財政制度等審議会財政制度分科会
議事録
財政制度等審議会財政制度分科会議事次第
令和7年11月5日(水)08:30~11:00
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
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1.開会
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2.議題
- 財政総論
- 地方財政
- 社会保障①
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3.閉会
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分科会長 |
十倉雅和 |
片山大臣 高橋大臣政務官 新川事務次官 宇波主計局長 中山次長 吉沢次長 一松次長 澁谷主計企画官 山岸司計課長 原田法規課長 玉川給与共済課長 浅賀調査課長 松本主計官 石田主計官 山本主計官 内藤主計官 末光主計官 河本主計官 大来主計官 横山主計官 宮下主計官 馬場主計官 高田主計監査官 杉谷予算執行企画室長 黒坂主計企画官 小田切公会計室長 |
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分科会長代理 |
増田寬也 |
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委員 |
秋池玲子 大槻奈那 河村小百合 熊谷亮丸 小林慶一郎 佐藤主光 武田洋子 田中里沙 土居丈朗 藤谷武史 宮島香澄 山口明夫 |
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臨時委員 |
上村敏之 小黒一正 木村旬 権丈英子 小林充佳 櫻井彩乃 佐野晋平 滝澤美帆 中空麻奈 平野信行 広瀬道明 福田慎一 堀真奈美 神子田章博 吉川洋 |
午前08時30分開会
〔増田分科会長代理〕それでは、間もなく会議を始めますが、本日は冒頭、カメラが入りますので、そのままお待ちいただきたいと思います。
それでは、お願いします。
(報道カメラ 入室)
〔増田分科会長代理〕ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様、御多用中のところ、御出席いただきましてありがとうございます。
本日は、片山大臣及び高橋大臣政務官にお越しいただいております。どうもありがとうございます。
初めに、片山大臣から御挨拶を頂戴いたしたいと思います。大臣、よろしくお願いいたします。
〔片山財務大臣〕10月21日に財務大臣を拝命いたしました片山さつきでございます。20年ぶりに、この部屋に帰ってまいりました。大変懐かしく思います。十倉会長には経団連のときに大変お世話になっておりますし、また、ほかの委員の皆様におかれましてもどこかでお仕事したことのある方が大半でいらっしゃるので、大変懐かしく、しかも心強く思いますが、日頃から本当に幅広くかつ熱心な御議論をいただいていることに心から感謝を申し上げます。
10月21日に高市内閣が発足したわけですが、内閣の一丁目一番地は経済成長戦略でございまして、日本を強くすることにあります。高市総理の政策に国民が反応してくれた背景には、やはり強い経済を構築するため、責任ある積極財政を実行するということに非常に期待があったものとして、総裁選幹部の一人としては感じております。
他方、財政への市場からの信認が失われるようなことは決してあってはならないということは強く思っておるところでございます。高市総理も就任記者会見の際に、財政の健全化が必要ではないと言ったことは一度もないとの趣旨の御発言をされておられます。市場からの信認を確実なものとしながら、経済成長と経済再生と財政健全化の両立を図っていく必要がございます。そのためにも、歳出歳入両面からの改革努力を継続しつつ、経済、物価動向などを適切に反映し、また、官民の積極投資の促進など、戦略的な財政出動を行っていく必要があります。
委員の皆様におかれましては、引き続き、その豊富な御経験と深い御見識に基づいて活発に御議論いただくよう、よろしくお願い申し上げます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。
続きまして、高橋大臣政務官、どうぞよろしくお願いします。
〔高橋大臣政務官〕高橋はるみでございます。財務大臣政務官を拝命いたしました。委員の皆様方におかれましては、本分科会への御協力、誠にありがとうございます。令和8年度予算におきまして、本分科会からいただく建議を踏まえて、しっかりと編成をしてまいりますので、忌憚のない御意見を何とぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。
それでは、ここで報道関係の皆様方、御退室をよろしくお願いいたします。
(報道カメラ 退室)
〔増田分科会長代理〕続きまして、十倉会長より御挨拶を頂戴したいと思います。よろしくお願いします。
〔十倉会長〕皆様、おはようございます。委員の皆様におかれましては、オンライン出席の方も含め、大変御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
先般、春の財審では、建設的な議論を通じ、建議を取りまとめることができました。重ねて御礼申し上げます。
10月21日に高市内閣が発足し、令和8年度予算は、高市内閣の下での初めての予算編成となります。山積いたします内外の政策課題への適切な対応が求められています。政府においては、経済あっての財政という基本原則の下、メリハリの利いた予算編成を行い、総理のおっしゃる強い経済の構築と、財政健全化の両立に取り組んでいただきたいと思います。同時に、今後も予測不能、不測の事態に備えた財政余力を確保するため、債務残高対GDP比の安定的な引下げに取り組む必要があります。とりわけ持続可能な社会保障制度の構築に向けて、当面の課題の対応だけでなく、中長期の観点から、応能負担の徹底や、給付付き税額控除の制度設計といった課題にも取り組むべきであると思います。
この秋の財政制度等審議会では、令和8年度予算編成の課題について御議論いただきます。多くの国民が日本の財政についてのリテラシーを高め、関心を持っていただける、そのような建議につなげてまいりたいと存じます。タイトな日程となり、御負担をおかけしますが、率直な御意見、どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。
それでは、片山大臣は公務のため、ここで御退席となります。
(片山財務大臣 退室)
〔増田分科会長代理〕それでは、これから審議に入りますが、今、会長からもお話ございましたとおり、非常にタイトな開催日程となっており、短時間での御審議ということになります。今週も1回、それから来週も早々にあるという、非常にタイトな日程です。また、1回当たりの議事が例年よりも長く、内容も多くなっていますし、それから開催時間も1回で150分という長い議事となりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
また、この後の説明も事務局と相談いたしまして、皆様方の御意見をいただく時間をできるだけ取りたいので、極力事務局からの説明は簡素に、概要のみの説明とさせていただきたいと思います。
本日は、「財政総論」、「地方財政」、それから「社会保障」、「社会保障」はもう一回あり、本日は「社会保障」の前半ということになりますが、この三つの議題についての御議論をお願いいたします。充実した活発な御議論をしていただきますようお願い申し上げます。
それから、お手元のPC端末に座席表も格納いたしております。こちらに出席している財務省の幹部及び各主計官も記載しておりますので御確認いただきたいと思います。
それでは、早速ですが、議事に移らせていただきます。まず、「財政総論」から始めます。この部分につきましては、浅賀調査課長から、簡潔に説明をお願いします。
〔浅賀調査課長〕調査課長の浅賀でございます。私からは、1ページ目のポイントに沿って、財政総論について御説明させていただきます。
まずは経済情勢についてでございます。名目GDP、実質GDPともに過去最高、物価は上昇傾向が継続しております。我が国の経済は、供給制約に直面する中で、GDPギャップはプラス、需要超過になっているところでございます。人口減少・供給制約の下で持続可能な経済成長を実現するためには、イノベーション、資本、労働を強化して、供給力の強化に取り組む、これによりまして強い経済を構築することが重要であると考えております。これまでも、重点分野、具体的には防衛、こども、GX、AI・半導体といった分野への投資は、複数年度にまたがる計画等に基づきまして、財源を確保しながら積極的・計画的に実行してまいりました。強い経済の構築に向けて、官民の積極的な投資を促進するなど戦略的な財政運営を行うと同時に、財政に対する市場からの信認を確実なものとすることが重要でありまして、経済再生と財政健全化の両立が必要であると考えております。
予算編成におきましては、日本経済が新たなステージ、長らく続いたデフレから物価上昇局面へと新たなステージに移行しつつあることが明確になる中で、経済・物価動向等を適切に反映するとともに、社会保障制度改革に取り組みまして、現役世代の社会保険料負担を最大限抑制することが重要であると考えております。
続きまして、金利でございます。金利の上昇によりまして利払費が増加することが想定されております。想定金利より1%上昇した場合、利払費は2025年度の10.5兆円から、10年後の2034年度には34.4兆円となり、社会保障関係費に匹敵するものと見込まれます。
続きまして、有事への備えでございます。過去、金融危機や自然災害等の有事が一定の頻度で発生し、債務残高対GDP比は非連続的にジャンプアップしてきたところでございます。今後、想定外の有事が発生した場合にも、必要となる財政措置を講じることができるよう、債務残高対GDP比を安定的に引き下げ、財政余力を確保していくことが重要であると考えます。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは続きまして、「地方財政」について末光主計官から、同じように、簡潔に説明をお願いします。
〔末光主計官〕末光でございます。私からも、地方財政について、資料1枚目のポイントに沿って御説明いたします。
全体は大きく二つのパーツに分かれておりまして、まず、地域間の財政力格差と税源の偏在の是正についてです。
一つ目の丸ですが、足もとの地方財政の状況は改善していることを述べております。青い字にありますとおり、令和元年度以降、コロナ禍の令和3年度を除いて、法定率分の地方交付税では不足するため国と地方で折半して対応する折半対象財源不足は解消しています。また、今年度は、いわゆる赤字地方債である臨時財政対策債の発行もゼロとなっております。これまでの地方財政対策は地方の財源不足を前提として議論されることが一般的でしたが、このような地方財政の改善状況を踏まえれば、従前とは異なる議論のフェーズにあると考えられます。
こうした中で喫緊の情勢を見ますと、二つ目の丸にありますように、経済社会構造の変化に伴い、大都市への税収の集中が構造的に生じています。特に、近時のように税収が増加する局面では、税源にはそもそも偏在性があることに加え、地方財政制度においては、地方交付税が配分される交付団体とは異なり、東京都のような不交付団体は税収増の全額を活用することが可能である、そうしたことから、結果として地域間の財政力・行政サービスの格差の拡大を招いています。
こうした状況を踏まえれば、次の丸にありますように、成長型経済へ移行し、地方税・地方交付税が増加傾向となっている中にあっては、地方財政の健全化の取組を着実に進めつつ、メリハリの利いた予算編成を行うと同時に、地域間の財政力・行政サービスの格差拡大を抑制する観点から、地方税源の偏在是正といった都市と地方の支え合いの確保に一層取り組むことが重要と考えています。
次に、大きなくくりとして、地方行政の効率化・広域的なインフラマネジメントの推進を取り上げています。今後の地域社会では担い手の減少が不可避ですが、こうした中で地域の多様なニーズに対応し、より少ない職員数で質の高い行政サービスを安定的、持続的に提供していくためには、徹底した行政の合理化・効率化を図ること、また、民間企業を含めた多様な主体が連携・協働することで地域の課題解決を図っていくことが重要です。このため、自治体DXを一層推進し、業務の効率化を徹底することや、公共施設等の適正管理や下水道事業の広域化・共同化など、広域的なインフラマネジメントを推進することで歳出効率化を図っていく必要があると考えております。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、続きまして「社会保障」について大来主計官から説明をお願いします。
〔大来主計官〕社会保障担当の大来でございます。社会保障の資料の1枚目に沿って御説明をさせていただきます。本日は社会保障①ということで、総論と医療の前半部分を取り扱うこととしております。
総論でございます。骨太2025において、改革を通じた保険料負担の抑制努力の継続と、経済・物価動向等への的確な対応の双方が求められておりまして、一見するとバッティングしますが、しっかりと効率化あるいは改革を図って、この双方に応えるものとすることが必要でございます。
経済・物価動向等への対応に当たりましては、客観的データに基づく精査を徹底して、官民を挙げた賃上げの成果を損なわないように、現役世代の保険料負担の増による可処分所得の抑制を回避することが最低限の要請かと存じます。賃上げ努力の成果や保険料負担の抑制努力と併せて、極力可処分所得の拡大につながる内容としなければいけないというふうに考えます。
産業として見ますと、医療・介護は、過去30年間、物価や賃金が停滞する中で、一方では医療費・介護費の増が賃金に十分に還元されず、生産性が伸び悩むまま就業者数を増加させてきたという傾向があります。労働供給制約が今後強まっていく中で、成長型経済の実現に寄与し、かつ医療・介護従事者の一人当たりの収入を構造的に増やしていくためには、より少ない就業者で質の高いサービスが提供できるよう、効率的で持続可能な産業構造へ転換していくことが不可欠ではないかと考えます。
続きまして、医療でございますが、2026年度は診療報酬改定の年でございます。日本経済の新たなステージへの移行が明確になる中での最初の診療報酬改定でございまして、今後の道しるべとなる大変重要なものと考えます。経済・物価動向等への対応と保険料負担の抑制努力を両立させるモデルを確立し、示していかなければいけないのではないかというふうに考えます。
経済・物価動向等への対応につきましては、診療報酬改定において、経営の改善や従事者の処遇改善につながる的確な対応を図っていく必要があります。その際には、今回の改定から活用可能となった医療機関の経営データに基づき、医療機関ごとの費用構造や医療機能に応じたきめ細やかな対応とする必要があると考えます。
