このページの本文へ移動

財政制度等審議会 財政制度分科会
法制・公会計部会
議事録

平成30年3月26日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政制度分科会 法制・公会計部会
議事次第

平成30年3月26日(月)10:00~12:09

財務省第1会議室

1.開会

 

2.議題

  • ○ 平成28年度「連結財務書類」等について

  • ○ 「個別事業のフルコスト情報の開示」の取組みに係る現状と課題

 

3.閉会


配付資料

資料1平成28年度「国の財務書類」
 参考資料1-1平成28年度「国の財務書類」のポイント
 参考資料1-2平成28年度「国の財務書類」の骨子
 参考資料1-3平成28年度連結財務書類の財務諸表(4表)一覧
資料2「個別事業のフルコスト情報の開示について」の取組みに係る現状と課題
 参考資料2平成28年度個別事業のフルコスト情報の開示(ダイジェスト版)

4.出席者

部会長
臨時委員

黒川 行治
秋山 修一郎
鵜川 正樹
木村 琢麿
清水 涼子
田近 栄治
冨田 俊基
橋本 尚
長谷部 恭男

           大鹿主計局次長
           青木総務課長
           奥法規課長
           中野司計課長
           関口調査課長
           坂本公会計室長
           新谷会計制度調査官
              山嵜課長補佐
           髙橋課長補佐

