財政制度等審議会財政制度分科会
議事録
財政制度等審議会財政制度分科会議事次第
令和7年4月9日(水)14:05~16:00
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
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1.開会
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2.議題
- 新任委員紹介
- 分科会長互選、分科会長代理氏名
- 部会の構成及び部会長指名等
- 分科会長挨拶
- 令和7年度予算
- 財政総論
- 令和5年度国の財務書類
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3.閉会
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分科会長 |
十倉雅和 |
東大臣政務官 新川事務次官 宇波主計局長 前田次長 中山次長 吉野次長 有利総務課長 馬場主計企画官 山岸司計課長 小澤法規課長 山本給与共済課長 片山調査課長 松本(圭)主計官 石田主計官 松本(千)主計官 寺﨑主計官 今野主計官 河本主計官 八木参事官 大来主計官 末光主計官 山川主計官 菅野主計官 横山主計官 副島主計監査官 山本予算執行企画室長 黒坂主計企画官 小田切公会計室長 |
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分科会長代理 |
増田寬也 |
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委員 |
秋池玲子 大槻奈那 河村小百合 熊谷亮丸 小林慶一郎 佐藤主光 武田洋子 田中里沙 土居丈朗 藤谷武史 宮島香澄 山口明夫 |
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臨時委員 |
上村敏之 遠藤典子 小黒一正 木村旬 小林充佳 櫻井彩乃 佐野晋平 滝澤美帆 中空麻奈 平野信行 福田慎一 堀真奈美 神子田章博 横田響子 吉川洋 |
午後02時05分開会
〔片山調査課長〕続きまして、財政制度等審議会財政制度分科会に移りたいと思います。
同様に、資料はお手元の端末の資料1から6となっております。参考資料も含めて御覧いただけますので、適宜のタイミングで御確認ください。
最初に、4月1日付で新たに委員になっていただきました方々を、この段階ではお名前だけ御紹介させていただければと思います。資料1の委員名簿を御覧いただければと思いますが、上から、長澤委員、山口委員、小林充佳委員、櫻井委員、佐野委員の5名の方に、このたび新たに委員になっていただきました。後ほど事務方から議題の説明をさせていただきまして、その後、委員の皆様から御意見を頂戴する段取りになっておりますので、その段階で、新任委員の皆様におきまして、資料に対する御意見と合わせて、簡単な御挨拶もいただければと思っております。
続きまして、分科会長の選任のプロセスに移りたいと思います。財政制度等審議会令によりまして、分科会長は分科会に属する委員の互選により選任となっております。分科会長につきまして、御意見がございましたらいただければ幸いです。
増田委員、お願い申し上げます。
〔増田委員〕財政制度等審議会の会長に御就任をいただきました十倉委員に、分科会におきましても会長をお願いしたいと考えております。お取り計らいのほど、どうぞよろしくお願いいたします。
〔片山調査課長〕ありがとうございます。十倉委員を分科会長に推薦という御意見をいただきました。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
〔片山調査課長〕ありがとうございます。異議がないということでございますので、十倉委員に分科会長に御就任いただければと思います。よろしくお願い申し上げます。
それでは、続きまして、十倉分科会長から会長代理の御指名をお願いできればと思います。
〔十倉分科会長〕これまでの実績を踏まえまして、増田委員にお願いしたいと思います。
〔増田委員〕お引き受けいたします。
〔片山調査課長〕ありがとうございます。これをもちまして、分科会長及び分科会長代理が決しましたので、これからはこれまでどおり増田分科会長代理に議事進行をお願いしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
これをもって、ネームプレートが委員から会長、そして、会長代理に変わります。少し手が込んでおりますが、こうしたものですのでよろしくお願いします。
〔増田分科会長代理〕改めまして、この分科会の会長代理を務めます増田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本分科会の下に置かれる部会は、資料2に書いてございますとおり、引き続き、歳出改革部会及び法制・公会計部会でございます。財政制度等審議会令によりまして、十倉分科会長から、部会に属すべき委員及び部会長の指名を行っていただきたいと思いますので、会長、どうぞよろしくお願いいたします。
〔十倉分科会長〕歳出改革部会、法制・公会計部会に属すべき委員につきましては、お手元の資料3-1、3-2の部会所属委員名簿(案)のとおりにしたいと思います。
また、歳出改革部会の部会長は増田分科会長代理、法制・公会計部会の部会長は藤谷委員にお願いしたく存じます。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございます。
部会に属すべき委員につきましては、お手元の資料のとおり、また、部会長につきましては、ただいま十倉会長より御指名いただきました。このとおりで決したいと思いますが、皆様方、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
〔増田分科会長代理〕それでは、御異議ないようでございますので、決定とさせていただきます。歳出改革部会につきましては、御指名いただきましたので、私が引き続き部会長を務めさせていただきます。よろしくお願いします。
早速ですが、歳出改革部会の部会長代理につきまして、財政制度等審議会令によりまして、本日、この場で指名を行わせていただきます。部会長代理は、これまでの実績を踏まえまして、土居委員にお願いしたく存じます。
〔土居委員〕よろしくお願い申し上げます。
〔増田分科会長代理〕土居委員、どうぞよろしくお願いいたします。
また、歳出改革部会につきましては、これまで同様、部会に属しておられない財政制度分科会委員の方もオブザーバーとして御参加を頂けるという形を取りたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
〔増田分科会長代理〕それでは、御異議ないようでございますので、従来どおりの形を取りたいと思います。
それでは、ここからは通常の分科会のとおりということにさせていただきます。
初めに、本日はカメラが入りますので、そのままお待ちいただきたいと思います。
(報道カメラ 入室)
〔増田分科会長代理〕先ほど本年度の財政制度等審議会財政制度分科会の体制が決定いたしました。委員の皆様におかれましては、十倉会長の下、本年度も闊達な御議論をどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、十倉会長より御挨拶を頂戴したいと思います。会長、よろしくお願いします。
〔十倉分科会長〕着座にて失礼いたします。皆様方から、先ほど本審議会の会長と本分科会の会長に選任いただきました十倉でございます。前体制に引き続きまして、どうぞよろしくお願い申し上げます。
委員の皆様におかれましては、昨年秋の財審でも大変密度の濃い議論を行っていただき、建議を取りまとめることができました。改めて感謝申し上げます。
今後の我が国の経済財政運営の鍵は、成長と分配の好循環の実現にあります。そして、経済成長に必要なのは、申し上げるまでもなく、国内投資と個人消費の拡大です。国内投資の拡大に向けて、政府は、中長期の計画に基づいた戦略的な財政支出を行い、企業の予見可能性を高め、民間投資を促していくことが重要と考えます。また、個人消費の拡大に向けましては、本年の春季労使交渉では、昨年に引き続き大幅なベースアップの動きが見られるなど、賃金引上げの力強いモメンタム、これの定着へ着実な一歩を踏み出したと感じております。
しかしながら、単に賃金を引き上げれば、個人消費が拡大するわけではございません。賃金の引上げが貯蓄でなく消費に回るには、公正公平で持続可能な全世代型社会保障改革、ひいては税と社会保障の一体改革を通じた、若年世代の漠とした将来への不安の解消が必須です。それと同時に、我が国は債務残高対GDP比が250%を超えるなど、大変厳しい財政状況にあります。財政健全化を着実に進め、金利のある世界において歳出・歳入両面から改革に取り組まなければなりません。とりわけ、我が国の財政の問題として、財源も含めた社会保障改革の議論が極めて重要と考えます。
この春の財審におきましても、皆様方の活発な御議論を通じまして、意義深い建議につなげていきたいと存じます。第一回目となります本日は、財政総論、令和5年度の国の財務書類について、率直な御意見を頂ければと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。
また、本日は、東政務官にお越しをいただいております。どうもありがとうございます。東政務官におかれましては、初回でございますので、一言御挨拶を頂戴できればと思います。政務官、よろしくお願いいたします。
〔東大臣政務官〕財務大臣政務官を仰せつかっております東国幹と申します。委員の皆様におかれましては、日頃から本分科会で御協力を賜り、心から厚くお礼を申し上げる次第でございます。
私は、旭川市議会、北海道議会、地方議員を務めた後、2021年に衆議院議員に初当選をさせていただいたところです。これまで国会においては、農林水産委員、災害対策特別委員等々の委員を務めてまいったところでございます。
本分科会におきましては、委員の皆様方から豊富な御経験と高い御見識に基づく御指導を頂戴したいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げまして、簡単ではございますが、御挨拶とさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
〔増田分科会長代理〕政務官、どうもありがとうございました。
本日の議題でございますが、令和7年度予算、財政総論及び令和5年度国の財務書類でございます。
それでは、ここで、報道関係の方、御退室をよろしくお願いいたします。
(報道カメラ 退室)
〔増田分科会長代理〕それでは、本日の議題に移ります。
片山調査課長から、令和7年度予算及び財政総論について簡潔に説明をお願いします。
