたちょっと今後のことになるかと思うのですけれども、過去にも全く同じような業種がないケースというのはあります。

 あるいは、日本でいきますと、典型的には、商社さんなんかにつきましては、海外を見ても同じビジネスをやっているところはないものですから非常に難しいんですけれども、その場合は、例えば上場される企業の売上高がどういうビジネスから出てきているかというのをきちんと中身を見ていきます。そうしますと、その中には、同じようなビジネスをされている方、あるいはそこが主になっている業種というのがありますので、細かくその中まで見るようにしていきます。そうしますと、全く同じということはないかもしれないんですけれども、どこか似通っているビジネスを主としてやられているところが出てくるかと思いますので、会社全体というよりはビジネスの中まできちんと細かく見ていくことで、類似会社比較をとる場合は捜していくということだというふうに思っております。

〔 静(株)東京証券取引所常務取締役 〕 3点目は、私からお答えをさせていただきます。親子間の取引というのは、実はないケースもあれば、あるケースもあります。親子で上場しているけれども一切取引がないというケースもあります。そういう場合には、何の問題もないということになっています。

 一方で、今御指摘いただいたように、例えば郵便局舎を貸す、借りるという形で賃貸借関係が発生することになりますと、これは親子間の取引があるということになりますが、問題は、その親子間の取引があってはいけないということではございません。あってはいけないのではなくて、それを利用して不当な利益の吸い上げが行われていないかというところを確認するということでございます。

 通常は、今御質問いただいたものが、局舎の賃貸だとすると、不動産の賃貸ですので、若干は違うかもしれませんが、大体世間相場があると思います。その世間相場に比較してあまりにおかしな賃料設定になっていないかというところを見ることになります。世間相場がない時はなかなか難しいかもしれませんが、恐らく想定されている今回のケースでいえば、大体世間相場と比較すればわかるようなものが多いのではないかと想定しております。これは審査の中で実際に見てみないと、全部が全部そうかはわかりません。いずれにせよ、親子関係がなければ、世間で普段取引されるであろう条件と比較して大差がないということを確認できればよろしいかと考えている次第でございます。

〔 川口委員 〕 2つございます。まず、前回の御説明では郵便の営業収益の8割以上はゆうちょとかんぽからの手数料収入ということでした。国民のうち少し詳しい人たちの懸念は、これらの収入が内部補助金的な性格になっているのではないかと。これが利害関係人取引となりますと、ただ今御説明がございましたように、何らかの方向で比較せざるを得ないとなった時に、適正水準というのが重要な議論になるのではないか。

 その時に、現状が適正水準から離れているとすれば、両者にとって影響があるわけですので、先ほど資料5の親子上場の事例と株価推移との関連で、今日ということではなくて結構ですけれども、利害関係人取引の強弱によって親子上場の関係がどうなったかというのは是非知りたいと思っています。

 といいますのも、主幹事の方でも、日本郵政のバリエーションをしていく上で、西室社長の最近の発言によれば、金融子会社は同じ年に上場していくという。これはフォワードガイダンス的という点において望ましい、将来のことをを明らかにして適正なバリエーションをしていくという意味では望ましいと思っていますけれども、そうなりますと、親子上場と利害関係人取引というのは大きなイシューになるだろうと思いますので、そうした情報について、今日ということではありませんけれども、情報を整理していただければと。

 2つ目ですけれども、適正な株価水準ということですけれども、日本の株価は1990年のバブル崩壊以降ボックス圏で動いています。世界の株価はリーマン・ショック以降リスクオン・リスクオフということですけれども、日本の株価は実はこの20年以上リスクオン・リスクオフで、大体上限と下限が決まっている。下限はどこで決まっているかといいますと、東京の首都圏のマンション価格指数にかなり近い形になっていまして、そういう意味では、今後10年を見通した適正な株価というのは、どうもボックス圏の中値ぐらいにある。要するに、通常の株価の教科書とは異なる、かなり日本経済は特殊なところにあります。また、海外のポスト、郵便事業の上場の例を見ても、この先10年ぐらいのことを考える必要があり、適正株価というのはかなり長期的に見た水準のどこにあるのかというのが、主幹事の方の1つのアドバイスのポイントではないかと思います。

 2つはお願いといいますか、コメントということで結構ですので、もしお答えできるのであれば、簡単にコメントをいただければと思います。以上、2点です。

〔 佃分科会長 〕 これは、野村さんから何かお話しいただけますか。

〔 奥田野村證券(株)常務執行役員 〕 まず、御意見ありがとうございます。

 それから、利害関係人の強弱と上場の時の値段の動きというところでございますが、こちらは今、私は情報を持ち合わせてございませんので、きちんと調べて、また次回以降でお答えさせていただければと思います。

 それから、海外のbpost等の適正な株価水準ということでは、川口先生がおっしゃるように、長期的に見ていくということが株価を決めていく中では大事かなと思っています。その中で、我々はどうやって投資家の意見とかデマンドをきちんと吸い上げていくかというところも、市場から見ますと大事かなと思っております。株価の水準を決めるための開示の問題ですとか、市場環境をどういうふうに捉えるかということ、それから、日本は特殊なボックス圏の中の動きというお話がございましたけれども、その中でいきますと、タイミングをどう捉えていくかということについて、きちんと数字も確認しながら、みんなで考えながらお手伝いできればというふうに思います。ありがとうございます。