午前10時00分開会

〔黒川部会長〕
 それでは皆様、本日は桜の季節にわざわざ財務省まで来ていただきましてありがとうございました。ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会法制・公会計部会を開催いたします。皆様におかれましては、ご多用のところご出席いただきましてありがとうございます。
 まず、議事に入る前に、本日の出席状況、そして資料の確認を事務局からお願いいたします。
〔坂本公会計室長〕
 本日は、赤井委員、土居委員、藤谷委員、井堀委員はご欠席となっております。そして、田近委員におかれましては、今ちょっと遅れておられる状況でございます。
 次に、資料でございますが、前回からペーパーレス化を原則としております。会場の両側のスクリーンをご覧いただきますか、お手元のパソコンの画面をご覧いただければと思います。パソコンの使用方法につきましては机上に資料を置いておりますが、お困りの際は近くの職員までお申しつけください。
 それでは、パソコンをご覧いただきまして、画面に開いております議事次第をご覧ください。配付資料につきましては、2ポツのとおりでございます。記載の資料名をパソコンに、これはエクスプローラーの画面が開くようになっておりますが、そこにファイルのアイコンが並んでおります。
 また、会議の参考資料といたしまして、これは後ほど私の説明の中で触れますが、総務省と文部科学省の省庁別連結財務書類、これは若干訂正がありましたのでお手元のパソコンにデータを入れております。そして、今回の議題である「個別事業のフルコスト情報の開示」に係る資料のデータが入っております。なお、参考資料1-1、平成28年度「国の財務書類」のポイントにつきましては、お手元に印刷した資料をご用意しております。
 関連資料の紹介は以上でございます。
〔黒川部会長〕
 ありがとうございました。
 それでは、部会の進行についてご説明いたします。本日の部会では、平成28年度「連結財務書類」等について、及び「個別事業のフルコスト情報の開示」の取組みに係る現状と課題の2つを議題といたします。それぞれの議題について、事務局からの説明と、それについての質疑応答を行う形で進めさせていただきます。
 では、議事に入る前に、大鹿主計局次長からご挨拶がございます。
 大鹿主計局次長、よろしくお願いします。
〔大鹿主計局次長〕
 おはようございます。本日は、委員の皆様方には大変お忙しいなかご出席賜りまして、誠にありがとうございます。
 本日は議題が2つございますけれども、まず連結財務書類のほうでございますが、前回の部会で、一般会計・特別会計合算の国の財務書類につきまして、この部会でご報告させていただいたうえで、1月末に公表させていただきました。大変熱心なご議論があったと伺っております。本日は、これに国の業務と関連する事業を行っている独法などを連結した「連結財務書類」を作成いたしましたので、皆様方に後ほどご報告をさせていただきます。またご審議をいただければと思います。
 それから、2題目の議題の「フルコスト情報の開示」でございますけれども、この取組みにつきましては、1月の公表で3回目となりました。個別事業単位で発生した全てのコストがわかるようになったということで、国会のほうからも一定の評価をいただいておりますなど、成果の面でもそれなりの成果を上げたというふうに思っております。
 他方で、活用する場合においてのコストの算定方法の妥当性といいますか、そういった点についての課題も少しずつではありますが見えてきたところでございます。そのため、今回、この取組みの現状と課題について、3回終えたところで、一旦、中間的な整理を行いました。これにつきまして、皆様方のご意見をお聞かせいただければと思います。その上で、今後のフルコスト情報の取組みの方向性について考えていきたいというふうに考えているところでございます。
 部会の先生方におかれましては、引き続き、ご指導とご鞭撻をお願いしたいと思っておりますので、このことを申し上げまして、挨拶にかえさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
〔黒川部会長〕
 ありがとうございました。
 それでは、早速、初めの議題の「連結財務書類」等について、事務局から説明をしていただきます。よろしくお願いします。
 坂本室長。
〔坂本公会計室長〕
 それでは、平成28年度『国の連結財務書類』の概要について、お手元の参考資料1-1、緑色の表紙の冊子をお配りしていますが、これに即してご説明申し上げます。
 その中で、1ページから24ページまでは、国の単体の財務書類について説明しておりまして、これは1月の部会でご説明申し上げたものでございます。25ページ以降が、連結財務書類について取りまとめたものでございます。
 その前に、資料の訂正についてご説明申し上げます。3ページをご覧いただきたいと思います。2.の(1)ストック(資産・負債)状況についてというページでございます。
 その中のグラフの右側に吹き出しがございますが、その下から2番目の出資金のところでございますが、独立行政法人の出資金について、31.7兆円としております。1月の部会では31.5兆円としておりましたが、これが誤りでございまして、今回、31.7兆円に訂正させていただきたいと思います。事務局のミスでございます。今後、厳重にチェックしてまいりたいと考えております。
 続きまして、4ページでございます。これは1月の部会でのご指摘を踏まえて修正した箇所についてでございます。これもグラフの右側の吹き出しのところでございますが、そこの3番目の、公債のところの下に点々で四角囲みがございますが、<参考>として、「公債の保有者内訳」を示しております。1月の部会では、これを「政府短期証券及び公債の保有者内訳」としておりましたが、委員のご指摘を踏まえて、公債のみの保有者内訳を書いております。
 続きまして、飛びますが、10ページをご覧ください。【参考】資産・負債差額の増減要因(過去からの累積額)ということで、赤と緑のグラフがついているページでございます。
 そこのページの最下段に、これは前回1月の部会でご指摘、議論いただきましたが、それを踏まえまして、一番下に※印を追加しております。この文章は、あとの18ページの最下段に載っている文章と同じものですが、これを注記させていただいております。そこが変更点でございます。
 それでは、連結財務書類の説明に移りたいと思います。飛びますが、25ページをご覧いただきたいと思います。
 7.連結財務書類、(1)連結財務書類とは、というページでございます。ここでは、連結貸借対照表、連結業務費用計算書などをもとに、平成28年度の連結財務書類の概要についてまとめております。
 ページの中段でございますが、連結貸借対照表によりまして、平成28年度末における連結ベースのストックの状況をお示ししております。そのうち、まず左側、資産の部でございますが、左下の水色の部分にございますように、平成28年度末の資産合計は、前年度比で27.4兆円増加いたしまして986.3兆円となっております。
 続きまして、同じ表の右側、負債の部でございますが、薄いピンク色で着色した部分でございますけれども、負債の合計につきましては、前年度比で45.9兆円増加いたしまして1,469.7兆円となっております。
 その下の資産・負債差額でございますが、これは濃いピンク色の部分にございますように、対前年度比では18.4兆円悪化いたしましてマイナス483.4兆円となっております。
 次に、下の段におきまして、連結ベースの業務費用の状況、それから資産・負債差額の変動要因をご説明申し上げます。
 まず、左側の下の表の薄いピンク色で着色しております欄にございますように、平成28年度の連結ベースの業務費用の合計につきましては、大きな変動はございませんでした。前年度に比べて0.9兆円増加し166.8兆円となっております。
 次に、右側の表、連結資産・負債差額増減計算書をご覧いただきますと、一番上のオレンジ色の枠につきましては、前年度末の資産・負債差額を書いております。それから、その下に順々に平成28年度における変動要因が列挙されておりまして、順に足していきますと、一番下の濃いピンク色の枠内にある今回の資産・負債差額になるという構成になっております。
 表の2段目の薄いピンク色の着色部分につきましては、左側の表で算出した連結ベースの業務費用の合計額166.8兆円が記載されております。その下の水色の枠については、これは財源でございます。財源の合計額については、対前年度比で16.2兆円増の157.0兆円となっております。
 その下の緑色の枠内に、業務費用と財源の差額である超過費用をお示ししておりますが、平成28年度につきましては、連結ベースでマイナス9.8兆円となっておりまして、前年度と比べて15.2兆円改善しております。
 さらにその下になりますが、左側に縦に「上記以外」と書かれた部分がございます。ここでは、超過費用以外に資産・負債差額の変動要因として算入される要素を列挙しております。まず、有価証券等の資産価値の変動を示す資産評価差額についてはマイナス3.2兆円となりました。
 次に、為替相場の変動による評価額の変動を示す為替換算差額でございますが、これは1月部会でもご説明申したように、為替相場が円高に振れておりましたことから、マイナス4.2兆円となっております。
 さらにその下の公的年金預り金の変動に伴う増減の欄でございますが、これは年金給付財源が増加したことに伴い、見合いの負債が増加したということでマイナス2.9兆円となっております。
 これらの要因を全て合算した結果として、表の一番下の濃いピンク色の欄にございますように、平成28年度末の資産・負債差額はマイナス483.4兆円となっております。
 次に、26ページをご覧いただきたいと思います。
 ページの上段の灰色の囲みになっているところで、連結対象法人の範囲、連結財務書類の作成に当たっての会計処理の考え方について説明しております。
 連結対象法人の範囲につきましては、国が監督権限を有し、国から財政支出を受けている法人として、監督権限の有無、財政支出の有無により判断をしております。
 下段に、主な連結対象法人をお示ししております。独立行政法人、国立大学法人、特殊会社など、合計202の法人を連結しております。平成28年度におきましては、28年度中に独立行政法人が統合等されましたことにより10法人が減少し、認可法人で新設の法人が1件ございまして、結果、連結対象法人は前年度から9法人減少しております。
 新設された認可法人は外国人技能実習機構という法人でございます。この法人は、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」という法律に基づきまして、理事長、監事は主務大臣が任命し、予算は主務大臣の認可を受けなければならないなど、監督権限に基づく支配関係にございます。また、資本金が1.9億円ございますが、これは全額政府出資で、平成28年度経常収益全額が政府からの補助金となっておりまして、先ほど申した連結の考え方に照らして、連結対象法人となるものでございます。
 続きまして、27ページをご覧いただきたいと思います。
 27ページから28ページにかけまして、一般会計・特別会計を合算した国単体の財務書類と、連結財務書類の比較をしております。27ページの上段の連結貸借対照表につきまして、左右それぞれ、縦にご覧いただきますと、3列ずつそれぞれ金額が並んでおります。左から国単体の財務書類に記載された金額、真ん中が連結後の金額、一番右側が両者の差額という順で記載しているものでございます。
 まず、表の左側、資産の部をご覧いただきたいと思います。一番上の現金・預金、その下の有価証券、さらに飛びまして3つ下の貸付金、その下の運用寄託金、さらに2つ下の有形固定資産、その2つ下の出資金につきましては、連結によって金額が大きく変動しております。
 次に、表の右側の負債の部をご覧いただきますと、上から3番目の公債において大きなマイナスが生じておりまして、その4つ下の郵便貯金、5つ下の責任準備金では逆に大きなプラスが生じております。これらの要因については、27ページ下の灰色の囲みと28ページの上の欄の灰色の囲みにおいて説明しております。
 その中身ですが、27ページ下の灰色の囲みをご覧いただきたいと思いますが、資産の部で生じた主な差額の要因について説明しております。
 まず、現金・預金でございますが、これは連結対象である日本郵政が有する現金・預金52.8兆円が加わることなどから、連結前より73.5兆円増加しております。
 次に、有価証券につきましては、連結によりまして249.3兆円増加しております。その主な要因について2点説明しております。
 1点目は、連結対象でございますGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の有する有価証券についてでございます。このGPIFの資産の部には、国からの運用寄託金に基づく運用資産が時価により143.3兆円計上されておりますが、連結貸借対照表の資産の部の有価証券の内数として計上されます。
 また、有価証券の変動要因のうち2つ目につきましては、日本郵政株式会社が保有する有価証券209.0兆円でございます。このうち国及び連結対象法人が発行した公債あるいは独立行政法人等債券につきましては、連結に際して相殺消去されますが、外国証券、地方債など連結対象法人以外の主体が発行した有価証券89.2兆円が新たに計上されております。
 続きまして、貸付金につきましては、国の財務書類における貸付金115.6兆円、連結対象法人からの貸付金120.4兆円となりましたが、国から連結対象法人向けの貸付金など78.3兆円が相殺されますので、連結前より42.1兆円の増加となっております。
 次に、これは資料に説明の記載がございませんけれども、表の連結貸借対照表の有形固定資産につきましては、国が保有する資産181.6兆円となっております。それに連結対象法人の保有する土地、建物、高速道路などが加算されますので、連結によりまして、87.7兆円の増加というふうになっております。