〔片山調査課長〕ありがとうございます。それでは、本日の議題の一つ目、令和7年度予算、資料4につきまして御説明申し上げます。前回の任期の最後、2月の回で令和7年度予算の政府案を御紹介いたしましたが、それから国会で修正いただいた点につきまして御説明申し上げます。
次のページ、大きく分けて三つほど政策変更がございました。一つ目が左上、高校無償化。公立高校の授業料、11.88万円に相当する部分につきまして、令和7年度分について、事実上、収入要件を撤廃するというもの。次に上から2番目、高額療養費につきまして見直す方針でしたが、それにつきましては見直し全体の実施を見合わせるということ。それから、右上、税収について、いわゆる「年収103万円の壁」対策のところ、所得税の基礎控除につきまして、自民党、公明党のご提案で特例を創設いたしました。それによって、更なる税収減となってございます。
この三つがございまして、右上、所得税が約6,000億円減ることによりまして、左の上から3番目、地方交付税に行く法定分が減りますので、それが法定率分減となっております。その見合いということで、予備費の減、それから、税外収入の増ということでファイナンスいたしまして、都合、フレームとしては、3,437億円減となった次第でございます。
以上、これが令和7年度に成立させていただきました予算の全体像でございます。
続きまして、財政総論につきまして御説明申し上げます。資料5になります。
大きく分けて3本柱になっております。目次の2ページ目、まず構造的課題ということで、人口減少に伴う様々な課題。2番目は足もとの課題ということで、金利、物価、有事。3番目が、財政健全化に向けた取組ということで、今後の全体のフレームワークをどう考えるかと、その3本柱で今回はアレンジできればと思っております。
まず、3ページ、構造的課題として人口減少でございます。これは言うまでもありませんが、左側の人口の推移をみると、日本は諸外国に比べても人口減少が著しい。それから、右側、潜在成長率につきましては、労働人口の減に伴いまして減っておりますので、今後この生産性をどう高めていくのかということが課題になります。
4ページ、これは今の話に続きます。就業者数が減りますが、実は右側を御覧いただきますと、現在の女性の労働参加率、高齢者の労働参加率は実はそこまで低くない。右下、いわゆるM字カーブと言われているものも、台形型になっております。労働参加率は上昇しておりますので、今後は1人当たりの生産性をどう高めるのかということが課題になります。
5ページ。人口減少について、左側、全体的には減っていくわけですが、これは都道府県別に2020年から2050年のジャンプを見ますと、実は東京は増える。他方で、一番右、秋田県の人口は半分ぐらいになるということで、都道府県別にもかなり人口減少の度合いが違うということも念頭に置いて、考えていく必要があるというのがまず前提でございます。
その上で7ページ。人口減少がもたらす影響ですが、左側の三つ。一つ目は潜在成長率の低下。二つ目が、社会保障。いわゆる支え手と受け手の人口構成が変わりますので、受益と負担がアンバランスになる。三つ目は、先ほど御覧いただきましたように、地域間格差も存在し得る。対応策といたしましては、成長、活力をどう実現するか。それから、社会保障のアンバランスにつきましては、持続可能性というのをどう立て直すのか。それから、地域間格差に関しましては、地域社会をどういうふうに再構成していくのか。この三つが、中長期的に日本が抱える課題ですので、今回の春の財審では、この三つの柱に沿いまして、議論をさせていただければと思っております。
当然、こうしたことを財政的にもしっかりやっていく必要があるわけですが、財政資源は限られておりますので、事実とデータに基づく最適投資という考え方でやるべきであります。結果的には、「健全で活力ある経済」、それから、「安心で豊かな社会」を実現する。これは財務省の組織理念となっておりますので、もちろん財政健全化が大事ではございますが、経済、社会をしっかり安心で豊かなものにするというのが最終的な目標ということでございます。
8ページは、イメージです。最近、供給制約に入っている中で潜在成長率をどう高めるのか。3要素ございます。イノベーション、資本、労働。それぞれの中にいろいろ書いているのが、実現するための方策でございます。それから、潜在成長率を高めた上で、それをどのように分配していくのか。先ほど十倉会長からもお話がございました。分配をどのようにするのかについて、左下でございます。企業収益、賃金につなげ、それが消費につながる。こうした分配の好循環をどうつくっていくのかというのも成長にとっては欠かせない。
それから、右側の四角二つは、今申し上げました社会保障、それから、地域社会の確立に向けて、いろいろやらなければならない課題を書かせていただいております。
次に、それぞれの三つの課題の頭出しです。9ページ、10ページは成長に関する頭出しです。まず労働でございます。9ページ。左側は、産業別就業者数の実績と今後の見通しでございますが、棒グラフが今の時点の実績で、この星と丸が今後の見込みでございます。そうすると、例えば左から4番目、情報通信産業は棒よりも星と丸が上に行っておりますので、今よりも必要。ほかのところも、減少しているのは産業が衰退するということだけではなくて、省力化ということも含まれますが、棒グラフよりも星や丸が下のところは今よりも必要ではなくなる。分野間の移動が必要であるということでございます。
右側、御参考ですが、横軸が労働移動の円滑度、縦軸が実質賃金の上昇率です。円滑であればあるほど実質賃金が上昇する傾向があるということでございますので、円滑な労働移動を高めることで生産性を高めるということが、一つのヒントかなと考えております。
10ページ。今度は資本の部分でございます。左上、日本、資金循環統計ですが、青の企業のところは、ここ20年間は一貫しては貯蓄超過。ちなみに政府は投資超過、借金をして投資している状況です。他国を見ますと、もちろん年によっていろいろありますが、やはり企業部門が投資超過になっている期間もございますので、いわゆる民需主導の経済成長を実現するための企業の設備投資の増についてどう考えるかというのが、一つの課題と考えております。
11ページ、12ページは、持続的な社会保障に向けてということで、それも頭出しでございます。11ページ。左が医療、右が介護、年齢構成別に1人当たりいくらかかるのかということでございますが、御覧いただきますとおり、高齢になればなるほど、当然1年間でかかる費用は上がりますので、高齢化社会が実現する中では社会保障費用が上がっていく構造になります。どのように給付を効率化、重点化していくのかというのが課題という話でございます。
12ページ、これはマクロで見て各国比較したものでございます。横軸が負担、縦軸が社会保障支出です。言わば給付ということで、この45度線、厳密には45度ではないのですが、95%信頼区間に入るとよいなということでございます。左下であれば、当然小さい政府、右上であれば、大きい負担で大きい給付で大きい政府。日本は少し外れておりまして、上に行ってしまっております。これを戻すためには、右に行く、つまり負担を上げるか、下に行く、つまり給付を少し下げるか。あるいは右下に行く。バランスをどのように取り戻すのかということが制度の持続性を考える上でも大事ということでございます。
次、13、14ページは地域社会という観点でございます。自治体ごとに見てみますと、若年女性が減少する社会減、地域の出生率が下がる自然減、いろいろな要素がございます。人口減と一口に言ってもいろいろな要素がございますので、そうしたものを分析した上で対応策を図ることが必要という御紹介でございます。
14ページ、今度は経済を見てみます。都道府県別の言わばGDPを見てみますと、左側のスタティックなものでは、当然東京、それから、大阪、愛知、三大都市圏が多くなっておりますが、右側、2011年から2019年の増加率を見てみますと、必ずしも三大都市圏が多いというわけではありません。実は右下に増減のランキングがございます。かつ、その伸びの貢献度を御覧いただきますと、製造業が多い県も結構ございます。したがいまして、東京は情報通信が多いのですが、都道府県別に、何が経済活性化の鍵になるかをしっかり分析することも必要ということで、本日は総論でございますが、今後、各論をやる際にはそうした前提も考えながら、政策提案、提言していければと思っております。
続きまして、足もとの課題。これはやや財政総論につながる話でございます。16ページ。一つ目、金利ということで、足もと、御案内のとおり、10年債、40年債の国債利回りは、過去のいわゆるゼロ金利のところから比べますと非常に大きくぶれております。トランプ大統領の関税によりまして株式市場が下がったことによりまして、一時的に国債市場にお金が流れ込みましたので、アービトラージ、少し下がりましたが、本日も1.35%まで来ております。それから、30年債、出ておりませんが、これも過去最高の金利になっているということで、足もと、いろいろな要素がございますが、金利がどんどん上がっていく状況になっております。
17ページ。各国を御覧いただきますと、左側、10年国債金利ということで、日本は1.5%前後でございますが、各国は当然それを超えて2%から、イギリス、アメリカにつきましては4%ということで、今後上がり得る環境にあるのではないかということでございます。
18ページ、これまで利払費は、日本の金利が低いということで抑えられてまいりましたが、今後、先ほど申し上げました金利が上がっていく中では、分母がかなり大きくなっておりますので、利払費も増える構造です。ショックあるいはストレステストをしたのが19ページでございます。分母が約1,000兆円強ありますので、ベースラインよりも1%上がった場合、約9兆円の利払費の増でございます。厳密には、償還期限が来たものから順次ローテーションして、高い金利に変わっていきますので、1年でいきなり上がるというわけではなくて、約9.5年かけて上がっていくという構造になっております。
20ページ。今後の見通しでございますが、実は国債の保有者につきまして論点がございます。パイチャートの左上が2010年。このときは海外保有率はまだ5.5%でしたが、足もとでは海外はもう10%超えて、約12%、1年以下の国庫短期証券を見ますと実は海外投資家が5割を超えて保有しております。それから、日銀が46.3%になっているのは、これはYCCを行ったからです。日銀が今、約半分ぐらいを保有しているという状況でございます。
21ページ。金融政策が変更されました。今後、インフレ基調にあることも踏まえまして、正常化ではなく調整と言っておりますが、とにかく日銀の国債買入れを減額するという方針ですので、今後、ストックが減っていくことが予想されます。シンクタンクによりますと、国債の日銀の保有残高は320から460兆円減少。他方で、これの受け手である国内の民間金融機関につきましては、バーゼル規制においてIRRBB規制というのがございまして、国債保有の追加的な余力が150から200兆円という推測がございます。そうしますと、隙間を誰が埋めるのですかというと、もちろん家計がございますが、外国人の投資家ということも十分に考えられますので、そうしますと、一層、金利に対して非常に気をつけなければいけない状況になるのではないかということでございます。
