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財政制度分科会(平成30年1月26日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録

平成30年1月26日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成30年1月26日(金)10:00〜11:40
第3特別会議室(本庁舎4階 中-412)

1.開会

2.議題

平成30年度予算及び財政制度分科会の今後の進め方等

3.閉会

出席者

分科会長代理

田近栄治

岡本主計局長

茶谷次長

神田次長

青木総務課長

中野司計課長

奥法規課長

若原給与共済課長

関口調査課長

竹田官房参事官

江島主計官

安出主計官

湯下主計官

小宮主計官

高橋主計官

中島主計官

阿久澤主計官

岩佐主計官

前田主計官

中山主計官

内野主計官

北尾主計企画官

藤ア主計企画官

赤井伸郎

秋山咲恵

倉重篤郎

黒川行治

竹中ナミ

土居丈朗

中空麻奈

永易克典

宮島香澄

臨時委員

伊藤一郎

井堀利宏

老川祥一

大槻奈那

岡本圀衞

北尾早霧

小林 毅

末澤豪謙

十河 ひ ろ 美

田中弥生

冨田俊基

~子田 章 博

宮武 剛

吉川 洋


午前10時00分開会

〔 田近分科会長代理 〕 おはようございます。本日は、冒頭でカメラが入りますので、このままお待ちください。

(報道カメラ 入室)

〔 田近分科会長代理 〕 ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様にはご多用中のところご出席いただきましてありがとうございます。

本日は、「平成30年度予算及び財政制度分科会の今後の進め方等」を議題としております。

(報道カメラ 退室)

〔 田近分科会長代理 〕 それでは、議事に移らせていただきます。

新しい経済政策パッケージ、平成29年度補正予算、平成30年度予算、プライマリーバランス黒字化に向けた計画を巡る状況、海外調査の実施等について、関口調査課長より説明をお願いします。

〔 関口調査課長 〕 おはようございます。ただいま御紹介いただきました調査課長の関口でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、私のほうから平成30年度予算及び財政制度分科会の今後の進め方などについて、大部にはなりますけれども、説明資料に沿って30分以内で御説明させていただきます。

それでは、資料1の1ページをお開きいただけますでしょうか。これは昨年12月に閣議決定されました新しい経済政策パッケージの概要でございます。

幼児教育の無償化などの、人づくり革命に関する施策などが列記されておりますけれども、右側の6ポツの1つ目のポツにございますとおり、その財源の太宗については、1.7兆円程度でございますけれども、2019年の10月に予定されております、消費税率の引上げとその使途の見直しによって確保することとしております。

それから、同じ6ポツの2つ目のポツにございますとおり、企業からの拠出金を0.3兆円増額させていただくこととしておりまして、この1.7兆円と0.3兆円の合計で2兆円規模の政策パッケージを実行することとしております。1.7兆円の対象となる施策は、消費税率の引上げが前提ということでございますので、31年度以降に実施されることとなります。

また、後ほど御紹介させていただきますけれども、7ポツのところに「財政健全化との関連」という記述がございます。

この新しい経済政策パッケージの詳細につきましては、参考資料を御覧いただければと思っております。

次に、2ページを御覧ください。

これは平成29年度の補正予算のフレームでございますけれども、左上の1ポツの「歳出の追加」、こちらは2.7兆円の歳出の追加を予定しております。中身については次のページ以降で御説明させていただきたいと思いますけれども、この2.7兆円の財源につきましては、下のほうの「3.既定経費の減額」ということで、国債費の減額などによって経費を1.2兆円ほど減額しております。

それから、右側のほうに移って、2ポツの「税外収入」、956億円でございますけれども、これは公共事業費の負担金収入などです。その下の3ポツで「前年度剰余金受入」とございます。そのうちの半分は法律に基づいて左側の歳出、国債整理基金特別会計への繰入というものに充てられますけれども、その残りの部分を加えてもなお不足する部分については、右側の一番上の「公債金」──建設国債でございますけれども、この発行によって1.2兆円ほど賄って、総額として2.7兆円の歳出の追加を賄うという姿になっております。

1枚おめくりいただきまして、3ページ目を御覧ください。

補正予算の柱は4つございます。

1つ目が生産性革命・人づくり革命とさせていただいております。生産性革命では、生産性向上に資する事業ですとか研究開発などを支援することとしております。人づくり革命につきましては、昨年6月に閣議決定させていただいています「子育て安心プラン」の実施を前倒しして、保育所の整備をするなどしておるところでございます。

それから、2つ目は災害復旧等・防災・減災事業ということでございまして、特に今回は昨年9月の九州北部豪雨などを受けて実施させていただいた中小河川の緊急点検を踏まえた緊急措置など、そういったことに所要の経費を計上しているところでございます。

ページを1枚おめくりいただいて、4ページ目、3番目は総合的なTPP等関連政策大綱の実現に向けた施策ということで、3,500億円弱の経費を計上させていただいております。

4つ目は、その他の喫緊の課題等への対応ということでございまして、自衛隊の運用態勢の確保でございますとか、弾道ミサイル攻撃への対応と、そういったことに所要の経費を計上しているところでございます。

それから、続いて5ページ目を御覧いただければと思います。平成30年度の予算のポイントでございます。

平成30年度予算におきましては、先ほど御紹介させていただいた新しい経済政策パッケージも踏まえまして、保育の受け皿の拡大ですとか、給付型奨学金の拡充といった人づくり革命ですとか、あるいは地域の中核企業などによる設備・人材への投資の促進といった生産性革命といった事柄が現下の重要課題でございまして、そういった課題に重点化しているところでございます。

同時に、薬価制度の抜本改革など、改革努力や歳出削減努力を積み重ねることによって財政健全化も着実に進展してございまして、一般歳出や社会保障関係費の伸びについて、「経済・財政再生計画」における3年間の目安を達成しております。それから、国債発行額を安倍内閣発足以来6年連続で縮減するといったこともしております。

こうしたことによって、平成30年度予算は、「経済・財政再生計画」の集中改革期間の最終年度の予算として、経済再生と財政健全化を両立する予算となっていると考えております。

続いて、6ページを御覧ください。

まず、歳出について御説明させていただきます。下のほうの歳出の段の上から2番目のところに「一般歳出」とございます。これが先ほど申し上げたとおり3年間で1.6兆円程度の伸びに抑えるという目安に沿ったものでございまして、5,367億円増で平成30年度は58兆8,958億円となっております。その1個上の「国債費」でございますけれども、こちらは国債残高の平均金利の低下に伴いまして利払費が減少したことなどによりまして対前年度で2,265億円減少しておりまして、23兆3,020億円となってございます。一番下のほうの「地方交付税交付金等」でございますけれども、こちらは地方税収等の増加も反映しまして対前年度で521億円の減ということになっておりまして、15兆5,150億円となっているところでございます。

次に、上のほうに動いて歳入でございます。「税収」は、雇用・所得環境の改善や、あるいは企業の生産活動や民間消費の増加を反映しまして対前年度で1兆3,670億円の増加ということで、59兆790億円を見込んでいるところでございます。これは平成3年度以来27年ぶりの高い水準となっております。「その他収入」でございますけれども、これは外国為替資金特別会計から一般会計への受入金が昨年度に比べて減少することなどによりまして対前年度で4,313億円減少しておりまして、4兆9,416億円を見込んでおります。以上の収入の不足分をその下の「公債金」、建設国債や赤字国債の発行により33兆6,922億円賄っておるところでございます。この結果としまして、公債依存度は昨年度比で0.8%低下して34.5%となっているところでございます。

続いて、7ページ目を御覧いただければと思います。

下の欄のほうに財政指標(一般会計)の動きというのがございます。一番上の一般歳出は着実に増加してきているところではございますけれども、伸びは抑制されているということもございまして、真ん中のほうの公債金収入でございますとか、あるいはその下の基礎的財政収支、一番下の公債依存度といったところはいずれも着実に低下してきているところでございます。

8ページ、9ページは飛ばさせていただきますけれども、10ページを御覧いただければと思います。

このうちの上から3番目の「社会保障関係費」の増減額は、プラス4,997億円となってございますけれども、3年間で1.5兆円の伸びにとどめるという目安を守った姿というのがここにもあらわれているところでございます。

それでは、1枚おめくりいただいて、11ページを御覧ください。こちらは平成30年度予算における重点施策ということでございまして、人づくり革命と生産性革命にかかわるものを取り上げさせていただいております。