 また灰色の囲みにお戻りいただきまして、一番下の出資金でございますが、国単体の財務書類における出資金72.5兆円のうち、連結対象法人への出資金55.1兆円が相殺され、連結対象でない法人への出資金と連結法人からの出資金が合わせて18.8兆円計上されますので、連結により53.6兆円の減少となっております。
 続きまして、28ページをご覧ください。ページ上段の灰色の囲みにおきまして、負債の部について連結により生じた差額の主な要因を説明しております。
 まず、公債につきましては、国の財務書類におけます公債残高943.3兆円のうち、日本郵政など連結対象法人が資産として保有している公債分の118.6兆円が相殺されますので、その分減少しております。
 ただ、その一方で、次に示しております日本郵政の子会社でありますゆうちょ銀行の国民から預かっている郵便貯金や、資料に説明は書いてございませんけれども、同じく日本郵政の子会社のかんぽ生命の責任準備金が連結財務書類の負債の部に計上されることになります。このことは国の財務書類の負債として計上している公債の支払義務が連結によりまして減少しているものの、かわりにゆうちょやかんぽの支払義務に振り替わることを示しているともいえるものでございます。
 なお、金額といたしましては、国の財務書類に比べ連結書類では、郵便貯金が178.0兆円、責任準備金が88.7兆円増加しています。
 次に、上から2番目の灰色の囲みにおきまして、資産・負債差額について、国単体と連結した場合の比較を説明しております。
 連結の結果、資産・負債差額のマイナス幅は、連結前と比べますと65.5兆円縮小し、マイナス483.4兆円となっております。主な要因としては、日本郵政やGPIFの純資産が加算されること、連結対象法人が国から運営費交付金や補助金を財源として連結法人が資産を取得すると、その資産が計上されますので、これらが要因となっているということを記載しています。
 次に、中段のフローに関する表でございますが、左側の連結業務費用計算書によりますと、連結によりまして、上から3段目の保険金等支払金などが増加しております一方で、補助金、交付金等が減少しております。それらの業務費用の主な増減要因につきましては、一番下の灰色の囲みで説明しております。
 まず、保険金等支払金につきましては、かんぽ生命からの保険金の支払いが大部分を占めておりまして、連結により7.8兆円の増となります。
 次に、連結業務費用計算書の4番目から7番目に出ているところ、括弧でくくって「補助金・交付金等」としておりますけれども、これは全国健康保険協会に対する保険料等交付金など国から連結対象法人に対する補助金・交付金等が、連結対象法人側の収益と相殺されますので、この4つの科目合計で15.1兆円減少しております。
 次に、表の下から2番目にございますが、支払利息につきましては、連結によって0.6兆円減少しています。これは主に国単体の財務書類に計上される公債のうち118.6兆円が連結により相殺されることなどに伴うものと見てございます。
 続きまして、中段右側の連結資産・負債差額増減計算書をご覧いただきたいと思います。
 その中の水色の財源の枠のうち3番目の「その他」の金額が、連結によりまして33.2兆円増加しております。表の下に(注2)で注記をしておりますけれども、「その他」の額にはGPIFの資産運用損益7.9兆円が含まれております。
 同じ表の薄い緑色の欄に超過費用が示されておりますが、平成28年度は連結の結果、国単体の場合よりもマイナスの幅が10.3兆円縮小しマイナス9.8兆円となっております。
 さらにその下でございますが、表の左側に「上記以外」と書かれている4項目を記載しております。これら超過費用以外の資産・負債差額の変動要因のうち、資産評価差額でございますけれども、これは連結によりまして1.1兆円マイナス幅が増加しております。先ほど、連結によりまして出資金の計上額が減少することをご説明しましたが、同様の理由により相殺消去を全体で1.1兆円行ったことによるものでございます。
 最終的には、表の一番下の濃いピンク色の欄にございますように、連結ベースの資産・負債差額が65.5兆円縮小してマイナス483.4兆円になるというのは、これは貸借対照表と同じでございます。
 続きまして、29ページ、30ページの説明に移りたいと思います。29ページをご覧いただきたいと思います。資産の部につきまして、前年度との比較した変動状況と要因についてご説明しております。
 平成28年度末における連結ベースの資産合計につきましては、前年度より27.4兆円増の986.3兆円となっております。ページ上段の灰色の囲みの中で資産の変動状況や主な増減要因を記載しております。
 まず、現金・預金についてでございますが、12.5兆円増の128.8兆円となっております。これは国単体において前倒債の発行額が2.9兆円増加したことなどによりまして3.0兆円増加したこと、これに加えまして、連結対象法人のうち、日本郵政や預金保険機構において資産として保有している国債の売却、償還などが進んだことによりまして7.5兆円増加したことなどによるものでございます。
 次に、有価証券でございますが、前年度より17.7兆円増の369.2兆円となっております。要因として3点挙げております。
 1つは、これは1月部会でもご説明申し上げましたが、主に外国為替資金特別会計が保有する外貨証券について、為替相場の変動などによって、国の保有する有価証券が4.9兆円減少したものでございます。
 続きまして、影響が大きいのは、2番目に挙げておりますGPIFが保有する運用資産の12.0兆円の増加でございます。これはGPIFが保有する有価証券の運用に係る収益率が、平成27年度はマイナスでありましたが、平成28年度はプラスであったことが大きく寄与しております。
 もう1つは日本郵政でございまして、保有する有価証券のうち、相殺の対象とならない外国証券、地方債などの有価証券が9.7兆円増加いたしております。これらの結果、有価証券全体で17.7兆円の増加となっております。
 これらを下のグラフでご覧いただきますと、全体として平成28年度は前年度より増加しております。科目別でも、一番上の水色の現金・預金、2番目の有価証券が増加しているのがご覧いただけるかと思います。
 つづきまして、30ページをご覧いただきたいと思います。負債について前年度との比較等をしております。
 平成28年度末における連結後の負債合計につきましては、前年度より45.9兆円増加し1,469.7兆円となっております。
 上段の灰色の囲みをご覧いただきたいと思いますが、公債と責任準備金について説明しております。
 まず、公債につきましては、前年度より44.5兆円増の824.6兆円となっております。その囲みの中に表の形で詳細を挙げております。表の左側にA、B、C、D、Eと記号がついております。それぞれ表の一番右側の増減のところをご覧いただきますと、Aの国の財務書類に計上されている公債残高は25.8兆円の増加となっております。その下、B、C、D、ゆうちょ銀行など連結対象法人が保有する公債残高につきましては、合わせまして前年度より18.7兆円の減少となっております。連結対象法人が保有する公債は相殺対象になっておりますので、これが減少いたしますと、その分、連結の貸借対照表の負債の部に計上される公債残高が増加の方向に働きますので、この18.7兆円については負債の増加要因となっています。結果として、国単体の25.8兆円に18.7兆円を加えまして、Eの欄の一番右下、44.5兆円の増加ということになっております。
 次に、責任準備金につきましては、かんぽ生命の契約件数の減少などに伴いまして、前年度比2.3兆円減の98.4兆円となっております。
 その下のグラフをご覧いただきますと、全体として平成28年度における負債は前年度より増加しております。科目別でも増加分のほとんどにつきましては、上から2番目の公債の増加に起因していることが見てとれるかと思います。
 続きまして、一番下の灰色の囲み、資産・負債差額の説明の部分でございますが、平成28年度の資産・負債差額につきましては、前年度末と比べて18.4兆円の悪化となっております。国単体が28.1兆円の悪化であったのに対しまして、GPIFの資産運用損益はプラス7.9兆円であったことが主な要因でございます。
 続きまして、31ページをお開きいただければと思います。32ページにかけて、フローの状況をご紹介しております。
 31ページでは、費用の状況について説明しております。平成28年度の連結ベースの費用の合計額は、前年度費0.9兆円増の166.8兆円となっております。
 灰色の囲みの中で主な増減要因を記載しております。まず、保険金等支払金、これはかんぽ生命における保険金の支払いなどでございますけれども、かんぽ生命における支払件数減少などによりまして、1.0兆円減少して7.8兆円となっております。
 続きまして、補助金・交付金等につきましては、前年度より2.1兆円増加して35.8兆円となっております。増加分のうち2.3兆円につきましては、これは1月にもご説明申し上げましたが、平成27年10月の被用者年金制度の厚生年金への一元化に伴いまして、国家公務員共済組合連合会等が行う厚生年金の給付に要する費用を国が交付する形となりましたが、その平年度化によるものでございます。
 また、業務費用のうち、「その他」でまとめている部分でございますが、36.9兆円のうち、全国健康保険協会の事業費用が保険給付費の増加などによりまして0.3兆円増えて10.0兆円となっております。
 これらについて整理したのが下のグラフで、全体としては大きな変化はないということが見てとれるかと思います。
 続きまして、32ページをご覧いただきたいと思います。財源などについてでございます。
 まず、財源につきましては、平成28年度の連結ベースの財源の合計額は、前年度比で16.1兆円増の157.0兆円となっております。
 まず、租税等収入につきましては、以前1月にご説明した国単体の説明と同様でございまして、6ページを参照いただきたいということで記載しております。
 次に、社会保険料につきましては、これもほとんど国単体と共通しております。連結対象法人である日本私立学校振興・共済事業団からの拠出金との相殺の影響で、若干0.1兆円、前年度比の金額が減少しているというものでございます。
 その下の「その他」の財源でございますが、これは先ほどもご説明申し上げましたが、GPIFが国から預かっている運用寄託金を資産運用した結果、7.9兆円のプラスが生じまして、前年度がマイナス5.3兆円でございましたので、GPIFだけで13.2兆円の増となっておりまして、全体でも対前年度比13.6兆円増の43.2兆円となっております。
 下のグラフをご覧いただきますと、黄色の「その他」の部分が財源全体の増加に寄与しているということが見てとれます。
 「その他」の内訳については、これは右側の吹き出しに詳細は記載してございます。
 次に、中段の灰色の囲みに戻っていただきまして、平成28年度の連結ベースの超過費用につきましては、先ほど申し上げたその他財源の大幅増によりまして、対前年度比では15.2兆円縮小してマイナス9.8兆円となっております。
 次に、33ページをご覧いただきたいと思います。ここでは、ストックとフローの推移ということで、直近10年間と、初めて国の財務書類を作成した平成15年度の連結ベースでのストックとフローの推移についてお示ししております。
 上段のストックについてでございますが、水色のグラフが資産の合計でございます。国単体と同様に、平成23年度以降増加傾向にございまして、平成28年度末では平成19年度末に比べて156.9兆円の増加となっております。
 一方、オレンジ色の負債合計でございますが、これも国単体と同様、公債残高の増加などを反映して増加しております。平成28年度末時点では平成19年度末と比べて369.2兆円の増加となっております。
 同じグラフの下向きの濃いピンク色の部分が資産・負債差額の推移でございます。その中で平成26年度末時点では差額が11.6兆円縮小しております。これは円安・株高の影響を受けたものと考えておりまして、それ以外の年度ではマイナス幅が拡大しております。
 次に、下の段がフローでございます。オレンジ色の業務費用の合計を水色の財源でまかないきれないという状況が続いております。下向きの濃いピンク色のグラフが両者の差額である超過費用でございますが、その動向をご覧いただきますと、平成23年度以降、マイナス幅は縮小傾向となっております。平成26年度、平成28年度はマイナス幅が小さくなっておりますが、国の超過費用の縮小もございますが、GPIFにおける資産運用損益が大きく影響していると考えております。いずれにせよ、厳しい財政状況にあるということに変わりはございません。
 以上が緑色の表紙のパンフレットの説明でございますが、続きまして、パンフレットの簡易版のリーフレットにつきまして、若干触れたいと思います。これはパソコンの資料をご覧いただきたいと思います。ファイルでいいますと、一番左端に、3と出ておりますが、3番の参考資料1-2、「国の財務書類」の骨子というPDFがございます。
 この資料でございますが、前半部分につきましては、前回公表しております国の財務書類の概要でございまして、今回、新たに5ページから10ページの部分、連結についてわかりやすく説明した資料を追加させていただいております。基本的には、先ほど来、ご説明申し上げましたパンフレットの内容をごく簡単に要約したものでございます。5ページで連結財務書類がどういうものかということ、連結の対象範囲ですとか考え方、6ページでその作成方法について、プロセス、考え方を一般の方にもわかりやすく説明するという趣旨でございます。こういったものを作成させていただいているということでございます。
 最後に、これは資料の修正でございます。先ほど、資料の紹介の中で若干申し上げましたが、総務省と文部科学省の省庁別連結財務書類につきましては、1月の公表後に修正がございました。修正後の省庁別連結財務書類について、改めて会議参考資料としてこのパソコンに入れさせていただいて、ご報告にかえさせていただくということでございます。
 私からの説明は以上でございます。
〔黒川部会長〕
 ありがとうございました。