〔 持永委員 〕 今日の御説明ありがとうございました。

 今日御説明いただいた中でちょっと教えていただきたいことがあるのですけれども、質問を明確にするために、私の考え方として、まず日本郵政の株式の売却で復興財源として4兆円を欲しい。これは当然願いなのですけれども、この4兆円を実現できるか、どう確率を高めていくかということで考えておりますし、更には、今、親子上場等の話もございましたけれども、今は親会社の日本郵政さんの株式の売却、かつ日本郵政さんは基本的に純粋持株会社でして、事業持株会社での売却ではありません。日本郵政の株式を売却するというある意味で正攻法で議論しているということを理解して御質問したいと思います。

 そこで、先ほど日本証券業協会様から御説明いただいたのですけれども、確かに今はブックビルディング。従来からいろんな問題があって、発行市場、さらにはその後の流通市場の価格の形成といったことを日本証券業協会様も議論されて、平成9年以降は今のブックビルディング方式が主要というか、逆に言うと、私は、平成9年以降、入札方式の事例は知らないのですけれども、その中で、今、条文にも残されておられます。

 例えば発行者として選択できるということがある中で、今回は非常に大型のオファリングが行われるわけですけれども、これはこの後野村證券様にお聞きしたいところもあるのですが、大型のIPO売却益を得たいという中で、例えば4兆円のオファリングというのはなかなかないということがございました。

 これに対して、ブックビルディングで何回かに分けてやっていくという今の流れと、大型の金額、例えば4兆円、5兆円を1回で入札方式でやってしまうという考え方もあるかとは思うのですけれども、これについて可能性はあり得るのか。ただ、グローバルスタンダードとして、かつ市況を見ながらも、ブックビルディングが今の常識ですというお話なのか。ここは、この後、我々は決めないといけないので、専門家として教えていただきたい。

 それから、その関係で野村證券様にお聞きしたいのは、今、マーケットを見ながら、なかなか4兆円の実現益を確実というのは誰も言えないとは思うのですけれども、今の取扱高等を考えながら、一括で4兆円という引き受けをおやりになるという確度と、1兆数千億に何回かに分けてという形でマーケットに株式を供給していけばいいのか。この辺は引受会社として、専門家として教えていただければありがたいと思います。

〔 佃分科会長 〕 ありがとうございました。それでは、平田さんと田中さん、それぞれお願いします。

〔 内尾日本証券業協会自主規制本部エクイティ市場部総括部長 〕 すみません。平田が退室しましたので、内尾から御説明させていただきます。

 ブックビルディングにつきましては、今御指摘のとおり、平成9年にブックビルディングの導入ということが行われております。既に御案内のとおり、入札方式に関しましては、IPOの株が欲しいがためにどんどん高いところに入札をしていって、実際の公開価格が現状よりも高くなってついてしまうのではないかといった弊害が言われております。当然高い値段でつきますと、その後のアフターマーケットにおいても流通上影響が出てくるといったことがございますので、そこで平成9年の証取審でいろんな議論がされた上で、このブックビルディングが導入されたと記憶してございます。

 当時は、一般的なIPOに関しましては、ブックビルディングと入札制度との選択制みたいな御提言がございまして、従来からあった入札方式に加えて新しくブックビルディングが導入されたということで、2つの制度が併存するような形でできたということでございます。併存してできたのですが、その後、実質的にはブックビルディング方式が市場の流れとしては主流になってきた。

 それからもう1つは、大きな案件につきましては、グローバルオファリングという形で国内、それから海外も含めて募集をするということが一般的になってきている中で、海外においてはブックビルディングが主流ということもございますので、価格決定方式については、国内と海外と同じような形で決めていくというような流れになっているのではないかと認識しております。以上でございます。

〔 奥田野村證券(株)常務執行役員 〕 私からも少し補足とお答えをさせていただきます。

 今、証券業協会様からお答えがございましたけれども、ここ数年来、国内においても基本的にはブックビルディング方式ということでIPOをやらせていただいています。また、海外につきましてもブックビルディング方式が主流になっておりますので、投資家サイド、マーケットの参加者というのも考えますと、ブックビルディング方式をとって大きなデマンドを集めていくということが現実的だろうなと思います。

 それから、先生の御質問は何回かに分けたほうがというようなお話だったかと思いますけれども、そういう意味ではお答えにならないかもしれないのですが、市場環境、それから投資家のデマンドをどのように反映させていくかというのが、国家の財産をどういうふうにきちんと取り扱うかというところにつきましては大事になるだろうと思いますので、市場環境がきちんとよくて、それからビジネスの中身をきちんと開示できるという中で、デマンドがどのぐらいあるかというのを試しながら、それに応じてサイズは決めていくほうがいいのかなと。最初からサイズありきでいくというよりも、デマンドをきちんととりながらマーケットを見ていくというのが本当ではないかなというふうに、失礼ながら思います。

〔 林田委員 〕 御説明どうもありがとうございました。1点御質問、あともう1つは意見めいたことを申し上げたいと思います。

 質問は東京証券取引所の方にお伺いしたいのですが、資料6の8ページで、子会社株の処分は親会社の企業価値に大きな影響を与えるという御説明がありまして、日本郵政の上場を考える際には、子会社2社の上場に差し支えがないよう十分な配慮をという御指摘がありました。ここの意味するところといいますか、どのような配慮をすればいいのか。どういう配慮が考えられるのか。東証の方々が想定されているこの表現のもう少し具体的な配慮の内容がもしあれば教えていただきたい。金融2社というのは、日本郵政にとっては収益の多くを仕送りしてくれるという非常な孝行息子なものですから、孝行息子が独り立ちしてしまうかどうかというのは、非常に大きな影響を与えるということで関心がありますので、具体的なものがあれば教えてください。