人づくり革命につきましては、まず、保育の受け皿拡大ということで、子育て安心プランを2年間前倒しで実現するためにプラス11万人分の保育所などの運営費を計上してございまして、主に事業主拠出金で対応させていただく予定でございます。それから、その次は保育士・介護人材の処遇改善でございます。保育士につきましては、人事院勧告に伴う賃上げをするということになっております。加えて、新しい経済政策パッケージに基づきまして、保育士につきましては31年度4月からさらに賃上げを予定するとともに、介護職員につきましても31年10月から処遇を改善する予定とさせていただいてございます。それから、幼児教育の段階的無償化でございますけれども、※印にございますとおり、無償化は31年4月から一部スタート、そして32年4月から全面的に実施する予定でございますけれども、30年度につきましては、既に実施させていただいています年収が約360万円未満の世帯の第1子、第2子の負担軽減策というのがございますけれども、こちらの負担軽減策を拡充することとしておるところでございます。それから、その下の給付型奨学金でございますけれども、こちらは昨年度から始めさせていただいておりまして、対象が社会的養護を必要とする学生、そして住民税非課税世帯のうち私立・自宅外生のみということでございましたけれども、今回、その対象を住民税非課税世帯全体に拡充して、約2万人対象を拡大させていただいているところでございます。

続いて、生産性革命でございます。生産性革命につきましては、地域の中核企業などへの支援として設備投資の促進でございますとか、あるいは事業承継支援のための措置の拡充を行っているところでございます。それから、Society5.0の実現に向けて、高効率・高速処理のAIチップの研究開発と、そういった支援の促進を行っているところでございます。それから、生産性の高い物流ネットワークの構築ということで、三大都市圏の環状道路などの整備の加速、あるいは港湾事業において他国に先駆けてLNG(液化天然ガス燃料)の「バンカリング」(燃料の供給)のための拠点の形成といった措置を行っているところでございます。

次のページ、12ページを御覧いただければと思います。

平成30年度予算におきましては、予算の「質の向上」ということで、限られた予算の中で政策効果を一層発現させるという観点から、様々な工夫をさせていただいているところでございます。

まず、一番上の調達改革でございます。装備品の原価の精査等を通じまして、価格低減の取組によって、「中期防衛力整備計画」において確保することとされていました7,000億円程度の規模を上回る調達改革を実現させていただいているところでございます。

それから、1つ飛ばさせていただいて、3ポツ目、技術の活用による質の向上・効率化ということでございますが、公共事業への先進技術の活用でございますとか、あるいは出入国審査における顔認証ゲートの本格導入などということによって、省力化・効率化を進めているところでございます。

それから、一番下、4ポツ、仕組みの見直し等によるインセンティブ付けということで、中小企業向けの補助金に関して、真に政策目的に資する取組の補助率を上げる、あるいは、国費外国人留学生制度について、単に留学生の受入数の実績に応じて配分するのではなくて、外部試験ですとか、あるいは客観的な審査を経て優秀な学生を選考する仕組みを導入するといった取組を実施しているところでございます。

次に、13ページは飛ばさせていただきまして、14ページを御覧いただければと思います。こちら、平成30年度予算における各歳出分野の特徴というのが2ページにわたっております。こちらについて、昨年秋にまとめていただきました建議の反映状況について御説明申し上げたいと思っております。

まず、社会保障でございます。建議の中では、社会保障関係費の目安をしっかりと達成する必要がある。それから、報酬改定については、国民負担等の観点から、診療報酬本体ですとか介護報酬のマイナス改定を含めて対応すべきであると。あるいは、薬価制度についても、抜本的な見直しに取り組むべきであると。それから、児童手当の特例給付については、廃止の方向で見直しを行うべきと。そういったような御指摘をいただいたところでございます。平成30年度予算につきましては、様々な改革努力を積み重ねた結果、先ほども御紹介させていただきましたけれども、対前年度で4,997億円の増ということになりまして、目安を達成することができたところでございます。それから、報酬改定につきましては、様々な要素を総合的に勘案しまして、給付の適正化なども実施しながら、診療報酬の本体部分につきましてはプラスの0.55%、薬価につきましてはマイナスの1.36%、材料価格についてはマイナス0.09%ということになっております。それから、国民負担の軽減などの観点から、新薬創出等加算の抜本的見直しでございますとか、あるいは長期収載品の価格の段階的引下げといった薬価制度の抜本改革を実施することとしておるところでございます。それから、児童手当制度につきましては、大臣折衝におきまして、特例給付を含めて見直しに係る検討を行って、平成31年度以降の予算に反映するということについて合意をさせていただいているところでございます。

それから、その下、教育・文化でございますけれども、教育のところにつきましては、建議の中で、義務教育の教職員定数に関して、教員の業務の見直しやPDCAサイクルの確立、大学などへの支援や科学技術等のメリハリづけの強化をするといったことについて御提言をいただいたところでございます。平成30年度予算につきましては、教員について、基礎定数の自然減や加配定数の改善を反映しながら、質の高い小学校英語の指導が可能な英語専科指導教員の増加、あるいは大学改革に向けた運営費交付金や私学助成のメリハリ付け、科学技術予算の重点分野への戦略的配分といったことに取り組んでいくこととしているところでございます。

それから、公共事業でございます。公共事業につきましては、建議の中で、総額の抑制に取り組む中で社会資本整備の重点化・効率化を進めるという方針をいただいたところでございます。今般の予算につきましては、前年度とほぼ同額としながら、その中で生産性向上のためのインフラ整備、あるいは豪雨・台風災害などを踏まえた防災・減災対策などへ重点化を推進しているところでございまして、具体的には財投も活用して三大都市圏環状道路の整備を加速するなど、生産性向上を図っているところでございます。併せて、道路、港湾などのインフラ連携による整備効果の最大化、下水道事業における受益者負担の原則、あるいは民間活用の推進など、予算の質の向上を徹底しているところでございます。

続きまして、農業でございます。建議におきましては、林業の生産性向上のために収益性の高い取組を積極的に支援していくべきである、また、農地集約を進めるために、集約度の高低に合わせて集積のための協力金に傾斜をつけるべきことを検討すべきである、という方針をいただいたところでございます。今般の予算では、林業の成長産業化に向けまして、伐採段階と加工・流通段階が連携した取組や、高付加価値木材の輸出促進を支援することとしております。また、ここに記載はございませんけれども、新規集積面積に応じて交付する国から県への協力金につきましては、その配分単価を引き下げた上で、まとまった農地を農地中間管理機構に貸し付ける場合は単価を上乗せするといった取組をしておるところでございます。

続いて、外交・防衛でございますが、外交につきましては、建議において、途上国における民間の投資環境の整備・改善に資するよう、無償資金協力・技術協力のPPP(Public Private Partnership)やBOP(Base of the Pyramid)ビジネス関連案件の拡大に取り組んでいくべきと。あるいは、国際機関への拠出金につきまして、PDCAサイクルの徹底やその高度化などに取り組むことで一層の戦略的な資源配分を実現していくべきという方針をいただいたところでございます。今般の予算では、こちらには記載はございませんけれども、技術協力のBOPビジネス関連予算を増額しております。それから、国際機関への拠出金について、拠出金の評価や繰越額の実態を精査した上で、拠出金の削減などに反映しているところでございます。それから、防衛につきましては、建議の中で、安全保障環境の変化に対処しながら、原価の精査などを通じてさらなる価格低減を追求すべきと。あるいは、FMS(Foreign Military Sales)調達についても、装備品のコスト低減の取組を強化する必要があるという御提言をいただいているところでございます。今般の予算では、中期防対象経費については対前年比プラス0.8%の伸びを確保するとともに、各種調達の効率化に取り組んでおりまして、1,970億円のコスト縮減を図っているところでございます。特にその原価の精査などにつきましては、装備品の価格低減を追求した結果、先ほどのFMS調達の価格低減分で約300億円でございますけれども、それを含めて701億円の縮減を行っているところでございます。

続いて、1ページおめくりいただいて、15ページ目で、下から2番目、地方財政を御覧いただければと思います。地方財政につきましては、建議の中で、歳出特別枠は廃止すべきである。また、地方消費税の清算基準につきましては、人口基準の比率を大幅に高めるなど抜本的な見直しが必要であるという御提言をいただいたところでございます。今般の予算では、これに沿いまして、9年間継続してまいりました歳出特別枠、0.2兆円でございますけれども、これを廃止させていただいております。それから、地方消費税の清算基準につきましては、平成30年度税制改正において、人口基準の比率を現行の17.5%から50%に高めることとされているところであります。

以上が予算の説明でございまして、続いて、資料2「プライマリーバランス黒字化に向けた計画を巡る状況について」について説明をさせていただきたいと思います。

1ページを御覧いただければと思います。こちら、昨年の12月に閣議決定させていただいた新しい経済政策パッケージにおける財政健全化の関連の記述でございます。

消費税率引上げ分の使い道の見直しによりまして、2020年度のプライマリーバランス黒字化の目標の達成は困難となるものの、下線にございますけれども、財政健全化の旗は決しておろさず、不断の歳入・歳出改革努力を徹底し、プライマリーバランスの黒字化を目指すという目標自体はしっかりと堅持すると。そして、この目標の達成に向けて、これまでの経済・財政一体改革の取組を精査した上で、来年の骨太の方針において、プライマリーバランス黒字化の達成時期、その裏付けとなる具体的かつ実効性の高い計画を示すこととするという記述になっているところでございます。