現役世代の保険料負担の軽減についてです。診療報酬改定においては、病院に比べ、診療所が高い利益率を維持している現状を踏まえ、病院への重点的な支援のために、診療所の報酬の適正化が不可欠であると考えます。また、調剤薬局が増加を続け、調剤技術料が一貫して伸びる中、調剤報酬の適正化も必須ではないかと考えられます。具体的には、患者本位の地域医療提供体制の実現に向けて、かかりつけ医機能を十全に果たす医療機関を重点的かつ包括的に評価する報酬体系を構築していく必要がありますし、もう少し技術的な話ですが、後発医薬品の促進あるいは医薬分業の推進のために各種の加算が設けられてきましたが、政策的役割を終えつつあるような、診療報酬の項目については整理・適正化をするべきと考えられます。
あわせて、現役世代の保険料負担を抑制するために、医療保険制度改革の歩みを揺るぎなく進め、加速していくべきと考えられます。特にOTC類似薬を含む薬剤の自己負担の見直しについては、外来薬剤を広く対象として一定額の自己負担を追加的に求めることも含めて検討を進め、早急に結論を得るべきと考えられます。また、応能負担の徹底の観点から、金融所得勘案や高齢者の自己負担割合の見直しを着実に進めていく必要があると考えられます。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕事務局からの説明は以上とさせていただきます。これから各委員の御意見頂戴したいと思いますが、本日、小黒委員、今回御欠席の長澤委員、芳野委員、國部委員から意見書を御提出いただいております。こちらは各端末に格納しておりますので、お目通しをいただきたいと思います。
それから、御意見については、全体、「財政総論」、「地方財政」、「社会保障」と、まとめて御意見頂戴したいと思います。
それでは初めに、小林慶一郎委員からお願いします。
〔小林(慶)委員〕ありがとうございます。トップバッターということで、高市政権の初めての財審ということで、成長を目指すという政権の方針に沿って、財政の運営についても微力ながら議論していきたいというふうに思います。
資料まとめていただきまして、大変ありがとうございました。全ての資料について基本的に賛成、方針に賛成でございますが、いくつかコメントしたいと思います。
財政総論について、財政の健全化と経済成長の両立ということを基本的な方向とうたわれているのですが、財政と成長というのは恐らく、独立して両立するべきものというよりは、お互い絡み合っているということであると思うのです。ですので、財政の将来に対する信頼が得られることが成長を支える、あるいは財政の信頼がなくなってしまうと、将来不安によって消費が下がるとか、あるいは投資もできなくなるということで、経済成長が落ちてしまうので、やはりそこは成長のためにも財政の健全化が必要なのであるということは意識しておくべきかなというふうに思います。
それからもう一つ、経済の状況ということですが、インフレがこれだけ定着してきている中で、金利のある世界とは書いてあるわけですが、やはりインフレ対応として今後、金利がある程度上がっていくということを認めるというか、前提として財政の運営を考えなければいけないということを意識すべきではないかというふうに思います。インフレは全ての品目で一律に上がっているわけではなくて、例えば生鮮食品と、それから加工食品を除いてしまうとインフレ率はそんなに高くないのであると、こうした御意見もあると、こうした指摘もあるということであると思います。ということは、逆に言うと、食料品など生活必需品のインフレが非常に高くて、それ以外はそんなに高くないというような状況ですので、非常にむらがある、偏りがあるということであると思います。ですので、インフレ、全体については金融政策である程度対応して、それは金利が上がっていくということであると思いますが、そうしたことで対応しつつ、生活に打撃を受けている方に対しては財政でしっかり手当てをしていくという、こうしたマクロの方針でいくべきなのではないかというふうに考えております。
これが財政総論で、もう一個、地方財政についても一言。これは質問のようなものですが、今回、大都市と地方部との間での財政的な支え合いをすべきであるという方向性が強く出ていると思うのですが、これはコンパクトシティーを目指すというような方向と少し矛盾するような気がして、どういうふうに理解すればいいのかなというのはお伺いしたいと思いました。つまり、コンパクトシティーというのは、ある程度地方の中でも人や居住地を集約化して、そして過疎地域のインフラ、そこはもうある程度諦めていくという、そうしたような考え方だったかなと思うのですが、そうしたメリハリのある地方の行政と、地方と都市部で支え合っていくという今回のお話と、やや方向が逆になっているような気がしたのですが、そこはどう理解すればいいのかというのをお伺いしたいと思います。
最後、医療その他ですが、医療のかかりつけ医とか、あるいは出来高払いから包括払いへという論点、これはもう昔から財審でもテーマとして挙げられてきたと思います。そうした意味で、メニューもたくさん挙げていただいているのですが、メニューだけではなくて、意思決定の方向という、工程表というか、どうやって実現していくのかというところを設計する必要があるのではないかというように思います。特に医療の高度化に相当する分を制度改革で下げていくという、これはもうずっと前から政府の方針として言われているわけですが、具体的にどう毎年改革を進めていくのかという意思決定の仕組みがよく分からないということではないかと思います。例えば財務省の中で、固定メンバーで10年ぐらい医療改革をやっていくとか、そうした体制を組めるような、何か仕組みづくりというのを考えるべきではないかというふうに思います。
それから最後に、応能負担であるとか、あるいは金融所得の勘案の強化のようなことは是非進めていただきたいと思いますし、その際に、資産の情報、個人の持っている資産の情報の取得というのが課題になってくるということであると思いますが、ガバメントデータハブのようなものをつくるというようなことも必要であると思いますし、また、個人情報保護法の運用とのバッティングということが結構問題になると思うので、そうしたプライバシーとか個人情報保護との関連をどうやって整理するかという、その辺の議論を国民的に盛り上げていくべきではないかと思います。
長くなりました。以上です。すみません。
〔増田分科会長代理〕それでは、宮島委員、お願いします。
〔宮島委員〕ありがとうございます。このところ世の中の空気感が大きく変わってきた部分もあるかなと思います。というのは、財政当局によって、厳しいような声も多いとは思いながらも、本質的な改革を求める声というのも、特に若い人を中心に上がってきたのではないかと思います。ですので、そこのところをしっかりと捉まえて、今まで10年、15年言ってきても全然動かなかったところが、もしかしたら今回は動く、その後押しがあるかもしれないというようなところで、予算編成もいろいろ頑張っていただければと思います。
社会保障ですが、15年ぐらい前からですが、全世代型社会保障と言いながら、実感としては、確かに給付のところでは若い人たちに対しても手当てがあったかもしれないが、負担のところはやはりどう見ても、若い人から取って高齢者に渡すと。つまり、よく全世代の助け合いというワードが出ますが、これ別に全然助け合いではないよねというような声が、つまり若い人から上に送っているだけではないかというような声を若い人から聞いていました。その理由としては、やはり負担のところで本質的に差があるように見えている。制度的に、高齢者のほうが、現実の生活の感覚では豊かであっても負担が少なくなっている部分があるということだと思います。これは税金における公的年金控除や、あるいは医療費の現役並み負担というところです。
実際に平均的な中流の人たちを見ると、こどもが親に仕送りをしているよりも、親がこどもに少し助けてあげているという家が結構多いのではないかと思うのですが、社会保障の制度はそうはなっていないので、細々といろいろな点はありますが、やはり実態に合った形で、しかも現役世代は様々な負担、子育てをしている負担とかもあるということを前提に、負担感がちゃんと平準化されるような、いろいろな改革を進めていただきたいというふうに思います。
あと医療に関しては、実際には改革していただきたいところは本当にたくさんあって、医療の偏在もそうですし、一生懸命その偏在を変えようとしてはいるものの、やはり診療所のほうが、例えば学生とか医者にとってもなった方が良いという、お得感があるというような感覚があるところから、直美と言われる動きもありますし、偏在が止まらないと。この偏在が止まらないまま、どんどん医療に資源が行くと、日本全体が医療は栄えて国は潰れたような、そうしたことになりかねないのではないかという恐怖すら感じます。抵抗感があるとは思うのですが、例えば一回一回、受診のたびに少しは患者さんからお金をもらうこととか、様々な、たくさんあるので一つ一つは申し上げませんが、総合的に、医療そのものが本当に必要な人の本当のリスクのところにしっかりとお金がつけられるようにという形で進んでいただければいいと思います。
地方財政です。構造的に、例えば税の形が変わってきた、つまり、東京に本社を置くECの本社があるところにすごくお金が行ったりして、構造的に東京に集中しているところに関しては、是非改革が必要であると思います。これにくわえて、東京に財源が集まっているので、東京のほうがサービスがすごく良くて、そこに人が集まるというところがあって、そこも手当てしなければいけないと思うのですが、これに関しては一般の人たちの認識を含めてしっかり考える必要があるかと思います。
というのは、もちろんメリットを持って東京にたくさんの人が、特に若い人が集中しているということは問題なのですが、国交省のデータを見ても、では東京の若い人たちが楽をしているかというとそうではなくて、生活感も含めた負担感とかはすごく重くて、国交省が調べた実質的な豊かさは全都道府県の中でびりのほうに近かったりするので、東京の人は大丈夫だから地方に渡そう、のようなことがあまりにもダイレクトだと、東京にいる人たちが、いやいや、そうじゃなくて自分たちはすごく頑張っているのだよというようなことで、反対の方向に向かう可能性もあります。そこのところはしっかりと、地方から出てきた人などが、育ててくれた地方に対して、自分たちの感謝を含めて地方を支えるような、そうしたいい形の流れをつくる形で、地方の税とか、そうした偏在是正を進めていただければと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、続きまして、平野委員、お願いします。
〔平野委員〕ありがとうございます。まず総論について、先ほど浅賀課長が述べられたポイントに賛同いたします。日本経済は、賃上げや設備投資の増加など、間違いなく良い方向に向かっています。企業のマインドも変わりました。需給ギャップも解消し、インフレ基調へと変化しています。アベノミクスが打ち出された12年前とは様変わりしていると思います。
一方で、世界の潮流が「市場に任せる」いわゆる新自由主義から、国家が成長と社会課題の解決との両立を目指して、産業、経済に戦略的に関与する方向に向かっていることも事実です。岸田政権の打ち出した「新しい資本主義」は、分かりにくいと批判されましたが、こうした流れに沿ったものであったと思います。それをバージョンアップする形で、高市政権においても「成長戦略」を掲げられ、「責任ある積極財政」、英語にすると「"Responsible and Proactive Public Finances"」と表現されていますが、この考え方の下に戦略的に財政出動を行おうとしておられます。ようやく成長へのモメンタムが戻ってきた我が国においても、国際競争力を維持・強化するために、成長産業あるいは経済安全保障など、戦略的に不可欠な分野において、民間の力を引き出すために政府のイニシアティブが重点的に発揮されることは望ましいと思います。
一方、重点投資分野の妥当性や打率を高めるための仕組みをどう構築するかとの議論に加え、同時並行的に進めなければならないのが産業構造改革であり、企業、産業の新陳代謝を進めることです。長きにわたる緩和的な金融・財政政策にもかかわらず生産性の改善が進まず、潜在成長力も向上しなかった大きな原因は、こうした痛みを伴う政策に踏み込むことができなかったからだと思います。
財政も同様です。どう見ても財政に余裕があるようには見えない現実を踏まえれば、企業への租税特別措置や補助金だけではなく、本日も提起していただいた医療、社会保障を含む既存施策を点検し、所期の政策目的を終えたもの、政策効果の低いものだけではなく、仮に効果があってもプライオリティの低いものはスクラップする「政策の新陳代謝」が必要です。片山大臣は要らないものは要らないとおっしゃっていますが、そうした考え方のもとで全体最適化を図り続ける不断の見直しにより、「財政政策の生産性」を向上させる必要があります。こうしたこれまで先送りしてきた難しい課題に能動的に取り組むことこそが、"Proactive Public Finances"に求められると思います。
もう1点、財政面での重要な危機管理は、巨大災害や地政学的な有事に備えて財政力を作っておくことです。国債の格付が崖縁にあるとは思っていませんが、経済の活力が戻り、税収が増える一方で、国債の利払費が遅行する今こそが信用力強化の好機です。以前、格上げということを私は申し上げました。プライマリーバランスをどうするのかという大問題は別にして、債務比率の改善目標、つまり水準目標とその時間軸を再設定すべきではないかと私は思っています。あわせて、中期財政フレームの設定も検討すべきです。それが足もとの課題だけではなく、日本の将来に責任を負う"Responsible Public Finances"であろうと私は思います。
各論については一言ずつ申し上げます。地方財政の健全化が進んでいるのは結構なことですが、人口減少が進む中で、自治体運営の効率化を促す仕組みを地方財政制度に組み込む必要があります。
もう1点、宮島さんがおっしゃったことと少し異なるかもしれませんが、不交付団体である東京都の大盤振る舞い的な施策、それによる「多摩川格差」などは看過できない状況にあると思います。支え合いの観点、社会的な格差の是正の観点からも必要な措置を講じるべきであると思います。
社会保障、特に医療分野については、この財審の場でも従来から指摘されてきた様々な施策について、今回かなり踏み込んでいただいています。これらに賛同いたします。特に今回の診療報酬改定が経済的なインセンティブに偏ることなく、ディスインセンティブを伴ってこれらの改革を後押しするようなものにしていただきたいと思います。
最後に、今回のテーマではありませんが、先ほど小林さんも触れられた通り、今後検討が進められる給付付き税額控除制度に不可欠なインフラとして、関係する国・地方の行政機関、さらには金融機関なども含めて、国民の所得・資産、そして世帯構成などのデータを一元的に集めた共通情報基盤「ガバメント・データ・ハブ」の構築と、個人情報保護に配慮しつつ、マイナンバーの全銀行口座への附番義務化の検討に、速やかに着手すべきであると考えます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕武田委員、お願いします。