 では、ただいまの事務局からのご説明について、ご意見、ご質問等ございましたら、ご発言をお願いいたします。
 それでは、橋本委員。
〔橋本委員〕
 細かいところなんですけれども、2点ほど。
 33ページの下のところは、フローなので、15年度末というよりは、15年度とか、19年度とか、年度にしたほうがよろしいのではないかということと、あとは、27ページで、有形固定資産がかなり差額が出ていますので、ほかの差額よりも金額的に大きいので、それはやはり主な増減要因で国の財務書類と連結財務書類で増えた分の説明があったほうがいいのではないかと。2点です。
〔黒川部会長〕
 ありがとうございます。
 事務局から何か。
〔坂本公会計室長〕
 そうですね。ご趣旨を踏まえて修正したいと思います。
〔黒川部会長〕
 有形固定資産のところ、何かこの増えた要因、コメントはありますか。27ページのところで何か説明があったほうがいいということですけれども。
〔坂本公会計室長〕
 そうですね。後日、文面を検討いたしまして追加させていただきたいと思います。
〔黒川部会長〕
 追加するスペースはありますか。
〔坂本公会計室長〕
 そうですね。工夫したいと思います。
〔黒川部会長〕
 ないかもしれないですけれども、もしかすると、できないかもしれないけれども、次回……。
〔橋本委員〕
 毎年、入れるということだね。毎年、道路とかそういうのが入るだけだから。
〔黒川部会長〕
 そうですね。
〔坂本公会計室長〕
 そうですね。内容は口頭でご説明したようなことになりますけれども、ちょっと工夫したいと思います。
〔黒川部会長〕
 可能ならば。
〔坂本公会計室長〕
 はい。
〔黒川部会長〕
 ほかにどうでしょうか。
 清水委員。
〔清水委員〕
 すみません、細かい点で2点なんですけれども、先ほど、冒頭に数字の修正がございました。それからあと、省庁のいくつかでも修正があったというお話でしたけれども、今までこの部会、3月のときにお伺いしたときは、あまりそういう修正はお伺いしなかったんですけれども、今年は特別なものなのか、しょっちゅうあるのか、あまり修正は望ましくないなというふうに思うんですが、その点が1点ございます。
 それから、特に内容的なものではないのですが、30ページの負債のところがございます。これは平成27年度末と平成28年度末の比較の棒グラフの内訳の説明になっているんですが、確かに主な増減要因は上のところの四角囲みで書いてありますが、右のところの吹き出しの説明が、ほとんどこれ、国の財務書類と連結との違いの内容にしかなっていないんですよね。例えば、左側のページの資産であるとか、フローのほうですと、何が増えたかとかという記載になっています。しかし、負債のところは27年度と28年度の比較なのに、その説明になっていないんです。主なものは確かに上に書いてあります。ただ、右の吹き出しの内容があまりふさわしくないのではないかと思いますので、今年は結構なんですけれども、少し改める余地があるかなというふうに思っております。
〔黒川部会長〕
 なるほど。いかがですか。
〔山嵜課長補佐〕
 間違いの修正につきましては、前年度以前のことはよく承知していないんですが、基本的に今回のような単純ミスについては、ちゃんとご説明をして、訂正をしたほうがよかろうということで、今回このように説明をさせていただいたということでございます。
 後半のご指摘につきましては検討させていただきまして、次年度以降はうまく修正できるようにしたいというふうに考えてございます。
〔黒川部会長〕
 省庁別のほうは修正額はどのぐらいだったのか、今わかりますか。
〔坂本公会計室長〕
 総務省と文部科学省ということでございますが、これは総務省の交付税特別会計の連結対象法人からの借入金についてでございますが、これが金額としては1.5兆円になったということで……。
〔黒川部会長〕
 要するに、修正額が心配ですよね。
〔清水委員〕
 そうですね。
〔黒川部会長〕
 今、わかりますか。軽微なものかな。
〔清水委員〕
 連結に影響を与える……。修正は織り込み済みなんですか。
〔坂本公会計室長〕
 はい。
〔清水委員〕
 そうですね、修正額が問題だと思います。
〔黒川部会長〕
 そうですよね。では、ちょっと調べて後ほど。
 ほかにどうでしょうか。
 それでは、先ほどから為替レートとか、日経平均、GPIFがこんなに増えたとか、どのぐらい、1年前はどうだったのか、今回のところはいくらだったのか、知っていることがあれば教えていただけますか。為替レートは前年度末はいくらで今回のものはいくらだったのか。それから日経平均はいくらで、今回はいくらぐらいだったのかぐらい、もしわかれば、ちょっと委員の方々に情報提供。
〔山嵜課長補佐〕
 平成27年度と28年度を比べますと、為替でいきますと27年度末が118円、28年度末が115円でございます。日経平均でございますが、27年度末が1万6,758円、28年度末が1万8,909円ということで、円高、株高といったような形になってございます。
〔黒川部会長〕
 以上だそうでございます。もうすぐ3月31日になるので、また来年度どうなるかということです。
 ほかにどうでしょうか。ご意見、ご質問ございますでしょうか。
〔清水委員〕
 ちょっと今の……。
〔黒川部会長〕
 清水委員。
〔清水委員〕
 たしかその議論は2年前にもさせていただいた記憶があって……。
〔黒川部会長〕
 そうそう。
〔清水委員〕
 それは何かどこかに説明として開示しようじゃないかみたいな話も議論したと思うんですけれども、それはおやめになったんでしたか。
〔黒川部会長〕
 どこかに書いて……。
〔坂本公会計室長〕
 ちょっと今日は詳細にご説明していない部分だったんですが、例えば、3ページの上の灰色の囲みの中をご覧いただきますと、為替相場の変動については、そこの2番目の矢印というか、そこに記載しております。
 株価については記載してございませんでしたが、次回以降どういう形で紹介するかというのは、また検討させていただきたいと思います。
〔黒川部会長〕
 そうですね。為替のほうは単体のほうで出てきますけれども、連結のほうでGPIFの時価が出てきますので、ここでどこかに記載するといいかもしれませんね。よりよい資料になるように検討させていただきます。
 ほかにいかがでしょうか。まだ時間がございます。
 鵜川委員。
〔鵜川委員〕
 質問になるかもしれませんが、32ページの超過費用の説明のところで、赤字が減っているのは、GPIFの運用益が増えたためですが、他方、公債の発行はしているということが書いてあります。公債の残高は連結ベースですと、増えてはいるのですが、相殺対象が減ったのでその分も増えたのですね。最初の10ページですが、これは公債の残高ですが、発行額の情報はどこかで見ることはできるのでしょうか。
〔山嵜課長補佐〕
 30ページに公債のご説明をしておりまして、30ページの右上に箱がございまして、A、B、C、Dとございまして、Aの部分が国単体で見たもの。それからB、C、Dが連結法人が所有している部分。最後に連結の計上があるということでございます。
〔黒川部会長〕
 フローの発行額が書いていない、見えない。
〔鵜川委員〕
 そうすると、この32ページの趣旨としては、超過費用の部分が国債の残高増加相当の25兆円ぐらいと対応しているというような趣旨で理解してよろしいのでしょうか。連結だと、超過費用が10兆円減りますが、公債の残高そのものや発行額は変わりませんということを書いているのですね。ただ、残高は連結するので減っているので、その辺の数字のつながりというのでしょうか、その辺がちょっとわかりにくいかもしれません。
〔山嵜課長補佐〕
 この部分につきましては、GPIFの資産運用損益がプラスなりマイナスに出ましても、大部分は評価損益でございまして、それが直ちに、例えばその部分が国の財源として入ってきて、すぐに公債の残高を減らす方向になるかというものではございませんので、そういう意味で、公債の発行というのは現実には変わらないということを申し上げている部分でございます。
〔黒川部会長〕
 田近委員。
〔田近委員〕
 わかりがちょっと鈍くてすみませんけれども、確認を兼ねて質問をさせていただきたいんですけれども、連結の25ページ、これを今説明されたことの繰り返しなんですけれども、わからないところを教えていただくことも兼ねて私の言葉で説明させてもらうと、要するに、上のほうはバランスシートがあって、資産・負債差額は増えている。18.4兆円増えた、平成27年度末から平成28年度末。それがどうして増えたかというのが、下の2表で説明される。下の左のほうは連結費用で、これは平成27、28年度と比べると0.9兆円の増で、ほとんどこれは変わらない。今度、下の右のほうで、平成28年度を見ると、前年度の資産・負債差額が464.9兆円、これのフローの出入りを計算し直すと、最終的には483.4兆円で、資産・負債差額からさっきのバランスシートの18.4兆円増えた、こういうストーリーですよね。だから、連結の財務書類をつくって、ある意味で国民目線で何が見えるのかというと、連結したときの業務費用というか、歳出のほうはあまり変わっていませんと。歳入のほうの右側の租税収入も、平成28年度は上がっているのかと思ったらほとんど変わらない。社会保険料は、こういう時代ですから、保険料収入は上がった。その他は、いろいろあるでしょうけれども、くだんのGPIF等の、今ご説明あったように、評価益が増えたということですね。したがって、フローの財源から費用を引いた赤字部分は、平成27年度の25.1兆円から9.8兆円に下がったと。その要因は、今言ったGPIFなんだということですよね。
 確認なんですけれども、さらにそれに評価で、為替のところは今おっしゃったように、平成27年度118円から平成28年度115円ですから、これで為替の差損が起きたと。資産評価差額のところ、これは何だったんでしたっけ。3.2兆円の。為替のところは、円高になったから差損が起きたわけですよね。これ、3.2兆円というのと、あと、公的年金預り金に伴う増減というのは、それを説明していただいて、したがって、フローで見た赤字が9.8兆円だけれども、資産評価差額でさらにまだ赤字が、マイナス幅が広がって、したがって、年度末の資産・負債差額が広がっていったと、そういうストーリーですよね。
 確認と言ったのは、「上記以外」の資産評価差額の変化というのは、これを説明していただきたいんですけれども。説明というか、教えてもらいたいんですけれども。
〔黒川部会長〕
 どうですか、これは。
〔山嵜課長補佐〕
 それでは、ちょっと大まかに申し上げますと、資産評価差額につきましては、主に外貨証券のマイナスでございます。それ以外に、有形固定資産がマイナスであったりといったようなものがございます。
 それから、公的年金預り金につきましては、これは国単体と同じでございまして、国単体でもマイナス2.9兆円になっているという部分がそのままこちらに来ているということでございます。
〔田近委員〕
 資産評価差額の中にも為替が入っているんですか。
〔山嵜課長補佐〕
 為替は入っていないです。
〔田近委員〕
 入っていない。
〔山嵜課長補佐〕
 はい。外貨証券の、まさに外貨での時価の変動部分がここに入っております。
〔田近委員〕
 わかりやすく言うと、どういうことなの。
〔山嵜課長補佐〕
 ここはあまり調べていなくて恐縮なんですけれども、おそらくアメリカの金利が上がって手持ちの債券の価格が下がったということだと……。
〔田近委員〕
 なるほど、金利が上がったから債券価格が下がった。
〔山嵜課長補佐〕
 はい。そう思います。
〔田近委員〕
 なるほどね、わかりました。
〔黒川部会長〕
 ほかにいかがでしょうか。
〔奥法規課長〕
 よろしいでしょうか。
〔黒川部会長〕
 はい、奥課長。
〔奥法規課長〕
 先ほどの鵜川先生のご質問に、今のやりとりを踏まえて補足でお答えをする形になると思いますけれども、要するに、27から28年度にかけての連結ベースでの資産・負債差額は実は改善していないんですけれども、財源と費用の関係で計算するときの差額、超過費用とここに書いてありますけれども、その数字は改善しているように見える。ただ、その要因のほとんどが、今説明にもありましたように、国の外にあるGPIFの、しかも評価益の増加、算入によるもの。これが十数兆円効いてきているということであります。このGPIFというのは、国の財源と直接には関係がありませんので、国の財源不足を補うために発行する公債、特に特例国債、赤字国債、この発行額には、この改善は全然効いてこないということになります。したがって、このGPIFがいくら儲かっても、将来の年金財政にプラスに寄与する可能性はありますけれども、国の財政に直接、今、効いてくるわけではない。したがって、赤字公債の発行額というのはあまり変わらない。現政権のもとで少しずつ減らすことはできていますけれども、大幅に改善するわけではない。他方、公債の残高は発行すれば積み上がっていきますので、残高は増加を続けている、こういうことになるのだと理解しております。
〔鵜川委員〕
 なるほど、ありがとうございます。
 ただ、年金体制にはいい影響を与えるということではありますよね。
〔奥法規課長〕
 その通りですが、このGPIFの評価益というのは、実現益ではなくて、つまり、売って現金化したものではなくて評価益ですので、その点には注意が必要かと思いますが。
〔鵜川委員〕
 なるほど、ありがとうございます。
〔黒川部会長〕
 その辺は、鵜川先生は会計学者だから。いかがでしょうか。
田近委員。
〔田近委員〕
 27ページの国の財務書類と連結財務書類との対比ですけれども、連結したらどうなるか、ここの1つは、だから、さっきから出ているゆうちょ関係で持っている国債、上の表ですけれども、これが118兆円持っているので、これが連結すると国の943兆円が相殺される。相殺された部分は、実はゆうちょの借金である郵便貯金に振り替えた、そういうことですよね。
 さはさりながら、30ページの上のほうで、ゆうちょのほうも日銀の金融緩和というか、量的緩和で保有額が下がっていた。そうすると、2つ合わせると、ゆうちょが100兆円も買っているので、見かけは国の国債を連結すると減っているようだけれども、連結したもの自身でさえもゆうちょの保有額が減っているので増えてきたと、国民に平たく言えばこういうメッセージですよね。この趨勢は、さらにここが平成28年度末ですけれども、29年を通じても変わらない。