続きまして、22ページ以降、格付関係でございます。22ページ。これは格付表でございます。日本はAです。これは中国と同程度。過去に通貨危機を経験いたしました韓国より下。G7の中ではイタリアを除くと最低ということでございます。
23ページ、格付会社が何を見て格付をしているのかということでございます。特に右側の格下げする可能性に関する三大格付会社の評価でございますが、Fitchを御覧いただきますと、中期的に政府債務対GDP比率の上昇が続くことが予想される場合ということでございます。もちろん足もとはいろいろ上がったり下がったりはありますが、中期的に上昇が続くことが予想されると、格下げする可能性があるというのがFitch。それから、Moody'sも同じようなことを書いてございます。
実際にそうした格下げが起きますと何が起きるのかというのが24ページでございます。もちろん国が支払う利払費は増えますが、実は民間企業に大きい影響がございまして、ソブリン・シーリングという考え方がございます。国債が格下げになりますと、日本企業の皆様の社債も同様に格下げになります。当然それのみならず、銀行の社債が格下げになりますと銀行の貸出しも慎重になり、また外貨調達が困難になり、社債発行企業のみならず中小企業を含む社会全体の資金調達に影響が出るということでございます。
25ページ。実際にフランスが昨年12月に格下げになりました。一つ目の黒矢印ですが、これは政治混乱、実は与党が過半数割れいたしまして、次期の内閣が来年以降、財政赤字を減らすことができないということで、格下げになりました。二つ目の黒矢印、その3日後に、国内の銀行7行も格下げということで、先ほど申し上げました民間企業に対する影響も起き得る状況でございます。
続きまして、26ページ。イギリスでございます。トラスショックが約2年前に起きました。財源の裏打ちのない経済政策を出したところで市場が混乱いたしまして、3日間で金利が1%上がるという状況になりました。そうした混乱の結果を受けて、トラス首相は45日で退陣ということでございますが、実は足もとの金利もトラスショックを超える水準まで上がっております。これは昨年の秋に新しい労働党政権が、同じように借金に依存するような経済政策を打ち出したことによるものでございます。ここまでが、金利関係でございます。
続きまして、物価。28ページ。これは言わずもがなでございますが、左がCPI、2%を超える水準で移行しておりまして、右側がGDPギャップ、これも実はもうプラスになっておりまして、需要が供給を上回っているという状況でございます。
29ページ、そうした物価上昇による財政への影響。左下でございます。物価が上がりますと、当然税収というのは増える構造にございます。一方で、物価、賃金に連動して年金は増える形になっておりますので、年金等の歳出も増えます。また、物価上昇いたしますと名目金利も上昇する傾向にあり、利払費も増えるということで、物価上昇したからといって一概に財政収支が改善するということではございません。そこにつきましては慎重な判断が必要です。他方で、骨太の中で目安があり、物価を適切に配慮するということになっておりますので、我々としても、毎年度、令和7年度予算でも配慮しながら予算編成を行っております。
物価は当然社会保障にも非常に大きい影響ございます。左側、これまでデフレの局面でも医療費が増えてまいりました。右の報酬の伸びが1.8%となっている中でも約3%の伸び。そこをどうするのかというと、保険料率を引き上げる形でファイナンスするということになってまいります。今後も物価を社会保障にもそのまま反映いたしますと、保険料率がさらに上がる可能性があるということで、その場合は現役世代の可処分所得の負担が増えるということになってございます。
31ページ。またコロナ禍で、各国、かなり政府支出を増やしましたが、政府支出を増やしたことでインフレ率が上がるという財政インフレが見られております。表の上から2番目、例えばアメリカにつきましては、政府支出の増加がインフレ率を2.6%押し上げたという研究結果が出ておりまして、今後は供給制約がある局面でございますが、その中で財政追加をすると、それがまたさらにインフレを呼ぶ可能性があるという御紹介でございます。
続きまして最後、有事でございます。33ページ、過去30年を振り返りますと、4回ほど有事がございまして、毎回対GDP比で二十数%の財政ショックがございました。一度債務残高が増加するのはやむを得ないのですが、その後なかなか戻りませんので、今後、安定的に債務残高を引き下げ、財政余力を蓄える必要があるということでございます。
34ページ、南海トラフ。つい2週間前に経済的被害額に関する新しい試算結果が出ました。下の表でございますが、195.9から292.3兆円ということで非常に甚大な被害が出る可能性があります。もちろん政府が全部それを埋めるということではございませんが、やはりこうしたときにも十分な対応をするための財政余力を確保する必要があるということでございます。
35ページ、安全保障環境でございます。トランプ大統領の関税も含めまして、非常に不安定な状況になっております。有事がいつ起きてもおかしくないという中で、対応するための余力を蓄える必要があるということでございます。
36ページ。左側、ドイツが債務ブレーキというのを改正いたしました。これは安全保障上の懸念等で、自国の国防費をしっかり担保するということなのですが、発表した翌日に金利は上がりました。もちろん政策のプライオリティーはありますが、それと市場の見方というのはまた別であるということでございます。
以上が足もとの課題でございます。
続きまして、財政健全化をどうしていくのかという話でございます。
38ページ、債務残高。日本は第2次大戦を超えた水準、世界と比べても非常に厳しい水準でございます。
39ページ、今年度予算の中身を30年前の予算と比べますと、社会保障と国債費の増がほとんどですので、構造的にはやはり社会保障の問題をどうしていくかが大事ということでございます。
40ページ、現在の財政健全化目標。左上でございます。2025年度のPBの黒字化を目指す。また、2030年度までの計画期間の間、債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指すというのが二大目標になっております。右側は、それを目指して毎年の予算編成でも、これまでの歳出改革努力を継続するとなっております。
41ページ。年限あるPB目標は2002年度からございますが、実は一度も達成することができておりません。今、2025年度の目標と言ってまいりましたが、1月の試算では0.7%程度の赤字という見込みになっております。これも過去の中では一番良い状況ということでございます。
それから42ページ。これはPBとは何かという御紹介ですので、割愛いたします。
43ページ、その中でも金利と成長率の関係ですが、過去30年を振り返りますと、rが高い期間が多いので、rとgの関係に頼ることなく、PBを黒字化していくことが大事ということでございます。
44ページ。諸外国を見ますと、過去、債務残高対GDP比が引き上がった主な要因は、PB赤字の積み重ねということですので、繰り返しになりますが、PBをどうするのかが大事ということでございます。
海外の視点ということで、46ページ。IMFがちょうど2月に4条協議で審査にまいりました。特に一番上の丸の真ん中の、「足許においても明確な財政健全化計画が必要」。rとgで、gが大きい局面が一瞬あるのですが、今後金利も上がるということで、今から財政健全化を始めるべき。下の箱の2行目、日本にとって財政再建を今始めることが非常に重要。”Acting now”と言っていましたが、やはり早い段階で計画することが大事であるということでございます。
47ページは、スウェーデンが少数与党の中で財政健全化した例の御紹介でございます。金融危機が起き、金利が急騰した中で、健全化しなければならないという危機意識が国民全体に認識され、財政健全化のための改革を行ったということでございます。
48ページ、各国の財政規律。フローとストックの規律がございます。日本は閣議決定で決めていますが、他の国は法律や条約、憲法となどで決めているということでございます。
49ページ、各国の財政規律。先ほど申し上げました。収支ルール、これは毎年のフローの話ですが、日本はPB黒字化。債務ルール、これはストックの話で、日本は長期的に安定的に引き下げるというだけで、期限や具体性がないもので、債務ルールがあるとは認められておりません。
続きまして、そうした状況を踏まえて今後どうしていくのかというのが最後のチャプターでございます。51ページ、大きく分けて二つございます。その一つ目、履行確保メカニズム。これは、掲げた目標が達成できず残念でしたね、と言うだけにならないために、目標を達成するための実効性を有するメカニズムということです。例えばEUは、基準から外れた場合には計画を加盟国に提出させて、最終的に改善されない場合は罰金まで行きます。財政状況が悪い国に罰金をかけるということで、少しどうなのかというのがあるのですが、そうした形で実効性を高めるようなメカニズムを設けております。日本につきましても、こうしたメカニズムでないにしても、目標設定以外の形でも何かできないかというのが今後の課題の一つ目です。
二つ目でございます。53ページ。現状は債務残高対GDP比の安定的引下げというだけで、めどのようなものはございません。先ほど申し上げましたとおり、一定頻度で有事が生じており、対応する必要があります。それこそ財政の役割でございます。そのマグニチュードは、左下の表でございますが、大体7.5年で23%。10年間で30%ぐらいの債務ショック、有事ショックが発生すると言えます。それに対応しつつなお債務残高対GDP比を安定的に引下げ軌道に乗せるということで、仮に機械的に10年間で30%程度のペースで引き下げたのが右側のグラフでございます。この機械的試算の青い線をみると、2030年度にはコロナ禍前の水準になります。
最後、二つだけ御紹介です。54ページ、債務残高対GDP比の安定的な引下げをするために毎年のPBはどれぐらいにする必要があるかについて、東京財団が3月下旬に発表したシミュレーションでございます。それによりますと一番上の四角の箱、PB黒字が対GDP比2%で推移した場合は、債務残高対GDP比は安定的に低下、1%の場合はおおむね横ばいということで、逆に言うと、PB黒字が対GDP比の1%から2%ぐらいあれば安定的に引き下がる、軌道に乗る可能性があるというのが、このシミュレーションの含意でございます。