〔武田委員〕ありがとうございます。全体として、御説明いただいた内容に賛同いたします。各項目について意見を述べさせていただきます。
1点目、総論についてです。足もとの経済の状況を見ますと、需要と供給のギャップはほぼ解消されており、冒頭に記載いただいているとおり、持続的な成長には供給力の強化が不可欠であるという認識を持っております。そうした観点では、昨日発表されました重点17分野でいかに供給力の強化につながるかどうか。供給力の強化につなげるための仕組みや規制緩和などの政策が非常に重要と考えます。効果的に行うためにどのような政策を行うのか、アウトカムはどう設定するのか、この点を次の段階で明確にし、それに沿った形で予算につなげることが結果として強い経済に資するのではないかと考えます。
また、市場の信認を維持する点について大臣が冒頭コミットしてくださったことは大変望ましいことであり、強い経済を持続するためには、市場の信認を揺るがす事態はあってはならないと考えます。小林委員もおっしゃいましたように、経済を強化することと、市場の信認を維持し、財政の健全化に対する取組姿勢を維持することは、全て強い経済にもつながるという認識が必要です。
2点目、地方についてです。人手不足の状況を鑑みますと、地方行政の効率化や広域的なインフラマネジメントが重要という点には同意いたします。ただし、これを進める際には、コンパクト・プラス・ネットワークと整合する形で進めていただきたいと思います。全国一律の広域的なインフラマネジメントというよりは、一定程度、集中や選択をする下でインフラマネジメントを広域的に進めていくことが大切です。主計官の担当は分かれていらっしゃいますが、整合する形で進めていただくようお願いしたいと思います。
3点目、社会保障です。改革全体が進む方向にいくことを大変期待をしております。3点申し上げます。まず、本日も資料にお示しいただいたように、データに基づく分析は非常に説得力があると思います。引き続き御尽力をいただくとともに、職種別の賃金データなど更に必要なデータがあると考えますので、その点も進めていただきたいと思います。
次に、春の会合でも申し上げましたが、原理原則に基づき改革を進めていくことが重要です。大きなリスクと小さなリスクの考え方や年齢ではなく応能に基づく負担の在り方は引き続き大切にしていく必要があると考えます。特に医療の窓口負担は、年齢に関わらず一律3割をベースにし、その上で、真に必要な方には1割、2割という配慮をしていく方向性で議論が進むことを期待します。
最後は、給付付き税額控除について。必要な情報インフラの整備は今回を機に是非進めていただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、大槻委員、お願いします。
〔大槻委員〕ありがとうございます。このタイトなスケジュールの中で、本当にお疲れさまでございます。私からは総論と、あと各論について若干なのですが、総論で、御参考までにというか、先日、日本に来日した海外投資家からの主な質問をカテゴライズすると、やはり長期、超長期金利の上昇についての懸念とか、それから、これはなぜなのだ、長く続くのかといったような質問というのが、過去にないぐらいやはり増えているというのは事実としてありました。そうした中で、国民の皆様と、危機感というかファクトをいかに共有するか、シェアするかということは非常に重要であろうと思っております。少なくとも市場がこれだけ開かれていますから、海外が間違っているのであると、海外投資家が間違っているのである、では済まされない状況に来ているということであると思います。
各論についてなのですが、全体として申し上げたい点を整理すると、いろいろいただいた点、全部賛成でございます。あとは様々動かすためのモチベーションをどうやってつけていくか。それから、多様な機関ですとかステークホルダーとの連携を進めていただければという、この2点が各論についてのまとめです。地財についてですが、地方との格差是正、非常に重要な局面に来ているということが資料で改めて分かりました。一方で、やはり東京って、首都の中で世界第3位ということで、この効率性というのも非常に重要視すべきところであるわけで、実際効率的に動いた結果、人々がそこに集まっている、法人もしかりということが今の状況であると思いますが、これ以上進んでしまいますと、この効率性ということが失われる局面に来ているということであると思いますので、例えばなのですが、前にもちらっと申し上げたかもしれませんが、他省庁、特に国交省などが推進している多拠点、2拠点居住などを部分的に使うような形で、地方で幸せに暮らしながら東京の法人の活発な活動の恩恵を受けるような、そうした仕組みづくりということもあり得ないかなと思います。と同時に、別の章で出てくるのでしょうが、地方のイノベーション活性化策、これを重点的に行っていただければというふうに思っています。
医療のほうなのですが、これも全て賛成でございます。かかりつけ医制度が始まったとはいえ、私も含めて、これを意識して医療機関にかかっている人というのはほとんどいないと思います。まだ始まったばかりとはいえ、やはり国民へのモチベーション、医療機関へのモチベーションと、ディスインセンティブについても今回論じていただいているので、これらを包括的に進めることで、また、リフィル処方も前から申し上げているとおり同様に、いかに利用者のほうからニーズが上がってくることで、受け手側である医療機関が進めざるを得ないといったようなことに結びつけていくかが重要であると思っております。
最後に、総論的なことに戻るところで一つだけなのですが、責任ある積極財政について、非常にマーケットは好感していて、株価も上がっているわけです、成長期待ということで。ただ、これから先、もし財政がどうしても先に出なければいけない、成長が後からということであると、このギャップの部分ということを厳しくいろいろな方から見られると思います。ですので、うまい使い方、ワイズスペンディングでもって成長のクイックヒットをところどころで見せていけるような、そうした財政運営をお願いしたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、田中委員、どうぞ御発言ください。
〔田中委員〕田中です。今回、責任ある積極財政を実現して、経済成長戦略の成果を出すための具体的なメニューや切り口を資料としてお示しいただいてどうもありがとうございます。
まず、総論の9ページのポンチ絵のところにまとめていただいたように、やはり将来不安の解消に努めるために、経済成長の好循環をつくるということが設計されている中で、経済はデフレから脱却をしても、人の心がまだ少しデフレにあるという点が課題かなというふうに思っております。公費におけるかなりの積極投資もされていながら、この実感がまだ湧かないというところが少しあるかもしれませんし、デフレ期に身についた守りの経営というのが続いているところもありますので、例えば、企業は経済指標をコストの削減から価値の創出へ切り替えたり、上場企業の開示内容も賃上げ、投資、イノベーションの比率のようなところを強調されるような、財政規律を守りながらも未来に責任ある投資をしていくというふうな、希望のある規律のメッセージが強化されるとよいなと感じております。また、広く社会に対しては、変化を恐れずに動いた者が報われる社会であるというふうなことを明言していくことも有効になるのかなというふうに感じております。
各論2点のうちの一つで、地方財政につきましては、今回、地域間の財政格差が広がるという中で、地域の経済成長を果たすためにも、地域で新しいビジネスモデルをつくって、担い手となる地域人材が育つ必要があるのですが、今回データと対策で示していただいた点から、ネット等で地方で売上げを上げた分というのが反映されるのが少しそごがあると。売上げや従業員数で案分したりであるとか、地方税を事務所の所在地にというふうなことは諸外国でも、ドイツやカナダのようなところはあるかと思いますので、このような議論を進めていくことには納得感がありますし、分散型本社のモデルの促進ですとか、地方サテライト本社などの設定も促進しつつ、本社を東京に置かなくてもビジネスが成り立つような機能的な地方都市圏というのを、今推進もされていると思いますが、より強固にしていくことが有効かなと思います。
最後、社会保障につきましては、現役世代の社会保障負担を抑制していくということを国民の総意として、納得感の醸成を図るとともに、今回まとめていただいた具体的個別の問題提起と対策のアイデアというのは示し続けて、これらを実行するための道筋を関係者と議論を進めなければと、国民の一人としても実感するところです。
1点、特に医療において感じていることは、かかりつけ医制度ですが、日本の医療の持続性と地域包括ケアの中核になるはずなのに、なかなかなぜか浸透しないというところで、この背景には制度設計や、医療側の構造や国民の意識、情報基盤、それぞれに要因があると思うところですが、やはり今回改めて地域包括ケアの中核にかかりつけ医というのを位置づけて、医療だけでなくて、介護予防、生活支援をつなぐような地域のハブとしての役割を再定義して、立場を際立たせて力強く推し進めることが実行されるといいなと感じております。
以上、よろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕続きまして、山口委員、どうぞお願いします。
〔山口委員〕山口でございます。4点コメントいたします。
まず1点目は、財政総論のプライマリーバランスについて申し上げます。これは高市総理の所信表明演説にもありましたとおり、債務残高の対GDP比を引き下げていくことで、財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信頼を確保することは大変重要と思います。これを安定的に実現していく上では、積極的な投資によりGDP成長率を高めていくとともに、資料の14ページのとおり、単年度のプライマリーバランスを黒字化にしていくことが重要と考えます。また、この点、当初予算だけではなく、補正予算においても常に意識していくことが重要と考えます。
2点目は、国債格付の引下げの影響の可視化について申し上げます。この引下げの影響につきまして、28ページに大変分かりやすく示されております。この点、日本企業のドルや円の資金調達量やコストに対する定量的なインパクトを示せれば、日本全体で具体的な危機感がもっと共有されるのではないかと考えます。
3点目は、地方財政について申し上げます。偏在という言葉が示すとおり、国と地方の間だけでなく、東京都など大都市圏とその他の地域という地域間の財政格差が拡大している現実を改めて認識しました。大都市圏と小規模自治体では、人口、産業構造、行政需要の密度が全く異なることから、交付税等の既存の枠組みによる調整だけでは限界があります。地域間の財政格差に対する新しい枠組みの検討が必要と考えます。
4点目は、社会保障について申し上げます。社会保障と税の一体改革は、これは春の答申でも申し上げたとおり、極めて重要なテーマであり、引き続き後押しをしていただきたいと考えております。この点、医療のDX、特にロボット、AI、データの活用を加速していくことによって、社会保障制度の在り方にも大きくプラスに影響しますので、産官学一体となった更なる取組が重要と考えます。
また、医療経営情報の活用について、19ページに、病院と診療所の経営状況に大きな差異が生じていると示されています。医療制度の持続可能性を高める観点からは、こうした医療機関の経営状況の差異を診療報酬改定に反映させていくことが重要と考えます。
さらに、報酬体系について申し上げます。25ページ、26ページに、かかりつけ医の浸透、診療報酬項目の整理統合や簡素化が示されています。これは財政の効率化のみならず、患者含め国民の納得感向上につながるものであり、制度全般に対する信頼を高める観点からも重要と考えます。この取組につきましても後押しをしていくことが重要と考えます。
私からは以上です。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕それでは続いて、福田委員、お願いします。
〔福田委員〕ありがとうございます。私からも財政総論を中心に、いくつかコメントさせていただきます。
まず、多くの方がおっしゃっているように、インフレが顕在化して、金利のある世界になってきたというのは一つの大きな転機であるということは間違いありません。それで国債の金利負担がこれから徐々に増えていく、これも皆様御指摘のとおりです。
もう一つ重要な点は、金利のある世界になる中で、日本銀行の金融政策も大きく変更が余儀なくされて、現在日本国債の約半分を持っている日本銀行が、この国債を市場で売却していくフェーズに入っているというのは大きな点であると思います。日本の国債が残高が多いのに安定していたのは国内保有が多かったからですが、では日本銀行が今まで保有してきた国債の残高を全て国内で順調に消化できるかどうかは、極めて不確定性が多く、必ずしも国内だけで消化できない可能性は少なくないと思います。事務局の図にもありましたが、海外の保有が徐々に高まっているというものをさらに加速する可能性もあって、そうした意味では国債のリスクというものが日本銀行の売却によって高まっている可能性というのはあると思います。
それに加えて、やはり事務局の資料にもありましたが、有事への備えというのがこれまで以上に大事になってきているということであると思います。グローバルな不確実性、国内だけでなくて、より一層グローバルな不確実性が高まっています。そうしたものに対する財政の備えというものをしっかりしていただくということが大事であると思います。
その例として一つ挙げさせていただきたいのは、2012年に財政危機になったスペインの例ですが、当時のスペインというのは、財政赤字自体はそんなに大きくなかったのですが、まず国内経済の危機が最初に発生しまして、それに大量の財政支出が必要であるという見方が市場で広がったことによって、財政赤字がそんなに大きくなかったのに財政危機になったという例もございます。そうした意味では、経済対策には巨額な財政出動が必要であるということ、これはやむを得ないことですので、それに備えた財政余力を残しておくということは大事なのだろうと思います。
これが私のメインのコメントですが、地方と社会保険に関してそれぞれ1点だけ、手短にコメントさせていただきます。
地方財政の問題、極めて大事な問題ですし、事務局の資料にあるように、地方行政の効率化やインフラマネジメントもきちんとやっていくということは大事であると思います。ただ、地方の問題を東京の感覚で捉えると少しいろいろ誤解を生む可能性があるのは、かなり人口構成が東京とは違う、都市圏とは違う、かなり高齢化している人たちがたくさん住んでいる地域になりつつあるということであると思います。そうした意味では、コンパクトシティーは非常に望ましいのですが、やはり本当に今まで長年お住まいだった高齢者を中心部に移っていただくというのは、この社会保障制度とかとかなりセットでやっていかないと、単に地方財政の問題あるいはインフラ整備という問題だけではない、社会保障の話とセットでやっていくという視点は大事なのだろうと思います。