それから、1ページおめくりいただきまして、2ページでございますけれども、こちら、今週月曜日に国会で安倍総理のほうから施政方針演説をしていただきましたが、その演説の中の抜粋でございます。下線部でございますけれども、この夏までにプライマリーバランス黒字化の達成時期と、その裏付けとなる具体的な計画をお示ししていきますということを述べられておるところでございます。

それから、下段は、昨年の衆議院予算委員会における総理の御発言でございますけれども、一番下のほう、下線を引いてございますが、具体的かつ実効性の高い、国民の信頼を得られる計画にしていきたいということを総理は述べられているところでございます。

それから、1ページめくっていただいて、3ページ目でございますけれども、こちらは同じく今週の月曜日、麻生財務大臣のほうの財政演説の抜粋でございますけれども、下のほうの下線部にございますとおり、総理と同じようなご趣旨のことを演説の中で述べられているところでございます。

1枚めくっていただきまして、4ページでございます。こちらは、昨年末、こちらの財審でまとめていただきました建議の抜粋でございます。

その中では、平成30年度予算の編成のみならず、今後策定する計画に向けた基本的な考え方をまとめていただいてございます。

エッセンスとしましては、一番上のほうですと、できる限り早期のプライマリーバランス黒字化達成を目指すべきと。

それから、2番目のパラグラフであれば、さらなる歳出改革の加速に向けて踏み込んだ検討を行うべきであるという話をいただいています。

それから、下から3番目のパラグラフで見ていきますと、各歳出分野について、歳出改革のための具体的な取組とその工程を明確化すべきといったお話。

それから、下から2番目のパラグラフでは、プライマリーバランスの黒字化の達成は平成31年10月の消費税率引上げが前提であるといった話。

それから、一番最後のパラグラフでは、今後、「経済・財政再生計画」の実施状況について検証するとともに、プライマリーバランス黒字化の達成に向けた新たな計画について議論を行い、必要な提言を行う予定であるといった考え方を示していただいているところでございます。

次のページは、今週の火曜日の経済財政諮問会議の有識者議員の提出資料でございまして、そこにも今後の検討課題としてプライマリーバランス黒字化目標達成年度の決定やその具体的な計画の策定といったものが課題だということが記されているところでございます。

今週の火曜日に内閣府からいわゆる中長期試算が公表されておりますが、内容については参考資料2−1、2−2を御参照いただければと思っております。

続きまして、資料3を御覧ください。海外調査について、田近分科会長代理をはじめ調査いただく先生方と御相談させていただきながら、海外調査の大枠を整理させていただいたところでございます。

1ページを御覧いただければと思います。冒頭部分に趣旨が記載されてございますけれども、今後、プライマリーバランスの黒字化の達成時期ですとか、あるいはその裏づけとなる計画の策定に向けた議論の本格化が見込まれますので、本海外調査はそうした議論の参考になるものとしていく必要があると考えてございます。このため、諸外国において、財政健全化の目標や計画を変更する際の考え方、あるいは歳出に関する財政規律ですとか予算編成過程での活用状況、そしてそれらの実施状況の評価方法、こういったことについて調査したいと考えてございます。それから、併せて、国民の皆様に財政健全化の必要性を分かりやすく伝える必要があるのではないかと、秋の財審においてもこういった御意見をいただきました。そういった材料となる情報についても収集できればと思っておるところでございます。

それから、1ページおめくりいただいて、2ページ、こちらが調査体制と調査日程でございます。4つのグループに分かれて、イギリスなどの欧州各国、それからアメリカ、カナダ、そしてIMFなどの国際機関に調査を行いたいと考えておるところでございます。

それから、1枚おめくりいただいて、3ページでございます。こちらはその主な調査事項をまとめてございますけれども、先ほど述べさせていただいた調査の趣旨に沿って調査すべき項目というのを整理させていただいております。詳細な説明は割愛させていただきますけれども、これらの調査項目の確認を通じて各国の財政健全化目標、あるいは計画の策定、実施、評価、そして評価を踏まえた対応という、その一連のPDCAサイクルを整理して今後の審議の参考にしていただきたいと考えておるところでございます。

長くなりましたけれども、私からの説明は以上でございます。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。

盛りだくさんな説明で、昨年12月の新しい経済政策パッケージについての説明、それについては本体資料も参考資料としてついていますが、それから、平成29年度補正予算、平成30年度予算、そしてプライマリーバランス黒字化に向けた計画、あとはこれから行われる海外調査の紹介ということで説明いただきましたけども、本日の説明資料は以上で、残りの1時間程度、皆様から御自由に御意見、御質問等をいただきたいと思います。盛りだくさんのテーマですけども、せっかくの機会なので御自由に、どのような点でも結構ですから、この際、発言しておきたいということは御自由にいただきたいと思います。

それでは、よろしくお願いします。

私の見える範囲で、まず小林さん、それから~子田さんということでお願いします。

〔 小林(毅)委員 〕 海外調査の件なのですけれども、ここの中に恐らく盛り込まれていると考えてもいいのかもしれないのですが、昨年の財審でも、財政健全化に向けての、財政規律を守ることに対する政治の役割、それが国民への理解の両輪にならなくてはいけないという認識が確認されたと思います。他の国がどのようにして国民の理解を得るための努力を、特に政治がどのような形で、どのような役割を果たしているのか、そのあたりのところはぜひ調査していただきたいかなと思います。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 ~子田さん、お願いします。

〔 ~子田委員 〕 ~子田です。今年もよろしくお願いします。今の発言が短かったので、ちょっとプレッシャーを感じているのですけれど。

今年の初めにNHKで毎週土曜日にやっている「週刊ニュース深読み」という番組で財政問題を取り上げました。そこで2つ生の声として、1つは、芸人の方ですね、パンサーという芸人の方ですけど、昔は芸人といえば宵越しの金は持たないというような感じだったのですが、「一生懸命貯金をしています」という発言がありました。「将来が不安なので」と。やはり将来が不安なので財政をちゃんとしなくてはいけませんねと、そのためには税収を上げることが必要ですという議論になると、今度は松本明子というこれまたタレントの方が「税金が上がるのは嫌だよね」という話なのですね。

高福祉・高負担か低福祉・低負担か、これ、どちらかしかないのですけれども、国民はやはり高福祉・低負担を求めているという声が根強いということが分かって、この財審の答申は大臣に出すわけですけれども、やはり政治から見て、むしろ財政の再建をきちんと考えていない政治家には投票しないのだというふうに国民の理解が進むように財審としても発信力を強めていくことがまず必要だなというのが1点目です。

それと、2点目は、2025年になると団塊の世代が75歳以上になるというのがありますけれども、そのときに財政の負担が非常に増すので何とかしないといけないという話があって、この話も番組の中で出たのですけれども、ただ、その後、四十何年ぐらいになるとさらに負担が多くなって大変だということなのですけれども、その後、当然人間ですから年をとったら亡くなっていく方も大勢いるというふうになると、一気に高齢者の方が減ってくると。

それで、今年生まれた子供が当然40年後になったら40歳で、多分、子供がいて、介護があってとかいう問題に差しかかって、教育費とかそういったことで大変なときにどのような財政状況になっているか。つまり2025年に大変だということは分かるのですけれども、その先になるとまた局面ががらりと変わります。よく、そのときは大変だけどその後になったら軽くなるのだからいいじゃないかみたいな、我慢していればいいじゃないかみたいな議論があるのですけど、その辺の疑問にも答えられるような、50年程を視野に入れた長期的な観点から今年の議論を進めていけたらいいなというふうに思っています。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。

御発言された方の御意見に対してでも結構ですから、御発言をいただきたいと思います。岡本さん、お願いします。

〔 岡本委員 〕 ありがとうございます。

先ほど平成30年度の予算について、折衝過程などについても御説明いただきましたが、この一般歳出の伸びを5,300億円に収めるとか、あるいは社会保障関係費の伸びを5,000億円以内に収めるとか、これらについてはきっちり守られており、今まで大変御苦労されたのではないかなというふうに思っています。その辺は本当に評価したいと思います。

火曜日には経済財政諮問会議があって、その中でプライマリーバランス赤字が2020年時点で10兆円、そして、黒字化の達成年度が2027年にまで2年延びてしまったとのことです。この話を受けて安倍首相も、歳出改革努力についてはまだこの中に入っていないため、それについてきっちり見込んで、プライマリーバランスの時期も明確化するという話をされていました。私は、政府のほうがその辺をはっきりと思ってくれることは、大変いいことであると思います。まさに政府も本腰を入れるという中では、この歳出について、我々も本当に必死に考えていかなければならない、こんなふうに思っております。