 もう1点、これは前回の分科会で配られた資料を読み返してふと感じたことを申し上げたいのですが、2012年度に行われたJT株の第4次売出しというのがありまして、その時の議論に私も参加したのですが、この時、業界トップの野村證券さんが主幹事から外れたということがありました。主幹事を選定したのが6月だったのですけれども、当時、公募増資をめぐるインサイダー問題というのが世の中を騒がしておりまして、政府保有株の主幹事をその時点で外れたというのは仕方がないというか、当然のことだったのだろうと思います。

 ただ、前回いただいたペーパーの中に主幹事選定の審査基準というのがあって、それを読ませていただく限りは、主幹事からはねる基準として、そうした不祥事とかコンプライアンスの問題というのは明記がなかったような気がいたします。前回のペーパーにはないものをネットで調べて、欠格条項などというのがあるというのも調べたのですが、その中でも、審査段階で引受側の引受業務の制限を受けているといった処分をその時点で受けているとなれば欠格になるとあるのですけれども、単なる疑惑として浮上しているだけでは多分該当しないのかなというふうに考えますと、2012年度の段階でどのような基準、ルールに沿って野村證券さんが外れたのかというところに若干の疑問を当時から持っておりました。

 長々と申し上げましたが、私の意見としましては、主幹事選定の審査基準をこれから決める際には、先ほどの東証さんの御説明でも、上場審査のところで包括条項みたいなものがあるというお話がありましたけれども、もう少しざっくりとした、コンプライアンス上の問題がないこととか、もう少し包括的な基準があってもいいのかなと。評点を細かくつけてやるということも非常に大切なのですが、そうしたざっくりとしたものがあってもいいのかなという気がふとしたものですから、2つ目は意見として申し上げました

〔 佃分科会長 〕 これは東証さんからお願いできますか。

〔 静(株)東京証券取引所常務取締役 〕 それでは、1点目については私からお答えさせていただきたいと思います。

 どういうことに配慮すればこういう問題がなくなるのか、つまり、同じものを2回評価させてしまったみたいなことにならないのかという点につきましては、恐らくあまりここまで大きく問題になった、あるいはここまで大きいケースで実際にやったケースはあまりないと思いますので、参考事例みたいなことをお話しするのはまず不可能だと思っています。

 逆に申し上げますと、主幹事の腕の見せどころといったら変ですけれども、こういうことを考えることで引受責任も果たせるということになるのだろうと思いますので、私どもからこうすべきだ、ああすべきだというのは控えるべきだろうと思います。

 ただ、1点だけ申し上げますと、8ページの下から2つ目の矢印に書いておりますが、例えば親会社が上場する際に、今後、子会社をどういうふうにしていくのかという道筋みたいなものをできるだけはっきり開示をしていくことですとか、あるいは、子会社がいずれ離れていくにしても、どういう形でその株式が処分され、いつ頃、どのぐらい減っていくのかといったことをわかる範囲でできるだけ発表するということは、投資家の投資判断を的確にさせていくためには極めて大事な要素になってくるのではないかと思います。けれども、だからこうすればいいというのは実はあまりなくて、それこそ個別の事案に応じまして、あるいは市場の環境その他に応じまして、投資家の投資判断に今一番必要な情報は何かということを考えながら進めていただくのではないか、と申し上げるしかありません。御質問いただいた割にはまともな答えができなくて大変申し訳ないのですけれども、それぐらいのことしか今私どもとしては申し上げることはできないということで、ご勘弁いただければと思います。

〔 内野政府出資室長 〕 2点目の御意見につきましては、確かに、過去の基準で申しますと、販売の、営業の部分で適正にやるというような基準がちらっとあるぐらいでございまして、おっしゃるようなバスケットクローズはございません。ただ、基準をこちらでいただいた後、細密な募集要項をつくる際にそういった観点を盛り込んでおったというのは事実でございますが、審議会の権威という点から考えましても、またこの時代の流れからいたしましても、コンプライアンスは非常に重要でございますので、大変重要な御指摘をいただいたと思っております。次回、可能であれば答申案のようなもののたたき台をお示しして、大いに議論いただければと思っておりますが、そこには何らかの形でまたお示ししてみたいと思います。

〔 角委員 〕 今の最後の子会社の上場の件で、先ほど静さんが知恵があればとおっしゃいましたが、それは置いておきまして、日本郵政の場合は法律で最終的に、どなたかが孝行息子とおっしゃいましたけれども、まさに虎の子の子会社を100%売ってしまって、全く他人になるということが法律で書かれているわけですよね。もちろん法律の書きぶりというのはものすごくざくっとしていて、スケジュールも何も書かれていないのですけれども、ただ、最終的な姿というのは、金融の子会社2つが離れて他人になっちゃうという形に最終の絵はそうなると思うのです。

 他方、郵政事業株式会社の収益構造というのは、結局は金融子会社に、今は子会社ですけれども、ネットワークを使ってもらって、そこから賃料をという話ですけれども、確かに今はいいと思うのですけれども、完全に離れていった時に、全く他人同士のお話し合いになりますと、本当にそのネットワークを使ってくれるかどうかというのはわからない。

 多分使ってくれるのだと思うのですけれども、それはやっぱり世の中どう変わっていくかわからないとなった時に、最終的に100%売却されてしまうと、親の売るべき会社の収益構造自身が変わってしまうかもしれない。それも、ドラスティックに変わってしまうかもしれないと私は理解しているのですけれども、そういうものというのは、投資家はどういうふうに判断をしていいかというのはどうなのでしょうか。