最後に社会保険に関して1点だけコメントさせていただきますと、事務局の資料にありましたように、病院と無床診療所との関係は非常に重要で、やはり病院、もっと充実してほしいわけですが、結果的に無床診療所のほうの報酬が高くなっているのではないかということは大事な視点であるということは間違いありません。ただ、無床診療所の中で足もとで一番増えているのはどういう無床診療所なのかというと、これは美容外科と形成外科が非常にシェアを高めているという事実もあります。これは多くは自由診療で、医療保険を使わない分野の無床診療所が一番増えているという現実にも少し注意する必要がございます。
そうした意味では、医療保険だけの問題ではなくて、自由診療がそうしたところで存在することによって、本来病院で働くべき医師がそちらのほうに流れてしまっている。これは自由診療だから医療保険側ではコストがかからないだろうという視点は必ずしも正しくなくて、やはり医師の育成には公費も含めて多額のお金がかかっているわけで、せっかく育成した医師が医療保険を使わない自由診療に多く流れているという現実への視点も大事で、そうした視点からも社会保険の問題を全体として考える視点というのは大事なのだろうと思いました。
私からは以上でございます。
〔増田分科会長代理〕続いて、上村委員、御発言いただけますか。
〔上村委員〕関西学院大学の上村です。御説明ありがとうございます。基本的に御見解に賛成です。私からは、地方税源の偏在是正について、地方財政の資料に基づいてコメントします。
地方財源の偏在が生じている背景にあるのが東京一極集中の進展ですが、東京都の行政サービスが一極集中を加速させている側面があると思います。28ページにあるように、埼玉県、千葉県、神奈川県の意見書が出ていますが、これは昨年からあった動きです。近隣の自治体がこのような動きをするということは過去になかったことで、フェーズが変わってきたなということであると思います。何が変わったかというと、23ページに示されている、東京都による近年の行政サービスの拡充があります。近年の東京都は、対個人サービスを拡充しています。東京都が首都としての魅力を高めるための投資を行うのであれば、それは近隣の自治体としてもウエルカムであると思いますが、他の地方自治体が財政的に追随できないレベルの対個人サービスを拡充することは、東京一極集中を加速するということにつながります。さらに言うと、東京で実現できる行政サービスが他の自治体で実現できなければ、それは国がやるべきであるという議論につながっていく可能性があり、それは国の事情、財政事情を考えると、とても難しいことであると思います。
この問題ですが、日本全体の社会持続可能性として、大きく捉えるべきであると思います。東京一極集中とは、地方が東京に人材を供給するということで東京の発展を支えてきた構図であると思いますが、ただ、この状況は永続的に続きません。人口減少で地方が人材を供給できなくなったときに、東京もピンチに陥ります。したがって、東京を含めて持続可能社会をつくるということが大切であって、その点を踏まえると、豊かな財源を背景にした東京の対個人サービスの拡充には課題があるように思います。
対個人サービスの拡充は東京一極集中を加速し、さらに財源の偏在を生むというような循環があるように思います。この背景にあるのが、20ページにある地方交付税制度が非対称な制度になっているということです。交付団体と不交付団体では地方税の税収増の恩恵が全く違ってきます。不交付団体は税収増をまともに受けることができますが、交付団体はそうではありません。そのため、東京都とほかの自治体の財源の格差、あとストックの格差が生じます。23ページの左下に、1人当たりの基金残高と地方債残高がありますが、格差が生じています。税収の偏在には見極めが必要ですが、25ページにあるように、電子商取引やフランチャイズの発展や、非分割法人の増加など、本社本店を東京に置きながら全国で活動する企業が増えているということで、東京都には税収が集積しやすい環境になっています。
また、26ページにあるように、固定資産税の特に土地分についても、地価の上昇に伴う税収の偏在があると考えられます。そもそも固定資産税は、行政サービスが地価に反映されることを想定した応益課税ですが、東京の土地の値上がりというのは東京都の行政サービスだけによるものとは考えられず、受益に対する負担という範疇を超えて税収が東京都に入っている可能性が高いです。
最後ですが、19ページにあるように、今の財政力格差は、かつて偏在是正措置が行われたときの前の段階に近づいています。このことを踏まえて、日本全体の社会の持続可能性を高めるためにも、偏在是正について考える時期が来ていると思います。もちろん地方財政の歳出の効率化は不可欠です。
以上です。
〔増田分科会長代理〕続きまして、広瀬委員、どうぞ御発言ください。
〔広瀬委員〕ありがとうございます。高市体制がスタートして、支持率も非常に高くて、外交も無難にこなして、滑り出しは上々であるというふうに思います。高市体制というか、高市さんは非常にメッセージ性が強いのかなというふうに感じておりまして、先ほど宮島さんからもお話がありましたが、今までなかなか手をつけられなかったことをやってくれるのではないかとか、あるいは何かこれまでと違ったことをやってくれそうな、そんな期待が今非常に高まって、国民の間、特に若い人の支持というのですか、期待が大きいと、そんなふうに受け止めております。
キャッチフレーズとしては、強い経済とか、あるいは経済あっての財政と、こうしたことを前面に出しているわけですが、方向性としては私もいいと思っておりますが、ではそれが具体的に、強い経済というのは具体的にどういうものかとか、あるいは経済と財政のバランス、それをこれからどういうふうに取っていくかということについては、今後さらに明確にしていただきたいし、これは丁寧な説明も求められるのではないかなというふうに思っております。
喫緊の課題として物価高対策ということが言われているわけですが、これは円安によるコストプッシュインフレと言われておりますが、特にエネルギーとか、あるいは食料、そうした輸入品が非常に高くなっております。したがって、賃金が上がってもなかなか物価に追いつかない、こうした状況が続いているのですが、私が少し心配しているのは来年の春闘ですが、来年の春闘、非常に大きな意味があるかなというふうに思っております。ここ数年、民間企業は頑張って賃上げをして、マクロ的にも賃金と物価の好循環をつくろうと、こうしたようなことで頑張っているというところもありますし、特に中小企業については、労働力不足という側面もありますが、やはり中小企業もしっかり賃上げしなくてはいけないと、こうしたことでここ数年頑張っていたのですが、そろそろ息切れというか、なかなか賃金を上げても物価が落ち着かないと、こうしたことで、何かそうした無力感のようなのがだんだん出てくるというのが一番怖いのではないかなと、そうした面で来年の春闘は正念場になるかなと。
したがって、物価と賃金というのは非常に難しい関係ですが、もう少し物価を下げて、実質賃金が上がったと、こうした実績を早く1回つくらないと、なかなかマインドも含めて好循環に、持続的な好循環につながっていかないのではないかなというふうに思っております。
来年度予算についてですが、一言申し上げますと、もうこれは防衛費の大幅な伸びというのがはっきりしているわけですが、その財源をどうするかということで、いろいろ今検討しておりますが、やはり既存の歳入、税制、歳出をどこまで切り込めるかということで、まさにこれが責任のある積極財政かなというふうに考えております。
地方財政と社会保障について一言ずつ申し上げたいと思いますが、まず地方財政ですが、人口減少というのは、これはもうずっと続いておりますし、これからもこれは避けられないことですので、まずこの人口減少を前提として、これまでの行政サービスの在り方とか、あるいはインフラ整備、これにどこまでメスが入る、あるいは今までの発想とか常識、これをいかに脱却できるかということで、この部分についてはそれぞれの自治体というか、首長さんの裁量というか、いわゆる説明力と勇気というのが非常に問われているのではないかなと。もちろん首長さんも選挙がありますし、あるいは横並びで当然比較されますので、なかなか思い切ったことができないということはあるかと思いますが、ある面ではそれぞれの自治体の主体性ということが、これまで以上に期待されるのではないかなというふうに考えています。
それから、社会保障についても全く同じで、特にこれまで無関心で投票にも行かないという若者が、ここに来て、若者の反乱というのですか、選挙に行って自分たちの考え方をはっきりさせると。これはSNSの関係であると思いますが、そうした意味で、やはり世代間の格差、これをもう少し縮小していく方向で、本気になって考えていかなくてはいけないのではないか。先ほどから出ておりますが、応能負担の考え方とか、あるいは公助、共助、自助のバランス、この辺を少し見直していく必要があるのではないかなと。来年度の具体的な予算額に直接これがすぐに利いてくるというのはなかなか難しいと思うのですが、少なくとも来年度の予算の中にそうした考え方をきちんと織り込む、その端緒にしていくということが来年度の予算に求められるのではないかなというふうに考えています。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、河村委員、どうぞお願いします。
〔河村委員〕いろいろ御説明くださりありがとうございます。私からは総論と、それから地方財政のところを中心に、少し意見を言わせていただければというふうに思います。
高市政権になって、責任ある積極財政ということで、先ほども大臣から一丁目一番地のお話もございましたが、やはり先々のところを見据えて、後手に回ることのないように、先手を打って必要なところにきちんと予算をつけて、投資が進むようにして成長につなげるというのは非常に大事なことであるというふうに私も思います。ただ、やはりこの国の置かれている状況のことを考えると、財政運営はなかなか本当に厳しくなってきているところもありますので、同時に併せてかなり注意してやっていかなければいけないところもあるのではないかなというふうに考えております。
今回の総論の資料で、いろいろ御説明くださって、本当におっしゃるとおりなのですが、この国がやはり備えなければいけないのは、先々の有事のことを御説明くださっていますね。もちろん首都直下地震なんていつ来るか分からないわけだしということで、南海トラフだってあるしということで、それももちろんなのですが、地震はいつ来るか分かりませんが、それ以外、それ以上に、やはり財政運営、これだけ借金しながら財政運営回している国なのですから、借金が円滑に回せるということが財政運営をつつがなく続けていく上での絶対条件なのですよね。そこがやはり少し今揺らいできているということに、もっと国全体としてもう少し危機感を持ってやっていかなければいけないのではないかなというふうに思っております。
国債も今年度、カレンダーベースで172兆円弱ですか、171兆8,000億か何かだったと思いますが、出さないと、もう新発債、借換債含めて回っていかないと。それが6月に国債発行計画の変更しなければいけなくなりましたよね。日本、この国だって、そんなこと今までなかったですよね。特に超長期のゾーン中心に、こんな金利水準でこうした財政運営だったら、正直言って引き受け切れない、買い切れませんよという、海外も含めた投資家のそうした声、反応が出てきてしまったと、そうしたことであると思います。
それに対して国債発行計画変更して、短期国債であるとか2年債のところを増額して、それで何とか今年度は乗り切れそうな感じで、こうやって何かあったって国債管理政策で何とかしてくれるから大丈夫であるというような認識が少し国全体に広がってしまっていて、私は少しよくないのではないかなと思っているのですが、短期の国債の発行額を増やすということは、その分、来年度すぐに借換えが来るのですよね。国際金融市場のほうから、これだけ財政が悪い国の国債が、正直言って、特に超長期のゾーン中心に、とてもではないが引き受け切れませんよというサインが出ているのに、ではそうした国として何しなければいけないかといったら、借金の額を減らしていくことをやはり考えなければならないというふうに思います。ですから、今年の国債発行計画の変更で乗り切れたとしても、それは今年乗り切れても、その分、来年度以降、2年後以降のリスクを積み増す形で、要するにその場しのぎで対処していることにしかならないので、やはりそれぐらい危うくなってきているということで、きちんと考えていかなければいけないのではないかなというふうに思います。
ですからその意味で、財政健全化をどういうペースで進めるか、どういう指標を見ながら進めるかというときに、債務残高のGDP比、グロスかネットかと、いろいろ考え方はあると思いますが、それがもちろん低下していくということも財政再建進んでいるということの確認にはなるとは思うのですが、借金の金額が少なくて、もっと財政運営が安定している国だったら、そこが下がっていることで取りあえず大丈夫だねということで、ある程度財政運営の自由度があるかもしれませんが、日本の場合はやはり必ずしもそうではないのではないかなと。先行きの国債発行額できるだけ減らしていけるようにしていかなければいけないという意味では、この資料でもお書きくださっていますが、毎年度の財政運営上の収支のところにもきちんと十分に目を配りながらやっていくということが必要なのではないかなというふうに思います。
その意味では、いろんなところ、必要なところにはやはり、後手に回らないように先手を打って予算をつけてということをやっていくのであれば、同時に、その財源をどう確保するのかということをきちんと考えて、財源だけ先送りということにはならないようにきちんと併せて結論を出して。やはりこの国、生活の大変な方ももちろんたくさんいるのですが、一方で、結構余裕がある方であるとか企業とかもいると思うのです。そうしたところも含めてきちんと、どうやってみんなが公平に負担していって、いたずらに、不用意に国債の発行額増やしてしまうことがないように何とかやっていけるような、そうした方向で考えていくべきなのではないかなというふうに思います。
