〔 小林分科会長 〕 それでは、ただいまから財政制度等審議会第41回の国有財産分科会を開催いたします。 皆様、本日は御多用のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。 分科会の開催に伴いまして、木原財務副大臣から御挨拶をいただきます。 〔 木原財務副大臣 〕 財務副大臣を拝命しております木原でございます。 財政制度等審議会国有財産分科会の開催に当たりまして、冒頭に一言御挨拶を申し上げます。 小林分科会長をはじめ委員の皆様におかれましては、御多用のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。 財務省では、6月4日に森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書を公表したところであります。 決裁を経た行政文書を改ざんし、また、それを国会等に提出するようなことというものは、決してあってはならないことであり、誠に遺憾であります。改めて深くおわびを申し上げます。 財務省といたしましては、今回の事態を真摯に反省し、二度とこうしたことが起こらないように、文書管理や決裁手続き等に関する再発防止策を直ちに進めてまいります。 本日、委員の皆様方には、本件のほか、処分価格等の明確化、それと平成29年度国有財産監査の結果について御説明させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。 〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。それでは、議事に入ります前に、人事異動で事務局のメンバーの方が大分交代されておりますので、紹介は省略させていただきますけれども、皆さんのお手元の配席図で御確認いただければと思います。 それでは、議事に入ります。 まず、この分科会の開催状況ですが、本来の諮問を受けての展開とは別に、昨年からいろいろなことが起こりまして、昨年の12月、それから本年の1月、また4月と3回、割と間を置かず開いて、その時々の情勢を説明いただく、あるいは行政のあり方についての基本的な意見を皆さんからいただくということも並行してまいりました。 その結果、6月の初めにこの報告書が出てまいりまして、これがいわゆる財務省としての森友事案に関する総括ということになります。いわゆる出元の財務省としての本件の総括というのをやはり我々として一度聞いて、そして、我々が過去3回の事案が起こってからの分科会で財務省に対して申し上げたこと、あるいは、行政のあり方、それから手続きの透明性、あるいは広く言えば文書管理の方法等々のことが反省として反映されて、それから、これからどういうふうにしていこうかというところまでを説明していただくということになります。 それからもう1つは、やはり今、人事異動もいろいろ行われておる最中ですが、新しい体制で、私どもも、いわゆる本来諮問されていることに対する今後の展開をどういうふうに考えてやっていくかということを、皆さんの御意見も伺って、それでまとめたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。 それでは、森友学園の国有地売却に関する調査報告書等について、事務局から御説明願います。 〔 嶋田国有財産企画課長 〕 国有財産調整課長から国有財産企画課長に異動になりました嶋田でございます。本日はよろしくお願いいたします。 まず1つ目の議題でございますが、4月に続き再度このような議題でお時間を頂戴いたしまして大変恐縮でございます。 今、既に会長より簡単に御説明いただきましたけれども、昨年11月の会計検査院報告から本日までの動きのあらましを簡単にまず御説明させていただければと思います。 まず、昨年11月22日に本件について会計検査院が報告書を国会に提出しております。 これを受ける形で、12月11日でございますが、国有財産分科会におきまして、検査結果についての御報告、それから今後の国有財産の管理処分のあり方についての諮問をさせていただいたところでございます。その後、緒方座長以下でワーキングチームを2回開催していただきまして、本年1月19日に「公共随契を中心とする国有財産の管理処分手続き等の見直しについて」のお取りまとめをいただいたということでございます。 他方で、3月12日には、財務省より決裁文書の書き換えについての調査の結果を公表しております。これは、14の決裁文書の調書、説明の欄について、書き換え前と書き換え後の対照表の形で公表させていただいたものでございます。 また、この内容につきまして、4月12日、分科会に御報告を申し上げたということでございます。 その後の動きとして、5月23日に書き換え前の決裁文書について、調書の部分だけではなくて、全体像をまず公表させていただきました。それとあわせる形で、森友学園等との売買契約の締結までの交渉記録を公表したということでございます。そして、6月4日に、これから御説明いたします報告書とともに、今度は売買契約締結後の森友学園等との交渉記録もあわせて公表しております。 これをまず受ける形で、6月19日に会計検査院が昨年11月22日の報告書に係るその後の検査の状況について国会に中間的な報告をされております。その中では、今後、幾つかの点について引き続き検査を行う旨が明らかにされているというところでございます。 こういった状況を踏まえまして、本日はお時間を頂戴いたしまして、この調査報告書について御説明させていただきたいと考えております。 それでは、お手元の資料1、報告書について御説明申し上げます。 まず、資料1の1ページ、「はじめに」というところのAでございますけれども、ここで、この報告書には、決裁文書の改ざんや応接録の廃棄といった問題行為の経緯や目的、それから責任の所在、再発防止策が記載されているということが明らかにされております。 それから、資料2ページから調査の経緯でございますが、これは先ほどの流れの説明と重なる部分もありますので、説明を省略させていただきます。 そして、資料6ページから8ページでございますが、これは森友学園事案の概略が示されております。この中で、平成25年6月の公的取得要望の受付開始から28年6月20日の売買契約の締結までが簡単に触れられていると、そういうことでございます。 そして、資料9ページから12ページにかけまして、森友学園案件に係る昨年2月ごろの状況が説明されております。この中で、Aでございますが、まず、平成29年2月9日に本件について初めて報道がなされました。そして、Dでございますが、そこにありますとおり、昨年2月15日以降、連日国会に取り上げられたこと、また、G、Hでございますが、まず、2月21日には、一部政党の国会議員団が現地を視察し、そして近畿財務局等の職員と面会して、その中で政治家関係者の関与の有無について厳しい質問をされたということが記されております。 それから、資料13ページから21ページ、ここが応接録の廃棄についての経緯でございます。 まず、13ページの「(1)応接録の元々の保管状況」でございます。 ここで、@にありますとおり、文書管理の仕組みがまず紹介されております。応接録の類いの文書保存期間は「1年未満」とされ、具体的な終期は「年度末まで」とか「事案終了まで」とされることが一般的であったと記されております。 そして、A以下で、この森友学園案件の応接録の保存の終期に関しては職員の理解がまちまちで、そういう中で、当時、さまざまな形で応接録が保存されていたことが記されております。 そして次に、14ページ以降で、「政治家関係者との応接録の廃棄等の経緯」が記されております。 まず、この@のところですけれども、平成29年2月以降に、売買契約が締結された平成28年6月20日をもって本件の事案終了とするとの整理が、理財局長まで報告されて、近畿財務局にも共有されたということでございます。 また、Aにございますとおり、平成29年2月17日以降、総理夫人の名前の入った書類の存否についての確認がなされ、総理夫人本人から照会がないこと、総理夫人付から理財局への照会の記録は作成・共有しているが、内容は特段問題ないことが確認されたということでございます。 そして、Bでございますが、平成29年2月21日の国会議員団と近畿財務局との面会の際に、政治家関係者の関与の有無が話題になったことを踏まえて、理財局の総務課長から理財局長に政治家関係者からの照会状況のリストを報告して、理財局長からは、応接録の取り扱いは文書管理ルールに従うものだとの考えが示されたことから、総務課長は、これを廃棄の指示と受け止めて、その旨を理財局の担当室長や近畿財務局に伝達したといったことが記されております。 16ページから18ページに、今度は森友学園側との応接録について記されております。 まず、17ページのAですけれども、例えば国会において、理財局長より、文書管理のルールを引用した上で、記録が残っていない等の答弁がなされました。 それから、Bですけれども、他方で、理財局長は、応接録の実際の存否を確認しないまま、規則に定められている以上、保存期間が終了したものは廃棄されているはずと認識していたことが記されております。 そして、Cで、この後、理財局長から総務課長に文書管理の徹底の念押しがあって、総務課長は、これを廃棄の指示と受け止めて、理財局や近畿財務局に対して文書管理の徹底を指示したことが記されております。 また、「廃棄されなかった応接録の取扱い」ということで、19ページのA、Bでございますけれども、会計検査院に対して残された応接録の存在に触れなかったり、あるいは応接録についての情報公開請求に対して不存在を理由に不開示としたことなどが記されております。 それから次、21ページから決裁文書の改ざんについてでございます。 これは、本年4月に本件について分科会に御報告申し上げた際に、14の決裁文書について書き換えがあったこと、そのうち、貸付決議書と売払決議書、それから通常3年が基本とされる貸付期間について10年の定期借地にするために本省の特例承認を得るための決裁、この3種類を大きなものとして説明申し上げておりました。このうちの特例承認の決裁を中心に御紹介したいと思います。 報告書23ページからでございます。 