 値付けをする時に、最終的な形態はわかるけれども、一体それがいつなのかも、そのプロセスもわからないという中で、値段がどういうふうにつけられるのかというのがちょっとよくわからないのですが、どなたに伺えばいいかよくわからないので、それは事務方でお願いします。

〔 佃分科会長 〕 どうもありがとうございます。これは野村證券さんから。

〔 奥田野村證券(株)常務執行役員 〕 御質問ありがとうございます。難しい御質問だと思うのですけれども、投資家に対してどういう情報をきちんと提供できるか。情報開示の問題とこれは密接に関係している御質問だと理解します。そういう意味では、今、先生から御質問がございましたが、そうなるかどうかは別、ちょっと一般論ということでお考えいただきますと、上場した後のビジネスの形態がどうなるのか。それから、それに基づいて事業計画、あるいは事業の戦略がどうなるのか。その時のビジネスの相手は誰なのか。当然収益の予測なんかもきちんと出していただくわけですけれども、そこで将来の絵姿もきちんとした開示ができる。それがないと、株価をつけていくということや、株式を販売していくということは非常に難しくなると思いますので、情報開示のところはポイントになるだろうということで私どもは理解しておりますけれども、そこがどうなるかということは今後のお話だと考えますと、そこにやっぱりきちんとした力点を置いて今後議論していくということが必要だと思います。

〔 荒谷委員 〕 専門家にいろいろお話を伺うことができまして、大変勉強になりました。どうもありがとうございました。せっかくの機会ですので、いくつか教えていただければと思います。

 第1点は、全株上場原則につきまして、先ほど静様から、日本郵政についてもNTT、JTと同様に全株上場原則の特例を設けるのが妥当ではないかというようなお話が出ておりましたが、私もそのとおりではないかなと思うのですね。そこでこの点について、実際にはルールを改正しようと考えていらっしゃるのかどうかお伺いしたいのですが。

〔 静(株)東京証券取引所常務取締役 〕 郵政さんが上場されるということになれば、私どもとしては、それを受け入れるための対応としてルールの改正をしていくことに当然になると思います。もちろんこちらの審議会の皆様からそういうことをすべきだという御答申を頂戴すればもっとやりやすいわけでございますけれども、なくても、私どもに上場を御希望いただけるのであれば、当然そういう受け入れ準備をすることになると理解をしております。

〔 荒谷委員 〕 そう致しますと、ここでそういう意見を発することが必要だということでしょうか。そうであれば、私の個人的な意見としては、全株式原則どおりに、これだけの大量の株式を市場に一斉に売出すことは、やはりマーケットのバランスを崩すことになりかねませんので、慎重に対処するのが望ましく、この特例を設けるべきではないかと考えております。

 続きまして第2の質問ですが、親子会社の一般的な法規制等につきまして、私も会社法改正に関わっておりましたのであまり大きな顔はできないのですけれども、取引所の上場審査の段階でかなり厳しい事前チェックが働くと思います。これに対して先ほど静様がおっしゃいましたように、私も事後的な救済は必ずしも万全ではないと思いますが、こちらの方がむしろ株主保護という観点から後々大きな問題となってくるのではないかと思います。この点について、証券取引所として具体的に何か規則等を変えるなどして対応しようと考えていらっしゃるのかお伺いできますでしょうか。

 第3に、株式放出後も国は依然として大株主になりますので、国が大株主としてリーダーシップをとって、日本郵政のガバナンスに関与する必要があるのではないかと思いますが、この点についてどのようにお考えなのかお伺いできますでしょうか。前回も申し上げましたように、金融持株会社においては、親会社の少数株主の保護がなおざりになる可能性がありますが、今のガバナンス体制ですと親会社株主の保護としては不十分ではないかと思いますので、国には大株主としての責務を果たしていただくことをお願いしたいと思います。

 それから、子会社2社の株式売却についてですけれども、現状ですと、収益の8割を子会社2つに依っているということを考えますと、今の状況でこのまま行きますと、郵政子会社2社の売却時期がある程度明確でないと、日本郵政の業績評価自体もはっきりしないということになってしまって、株価や、投資家の投資意欲にも影響が出るような気がするのですけれども、その点について証券業務を行っている皆様はどのようにお考えなのか教えていただければと思います。

 それから、1つ懸念しているのは、過去、政権交代があったということもありまして、日本郵政についてはトップの人事がコロコロ代わってきております。今までは国が100%株主でありましたのでそれほど影響はなかったと思うのですが、これからは一般株主が入ってまいりますので、こうした政治的なリスクは投資家にとっては不安定要素として働くのではないかとの懸念を抱きます。その点について、ここにいらっしゃいます皆様はどのようにお考えなのかお伺いできますでしょうか。

 最後に、親子上場に関連して、まずは先に親会社である日本郵政が上場して、後から子会社を上場するという話が出ておりますが、いっそのこと親子同時にという方法もあるような気もするのですけれども、世界的にそういう事例はあるのでしょうか。それがベターなのかどうかについても教えていただければと思います。

 複数の質問をして恐縮ですが、よろしくお願いいたいします。

〔 佃分科会長 〕 今のは、内野さんと、静さんと、それから野村證券さんと分担してお願いできませんか。

〔 静(株)東京証券取引所常務取締役 〕 まず、2点目に御質問をいただきました親子上場の話ですが、必ずしも少数株主保護が法的に十分ではないのではないか、もっと十分にしたい、ということで、私も一緒に法制審議会で頑張ったのですけれども、残念ながら破れてしまいまして、そこは完全にはなっていないということでございます。その部分につきまして取引所で何か助けられないかということでございますが、一度上場してしまいますと、取引所の取り得る手段としては、最後は上場を廃止にするというぐらいしかございませんので、投資家の皆さんが逆に傷んでしまうという問題があります。したがって、救済にならないで首吊りの足を引っ張るという形になってしまいますので、そういうのは非常に難しいと思います。つまり、事後的なものというのは、法的な救済しかないと思いますので、そちらの方をしっかりしていくということでないと、取引所の制度ではその対応は難しいということでございます。