そういった背景の中で私は3点ほど言いたいのですが、1つは、やはりこの歳出でして、確かに伸びを4,997億円の増加に抑えたものの、過去分を含めてその中身を見ると、総報酬割という企業が負担する部分とか、あるいは、当初からある程度削減が見込まれていた薬価など、そういったところでの抑制がほとんどです。改革工程表の44項目の中で取り組んできた効果は、全体としては微々たるものであるわけです。そういった意味では、この歳出について、例えば、44項目の中の大どころでは、高齢者の窓口負担の引上げ等に真剣に取り組めば、1兆円、2兆円の財源があるかもしれないわけですし、それから、ワンコインの定額負担については、これだけでも1,000億円とか1,400億円あるかもしれないと聞いています。そういった点を踏まえると、定性的に44項目をやっていくのは必要ですが、一方では、定量面から、本当に大きなところに、真っ向から切り込むということをこれから次のタイミングでは真剣にやらないと、この歳出改革は覚束ないのではないかと思います。

それから、2点目は消費税率の引上げです。これはもう必ず実施してほしいと思います。これまでの延期ではリーマンショック前に似ているとか、色々と理由があったのですが、現在においても、デフレ脱却ができていないからとか、このようにまた条件みたいなものがあると困るわけで、これは本当に無条件でやってほしいと思います。加えて、消費税の使い道が子育てにかなり振り向けられることになりますが、これ自体は私も重要なことだと思います。ただ、そうなると借金の返済が遅れるわけでして、そのような中で、軽減税率についても相当厳しく見直さなければならないというふうに思います。この軽減税率については、真剣に目を向けていきたいと思います。

最後に、経済成長については、3%、2%の進展が前提ですよね。この、毎年3%、2%が本当にうまくいくのかどうか。その上で2027年度達成だと言っているわけです。ベースラインは1%とありますので、これは大変いいことなのですけれども、企業で言うところのリスクシナリオはもっともっとひどい状況を想定するわけです。1%を前提ということでもいいですが、このときの折れ線グラフを見ると、2027年度どころか、いつ着地するか全然分からないような資料になっています。ですから、この1%の場合であれば、歳出の削減はどのくらいまでしないといけないのか、あるいは消費税率は10%で大丈夫なのか、10%を超えてこの辺までやればこうなるとかを考える必要があります。PB黒字化目標の旗を降ろさないと明確に言っているわけですから、そういった中で、3種類、経済成長をどう見るのか、そして消費税はどういうふうに考えるのか、歳出削減をどう考えるのか、それぞれの議論をきっちりやっていってほしい、このように思っています。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。

引き続いて、永易さん、田中さん、中空さん、土居さん、吉川さん、秋山さんとフォローしていますけども、まず永易さんからお願いします。

〔 永易委員 〕 それでは、2点申し上げたいと思います。

1点目は、先ほどから御説明があるように、非常に御苦労が多い予算編成を3年間きっちりやられたということに対しては敬意を表したいと思います。ただ、この3年間、特にこの12月からの流れを考えますとね、やはりついこの間までは2020年度PB黒字化をやりますと。特に今年度ですね、今年度は中間レビューなのですよね、本当は。ここまでやって、ここで届かない分を2020年までには何とかしましょうねというのがコンセンサスだったわけですね。これが一体どこへ飛んじゃったのだという、非常に残念な気持ちが強いです。政策パッケージ、2兆円という、この中身自体はいろいろいい点もあるのですけれども、それは金があったらいいことですけど、全くないときに追加でやる。これによって2020年まで努力して何とかしましょうというのがどこかへ消えたでしょう。もともと2025年度だったものが2年遅れるのですよというような議論になっていませんか。これが極めて残念なことだというのは様々な形を通じて財審でも発信すべきだと思いますよ。このような論法が使われるのであれば、いつまでたってもだめですよね。だから、その辺は、財審ですから、相当強いトーンで常に警鐘を鳴らしていくということが必要なのではないかと1つは思います。

もう1つは、やはり補正予算ですね。いつもいつも、意見を言われる方も多いのですけれども、今の状態でずるずるやるのであれば、これまた財政健全化というのはないですね。したがって、今度の調査などでも、やはり決算ベースというのか、トータルベースというのか、そういった予算・決算管理でないと決してうまくいかないと思いますので、どうすればいいのか、すぐにできるとは思いません、思いませんが、常にそういったメッセージを当委員会は発信すべきでありますので、きちんと調査をして、このような考え方だったらやれるのではないかという提案ですね、このようなものをぜひつくり上げたいというふうに思います。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。

田中さん、お願いします。

〔 田中委員 〕 ありがとうございます。私も永易委員と全く同じ内容なのですけど、若干補足をつけ加えさせていただきます。

まず、データを拝見する限りは、財政健全化に向けて努力をしているという様子はわかりますので、それは本当にお疲れさまでしたと申し上げたいと思います。その上で2点あります。

やはり2020年度のPB黒字化目標というのは、私、こちらに2007年辺りから関わらせていただいていますから、10年程たつのですけど、国際的な約束だったと理解しています。小泉政権に始まり、それから政権交代で民主党政権になっても、これはやはり国際的な約束だということで、2020年度のPB黒字化ということは、政治も、政府も、またこの審議会も、誰しもが当然のゴールだと思ってきたものです。それが何かあっけなくここで守れないと、しれっと健全化に向けて努力しますということでは、オオカミ少年になってしまうのではないかというふうに思いますし、この財審を構成しているメンバーとしても、その責任の重さというものを私は感じています。ここにも責任があるのではないかと思います。

それから、2点目は補正であります。永易委員が補正のことをおっしゃっていて、どんなものに補正が出ているのかなと思いましたら、例えば国産チーズの競争力の強化とか、あと学校の耐震強化とかいうものです。そもそも補正というのは基本3月までに使い切るわけで、もう駆け込みとしか思えないですね。これが常態化しているのではないかと思います。そのように考えると、やはり補正を出すための規則とかルールとか、補正についての規律というものが必要なのではないかというふうに思います。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。

中空さん、お願いします。

〔 中空委員 〕 ありがとうございます。もう岡本委員、永易委員、田中委員がたくさん言ってくださったので、私も言うこともないと思ったのですが、マーケットにいる者としてということをいつも言っていますので、投資家からの目線という観点での話だけさせていただきたいと思います。

「経済・財政再生計画」の目安を達成したにもかかわらず、という点もあると思うのですね。それでも、やはりプライマリーバランスの黒字化が達成できなかった。その意味では、参考資料2−2にあった、昨年の7月試算よりも2年遅れて2027年度というのがとても気になってしまって。私としては2020年度の目標達成から7年遅れではなかったっけと思いながら、見ました。そうだとすると、ギミックにさえ見えると思っています。

そんな中で、投資家の人たちももう日本の財政が健全化するなんて思っていない。海外勢だけではなくて、市場参加者はほとんどそう思っています。なので、落胆もされないと思っているのですが、もうそこまでになってしまっていることが深刻ではないかと思います。それでも、新しい目標がこの夏にできます。その目標に対して、全然失笑を買うようなものになってしまったら、これは日本国債に対する、あるいは日本国債市場に対する喪失、落胆になるのだろうというふうには思っているのです。

そもそも国債発行額が減っていて、買い手が日銀と決まっている中、もう日本国債のマーケットは市場機能がなくてもいいのだと言ってしまえばそれまでなのですが、やはりたくさんの投資家の人たちに選ばれるマーケットであるべきと考えると、いささかいろんな計画が後ろ倒しになり、それを、田中先生は「しれっと」とおっしゃいましたが、本当に「しれっと」やり直しているようでは、信認は得られないなと思っています。

ということで、財審としては、難しいのはわかっていても、やはりこれはやっていかなくてはいけないということを口を酸っぱくして言う場としてワークしていけたらなと思っています。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。

土居さん。

〔 土居委員 〕 まず、平成30年度予算については、目安を達成したということは非常に重要な試金石になって、これからさらに財政健全化に向けての取組を進めていく上で重要な第一歩だったと思います。

その上で、昨年の12月に新しい経済政策パッケージが閣議決定されて、基礎的財政収支の黒字化を目標として堅持するということにしたということは非常に重要であります。安倍総理もしっかり言質を残してくださっているということですから、もはや債務残高対GDP比がそれにとりかわる新しい目標だなどとは言わせないということです。そして、この6月ごろまでに、今年の骨太の方針でしっかりとプライマリーバランスの黒字化の達成時期、裏付けとなる具体的かつ実効性の高い計画を策定していただくということは非常に重要なことなのかなと思います。