〔黒川部会長〕
 おそらく。
〔田近委員〕
 おそらくね。
〔冨田委員〕
 いやいや、ゆうちょは対象から外れてくるんじゃない?
〔大鹿主計局次長〕
 その問題もあります。
〔黒川部会長〕
 そうか。
〔田近委員〕
 深いところでは、上っ面しか僕は知らないから、深いところで説明して。
〔黒川部会長〕
 冨田委員。
〔冨田委員〕
 深いところではなしに、これは、まず、今、議論されていることは、ある意味、国民がいろいろ混乱していることだと思うんです。GPIFで評価益が上がったら、国からの繰入金が減って年金がたくさんもらえるんじゃないかというふうなことかもしれないし、あるいは、ゆうちょは株式を売却していって、ここの対象からなくなっている。多分、過渡期の統計だと思うんです。郵便貯金に政府保証はもうついているわけではないです。だから、負債としてここに載るかどうかということも、連結ベースの負債として国民が認識するべきものかどうか。だから……。
〔田近委員〕
 ゆうちょの借金じゃないの?
〔冨田委員〕
 だから、ゆうちょは民有化されれば関係ないんだけれども、過渡期だからここに出ている問題なんだけれども、だから、これに政府保証がついているわけではないとしたら、これは……。国の負債なのかどうかですよね。だから、国債とパラレルに出るものかどうか。
 もっと言えば、ものすごいGPIFの評価益で、税と、あるいは保険料とパラレルに「その他」が出ていて、「その他」に7.9兆円、去年からのシフトだとものすごく大きな金額ですよね。去年の赤字、去年というのは1年前の27年度から見ると。そういうものが出ていて、いろいろと解釈というか、国民に一体どういう意味を持っているのだろうということだと思うんです。だから、連結の難しさというか、企業であれば、これ、その企業を売却するとか、あるいはM&Aで買うとか、そういうふうなことであれば、私は意味がある統計だと思うんです。だけど、国民にとってどういう意味があるかということについて、骨子のところで詳しくというよりもわかりやすく書かないと、一体何をやっているのだろうということになりはしないかということは私の不安なんです。だから、ここでもいろいろな議論が、この専門家の皆さんの間でも出ているという問題を提起したい。
〔黒川部会長〕
 わかりました。連結の範囲の問題になりますので、これはまた……。
〔冨田委員〕
 いや、ごめんなさい。範囲を言っているのではなしに……。
〔黒川部会長〕
 いやいや……。
〔冨田委員〕
 国民にとっての大きなところの意味の解釈です。
〔黒川部会長〕
 わかりますが、連結財務書類自体の意味、それをまた考えなくてはいけないのと、同時に、それは範囲の問題になるんですよね。連結財務書類とは何なのかということの意味を考えて、それと連動してどういうような範囲にするかという問題なんです。ですから、ちょっと時間がかかりますので、今回は、申し訳ないんですけれども、次の議題がございますので、今のは問題提起ということにさせていただいて、個別事業のフルコスト情報をせっかく作っているんだけれども、前回もほとんど時間がなくなってしまったので、申しわけないんですけれども、そちらのほうに議題を移らせていただきたい、そういうふうに思います。
 それでは、「個別事業のフルコスト情報の開示」の取組みに係る現状と課題について、事務局、説明をお願いします。
〔坂本公会計室長〕
 それでは、資料に基づきましてご説明申し上げたいと思います。
 資料は、お手元のパソコンからご覧いただきたいと思います。ファイルで申しますと、5番と6番が関係するもので、このうち5番、資料2、現状と課題、これが中心となってご説明申し上げる資料でございます。「ダイジェスト版」とございますのは、これは前回もご説明しましたけれども、参考資料ということでございます。
 それでは、フルコスト情報の現状と課題についてご説明申し上げたいと思いますが、その前に、この参考資料のダイジェスト版ですが、中身のご説明は省かせていただきますが、対象事業で、1月の時点では間に合わなかったのですが今回追加された事業がございます。法務省の訟務業務で、これが1つ追加されております。ダイジェスト版の資料ですと14ページに出ておりますが、1つ追加されて全体で60の事業になっております。
 それと、これは記載内容の訂正でございますが、31ページに、環境省の国立公園等整備事業というものが出ておりますが、そこの単位当たりコストの単位の表示が間違っていまして、正しくは、単位当たりコストのところで、参考として、国立公園・国民公園の年間利用者数が書いてございますけれども、そこが「376,651千人」となっておりますが、これは以前の資料では「千」の記載がなかったということで、単位が違っていたということでございます。不注意でございまして、以後気をつけて作成に当たりたいと思います。申し訳ございません。
 それでは、資料本体の説明に入らせていただきたいと思います。
 まず、1ページをご覧いただきたいと思います。
〔黒川部会長〕
 どっちの?
〔坂本公会計室長〕
 すみません。失礼しました。5番のファイルの資料2の横長の「現状と課題」という表紙がついているものでございます。
 1ページが、「個別事業のフルコスト情報の開示」の取組みの「経緯」について紹介しております。
 この取組みにつきましては、平成27年4月末に公表いただきましたこの報告書の中で、フルコスト情報の把握、活用により、行政活動の効率化・適正化が可能となるのではないかという提言を受けまして始めたものでございます。
 これを踏まえまして、まずはそもそも事業単位でのフルコストの算定が可能かどうかということから、試行的な取組みとして実施してきているものでございます。このフルコスト情報については、同時に国民にわかりやすい方法で開示するということにも留意しながらやってきたということでございます。
 3年の取組みがこの下半分に書いてございますけれども、1年目が24事業で始まりましたが、そこから2年目は41事業、3年目、今回実施した分では60事業まで、関係省庁と調整のうえフルコスト算定事業数の拡大を図ってきたということでございます。
 公表の項目につきましても、コストの内訳の表示ですとか、あるいは、その事業をわかりやすく理解するための事業スキーム図の添付、あるいは先ほども紹介申し上げたダイジェスト版の作成・公表など、公表内容の充実等も進めてきたというのが3年間の取組状況でございます。
 次に、2ページをご覧いただきたいと思います。こうしたフルコスト情報の開示の取組みの成果をいくつか挙げております。
 1つ目は、事業に直接要するコストだけでなく、人件費、物件費などの共通経費や減価償却費などの発生主義的な費用も含めた事業に要するコストの全体像がわかりやすくなったという点。
 また、事業の概要、単位当たりコストやスキーム図といった非財務情報とあわせて開示することで、国民にわかりやすい形で開示ができたということが1点。
 また、各省庁の担当者あるいは主計局の予算係などを対象に、研修などを行いまして、こういったフルコスト情報の意義や分析手法などについて紹介を進めてきたといったようなことを行ってきております。
 こういう中で、フルコスト情報とは何ぞやといったようなことをイメージできるようになってきたのではないかというふうに我々では考えているところでございます。
 次に、3ページをご覧いただきたいと思います。
 今も申しましたが、フルコスト情報の取組みについて、この2月に、前回の部会の後に説明会を開催させていただきました。これは各省庁に行政担当者、それと、特に主計局の予算係を対象に説明会を開催した上で意見聴取を行ってみました。
 その中でいくつか意見をいただきましたが、肯定的な意見といたしましては、先ほども申し上げたような作成過程を通じてコストを再認識したり、開示することで外部から見られているという意識づけがなされるということで、コスト意識の醸成が図られるといったような点。あるいは、経年比較、類似事業との比較などによって、効率性、適正性を分析して、改善の必要性を検証できるのではないかといったようなご意見。あるいは、単位当たりコストの指標などを通じて比較等をすることで、非効率な事業ではないかといったような気づきというか、疑問を持つきっかけとなるツールとして役立つ可能性があるのではないかといったようなご意見がございました。
 ただ、課題というか、問題としては、現状においては、まだ本取組み自体が十分知られていないというのが実態だろうと思います。こういった取組みの活用を促すためには、そもそもある程度のデータの蓄積がないと、この指標をもって適正かといったような判断をする有用なツールになるかは正直わからないというのが現状ではないかといったような意見。あるいは、予算編成については、現金の支出額をどうするかといったようなものでございますので、いずれにしても補足情報にとどまるのではないかといったようなご意見などもございました。
 全体としては、説明会等を通じてフルコスト情報の取組みについてこういうものだという理解は得られ始めていますが、引き続き、その周知ですとか、あるいは提供する情報内容のさらなる検討が必要ではないかと考えております。
 次に、4ページをご覧いただきたいと思います。
 今後、こうした取組みを進めていくに当たっての考え方ということでございますが、この取組みについては、試行的な取組みとして始めてきたということでございます。現状では、十分周知されているとはいえないものの、この事業単位で把握するフルコスト情報については、財政の透明性を高める効果に加えて、将来的に報告書でもご指摘いただいた行政活動の効率化、適正化に資する活用が期待されるところでございます。
 このため、一層の活用を進める観点から、この取組みについて、各省の行政担当者等に周知を図りながら、フルコスト情報を誰がどのように活用するのかということをさらに整理していく必要があるかというふうに考えております。
 そういう観点から、前回、説明は不十分でございましたけれども、各省の行政担当者等に活用に向けての課題などについて詳しく意見聴取をしてみようと、そういうことをやってみようということを説明申し上げたところでございます。
 その内容は、次のページ、5ページからということでございます。意見聴取した結果などをもとに整理させていただいたものでございます。
 両面ございまして、1つは、「フルコスト情報の活用にあたって「有用性が高い」と考えられる事業」として、例えば、事業の成果・効果について定量化できて、定量化された成果・効果とフルコストの比較が可能である事業はどうかと。例えば、受益者負担がある事業ですとか、あるいは、外部委託化、独法ですとか民間など外部に委託化を検討するような候補の事業についてはどうか。あるいは、補助金の交付事務、補助事業など現金の給付に関する事業などはどうかといったようなことが考えられるところでございます。
 一方で、なかなかフルコスト情報を活用するのが難しいのではないかという事業もあるのではないかと考えております。
 1つは、先ほど申したものの反面でございますけれども、事業の成果・効果について、定量化することが難しく、そのために事業の成果・効果とフルコストとの関係が結びつきにくく、分析が困難ではないかと考えられる事業がございます。
 例えば、3つ例を挙げてございますけれども、治安・国防といった「純粋公共財」の性質を有するような事業。他の類似業務との比較が非常に難しいのではないかと思われるようなもの。
 2番目は、文化財などの代替性・競争性のない「物品等の購入・買上げ」に係る事業。これは物品そのものの購入コスト、それ自体が大きく変動する可能性があるということで難しいのではないかと考えるところでございます。
 3つ目は、「調査・研究」に関する事業で、その目的から経年変化や類似事業との比較になじまない事業がございます。こういった調査・研究に関する事業については、調査の成果自体が定性的なものである場合もございますし、あるいは、内容的に基礎研究などに関わるものについては、なかなかこういった成果という切り口になじみにくいものもあるのかなというふうに考えられるところでございます。
 2つ目でございますが、これは現金の支出額を積み上げた金額とフルコストの金額が大差ないような場合、例えば、外部に対する直接的な行政サービスの提供を伴わないような「内部管理事務」のような業務につきましては、あえてフルコストの観点からコストを出さなくても分析に足りるのではないかといったような考え方もできる場合でございます。
 こういったご指摘もいただいているところでございます。
 次の6ページが、先ほど申したようなことも踏まえまして、フルコスト算定事業の選定にあたってこう考えてはどうかという考え方を整理させていただいたページでございます。
 選定事業のイメージといたしましては、先ほども申したように、事業の成果・効果について定量化された数値を単位として設定でき、「単位当たりコスト」という指標を使って事業の「効率性」や「適正性」を分析できる事業を中心に置いてはどうかということでございます。
 特に、以下の①から③の事業について、当面、重点化して進めていってはどうかと考えております。その3つにつきましては、先ほど5ページの中で考え方の説明を申し上げましたが、1つは「受益者負担」が伴う事業のタイプということで、これは「自己収入比率」という指標を使って受益者負担の「適正性」を分析できるような事業といったようなことでございます。
 2つ目は、「外部委託化」を検討するような事業のタイプということでございます。
 3つ目は、「補助金・給付金」を交付する業務に係る事業のタイプでございます。これは「間接コスト率」という形で資源配分の「効率性」を分析できるような事業ということでございます。
 こういった3つのような類型を中心に、より重点化しつつ、検討、取組みを進めていってはどうかというのが考え方でございます。
 次に、7ページでございますが、これは一方でフルコスト情報の活用に向けたそのほかの課題ということで、この7ページの矢印の下のところに具体的に4つ挙げております。