 しかしながら、先ほど申し上げたように、例えば、「俺はこんなでっかい音響メーカーのそれ自体の株は欲しくないけれども、ここのネットの事業だけだったらすごく魅力的だから買いたい」というニーズがあるから子会社上場というのは成り立っていて、投資家も子会社上場をやめてくれとは言わないのですね。勝手にさせてくれと。買いたいものを買うのだから、品揃えはいっぱい増やしておいてくれ、嫌なら買わないだけだと。そのように言っていますので、そのリスクも含めて投資判断をしていただくと考えればよろしいかと思いますし、投資家保護が進んでいけば進んでいくほど、上場していく子会社に手を出すことが簡単にできるようになってきますので、皆様はさらに安心して投資できるということではないか私は思っております。

〔 内野政府出資室長 〕 国としてガバナンスの点にどう関与していくかということでございますが、まず1つは、典型的な少数株主というのは、大株主の利益のために少数株主を圧殺するみたいなことなわけでございますが、その点については、我々は株主権の行使自体に非常に消極的でございますので、国が上場しておいて、少数株主をいじめるようなことをやるかというと、そういうことはまずいたしませんというのが1点でございます。

 ガバナンスについて、会社法の改正の議論で一番大きかったのは、社外取締役の強制という部分であったかと思いますが、日本郵政につきましては、親会社も、子会社とも社外取締役の登用はきちんとやっておる。委員会設置会社で指名委員会なんかもやっておるということで、今、会社法の議論でやられている中では相当程度の人的体制は既に彼らは組んでおるという形で話は聞いております。

 3点目に、この日本郵政自体についての個別論で申し上げるのは差し控えたいと思うのですが、一般に特殊法人について別途設置法のようなもの、郵政株式会社法とかがこの場合はありますが、JTもありますし、東京メトロもメトロ法というのがございますけれども、一般に特殊法人については、完全に民営化されるまでの間、つまり、東京メトロですと100%売られるまでの間はこの設置法が維持されるわけでございまして、これはまさにそういった場面での監督権限の行使を通じて会社価値が下がらないようにという配慮のもとでつくられておる法制でございます。監督権限は総務省にございますので、私、その点についてどういう行使かということはコメントいたしかねますけれども、特殊法人についてはこの点のバランスというのは実はきちんと認可等がかかっておって、そこで民主的コントロールのもとで的確にやられていると。

 もう1つ御質問のありました予期せぬ政治リスクという部分でございますけれども、民主的コントロールという全体の構成の中で議論されているものでございますので、制度全体として致し方なく生じているリスクということかと受けとめております。ただ、これまでは100%株主という場面であったものが、一般株主が入ってきた時に、少数株主が殊更に害されるようなことが仮に政治的にできるかというと、それはまた大きな問題があろうと思います。現にNTTやJTについて、上場後に何か政治的なタービュランスで株価を大きく下げていってどうこうというようなことはあまり騒ぎになった例はないかと思いますので、やはり株主が入ってくるということ自体が一つの大きな牽制になるのではないかということを期待しております。

〔 佃分科会長 〕 トップ人事について何かありますか。

〔 内野政府出資室長 〕 それも含めて政治リスクという言葉の中で……。

〔 佃分科会長 〕 わかりました。

〔 奥田野村證券(株)常務執行役員 〕 少し先生の御質問に補足をさせていただきます。まず、親子同時に上場したケースがあるかというところからいきますと、これは私どもが調べている限りではなさそうでございます。

 それから、子会社2社が8割の収益を出しているので、タイミングをということで、投資家からの見方はどうかという御質問かと思いますけれども、投資家に対しては、きちんとわかっていることを、できれば全体像をタイミングよく適切に開示していくということがやはり大事で、その時にわからないことを開示しろということではなくて、わかっていることをきちんと開示しないと、企業価値をどう評価するか、株価、あるいは個人の方でいけば、買う買わないというのも含めて判断することがなかなか難しくなりますので、投資判断のできる適切なものをタイムリーに開示していくということは、本当に重要になってくるというふうに思います。

 もう1つ、先ほどもお答えがあったかもしれませんけれども、ガバナンスのところの御質問かと思っていまして、そういう意味では、これも各企業によってそれぞれなのですけれども、どういうふうに人事を決めていくか、あるいは報酬を決めていくかといったことも、わかる範囲できちんと開示していくということで安心感を出せれば一番望ましいかなというふうに思います。

〔 児玉委員 〕 日本郵政に関しては、ユニバーサルサービスを担保するようにというふうになっているのですよね。それで、ゆうちょ銀行とかんぽというのが親子上場していって、株もどんどん離れていくということになると、ゆうちょの部分とかんぽの部分のユニバーサルサービスというのが親会社と利益相反になる可能性もあるわけで、ユニバーサルサービスをゆうちょ銀行とかんぽでどのようにして担保していくのかという課題があるように思うのですが、国としてはその辺はどのようにお考えなのでしょうか。