最後、55ページ。これはまた別の試算でございます。詳細は割愛いたしますが、ドーマー条件というものを使いまして数学的に処理した場合、債務残高対GDP比を横ばいにするためには、これも同様、国・地方のPBを大体2%弱の黒字にする必要があるということです。我々は今、PB黒字化を一つのメルクマールにしておりますが、安定的に引き下げるためには、黒字幅が一定程度必要なのではないかというのが、民間のシミュレーションで分かるということでございます。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。
続きまして、小田切公会計室長から、令和5年度国の財務書類について、こちらも簡潔に説明お願いします。
〔小田切公会計室長〕公会計室長の小田切でございます。一般会計と特別会計合算ベースの国の財務書類の内容を簡潔に御説明いたします。
1ページを御覧ください。令和5年度の国の財務書類の概要です。まず令和5年度のフローの状況としましては、業務費用合計が170.4兆円、財源合計が151.3兆円であり、超過費用は19.0兆円となりました。この超過費用は、前年度に比べて13.2兆円のマイナス幅の縮小、いわゆる改善となっています。
ストックの状況は、資産合計が778.1兆円、負債合計が1,473.8兆円であり、資産と負債の差額である資産・負債差額はマイナス695.7兆円となりました。これは前年度末比で6.3兆円のマイナス幅の縮小です。
資産・負債差額が縮小した主な要因は、先に述べたように、19兆円の超過費用が生じた一方で、円安の進行等により、21.3兆円の為替換算差額が生じたことなどによるものです。
次のページ、前年度比較におけるフローの状況を御説明します。
業務費用の合計は、前年度に比べて7.2兆円減少しましたが、そのうち6.8兆円が補助金・交付金等の減少によるものです。財源合計は、租税等収入、社会保険料、その他の財源いずれも増加し、前年度に比べて6兆円の増加となりました。この結果、財源と業務費用の差額である超過費用は、前年度に比べて13.2兆円縮小し、19兆円となりましたが、依然として業務費用が財源を上回る超過費用の状況が続いています。
3ページ、前年度末比較におけるストックの状況です。資産は、前年度末に比べて37.4兆円増加し、そのうち16.7兆円が有価証券の為替相場の変動による増加等です。負債は前年度末に比べて31.1兆円増加し、そのうち20.4兆円が公債の増加です。この結果、資産と負債の差額である資産・負債差額は、前年度末に比べ6.3兆円縮小し、マイナス695.7兆円となりました。
4ページは、ストックとフローの推移です。左側のストックは負債が年々増加しており、平成15年度末から見ると、資産・負債差額は450.6兆円の悪化となっています。右側のフローは、平成20年のリーマン・ショックや、令和2年の新型コロナウイルス感染症拡大を受けて、超過費用は一旦大きく増加しましたが、財源の増加が続いていることもあり、その後は縮小する傾向が見て取れます。
5ページは、支払利息と運用益・配当金の比較推移です。平成20年度以降、支払利息が運用益を上回る状況が続いています。近年は円安の進行により、外為運用益が増加していますが、今後、金利の上昇により、支払利息が増加すれば、為替の変動の影響があるにしても、その差は拡大する可能性があります。
事務局からの説明は以上になります。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
本日はオンラインで御参加いただいております小黒委員、それから、御欠席ではございますが、長澤委員、芳野委員、國部委員、広瀬委員から意見書を提出していただいております。その内容については、各PC端末に格納しておりますので、お目通しをいただきたいと思います。
ここから、これまでの事務局説明に関しまして、委員の皆様方から御意見、御質問を頂戴するというコーナーになります。
それでは、初めに会場の方を御指名したいと思います。会場で御発言、御質問ある方は、どうぞネームプレートを立てて、それで合図をしていただければと思います。
それでは、私から見て右側から順次指名をしていきたいと思いますので、最初に大槻委員、どうぞ。
〔大槻委員〕御説明ありがとうございました。今期もよろしくお願いします。
御説明いただいた中で、今の環境下を考えますと、やはり危機対応というのが財政的に避けられない状況になっているという考え方があるかと思いますので、それについて一言と思っております。
ポイントとしては、短期的な危機対応のために、長期的な持続可能性を決して犠牲にしてはならないということでございます。今回は「関税危機」とも言うべき状況ですから、一定程度何らかの施策を取るというのは国としてやむを得ないことかと思います。ただ、この1週間、先ほど金利の話もありましたが、金利は低下している一方で、市場が見るソブリンの信用力を示すCDSは日本についてはほかの主要国以上に悪化しております。もともとのリスクプレミアムが低い状況にあったということもありますが、約30%上昇しているというのは気になるわけでございます。
御説明にもありましたが、日銀が国債の購入を減少させる中では、一層国債の市場性が高くなるということで、これまで以上に海外を含む市場からの目を意識する必要があるかと思います。こうした中で、国の持続可能性を犠牲にすることなく、長期的な日本のグランドデザインに基づいて、効果を考えた支援、優先順位をつけた支援、そして、今回支援をするのであれば、その目的を特定して、支援の対象や終了の時期を明確にして行っていくことが必要であると思っております。
いずれにしても、ここが正念場と考えて、今期は議論に臨みたいと思っております。この支援と健全化のバランスをどう取っていくのかというのが、今後の財政、日本の将来を決める明暗を分けるところであると思っていますので、皆様としっかりディスカッションしたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、秋池委員、お願いします。
〔秋池委員〕今回、人口減少がもたらす影響の三つから発想して、限られた財政資源の使い方を考えていこうということは、今までと少し違う形で財政に光を当てるという意味で、意味のある議論ができるのではないかと思っています。人口が減っていくと、やはりインフラの維持が非常に難しくなります。民間では利益が出ないということで撤退が進み、さらに住みやすくない地域になってしまうということもございます。一方、財源をどう使っていくのか。行政に頼られがちであるとは思うのですが、安心で豊かな地域社会のためのよいバランスについて、議論ができたらと思います。
財政が健全であり余力があるということは、災害その他の有事のときに躊躇なく対策ができるという点で非常に重要ですので、やはり財政の健全な利用、そしてそのバランスが崩れたときに歯止めをかける強制力などにつきましても、本日も海外の事例もありましたが、研究しながら議論を深められればと思います。
それから最後に、分析的に物事を進めていて、本日の資料も非常にすばらしいと思っているのですが、どちらが原因で、どちらが結果なのかというのは、行ったり来たりでなかなか難しいところもあるのかもしれないと思っております。例えば9ページ、少し言葉は違うかもしれませんが、労働移動の円滑度と実質賃金の上昇率。どちらが原因なのかは、行ったり来たりのところはあると思います。そうしたところも是非皆様と議論しながら、どちらに手をつけるべきなのかということを検討していければと思います。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、河村委員、どうぞお願いします。
〔河村委員〕御説明ありがとうございます。本年度もどうぞよろしくお願いいたします。
最初、片山課長が御説明くださった、目標は、健全で活力ある経済と安心で豊かな社会、本当にそのとおりだと思います。ただ、この二つの目標がきちんと目標として掲げられて機能していくためには、みんな意識しませんが、その背後で財政がきちんと問題なく回り続けていくことができるというのが大前提です。今の局面は、それがかなり脅かされているのではないかと思います。やはりそこを意識した財政運営、それから、国全体に対しての情報発信を考えた方が良いのではないかなと思います。
最後、財政健全化をどう進めていくのか。今度の骨太とかのこともあります。PBについても曖昧に均衡や黒字化ということだけではなくて、名目GDP比で見て2%ぐらいの黒字に持っていければというお話、少し一歩踏み込んだ前向きのスタンスを出されて、大変良いと思うのですが、対名目GDP比でやると限界も少しあります。お示しいただいている試算は内閣府で出されている過去投影ケースですので、そんなに極端な前提は置かれていませんが、過去の低インフレがずっとずるずる続けばという前提なので、それがもつかどうか分からないというところもありますし、やはりもう少し慎重に考えていった方が良い。
やはりこの国、これだけ多額の国債を毎年発行していますと、それをどう発行し続けていけるかというのが大事です。本当であれば、もう少し踏み込んで、他の国と同様、PBではなくて、きちんと財政収支の均衡や黒字化を目指してやっていかないと、とてもではないが、続けていかれないということを打ち出していってもよいのではないかなと思います。いろいろ制約もおありなのかもしれませんが。
このところのデモなど、やはり世の中の不満がすごくたまってきているところはあります。ただ、気になるのが、そうしたいろいろな要求を声高に叫ばれる人たちが、財源のことをあまり考えていないようなところがあって、安易に、国債を出せばよい、国債を出せば何とかなる、と言っている傾向が、どうも少なくないようなのです。そこがすごく心配なところです。これだけ日銀が買っていて、それがどういう結果になるのかということを、日銀自身も含めてきちんと説明してきていないことのツケが回ってきているという気もします。安易に国債をたくさん出せばよいということではないということも含めて、きちんと説明していかれるとよいのではないかなと思います。
財政ショックが日本でこれだけ頻繁に、七、八年に一度起きているという話を、53ページで御説明くださいました。本当にそのとおりなのですが、これまでの財政ショックは、国債の残高を積みましても超低金利状態だから何とかなってきたのですよね。ですから、本当の意味での財政ショックではなかったのではないかなという気もします。次の予想したくないような事態が来たときに、そのような状態かは今の金融情勢では分かりません。また、地政学的ないろいろな問題も出てきていますので、なおのこと、国債の減額ということをきちんと打ち出して、しっかりとやっていかなければならない。
社会保障ももちろん大事で、そこが一番大所なのですが、それだけ解決すれば、先行きのことだけ解決すればよいかというと、そうではありません。過去これだけたくさん発行し、もう事実として巨額の国債の残高がありますので、それをどうやって持続可能な形で少しずつでも減らしていくのかということも、あわせて考えていかなければならないと思っております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、熊谷委員、どうぞお願いします。