これ、@、Aでございますが、平成29年2月21日の国会議員団との面会以降、本省が作成した特例承認の決裁文書について、政治家関係者からの照会状況についての記載がある旨、担当室長から総務課長に問題提起があって、両者から理財局長に対して報告がなされて、その際、理財局長は、文書の位置づけ等を十分に把握しないまま、そうした文書を外に出すべきではないとの反応をしたことから、両者は記載を直す必要があると認識したということでございます。 それから、Bにありますとおり、担当室長らが国有財産企画課長にも報告の上で作業を行ったということでございます。 それで、D、25ページの頭でございますけれども、他方で、本件は電子決裁が完了した文書であって、更新を行う権限は一部職員にしか与えられていなかったところでございます。 そのため、Eですけれども、担当室長は、4月4日に、権限を設定された職員のコンピューターを借りて作業を行ったことが記されております。 それから、25ページから貸付決議書と売払決議書の改ざんについての経緯が記されております。 これについては、Aですけれども、平成29年2月27日に売払決議書について理財局長に報告した際に、理財局長は、このままでは外に出せないと反応したこと、理財局長より総務課長らに対してしっかりと見るようにとの指示があって、記載内容を整えて理財局長に了解を得る必要があると認識したことが記されております。 それから、27ページのD以降ですけれども、平成29年3月に入りまして、理財局長を含めて行った議論を踏まえて書き換え案が近畿財務局に示されて、Eにありますとおり、近畿財務局の担当部署の職員から強い反発があった、そういったものの、最終的には近畿財務局において作業が行われたことが記されております。 それから、その他の決裁文書でございますが、31ページのCでございますけれども、それらについては総務課長も十分認識しておらず、今までの改ざんした決裁文書との整合性の確保の観点から、国有財産企画課長に相談しながら、担当室長らが作業を行ったということでございます。 こうした問題行為のまず総括で、その目的が34ページに記されております。 34ページの@で、目的として、国会審議において森友学園案件が大きく取り上げられる中で、さらなる質問につながり得る材料を極力少なくすることであったと、そう認定されているということでございます。 こうした問題行為の評価が38ページでございます。 まず@で、決裁文書についてですけれども、国会への対応として、改ざんした決裁文書を提出したことは、あってはならない不適切な対応であったことさらに、決裁を経た行政文書について、誤記修正を超える改ざんを行ったことは、公文書管理法の趣旨に照らしても不適切な対応であったことが記されております。 それからAで、応接録については、保存期間終了後の廃棄は、通常であれば問題ないが、国会審議等々において存否が問題となった後に廃棄を進めて、存在しない旨を回答したことは不適切であったことが記されております。 それから、B、Cですけれども、会計検査院や情報公開請求の対応としても不適切であったことが記されております。 そして、39ページ以降は、責任の所在の明確化ということでございます。 ここで、@にございますとおり、一連の問題行為は、理財局長が方向性を決定づけ、総務課長が中心的役割を担い、担当課室長が深く関与していたと認定されております。 その上で、A以降に、計20名に対する処分内容が列記されているということでございます。 そして、48ページ以降でございますが、再発防止策として3点が示されております。 1点目といたしましては、「国有財産の管理処分手続きの見直し」が記されております。これにつきましては、本年1月19日に分科会でお取りまとめをいただいたこと、そしてその内容、実務への反映状況が記載されているということでございます。 そして、2点目は、公文書管理の徹底、電子決裁への移行の加速化をやっていかなければいけないということが記載されており、最後、3点目として、コンプライアンス、内部統制の総合的な整備を行っていかなければいけないということが掲げられているということでございます。 私からの説明は、以上でございます。ありがとうございます。 〔 小林分科会長 〕 それでは、ただいまの説明内容に関して、皆様からの御意見、御質問があればお願いいたします。 今までの、この事案が発生してからの分科会で、節目節目で御質問、御意見をいただいたわけですが、どうもその間も事態は進行していたということなので、まだ積み残しの部分は少しございますが、一応これで、大体全容がこの報告書で判明したということを受けて、御意見、あるいはご感想でもございましたらぜひどうぞ。 〔 川口委員 〕 分科会長の仰せのとおり、再発防止というのが今後の私たちの議論の中心になろうかと思いますので、それを中心にコメントと質問とお願いというのを1つずつしたいと思います。 まず、前回の分科会でも申し上げましたとおり、この森友学園案件というものの本質は、地下埋設物のある土地取引の契約は不完備である。契約が不完備であるときには、初期契約はしばしば破棄されて、再交渉がされる。この案件では、森友学園が土地を借りて学校建設を始めたところ、大量の埋設物が出てきたということで、買い取りオプションを行使したいということで、再交渉がありました。 こういった案件というのは、今回に限らず、後になって第三者にさまざまな憶測が生じるということは、こうした地下埋設物のある土地取引では、民間の間でも同じようなことが生じます。後日、誤解がないようにするには、透明性を高めるということと客観性を高めるということ以外の方法はないと思いますので、今回の再発防止に向けた取り組みの1つ目の手続きの見直しの中で「説明責任の向上」ということで、開示であるとか、特に価格決定においては政府職員の関与を限りなく小さくするといったこと、これ以上の取り組みは今のところないのではないかと思います。この取り組みについては疑問ございません。 もう1つの公文書管理の徹底について質問がございます。 この電子決裁への移行を加速する等のCのところに、「決裁が完了した後の文書を更新する場合」というのがございまして、「修正等が必要な場合には決裁を取り直すことを原則とする」とあります。 私の質問は、決裁権者であっても決裁を取り直す必要があるのかということと、また、決裁を取り直すことができないような緊急事態の場合にはどうするのかという、この2つの質問です。 この背景、少し長くなりますけど申し上げますと、森友学園案件では、国有地の売却等は適正に行われたと個人的には認識しています。ところが、この決裁文書は、誰が読んでも誤解のないような適正な行政文書であるべきであったにもかかわらず、文書自体が適正ではなかった可能性があったのではないかと考えます。 例えばマスコミでも指摘されているように、通常は決裁文書に書かないような取引の経緯の詳細まで記述されていました。 公文書管理法第4条には、こう書いてあります。「経緯も含めた意思決定に至る過程──中略ですけども──を合理的に跡付け」というふうに書いてあります。 これに従いますと、通常は決裁文書に書かないような取引の詳細まで記述するというのは、この合理的に跡付けた文書ということからは少し乖離があるのではないかと思います。要するに、決裁内容には直接関係ないことや、内部のやりとり、単なるやりとりなども含まれるということは、この4条が想定する合理的な跡付けということではないのではないかと。 そうしますと、責任者、つまりこの当時の決裁権限者である前理財局長は、要するに、行政文書の内容は合っているけども、誤解を与えるような表現があるので、これは修正をしてしかるべきだというふうに考えたというふうにこの報告書を読んで思われるわけです。 この報告書の結論から、懲戒処分等の判断は、決裁文書の表現などが不適切であっても、決裁権者の理財局長がこれを書き換えることは認められないという判断になっていると思います。 しかし、事後的に決裁文書の不適切性を決裁権限者が認識したときに、正しいことを正しいと証明するための決裁文書の修正は認められるべきではないかと。要するに、これは、財務省に限らず他の省庁においても、国家を運営するということにおいては、こうした修正はあるべきであろうと考えます。 今回の処分に疑義を呈するものではありませんが、あくまでも今後について考える上で、これを具体的にどうするかというのは、今回の教訓を踏まえてどうすべきかというのは大きな課題であろうと、こういうふうに思っております。 最後にお願いですけども、この報告書の39ページに書いてあることは、当時の理財局長は、これらの行政文書全体についての情報を持ち合わせていないだけではなくて、この修正を指示したわけではないということであります。 私が今申し上げたようなこういう文書というのは、法に基づいても合理的に修正されるべきであるという方向性を配下の人たちに示したと。その配下の人たちは、誰にも強制されずに、指示されずに、自己組織的に、以心伝心的に、それぞれに与えられた仕事をしたということだと思います。 この組織力というのは、私は1つの財務省の資産ではないかと思います。しかし、それが結果的に、これが書き換えではなくて改ざんということになったことで、一連の問題行為として懲戒処分、矯正措置の対象となったということで、この決裁文書の事後的な書き換えについては、新しいルールに従うべきだということは、これは当然ですけども、今回の処分によって、こうした組織力が弱まらないようにしていただきたいと願います。 また、組織力を発揮した各職員の意欲ですね、こうしたものが間違っても低下するようなことになってはならないと思います。 以上、決裁後の表現の変更という問題が今回の本質的な問題であり今後の課題でもあると思います。 〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。非常に貴重な意見だと思います。これは、いわゆる本件だけじゃなくて、行政文書の今後の展開ですよね。 これは御議論いただきたいのですが、これでそういう問題提起もあって、あるいは現実のこの事案でそういうことが推測されるということもある場合には、この分科会で議論したことを、今度はいわゆる政府が一体となって今やっている行政改革の中の行政文書の管理方法、そこのところに、やはり我々の意見として出しておくべきことじゃないかとも思いますけどね。 