また、少し資料で気になったのは、16ページであると思うのですが、税収の増加、税収が本当に上がってくれば、税率なんか上げなくても必要な財源は確保できるという考え方が示されることもあって、でも税収が上がって歳出も増えますからということをこの資料で御説明くださっていて、本当にこのとおりであると思うのですが、この議論をするときに、よく私が国全体として忘れがちだなと思うのは、この国、今の段階でプライマリーバランスの均衡も達成できていないのですよね、税収で政策的経費も賄えていないと。歳入と歳出と両方あって、その高さが一緒だったら、税収が増えれば歳出が増えても大丈夫ということは言えると思うのですが、高さが一緒ではないと、歳入より歳出のほうが多いという状況だったら、財政収支の均衡とか財政収支の黒字化とか達成できている国だったらこうしたふうに言ってもいいかもしれませんが、その前の段階で、プライマリーバランスの均衡も達成できていないのに、これから先税収が伸びればということを安易に期待してしまうようなことは、少し戒めないといけないのではないのかなというふうに思っております。
次に、地方財政のところについても意見言わせていただきます。今回、現行の地方財政制度、交付税制度が中心ですが、それを含めて過去どういう問題があったかということを非常に丁寧に御説明くださって、大変よかったと思います。これはやはり今に始まった話ではなくて、要するに地方交付税の不交付団体と交付団体の格差がということですが、もうこれ、平たく言ってしまうと、東京都が独り勝ち状態なのですよね。交付税については都道府県のレベルで見ると、大阪とか愛知だって交付団体ではないですか。府下とか愛知県下なんかには不交付団体になっているところがいくつもありますが、県で見れば交付団体になっていると思うので、やはりこれは今に始まった話ではなくて、前々から、例えば東京都が、財源が結構あるからということで、こどもの医療費助成であるとか、最近は産婦人科関係のことでもいろいろやったりとかもしますし、やはりよその団体ができないような策を東京が講じるのですよね。しかも東京の場合には行政事業、財政需要として、人口が集中しているから、地方自治体の行政需要って人に向けるものと社会資本整備に向けるものに大別されると思いますが、圧倒的に人に中心に東京都が手厚くつけて、そうすると、やはり周りの自治体だってそれに追随したいが、お金がない、そうすると、国に何とかしてくれ、交付税措置の対象にしてくれとかというようなことになってしまうと思うので、やはりこれはある意味で、長らく、お金持ちの子にいろいろ見せびらかされて欲しくなっちゃうこどもの心理と一緒であると思うのですが、国全体としての財政運営を拡張方向に向かわせてしまう要因になってしまったんではないかなというふうに思います。
過去の地方法人課税の偏在是正の取組がなされてきたということが16ページに御説明くださっているのですが、これは過去やったものの、1回やめちゃったりとかそうしたことがあったりして、やはりこの問題を解決していくには、偏在是正のレベルではなくて、もう一歩踏み込んで、国税と地方税の税の配分とかの在り方の見直しも含めて考えていった方が良いのではないかなというふうに思います。法人課税を地方税に充てている国って、世界を見渡すとあまり多くはなくて、ドイツとかはありますが、ドイツは連邦制ですよね。そうしたところも含めて、きちんとやはり税の国と地方への振り分けといったところを考えていくことができれば、それこそ増税しない形で、東京都があまりにも余力があり過ぎて使い過ぎる分ということを是正するという形で財政再建を進めることもできるのではないかなというふうに思います。
あともう少しだけ。交付税の基準財政需要額のつけ方のところも、32ページのあたりですか、人口が減っているのだからもっと減ってしかるべきなのにとおっしゃるのは、本当にそのとおりであると思います。弊社でもこのあたり調べたことあるのですが、総務省がどういうふうに基準財政需要額つけているのか、よく私たちに分かり切らないところもあるのですが、人口が減っている見合いでどうも減っていないと。やはり人口減少を前提として地方の財政運営やっていく上では、この交付税の制度の在り方ということをもっとシンプルにという形で変えていく必要があるのではないかなと思いますし、このあたりは社会保障のところで、診療報酬改定で、いろんな加算がたくさんあるところをもっとシンプルにする形できちんとやはり規律づけをやっていくべきであるということが出ていますが、同じではないかと。これだけ人口減少が進んでいく中での財政運営をどうしていくかということを、やはりそれぞれきちんと考えていくべきであると思います。
すみません。以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、吉川委員、どうぞお願いします。
〔吉川委員〕ありがとうございます。日本経済の現状につきましては、先ほど、総論のポイントですか、一番上の丸に書いてあるとおりであると思います。つまりGDPギャップはプラスの状況、物価はかなり上昇している。こうした状況なのですが、率直に言って、こうした現状において、日本のマクロ経済政策、財政金融政策、かなり奇妙な状況にある。つまり、この状況で積極財政、また日銀の方向はともかく、現在の金融政策の水準ということであれば、これは国際的に見ても、先ほどから言っている現状に照らして、マイナスの実質金利が続いているというような状況なわけですから、率直に言ってかなり奇妙な状況であると言わざるを得ません。
我々のテーマである財政について言えば、財政で、どういう問題に応えるか。大きな問題があることは事実です。物価対策。背景としては、前から言われてきている格差であると思います。物価の問題でも、これも煎じ詰めれば格差の問題ということになるわけですから、これはモアスペンディングで解決すべき問題では私はないと思います。様々な構造、あるいは中身の見直し、そうしたようなことを通して解決していく問題だろうと考えています。その意味で、財政についてはワイズスペンディングということが言われるのですが、これは海外からのインバウンドがこれだけ増えてきて、消費も増えているということ、この背後にあった様々な規制改革というようなことに照らして、私は、政府にはワイズアクションが、これが求められると考えます。ワイズスペンディングの前に、ワイズアクションをまずやるべきであると考えています。
格差の問題がありますが、それに応えるものとして、税もありますが、社会保障、本日テーマになっているかと思いますが、先ほど主計官から詳しい御説明がありました。医療・介護を中心に、ここに書いてあることに私はほとんど全て賛成です。問題は、どれだけスピーディーにこれをやるか。やれないことはないと思うのです。誰でも知っているとおり様々な抵抗があるだろうということは事実ですが、できないことはないので、やると決めればできることだと私は思います。
ワイズアクションの一つとして、社会保障の改革を速やかに進めていただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、土居委員、どうぞお願いします。
〔土居委員〕ありがとうございます。御説明いただきましてありがとうございました。
まず財政総論です。確かに最近は債務残高対GDP比が低下傾向にあるということですが、経済学的に言うと、いわゆるインフレ税で、物価が上がった分だけ名目の債務価値が目減りするという効果が入っているということなので、もろ手を挙げて喜べるというような状況ではないと。やはり資料1の14ページにもありますように、プライマリーバランスの黒字化を通じて債務残高対GDPを引き下げていくという取組は引き続き必要であると思いますし、先ほど片山大臣がおっしゃったように、経済再生と財政健全化の両立ということを成し遂げるためにも、プライマリーバランスの黒字化というのは重要であると思います。特に、今までであると、財政健全化を重んじる政権ということであれば、多少前の年度より補正予算の額が大きくなったからといって、たちまち市場の信認を失うなんていうようなことはなかったかもしれませんが、積極的に財政政策を講じるのであると言っている政権で本当に国債を増発してしまうと、たがが外れたのではないかと勘違いされることも含めて危うい状況になるということを恐れますので、やはり慎重な財政運営を積極財政の名の下でやっていただきたいというふうに思います。
その意味では、戦略的な財政出動ということをおっしゃっておられるわけですから、世代間の格差を拡大するような財政出動はしていただきたくないというふうに思います。特に、今年の政策的経費を今年の税収で賄い切れていないというような状態というのは、まさにプライマリーバランスの赤字という状態であり、かつそれは、そのツケを将来の納税者に回すことになるということですので、そのような形で財政出動を行うということを避けていただき、本当に戦略的な、文字どおり戦略的な財政出動ということを検討していただきたいと思います。
次に地方財政ですが、これまでも何人かの委員がおっしゃっておられるように、東京都が税収増に任せて無駄遣いをしているということは、やはり示しがつかないというふうに思います。それは本来は東京都が襟を正していただくということではあるのですが、なかなか国から東京都に襟を正せとは言えないということではあるかもしれませんが、いろいろなチャネルを通じて、税収増に任せて無駄遣いをしているようなことになっていないかということを、警鐘を鳴らしていただくということは大事かと思います。
それとともに、資料2の33ページにありますが、枠計上経費の見える化というのもやはり必要であると思います。このところ税収が好調なので、地方一般財源総額がどんどん増えていると。もちろんそれを地方交付税などで分配するということなのだろうが、それに見合っただけの地方財政計画上の歳出が立っていないと、お金が余っているというような状況を現出させるということなので、それをカモフラージュとまでは言いませんが、覆い隠すような形で枠計上経費を増やすなんていうようなことはあってはならないと思います。やはり国のプライマリーバランスがまだ赤字という状況ですので、地方財政も収支を改善して、プライマリーバランスの黒字をさらに大きくして、国と地方のプライマリーバランス黒字化に向けて、共に協力していくべきときではないかというふうに思います。
最後に医療についてですが、現役世代の負担軽減というのは、これは当然推し進めていくべきであると思います。そのための社会保障改革というのはますます必要になっていると思います。特に来年度、診療報酬改定がある年ですので、そのときに、確かに医療機関の経営難という現下の問題に直面はしていますが、かといって、押しなべて診療報酬を大幅に引き上げるということになると、現役世代の負担軽減というものが成し遂げられないということになります。ですから、地域医療への貢献度に応じて、診療報酬をメリハリづけするなど、とにかく経営難だから診療報酬を一律に引き上げるというようなことにならないようにしていただきたいと思います。
それから、かかりつけ医機能についてですが、資料にもありましたように、出来高払いから包括払いへと外来医療ももっと進めていただくということは必要であると思いますし、さらには、資料3の28ページにもありますが、かかりつけ医機能報告制度が今年度から始まって、できるだけ多くの医療機関がこの報告をできるようにしようということで、かなり甘めの報告事項になっていて、これで報告できないという医療機関はまずないんだろうというふうには思ってはいるものの、必ずしも全ての医療機関がこれを報告するというわけではないと。そうなりますと、ハードルを低くしておきながら、1号機能すら満たさないような医療機関があるということであれば、これはまさに資料に書いてあるとおり、当然ながら、初診料、再診料を減算するというようなことをもうすぐに来年度から実施していただきたいというふうに思います。
最後に、OTC類似薬について一言だけ申し上げますと、これはできるだけ一物二価という状態をやめるということに尽きるというふうに思います。薬局に行けば全額自己負担、医師の処方箋なしに薬局に行くと全額自己負担だが、病院に行くと7割引きとか9割引きになってしまうという、そうしたような状況をできるだけなくすためには、保険でOTC類似薬をどういうふうな形で見るかというところについては積極的に見直しをする必要があると思います。もちろんがん患者の方とか難病の方がOTC類似薬を処方されるという場合にはそれなりの配慮をするということは、病名をもとにレセプトで対応するなり、DPCで対応するなりでできることですので、そうでない方には応分の負担をしっかりしていただくということ、メリハリづけをすることで、OTC類似薬の自己負担の見直しを進めていただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、中空委員、お願いします。
〔中空委員〕ありがとうございます。今、日本の経済状態は確かにいろいろなことが変わってきていると思います。株価は上がっているし、それだけでも景色が随分変わったなというふうに感じます。今、土居先生から御説明もありましたが、結局、rとgの関係からプライマリーバランスは若干でもよい方向に行くというのも分かっていて、これはいわゆる、"日本はボーナス期にある"と言えるということだと思います。だからこそ考えておかなければならないことがいっぱいあると思っており、4点述べさせていただきます。1点目に補正の在り方です。政治の流れや政権がどうであれ、財政制度等審議会ではやはり補正がバンバン打たれることに対して一言言っていくべきであるというふうに思います。しかも、目下の金融市場では補正予算の規模が20兆まで行くのではないかという話がバーッと出てきていて、それ自体も憂うのですが、補正自体が本当はあるべきではないと思いますので、その本来の"べき論"についても主張していければと考えます。
積極財政というのは放漫財政ではないでしょうし、健全化を目指すとしても、緊縮財政を目指してはいないということであります。補正予算の在り方については文句を言っていく、これが一つ大事であると思います。
2点目としては、データの必要性です。これは小林先生や平野さんがおっしゃっていましたガバメントデータハブの重要性のことです。高市総理が給付付き税額控除の話をされていますが、それをやるのであれば、データがないと、なんちゃって給付付き税額控除になってしまいかねないので、やはりデータが必要である。医療の問題にしても、どこの医療機関の経営状況が大変なのかということも、データなくしては、やはりきちんと見えていかないので、ガバメントデータハブをそろそろつくる必要があります。いつかつくらなきゃじゃなくて、政権の支持率が高い今こそ、着手して作り始めることが大事であると思います。これはスタートできればいいなというふうに思います。
3点目は、競争力の観点も必要であろうということです。特に医療などでは言えるのですが、ドラッグラグとかドラッグロスの観点から、日本で医療の開発がもうできなくなってきているということを聞くと、医療をどうコンシステントに維持していくのかも重要なのですが、同時にイノベーションを働かせることが重要だし、そのためのインセンティブづけが少し足りないのではないかと思います。こうした観点を入れていくことが、重要であると思っています。