〔熊谷委員〕ありがとうございます。近年、我が国の財政を取り巻く環境は一段と厳しさを増しておりまして、文字どおり、首の皮一枚つながっている財政規律が崩壊してしまうことが懸念される状態です。とりわけ私が憂慮しておりますのは、相当程度、構造的な要因が我が国の財政赤字の拡大を助長しており、足もとの厳しい環境が決して一過性のものであるとは考えられない点です。
具体的には、我が国で少数与党政権が成立したことのみならず、世界的にポピュリズムが横行し、世界各国で財政に対する拡大圧力が非常に強まっています。くわえてSNSの隆盛が、世論が近視眼的に傾くことなどを通じて、こうした傾向により一層拍車をかけております。また足もとでは、トランプ政権による相互関税の発動を中心とする諸々の政策等を受けて、様々な分野で、言わば徳政令的な提案なども含めて、歳出拡大圧力が急速に拡大することが予想されます。さらに、資料5の21ページで御紹介いただきましたとおり、私ども大和総研の試算によれば、今後、中長期的に見て我が国の金利は大幅に上昇する可能性があります。
以上のような観点を踏まえると、我が国は財政規律を維持すべく、従来の延長線上ではない、言わば財政健全化に向けた本格的なギアシフトが今こそ必要なのではないかと考えます。国際比較の観点などからも、我が国の財政規律は、フロー、ストックの両面で見て非常に緩く、財政ルールの履行確保メカニズムが存在しないことは極めて深刻な問題です。その意味で、本日御説明いただいた債務残高の対名目GDP比を今後10年間で30%程度引き下げ、国・地方のPB黒字を対GDP比で2%程度確保するといった従来のPB黒字化目標から、より一層踏み込んだ新たな財政健全化目標を掲げることに賛同いたします。
また、補正予算に関しても、当初予算と一体的に管理することなどを通じて、現行制度の抜け穴を塞ぐこと。ペイアズユーゴー・ルールを導入すること。独立財政機関を設立することなども議論の俎上にのせ、実効性のある財政ルール、財政制度を構築するべきであると考えます。
最後に、EBPMを強化し、歳出に関する政策分野ごとの優先順位付けを明確化することにくわえて、国民に財政赤字の問題を自分事として捉えていただくために、デジタル化などを通じた財政状況の徹底的な見える化を断行し、国民への広報活動を抜本的に強化することが喫緊の課題である点を強調しておきたいと思います。
私からは以上です。ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、小林慶一郎委員、どうぞお願いします。
〔小林(慶)委員〕どうも新年度もどうぞよろしくお願いいたします。
私からは一言、危機対応の話を、大槻委員もおっしゃいましたが、申し上げたいと思います。先ほど有事が何回か起きるかもしれないという話がありましたが、まさに今、ひょっとしたら有事が起きる、あるいは有事になりつつあるというのが、今日の国際状況なのかなと思います。
トランプ政権の関税政策というのを考えると、これはもともと米国の中間層を再生するということがトランプ政権の狙いであって、本来は国内の再分配政策でやればよいことを、あえてやらずに、外国を敵視して、資源を分捕ってこようという政策です。そして、分断していたアメリカ国内の富裕層と中間層を団結させる戦略としてこうした関税政策をやっている、こうしたふうに見ることができるのだろうと思います。そうした中で、アメリカが自由貿易体制のリーダーとして、国際公共財を提供する役割を、ある意味、放棄するということが明確に意思表示されたと解釈しても間違いないのだろうと思います。そうした中で、日本や他の国々ができることというのは、これまで国際公共財を提供するために米国が負担してきた経済的なコストを、日本や欧州やいろいろな国で分担していきますよと、アメリカに対して示す。アメリカに経済的な利益を提供するのだ、そうした理屈である程度ディールを促していき、こうした高い関税の撤廃を要望していく。そのためには、国際公共財を我々が分担していくのだという姿勢を示していくということが、おそらく必要になってくるかなと思います。
また一方、国内の当面の政策としては、先ほど大槻委員もおっしゃいましたように、当面、数週間、数か月、ひょっとしたら一、二年の間は、コロナ対策と同様の危機対応という時代が来るのではないか。そうした意味では、企業体、中小企業などについては、資金繰り支援のための融資、あるいは関税の新しい水準に適用するまでの過渡期を支えるという意味で、財政的な支援というものが必要になってくるかもしれない。そうした危機対応は躊躇なく必要な分はやる必要がある。ただ一方で、そうした財政支援をしっかりやるためにも財政の持続性についての懸念が払拭されなければいけないというのは、これは他の委員がおっしゃったことと全く同じ意見です。
ですので、有事における財政規律の在り方をしっかりこの審議会で御議論いただいて、有事における財政努力、財政規律というものを確立していく。そうした議論ができればよいのではないかと考えております。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、オンラインに移りまして、藤谷委員、上村委員、福田委員の順で御発言いただきます。
それでは、初めに藤谷委員、どうぞお願いします。
〔藤谷委員〕ありがとうございます。私からは、国の財務書類についてのプレゼンテーションについて、短くコメントを申し上げます。
こちら、御紹介いただきました財務書類については、法規課、公会計室を中心に年々改善を加え、豊富な情報を国民に分かりやすく伝えるものへと充実させてこられたものと承知しております。特に予算では必ずしも捉え切れない財政の全体像、現状を公会計の原則に基づいて体系的に可視化することには大変大きな意義があると認識しております。
ただ、毎年このように大変な労力をかけて作成されている貴重な情報源ですので、これを公表して、財政状況に関する国民の理解醸成に活用していただくというのはもちろんのことなのですが、それにとどまらず、財政規律の維持向上のために積極的に活用していくような道筋や枠組みづくりについても、是非御検討いただければというふうに願っております。
私からのコメントは以上でございます。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕それでは、続きまして、上村委員、お願いします。
〔上村委員〕私からは、資料7ページの人口減少下の経済財政政策ですが、こちらで安心で豊かな地域社会の確立を掲げていただいたことは、地方にとってとても重要であると思っています。8ページに、「各地の特色を活かした地域活性化」で「多様な就業が可能な環境整備・担い手の確保」とありますが、もちろん就業については、民間部門のみならず、公的部門、または公的部門に近い部門で、制度や地域を支えている担い手の確保が非常に厳しくなっていると認識しています。地域の様々な地方行財政制度を支える人材をいかに確保して、いかに育成するか。東京一極集中の問題も併せまして、この課題についてしっかり議論していただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
〔増田分科会長代理〕続きまして、福田委員、お願いします。
〔福田委員〕ありがとうございます。私からは三本柱、三つとも簡単にコメントさせていただきたいと思います。
非常に適切な議論だったと思いますが、まず、人口減少の問題を取り上げたというのは、私も非常に大事で、我が国が未曽有の人口減少に直面している中での財政というのは、やはり極めて重要な問題だと思います。さらに強調すべきなのはやはり少子高齢化だと思います。人口減少と少子高齢化は必ずしも一対一には対応しておらず、例えば全ての世代の人口が均等に少しずつ減っていく国と、非常にアンバランスに減っていく国では、コストがもう全く違うと思います。日本の場合には、言うまでもなく、非常にアンバランスに世代別の人口が減っていくということです。
実は現在は、団塊ジュニアの人たち、非常に人口が多く、まだ現役世代で高齢者を支えている時代ですが、十数年するとそうした人たちが退職して、本当に高齢者ばかりの国になって、非常にアンバランスな人口構成になっていって、それが財政にさらに重くのしかかるのだということは、さらに強調しておく必要があると思いました。
それから、2点目の財政健全化に関する話は私もそのとおりだと思いますが、やはりそう言っても、私も有事の場合とそうではない場合の財政の話を少し議論しておく必要はあると思います。1998年の財政構造改革法の記憶は、それなりに多くの人にあって、そのときには経済が一気に悪化しているのに、当時の橋本内閣の下で、財政構造改革がそれなりに当初行われた。その後見直されたわけですが、やはり危機のときは財政支出をするのだということは、確認しておく。ただし、それに備える形で、平時には財政を健全化しておく必要がある、こうしたメリハリをつけた議論、財務省は常に財政を引き締めているのだと思われない議論は必要で、やはり出すときは出すが、そうではない平時には有事に備えて財政を健全化しておく必要があるという議論が重要なのではないかなとは思いました。
それから、3番目に財政ルールということですが、私も非常に重要なことであると思います。我が国に財政ルールはないという御説明でしたし、私も実質的にはそうだと思いますが、一応、財政法の4条というのは、ルールとしては存在していると私は理解しています。ただ事実上、特例公債法というのがつくられて、有名無実化しているというのが我が国の実情なのではないかと思いますので、やはり実効性のある財政ルールをどうつくるのかということが我が国の大きな課題なのではないかと思います。
私からは以上でございます。
〔増田分科会長代理〕武田委員どうぞ御発言お願いいたします。
〔武田委員〕どうもありがとうございます。国際情勢と財政余力について意見を述べます。
数回前の財政制度分科会の建議において、歴史的な転換点という言葉を使用した記憶がありますが、転換点というより、もはや転換したと捉えるべき状況にあると認識しています。トランプ政権の昨今の状況において、私自身も何名か国内外の識者と意見交換をしましたが、ポスト・トランプがどうかという議論において、多くの識者から、元の国際情勢、国際秩序の姿に完全に戻ることはないだろうという見解が聞かれました。グローバルサウスの台頭はトランプ政権前からの話であり、また、米国の国民の意識調査などを見ても、政権にかかわらず、年々内向き化しています。世界へのコミットについて、国民自体がノーと言っていることが様々なデータから見てとれます。
そうした状況の中で、我が国としてどのような事態を有事として、財政バッファーを見ておくべきかという点ですが、本日の資料では、金融危機、震災について丁寧に見ていただいていますが、国際情勢の有事についても、政府としては念頭に置いた余力の考え方が必要と思います。