〔 林田臨時委員 〕 今の話に関連して私の考え方を申し上げますと、一度決裁したものを、いかなる理由があろうとも、それを書き換えるということは、やはり改ざんではないかと、許されることではないのではないかというのが、私としてはそれを前提に物を考えています。大切なのは、やはり徹底した真相の解明と再発防止策の実行であると思っています。 この報告書は、私、取材、報道の過程でも何回も読ませていただきましたが、公文書の改ざんといったようなことをなぜやってしまったのか、この報告書を読んでも真相がいま一つはっきりわからないと感じる人は多いのではないかなと私は思いました。 先ほども御説明ありましたけれども、改ざんの目的について、国会質問につながる材料を極力少なくするためという説明がされたと思います。一般の人から見れば、そんなことのために何で改ざんという禁じ手をしたのかというのは、非常に得心のいかないところではないかと思います。その点、さらに踏み込んで、財務省がなぜ改ざんに至ったのかということの説明責任を果たしていかないと、一般の方々の理解というものが得られないのではないかというふうに思っております。 理解を得られなければ、あるいはその問題点について組織の中で認識が共有されなければ、組織風土の改革といったことも進みませんでしょうし、適切な再発防止策というものを打つということも難しいのではないかというのが私の意見です。 〔 小林分科会長 〕 今の御意見、真相はいずこにありやということが1つですね。それと、我々がこれを読んで受け止めることと、財務省の中でこれをつくり上げたときに、こういう行為に及んだことの原因がこれだけだったのかというところの、その辺のレビューですか、その辺も含めて、今の林田先生のお話に何かコメントはありますか。 〔 嶋田国有財産企画課長 〕 林田先生、ありがとうございます。川口先生もありがとうございます。 まず、この報告書自体は、理財局が作成したというよりも、人事当局で作成したものであるということを前提とした上で、今、先生がおっしゃられたお話に関係している部分として、例えば36ページ、あるいは37ページのあたりに当時の理財局長の状況、あるいは当時のその他幹部職員の状況が示されております。 まずもって、何でそういう──禁じ手というお話でございましたが、まず、37ページのDでございますけれども、当時の職員の認識、感覚というものは、もともとの決裁文書は、決裁のために必要ではない情報が多く含まれていると考えたこと。それから、虚偽の内容を追加したわけではなく、また改ざん後の文書であっても決裁の本質的な内容は変わるものではないと考えたこと。それから、連日、国会審議の対応等々によって職員が疲弊しており、これ以上の議論の材料を増やしたくなかったこと。そういったことから、最終的には許容範囲と考えて改ざん作業をやめるまでには至らなかったということで、その禁じ手という強い認識があったかというと、それとはちょっと違うニュアンスのことがここに書かれておりまして、当時の職員の認識というのは、林田委員のおっしゃる認識にまで至っていたかどうかというのは、なかなか疑問符のつく書き方がされているということだと思います。 〔 小林分科会長 〕 今のお話ですけど、林田さんのおっしゃっていることの一部は、この37ページに書いてあるような動機、バックグラウンドだけじゃないことがもっとあったのではないかというところももしあれば、ディスクローズすべきではないかというところが入っているわけですね。その辺のところはどうですか。 〔 嶋田国有財産企画課長 〕 これは、最初のほうに「調査の経緯等」ということで、これを調査した担当者の手法といいますか、要するに、複数の職員から書類等を可能な限り集めた上で聞き取りをしております。そうすると、ある者と別の者の言っていることが矛盾する場合もある中で、ぎりぎり両者の言っていることが交わるような部分をもって認定をしていったということでございますので、これを超えてどうこうというところで動機なりなんなりということを認定するには、みんなの話を聞いてみた結果、そういう材料、そうだと言えるような材料は得られなかったということだと思います。 〔 野城臨時委員 〕 私は、これは本当感想にすぎませんけども、あえて感想で、かつ主観が入ったことを申し上げます。動機のほうに関心、議論が集まるのはそうですし、そこは曖昧にしてはならないと思いますが、やはりこれによって起こされた結果ということをもう少し冷静に考える必要があります。そういう意味では、懲戒相当の内容については、私が暮らしている世界と比べると違和感があるということを申し上げたいと思います。 例えば私どもの大学、恥ずかしいですけども、世間を騒がせておりまして、データの改ざん、論文の改ざんによる──要するに不誠実な論文をつくったといったようなことで、大変恥ずかしいことがありましたけど、当然調査いたしました上で懲戒処分が行われております。私どもの大学の場合ですと、懲戒事由というのが就業規則に書いてありますが、最後の項にその他大学法人の信用を失わせた行為ということが書いてあります。そういったデータ改ざんによることは信用を失わせたということを事由に通常は懲戒解雇相当というような処分を私どもの大学ではなされているところでございます。 もちろん、そういった改ざんをしてしまった当事者の動機については、本件と似たような議論がありますが、結局、追い込まれてしまったことが動機になっている。しかし、追い込まれてしまったけど、そういう論文が出ることによって、皆さんが追試で無駄な手間をかけたり、間違った事実に基づいて世の中が動いていくことには、重大な影響があるわけでございます。あるいは、企業でデータを改ざんしてしまうことによって、人が死亡に至るといったこともありうることを考えていきますと、今回の場合も、やはり国会には事実関係に基づいて御議論いただくということが大原則でございますから、そういった前提となる事実関係が提供されなかった、あるいは、会計検査院の方々も当然得られた資料をもとに検査されたわけです。それがされなかったという意味では、データ改ざんによってアカデミックコミュニティーに与えた非常に負の影響というものの大きさというのは計り知れないところがあり、今回の事案の影響も同様以上の大きさがあるわけで、この懲戒処分は、私は軽いのではないかなと思います。 それともう1つは、決裁文書の不合理性についてですけれども、これもオーバーライトということをどのように扱うのかと思います。私は国際規格の関係の仕事をしておりますけども、不出来な原案文書はありますけど、それはそれで通し番号がついて残されていきまして、それが不具合であれば、これをリバイズして、その新しい文書にも通し番号が振られて残されていきます。要は、前の不出来な文書と、これはこうだったから違ったよという、さらに別の文書が付け加えられていくという仕組みがあります。そういう改訂履歴を残していかないと、マニピュレーションということになってしまいます、もし、今後、そういう不合理な、あるいは不出来な文書があるとすれば、それは何月何日付の決裁については以下を訂正する、その理由は斯々然々といったような書き方をして改訂履歴を残していくべきであろうと思います。 最後、プライベートなことを申しますけども、私の縁戚者で大蔵省の次官まで務めた者がおりますが、彼はきっと天国──天国にいると思いますが──天国から、後輩たちにしっかりしろと言っていると思います。そういう意味でも、ぜひ皆様、今回のこういったことに対しては、先輩たちの見えざる嘆きを踏まえながら頑張っていただきたいと思います。 〔 角臨時委員 〕 林田委員と野城委員がおっしゃったことに加えるということになるのかもしれませんけれども、今回は問題が2つありまして、いわゆる売却価格が適正かどうかという問題と、それから改ざんをしたという、2つの次元が異なる問題があります。前者の問題は、まさにこの分科会で議論をしなければならない問題であって、かつ、これは手続きをどう透明化させるかという問題なので、後者の問題よりも、まだ何とかなるかなというところがあるかと思います。 ただ、私自身は、何度も申し上げておりますけれども、この売却価格が本当に適正だったのかどうかということについては、まだ釈然としないものは持っております。多分これは国民の皆さん一般の感覚に近いのではないかなというふうに思いますので、適正であると自信をお持ちになっているなら、やはりきちんと説明責任は果たされるのがよろしいのではないかと思います。 それから、後者の改ざんの問題につきましては、正直申しまして、怒るということを通り越して、情けないという状況であります。 それで、先ほど林田委員も野城委員もおっしゃいましたように、1回決裁の判こを押したものは、やはりそれが不出来だろうが何だろうが後で修正ということはあってはならないと思います。まさにそれこそが決裁の意味、そこでピリオドを1つ打つという意味かと思います。 それで、先ほど国有財産企画課長から御紹介がありました37ページの大した変更をするわけではないのでという、そういう認識で行われたということですけども、そのことが問題だと私は思います。そういう認識だったからいいじゃないかじゃなくて、決裁文書をいじるということがどれほど重要なことであるかという、その意識が共有されていなかったということが問題かと思います。 それで、27ページに、近畿財務局でこのお仕事をなさった現場の職員の方たちは、ものすごく修正することについて抵抗感があったとあります。私、これはまともな感覚だと思います。なぜこのまともな感覚が共有されなかったのかというのが非常に残念ですし、わからないとしか言いようがありません。 それで、じゃあ、どうしたらいいかということというのは、例えばコンプライアンスとか内部統制をちゃんとやるように手続きをきちんとしましょうということ以前の、職場の風土とか、もしかしたらこれは今の日本社会というものを反映しているのかもしれませんけれども、一朝一夕に何とかなるものなのかなという気が、ちょっと悲観的ですけれども、します。 なぜ、それはやめましょうとおっしゃる方がいなかったのか。多分、心の中、皆さんやりたくなかったけれども、でも、ある種の空気にみんな流されてしまった。誰がやろうと言い出したかよくわからずにそういう空気になってしまったという、そういう職場が一番私は危ないのではないかというふうに思いますので、そこのところをどういうふうにしていくかというのは、これはもうこの分科会でどうこうということを超えているのではないかなというふうに思います。 