最後4点目ですが、日本のグランドデザインという観点が、どうしても個別の話を見ると消えていきがちであるということです。上村先生も土居先生もおっしゃった、東京都のお金の使い方は少しおかし過ぎる、というのは私もそうであると思っています。しかし、その一方で、実質人口が減っていくとなると、今の現状の地方を全てサステーナブルに維持するというのはなかなか難しいと思ってもおります。なので、メリハリを利かせて、例えばここは経済特区で盛り返すといったグランドデザインをそろそろ考えるべきです。何かここが問題だから、じゃあ、そこにとりあえずの対症療法、ここが問題だから、またとりあえずの対症療法ということでは、対応仕切れない、難しくなっているのではないでしょうか。グランドデザインという全体像を見ながら、地方財政というのも見据えていく必要があるのではないかというふうに思います。こんなことを財政制度等審議会で話せたらいいなと考えます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、権丈委員、どうぞお願いします。
〔権丈委員〕どうもありがとうございます。まずは充実した資料の御準備、誠にありがとうございます。私からは、社会保障についていくつかコメントさせていただきます。
今回は、医療分野を対象に、経済物価動向への対応と保険料負担の抑制努力を両立させるモデルを提示することが求められております。財審としても、限られた財政支出に濃淡、メリハリをつけ、重点配分を行うことが不可欠な局面にあります。日本の医療政策では、長くニーズに見合った提供体制への転換が課題とされてきましたが、実際には十分に進まず、その遅れが医療を取り巻く現在の状況を招いている面もございます。
15ページには、政策的対応の余地があったにもかかわらず、適切な対策が十分に講じられてこなかったとありますが、そのとおりであると思います。これまで財審の資料や建議の中では、日本の医療の特徴として、国民皆保険、フリーアクセス、自由開業医制、出来高払いという四つの柱が挙げられてきました。資料15ページには、「誇るべき国民皆保険を堅持するため」とあるのですが、高齢化や人口減少等による医療ニーズの質と量の変化を考えると、国民皆保険を守るためには、他の三つ、フリーアクセス、自由開業医制、出来高払いの見直しは避けられなかったはずです。私もこの財審においてその必要性をこれまで何度か申し上げてきました。今回、そうした課題に正面から向き合う姿勢が各所に記されており、そのスタンスを支持したいと思います。
今回の資料のうち、25ページに示された内容は非常に示唆的です。かかりつけ医機能の制度整備のような改革は、年金改革と同様に、長期的な時間軸を持って段階的に実施していく必要があります。今年の年金改革でも約20年をかけて遺族年金の見直しを進めることが決まりましたが、かかりつけ医機能の整備も、大学教育の変革を含めて、長期的に進めていくことが求められます。
25ページに示されているように、現在を過渡期と位置づけ、継続的な改革プロセスとして設計していく視点が重要で、全人的ケアの在り方についてまとめられた27ページの改革の方向性は、既に厳しい高齢化と人口減少に直面している問題先進地域から強く求められている改革でもありますので、速やかに実施してもらいたいと思います。
高齢者医療の自己負担率引上げは、2022年10月の施行から今年9月の経過措置終了をもって、制度的には一区切りを迎えました。しかし、自己負担率が年齢や所得により異なっており、依然として過渡期にあります。社会保障研究の領域では、社会保険における能力に応じた負担、必要に応じた給付の原則の下、給付段階では所得を考慮しないことが望ましいという経験的知見がございます。医療を受ける際に、自己負担率から所得水準が推測されるような設計は、社会的連帯の理念を損ないかねませんし、中高所得者を含め、必要なときには等しく便益を共有できるからこそ、社会保険は国民的な助け合いの制度であると、中高所得者にも受け止めてもらえるのであると思います。国民負担率は象徴的な論点になりやすいものの、医療保険制度で重要なのは高額療養費制度であり、52ページに示された、年齢や所得にかかわらず自己負担率を統一する方向は望ましい目標です。
医療経済の分野では、分配政策の形成においては、支払側がより強い影響力を持つため、医療制度は最終的に国民の支払能力の範囲内で形成されていくという内生的医療制度論の考え方がございます。日本の医療のあるべき姿を長期的な視点から考える会議と、数か月後、翌年の改革を実践的に検討する会議とが、残念ながらこれまでばらばらに存在し、時に緊張関係を生じながら並立してきました。しかし、内生的医療制度論は、財審がその橋渡し役、そして、司令塔としての役割を果たすことになることを予測させることになります。これからの、次回の建議がその契機になることを期待したいと思います。
以上でございます。ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕続きまして、櫻井委員、お願いします。
〔櫻井委員〕ありがとうございます。資料の準備、御説明いただき、ありがとうございます。私からは2点申し上げます。
1点目が、現役世代は、先ほど皆様からお話あるように、上の世代を支えながら、自身の将来の資金を準備するという二重の負担を抱えて、今、過ごしているかなというふうに思います。私も若い世代といろいろな地域で話す中で、若い世代を中心に、将来、自分たちには恩恵はないのではというような不信感ですとか不安感が非常に高まっていて、それは制度ですとか国への信頼低下に直結しているなというふうに感じております。
こうした状況を踏まえて、高齢者と国民全体で能力に応じた負担を分かち合う仕組みづくりが必要であると思います。現役世代の社会保険料負担の増加を抑制し、やはり特に若い世代の賃金水準を引き上げることが必要かと思います。若い世代の賃上げは、結婚や出産以前の段階で生活が成り立ち、心と時間の余裕がある社会をつくるための前提条件ですし、こうしたことは少子化の緩和にも直結すると思います。
国は、2030年までが少子化傾向の反転ができるかどうかのラストチャンスというふうに言っておりまして、あと5年なのですが、本当にお考えなのであれば、若い世代の負担、不安をこれ以上増やさないということを徹底すべきであると思います。現役世代、そして、将来世代に目を向けた取組を一層強化していただけたらなと思っております。
もう1点が、春にも申し上げて、ここで議論することかどうかというのが分からない中で申し上げるのですが、資料の中に、女性ですとか高齢者の労働参加は上昇傾向にあり、その波は限界に近づいていると御指摘されておりましたが、労働供給を望み、働くことができる人口は約540万人、うち女性は290万人と言われており、こうした方々が働きやすい環境を整えることにより、更なる雇用の拡大の余地があると思います。
M字カーブは緩やかになったものの、依然として女性の年齢上昇に伴い、正規から非正規へ移行する傾向が見られます。働きたい女性や高齢者がその意欲を十分に発揮できる社会を実現するためには、第3号被保険者の見直し、年収の壁の解消が必要です。こうした制度改革によって働き方に中立な仕組みを整え、収入、働く時間に制約されず、就労できる環境づくりが求められます。
また、不本意非正規や女性の就労、就業形態に見られるL字カーブの是正を進めることで、労働投入量の拡大とともに経済成長への寄与も期待できると思います。これは単なる人手不足の対応にとどまらず、世帯の生涯可処分所得を高め、生活の安定につなげられる観点からも重要であると思っております。年収の壁ですとか、また、ミスマッチを防ぐためのマッチング支援、リスキリング、多様な柔軟な働き方の推進も一層進めていく必要があるかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、堀委員、お願いします。
〔堀委員〕充実した資料を準備いただきありがとうございました。医療介護、社会保障に関して、少しだけお話しさせていただければと思います。今後の人口動態を踏まえますと、現役世代の保険料負担を抑制する努力を継続するということは非常に重要であると思いますし、ただ、一方で高齢化が進み、医療の高度化や医療介護の需要増加が進んでいます。かつ、医療介護人材が現場で不足感があるという中で、これらを実現するのは非常に難しく、重要な課題ですが、難しいチャレンジであると思います。それを実現するには、当然ながら経済成長によるパイの拡大というものも重要であると思いますし、同時に、社会保障のところで従来路線の対症療法的な改革だけではなく、国民的な合意と理解に基づいた、より中長期的未来を見据えた大きな、医療介護だけではなく、社会保障制度全体の構造改革、公平な負担の徹底であるとか、応能負担のところもそうですが、必要ではないかなというふうに思います。
診療報酬の改定についてですが、医療機関の経営状況を踏まえて物価対応するということを理解はいたします。ただ、土居さんがおっしゃったように、全てに一律というのはやはり難しいと思います。なぜかというと、保険料負担、診療報酬、医療費支払いは相互に影響し合いますし、トライアングル構造のようなものですので、いずれかを引き上げればほかにしわ寄せが生じると。だからこそ改革を進めるには国民の理解と納得が必要と思いますが、いずれにしても、現状では財源に限りがあることは明白ですので、あれもこれもではなくて、何により優先的に公費を投入していくのかを見極める必要があると思います。今回、悉皆調査に基づくデータを集められたということですが、非常に甚大な労力をかけられたことに敬意を表します。エビデンスに基づく、あるいはデータに基づく政策決定を進めていくという意味でも、ほかの調査等もあるかと思いますが、比較をしながら進めていただければと思います。病院と診療所で分けて考えるという、また、機能を見て分けるというのはとても良いことであると思います。
そもそも日本では、一次医療、プライマリーケアとセカンダリー以上の医療機能分化が進んでいません。だからこそ地域医療構想などの施策が求められているわけですが、地域によって供給体制に差があることも明らかなわけですので、こうした実情も踏まえた上で、かかりつけ医機能を持つ医療機関をどう重点的に支援していくのか、その評価をどうしていくのかというのを検討していくというのはとても重要であると思います。今回の課題にはあまり入っていませんでしたが、地域医療構想とともに進めていただければと思います。
また、診療報酬による物価対応を、これは一時的なのか、恒常的なのかで随分違うと思うのですが、仮に恒常的なことをというふうになると、地域性をどうするのかというところが将来的な課題になるのではないかなというふうに思います。一時的な場合は、今回の検討されている内容で十分かと思います。
また、給付範囲の見直しと自己負担の在り方については、OTC類似薬等を含むものかと思いますが、これは一次医療における外来処方薬の在り方にも通じるのではないかと。一次医療と二次医療で医薬品の負担の在り方が同様になっていますが、日本がガラパゴス的になっています。一般的には外来のものと、病院における二次医療のものは分かれていることが当然かなというふうに思いますので、これは高額療養費の在り方にもつながる話かもしれませんが、何をより重点的なリスクと考えるのか、何をそうでないのかというところを、慎重な検討は必要であると思いますが、保険外併用療養費等の在り方も含めて検討していく必要があるかなと思います。
また、先ほどドラッグラグ、ドラッグロスの議論もされましたが、経済成長を牽引していくような産業構造に転換していくことも重要ですし、また、経済安全保障という面でも重要であると思っております。ただ、イノベーションの恩恵を受けられないことがないように、保険の在り方と経済成長の在り方をどういうふうにバランスを取っていくのかというところは、今後も引き続き検討が重要かと思います。
それから、持続可能な産業にしていくために、少ない人員でも質を維持できるというお話が先ほどからございました。DXもそのためのツールの一つなのではないかと思いますが、なかなか社会実装できていない現状があるかと思います。市民、国民が本当にDXの実装の恩恵を受けられる、マイナンバーカードもそうですが、得られるように環境を整えていくと同時に、教育面でも人材養成が必要なのではないかなと思います。
最後に、最初のお話の繰り返しになるのですが、制度構造改革を行うならば、社会保障の中でも医療だけ、介護だけではなく、例えば後期高齢者医療制度と前期高齢者医療制度、介護保険制度、障害者総合支援制度、生活保護の医療扶助など、複数制度にまたがる構造改革ができる余地があるのではないかなというふうに思っています。また、医療保険だけでも被用者保険と国民健康保険の保険料の設定の在り方であるとか、今回議論することではないかもしれませんが、全体的な視点から公平性の確保というのは中長期的には検討していくべきではないかと思っております。
以上です。ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕続きまして、神子田委員、どうぞお願いします。
〔神子田委員〕御説明をありがとうございました。高市総理大臣が責任ある積極財政ということを掲げていまして、これは必要な政策を遂行するのに一時的な財政悪化もいとわないということであると思うのですが、実際に歳入減少、あるいは歳出拡大要因、ガソリン暫定税率廃止とか、また、防衛費拡大の前倒しとか、どうしても財政を悪化する方向に向かうのですが、一方で、将来に対する責任ということで言えば、やはり過度な借金を増やさないということが大事ですので、一つは予算の効率化も大事なのですが、それだけでは賄えない部分というのは、やはり税収を増やしていくということが大事、そのための予算づくりも大事と。ただ、そのときにやはり的を絞った、当たるも八卦当たらぬも八卦じゃなくて、これは必ず実を結ぶようなところに絞って予算を充てていってほしいと思います。
片山財務大臣の就任会見のときに印象に残ったのは、十分な予算にすると。今までとにかく規模をという、初めに規模ありきだったのが、十分なというところに少し含蓄があるかなと思ったのですが、一つは政策を遂行するのに十分な規模を確保するということと、もう一つは十分以上の過度な歳出はしないということも含まれているのではないかというふうに私は捉えております。そこで、どこまでが十分かと。無制限に予算は出せないわけですから、その辺の見極めも、これまで以上に踏み込んだ判断をしていただきたいなと思います。
最近、純債務残高対GDPという概念が出てきて、片山大臣もいろいろな手法を見ていくことが大事ということなのですが、この指標、分子が小さくなるので、数字が小さくなるのは当たり前なのですが、これに関しても、やはり歴年の30年ぐらいの推移を見て、現在の姿を客観的に把握するということが大事であると思います。
それから、社会保障についてなのですが、今、とにかく世の中が求めているのは現役世代の負担の比率を減らすというか、社会保険料を下げるために、医療など社会保障費の歳出を抑えるというのは御説明のとおりであると思うのですが、そのために高齢者の負担を増やして、現役高齢者の負担比率を変えるとか、応能負担ということも大事であると思うのですが、一つは、高齢者を現役世代に変えていくという努力も、負担する側に回ってもらう。そのための制度設計とか、企業の定年延長とかそうした仕組みも考えたらいいと思いますし、また、応能負担でよく資産の把握と、もう何年も前から言われているのですが、なかなか実現しないのですが、私は結構、現役を引退する前の10年、20年の所得というのは把握されているわけなので、だから、そこをベースに、何かより多くの負担を求めるということもありかなと。これをいきなり言われても、いや、もう使っちゃったよという人はいるかもしれないのですが、ここは10年たったらそうしますとか、給与所得にも、影の負担みたいに、ちゃんと括弧書きで書いて、あなた、将来このぐらいの負担になりますとか、そうした負担も意識させるということも大事かなというのを思いました。