 その中で一番上の矢印の人にかかるコストの「比較可能性」という部分については、これは次のページで具体的な改善のアイデアを示しております。その下の3つについては、これは後でまたご説明しますが、なかなかすぐには解決・対応が難しい課題として捉えているところでございます。
 それでは、早速8ページをご覧いただきますと、解決方策を示し得る課題として人にかかるコストの「比較可能性」について説明しております。
 これは現在取り組んでおりますフルコスト情報の開示の中では、「人にかかるコスト」については「定員数」に基づきまして配賦計算を行っているところでございますが、国の場合、省庁間で出向が多く行われておりまして、その出向者の人件費については一般的に定員が置かれる出向元、実際の事業を行っているところとは違う出向元で計上されるという形になっておりまして、現状の算定方法では、特にそういう出向者を中心に業務を進めているような省庁では、コストの比較可能性が確保されないといったような問題がございます。
 それに対して、次回以降の改善(案)といたしまして、1つは、「職員の平均給与額」に当該事業に従事している職員数を乗じて人にかかるコストを算出してはどうかということを考えております。
 ※印でございますが、この「職員の平均給与額」を使うというのは、地方公共団体でこういったフルコスト情報を作成しているところの多くが採用している方法ということでございます。具体的な算定方法については、これから各省庁と調整しながら整理を行っていきたいと思いますけれども、1つは職員の平均給与額という考え方を使ってはどうかというふうに考えております。
 その当該事業に従事している「職員数」の算出につきましては、実際に事業に従事している職員の業務量の割合を合算して算出するということで、この業務量の割合の算定、捉え方についても、これもまた各省庁と具体的に調整の上、整理を行っていくということを考えております。
 これは実績額からの算定ではないというところは変わらないところもございまして、分析結果を予算などにどう反映するかという問題はございますけれども、一方で、実態ベースで直接賦課するよりも、事業側では管理不能な要素、これは実際に携わっている配置された職員の年齢差に基づく給与の単価差、偏りといったようなものが排除されるというメリットもございますので、その事業間の比較可能性は確保されるのではないかという地方公共団体の取組事例なども踏まえて、そういった考え方を取り入れてはどうかと考えております。
 次に、9ページをご覧いただきたいと思います。
 一方で、なかなか短期的には解決が難しい課題ということで、3つ挙げております。
 1つは、物にかかるコストの「適正性」ということで、フルコスト算定の中で「物にかかるコスト」については、共通経費として全て配賦計算で算定が行われております。これは省庁別の業務費用計算書から、それをまず政策別コストの単位に配賦いたします。この政策別コストというのは、各省でいうと局とか部みたいな単位でございますが、その単位に配賦し直して、その上で、その政策別コストのくくりの中にある個別事業にさらにそれをもとに配賦していくといったような配賦計算で行われています。しかし、個別の事業の側から見ると、予算の執行の実態と必ずしも合っていないといった面がございますので、このようなコスト情報を捉えて活用するのは難しいのではないかといったような課題というか、ご指摘がございます。
 2つ目は、フルコスト情報の「適時性」ということですが、これはフルコスト情報の公表については、現在の作業体制ですと予算編成終了後の翌年1月末にならざるを得ないということもございまして、直近の予算編成に反映できないという課題がございます。
 3つ目が、「非財務情報」と併せた開示ということでございますが、現状はコスト情報という定量的な情報が中心の開示ということになっておりますけれども、これは事業の成果・効果などの定性的な情報を充実させないと、コストの増減のみで事業の評価がされるといったようなことになりかねず、結果的に行政サービスの質が低下するようなことにもならないかといったような課題というか、ご指摘もございます。
 こういった課題につきましては、下のところにも引用している部分がございますけれども、システムの整備とか、そういった条件の整備がないと難しいといったような部分もございまして、直ちに解決するのが難しい面もございますけれども、報告書におけるご提言も踏まえまして、引き続き、どういったことが可能かということを検討していきたいというふうに考えております。
 最後に、10ページをご覧いただければと思います。
 これまで説明申し上げたことをまとめたページということになります。上の2つ目の丸までは、これまでの取組みの経緯と、一定の成果は上がってきたけれども、引き続き、課題があるというところでございます。3番目の丸に、この取組みについて、まだ十分周知されるに至っていないということと、また活用の観点から、解決が必要な課題が多く存在しているというところでございます。
 先ほど申し上げたような点について、さらに具体的に検討を進めながら、当面の間は、試行的な取組みとして進めていく中で、各省庁の事務負担を考慮しながら、財政の透明性を高めるという取組みを続けながら、周知のための取組みをさらに行っていく。
 そのほか、今年度と同程度の公表事業数の規模感、こういったものを踏まえながら、予算のPDCAサイクルに役に立つ情報を提供できるように、そういった観点に力点を置くということで、先ほど、3つの類型を挙げさせていただきましたが、「受益者負担」事業型とか、そういった選定事業のイメージを5ページでご説明させていただいたような事業を重点的に算定して公表していくといったようなことなど、フルコスト情報の質の改善を図っていければと考えております。
 解決困難な課題もございますけれども、引き続き、試行錯誤しながら取組みを進めていきたいというふうに考えているところでございます。
 資料の説明は以上でございます。
〔黒川部会長〕
 ありがとうございました。
 第1議題に比べますと、いささか地味でございますけれども、行政活動の効率性、適正性というものを担保するために、当部会として重要なツールを開発するというのは、当部会の重要な使命、役割の1つでございます。ぜひともこの活動もより改善していきたいというふうに事務局は今語ったところでございますけれども、何かそれについて、質問あるいはさらなるご意見がございましたら、委員の皆様、ご発言をお願いいたします。
 では、まず田近委員。
〔田近委員〕
 また同じですけれども、この話は、これでまた議論をこれからする。その前に、フルコストの政策別コスト情報がありますよね。各省庁が予算も政策別に組みかえて、それにつけていった。それを今度は事業のフルコストですよね。その2つの全体像というか、関係をどう考えるかというのは、つまり、ここでのイシューは、この事業フルコスト情報をどうやって省庁の人に実際に使ってもらうか、そして、それを予算の査定に反映させるかということですよね。その点、どう考えるかというのは結構重要なんじゃないですか。政策別な、だから、個別があって政策別評価があるわけだから、この2つは本来は離れていないはずですよね。わかりやすく言えば、個別のものの情報があって政策の評価がいくわけだから。
〔黒川部会長〕
 では、まず法規課長から。
〔奥法規課長〕
 田近先生ご指摘のように、政策別のコスト分析、これは今、各省庁の政策全分野にわたってコスト分析をしているというもので、そういう意味で政府の政策にかかるコストの全体像というのをお示しをすると。ただ、そういうことになりますと、かなり作業的な限界もありますので、全分野をカバーしてはおりますけれども、政策別、いわゆる各省の局別、ほぼ局の単位別にコスト分析をしているということです。それだけでも何センチかの分厚い資料になるものをつくっているということです。
 それで全体像が見えることは見えるんですけれども、これを予算の実務に活かそうとすると、単位が大き過ぎて予算の査定などに十分に参考とすることができない、しにくいというような批判、指摘などがありました。そこで、3年前から、むしろ個別にわかりやすい事業単位でコスト分析、フルコストの分析をしてみてはどうかと。そうしたほうが予算の査定などにも役に立つのではないかと。ただ、こうなりますと、局の数の何倍もの事業、全省庁あわせると何千事業というものがありまして、それら全部をフルコストを算定しろと言われても、これはとても作業的にできる話ではないということでありますので、現在、各省庁と相談をしつつ、公会計室のほうで、こういった事業について分析してみてはどうかということを提案して、各省庁にお願いして作業をしてもらっているというのが今の実態でございます。
 事業別のフルコスト分析ですと、確かにわかりやすくはなるんですけれども、実際の査定に活かそうとすると、なお、この数字を使ってどうしたらいいのだろうというような声が主計局の予算査定に従事する職員からも、各省庁の予算要求をする職員からも意見が出て、そういう課題がある中で、どういう事業に重点化をしてやればより役に立つものになるのか。フルコストのほうは、そういう観点から全体の中での個別のものとして取り組んでいるというのが今現在の姿でございます。
〔黒川部会長〕
 いいでしょうか。よくわかりました。
 木村委員。
〔木村委員〕
 今のお話にもかかわりますけれども、こういったコスト分析をどの単位でどれだけやるのかというのは、ほんとうに手さぐり状態であろうと思います。フランスでも同じような議論があるわけなのですが、おそらく網羅的ではなくて重点的に少しずつやっていくという方向にならざるを得ないと思っております。その上で、個別の事業に関するコスト分析を、どういう形で、どの範囲でやるのか、冒頭にお話がありましたように、数的には当面は60とかそのくらいが限度なのかもしれませんけれども、限られた数で、どれを選んでいくのかというのが次の課題になると思います。その辺、前回、私も少し発言させていただきましたが、6ページ当たりだと思いますけれども、基本的には、選定にあたって、限られた労力を有効に使うにあたっては、このような視点にならざるを得ないのかという感触は持っています。要するに、6ページにあるのは、料金とか補助金とかの事業として切り出しが可能で、なおかつ、いわゆる事業性が高いものということになると思いますので、大まかに言えば、こういう方向性になるのかなというふうに思っております。
 私、前回、①の受益者負担型の事業に重点を置くべきだというふうに申し上げたのは、最近の裁判例などで、こういった受益者負担の制度のもとで、受益と負担のバランスを問題にする訴訟などが出ているということもありますし、理論的に言えば一種の説明責任の問題だと思います。料金の負担者に対する説明責任として、こういった情報を広く提供していくべきだということになると思いますので、私としては①が中心かなと思っていますが、その裏返しで、料金をとる場合ではなくて、逆に補助金とか給付金を交付する③の場合についても、相当程度の説明責任はあるというふうに思っておりますので、この辺を重点的にやっていただくというのは結構だと思います。
 ただ、今のような話をすると、もともとの前提で、このフルコスト情報の利用者が誰なのかという問題があって、このペーパーでは、各省の担当者とか、財務省の主計局というのが利用者になっていますので、今の説明からはちょっと外れる、説明責任的な発想からはちょっと外れるのですが、その一方で、一番最後のところに明確に書いていただいたように、財政の透明性という観点を重視すれば、今のような説明もできなくはないだろうというふうに思っております。
 ということで、基本的には賛同しているのですが、言葉遣いとして、②の「外部委託化」ということについて言えば、先ほど口頭では説明がありましたけれども、外部委託というと契約で委託をするようなイメージになってしまうのですが、それに限らず、独法に切り出すというようなことも含まれているというお話でしたので、かぎ括弧の趣旨は理解できますが、もう少し明確に書いていただいたほうがいいのかなと思います。要するに、切出しが可能なものを評価する、あるいは切出しができるかどうか、切出しをすべきかどうかの評価をこうした作業のなかでやっていくというのは、非常に意味があることだと思います。
 あと、ついでに一言だけ申し上げると、先ほど60前後の限られた数ということになった場合に、どうしても経年変化を重視するというのはわかるのですが、その一方で、年度ごとに重点化を図って横串的に、この年度に限ってはこういう視点から評価をするという方法もあり得るのではないかと思います。なかなか難しいとは思いますけれども、そういう可能性を含めてよりよく改善していただきたいというのが意見でございます。
〔黒川部会長〕
 なるほど。ありがとうございました。大変有用なご意見をいただきました。
 よろしいですか、事務局。言葉遣いを少し検討させていただきましょうか。
 ほかにどうでしょうか。
〔大鹿主計局次長〕
 ちょっと今の……。
〔黒川部会長〕
 次長。
〔大鹿主計局次長〕
 このフルコスト情報の利用者の観点なんですけれども、確かに各省の担当者は作成者だと思います。主計局の査定官は、これは明らかに利用者になると思いますが、それ以外にも、もう既に国会でもいくつか質疑のテーマにもなっていたりしていますし、メディアであるとか、大学であるとか、あるいはいろいろな団体において使われることは十分考えられると思います。
 私どもが気にしているのは、それであるがゆえに、わかりやすさと比較可能性というのがこの資料の一番の眼目でもあると思いますので、やはり比較されるときに、そのコストの算出方法が妥当なのかどうかという点については、財務省として出す以上は非常にそこは求められると思っておりまして、そういう問題意識から、今はいろいろな検討を進めているというところでございます。
〔黒川部会長〕
 ありがとうございました。