その中で、今月の23日に内閣府の中長期試算が更新されて、確かに自然体といいますか、改革を追加で行わない場合のプライマリーバランスの黒字化の達成時期が2027年度になりましたが、参考資料の2−1に、内閣府がその数字を詳しく出していて、私なりにも分析を早速させていただいて、ネットでも書かせていただいたのですが、名目成長率が経済再生ケースで4%弱程度だったものが成長実現ケースで3%台半ばになるということで、成長率が鈍化するということなので、当然のことながら増税をしなくても得られる税の自然増収、これが減るということは予想されると。確かに新しい経済政策パッケージで消費増税分の使途変更というのはあるのですけれども、私が試算したところ、プライマリーバランスの黒字化が2年遅れる、プライマリーバランスの赤字が拡大すると言っている要因の大半は、実は税の自然増収が成長率の鈍化により剥がされるという影響が大半だったということですね。たしか2020年代前半に前回の試算に比べて3兆円から5兆円程度赤字が拡大するということになっていて、追加の改革なしに黒字化を達成する時期が遅れると、そういったふうに言うべきだと思います。だから、その分、何か歳出が膨らんでいるのではないかとか、そういった懸念があったと思いますけど、単に成長率の想定をより現実的にしたところで自然増収が少なく見積もられるために収支が悪化しているということなので、私が思うには、そうであるからにはなおさら歳出改革をしっかりやっていただき、その歳出改革によってこのプライマリーバランスの黒字化の時期をより早く実現できるようにしていただくということが必要です。単純な話で言えば、2020年度目標を掲げていたときに追加の改革がなければ2025年度に達成すると言っていて、今回出た試算では追加の改革がなければ2027年度に達成するということならば25年度から2年遅れたということなので、2020年度の目標というのはせいぜい遅らせても2年、2022年度には達成するという意気込みでプライマリーバランスの黒字化目標をこの骨太の方針に盛り込んでいただきたいと。

そういった意味で申しますと、この春の財審では、歳出改革の具体策と、願わくば2020年度までにはこう改革すると大体幾ら歳出が抑制できるとか、そういった金額ですね、アバウトでもいいので、それを少しお示しいただけるといいのかなと。つまりどのようなことかといいますと、今、内閣府では、プライマリーバランスの赤字が幾らかということについては、各年の数字が出ていて、それをなくすには幾ら歳出を抑制できれば何兆円の赤字が減ると、このような見込みがないとなかなか達成時期という具体的な年次が示せないということにはなろうかと思います。よって、個別の歳出改革、どれが採用されるかはわからないですが、具体策及びその金額というものを我々のこの議論の俎上に載せられると、より活発な議論ができるのかなと思います。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。

吉川さん、お願いします。

〔 吉川委員 〕 財政健全化に向けた計画について発言したい。その前に1点、2001年の4月に小泉内閣は成立した。前年、2000年の秋にアメリカのITバブルが破裂してものすごい勢いで日本経済が落ち込んでいく、その真ん中くらいで小泉内閣が誕生したわけです。そうしたことを受けて、2001年度にはたしか政府が保有するNTT株を売却して、それを財源にした補正予算が編成されたと思います。ただし、御発言のとおり、当時、総理大臣を筆頭にいわゆる安易な補正予算編成に対しては極めて厳しくするということでした。御発言の趣旨は、補正予算にいわゆる政策経費がいろいろ入ってくるというのは本来おかしい、それは本予算で議論すべきだということ。補正予算というのは大規模な自然災害とか不測の事態に限られるべきではないかというのが御発言の趣旨だと思いますので、全く同感であります。

それはそれとした上で、財政再建について発言させていただきます。いろいろ見ていると、今の政権はやはり財政再建を成長頼みとするスタンスが強いというふうに私自身は思っています。経済成長が大事だというのはそのとおりで、この財審でも経済成長は財政再建の必要条件であるというようなことも言ってきたと思うのですね。ただ、十分条件ではないと。ですから、経済成長だけに頼るのは間違いであって、やはり正面から歳出・歳入の改革を進めなければいけない。これが財審のずっと言ってきたことだと思いますし、私は今でもそうでなければいけないと思っています。したがって、歳出・歳入改革、とりわけこの審議会ですと歳出の改革を進めるということだと思います。

内閣府の試算では27年度までになっていますけれども、足元のいろんなことを議論していくのはもちろん大事だと思うのですが、27年度にこだわらず、もう少し長期の財政の姿というものを議論すべきだと、そうした御発言が幾つかあったと思いますが、これも私は同感であります。

これから数年の財政の議論について、少し考えてみますと、現在の政権はやはり成長頼みというところが強いと私は思っていますが、2020年にオリンピックがありますし、日本経済、世界経済は足元ではいいわけですが、ただ、日本経済について言うと、年が明けたばかりで早くも来年の話をすると鬼に笑われるかもしれませんが、ちょうど1年後くらいで景気拡張が戦後最長になります。現在、非常に長い景気拡張が続いているわけで、今年の末、年が明けて来年のちょうど1月頃で2000年代前半の戦後最長、実感なきなどということも言われましたが、いざなぎ景気より長い景気拡張期をも抜いた戦後最長の景気拡張期になっていきます。景気拡張が続けばいいのですけれども、やはり永遠に続くということはないわけで、日本の場合にはオリンピックがある。ただ、オリンピックが終わった後も財政というのはあるわけですから、様々な議論が今後出てくるのではないかと思います。

繰り返しになりますが、歳出・歳入の改革をやはりきちっとやっていかないとだめだ、成長頼みだけではだめだと私は思います。足元、今後数年、2020年、22年、25年、27年、その議論もいろいろやるのだろうと思いますし、必要だと思います。同時に、もう少し長いタームでの財政についての議論というのもやったほうがいいのではないかと考えています。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。

中長期の経済財政に関する試算について理解を共有させてもらいたいのですが、新しい試算では経済再生を成長実現ケースということでやや現実的にしたと。一方、ベースラインケースの方は成長率を過去のものを反映させて高めたということで、参考資料2−2でいうと、太い赤線が成長実現ケースで、青い太線のところがベースラインケースで、それぞれが真ん中に収れんしていったと。よく言われますけども、名目金利の推計値は成長実現ケース、あるいはベースラインケースにしても、2019、20、21、22年あたりで大きく下げています。だから、これがどこかで財政健全化にきくはずだと。次が結果としての財政数値ですけども、土居さんも御指摘になっているように、あるいは皆さん御指摘になっていた、国・地方の基礎的財政収支の黒字化は2年遅れると。中空さんもおっしゃったように、どこから何が2年なのかというのは微妙な言い方ですけど、今、2025年度だったつもりが27年度になった。それが遅れたのは、基本的に説明にあるように消費税を引き上げても半分は他のことに使われてしまうと。消費税の使途変更で遅れたというのが大きな原因なのですかね。そこをまず確認しておきたい。

〔 土居委員 〕 私が分析した限り──ただし、内閣府は全ての情報を公開していないので、私も分析し切れない内閣府のブラックボックスの部分はあるのですけれども、収支悪化というのは、税収の減とその他の収入の減と歳出の増と3つの部分に分けられます。しかし、後ろの2つは区別ができないような形にしか内閣府は示していないので、結局、税収の減とその他という2つの要因があると。使途拡大は、この後者のほうに含まれているはずだと考えられますね。しかし、その中にはその他の収入の減というものも含んでいるので、どこからどこまでが使途拡大で歳出がふえたかというのは特定できないのですが、では、この2つのうちどちらの影響が大きくて──ここで言うところの、一番左側の基礎的財政収支対GDP比の赤い三角の点と赤い丸の点との差、実額でいうと2020年代で3兆円から5兆円程度の差になるのですけれども、その差は何によって生じたのかというのを要因分解しました。そうしたら、実は税収の減の方の要因でほとんどは説明できてしまう。

消費税増税分の使い道の見直しは織り込まれているとは言われていますが、規模は言われていません。だけど、赤の三角と赤の丸の差は3兆円から5兆円程度あり、その差は何か。仮に使途拡大で、1.7兆円歳出が増えたとしても、明らかに全ての説明がこの1.7兆円では済まないというのは数字が示すとおりです。では、どれほどのマグニチュードがあるかというところで私が分析すると、どうやらむしろそっちよりも成長率をより低くしたためにその分の自然増収が入ってこないという影響が大きく、そうすると、使途拡大の要因よりも、税収が少なくなるという見積もりのほうの影響でこの3兆円から5兆円程度のプライマリーバランスが悪化したという試算になっているというのが私の分析です。

〔 田近分科会長代理 〕 にもかかわらず、真ん中の国・地方の財政収支の対GDP比率が改善されるのは、金利が下がったからですよね。

次に、債務残高対GDP比を見ると、長期の方はさんざん我々で議論して、これが下がるのはなぜかというと、やはり数字を見れば分かるように、名目成長率が金利よりも高いからであると。