それと、かかりつけ医に関しては、やはり何かきちんとした、自分の体を知っているお医者さんにいつも見てもらうというのは、医療の質の向上にもつながると思うのですが、これがどうやって予算の効率化につながるかというのをもう少し分かりやすく説明していただけるといいかなと思いました。
それとOTCとかも、国の負担というか、何というかな、政府の歳出は減るのですが、国民の一々払うお金が増えるというところがあって、なかなかこれが、負担が増えるというのがやはり目の前のお財布から出てくるのが増えるというところで、何かそこに対してもう少しインセンティブがないと、広く国民の理解を得られないのではないかなというのを思いました。
私、最近思うのは、やはりインフレが進んだおかげで、今までは年収幾らだったら生活にも困らないだろうというレベルが何か上がっているのではないかなというふうに思っていて、これから経済が成長していくと格差も拡大して、何か日本がこうした社会になってほしくないなと思うのは、絶望を抱える人が増えない社会にしてほしいなと思って。そうした意味で、歳出削減のために負担を求めていくというのは大事であると思うのですが、この負担がある程度の所得水準の人にとって過度な負担にならないか。もう何かこれから生活が苦しくて絶望してしまうようなことにならないか、これからそうした目配りもしていってほしいなというふうに思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、秋池委員、お願いします。
〔秋池委員〕総論に関わるところで3点申し上げたく思います。
一つは、企業の経営を見ておりますと、資材の高騰が業績を大きく圧迫するところがございます。ただ、そうした中で、大企業のみならず、中堅中小企業も何とか人材への配分を賃上げで増やしていこうというふうにしているわけですが、様々な調査を拝見しますと、なかなか生活の実感というところですごくよくなったという感じがないのは、やはり社会保険料が増えていくというところもございますし、バランスの取れた円の水準というのも必要なのではないかというふうに考えております。そうしたところもまた議論が深められればよいのかと思います。
次に、インフラの修繕ということが昨年、今年、脚光を浴びています。人口分布に合わせてある程度の選択をしながら、同じものをそのまま復元するというのではないにしても、劇的に減らせるわけでもないというところもございまして、こうしたところをどうしていくのか。また、災害も激甚化しているというところもございまして、ちゅうちょなく災害対応ができるというような財政のありようというものもさらに深めていけたらいいなと思います。人口分布に係るところとして税増収に任せた対個人サービスの拡充が東京一極集中を呼ぶということについてです。これは何らかの歯止めというものが議論できたらいいと思います。
最後に、日本のグランドデザインですが、中空委員もおっしゃいましたが、課題があるからそれにパッチを充てるということではなくて、何かをするとまた別のところで不具合が起こるということもございますので、全体を見回した国のありようを省庁を挙げて考えていけるといいのかと思います。
参考資料の1ページを拝見しますと、アンケートの結果ですが、左側ですが、国民は、財政赤字、大変な問題であるというふうに、経済学者の皆様と同じくらいの比率で考えていて、赤字の原因は何ですかというのは、高い公務員の人件費というような、やや誤解もないわけではないのですが、やはり財政赤字が問題であるということに対して受け止める素地はできつつあるのではないかとも思います。グランドデザインの中には、財政というのは当然入ってくるわけですので、そうした議論も今後、中長期に深めていけると良いと思っております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、木村委員、お願いします。
〔木村委員〕御説明ありがとうございました。私のほうから、財政総論と、また、各論について簡単に申し上げたいと思います。財政総論、おっしゃられていることはおおむね賛成ですが、やや気になったのは、この財政健全化をめぐる表現が、春の財審から若干弱くなったのではないかなという気がします。具体的には、例えば春の建議では、プライマリーバランスの目標に関して、2025年度から翌26年度にかけて、可能な限り早期のプライマリーバランス黒字化を目指すというふうに表明していましたし、債務残高GDP比の引下げについても2030年度までに、コロナ禍前の水準ということを明確に打ち出されておりました。
今回の総論の資料でも今年の骨太の方針に転載した記述があって、これをもって代えるということなのかもしれませんが、やはり今回の資料では、財政総論のポイントにもここの部分がはっきり書かれていないように、やはり具体的な時期とか水準を明確に書かれていないと、やはり健全化の機運が低下してしまわないかというふうに少し危惧しております。
政権が変わった影響があるのかもしれませんが、どの政権になっても、先進国で最悪の借金財政を立て直す必要性は変わらないはずなので、その重要性を財審として強調する姿勢は維持していかなければならないのではないかなという気はします。総理は強い経済を掲げておられます。強い経済の中には、もちろん日本の技術力を生かして、国際競争力を高めて、経済を成長させて、税収を増やして財政を健全化するという、そうした意味であると受け止めていて、それは非常に大事なことであると思いますが、同時に、資料にもありますし、各委員おっしゃいましたが、財政余力を確保して、将来の有事に万全の備えをして、さらに、なおかつ金融市場の信認を確保する、これもまた強い経済に欠かせない要素であると思いますので、その点を十分に踏まえて、秋の財審として議論すること、これから議論していくことが大事であると思います。以上が財政総論に関してです。
また、社会保障に関しては、今年、2年に一度の診療報酬改定の年で、とりわけ今年は、資料にもありますように、日本経済の新しいステージへの移行が明確になる中で、最初の診療報酬改定であり、今後の道しるべとなる大変重要なものと位置づけられて、これ、まさに、おっしゃるとおりであると思います。
具体的には、経済物価動向への対応と保険料負担の抑制努力を両立させるモデルを示すということですが、これも大来主計官がおっしゃられるように、バッティングするような内容で、極めて大変なことであると思います。両立させる鍵として、やはり、この資料の17ページにも示されましたように、医療分野の各セクターの経営状況に基づいて、大胆なメリハリのある対応が必要であると思います。具体的には、赤字が多い病院に対しては一定の配分が必要かもしれませんが、過去から高い利益率を維持してきた診療所とか調剤薬局には、相応の適正化が求められると思います。このメリハリのある対応というのは今後の道しるべとなるものであると思いますので、是非、目に見える形で実現していただきたいと思います。
前回、2年前の診療報酬改定のときは、たしか財審として、診療報酬本体のマイナス改定というのを求めたと思います。今回、経済とか物価動向への対応ということもあって、なかなかマイナスまでには踏み込めないのかもしれませんが、その分、報酬の伸びを抑制する力がそがれるおそれがあるのではないかなということも気になっておりまして、そうしたことがないように、メリハリのある対応というのに取り組んでいただきたいと思っております。
最後、地方財政、簡単に。資料にも、御紹介いただけた税収増加などを背景に改善傾向がはっきりしているので、こうしたことは地域の財政力の格差の拡大、それが東京といろいろな周辺自治体の格差にもつながりますし、東京一極集中を加速させる要因にもなりますので、地方財源の偏在是正には是非取り組んでいただきたいと思うのと、同時に、若干離れるかもしれませんが、政権として、自治体向けの交付金の拡充に関して、これは物価高対策として検討されているようで、確かに財政力の弱い自治体には、ある程度、こうした交付金の拡充は必要なのかもしれませんが、地財の改善という状況を踏まえると、中規模以上の自治体に対してはどこまで必要なのか、バラマキと言われないような工夫を凝らしていただきたいと思っております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、佐藤委員、お願いします。
〔佐藤委員〕よろしくお願いします。各テーマについて、簡単にコメントさせていただきます。
最初に、財政総論について2点ほど。高市政権が掲げる積極財政というと、どうしてもアベノミクスの第2の矢であった機動的財政出動を想起させるのですが、御案内のとおり、今の経済の現状はデフレではなくインフレでありまして、やはり、デフレとインフレでは財政の処方箋が全く違うと思います。デフレであれば、確かに需要喚起というのは優先事項になりますが、インフレ期においては、むしろ生産力の拡充ということです。既に片山大臣もおっしゃっていましたが、成長戦略というのが必要になってくるわけです。具体的には、やはり、中長期にきちんと成長につながる分野に重点的に予算を配分する。一方、優先度の低い分野については支出を抑えるといった、メリハリが必要です。やはり、優先順位をつけるというのはワイズスペンディングにつながるものかと思います。
また、成果を進捗管理するように、以前、半導体事業に対する支援でもあったと思いますが、サンクコストの罠に陥らないよう、きちんと進捗管理をするということと、最終的には、やはり民間主導の経済成長に資するということが肝要かと思います。どうしてもこの国は、入り口は成長と言いながら、出口は結局、既存産業の保護というのがよくあることですが、これは強い経済にならないかと思います。
また、少し余談になるのですが、先日、公会計の学科に招かれたのですが、ある自治体で、バランスシートの中の負債をどう説明していたかというと、端的に、これは将来の税金ですと言って説明していたというのが紹介されていました。どうも昨今、国債は国民の資産であるという風潮もあるのですが、その償還財源は明らかに将来の税金ですので、国債というのは将来の税金なのであるということ、これを改めて確認する必要があるかと思います。
地方財政については、既に何人かの委員から御指摘があったとおり、やはり偏在是正というのは求められるのですが、やはりその背景にあるのは、今の法人二税の分割基準ですね。物による分割、つまり、従業員と事業所による分割になっています。しかし、御案内のとおり、もちろん今はビジネスモデルが変わっておりますので、人や物がなくても経済活動が行われるようなっておりますので、例えば売上げに着目した分割基準に変更するなど、いわゆる法人二税の分割基準の適正化というのが求められると思います。
それから、どうしても東京にお金が集まってきてしまうという現象はいかんともし難いのですが、他方、東京は、逆に近隣の県から労働者を募っているわけですよね。皆様、近隣の県から東京に通勤しているわけです。であれば、もう少し広域行政という観点から、例えば埼玉や千葉、神奈川でもいいですが、ああいったところのインフラ整備に、むしろ東京の財源を使うというのは決して悪いアイデアではない。なぜかというと、近隣の経済活動が活性化すれば、また、通勤が便利になれば、それは東京の経済にも資するわけですので、ウィン・ウィンなると思います。関西には関西広域連合ってあるのですが、関東はお互い仲が悪いせいか、ないということがありますが、そうした広域連合の仕組みがあれば、東京都の財源を使った関東経済と首都圏経済の活性化というのは可能になるのかなと思いました。
それから、診療報酬、社会保障についてですが、まず端的に、診療報酬の改定に当たって、従業員の処遇改善という話がよく出ますが、であれば、本来、報酬というのは人件費の部分、人件費以外の経常経費、それから、資本コストと分けるべきなのですね。海外はたしか、やはり経常経費と資本コストは分けて報酬を払うという仕組みがありますが、日本はこれを丼勘定にしてしまっているので、結局、ターゲットがうまく絞れていないということがありますので、このあたり、もちろん出来高払いを包括化していくとか、アウトカム評価を入れていくとか、そうしたやり方もあるのですが、少しその辺、経費の区分管理というのがあってもいいのかなと思います。
それから、これも御案内のとおり、社会保険料というのは現役世代にとって一番重い負担になるのですが、また、やはり、不公平なのですよね。金融所得がカバーされていない、副業が入っていないとか、こうしたことがありますので、ある意味、これどうするかというときに、やはり一つは租税化であると思います。社会保険料をある種租税化すれば、その中には、副業の収入も入ってきますし、金融所得も入ってくる、金融所得はもちろん、公的年金も入ってきます。つまり、高齢者に対しても、能力に応じて応分の負担を求めることができるということになります。一つこれ、制度的には分立してしまっているので、どうしても保険料を下げると簡単に言うのですが、各制度が分立してしまっているので、実際は制度的にはなかなか難しいのですよね。それを一本化させるという観点からも、社会保険料の租税化というのは検討課題かと思いました。
それから最後に、給付付き税額控除について、これは経済学者の間でも非常にコンセンサスはあるのですが、最初の一歩をどうするかというところで、さっき、ガバメントデータハブの御紹介がありましたが、今ないのですよね。なので、これを整備する間は何もしないというわけにもいきませんので、さて、最初の一歩をどうしようかと。今、所得情報を持っているのは自治体です。前年所得しかないのですが、これを使って、では、給付付き税額控除を構築していくか。その場合、給付の窓口は自治体ということになると思います。もちろん年末調整というのもあるのですが、これであるとフリーランスの方々が対象にならないということと、もちろん年末調整するのは企業ですから、企業の負担が高まるという問題もありますので、さて、これ、最初の一歩をどうしようかということは真面目に考えた方が良いと思います。その上で、ガバメントデータハブの構築、所得情報の共有、それから、何よりも源泉徴収をきちんと、より精緻化させないと所得情報は伝わらないので、こうしたところを進めていくということ、例えば、仮に向こう5年間と定めて、工程表を定めて、実効性を高めていくような形で、制度構築を徐々に進めていくということがあっていいと思います。これまで、学者の理論だったのですが、ここに来て急に出てきてしまったものですから、これ、どうしようかというときに、最終形は見えているのですが、最初の一歩が分からないということになりますので、この最初の一歩をどうするか、真面目に考えた方が良いと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、小林充佳委員、どうぞ。