もう1つ、これは最後の質問ですけれども、こういう言い方は失礼な言い方かもしれませんけれども、財務省の中で調査をなさったというのは身内の調査で、やはり甘いのではないかとかという、そういう感想は持たれて仕方がないと思いますので、これ、もう1回第三者調査、第三者委員会を立ち上げて外部の方に調査をしていただくという、そういうスケジュールがあるのかないのかということを伺いたいと思います。 〔 小林分科会長 〕 いかがでしょうか。 〔 嶋田国有財産企画課長 〕 大変厳しい御指導ありがとうございます。 今の最後の第三者調査の件でございますけれども、これ、国会でも御答弁申し上げておりますけれども、本件については、まず第三者として会計検査院が入られたということが1つあって、その上で、検察当局の捜査も受けているということでございます。 検察当局については、一渡りの結論を出され、会計検査院については、今回の改ざん、あるいは応接録の廃棄等々を踏まえて改めて必要な点を検査するということでございますので、第三者機関どうこうというよりも、国の財務省の外においてさらにまだそういった検査等々が続くことになりますし、先ほどの捜査の件につきましても、検察審査会に申し立てがなされております。 そうした状況でございますので、特に会計検査院については、我々、組織として対応しなければいけませんので、そこはしっかり誠実に対応していかなくてはならないと思っております。 〔 緒方臨時委員 〕 今回の報告書を拝見いたしますと、過去の経緯をしっかりと把握し、総括した後、今後、再発防止に向けた取り組みをまとめておりますので、財務省としては、もうこの報告書で最後の決着にされたらいかがかと思います。 重要なことは、いつまでも過去をああだった、こうだったと繰り返すよりは、むしろ、最後のほうのページにあります「今後はどうするのか」ということのほうが国民にとって大事なことです。これから前向きに姿勢を変えていただきたいと思います。 それから、角先生の言われる近畿財務局の職員がまともな感覚を持っているというのは、それはおっしゃるとおりですけれども、例えば37ページのDのところに、「連日の国会審議への対応のほか、説明要求や資料要求への対応により職員が疲弊しており」と書かれております。 本省の職員は、毎日毎晩のように国会審議の資料をつくらされて、精神的、身体的にも弱って大変な疲弊をしていたと思いますが、近畿財務局の職員は、直接その国会の対応資料をつくる立場ではないでしょう。ですから本省職員に比べればまだしも角先生の言われる「まともな感覚」というのを持っていられたと思います。本省では、連日に及ぶいろいろな、また、さまざまな角度からの、大きかったり小さかったりする資料の作成を要求されていると、やっぱり大変な苦しさだったと思います。 その勤務状況の中で、不必要な情報とか本質的な内容が変わらないのであれば変えても問題はなかろうと思ったのは、人間としてやむを得なかったのではないか、自分だったらどうだったろうかと酌量し同情するところはあります。 〔 佐谷委員 〕 先ほどの野城委員の、決裁文書を変更することはあってもいいが、オーバーライトじゃなくて履歴を残したほうがいいのではないかということに私も賛成です。 それで、50ページの今後のところに、Cですかね、「修正等が必要な場合には決裁を取り直すことを原則とするなど、決裁ルールの見直しを検討する」という中には、履歴、あるいは決裁を取り直す理由とか、そういうのは残るようなルールにする予定なのかどうかということをお聞きしたい。 〔 井口総務課長 〕 総務課長の井口と申します。直前まで国有財産企画課長をしておりました。文書管理の方は総務課も関係しますので私からお答えします。 この文書管理につきましては、「修正等が必要な場合には決裁を取り直すことを原則とするなど、決裁ルールの見直しを検討する」となっておりますが、従来、決裁を経た決裁文書を改ざんするというようなことは想定されておりませんでしたので、実は間違えたときにどうしたらいいのかということが必ずしもはっきりしておりませんでした。 これからは政府全体として、電子決裁化を進めて履歴を残そうという形が進められていくということですので、おっしゃるように履歴を残す、あるいはそれがもし不合理なものであれば、決裁を取り直して手続きを踏むということを基本的に進めていこうとしております。 ただ、非常に急ぐものとか、いろいろありますので、それでどこまで対応できるかという問題はありますけども、考え方としては、まさに今御指摘されているような形で進めていきたいと思っております。 非常に厳しい御指摘を受け、私自身もこの3月以降のことを思い直しておりましたけども、本省の電子決裁については、その書き換えた前の文書が残っているという、かなり相当混乱した状態でいろんなことをやってしまったということでございまして、やったこと自身については全く本当に申し開きのできないことだと思っておりますけども、文書管理のルールを整備することで、そういうことができないような形にしていくことが重要なことだと思っております。この国有財産の処分についてどういう形で文書を残していくかということは、今後、改めて検討していかなければいけないと思っております。 〔 林田臨時委員 〕 一応ちょっと確認しておきたいのですけれども、37ページのところに戻って恐縮ですけれども、私も役所の取材をして、国家公務員の方が非常に忙しくて、真夜中まで国会対応で残り、朝早く出てきて仕事をしているというのを見ておりまして、非常に大変だなというのはわかります。わかりますけれども、それは何も財務省に限ったことではありませんで、他の役所でもそういったことがあると。 もしここの部分で同情して、こういったことがある、大変だからちょっと書き換える気持ちになるのもわかると言ってしまうと、あらゆる役所でこれは言い訳として通ってしまうと。こういう言い訳は通らないよということを財務省としては認識されているのかどうかということを、確認ですけれども、お伺いしたいと思います。 〔 嶋田国有財産企画課長 〕 まさに、こういった状況であったことに対して、「一連の問題行為の評価」ということを38ページにおいて、決裁文書の改ざんを行って、改ざん後の文書を国会に提出するというようなことはあってはならないことだと、それは不適切なものだったと言わざるを得ないと認定されておりますので、そこは委員のお気持ちと同じだということでございます。 〔 緒方臨時委員 〕 私は同情するから許しているというわけではないので、そこのところは誤解のないようにしてください。 〔 川口委員 〕 これまでの議論で誤解がたくさんあると思いますが、私は、国会──要するに国権の最高機関の国会、それから司法、行政、三権分立で、それぞれが今回に携わって、特捜部長の山本さんという人が会見で発言していることは、文書の効用を失ったとは認められず、うその文書をつくったとは認められないというのが検察の見方なので、私はこういう事実をベースにすべきだと思います。 先ほど、研究のデータを改ざんしているというのは、これはあってはならないことですけども、今回の問題と科学的なデータの改ざんとを一緒にはできず、要するに、意思決定のプロセスの合理的な過程というのをどうやって記すかという問題は別次元の問題があるというのが私の考えです。それは、会計検査院なり、特捜部なり、財務省なり、それぞれの国の機関が責任を持って、これはうそをついた、うそをつかないということを前提にしないと、その辺が曖昧な議論は、国民を非常に惑わすことになると考えます。 そういう意味で、私は、緒方先生と同じです。財務省は1つの事実を財務省として出し、それを踏まえて検察はうその文書をつくったのではないと判断しました。今後これを良しとしない人たちがさらに訴えて特捜部がまた動くかもしれません。会計検査院も再調査するのかもしれません。今回なぜ修正が行われたのかという問いへの答えは簡単なものであり、国有財産の売却は適正に行われた、これを真摯に主張するために全てのことが行われたということです。今回の案件では誰も得をしていない。収賄、贈賄が起こったわけでもない。単に、「わたしたちは財産を適正に処分した」と一貫して主張すること以外に動機はないと考えます。 特捜部が言っているように──少なくとも現時点では、これはうそではない、改ざんではないのではないでしょうか。ちゃんと履歴も残っています。調べれば、どういうことが行われたかということは、このように私たちははっきりと確認できます。 私は、緒方先生と同じで、同情しているわけではありません。今後は改善しなければいけないところはありますが、公文書管理法という形式と行政の実態の実務に大きな乖離があることについては、わたしたちは十分に勉強して発言しなければならないと思います。 〔 角臨時委員 〕 川口委員がおっしゃったことが私なんかはちょっとよく理解できないので、とんちんかんなことを申し上げているかもしれませんが。検察の調べに対しては、検察審査会に対して申し立てがある。それはそれで置いておきまして、刑罰権の発動というのは、国家権力の最大の行使なわけです。ですから、刑罰権の発動というのは、これは謙抑的でなければならない。刑法の文書偽造かなんか、ちょっと罪名はきちんと出ませんけれども、それの構成要件にぴたっとはまらなければ、決裁文書に修正をしたからというだけで刑事罰を課すわけではありません。ですから、検察は、刑罰権を課せるかどうかという観点から判断するので、構成要件に該当しなかったら、どんなに倫理的におかしいと思ってもやっぱり手は出しちゃいけない。これが法治国家であり、罪刑法定主義のあり方だと私は思います。 今、ここで我々が議論しているのは、そういう刑事罰を発動するかどうかということではなく、行政庁として決裁文書というものに手を入れたということが適当なのかどうか、適切だったのかどうかということを議論しているわけですから、若干ちょっとフェーズが違う話だと思います。刑事罰の発動と同じレベルでお話をもしもなさっていたとしたら、ちょっとそれはよろしくないのではないかと思います。 〔 児玉臨時委員 〕 決裁文書って、1回確定したものですよね、歴史に残るもの。