今回、さらにベースラインケースでも債務残高対GDP比が下がるのは、金利を、先ほども言ったようにこれから数年間低くとっているという、そういった理解ですよね。

では吉川さん、補足してください。

〔 吉川委員 〕 おっしゃるとおりなのですが、内閣府のこの試算を見ると、財政の問題を考えるときに、最後のボトムラインは債務残高対GDP比なわけですが、下がってくるケースが絵に描いてあるわけですね、2つとも。ただ、よく見ると、ベースラインケースでは26年度が債務残高対GDP比のボトムで、最後の1年である、27年度はもう上がり始めています。

それから、成長実現ケースの方も、計数表を見ていくと、名目金利の方が名目GDPの成長率よりも高くなっていくようになっていて、そのマージンも見てみると、26年で逆転し、26年度がプラス0.1%、27年度になるとプラス0.3%金利の方が高いことになっている。ということは、それ以上に基礎的財政収支が黒字になっていない限り債務残高対GDP比は上がっていくと。ですから、成長実現ケースですら27年度が多分ボトムなのです。ですから、それが内閣府のアートなのでしょうが、この図から右に行けば成長ケースでも債務残高対GDP比は発散していく。

ですから、いずれにしてもこのままではどちらでも投了のケースなのです。確かに10年は持つかもしれない。その理由は、先ほどから何人もの方が言われているとおり、超低金利を想定しているということです。これはこの審議会の本日の議論ではないかもしれませんが、今後10年ということになると、日銀の金融政策の出口の話とももちろん絡んできますけれども、少なくともこのプロジェクションの上では超低金利を想定しているために下がっていく姿になっているわけですが、それでもこのプロジェクションの範囲内でも結局は上がっていくケースになっているわけです。発散ケースなわけですから、長期的な視点からこの審議会では図を描いていく必要があるということです。

〔 田近分科会長代理 〕 余計なことを言ったつもりはありませんけれども、財審でこの新しい数字への認識を共有しておきたかったのです。それでは、冨田さん、お願いします。

〔 冨田委員 〕 今の話ですが、きちんと書いてあるじゃないですか。さっきのグラフで、名目金利、これは市場で成立すると思われる金利をこの試算で想定しているのですよ。ところが、利払費の方は、今ですと国債の平均残存期間が約10年ですから、これまでの10年間の金利、つまり非常に低い金利が利払費に反映されている。だから、大事なことは、金利と成長率の格差で考えることが大事で、安定的にそのGDP比が低下するために大事なことは、政府債務残高がもうGDPの倍もあるわけです、それと金利、成長率の差を掛け算しただけのプライマリーバランスの黒字を確保しないと、安定的にこの比率を引き下げていくことはできないのです。だから、長期で議論が必要なのは当たり前なのです。

私が言いたいことは、今のように市場の声が聞こえない中においてどのようなことを我々はやっていくことが大事なのかということなのです。それには、まずやはりやらなくてはならないことは、永易さんも言われたのですけども、本年度は、もうなくなったように思われている「経済・財政再生計画」の中間時点なわけです。それで、2018年度のプライマリーバランスについて、「経済・財政再生計画」が閣議決定された直後の内閣府の中長期試算と、参考資料2−1の7ページの試算を比較することがスタート地点だと思います。

この2015年7月に発表された経済再生ケースの2018年度のプライマリーバランスの赤字は、数字で言いますと9.5兆円と見られていたのですよ。ところが、今週発表されたものを見ると16.4兆円なのです。プライマリーバランスの赤字が拡大しているのです。

何を言いたいかというと、我々はこの審議会で「経済・財政再生計画」に示された3年間で1.6兆円というこの歳出の抑制計画、これを毎年一生懸命議論して、歳出が抑制されてきたわけですから、当初見込まれた9.5兆円よりプライマリーバランスの赤字が減っているはずなわけです。ところが、これが拡大したのはなぜかということをまず考える必要があります。それは2018年度の税収の見通しがこのわずか2年半の間に9.3兆円も少なくなっているのです。その理由は、確かに消費税率の引上げの2回目の先送りがあって5.5兆円税収は減った。だけど、あとの4兆円はやはり税収の過大見積もりというか、税収が下振れしたことにあったのだろうと。それともう1つの理由は、永易さんもおっしゃったように、補正予算として2017年度に組んだものが2018年度で支出される部分があって、それもプライマリーバランスの赤字の拡大に寄与しているのだろうということなのです。

次の話ですが、本日の参考資料の成長実現ケースについてです。成長実現ケースについて、2018年度を起点にして計算いたしますと、どのようなことになるかということなのです。仮に国の一般歳出を過去3年、あるいはもっと厳密に言ったら過去6年の当初予算と同じペースで増加を抑制する。そういったことを計算いたしますと、2022年度に──先ほど土居さんおっしゃったのですけども、2022年度には、ここで示されている成長実現ケースの歳出よりも5兆円抑制できます。国の歳出抑制と地方が歩調を合わせて抑制するとすれば、2022年度に国・地方のプライマリーバランスの黒字化は可能と机の上では簡単に計算できてしまうのです。しかし、先に述べましたことと同じなのですけども、留意すべきことは、第1は、これまでの経済再生シナリオと比べて成長実現シナリオの成長率は少し控え目になっておりますが、例えばオリンピック後の景気というのは現在の好景気が続くのでしょうか、税収増加のペースも続くのでしょうかということです。第2は、補正予算の影響です。

ということを考えますと、「経済・財政再生計画」で示されたように、その中間時点である2018年度に進捗状況を、マクロ面だけではなしに改革を裏打ちする歳出の各分野についての工程表の進捗状況についても検証して、今後を見据えた新たな具体的な財政健全化計画と歳出各分野の工程表を策定することが重要で、必要だというふうに思います。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございます。

秋山さん、赤井さん、お願いします。

〔 秋山委員 〕 私は、専門家ではありませんので、アイスブレーク的なコメントになりますが、まず、私が札を上げたときに、多くの皆様が御発言されたように、2020年度のプライマリーバランス黒字化に向けての公式の中間レビューがないということに対しての問題意識、それからあとは、やはり補正予算に対する統制をどうしていくのかという問題、これは皆様の御発言に賛成であるということを最初に申し上げます。

今回いただいた資料の中で、例えば資料1の7ページ目に過去6年間の財政指標がいかに改善してきたかという数字が出てきていて、これ自体は1つのすばらしい結果だと思うのですけれども、この時期になぜこれができたのかということを考えますと、背景の1つとして、やはり3本の矢のうちの1つである金融緩和の政策がかなり影響しているということと、財政出動も合わせて法人税収を中心に税収が上がったことが1つの要因だろうと思います。ただ、これが今後本当にこのまま続けていけるのかというと、この状態が永久に続くということは難しいので、やはり必要条件としての経済成長率をどう維持向上させていくのかということが大切なテーマになろうと思います。では、それを実現していくための歳出改革を行うために、全体の数字に対して枠をはめてしまうということになると、かえって硬直的な歳出抑制になりはしないかということは懸念として申し上げておきたいと思います。むしろ歳出の構造自体を変えていくということが重要なのだろうと思っております。

例えば1つは、これからテクノロジーの進展によって様々なもののコストの構造が変わってきます。それを今までの歳出の内容、項目、あるいは評価基準に単に金額を何%抑えていこうだとか、そういったことではない形の歳出構造の見直しをやっていかなければならないと思いますし、あとは、御指摘がありましたように、発想として、お金がないときのお金の使い方という発想もまだまだ不足しているというふうに思います。このような、大枠で縛るという考えよりは、もう少しきめ細かく中を見ていくというところに、ぜひ政治のリーダーシップを発揮していただきたいというふうに思いますし、国際公約とも受け取られている、このようなコミットメントの進捗管理、それからそれに対する提言、あるいは補正予算の問題など大きな構造的な問題については、この財審そのものの位置付けを、そういったことをしっかりと議論できるような位置づけにするのか、あるいは、もう少しそういった権限を持った人に対するアドバイザリーボード的な組織があって、そういったところでしっかりフィードバックをかけていくのかというようなことも考える必要がある時期に来ているのではないかということが今の問題意識です。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございます。

赤井さん、お願いします。

〔 赤井委員 〕 まず、直近では、この資料1の1ページにあります新しい経済政策パッケージですね、これをどのようにやっていくのかが今後のプライマリーバランスの黒字化に対してすごく影響すると思います。

まずは、消費税を上げるということを前提に作成しているということは評価すべきだと思います。ここでしっかりとしたプランをつくって、消費税は上げないとこのようなこともできませんよというように外堀を埋めていくということが大切だと思います。