残念ながら様々なことが同時に起きる可能性もございますので、こうしたことへの危機感、認識をどのように伝えていくことが望ましいのか、建議も含め皆様と議論させていただければと思います。
以上です。ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、田中委員、どうぞお願いします。
〔田中委員〕田中です。本年度もどうぞよろしくお願いいたします。
私も2点ほどお話しさせていただきます。まず、豊かな地域経済について14ページでお示しいただいたのですが、このスライドにおいては、地域資源を生かした産業の創出により、特色ある成長や新たな雇用、地域への人材、観光・交流人口の誘引、ひいては個人消費の拡大が図れるような可能性を増大していくきっかけが伺えます。地域への投資は様々ありますが、社会課題の解決が確実になされて、成長につながり成果が出せるのかということを丁寧に見て、PDCAを促すことが大切だと思います。
二つ目は33ページで。皆様ご指摘の財政の強靱化のところですが、やはり強靱化というからには、しなやかさとスピード感、また対策を取ることによるスムーズな進捗が本来の姿です。持続可能な財政の運営を進めていくために、財政の再建など様々な改革が必要であることをさらに分かりやすく訴求していきたいと思います。また、各セクターの負担の在り方、その意義を説明していく必要があると思います。非常時の大規模な財政出動による財政インフレのリスクというのは、海外の事例や、また日本における過去の経験の分析も、このようにエビデンスを示していただいていますので、これが共通認識になるように努力をしていくべきだと思います。
そのためにも、財審の議論で提言する方針の実行によって与えることのできるインパクトの可視化や、あるいは議論の中の思考の可視化のようなこともできればと思います。今回、国の財務書類に関するダッシュボードについてご説明いただきました。次世代への思いも踏まえて、社会的な合意を取るためには、複数のデータを一つの画面にまとめて、一覧表示の形で可視化をするこのダッシュボードはとても分かりやすいですし、是非ニュースや記事、論文や記事原稿などでも、積極的に引用、活用いただけるように促すことができればと思います。
以上、よろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕それでは、土居委員、どうぞお願いします。
〔土居委員〕今任期でも、またよろしくお願い申し上げます。
まず資料4、令和7年度予算についてです。予算成立が年度内にできたということは大変喜ばしいことだと思っております。特に私が特筆すべきだと思っているのは、国債発行額が30兆円を下回り、公債依存度が30%を下回り、さらに25%を下回るというところまで導けたというところです。これは、当初予算ベースでいうと1998年以来27年ぶり。それぐらいこれまで公債依存度が相当高い時期を長く続けていたということですので、まずはこれを次のステップへの転換点につなげていただきたいと思っております。ただ、1998年はその前年の1997年に大手金融機関の破綻があり、日本経済は金融危機にあったという状況でありました。その後、補正予算が組まれて、結局決算ベースでは公債依存度は40%になってしまったということなので、こうしたことが今年起こらないことを本当に心から願うわけです。
財政総論に関連して今の話を引き継ぎますと、有事という言葉が何名かの委員から出てまいりました。確かにそうなる可能性があるというところについては危機感を共有するところですが、有事という言葉を悪用されないように、是非今後の財政運営についてはお願いしたいところです。資金繰り支援というのは財政投融資などで対応できるわけであり、財政支出でなく、違う方法で対応すべきであるという考え方もあるわけでありまして、何でも財政支出を出せばよいというのは間違っているのではないかと思います。
特に今回の関税ショックというべきものは、リーマン・ショックのときの輸出急減を想起させて、世界同時不況を想起させるということではないかと思います。もちろんあれほど急激に来るかどうかは全く予断を許しませんが、当時の日本政府もリーマン・ショックで不況対策をしたわけで、あの対策の検証がやはり重要です。本当に役に立ったものもあるとは思いますが、役に立たなかった財政支出のバラマキというものがあったとすれば、今回は絶対そうしたことはしないようにするという検証と、二の轍を踏まないという決意が私は必要であると思います。特に物価が上がっている状況ですので、資料にもありましたように、財政インフレを助長するようなことをすれば、かえって国民生活を悪化させてしまうということも今回は気にしなければならないと思います。
特に、もし個人の所得が減るということがこのショックで起こったとすれば、むしろ個人に対して所得補償をする政策が有効であります。企業を丸ごと温存する形の政策、例えばコロナ禍での持続化給付金のような形のものは、個人、国民の生活を守るというためには必ずしも的確でなかった可能性があります。その点はしっかり効果を見極めながら政策を打っていただきたいと思います。
最後に、プライマリーバランス黒字化を実現した後の財政健全化目標ということを考えますと、資料にもありましたように、数値目標を掲げるということは極めて重要だと思います。特に債務残高対GDP比をいつまでにどのぐらいまで引き下げるかということについての目安というものは、しっかり皆で認識していただきたいわけでありまして、特に主要政党の間でのコンセンサスは重要かと思います。特に少数与党内閣ですので、野党にも御協力をいただかなければいけないところがあると思いますし、選挙時にSNSが跋扈することを御懸念される方もおられると思うのですが、一部のヨーロッパ諸国では、そのような影響は全くないという話もあります。それにはバックグラウンドとして、国民の基本政策に関するコンセンサスがあり、多くの国民はコンセンサスがあるからSNSに惑わされない、こうしたようなことであると思いますので、是非そのコンセンサスを、財政ルールについても構築していただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、宮島委員、お願いします。
〔宮島委員〕ありがとうございます。今期もよろしくお願いいたします。
危機に備えたバッファーをつくろうという議論をしてきた中で、コロナの後、十分に財政を締め切れないうちに次の危機が来たなと感じております。コロナのときにやった、あるいはリーマン・ショックのときにやったことがどうだったのかという反省は十分に生かして取り組む必要があると思います。例えば給付金は、必要であったとは思いますが、労働移動を妨げた、あるいは新陳代謝を妨げた部分があるのではないかという視点を持って、前にやった失敗は今回は絶対しないという形で取り組んでいただければと思います。
それで、財政は常にメリハリをしっかりするというお話になるのですが、このメリハリというのが結局、人によって違うということが、そもそもの問題にいつもなるのだと思います。やはりみんな、自分が関与しているところだけは大事であると思っていて、人がやっていることは大事ではないと思いがちで、ここに対して財政の軸をしっかりと表明していくことが大事であると思います。
このところ、財務省をはじめ、いろいろなことに対する批判に関しては、非常に筋が違うものもある一方で、聞くべきところもあるのではないかと思います。というのは、財務省が今まで軸を説明してきたのに、その軸と違うと思われるお金の使われ方がされているということはやはりあると思います。プロセスというのは、皆そんなにきちんとフォローしていませんから、結果的にはお金を締めたかっただけなのではないかと思わせているところがあります。2月に吉川委員が、高額療養費は、今まで言ってきた大きなリスクに備えるという方向と違うように見えたのではないかというようなことをおっしゃいました。例えば社会保障では、全世代社会保障と言いながら、実際には高齢者に対して甘いのではないかという部分はやはり残っています。きちんと軸を通して、取れるところから取っているわけではないということを示せているかということは非常に重要だと思います。
特に春の建議は全体の概論なので、同じメリハリをつけるのでも、私たちはここにしっかりと充てていくのだということを示して、議論においてもそこを外さないことが重要だと思います。世の中の人は財政に対して心配がないわけではなく、文句を言っている人たちばかりではないと思うので、そこをはっきりと世の中に示しながら議論していくことが大事かと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、山口委員、どうぞお願いします。
〔山口委員〕日本アイ・ビー・エムの山口でございます。今回から初めて参加いたします。どうぞよろしくお願いいたします。経済同友会では経済・財政・金融・社会保障委員会の委員長を担当しております。
先ほどの御説明を伺って感じたことは、これは財政再建という大きな10年プロジェクトを今キックオフしたのだなと、感じました。1年後にはGDP比2%のPB黒字、10年後には累積残高ベースで30%減の達成というように、プロジェクトゴールを明確にしていくことは、プロジェクトの成功に向けて極めて有用であると思います。その上で、そのゴールをブレイクダウンして、私たちは今後どういった作業項目を具体的にいつまでにやっていくのか、その優先順位をしっかりとつけて明確にしていくことが、今後極めて重要になってくると思います。
くわえて、そのゴールが達成できなかったときに、例えば、有事に十分な対応が取れない、または国債の格付が下がってしまったときに、日本の社会や企業、個人にどのような影響が出るのかということを、分かりやすく公開していくことが必要と考えます。
財政健全化と並行して、企業が国内投資、そしてイノベーションを含む生産性向上を加速させていく必要があり、そのための様々な支援策が今後具体化されると思います。ただ、単に支援を行うだけでなく、支援の結果国家財政にどのようなプラスの効果が期待できるのかということを、しっかりと紐づけて説明するようにしていく事が必要と考えます。
財政健全化という10年超のプロジェクトの計画書として、いつまでに何ができて、仮に実現できなかったらどういう問題が起こるのかが明記されている事が理想的であると考えます。ただし、そのプロジェクトの前提条件というのは、世界情勢や政治の状況で変わっていくますので、必ずしも最初につくった計画が最後まで機能するわけではありません。状況に応じて柔軟に対応していく、前提条件が大きく変わったときには、方針も大きく変えていく、そうしたことを念頭に置きながら、議論を継続していくことが重要だと考えます。
以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、ここでオンラインに移ります。櫻井委員、それから堀委員から御発言いただきます。
初めに櫻井委員、どうぞお願いします。