〔 内野政府出資室長 〕 現時点で売却の義務付けられている規定の中に「ユニバーサルサービス義務への影響を勘案し」という文言が入っておりますので、支配権を持っていなければ絶対にユニバーサルサービス義務が貫徹できないという判断を具体的に監督官庁及び当該事業体においてなした場合には、売却は当面ほかのオルタナティブが出てくるまでは止めるということになるのだろうと思いますが、その点について実際にステークホルダーの方で何かを判断したとか決めたという話は、株主サイドの私どもとしては聞いておりません。今後よく議論していくべき話と思っております。

〔 佃分科会長 〕 先ほどからの皆さんの御質問だと、日本郵政が上場する時に事業計画がはっきりしていないと、それから時期も含めて土台値もつかんではないかというような、ばくっとした御質問だと思うのですけれども、来年計画されている郵政の上場の時に、そういうタイムスケジュールと、今のユニバーサルサービスはこのように担保するんだと。したがって、100%売っても大丈夫なのだと。大丈夫でなければ、こういうことをして、いつ頃までにきちんとユニバーサルサービスができるようにして100%出すんだとか、そういう事業計画が郵政の方からちゃんと出ますかという質問だろうと思うんですが、その辺についてちょっと御意見がございますか。

〔 内野政府出資室長 〕 1点、日本郵政さんと密接に連携させていただいている中で感じますのは、例えばNTTの売却につきましても、これだけ売っていくのに20年ぐらいかかっておるわけでございます。日本郵政の場合には、ゆうちょ銀行の事業規模が大きくて、金融のユニバーサルサービスがかかっているという時に、全国の津々浦々に至るまで毛細管のようにきちんとネットワークができて、そこで零細な1,000万円以下の貯金が集まっておる。では、これを代替できるネットワークは存在するのか。そもそも100%売ったとして、ゆうちょ銀行としては払い戻しの義務に応じ続けなければならないということがある時に、現実的に何かほかで代替できるのでしょうかということもこれありなわけでございます。

 したがって、何を申し上げたいかと申しますと、NTTでも相当な時間をかけて売っていったということから勘案しますと、企業体の規模からしましても、ゆうちょ銀行の株を100%売るという法律上の目指していくところに至るまで相当な時間軸がまず認識されなければいけない。そして、その時にそういった全国津々浦々で何か地理的な制約を飛び越えることができるかというと、恐らくものすごいネットの新技術とかいろんなものが出てくる、そういう技術革新なんかも勘案される。

 したがって、上場というスタート時点の、民営化のまさにスタートの時点で全てが決着がつくかというと、そういうものではなかなかないのではないかなと。まさにそこのところをいろいろ議論しながら少しずつ組み立てていくというのが、法律自体も、全部の処分を目指し、ユニバーサル義務への履行状況を勘案しつつ早期に処分するものとするというのがありますので、全部処分というのは目標としては存在しますが、やはりユニバーサル義務の勘案と早期処分、売却が一緒に行われていくというような認識でおります。新聞記者の皆さんなんかもそうなのですが、答えがない答えがないと言われるのですが、その部分についてはある程度オンゴーイングで考えていかざるを得ないような部分も、日本郵政さんの悩みとしてはあるのではないかなというふうに一つ感じております。

 それからもう1つ、事業計画につきましては、主幹事証券会社の選定をしてから上場までというのも、通例ですと、これは野村さんの方があれですけれども、1年ぐらいを空けないとしっかりとした準備ができないという話も聞いておりますので、そうしますと、今年の2月に中期経営計画を日本郵政さんが発表されまして、そこで郵便事業の稼ぎ手である小包を3.8億個から5億個まで3年間で伸ばしますと野心的な目標を立てられている。こういったものがどこまで肉付けされてくるか。実はもう1回、1年後ぐらいにはそういったものが更に整理されて出てくるということも期待できる部分でございます。

 事業計画という部分がはっきりするということは、まさに中期計画が、まだ発表された段階ですが、それが実施されていく中でより具体化していく。昨日の日本郵政の社長の会見でも、大型の物流の拠点を7カ所まず新設するというような発表がございましたし、そういった形で進捗に応じて段々と姿が現れてくることを期待したいと思っております。

〔 山内委員 〕 既に主要な論点が出ているので、付け加える点はありません。皆さんのおっしゃるとおりだと思うんですけれども、今のお話に関連して言うと、ちょっとこれは余談ですけど、NTTというか、電電公社が上場する時に、目論見書の中に将来分割するということは全く書いていなかった。そういう面ではオンゴーイングの中で変わっていく。それをマーケットがどう評価するかというのは重要かと思っています。

 関連するのですけれども、今回は最初の上場ということで、ブックビルディングで価格を決めることになるわけですけれども、郵政の上場の場合、規模の大きさとか、あるいは複雑さ、それからさっきも出ましたけれども類似企業がほとんど存在しないということを考えると、慎重に価格を決める必要がある。もともとブックビルディングというのは、私の解釈で言うと、マーケットで、入札でやることの不完全性に対するアンチテーゼというか、それを補完するものだと考えるわけですね。何が一番重要かというと、価格形成のための情報の広さ、深さということだと思います。その意味では今回の案件は特殊であるということを考えると、情報の広さ、深さが通常よりさらに重要になってくると考えます。

 そうだとすると、今回、これからどういう仕組みでやるかを決めていくわけですけれども、例えば主幹事会社が特定の社だけでいいのかという問題になります。具体的に言うと、1社だけが主幹事会社ということではなく、主幹事会社が複数あって、その中である意味では情報をより広く共有していくとか、そのようなこともあり得るのではないかと感じております。その辺については、例えば証券業協会の方でどのようににお考えになるかということを伺いたいのが1点です。