ここでは主に教育のお話が多いわけですけれども、これは大体もう決まってはいるのですけれども、これから多分文科省と財務省のほうで細部を詰めていくと思うのですが、その制度を入れたときに所得のちょっとした変化で逆転が起きないように階段をつくっていかないといけないと思います。その階段のスロープがなめらかになるほど財源を使うことになってしまいますので、そのあたりをどのようにするのかというところ、しっかりと詰めていただきたいのと、このページで7番の「財政健全化」という項目が小さくなっているのですけど、やはり重要ですので、この7番の財政健全化の中の旗は降ろさないというところをもっと目立つような形で意識をしていただいて、その7番というところの達成ということを意識しながら1、2、3、4、5という他の部分の政策も考えていただきたいです。7番は先ほどから何回も出ていますこの参考資料の表のところに影響すると思うのですけども、ここのまさにベースラインケースのもとでも27年度に黒字化を達成できるような──厳しいと思いますけど、そういった歳出パッケージなども念頭に置きながら政策パッケージを考えていただければと思います。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございます。

続けて、倉重さん、お願いします。

〔 倉重委員 〕 先ほどから出ていたのは、プライマリーバランスですね、2020年度達成目標という言葉の軽さという指摘が永易さんと田中さんからありましたけど、私もそれは一番強く感じているもので、ここはしっかりとね、それでいいのかという観点から議論がひとつ必要なのではないかと思います。

振り返ると、橋本さんのときの財政構造改革法、1997年ですよね。このときですらも、緊急宣言として、財政はもう火の車で、ここで改革しないとどうにもならんという議論をしていたわけです。またそれが崩れて新たなこの2020年度という目標がさらに今度2027年度前後に先送りされるというね。

このような歴史を振り返ると、財政健全化が果たして本当にどの程度日本の国政にとって重要なことなのか、それさえも疑わしくなるような手さぐり体制が続いてきたわけですね。そこで毎回財審が危機感を、ある意味では警鐘を鳴らしてきたわけなのですけれど、その役割というのは本当に必要なものだったのかどうかも含めてね、その辺を深く反省しなくてはならないような気がします。

小林さんがさっきおっしゃっていたように、政治家ですよね。国民世論がついてこない、政治家も問題意識が薄いと。政治家は言葉なのですけど、やはり財審の言葉も本当に指摘が正しかったのかどうか──正しかったと思うのですけども、そこをもう一回振り返ってほしいということが1つと、じゃあ、なぜそれが可能だったのかというと、やはり今の金融政策だと思うのですよね。

先ほど吉川さんがおっしゃられたけども、やはり異次元緩和の持続可能性というものについてそろそろ財審としても勉強しなくてはいけないと思うのですね。単に日銀の話じゃないことはだんだんと世の中に明らかになりつつあるわけですね。

最近、野口悠紀雄さんが書いた『異次元緩和の終焉』にはデータもしっかりと揃えられており、これは長続きしないものであり、それが長続きしない場合にどんなことが起きるか。それは、日銀のみならず、納付金、それから日銀に対する財政的処理も含めて財政に関わってくる話であると。

あと10年これだけの低金利が続けられるかどうかという問題もありますしね。その辺のことについてもぜひ勉強する機会をこの財審の場につくっていただきたいというお願いでございます。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございます。

じゃあ、末澤さん、老川さん。

〔 末澤委員 〕 2点申し上げたいと思います。実はマーケット、特に債券市場では、例年、12月ごろになると来年度の予算、また、特に国債発行計画が相当注目されます。水面下でざわざわするのですが、実はこの数年はほとんどそういった状況はないと。

では、なぜざわざわすることになったのかというと、これは、1998年の小渕内閣での財政拡張的な予算案と、運用部の国債引受けの停止、この2つが重なりまして、98年の夏に、金融危機で0.7%台まで下がった長期金利がこの予算と国債発行計画の発表を受けて翌年の99年2月には2.5%まで急騰したのです。0.7%から2.5%です。これで当然国債市場は相当な混乱を受けました。それで、例年、12月までに来年度の国債発行額はどうなるのだということを相当気にするようになったわけですね。

ただ、ここ1年、2年はほとんどそういった状況が見られていません。これはなぜかというと、やはり日銀の異次元緩和、特にYCC(yield curve control)によって国債の増発額が例えば5兆円になろうが5兆円減ろうがその差額は日銀が調整しますから、結果として長期金利は0.0%台で安定すると。ですから、この国債発行計画を分析する意味があまりないのですよ。これは必ずしも良いことではないと思いますが。それともう1つは、やはり昨年の場合ですと、ちょうど12月にアメリカで税制改革、この法律の名称はタックスカット・アンド・ジョブズアクトという極めてトランプ政権的な名前でございましたが、これが成就するかどうかの方が注目されていて、アメリカが10年間で1兆5,000億ドルの減税による財政赤字をつくる状況、また、イタリア等、欧州でも財政拡張的な機運が生まれているところにあって、全体的に日本の国債発行計画に対する注目度が下がっていると。

ただ、これは実は大きな問題が2つあって、この異次元緩和はいつまで持続できるかという問題と、アメリカなどとは人口動態が全然違いますから、アメリカが今1兆5,000億ドルの赤字をつくることと日本がこの今の赤字を続けていくことというのは、やはり持続可能性が全く違うと。このような先行きのプランをこの財審でももう少しはっきり見せて、本当に安心していいのかと、本当に下手すると今の現役世代が相当大きな負担をこれからこうむることになるよと、やはりそういったもう少しリーズナブルな、あまりオオカミ少年的ではなく、リーズナブルなプランを早く見せる必要があると。

それに際して、先ほどから出ているこの中長期の経済財政の試算なのですが、私は今回若干問題があると思っていまして。要は成長実現ケース、またベースラインケース、いずれも前提を相当動かしています。これは経済財政諮問会議の議論を受けて動かしたということなのですが、ただ、特にやはりベースラインケースはあまり動かさないほうがいいと思うのですね。

アメリカの場合ですと、政策を反映した試算はOMB(行政管理予算局)が大統領予算教書や年央試算で出しています。それに対して、政策効果を反映しない自然体のシナリオは、CBO(議会予算局)が出している。この前提は基本的に変わらないのですね。以前私が2年前にCBOでヒアリングしたら、その成長率見通しは基本的に民間試算の中央値を使っているというような回答がありましたので、だから、悲観シナリオでもない、楽観シナリオでもない、自然体のシナリオでつくっていると。

それと比較して今回の政策がどうなるか、これによって財政が健全化されるないしは悪化するというのを見ないと、将来、特に長くなればなるほど全体を少し動かすと幾らでも財政赤字は増えたり減ったりしますので、やはり長期のプランをつくるときにはベースラインを相当程度安定したシナリオのプランとして一方で提示すると、それと比較していくということが必要ではないかというふうに思いました。

以上でございます。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございます。

老川さん。

〔 老川委員 〕 ありがとうございます。2点申し上げたいと思います。

1つは、財政健全化の先延ばしを受けた多くの方々の先行きへの懸念、これも全く私も同感で、特に27年度まで延ばしたからといって、それが達成できるという見通しは何にもないですね。成長実現ケースでこうなっているというだけで、そのとおり成長が実現するかどうかもわからないし、また、そのときにプライマリーバランスがこうなると、このような方法でこうなるのだという方法論が全くない。書いたものを見れば、資料2の1ページ以降に同じ文言がたくさん書いてあります。その裏付けとなる具体的かつ実効性の高い計画を示すことにすると。いつ、どうやって、何を示すのか、これが全くないのですよね。そんなことを言っているだけではただお題目を唱えているだけになってしまうので、やはり本当に具体的かつ実効性の高い計画を具体的に作らなくてはいけないというふうに思います。

そういった関連として1つ申し上げたいことは、もちろん今まで要求を精査して、それを少しでもカットして、節約して財政需要が野放図に増えていかないようにやっていくと、これはもう当然必要なことなのですが、同時に、それだけではなくて、様々な要求が出てくる、あるいは現状の世の中の仕組み、それ自体をやはりもう一回見直す、そういったことが必要なのではないのかなと思います。

例えば薬価について考えれば、メーカーから卸、卸から薬局、そして病院と、このような4つのプロセスがあるわけですが、そういったところの現状の仕組み、これも例えば電子的な手法でデータの管理をもう少し効率的にやればその辺のコストがかなり減るとか、そういったことも考えられる。現に外国では一部そういったことが行われているという話を聞いております。そういったことからすると、小林さんからも海外事情についての御意見がありましたけども、今後は外国ではこのような試みが行われているとかいうようなことも含めて考えていかないと、やはりざっくりコストカットできるような方法を考えないと、爪に火をともすようなことも大事だけれども、それだけに頼っていたのでは、なかなか目標達成はできないのではないかなというふうに思います。