〔小林(充)委員〕NTT西日本の小林でございます。
本日は、私が今、副会長を務めております関西経済連合会において、先月10月30日に公表させていただきました税財政と社会保障に関する提言というのがございまして、その内容を中心に、お話をさせていただきたいと思います。
まず、財政運営全般についてでございますが、現在、先ほど来お話がございますように、新政府では、責任ある積極財政の下、戦略的な財政出動の方針を打ち出されております。こうした中で、我々企業、産業界といたしましても、引き続き、生産性の向上やイノベーションの創出、そして、これらを支える人的資本の強化を推進して、強い経済の実現に寄与してまいりたいと思っております。
その上で申し上げますが、政府による戦略的な投資の推進、これは本当に、当然必要であると思いますし、重要ではあるのですが、我が国の財政に対する市場からの信認を今後も維持するという観点からも、プライマリーバランスをはじめ、財政指標もしっかりにらみながら、財政規律を強く意識した財政運営を進めていくということが本当に重要な時期ではないかなと思います。
先ほど、木村委員からもございましたが、春の建議では定量的な目標を示して、それに向けて行動を起こしていこうではないかというような内容だったのではないかなと思いますが、はっきり申し上げまして、今回の資料を読ませていただく限り、多少トーンダウンしているのかなと思います。冒頭、小林委員からもございましたが、財政規律と経済成長というのは本当に両輪で、うまくバランスをとりながらやっていくということが本当に必要であると思いますので、財政規律の面についても、明記しながら進めていくということが必要ではないかなと思います。
そこでですが、まず、新たな戦略投資や財政措置を行う場合に、同時に財源を決めておく、ペイアズユーゴーの徹底というのが本当に重要ではないかなと思います。現在、いろいろなところで、「財源をどうしようか」、あるいは「こうしたものが財源になるのではないか」というようなお話は出てきつつありますが、このペイアズユーゴーというようなものをしっかり根底に置きながら進めていくということが必要ではないかなと思います。
くわえて、健全な財政構造の構築に当たっては、国民の理解というものが本当に必要ではないかなと思います。今もいろいろやられているところはあるのですが、教育機会の創出とか多面的な情報発信、これをさらに強化をしていく必要があるのではないかなと思います。
それからもう一つ、財政運営や予算編成の信頼性とか、あるいは透明性を高めるという意味合いで、独立財政機関の設置、これは本当に重要ではないかなと思います。春の建議で、私をはじめ複数の委員の方からこうした御意見があったのですが、残念ながら本日は私一人になっておりますが、他国の状況も鑑みながら独立財政機関というのをしっかり設置していくというのが、この時期においては非常に重要ではないかなと思いますし、先ほど申し上げました国民の理解を高めるという意味合いでも、客観的な立場でそのデータを共有できる独立財政機関というのが本当に非常に重要ではないかなと思います。
2点目は地方財政についてなのですが、委員からございますように、いろいろな課題があり、これを解決するためには、格差是正と運営の広域化というものが必要であるということでございます。私から広域化の話をさせていただきたいのですが、先ほど、図らずも佐藤委員から関西広域連合の話をいただきました。これは今年の12月に設立15周年を迎えます。大阪、京都をはじめとした2府6県と政令市4市が集まって、いろいろな地方行政に関する施策を進めていこうということです。もちろん成果も上がりつつあるのですが、最後、やはり壁になりますのは、組織、権限あるいは人、それから先立つ予算、財政、こうしたようなものがネックになってまいります。
前政権では、地方創生2.0に基づいて、広域リージョン連携というものを進めようではないかということを言われておりまして、実は、間がいいのか悪いのか分からないですが、我々関西の産官、場合によっては学の方も入っていただいて、例えば観光や防災、人材育成、こうしたようなものについて、広域にもっと進めていこうではないかというようなことを言っているところでございます。それを宣言として、各エリアで出していこうとしております。九州や中国、東北でも、そうしたような宣言が次々に出てきているのですが、実はこの内容はまだ、先ほど申し上げました権限や財政、予算、人、組織などに基づいていない。要するに、プロジェクト的にこんなことをやってみましょうというような話にとどまっております。ただ、いいプロジェクトや施策については、国が補助金を出しますという、そうした構図なのですよね。ですから、予算が切れたときに、これが続くのかどうかというような議論を、みんな心配しながら、乗り遅れてはいかんということで、いろいろな議論を進めているところなのですが、是非、広域化というのは非常に重要であると思います。特にローカルというか地方では、これを進める上では、やはり権限や人、組織、財政というような裏づけをしっかりつくっていくということが必要であると思いますので、場合によっては、法律的な見直しや担保というようなことが必要になるのではないかなと思いますので、是非、こうしたようなことも含めて御検討いただければなと思います。
それから最後に、医療を含む社会保障でございます。資料を読ませていただきまして、本当に全般的に課題や対応、非常によく抽出されて、的を射た内容になっているのではないかなと思います。現在、政府では、社会保障に関して、与野党一体となって、国民会議を立ち上げて議論するのであるという話になっております。私も個人的にこれには大変期待をしているところでございますが、まずは、当分科会で春に議論いたしました医療・介護の理想像と、それから現状のギャップ、これを是非この国民会議の中でも御披露いただくとともに、今回の資料の中にありますもろもろの課題あるいは施策について議論をしていただいて、広い意味での将来に向けたグランドデザインをつくっていければなと思っております。
これらの社会保障改革に当たっては、やはり国民の納得感というのが必要であると思いますので、言わずもがなかと思いますが、給付と負担の在り方というのは非常に重要になっております。その中で、中長期的な観点で言うと、やはり現役世代の負担を縮小していくという意味合いでも、医療や介護の給付費というのは、これからの年齢構成とか、いろいろなことを考えると、拡大していく可能性が非常に高いものでございますが、これの上限を何か決めながら、その範囲内で改革を進めていくのであるというような、例えば、年金制度におけるマクロ経済スライドのような考え方というのを医療の分野においても取り入れていく必要があるのではないかなと思います。先般、新聞で小黒先生がGDPの範囲内にこれを抑えていくということが一考ではないかというような話もございましたので、そこら辺も参考にしながら、議論をさせていただければなと思います。
私からは以上でございます。
〔増田分科会長代理〕続いて熊谷委員からどうぞ。
〔熊谷委員〕ありがとうございます。総論と社会保障についてコメントさせていただきます。
まず、最初に強調させていただきたいのは、我が国は、決して緊縮財政をとってきたわけではないという点です。すなわち、過去20年間の推移を見ますと、2024年度の名目GDPが1.16倍になったのに対して、一般歳出は1.56倍、普通国債残高は2.21倍に急拡大しております。したがって、我が国の財政政策に関しては、予算の量ありきではなくて、真に必要で効果的な質こそが重要であり、企業や個人の活力を引き出し、最終的に民需主導の自律的な経済成長を実現するような政策対応こそが求められています。
逆に、現在の状況下で、仮に短期的な痛みどめばかりを講じる結果、需要が喚起されてしまう場合には、人手不足からインフレが加速して、中長期的には、国民の生活がより一層、苦しくなるおそれがございます。
資料の23ページの左側で大和総研の試算を御紹介していただきましたが、直近の試算では、2040年度には、最悪のケースで長期金利は8%まで上昇するリスクがございます。こうした点などを踏まえて、平野委員等からも御指摘がございましたとおり、責任ある財政の実現に向けて、時間軸を伴う債務残高対GDP比の水準の目標等を設定することが必要ではないかと考えます。なお、大和総研では、従来から、我が国で給付付き税額控除を導入する必要性を強く主張し、最近では、諸外国の制度などを参考に、今後の制度設計に関する分析等を深めております。
先行研究によれば、1900年以降、60か国、1,482政権を検証した結果、過去51の政権がポピュリズムの政権だと認定され、これらの政権の下では、15年間で1人当たりのGDPが約15%低下するという傾向がございます。これは、格差が拡大するとポピュリズムが台頭して、財政不安が出て、経済成長が鈍化し、さらには格差がより一層拡大するという、ある種の悪循環に陥るためです。現状、我が国はそうした状況にはございませんが、こうした事態を未然に防ぐ必要があります。
結論として、我が国で格差や貧困の問題が深刻化していることこそが、最近の政権与党や財務省に対する厳しい批判の根底にあり、給付付き税額控除の制度設計に着手することが喫緊の課題であると考えます。
次に、社会保障についてコメントいたします。本年末の診療報酬改定は、デフレからインフレへの転換や賃上げ傾向の定着が明確となる中で迎える初めての改定であり、極めて重要です。経済や物価動向への適切な対応と保険料負担の抑制という相矛盾する課題に対して、バランスよく対応することが求められます。今回の改定は、今後の診療報酬改定のお手本となり、その方向性を決定づけるものとなるべきであると考えます。財源に限りがある以上、医療の中で、メリハリをつけていくことは当然です。病院の経営状況が悪化する一方で、診療所は高い利益率を維持していることは明白です。この状況を踏まえて、病院への重点的な措置を講じるためにも、診療所の報酬の引下げが必要ではないかと考えます。
調剤報酬についても見直しが不可欠です。全国にはコンビニ以上の数の薬局が乱立しており、その多くが病院周辺に集積しています。これらの薬局が経営を維持できている現状は明らかに不自然です。集約化や大規模化など、効率的な運営形態への移行を促すような報酬体系へと抜本的に見直していくことが求められます。
最後に、保険料負担の抑制を確かなものとするためにも、医療保険制度改革の歩みをさらに加速させる必要があります。特にOTC類似薬を含む薬剤自己負担の在り方への対応に、大いに期待しております。花粉症や湿布などの個別品目への対応も重要ではございますが、仕組みとして、OTC類似薬を含む外来薬剤を公的保険でどのように扱うかという視点が、より重要ではないかと考えます。公的保険でそもそもカバーしないという極端な選択肢は除外すべきですが、定額負担や保険償還割合を変えるといった諸外国の対応例も参考にしつつ、慢性疾患の方などへの配慮は行いながら、限りある保険財政を分かち合う観点から、できるだけ幅広い外来薬剤が対象となるよう検討を進め、今年中に結論を出していただきたいと思います。
私からは以上です。ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、滝澤委員、御発言をお願いします。
〔滝澤委員〕御指名ありがとうございます。学習院大学の滝澤美帆です。
財政総論のところ、1点だけ短くコメントさせていただきます。御説明いただきました本日の資料ですが、やはり、限られた財政資源を意識して、量よりも質を重視した配分を目指されているものと思います。インフラ整備とか人的資本の投資、技術革新の促進、そうしたものは将来の生産性を高める分野でして、重点を置かれていて、望ましい方向性であると思いました。
イノベーションと人材の質の向上は経済成長の源泉でありまして、これらに関連する財政支出として、ソフト面のインフラ、無形資産への投資の重要性が、御報告の中で、再度、確認されているものと思います。
それから、財政総論の資料の最後のところで、AI・半導体分野への支援がございました。これらの分野は、例えば半導体はあらゆる産業の基盤を支える戦略物資でありまして、その安定供給というのは、経済、安全保障上、極めて重要であると思います。これらの産業に対しては、息の長い財政支援が生産性向上のためにも不可欠であると思いますし、中長期的視点で、設備投資、研究開発、人材育成を継続的に後押しすること、特に、この分野は著しく人材が不足していると伺っております。人材の育成の部分は、長い時間軸で強靱化を図る必要がありまして、財政の面でもバックアップが必要であると思いました。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。
委員からの御発言、ここまでとさせていただいて、事務方への御質問は1問だったと思います。小林慶一郎委員から、偏在是正で、国と地方の支えの中で、コンパクトシティーとの関係はどうなるかということでしたので、これは末光主計官から短くお願いします。
〔末光主計官〕小林慶一郎委員からの御質問に、お答えをいたします。
都市と地方の支え合いとコンパクトシティー、これの関係についてでございますが、これらについては両立をするものと考えております。まず、人口減少が進む中で、各地域で持続可能な地域社会の在り方、コンパクトシティーも含めてであると思いますが、これを追求していくことは、いずれにしても必要かと思っております。その上で、都市と地方の支え合いについては、これは東京一極集中といったような社会的な要因、それから地方財政制度に内在する制度的な要因、さらには足もとの税収増といったような経済財政上の要因、これらによって、地域間の財政力、行政サービスの格差の拡大が生じておりますので、これについては、地方税源の偏在是正といったような都市と地方の支え合いの確保で対応していくことが必要ではないかと考えております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。
大変長丁場でしたが、本日予定しておりました議題、そして、その後の御意見、色々いただきましたが、ここまでとさせていただきたいと思います。
今後の進め方ですが、今週の金曜日、それから来週の火曜日、次々とありますが、各歳出分野について御議論いただきまして、令和8年度予算の編成等に関する考え方という形で、建議として取りまとめて財務大臣に提出する、こうした形で進めていきたいと思います。
本日の会議の内容については、いつもどおりですが、会議後、記者会見で私から御紹介させていただきます。
次回、11月7日金曜日の15時から、終了時刻は17時半を予定しております。内容は、「外交・デジタル」、「国内投資・中小企業等」、「社会資本整備」、「農林水産」、この四つの議題について議論を行っていただくことを予定しております
それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。
午前11時00分閉会