それが事後的に書き換えられるということは、要するに歴史の改ざんが行われても仕方がないのかなというふうにも思うわけですね。ですので、やっぱり1回確定した文書というもの改ざんするというのは、あっては絶対ならないということで、最近、ブロックチェーンだとかということで、物理的に書き換えが不可能になるようなシステムを導入すべきだという声も出ていますが、そのようにすべきだと思います。 それともう1つは、先ほども検察審査会だの第三者機関だのということがありましたが、結果的に、今回の処分を見ていますと、ああいう形で処分されたと。検察は不起訴だということになりますが、納税者の感覚からすると、どうもそれで済んでしまうのかなというのはちょっとおかしいというふうに思います。ですから、公文書の管理法の中にやはり罰則をきちんと設けて、こういうことが絶対起こらないような法的な担保もすべきだと、これは私の意見ですけども、申しておきたいと思います。 〔 野城臨時委員 〕 刑罰その他以外に、ここで財務省の皆さんに考えていただきたいのは、それが違法行為に当たるか、あるいは会計検査院から見て非常にゆゆしき事態に当たるか以外に、やはり行政の信頼ということを考慮すべきです。私が住んでいる技術の世界では、判断に迷った場合に、普遍化テストという意思決定方法があります。自分が今迷っている行為をもしする場合に、自分以外の他の人もそれをやり始めたら社会全体がどうなるかを想像すべし。もし、それがとんでもないことになったらやっぱりやめたほうがいいし、それをやったとしても社会がとんでもないことにならなければ、やってもいいかもしれないという判断方法です。今回の件は、やはりこれをみんながやり始めたらとんでもないことになることだけの事態であることは、間違いないことです。それはいわゆる現行法規に対して違法かどうかという次元とは別に、少なくともそういうことをやってしまわれては、社会全体のガバナンスが心配になるし、行政に対する信頼も心配になるということは申し上げておきたいと思います。 ですから、会計検査院対応、あるいは検察対応が一段落したら──今やる必要が僕はないと思いますけれども──少し気持ちにゆとりが出たらば、その信頼感たるは何かということについては、理財局内でいろいろとお考えいただくなり、それこそ第三者のアドバイスかオブザベーションをお聞きになるというのもいいのではないかなと私は思います。 〔 山内臨時委員 〕 野城さんがおっしゃっていた信頼感の話ってとても大事だというふうに思っています。 この具体的な内容については今まで議論がありましたので、それは私も言いたいことはありますけど、ちょっと置いておきまして、これからのことがとても大事だというふうに思っています。 それで、一度組織とかそういうものの社会的信頼が失われたときに、どういうふうにそれを立て直すかというのがとても大きなマネジメントの仕事だと思います。 有名な話ですけど、昔、トヨタ自動車が1970年代の半ばに排ガス規制に大反対をして社会的な信頼を失ったというふうなことがありました。 それで、これはトヨタの経営者の方から伺ったのですけども、そのために会社がとったことというのは、圧倒的な高品質な車をつくる。それを世の中に普及させる。それによって信頼感を勝ち取るといいますかね、回復する。これに20年ぐらいかかったというふうに言っていました。 私は、今回の問題というのはそれに匹敵する、それ以上のものだというふうに思っていまして、これから財務省がどういうふうに組織をマネジメントして、会社で言えば全社的な戦略として信頼感をどういうふうに回復するかということ。これは、今、副大臣がいらっしゃるので、まさにマネジメントの仕事ではないかというふうに思っていまして、そういったところをちゃんと世の中に表明されたらいいのではないかというふうに思います。 圧倒的な高品質というのは、行政レベルでも本当はあるのかもしれません。いろんな意味での高品質があると思いますけども。参考になるのではないかというふうに思っています。 〔 小林分科会長 〕 いろいろありがとうございました。 2種類の、気持ちの表現と今後やるべきことの問題点のクローズアップと2つあったと思いますが、この事案に関して、この処理に関して、あるいはこの報告書に関しての皆様のそれぞれのお立場、あるいはそれぞれの個人としての根源的な感じ方、これは重々よくわかりました。 これはこれで、もともとは要するにそのまま文書が出されていれば何の問題もなかったことですよね、本来的には。それが人間だからこういう形でなってしまったことの理由、環境はともかく、そうなってしまってから、今度、それのレクティフィケーションというか、要するに修正、元へ戻す、その行為の1つがこれで、財務省としてはこういうことだということなのかもしれません。 これに対して、それぞれまた御意見あるかと思いますが、我々として次に踏み込んでいかなきゃいけない。次に踏み込んでいかなきゃいけないのは、先ほど山内さんおっしゃったように、要するに、この国有財産の処分ということに関して、前も、繰り返し申し上げますが、透明性、安全性、それから納得性、いろいろありますが、そういうことを半ば自動的にやれるようなシステムをつくっていくというのが1つ。これは我々の役割。 それからもう1つは、今度、公文書の管理、あるいはその修正に関して、どういうふうに見ていくかということ。これは実は、この国有財産の処分だけではなくて、あらゆる公文書にかかわることでありまして、これもいわゆる緊急・急迫に近いような状況で決裁しなきゃいけなかったことが、先ほど川口先生がおっしゃった合理的な跡付け、また合理的な修正、そういうことも必要だということが後でわかったときに、今はなすすべがない、改ざんだと、消しちゃうと。 そうじゃなくて、野城先生おっしゃったように、それはそれとして残しておいてリバイズするというようなこと。これを電子的に、それこそ今はやりの不可逆的にやっていく、そういう仕組みをつくっていくべきだというのは、まさに我々の国家財産処分の案件で一番身にしみて出てきた部分ですよね。ですから、これは我々として、財務省のみならず、先生を通しても、公文書の管理ということに関しては、こういうことが展開としては今後必要ではないかというようなことも、これは意見として申し上げたほうがいいと思います。 そういうことで、一方、行政はずっと走っておりますから、ワーキングチームを一度つくっていただいて、1月に諮問に対する取りまとめをしました。それから混乱の中を2回開いてこういう会になったわけですが、これで大体皆さんおっしゃりたいことをおっしゃっていただいて、財務省のほうもいろいろそれぞれの立場で──反論もあるかもしれませんが、やはりこういうものを出してこられて、これに対して忌憚のない意見をいただくということはいいことだと思います。ですから、これに、今の意見をベースにして、さらなる今後の展開がある場合に糧にしていただきたいということで。 これは、本来ならば、この報告を会として了承するかどうか──というのは、取締役会だとよくこういう話になりますが、これは了承とかいう問題ではないということで、これはいただいたと。これは十分我々としては吟味していますと。ただ、これを超えた、もっと深い部分でいろいろなことがあるのではないのということは、残念ながらまだ払拭はできていない。だから、そういうことがあるのが世の中であるということを肝に銘じて今後ともこれは展開していってもらいたいというのが我々の総意ということかと思います。 分科会として、英語で言うとアクノリッジメントというのですかね──ということで、とりあえず次の議題に移りたいと思います。 それでは、木原財務副大臣はここで所用のため御退席されます。
〔木原財務副大臣退席〕 〔 小林分科会長 〕 それでは、続きまして、第2議題の処分価格等の明確化について、事務局から説明をお願いします。 〔 木村国有財産審理室長 〕 国有財産審理室長の木村でございます。どうぞよろしくお願いします。 ことしの1月に、本分科会におきまして、「公共随契を中心とする国有財産の管理処分手続き等の見直しについて」取りまとめをいただきました。多くの改正内容につきましては、前回4月の分科会で御報告をさせていただきましたけれども、本日は、地下埋設物の撤去費用などの第三者チェックの具体的な内容について御報告をさせていただきたいと思います。いただいた御意見等も踏まえまして、今後、具体的な通達策定作業を進めさせていただきたいと思います。 それでは、資料2になりますが、表紙をおめくりいただきまして、1枚目でございます。 まず、第三者チェックの事務フローでございますけれども、上の枠の1つ目の「○」でございますが、1月の取りまとめにおきましては2つございまして、「契約締結前に瑕疵が判明している場合においては、地下埋設物の撤去費用等の見積もりは、民間精通者に行ってもらう」とあります。2つ目といたしまして、「地下埋設物などを原因とする価格の減価が大きい場合には、不動産鑑定士、弁護士などの外部の有識者による第三者チェックを行うこととし、更なる客観性の確保に努めるべきである」とされております。 これを具体的な形にしたものが中段の事務フローでございます。「土地の調査」と「鑑定評価」の2段階でチェックを行う必要があるということで策定させていただいております。 最初のプロセスが、左側にございます@でございますけれども、土地の調査の第三者チェックでございます。これは、まず、全国各財務局におきまして、土地の利用履歴などを調査いたしまして、その結果、地下埋設物や土壌汚染が存在する蓋然性が高いという場合には、民間事業者に調査及び対策費用の見積もりを依頼します。その調査結果、費用の見積もりを、本省の理財局を通じて、不動産鑑定士、あるいは不動産に関するコンサルタントなどの有識者の方々に精査をしていただきます。精査をしていただいて、いただいた御意見を踏まえまして、民間事業者に再度の調査を依頼する、あるいはこのまま採用する、修正を依頼するといった対応をとりたいと考えております。 通常、未利用国有地は、3カ月間公的取得要望を募りまして、応募がなければ入札にかけるといったプロセスで売却を行うというのが基本的なルールでございますが、この地下埋設物などに関する調査及び第三者によるチェックといいますのは、この売却のプロセスの前で行う、いわゆる準備段階で行う作業といった形になるかと思います。 