 もう1つは、今回の上場は政府持株で、先ほど取引所の方から特例というお話もありましたけれども、これからも恐らく公的な持株の上場というのはあると思うんです。そういうことも含めて、何かこの特殊性の中で取引所としての準備とか、将来に向けての考え方があれば伺いたいと思います。以上でございます。

〔 佃分科会長 〕 では、内尾さんと、それから、その後は静さんから。

〔 内尾日本証券業協会自主規制本部エクイティ市場部総括部長 〕 まず1点目の件でございますが、ブックにつきましては、まさに情報等が広く深く知れ渡るというのは大事だということはあろうかと思います。現在、ブックビルディングによって条件を決めるに際しましては、機関投資家等のニーズを把握して条件設定に利用していると聞いております。やはり類似会社等がないという場合であっても、個人の方よりも機関投資家さんの方がよりそういった目線を持っていらっしゃるということがあろうかと思いますので、そういう意味では、ブックビルディングというのは適切な条件決定方法になっているのではないかというふうに感じております。

 それから、主幹事証券会社を複数ということに関しましては、私どもの規則で1社でなければいけないとかという決め事はございませんので、そこはマーケット状況等、それから主幹事証券会社の選定に際してのいろんなコンペみたいなところでお話を聞いた上で、決定していっていただければよろしいのではないかというふうに思っております。

〔 静(株)東京証券取引所常務取締役 〕 2問目は私に頂戴したと思うんですけれども、これまでNTT、JTをはじめとした典型的な民営化案件、それから、それにちょっと似た形のJRみたいなものもありました。私どもが、この20年ぐらいでそういう案件の上場をずっとお世話をさせていただいてきている中で感じているのは、非常に個別性が強い案件が多いということです。全てに共通することはあまりございません。

 例えばNTTの場合は、会社ができて1年ぐらいで上場しているわけですが、成立後1年の会社は通常上場できないのに上場しなければいけないということで、その理由がきちんとあるのかということ確認したうえで、特例を認めております。 つまり、手当ての仕方というは、けが人の手当てと同じで、単純に言うとどこが欠けているのか、どういう原因なのか、それに対してどういう対処をするのか、ということが個別的にかなり違ってくることが、これまでの経験からわかった事実でございます。どの民営化案件にも共通することを探すのは、むしろなかなか難しいということでございます。したがいまして、あくまでその場での臨時対応というか、応急対応というか、パッチ当てみたいに見えてしまうのですけれども、そういうことを続けていくしか多分方法はないだろうなと考えております。

 その場合に、無原則に、単純にサイズが合わないからそこだけ引きちぎるということではなくて、投資家の保護、あるいは経済の活性化という観点から、一番いい穴のあけ方というのを、市場環境を見ながら考えていく。そういう柔軟性を持って対応していくこと、が今後大事だろうと思っていますので、そういう気持ちはずっと持ち続けたいと思います。一方で、ここであらゆる民営化案件に今後対応できるような規則的な手当てをしていくというのは、逆に言うとなかなか難しいのではないかと考えている次第でございます。

〔 川口委員 〕 2回目で恐縮です。せっかく証券業協会さんがいらっしゃっていますので、先ほど公平から公正ということに切り替えたという御説明がございました。それで、前回の説明では、政治の方は、株主構成についてマーケットだけに任せるのではなくて、国民にもベネフィットを分け与えると。政治の方の要請は公正よりも公平という考え方に近いと思うのですけれども、今回の個人にもという、株主構成のところでの公正と公平の考え方についてどう考えればいいかというのを、先ほどの御説明を聞いてちょっと疑問に思ったものですから、そこの公正についてのお考えを少し補足説明をいただければありがたいと思います。

〔 内尾日本証券業協会自主規制本部エクイティ市場部総括部長 〕 そもそも私どもの規則の中には、「公正」と「公平」という2つの言葉が入ってございました。結果として、規則改正の時になぜ「公平」というものを取ったかと申しますと、「公平」という言葉があったかがために、一律に広く最小単位でもってばら撒くということをしなければいけないというような実務慣行になってしまっていたということがございます。

 投資家さんにはいろんな方がいらっしゃいまして、投資家さんの資産規模であったり、投資経験であったりということがございますので、そういった投資家さんの属性であったり、資質といったものを見た上で販売していくということが当然許されてもいいであろうということで、「公平」という言葉があるがために、一律同じような形でばら撒かなければいけないと思っていらっしゃることを払拭するために、規則からは「公平」という言葉を取らせていただいた。ただ、精神としては公平ということはあるのだろうと思っております。それから、「公正」というのは、まさに公正な形での配分ということで、特に誰かに利益的な供与を与えるといったことを行わないような形でやっていただくということは当然必要かと思っております。

〔 望月委員 〕 株のことは全然わからないのですけれども、会長が先ほどおっしゃったように、要は日本郵政のこれからのビジョンだとか中期計画、その事業内容が本来の民営化の目的に合ったものとして的確に進められるかどうか、それは金額だけの問題ではなくて、政策も含めて知りたいところです。上場するからには投資家に確かにこれは見込めるという判断をしてもらわなきゃいけないし、そのための努力をしなくてはいけないということです。株主の国は、今、郵政さんが出されている例えば中計に関してもっとギリギリとせめぎ合ってリアリティーのある、投資家たちに、確かにこれは実現できるな、それから、政府が確約したユニバーサルサービスに関しても担保されているな、これはいいぞと思わせるような情報を出していかなくてはいけない。となると、今ちょっと聞いていると何か上から目線のような、郵政さんから上がってくるものをいかがなものか的なものと感じられなくもないのですよね。株主は経営というのでしょうか、事業に対してもっと責任を持ってシビアに立ち向かっていただきたいなというのは、今伺っていて思ったことです。