それから、もう1つ別なことですが、先ほど岡本委員から御発言があった中で、全体としては共感しているのですが、軽減税率についてだけは、私は見直すということには反対です。というのは、例えば5%から8%にしたときに導入していれば、あんな急激な駆け込み需要とその反動減、こういった大混乱は起きなかったと思うのですね。なぜそのようなことを言うのかといえば、例えばヨーロッパでは、二、三年前、たしかイギリスも消費税を上げたけれども、大混乱は起きていないですよ。やはりヨーロッパ諸国はみんな二十数%に消費税率を上げていて、それほど問題なく運営されていると。やはりそれは生活必需品の軽減税率が定着して行われているから、私はそう思うので、この見直しという話になると、また消費税そのものの引上げの議論自体に、大混乱が生じてくると思いますし、決していいことではないというふうに私は思っております。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございます。

今5名の方がプレートを上げていらっしゃるので、それで締め切らせていただきたいと思います。

では、私のほうから向かって、十河さん、竹中さん、宮島さん、まずお願いします。

〔 十河委員 〕 本年もよろしくお願いいたします。

これまでの先生方の御意見を伺っていて、まさにそのとおりと感じております。

1つ思いますのは、平成も来年で終わりますし、そして今、東京オリンピックの開催で沸き上がっていますけれども、そのオリンピックも2年半後には終わります。先ほど吉川先生もおっしゃっていらしたように、世の中の社会システムが猛スピードで変わろうとしている現状を踏まえ、こうした場での議論につきましては、長期的な視点で、想像力を膨らませ、財政を見直していく必要があるのではないかと考えます。それから今、景気が上向きと報告される中で、財政規律が問われにくくなっており、実際にPBの黒字化が延期になるわけですから、こういったときこそ、私ども財審としては、厳しい意見を強く発信していく必要があるのではないかと思います。それは建議においても強く主張していく必要があるのではないでしょうか。現在の超高齢化社会においては、どうしても若者の世代は夢や希望を抱きにくくなっていると言われております。将来世代にとっての財政のあり方、更には支援を念頭に議論していけたらとも思っております。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございます。

竹中さん。

〔 竹中委員 〕 本年もよろしくお願いいたします。中身に関して、今、十河さんもおっしゃいましたが、皆さんが言われたことに大変賛同といいますか、感銘を受けました。特に田中さんがおっしゃったオオカミ少年という言葉はとても印象に残って、そうだよなと思ったのですが、私は、中身じゃなくて、タイトルのことを一言だけ言わせていただきます。

人づくり革命・生産性革命、なぜ革命なのかと思うのですよね。改革でも改善でも再建でもなく、しかも、人づくり革命は保育の受け皿とか保育士処遇とか、これで革命という言葉を使うのはどうかなと。ぜひ誰かが「安倍さん、革命という言葉はこんなふうに使っちゃだめですよ」と言ってあげていただきたいなと思うと同時に、この財審では地道に、堅実に、しっかりとそれぞれの意見を発信していければなと思いました。

ということです。以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 宮島さん。

〔 宮島委員 〕 ありがとうございます。

私は、比較的世論の空気を感じやすい立場から申し上げるのですけれども、以前、消費税を上げるという覚悟を結構な数の国民が決めたと感じたころに比べて、何かこのままでも何とかなるのではないかというような空気が広がっているのを少し感じます。つまり、目標を延長しても何となく、新規国債発行額はそれこそ6年連続で下がった等のことを聞くと、意外と良くなっているのではないかというような空気があるのではないかというふうに疑念を持っています。なので、本当に具体的にきちんとした実態、しかも、長期にわたる実態をちゃんと示していくことと、あと、示せばすぐにそれを国民が行動に移すものではないというところが非常に難しいと思います。日本国民誰もが日本の財政が厳しいということまでは分かっているのですけれども、では、どうしたらいいのか、どうなってしまうのかというところに関して、そこのブリッジがなかなかかからない。これは私もメディアの立場として非常に難しいところだと思っておりまして、これは海外調査でも各国がどうしているかというようなことを聞いていただきたいというふうに思っております。

もう1点は、先ほどこの前の予算案に関する建議と結果としてできた予算案というものを比較しながら説明をいただいたわけですけれども、非常な御努力の中で目安などを守れたという部分と、やはり言ったけれどもかなわなかった、あるいは簡単に言ってしまうとこれは政治の力だなというふうに思うようなところがあるのですけれども、可能な範囲で、例えばこれまでの目安のつくり方がどうだったと財務省の担当の方が思っていらっしゃるのか。特に具体的に検討する上では、私たちはその折衝というか、予算折衝を実際に見ることができませんので、もちろんおっしゃれないことがいろいろあることは承知の上なのですけれども、この作り方だとここに反省があるとか、この目標はこういったメリットがあったけど、このようなデメリットがあったとか。特に今回は目安というものが実は歳出削減の思いきった削減を阻んだのではないかという疑念も持っておりまして、財務省の方々から見た総括も次の機会などに伺えればうれしいと思います。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。

続いて、北尾さんと大槻さん、お願いします。

〔 北尾委員 〕 手短に2点だけ。

安倍首相も少子高齢化が最大の課題というふうにおっしゃっているのですけれども、議論されているのは少子のほうが特に多くて、高齢化のほうにはあまり議論がないということ。これから高齢者の比率というのは恐らく20年、30年の間に倍増するという中で、本当に長期で考えた場合問題となってくるのは高齢者の扱い、とりわけ年金制度をどうしていくか、持続可能な年金制度についてどうやっていくかということが非常に重要だと思います。

吉川先生も先ほどおっしゃっていたように、いろんな文言はあるのですけれども、具体的な数字を示すとか、この政策をとればこういった形で長期的な財政がどう変わる、そういった数字はどこにも上がってきていません。そういった人口推計の数字というのはあるので、この場でこの政策をとればこういった形で数字が変わっていく、世代間でどれだけのトレードオフがあるということを話し始めるというのは非常に重要なことだと思います。年金制度の改革というのは、世論の反発とか政治的にも難しい部分もあって、すぐに話すことができるとは思わないのですけれども、5年後、10年後、こういった政策が理想的だ、それに向かって今逆算してどういったことをやっていけばいいのかということを話し始めるというのは、地ならしをする意味でもこの場を利用してやっていくのがいいことではないかなというふうに思います。

あともう1点、テクニカルなのですけれども、内閣府の推計のところで、実質成長率が高い場合、成長率が高い場合は同時にCPIも上がっている。ここには出ていないですけれども、それ以外プラスの部分がいろいろとあると考えたシナリオがこの成長実現ケースとなっているのですけれども、成長率が高くてもCPIというのは高かったり低かったり、金融政策の影響ですとか、それから外的な要因もあるので、それは切り分けて考える必要があると思います。物価上昇率はこれと仮定します、その上で実質成長率が上下した場合どうなりますか、そういったような見える形で議論をしていくということが非常に重要かと思います。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。

大槻さん。

〔 大槻委員 〕 2点申し上げたいと思います。

1点は、私は個人投資家と接する機会が多いので、先ほど来のPB目標に対しての受けとめ方についての補足だと思っております。株価が26年ぶりの高水準、成長も長いということなのですけれども、その割に、実は個人にアンケートをずっととっているのですが、その中ですと、貯金をそれでもしたいという人の方がいまだに投資・消費よりも上回っているというのがこの直近の1月のデータでございまして、その理由を聞くと、何となく将来が不安だからという数が圧倒的多数になっています。先ほど来のPBの目標について、老川委員からもあったように、27年度ですというだけでなく、その達成に向けての確実性を国民に示す形で安心感を醸成することが大事なのではないかなと切に思う次第です。

もう1点が先ほど来の長期的な成長の話で、分科会の直接のテーマではないかもしれないのですけれども、その裏側で、私も地方の銀行などと話す機会が多いのですけれども、地方の疲弊ぶりと将来不安というのは相当だと思います。この成長の過程の中で地方に対して相当気を使って、配慮もされている形になっているとは思いつつも、そこの格差が、地方と中央の格差が広がらないように、地方創生により一層、長期的に軸足を置いた形での議論を念頭に置いていきたいなと思う次第です。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。

本日、いろいろとご議論いただいて、いわゆる目安は達成されたけれども、財政健全化の目標の先送りを受けて、皆さんから先行きへのご懸念が示されたと思います。

これから、2月は、既に御紹介がありましたように、何班かに分かれて海外調査に行きます。私も行かせていただきます。その新しい指標や目安の設定に向けて調査していただきたいと思います。その際、もう既に要望のありましたように、政治的な背景、あるいは予算の管理、本予算、補正予算、それから財政健全化の前提になるマクロ経済に対する予測等がどうなっているのかということも含めて調査してきていただきたいと思います。

これで本日の議事は終了させていただきます。

本日欠席の神津委員より意見書を提出していただいています。お手元にお配りしてあるとおりです。

2月に海外調査を行いますけれども、その結果も踏まえて改めて次回の日程については事務局より連絡させていただきます。

少し時間が超過しましたけども、本日はこれにて閉会いたします。御多用中のところありがとうございました。

午前11時40分閉会

財務省の政策