続きまして、右側に示しております、これはAでございますけれども、鑑定評価の第三者チェックでございます。先ほどの土地の調査結果を不動産鑑定士に渡しまして、不動産鑑定評価を依頼します。提出された鑑定評価書のドラフト段階のもので、有識者の方々に適切な形で鑑定評価に地下埋設物の撤去費用が反映されているかといった点を精査していただきたいと考えております。 その際の留意点でございますけれども、右下の注3にございますけれども、不動産鑑定評価でございますけど、これは法令・基準に基づきまして、独立した専門職業家である不動産鑑定士が行うものとなっております。評価の適切性についてのチェックは第三者の方々に行っていただき、意見は示すということになりますけれども、あくまで鑑定評価の最終判断及び最終責任は専門職業家たる不動産鑑定士が負うというものになりますため、あくまで意見は出しますけれども、第三者チェックを踏まえて意見は示しますけれども、強制力は持たないものになるといった形になります。 ここは、実は検討の段階で、最終的な不動産鑑定評価に対して第三者チェックをお願いし、その結果に基づき予定価格を設定するというスキームも検討したのですが、専門職業家たる不動産鑑定士に出していただいた評価を保証する、あるいはそれを修正するということになると、この第三者チェックのためにかなりの期間、費用をかけた調査が必要になるということになり、なかなか運用が困難じゃないかということもありまして、現在、国有財産の売買価格につきましては、透明性確保のために、基本的に不動産鑑定士に出していただいた評価を時価としておりますけれども、そのドラフト段階で意見を出していただいて、それをできるだけ反映してもらうという形のほうが、今のやり方にも溶け込んだ、スムーズな形になるのではないかということで、こうしたスキームとさせていただいているところでございます。 続きまして、下段左側でございますけれども、これは売却契約後に契約において明示していなかった地下埋設物などが見つかった場合の対応、いわゆる瑕疵担保特約による対応ということになるかと思います。この場合には、実際に撤去に要した費用を損害賠償請求されるという形になるかと思いますけれども、その額が、その撤去費用の額が適切かどうかにつきまして精査していただき、その結果をもって売払相手方と交渉を行うというスキームでございます。 1枚おめくりいただきまして、次のページがこの第三者チェックを行う対象財産をどうするかといったところでございます。 まず、金額基準でございますけれども、@にございます「対策費用の見積り額が3千万円以上の財産」ということで設定させていただいております。これは、土壌汚染状況調査・対策に関する実態調査という包括的な調査報告がございまして、これを活用させていただいております。ここ五、六年の我が国における土壌汚染対策工事の約8割が法令や条例に基づかない自主対策の対策工事ということになっております。この自主対策工事の費用の平均が約3,000万ということになっておりまして、この平均費用を要するような国有財産については、対象としてしっかり見ていって、第三者チェックにもかけていきましょうという発想でございます。 また、Aでございますけれども、単に絶対金額でなく、対策費用の割合が高いものも価格の客観性を確保する必要が高いと考えられますので、財産価格が2,000万円以上かつ対策費用の見積もり額が50%以上の財産も対象としているところでございます。2,000万円と申しますのは、これ、財務省所管の普通財産の平均の額が大体2,800万とかそういう額になっておりまして、少し保守的に考えましてこの平均よりちょっと下のところの財産ぐらいで、50%以上の撤去費用が見込まれるものについては見ていこうという発想でございます。 その他、定性基準とありますけれども、金額基準では拾い切れないような財産というものがこれは出てくるかと思います。そういう財産についてもできるだけ対象としてきちんと見ていくということも考えておりますので、定性基準も設けまして、できるだけ拾う形で見ていきたいと考えております。 以前、本分科会におきましても、売却に要する期間の長期化によりまして取引の適時性が失われる、あるいは事務作業の増加により円滑な売却が阻害されないよう留意すべきとの御意見もいただいておりましたけれども、検討におきましては、この制度を設けることで、見るべき財産はきっちり見ていきましょうという制度の実効性と、実際の運用のフィージビリティーの確保とのバランスをどうとるかといった点が非常に悩んだ点でもございましたけれども、これまでの売却実績等の分析等を行いますと、こうした基準を設けて、大体年間10件から20件といった件数が対象になってくるのではないかと考えております。 続きまして、下の有識者の方々でございますけれども、有識者の方々につきましては、地下埋設物や土地取引に詳しい方々、具体的には不動産鑑定士、コンサルタント、工事業者、弁護士などの有識者をあらかじめ候補者としてお願いしまして登録をさせていただき、土壌汚染なのか地下埋設物なのか、地下調査に関するチェックか不動産鑑定評価に関するチェックか、あるいは売却前のチェックか売却後のチェックかなど事案の内容に応じまして、個別の事案ごとに二、三名の有識者の方々にチェックをお願いする形でいきたいと考えております。 例えば土地の調査であれば、不動産鑑定士、コンサルタントまたは工事業者など。鑑定評価であれば、不動産鑑定士、コンサルタントまたは工事業者、弁護士など。また、売却の損害賠償に関するものであれば弁護士の先生にも入っていただくという形を現在のところは想定しているところでございます。 第三者チェックに当たりましては、異なる分野の複数名の有識者の方々に参集していただきまして、意見交換を行っていただいた上で、それぞれの有識者からいただいた意見を提示するという形で運用させていただければと考えているところでございます。 最後でございますけれども、このスキームの運用を通じまして、当局としましても、地下埋設物などに関するノウハウの蓄積を図り、対応能力の向上を図ることが重要と考えております。このため、第三者チェックを担当していただいた有識者の方々と意見交換をさせていただいたり、また、制度の実施状況につきまして、今後、本分科会で報告させていただくといったことについても検討を進めているところでございます。 また、制度自体につきましても、何分運用してみないとなかなか見えないところもございますので、国有財産の管理処分事務の実際の状況でございますとか、この第三者チェックの有効性なども考慮いたしまして、金額基準等々につきましても柔軟に実行状況を見た上で見直しを図っていきたいと考えております。 説明は以上でございます。 〔 小林分科会長 〕 それでは、ただいまの説明内容につきましての御意見、御質問、ございましたらどうぞ。 〔 野城臨時委員 〕 おおむねこの枠組みでいいと思いますが、若干心配なところもございますので申し上げます。2ページ目の処分前、処分後でございますけども、できるだけこの処分後の赤のプロセスに入りたくないということですので、予定価格等々のところですけども、この予定価格は必要ですが、要はどういう可能性があるかということも調査で示す必要があります。つまりそれはピンポイントで幾らかかるかだけじゃなくて、土壌汚染がある可能性があります、あるいはこういう地下埋設物がある可能性がありますということを示して、入札する方にはそれを踏まえたうえで入札額を入れていただく。もし、その可能性が現実化しても、それは幾らかかろうが、今回みたいに幾らかかったからさらに値引きをとか、そういう話にならないようにすることが肝要です。土地の調査については、地下埋設物や土壌汚染については非常に不確実な調査しか現実はできませんし、もししようとすると、今度は1,000万円の土地を1億円の費用をかけて調査するというばかばかしいことになってしまいます。こういう不確実性があるということを含めて、公告して、買っていただくほうがいいのではないかと。そういう不確実性を生むリスクがそこに存在することを明示すれば、資料中の赤のプロセスで、実際幾らかかったら幾ら引けとかいうようなことに事後になるようなことは避けられるはずです。実際、土地改良に幾らかかるかということの費用の見積もりは、むしろ入札側のほうに負っていただくことを原則にこの枠組みを運用したほうがよろしいということを申し上げます。 〔 木村国有財産審理室長 〕 ありがとうございます。先生のおっしゃるとおりでございまして、できるだけこの事後的な損害賠償の形にならないようにするというのが大事なところだろうと思います。 今、国有財産の契約におきましては、契約の段階で瑕疵を明示すると。その明示した瑕疵を超えて出てきた場合にはこういった形になると思いますが、せっかく土地の調査をやるわけですので、明示の段階でできるだけ詳しく、わかっているものは相手方に伝える。あるいは、瑕疵明示のほかにも、土地調査の状況でそうしたリスクについてわかっているところについては開示をさせていただくという形で対応させていただきたいということで考えております。 〔 川口委員 〕 関連して、今は、民間でもデューデリジェンス、買い手が慎重にお金をかけて調査をして、納得した上で買うというのが一般だと思います。ただ、民法では、売り手の瑕疵担保責任を求めるので、最終的には国が責任を負うということになります。野城先生御指摘のように、この契約のところで相手方のデューデリというのも求めるといいますか、工夫をしていただければと思います。 今回の報告書で8ページにあるように、森友の場合には貸付けがあったので、この予定価格の決定というのはなかったと思いますが、処分と処分のすき間のところで、売買前に要するにごみが出てきたということでもって、結局、今問題になっています地下埋設物の撤去費用を差し引くということを内部でやってしまった。その点は、処分後じゃなくて処分前であっても、この左下の赤いところを適用すれば今回のようなことは防げると理解をしていますけど、それはよろしいですか。 それともう1つは、3,000万円や2,000万円といった比較的小規模なものにもこれをやるとなるとその数はかなり多くあると思います。現在、通常でやっているものに比べて今後の時間とコストは、大体の目安でいいですけど、そんなに多くは増えないのでしょうか。 