〔 内野政府出資室長 〕 恐れ入ります。上から目線というつもりは全くないのでございますが、一つ、私どもは法律による行政の原理というのは忠実に履行しようと思っておりまして、これは荒谷先生に御指導いただくべきところでございますが、株式会社、なかんずく委員会設置会社でございますので、例えば業務純益が出たとして、配当自体も株主総会の決議事項ではなく取締役会の決議事項という中で、所有と経営が極めて徹底して分離されておる中で、私どもは経営の方にジャンプインすることはどうかということで、まず法制上の問題がございます。それから、彼らも、株式会社とはいえ郵政省の人たちもいたりするわけですが、私どもは役人でございまして、役人が経営上これだったらいけるなんていうことは、およそ恐ろしくてそんなことはとてもではございませんがというのはございます。

 ただ、おっしゃる問題意識は私どもも非常に共有しておりまして、1つは、ですからこそ、プロセスとして、マーケットを一番見ている証券会社を早く選定したいという気持ちがあること。もう1つは、日本郵政さんと折衝している中で、まさに手続的に、例えばブックビルディングの時にはロードショーというのをやって機関投資家を回るわけでございますが、今の段階で中計を作ったのですから、様々な投資家とダイレクトにカンバセーションをして、彼らのニーズがどこにあるか、何が懸念か、何が疑問か、キラークエスチョンは何か、そこを一生懸命正面からやってくださいと、どちらかというとそういう手続的な面から様々に申し上げることは申し上げておりまして、非常に望月委員のおっしゃることは私もわからなくはないですし、気持ちの面では、もっとああしたらこうしたらとか言いたいところもあります。現に、例えばeコマースなんかですと、eコマースはもっとこれから伸びていく部分なわけですから、それをクロネコや佐川がどんどんシェアを持っている中で、日本郵政さんはどういう戦略で行くのですかということは私どもも実は聞いてはおりますが、そこでああせいこうせいというのはなかなかというのは、ちょっとそこだけ御理解いただければと思っております。

〔 美並理財局次長 〕 前回、それから今回、いろいろ委員の皆様の御意見を聞いておりまして、日本郵政に関してはっきりしないことが多いんじゃないか、将来がはっきり見えていないじゃないか、こんなので本当に売れるのかという御心配をされているのだと思います。

 その点に関しては、先ほど内野室長が言いましたように、例えば、ユニバーサルサービスを勘案しながら子会社の株を売却した姿がどうなるのかということについては、オンゴーイングで考えていかなければいけない。ある程度の時間軸で考えていかなければいけないことと思います。ただし、御心配の点の多くについては、上場時期までに、ちゃんと買っていただくためにどこまで開示しなきゃいけないかということは十分考えております。

 それを決めるに当たって、我々はやはり主幹事証券会社を選んで、そこと相談する必要がある。実際に売るためにはどういう情報を提供しなきゃいけないか、あるいはどういう形の子会社売却、親会社売却が望ましいかということは、主幹事証券会社を選んでから決めなきゃいけないと思っております。その前に、審議会の先生方に答申という形で主幹事証券会社の選定基準を決めていかなきゃいけないので、そういう意味で言えば、少し早い段階で、はっきりしない段階で御議論をお願いしているために、ややこんな状況で大丈夫かと思われているのだというふうに私は理解しております。

 前回、分科会会長から言っていただきましたように、6月をめどに主幹事選定基準を含めた答申をいただくべく、あと2回ほど御議論いただきたいと思っているんですけれども、その段階ではまだ決められないことが多いのですが、主幹事を選んだ後は、いろんなことを決めていくことになりますので、御理解をいただければと思います。

〔 林田委員 〕 今、次長からお話があったように、ちょっと不透明感があって大丈夫かなと。どんなIPO案件でもそういう面はあって、ただ、それは主にマーケットの環境であるとか、事業の将来性とか、割と経済的なものが多いけれども、郵政の場合にはそれだけでなくて、やはり政策判断といいますか、そもそもの郵政民営化法自体が持つある種の曖昧さ。何がどうなるのか、郵政の人たちにもわからないというファクターがある。それから、企業価値に関わるどんな商品を扱えるのかという問題については、政府の認可もありますし、郵政民営化委員会の判断というのもある。つまり、非常に政策的な変数が多い。

 それから、役所の関わり方としても、国有財産としての財務省の関わりと、様々な認可という形では総務省、あるいは金融庁が関わってくるという、非常にそこら辺が色々何次方程式かわからないぐらいの難しい方程式になっているので、その辺を役所の方でもしっかりとうまく調整して、縦割りではなくて色々取り組んでいただくことが、やっぱりある種の透明性とか将来予見性みたいなものに繋がると思いますので、そのあたりはぜひ頑張っていただきたいといいますか、お願いをしたいと思います。

〔 佃分科会長 〕 今回の議論はこれで大体尽きたかと思いますが、以上で本日予定しておりました議事は終了させていただきたいと思います。

 なお、記者レク及び会議資料等につきましては、従来どおりの取り扱いに沿って実施・公開させていただきます。

 これをもちまして、財政制度等審議会第24回国有財産分科会を終了いたします。

 なお、次回の分科会につきましては答申案の御議論をいただくことになっております。開催日は5月15日を予定しておりまして、後日、詳細は改めて連絡させていただきます。

 本日は御多用のところ御出席いただきまして、ありがとうございました。

午前11時45分閉会

財務省の政策