〔櫻井委員〕ありがとうございます。初めまして。今年度より臨時委員となりました、一般社団法人GENCOURAGE代表理事の櫻井彩乃と申します。私は、日本のジェンダーギャップ解消に向けて、全国の若者や地方自治体と共に地域課題の解決に取り組んでおります。また、そうした活動の中で、若い人や女性たちから得た声を政策に反映するようなことも行っております。皆様のようにこの分野の専門家ではないのですが、この国の未来を担う次世代として意見をさせていただくと、正直なところ、今、期待よりも不安が大きいと思いながら日々生活しております。だからこそ、現場のリアルな声、そして若い世代の声を皆様にお伝えできたらと思っております。私からは2点、資料からお話しできたらと思っております。
資料の4ページに、女性や高齢者の労働参加率も高まっているというようなことが書かれておりましたが、まだ多くの女性が、いまだに非正規や短時間労働にとどまっており、正社員としてのキャリア形成や、今言われているようなリスキリングの機会に十分アクセスできていないと思っております。人的資本が十分に活用されていないので、こうしたところをより伸ばしていけるのではないかと思っております。
また、地域の若年女性の流出について書かれておりました。私自身、特に地方の若い世代と対話を重ねることが多いのですが、地元に残りたいが、自分らしく働ける職場がない、出産後戻る場がない、戻っても女性の場合は事務的なことしか職がない、補助的な仕事しかない、だからこそ、いわゆる地方と呼ばれる地域に希望を見いだせないというような若い世代の声を多く聞いております。昇進機会や意思決定への参画は、やはり性別によっての役割分担があるという考え方が残っており、また賃金格差の問題など、本当に公平性に欠けている現実があると思いますので、こうした女性たちが地域を離れている根本的な要因、地域によっても違うと思いますが、一個一個丁寧に見ていく必要があるかなと思っております。この点においては、今、厚労省なども取り組んでいると思いますが、すごく地方創生と人口減少に密接に関わっているかなと思っております。
最後に、今回初めて国の財務書類と、国の財務書類に関するダッシュボードの存在を知りました。非常に分かりやすいなと思う一方で、こうしたツールがあることや、財務省がどんなことをしているのかというのが、なかなか一般の国民には伝わりづらいと思っています。様々なSNSで財務省は炎上しているのだというところだけを切り取られてしまっていると思いますので、引き続き、国民目線に立った情報発信の取組をお願いできればと思っております。
ここの分科会における直接的なテーマではないと思いますが、やはり、女性がしっかりと働ける、生きやすい国をつくっていくことが今後の経済成長にもつながっていくと思いますので、そうした点でお話しできたらなと思っております。今後議論に貢献できるように努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕それでは、堀委員、お願いします。
〔堀委員〕今期もよろしくお願いいたします。
高齢化の進展や医療の高度化もありますし、本日御提示されましたように、医療・介護費の増加が見込まれます。人口動態などの環境変化を踏まえますと、年齢のみで区切る現行の後期高齢者医療制度、前期高齢者医療制度全体を見直すとともに、これまでも推進しているように、医療機関の機能分化・連携強化、効率的な医療提供体制の再構築が求められていると思います。社会保障は給付費の大きさから、歳出改革の主なやり玉といいますか、焦点になることが多いのですが、確かに無駄もあり、もったいない使い方をされているところもあると思いますので、見直すべきところは見直し、適正化すべきところは適正化すべきであると思っています。しかし一方で、国民の生活に幅広く関わるものであり、社会保障は分配という側面だけではなく、成長を支える未来への投資的な側面もあると思います。メリハリが重要であると思いますので、国民の納得、共感を得られるものになるよう、構造改革を今こそ進めるべきではないかと思っています。
先ほど片山課長より、社会保障支出と国民負担率の関係のスライドが紹介されました。ややデータが古いかなというのが気になってはいるのですが、基本はあまり今も変わっておらず、受益は中から上ぐらいあるにもかかわらず、実は負担は受益に比べると相対的に低いということが示されているのかと思います。ここでいう負担というのは、税金、保険料がメインですが、その保険料の中には企業の負担もあります。負担の在り方全体をどうするのかというのを真摯に国民的な議論をしていくべきではないでしょうか。
個別施策に焦点が当てられて、パッチワーク的に、できるところからするという対応が取られがちですし、予算を検討する上でも、個別施策や特定の施策の予算を他に移し替えるということが考えられることがあるかと思います。しかし人口動態の変化や有事に対応できるためには、社会保障と税の一体改革、全世代型社会保障改革への転換はもちろんのこと、負担と給付の在り方、社会保障と税全体の大きな枠組みを、アップデートではなくて、バージョンアップしていくことが重要なのではないかと思います。
特に日本の場合、社会保険方式といっても、保険と税の両方が入っています。厳密に保険方式ではありませんが、保険はいざというときのセーフティーネット、個人では賄い切れない社会的なリスクに備えるものだと思います。本日先ほど、小さなリスク、大きなリスクという議論がありましたが、改めて、何を社会的リスクとして、その社会的リスクに対してどのように対応していくのかを考えていく必要があるのではないかと思います。年齢、所得にかかわらず、予測不能なほど高額な治療が必要となるというのは非常に大きなリスクであると思います。がんサバイバーで、現役世代で働きながら療養している人もいることを考えますと、今回不安の声がたくさん上がった高額療養費の見直しも、見直しをするにしても、どのような形が国民の納得を得られるのかは議論すべきところだと思います。セーフティーネットは、いざというときに使えなければ意味がないと思いますので、財審の中で、繰り返しになりますが、大きなリスク、小さなリスクは何かを議論したこともありますが、改めてどのようなリスクにどのように応えていくべきかを検討した上で、歳出改革なり歳入をどうするのかを議論していくべきではないかと思います。
公平性の議論も、垂直的な公平性と水平的な公平性は、同じ公平性でも意味が違いますので、その辺をふまえて、丁寧に国民に説明して、財政の健全化と同時に、社会保障の持続可能性や経済成長が必要だということを理解していただけるようしていくのが今こそ必要ではないかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕遠藤委員、どうぞお願いします。
〔遠藤委員〕ありがとうございます。先週、Liberation Dayを挟んでDCに出張してまいりましたので、日米関係が財政に与える影響について考えてみたいと思うのですが、ハセット国家経済会議委員長や今回関税の交渉役に選ばれましたベッセント財務長官については、今回の関税措置については全面的に賛成の立場ではないように思われます。関税措置を指南したと言われているナバロ上級顧問と、政府効率化を率いるマスク氏との対立もありまして、今後の見通しというのはまだまだ不確定で、不透明であると思います。
トランプ政権に近い方々からは、今後各国との交渉の可能性があると聞こえてきます。当然のことで、総理も表明されていますが、まずは日本からも、対米への投資実績や安全保障上の連携における日本の重要性を丁寧に説き、もう既にいろいろと出てきていますが、関税対策のために補正予算を組むというような早々なメッセージ、これはチキンゲームから自ら降りるようなものなので、もう少し熟考していただきたいなと思いました。
一方、ちょうど昨日に当たるのですが、国防総省のナンバー3、コルビー国防次官が承認されました。先日、ヘグセスさんが来日されたときは波風を立てるものではなかったのですが、コルビーさんの著名な著書で『拒否戦略』があり、日米が肩を並べて戦う必要があると唱えています。具体的にはGDP3%の水準を示しております。安全保障環境を鑑みれば、米国に言われるまでもなく、抑止レベルの引上げは必須なのですが、43兆円の防衛費や今後の次期中期防衛力整備計画を踏まえて、安定的な財源の確保と社会保障の抜本的な改革が必要であるということは言うまでもありません。このように地政学上も財政状況も厳しい中で、消費税の減税など、短絡的なポピュリズムとも言われるような議論には、これまでどおりしっかり立ち向かっていただきたいと思います。
なおトランプ政権は、関税引上げの財源によって、大幅な減税を準備しているということはもう間違いなくて、法人税についてはシンガポールよりも低い、15%などという数字も上がっています。これで米国内の購買力が維持されて、米国への投資が加速すれば、ドル高の基調が続くため、日本の輸入インフレが加速するリスクにも注視しなければならないと思います。とにかく国内外極めて不安定な中での財政運営を強いられるために、財務省が本当に得意とされておられる調査分析能力を国内外の情勢において十分に発揮していただいて、基本方針から遠ざからない現実解を導いていただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、木村委員、どうぞお願いします。
〔木村委員〕本年度もよろしくお願いいたします。
御説明ありがとうございました。説明された内容には異存ございません。ただ、委員の先生方皆様おっしゃられているように、この資料を作られたときから経済情勢は一転しています。いわゆるトランプ関税、トランプ・ショックです。このトランプ・ショックで、財政運営にとっては二重の逆風になっています。既にあった一つは少数与党の逆風、ここにもう一つの逆風としてトランプ・ショックが加わってしまったということで、それだけに今後の財政のかじ取りというのは、厳しくなっていくということをよほど覚悟していく必要があるのではないかと思っています。
少数与党に関して申し上げれば、もちろん野党の意見も取り入れて予算をつくるというのは非常に大切なことなのですが、果たして今回の国会審議が、総理が強調されている熟議にふさわしい内容だったのかは疑問が残ると思います。資料にも挙げられましたように、高校無償化も、それを導入したことで公立高校離れをどう防ぐかや、教育の質の保障などの議論が尽くされたとは言い難い状況です。なおかつ今後の具体的な安定財源の確保が先送りされ、今後の財政運営に懸念を残すものになってしまったと思います。
それにさらに今回、もう一つの逆風であるトランプ関税が加わって、これは日本経済にも大きな打撃となるということで、今後、経済対策や補正予算を求める声が一段と高まってくる可能性もあります。特に、夏に参院選があるということで、政治的に財政出動圧力が一層高まるでしょうから、与野党が、言葉は悪いかもしれませんが、選挙目当てに大規模な財政出動を競い合う、少数与党の下で特にそれがどんどん加速していく事態に陥ることが強く懸念されます。