〔 木村国有財産審理室長 〕 コストにつきましては、これは土地の規模とかで大分ばらばらだろうと思いますけれども、期間につきましては、この土地の調査に関しましては、今の見込みでございますけれども、まず調査をやって、それを第三者チェックしていただくための論点整理とかに大体2週間ぐらいかかるのではないかと。さらに、第三者チェック自体ですね、このプロセスで1カ月ぐらいかかるのではないかと。その結果を取りまとめて調査会社とかに提案をするというまでのプロセスで大体2週間ぐらいかかるのではないかと。ですから、この土地調査に関しましては、今までのプロセスよりも2カ月ぐらいはかかっていくのではないかと考えております。鑑定評価についても、それぐらいかかるかなと思っております。 これにつきましては、多分、事案を重ねていけば結構ノウハウも出てきまして短くなっていくと思いますけれども、この2カ月をベースにできるだけ縮めていくといった形で運用できればという形で考えております。 〔 緒方臨時委員 〕 第三者チェックの内容というページです。この金額基準のところ、@、Aについては、そんな難しいことではなくて、比較的容易に調査も行えて、さほど時間もかからずに処分もできるだろうと思います。しかし、この定性基準というところで、汚染の存在範囲が未確定な場合というと、平面的に広範囲なのか、あるいは深い深度で汚染されているのかよくわからない、さらには建物の敷地になっているようなところですから、とにかく調査が困難ということですし、複合汚染があるようなところについては、大きな化学工場の敷地だったりすると、本当に調査が大変ですし、莫大な費用がかかります。このような不動産は実際に処分ができるのだろうかと思います。こういったケースは国有財産の中にあるのでしょうか。 それからもう1つ、金額基準と定性基準とを分けています。これはこれで合理的な基準の分類の仕方だと思いますが、今考えましたように、@、Aは比較的調査容易な基準、定性基準というのは調査困難な基準ということで、書き方として、@、Aにして、Bは上記@、A以外のその他状況に応じて必要とされる場合とかいうふうなまとめにしたほうがわかりやすいのではないかなと思います。定性基準とは何だろうと思いました。 〔 木村国有財産審理室長 〕 ありがとうございます。まさに発想は先生御指摘のとおりでございまして、金額基準というのはある程度拾うのが簡単だと思います。ただ、本当に危ないと申しますか、汚染と地下埋設物のまさに複合でございますとか、どうなっているのかが本当にわからないような財産というのが本当に一番危ないのではないかと考えております。 そういったものがどれだけあるかというのはまだわかりませんけれども、できるだけそういうものについては、主観的にはなるかもしれませんけれども、財務局のほうでも拾ってもらって、それを上げてもらって見ていくということをしていかなければいけないと考えています。 その結果、ほとんど財産価値がなくなるような財産もあるかもしれませんけれども、それは財産管理者としてはきちんと把握すべきと考えておりますので、恐らくこれは運用を続けていけば、どういうものが危ないかとか、どういうものは第三者にチェックしていただかなければいけないかという相場観なりノウハウができてくると思いますので、とりあえず当面はいろいろ拾ってもらう形で怪しい財産についてはチェックをすると、きちんとリスクを把握していくということを当面はやっていきたいと考えております。 〔 小林分科会長 〕 ほか、いかがですか。 〔 林田臨時委員 〕 ありがとうございます。 1月に本分科会でまとめた見直し策に沿って、ここに書いてありますように、不動産鑑定士による撤去費用の見積もりや鑑定評価を別の有識者がダブルチェックするというやり方、これ自体はよくわかります。狙いはよくわかります。ただ、ちょっと先日、事務局に質問しましたところ、この有識者による確認は、実地の調査は通常想定されていないということでした。 ちょっと門外漢で、私、はっきりわからないのですけれども、仮に当初の調査や見積もりに問題があった場合に、書面や写真などの情報だけで、その瑕疵を見抜くことが本当にできるのだろうかと。ダブルチェックの仕組みを入れれば何かやった感があるけれども、実効性の面ではどうなのかなというのを素人ながら少し心配になりました。 ダブルチェックするに当たっては、費用も時間もかかるわけですし、非常に重要な──金額も高かったり、汚染の度合いがひどかったりした場合にはダブルチェックが必要だろうと思いますけれども、そこら辺の運用についてどうなのかなというのがちょっと、素人の疑問で恐縮ですが、教えていただきたいと思います。 〔 木村国有財産審理室長 〕 実際に現地に行くかどうか、これは一度運用してみて、例えば写真を見ただけじゃわからないとか、現地の業者に話を聞かないとチェックもできないということであれば、現地を調査する可能性は排除できないと思っております。せっかく入れる仕組みでございますので。 それと、第三者チェックを入れたにもかかわらず、それが機能しないのではないかということにはならないように、先生のおっしゃるように、いろんな仕組みを整えていきたいと思っています。 例えば鑑定評価の第三者チェックにつきまして、有識者の方々から意見を出していただきます。その意見を不動産鑑定士の方が採用しないという場合については、その採用しない理由を明らかにしてもらうとか、そういうことでこの第三者チェックの機能がきちんと働くような仕組みも、細かいところでございますけれども、いろいろ整備をしていきたいと考えております。 ここは運用しながら考えていくところもあるかもしれませんけれども、くれぐれもこの仕組みを入れたにもかかわらず実効性が働いていないということにはならないように、いろんな仕組みを考えていきたいと考えております。 〔 小林分科会長 〕 ほか、いかがですか。 〔 川口委員 〕 今の点は公文書の管理とも関係すると思いますけど、ここは有識者による確認というダブルチェックであって、調査内容の適切性ということを確認するプロセス、これを入れることが重要で、林田先生の御懸念のように、現地に行けないと調べられないのではないかというところは、その調査の精度を上げるというよりは、ここの確認とか適切性というプロセスを入れるというふうに理解しています。 私の個人的な経験では、例えば国の公的資金を不動産開発に貸し付けるという審査会の経験がありますが、そのときには民間の銀行の融資担当者に集まっていただきました。資料だけでその適切性を確認することが目的で、現場に行ったりはしませんので、まずはこのプロセスを導入して、御指摘のような懸念があれば次の段階で検討するということではないかと理解をしております。 〔 角臨時委員 〕 この2ページ目、結局は、この処分後の赤が出てこないようにするということが大事だと思いますので、そうすると、最終的には瑕疵担保責任の免除特約をきちんと書いて、かつ、それが一義的に両方を拘束するような形で瑕疵担保責任免除特約をきちんと書くということが大事かと思いますので、この点は法務の担当の方と十分詰めてお願いしたいと思います。 〔 小林分科会長 〕 よろしゅうございますか。 それでは、この処分価格等の明確化は、今の御意見を反映して、またもう1回もんでもらおうと思います。 続きまして、平成29年度国有財産監査の結果について、事務局から説明いただきます。 〔 永井国有財産監査室長 〕 国有財産監査室長をしております永井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 お手元の資料3の1ページ目を御覧ください。 国有財産の監査につきましては、一番上の枠に記載しておりますが、毎年度、財務大臣の定める監査方針に従い監査計画を策定し、実施しているところであります。 平成29年度における監査結果につきましては、真ん中の枠に記載をさせていただきましたが、国有財産の有効活用の促進などに主眼を置きまして、「一定の地域又は官署を特定した庁舎等」ということと、もう1つ、各省各庁が保有する「研修施設」の実地監査を重点的に実施しております。 研修施設につきましては、注書きで書かせていただいておりますが、平成29年1月の会計検査院の報告ですとか、平成29年6月の参議院決算委員会、これは研修施設の有効利用を求めるといった内容でございますが、審査措置要求決議が出されております。これらを踏まえまして重点的に実施したということであります。 監査の結果につきましては、全国で521件の実地監査を実施いたしました。そのうち問題点ありということで指摘した案件は135件、率にしまして25.9%ということになっております。 ちなみに、件数と指摘率の比較ということで申し上げますと、資料には書いてはございませんが、過去3年間で見ますと、大体毎年530件程度の件数になっております。指摘率を申し上げますと、過去3年間の平均では約20%になってございまして、平成29年度はやや高くなっておりますが、これは今申し上げました研修施設、稼働率が低いものを中心に監査を実施しておりまして、いわゆる問題があるのではないかということで監査に入っておりますので、指摘件数が多いということで、指摘率が向上しているというふうに考えているところであります。 続きまして、2ページ目を御覧ください。 2ページ目は、具体的にどのような問題点を指摘したかというものをグラフと件数で示したものですが、下の表をちょっと御覧いただきたいのですけども、指摘内容というのが一番左側にございます。大きく4つに分類しておりまして、庁舎等の有効活用、これは、余剰面積が生じており、有効に活用すべきといった内容です。2番目は庁舎等の借受解消、これは、他の空き庁舎等や、監査で指摘している庁舎等をうまく活用して借受けを解消できないかといったものです。3点目は財産管理の不備ということで、これは基本的なところで、台帳がきちんと記載されていないとか、境界に不備があるのではないかといったようなこと。4点目は、非効率な使用となっているので、用途を廃止して財務局に引き継いで売却等の処分を考えるべきといった、こういう大きく分けて4つの分類の指摘をしております。 その件数、135件の内容別の件数につきましては、一番右側の合計欄に書いてあるような件数となっておりまして、有効活用すべきというのが大体半分というような状況になっております。 続きまして、3ページ目は、指摘区分別の内訳を記載したものです。