 少し補足させていただきますと、先ほど、例が挙がっておるこの表ですよね。写真も載っていますけれども。非常にわかりやすいという、国民から見ても、1つ1つ、例えば6番の資料、参議院の業務はいくらぐらいかかっているのだろうかとか……。こういった具体的な資料60個を3月末でまた出すわけですよね。1つ1つがわかりやすいというわけで、国民にとっても、トピックというのでしょうか、話題性があるようなものになっている。ということになってくればくるほど、このコスト算定がほんとうに正確なのかということが心配になってくるということで、次長が今おっしゃったように、今日も室長も説明しましたけれども、職員の人件費みたいなものも、より正確に把握しましょうというようなことを、先ほど地味ではあったけれども説明をしていた、こういうこと。
 それからあと、田近先生が、政策別に今までやってきたものはどうだったのかということですけれども、これはこれで、今日の一番初めの1つ目の説明資料の8ページ、これは前回もあったんですけれども、8ページ、【参考2】政策別に見た業務費用の内訳というのが、ありましたよね。8ページ。こういうのも出てきたんですね。これは重要なものですよ。厚生労働省関係のものがずらっとトップ10に入ってくるなどという、こういうことがわかった。国全体を省庁別というところで見るよりも、政策別というところで見たほうが、よりわかりやすい。この資料の作成意義は大きかったと思うんですね。でも、これ以外にもっともっと利用の仕方があるのかということで、手前味噌になりますけれども、私のゼミで、どのくらいこの情報を使って分析できるのかというのを学生と一緒に、それから主計局の公会計室の人にも手伝っていただいてやってみたんですけれども、なかなか、こういうふうに改善したらいいよというようなところはいえないんです。政策別にどういうような経年変化をしていくというようなグラフは子どもたちですからばっちりと描けるんですけれども、なかなかそれを使って、PDCAを回すかということになると、先ほども法規課長からもご説明がありましたように、範囲が大き過ぎて、なかなか改善には利用しにくいというようなこともある。多分、私以外のところでも、各大学でも、この政策別の情報を使って、あまり分析していないんじゃないかと思うんですけれども、難しいのかなと。
 そういうこともあって、個別事業の具体的な成果、効率性、適正性の評価資料・ツールとしては、今回、公会計室が一生懸命やっている事務事業というところまでいって、資料をどこまで作成できるかという、実験みたいなものをしている。それを期待しているという、このような状況だろうと思います。
 ちょっと手前味噌の話もしてしまいましたけれども、状況としてはそういうことだということで。
 ほかに何かご意見ございますか。時間はもうちょっとありますけれども。
 田近委員。
〔田近委員〕
 今ご指摘になった、政策別に見た業務費用で国の活動が見られるようになったじゃないかと。縦割りじゃなくて。それは1つのあれだけれども、僕が思ったのは、例えば、経済産業省の通商産業政策というのがある。ここでもやりましたよね。独法がどのぐらいの割合でやっているとか。それを念頭に置いて、その中でこの事業は、各省庁の政策があって、その中のアクティビティーとしてこれを見たいと。そうすると、実はだから、それぞれの事業のフルコストが政策と整合的になっていないとほんとうはいけないんです。政策は政策で局レベルでやっているわけでしょう。これ、下のほうで積み上げていくわけだから。本来積み上げたものと全体がコンシステントにならないといけないので。それはそれで置いておいて、僕が言ったのは、もちろん政策全体として、国全体として政策別の費用も重要、もちろん重要ですけれども、省庁の政策別の局レベルに対して、今度はここを見ているんだと。これは例えばいくつかあって、それを10個潰していけば大分見えると。だから、政策と個別の評価との対応表みたいなものがあるといいんじゃないかと。これだけだと、それは便利かもしれないけれども、何になるのかと。今おっしゃられたように、それをうまく活用するには、それもやぶさかではないんですけれども、やっぱり政策の中のどこを見ているんだというのは重要なのではないですか。
〔黒川部会長〕
 なるほどね。わかりました。ご指摘の趣旨はよく理解できました。またそれも踏まえて、今、先生のお話を伺った範囲でありますと、多分、事務事業の全てのコストがわかれば、要するに、政策別コストの内訳表みたいなものがわかると、連動することになるわけですね。
〔田近委員〕
 言うのは簡単です。
〔黒川部会長〕
 そうそう。言うのは簡単。今回は、さらに成果みたいなものと対比して、それで予算が効率的であり、適正に使われているかというところにいかないと、成果のほうも一緒に測定しないと、コストだけでは限界があるだろうということで、木村先生がおっしゃったように、成果も一緒に把握できるようなものとか、それから、コストのほうもより正確にわかりそうなところとか、こういうところから、とりあえず始めていこう、そのような段階かなというふうに理解はしている。でも、田近先生のおっしゃったのは、よくわかりました。整合性をとらなくてはいけない、それは趣旨として、将来の方向として、1つ重要な方向性、ちょっと言い方は難しいですけれども、それがあるということはよく理解しました。ありがとうございます。
 ほかに。
 鵜川委員。
〔鵜川委員〕
 今回、事業別のものを拝見しましたけれども非常にわかりやすくて、先ほど予算査定という話もありましたけれども、その手前の話として、議会とか国民に対してわかりやすく説明するということは、多分それだけでも非常に意義があるのではないかと思います。
 それで、今後の活用につきまして、今3つ事業が挙げられていまして、これは非常にいいと思います。
 これ以外にも、例えば、もし検討していただければということなんですが、5ページの、なかなか活用が難しいということで、「内部管理事務」のようなことを挙げていらっしゃいますが、こういったものも例えば各省庁別に会計管理事務のコストを比較するとか、たしかイギリスでそのような比較をしている例もありますので、全体に対する比率とか金額で、そこでそういう内部管理業務が効率的なのかどうか、なかなか絶対的な比較は難しいかもしれませんが、相対的な比較はできるかもしれないと思います。
 それからもう1つは、コストの場合、この事例では独法との連結の事例も入っておりますが、例えば、国と地方の連結というのでしょうか、そういったものも一部入っているものもありましたけれども、行政サービスには国と地方とが連結して行う事業が多いと思うんです。例えば生活保護とかもそうでしょうけれども、国民から見た場合に、事業全体でどれぐらいのコストがかかっていて、そのうち国がこれぐらい負担していて、地方がこのぐらい負担しているというのがわかると、非常に理解しやすいと思います。そういうものももし可能であれば、検討していただければというふうに思います。
 それからもう1つ、最後ですが、投資案件です。予算査定において、投資案件というのは比較しやすいと思います。新しいもの、ITでもいいですし、ハードでも投資するときに、会計的にはそれを減価償却という概念で1年間のコストを計算します。10年とか15年の耐用年数で1年間のコストを出して、それで現状と比較して、より効率的であるとかないとかということをよくしますけれども、実際に財務省でも予算査定でそういうことを後年度負担という概念でやっていらっしゃるということですので、これはむしろ会計となじみやすいといえます。予算査定においても、会計的な表現を使えば、普通の国民にとっても理解しやすいものではないかと思います。そういった新規の案件について予算査定のときにこういう会計的な手法や表現を使うという方法もあるのではないかと思います。
 以上です。
〔黒川部会長〕
 なるほど。
 法規課長。
〔奥法規課長〕
 まず、第1点目、各省庁の内部管理事務についても有用な面があるのではないかというお話でございました。例えば会計事務など、よく各省庁横串で比べてみて、この省庁はちょっと効率性が悪いのではないかというような、そういう比較が可能ではないか。それ自体はそのとおりだと思います。
 ただ、5ページの一番下の2の(2)のところにも、今から申し上げる趣旨が記載してありますけれども、内部管理事務というのは、その性格上、フルコスト分析というのを改めてやってみるまでもなく、現金の支出、つまり、予算なり決算なり現金主義のベースで捉えても、実は横串比較は十分に可能というふうに考えられます。そういう横串比較というものは予算・決算の数字を使って十分にできますし、積極的に取り組むべきだというふうなことを考えております。それが1点目です。
 それから2点目は、国と地方の連結というようなことを考えてみてはどうかという話です。これは非常に壮大な課題でありまして、今、現時点では、都道府県、市町村、会計財務処理を熱心に取り組んでいるところもおられますし、なかなかそういう基盤がまだ十分に整っていないところもありますので、これはそういう基盤が全国的に整った上でどういうことができるかということをこれから考えていくような話かというふうに思います。
 それから、3つ目、投資案件のようなものについてコスト分析をというご指摘、そういった類型についても重点化の対象として考えることはあり得るとは思いますが、ちょっと想像するに、国のかなりリスクの高い投資のような場合には、その将来にわたる成果をどういうふうに定量化して分析できるのかというのが難しいかもしれないと。さしあたり、その辺のことがすぐに考えられることです。
 以上でございます。
〔黒川部会長〕
 ありがとうございました。
 それでは、この第2議題については、また来年楽しみにということで、公会計室を中心に頑張っていただくことにして、議題以外でご意見がある方はどうぞ。時間が少し余りましたので。
 清水委員。
〔清水委員〕
 ありがとうございます。前回1月末の部会には出席できずに、意見ということで書面で提出させていただきましたことについて簡単に申し上げたいというふうに思っております。できましたら、資料をお配りいただきたいと思います。
〔黒川部会長〕
 わかりました。では、事務局、26年度のパンフレットの該当ページを参考として配っていただけますでしょうか。
 それでは、配り終わりましたようですので、清水委員、お願いします。
〔清水委員〕
 ありがとうございます。
 左と右がございますけれども、この2枚が平成26年度の財務書類のほうで開示されて、27年度以降、削除ということになった該当部分でございます。
 左と右と2つございますけれども、ちょっと性質が違っております。まず②のほうですが、超過費用と区分別収支計算書の関係、これはいわゆる財務書類の中のPL、発生主義ベースの収支と、それから区分別収支、キャッシュフロー計算書の部分、現金主義の部分との違いの照合でございまして、これはよくある分析でございます。一般的に財務書類の中で行われている分析でありまして、むしろどの省庁も、この照合は本来実施すべきものであって、項目も同じものが毎年発生しているわけで、検算のためにも作っていただく必要があるものだろうというふうに思います。
 画期的だと私が申し上げたのが、左のほうの①のほうでございます。この①がどういうふうにできてきたかということを、ちょっと経緯を説明させていただきたいんですが、平成18年6月に、この部会から「公会計整備の一層の推進に向けて」という中間報告が出ております。この中で、国民経済計算(SNA)との連携などの活用方法について提言がされております。
 平成18年に、当時私は部会の委員ではなかったんですけれども、そういうものが出ている。それを受けて、平成27年のいわゆる活用報告書において、こういった区分別収支計算書と一般会計における基礎的財政収支の関係を示すことも説明責任上、有用であろうということで、この左側の①ができてきたということでございます。
 これらの出てきた背景といいますか、国際的な流れと思われるものを少しご説明いたしますと、会計の世界では、今は国際的な1つの大きな関心事としまして、会計基準の体系と、それから、統計や財政の基準というものがございますけれども、これの収れんが1つ大きなテーマになっております。それぞれ目的が違うため、当然のことながら違うものとなっています。後者は、国民経済計算であるとか、政府財政統計、この世界では、財政政策に使われて、国際間比較であるとか、経年比較、そういったものに用いる目的でこれらがつくられております。
 一方で、会計の世界は、ミクロの政府単位、それからその連結という単位で説明責任ないしは意思決定有用性ということで財務諸表がつくられている、こういう2つの体系があるわけです。ところが、これらは政府の活動について業績を示したり、財政状態を示したりするものという点ではほぼ同じでありまして、それぞれ違った基準を採用していること自体が二重負担を招きますし、かつ、利用者にとっても混乱を生じるという反省がございます。そこで何が行われているかといいますと、1つは基準の収れんということが検討されているということでございます。
 それからもう1つは、基準はあくまで目的が違いますので違いは残りますが、それをどうやって説明していくかということが重要でございます。いわゆる財務報告の中でそういった統計の世界の数字をどういうふうに説明していくかというのが大きな検討課題となっておりまして、IPSASBのほうでもそういう基準が出ておりますし、イギリスとかオーストラリアでもそういう基準が策定され実践されているというのが現状でございます。
そこでのキーワードが、財審のほうで出された報告書にも出ておりますけれども、政府全体の財務諸表(Whole of Government Accounts)です。会計の手法を用いるんですが、ある意味、連結を超えた政府全体の財務報告をつくって、その中で統計の世界で言うところの一般政府部門(General Government Sector)等がどういうふうに関係しているのかということを説明していく。そして、Key Fiscal Aggregatesというんですか、主要な財政指標については、基準の違いによる差を説明していくということが行われているわけです。その目的は何かと言いましたら、政府活動のマクロ経済に与えるインパクトを明らかにしていこうと。それで長期的な財政の持続可能性というものを国民に対して説明していこうと。そして何らかの将来に対する経験則を得ていこうと、そういうことでこういうものがつくられているわけなんです。