指摘区分というのは、是正・検討・留意となります。表の真ん中あたりに書かせていただいていますが、指摘の内容の強弱ということでお考えいただければと思います。是正が強くて、留意については若干軽微というようなもの、検討は幾つか手法がある中で最適な方法を引き続き検討いただきたいといった内容になっております。 その3つの区分別の割合については、右側に記載の件数のとおり、大体3割、6割、1割といったような内容になっております。 4ページ目につきましては、研修施設の有効活用ということで、財務省における取り組みを記載しております。 左側のほうに2点書かせていただきましたが、使用状況の把握をしようということで、毎年各省から報告をいただきます書類に研修施設の稼働率を書いてもらうということで、我々としても把握をするといった取り組みをしております。 下のほうは、監査ということで、平成29年度も実施したところですが、稼働率が低いものについては監査をして、こうした2つを組み合わせて有効活用を促していくといった取り組みをしているところでございます。 続きまして、資料3の1を御覧ください。 これは、平成29年度135件の指摘事例のうちから4件ほど事例を紹介させていただく資料です。 時間の都合もございますので、3ページ目を御覧ください。 3ページ目の事案は、研修施設の用途廃止を求めた事例となります。これは稼働率が低調ということで、教室が1割程度の稼働率という実態が認められました。 そこで、我々としても監査に入りまして、これは高松の事案、裁判所の研修施設ですが、右側に地図を貼りつけてございますが、高松駅の近くに高松高等裁判所があります。一方、研修施設については、大体距離にして10キロ程度と聞いておりますけれども、交通の便も非常に悪いところに立地をしているということもありまして、近年においては、高等裁判所の中のスペースを使って実際に研修を行っている実態があるということで、我々としては、何とか稼働率を上げることはできないのかということも聞きましたが、なかなか難しいという実態がありますことと、代替施設の確保ができると見込んでいるというような説明もありましたので、それでは、これは用途廃止すべきということで指摘をさせていただいた事案です。 今後も引き続きこういったものについてはきちんと見て、必要に応じて用途廃止や検討といった措置を指摘していくことが必要と考えているところでございます。 続きまして、資料3の2でございますが、これは、平成29年度に指摘をしています135件について、指摘内容を一件別に記載させていただいているものでございます。これについては説明を省略させていただきます。 最後、資料3の3でございます。 これは平成23年度から現在のような現地における深度ある監査ということを始めておりますが、平成28年度までに指摘した事案のフォローアップ状況を毎年取りまとめて御説明をさせていただいている資料であります。 是正・改善状況ということで、表の真ん中より右側のほうに「平成29年度末累計(A)」という欄があります。こちらの各年度指摘件数のところに865件、これが平成23〜28年度に問題ありとして指摘した事案の件数の累計でございます。その1つ下に530件という数字がございますが、これが平成29年度末までに是正が図られたものでして、進捗率ということで見ますと、61%の事案の処理が終了しております。 指摘の内容等に応じて、処理が簡単にできるもの、あるいは時間をどうしても要してしまうもの、予算が必要ですとか、あるいは、境界確定が必要なものについては、なかなか進められないといったような事情もございますので評価は難しいところかと思いますが、単純に、平成28年度末時点の進捗率との比較ではどうなのかというところを見ますと、進捗率57.7%という数字がございます。単純に前年度末における進捗率との比較という面でいけば、3.6%ほどの改善ということになっていると考えているところでございます。 我々としては、フォローアップ、非常に重要だと考えておりまして、各省に対しては、毎年、予算を要求するようにということから始めまして、予算措置の状況の確認、あるいは、先ほど申し上げました境界確定などにつきましては、例えば筆界特定制度を活用することを助言するといったようなことも含めて、適切に指導してこの進捗率を極力、上げていきたいと思っております。 2ページ目以下は、平成29年度中に是正が図られた事案の紹介ということで、3つほど事例を挙げさせていただいております。 駐車場の借り上げを解消したといった内容になってございます。これも説明は省略をさせていただきたいと思います。 〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。 それでは、今の説明内容についての御意見、御質問、ございましたらどうぞ。よろしゅうございますか。 それでは、今の監査報告、了承ということにいたしたいと思います。 それでは、最後に、今後の国有財産の管理処分のあり方の検討について、嶋田課長から説明をいただきます。 〔 嶋田国有財産企画課長 〕 お手元に「参考1」、「参考2」と右上に書かれた資料が配付されていると思います。 この参考1にございますとおり、今後の国有財産の管理処分のあり方について、昨年12月11日に財政制度等審議会に諮問申し上げ、分科会に付議されているところでございます。 あわせて、12月11日に御説明した際に、参考2という資料をもとに、最近の国有財産行政をめぐる現状と課題を御説明申し上げております。 要は、社会経済情勢の変化に伴って、2枚目、まず普通財産について幾つかのことをやっていきます。「普通財産の管理処分手続きの適正性の向上」、これに関しましては、ワーキングチームを開いていただき、随分御議論をしていただいて、お取りまとめもいただいたところでございます。ただ、この他のテーマとして、「有効活用の更なる推進」とか、あるいは「引き取り手のない不動産へどう対応していくか」といった問題がございます。 あとまた、行政財産についても、国家公務員宿舎について、今後、その「整備・更新」とかってどう考えていくのだろうかとか、「庁舎の確保」というのも、いずれにせよ、宿舎も庁舎も、田舎のほうと、それからBCPとかをしっかり考えなきゃいけない都心では大分状況が違いますので、こういうものをどう考えていくのだろうといったようなことが、まだ昨年12月に御説明して以来御議論を頂戴する機会を設けることに至っていないということでございます。 よってもって、こうした課題につきましても分科会でキックオフの御議論を賜って、その後、ワーキングチームで具体的な御議論を賜れればと思っておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。 私からは以上でございます。 〔 小林分科会長 〕 ということは、今、ワーキングチーム、昨年の諮問があったときに立ち上げて、それでワークしていただいて1月に取りまとめを出されたわけですね。それから、この森友問題、いろいろありまして、今はワーキングチームは休止状態ということですね。つまり、こういう課題があるということはもちろん認識はしているわけだけど、我々としては、それをどのアイテムからどういうふうにやっていくかということはまだ議論はされていないということなのかな。 〔 嶋田国有財産企画課長 〕 はい。 〔 小林分科会長 〕 そうすると、秋口に要すれば分科会をもう一度開いてもいいし、そのときに、この課題に関してどういう点から、それからワーキングチームでどういうことをお願いするかということも含めて話し合おうということでいいわけですね。 それで、また何か出てきたらそのときはそのときで、それも含めてまた御討議いただくと、そういうようなことでよろしゅうございますかね。 何か今の件に関しての御質問、御意見ございますか。 〔 川口委員 〕 この中で、3ページですが、国家公務員宿舎。前政権のときに25%削減するということで削減をされましたけど、その結果、行政の仕事がどう変わったかというのはモニターすべきところがあるのではないかと。必ずしも合理的に決定されたわけじゃないというふうに記憶しています。 また、最近、民間の人で30代の人は、電車に30分以上乗るようなところに住まない、都心30分圏内にしか住まないという傾向にあります。 財務省の30代の職員がどこから通っているか、民間と同じ、経済メカニズム、与えられる給与で払えるところに住めばいいということになるのだと思いますが、これから優秀な人材を確保していくためには重要な点だと思います。国家公務員宿舎整備・更新のところ、予算制約が前提ですが、優秀な人材を集めるための戦略としてもこの検討をぜひ入れていただきたいと希望します。秋以降、お願いできればと思います。 〔 野城臨時委員 〕 私も全くそのとおりに思いますので、ぜひ。 〔 小林分科会長 〕 これ、随分前ですけど、私がこの委員長を拝命してからすぐに何か出ていたと思いますけど、要するに危急存亡のときに歩いてこられるようなところに公務員はいるべきだと。 〔 川口委員 〕 かなり遠いところに住んでいるらしいですね。 〔 小林分科会長 〕 そういうこととポピュリズムとは一線を画して違うというところで、そこはそういうベースに立って話をしようということを一度話し合ったことがあったと思いましたけどね。 それが、局長さんから入ったばかりまで全部がそうかと。これもなかなか難しいけれども、なるべく、今の先生おっしゃった趨勢から言うとね、近いところですよね。 弊社だって、もう千葉のほうに独身寮を建てようったって誰も入らないですからね。そういう状況も鑑みて、今の御指摘でいろいろやるということ。 ほか、いかがですか。よろしゅうございますか。 それでは、どうも長らくありがとうございました。本日はこれをもちまして財政制度等審議会第41回国有財産分科会を終了させていただきます。 次回に関しては、また事務局から御連絡させていただきます。 本日の議事録、議事要旨、資料に関しましては、会議後にインターネットに掲載いたします。また、記者レクについては事務局で対応させていただきますので、御了承願います。 それでは、本日は御多用のところ、ありがとうございました。
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