 ひるがえって日本のほうを見てみますと、日本においてもこういう財政状況の中、財政健全化のために、そういったPDCAサイクルは、これは必須のものだと思います。なので、こういった考え方、開示の手法というのは、もっと活用されていっていいと私は考えているんです。ですから、平成26年にされた試みは、非常に画期的な試みであったと思いますし、プライマリーバランスにとどまらず、純資産であるとか、ストックの情報も今後検討されていっていいというふうに私は思っております。
 そういうことで、前回、議事録を拝見して、財政学者の方がいろいろ反論をされておりました。主に2つあったと思います。会計学的にはプライマリーバランスという概念は重要ではないというご意見がありました。これについては、今申し上げたような、特にパブリックの世界では、財政との連携というのは非常に重要であるということが反論として述べられるだろうということです。
 もう1つ、冨田先生が多分おっしゃったと思うんですけれども、いろいろな数値が出てきて混乱するということについては、この平成26年のマイナス14兆円というのは、これは1つしかないと思うんです。内閣府の国民経済計算確報ではこの数値しかないんです。だから、これはいろいろな数値が出てきているわけではないということです。
 財務省さんのほうで一般会計の予算は公表されているけれども、その結果は内閣府のほうで公表される。PDCAの連続がこれまではっきりしなかったところが、会計を使えば、そのミクロのところがわかる、内訳が明瞭にわかるということです。従って、今回示されたということは、私は非常に画期的な試みであったというふうに思っております。
 ですから、今後どういうふうにしていくかということについては、いろいろ開示の仕方があると思うんですが、引き続き、前向きに進めていくべきことであろうというふうに考えています。
 以上です。
〔黒川部会長〕
 詳細に、それから、海外に行かれて帰ってきた現状を説明していただいたのですけれども、冨田先生、何かご意見は、今、名前が出ましたので。
〔冨田委員〕
 今言われたことの確認なんですが、(6)の①のところの右下、14兆円というのは、これは内閣府に掲載されている国の一般会計のPB赤字なんです。これは決算ベースでつくったものなんですが、対して、これは1つしかないのは事実です。ただ、これは、今、プライマリーバランスの黒字化という財政健全化の入り口の目標なんですけれども、それがSNA統計でつくられているんだけれども、それとこれとは全く別物なんですよ。一般会計の決算ベースなんです。多分おっしゃられていることは、これから先の基礎的財政収支というものを今の国の財務書類の考え方で発生主義の考え方でつくっていくとすると、どういうものになるのでしょうかという話ですよね。
〔清水委員〕
 ちょっと違うと思います。発生主義……。
〔黒川部会長〕
 清水委員、今の……。もう少し冨田委員。
〔冨田委員〕
 もう少し言うと、これ、左側にあるのが、今の国の財務書類の考え方でつくったものですよね。この左側というのはここ。
〔清水委員〕
 はい。
〔冨田委員〕
 これと、ここで言っているマイナス14兆円という内閣府の統計として出ている、もっと言えば、一般会計の決算見込みか、これはどっちかよくわからないですけれども、あるいは予算ベースかもわからないし……。
〔清水委員〕
 決算です。
〔冨田委員〕
 決算、平成27年だから……。
〔清水委員〕
 26年の決算。
〔冨田委員〕
 26年度の決算。
〔清水委員〕
 そうです。
〔冨田委員〕
 これとこの両者がどういう関係にあるかということなんですよ、私が言っているのは。いろいろな数字が出てきてしまう。
 この真ん中のものはもう出ているものであって、みんなこれをもとにして議論しているし、さらには、国、地方のプライマリーバランスの黒字化と言ったときに、SNA統計のものが閣議決定された目標値なんですよ。
 だから、今お話を聞いていて問題と感じたのは、まず問題でない点から言うと、会計基準とSNA統計との収れんを図ろうと、これはこれでそのとおりだと思うんです。それはいいんだけれども、今、政策の目標としていることは、国、地方合わせたものであって、先ほども地方との統合の話があったんだけれども、ちょっとなかなか容易でないと。さりとて、2025年問題もあるので、早くプライマリーバランスの黒字化も図らなければいけないというときに、そういう統計をつくる時間的な余裕があるのかどうか。また、いろいろな形の統計が出ることによって混乱が生じないかどうかといったことを前回申し上げたわけなんです。そういうことなんです。
 それともう1つは、決算ベースは年1本なんですけれども、SNA統計をつくるときは、財務省の統計で言えば、国庫収支特集にあるんですけれども、例えば公共事業が毎四半期どういうふうに進捗しているかという支出ベースの統計でつくるわけなんです。だから、決算でつくっても繰越しがあったりすると翌年の支出が増える形になるんですね。だから、それが今の問題で言うと、補正予算の支出が翌年度のプライマリー赤字を拡大してしまうという問題なんですね。それはそういう形で今捉えられている問題なんです、SNA基準で。だから、それ以上のことが新たにこれでできるかどうか、もっと詳しくとか。だから、SNA基準にとってかわる話なのかどうかということを確認したい。つまり……。
〔黒川部会長〕
 すみません、もう時間が10分ぐらい過ぎて、これ、多分、エンドレスになってしまいそうな議論なので、この議論についても今後の課題の1つだというふうにして、申しわけないんですけれども、本日の議論はここまでとしたいと思います。
 なお、平成28年度「連結財務書類」は3月29日に公表されると聞いておりますので、ご承知おきください。
 最後に、事務局から連絡事項をお伝えいたします。
〔坂本公会計室長〕
 本日、お手元にお配りした資料も含めまして、連結財務書類やパンフレットなどにつきましては、公表後、郵送させていただきます。
 以上でございます。
〔黒川部会長〕
 それでは、本日の部会はこれで終了いたします。お疲れさまでした。ありがとうございました。     
             


                               午後0時09分閉会