こうした状況にある中で、春の財審として何をアピールするのかということが問われていると思います。もちろんトランプ・ショックなどにより、低所得層や中小企業、零細企業が大きな打撃を被ることがあるとすれば、そこに財政的な手当ては必要であると思いますが、ただ、だからといって無駄玉を打つことは許されないと思います。これは先生方からも御意見ありましたが、コロナのときも、コロナ対策と称した便乗的な予算が目立ち、財審でも議論になりました。そうした事態を繰り返さないように、真に支援すべき対象に絞って財政支援する、小林慶一郎先生もおっしゃいましたが、そうした有事の際の財政ルール、方針を今後明確にしていく必要があると思います。世の中の一部では、トランプ・ショックもあって、いまだに財政健全化に固執するのはおかしいという批判もあるかもしれませんが、大槻委員もおっしゃいましたように、目先の有事で長期的な健全化を犠牲にすることはあってはならない、要するに将来世代にさらにツケを回してよいのでしょうかという話だと思います。無責任な言動には左右されないようにしていただきたいと思います。
最後に、資料でもプライマリーバランスの黒字化の重要性が示されましたが、これに対しても逆風が強まるかもしれません。もちろん金科玉条のように、経済状況を無視して何が何でも達成しなければならないというものではないかもしれませんが、だからといってトランプ関税を口実に、安易に棚上げするようになっては問題だと思います。6月の骨太の策定に向けて、このプライマリーバランスの目標をどう扱うかということが議論になるかもしれませんが、あくまでこのプライマリーバランスの黒字化というのは一歩にすぎません。資料では、2%弱確保しなければ、債務残高対GDP比を安定的に低下させるのは難しい、最終的に国債の格下げを避けるには、そこまでやらなければならないとあります。高い目標かもしれませんが、それだけの努力をしなければならないことが示唆されたということで、その一歩にすぎないプライマリーバランスの黒字化の早期の達成、目標の達成は、是非骨太でも維持していただきたいと思っています。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、小林委員、どうぞお願いします。
〔小林(充)委員〕今期より臨時委員を拝命いたしましたNTT西日本の小林と申します。関西経済連合会では副会長を務めさせていただいておりまして、両方の観点からいろいろ御意見を述べさせていただければと思います。
まず、情報通信基盤、インフラを保持してサービスをしているという立場から申し上げますと、やはり社会インフラが今、大変な状況になっている。これから先を見通したときに、どうやってそれを計画的に保持し、維持していくのかというような観点が重要です。それから、資料の中にもございましたが、やはり日本の少子高齢化や労働人口の減少に対してはいろいろな手段があると思います。DXというのは非常に大きなツールになるのではないかと思いますので、このような観点からいろいろ御意見を申し上げられればと考えております。また、関西あるいは地方を代表して、地方はこうなっているというようなことも、この場でいろいろ御意見を申し上げさせていただければと思います。
財政健全化につきましては、本日いろいろ御説明いただきましたが、やはり待ったなしの状況になっているというのは、委員の皆様共通の認識ではないかと思います。ただ、過去の経験、あるいは現在置かれている状況、それからこれからのいろいろなスコープを鑑みたときに、課題というのはある程度明確になっているのではないかと思います。それをいかに実行していくか。それから、それだけではないと思いますが、プライマリーバランスの黒字化もある程度スコープに入ってきているということですので、関税の問題ももちろんありますが、いかに力強く財政健全化を進めていくかにおいて、今年度は勝負の年になるのではないかと思います。一方で、均衡縮小ということだけではなくて、やはり日本の成長につながるような、例えば中堅・中小企業、あるいは活力ある地域社会というようなところに対しては積極的に国としても投資をしていくべきと思います。ワイズスペンディングの観点も是非取り入れながら議論をさせていただければと思います。
今回のこうしたようなことを進めていく上で、仕組みを2点、御提案させていただきます。1点は、独立財政機関の設立の必要性でございます。これは従前からこの審議会でもいろいろ議論があるやに聞いておりますが、やはり日本が様々な財政の課題を抱えている中で、中長期的な視点に基づき、かつ中立的な立場でいろいろなものをチェックする、あるいはスコープを出すということが非常に重要な軸になっていくのではないかなと思います。そのため、独立財政機関というようなものを、もう一回前に進めるような議論があればというのが1点でございます。
それから2点目は、実は恥ずかしながら、この委員に就任させていただいて、こうした課題をやらなければならないということを再認識させていただいたのですが、国民一人一人がどこまで自分事で考えられるかというのが非常に重要ではないかなと思います。特に若い方です。負担も、あるいは受益も若い方に全てかかってくるということですので、財政健全化を含めて、これからの日本社会をどうやっていくということに対して、もっと若い方に興味を持っていただく、あるいはそれに対して意見を発信していただくことが非常にこれから重要になるのではないかと思います。
そうした意味でいいますと、当分科会でも、若い方を含めて国民にメッセージを出していき、教育や広報のようなことも含めて、トータルでこの問題について一人一人が自分事として考えられるような形がつくっていければと思います。
私からは以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、中空委員、どうぞ。
〔中空委員〕ありがとうございます。今期もよろしくお願いします。
今いろんなことが世界で起こっているわけなのですが、やはり財審としては、あまり周りにたぶらされることなく、財政健全化をきちんと言っていくということが改めて必要なのだと思います。その意味で簡単に3点申し上げたいと思っております。1点目は、ドイツやフランスからのインプリケーションです。何かというと、ドイツは今般、債務ブレーキを緩和させました。片山課長の話の中では、だから金融市場もネガティブに動いたよねというお話だったのですが、一方、株式市場では、やはり防衛費にお金が出るのだということで、ぐっと上がったりもしたわけです。何が言いたいかというと、結局、何かというときにお金を動かせるということがどれだけ大事かということです。日本に関しては、債務が大き過ぎて何もできない、かといって、イノベーションをやるにも、そのお金もないという状況だと、やはり株価を上げようがないよねという面もどうしても出てしまったと思うのです。なので、ドイツの学ぶべきは、あれだけきちんと債務を管理してきたということなのかなと思います。
一方、フランスについては、一緒に格付が下がったことを紹介されましたが、下がっていて、やはりそれなりにビジネスに影響は出てくるわけなのですが、それでもAの一番上という状況です。フランスは最近、マクロンが防衛ファンドをつくろうと言い始めていて、これは課税でもない、財政を脅かすわけでもない、新しいやり方なのかもしれないので、少しこの会でも勉強したらどうかと提案したいと思います。
それから2点目が、今回の発信についてです。今、小林委員からも独立財政機関の話をしていただきましたが、見やすさというのは必要だと思うのです。先ほど堀委員がおっしゃっていた、12ページの社会保障支出と国民負担率の関係の資料、それから国の財務諸表の話でいくと3ページなど、財務省問題論を出している人たちに対して、どうしても説明したいところがぐっと入っている、要素が入っている絵だと思います。こうした分かりやすい表をどれだけうまく発信していけるかということは重要なのかなと思います。
最後にもう1点。基本的にはプライマリーバランスの黒字化の新しい目標をどう設定するかということだと思っています。プライマリーバランスの黒字化は未達でしたということでいいのか、それとも、仮に2025年度は駄目でも、2026年度は達成すると言うべきなのか。もちろん今回、プライマリーバランスの2%分の余力をつくりましょうという大きな目標も立っているので、それはそれでよいと思うのですが、目標をどう再設定するか、これは財審として考えてもよいのかなと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、平野委員、どうぞお願いします。
〔平野委員〕ありがとうございます。今回は初回ですので、この春の財審の大きなテーマからお話します。
まず、御説明いただいた7ページのフレームワークに関して、先ほど山口委員もおっしゃっていましたが、人口減少下での経済財政政策を10年の長期的なプロジェクトとして進めていくという構えは非常に良いと思っています。今回あげられている3本の対策も正しいと思いますし、是非この議論をこの春の財審で進めていきたいと思います。
次に、先ほどから皆様がおっしゃっている有事対応に関しては、今後どう転がるかはまだよく分かりませんが、恐らく国会では有事という声が強まり、様々な財政措置が求められることになると思います。これについては、土居委員や宮島委員がおっしゃっているとおり、過去の様々な事例やケースに学びながら、是非有効な対策を十分絞り込んでいきたいと思います。
次に、財政健全化というテーマに関しては二点申し上げます。
1点目は、先のお三方も言及された2026年度以降の財政健全化目標の設定に関してです。今、インフレ税で得られた利得を使うべきだという議論が出てきていて、具体的には180兆円という数字が独り歩きをしています。市場金利が上がれば、既発の固定金利国債が値下がりするのは事実ですが、第一に、市場で買い戻さない限り、益は実現しません。第二に、試算に当たっての前提条件が、そのまま実現すると考えるのは楽観的過ぎると思います。第三に、これが当たり前であり、かつ最も重要ですが、インフレによる税収増などに関して言えば、その一部を少なくとも既存の過大な債務の圧縮に充てるというポリシーを持つべきだと思います。ただ、インフレ税の還元を求める議論は恐らくこれからも出てくるので、そうした議論を封じる上でも、先ほどから皆様がおっしゃられているとおり、健全化目標のバージョンアップを図るべきだと思います。
今回33ページ以降で、有事という項目を立てておられますが、これは大変有効なアプローチだと思っています。大地震、あるいは地政学的な有事のリスクが高まる中で、大規模な財政出動に耐えるだけのバッファーを平時に確保しておくべきです。本当はそれらの事象が起こった場合のストレステストを実施して、それに備えて平時に国債を格上げしておくという観点から、中長期的な目標を設定するというプロセスを踏むのが望ましいと思います。今回53ページの上段に示されている、債務残高対GDP比を10年で30%程度引き下げた場合、2030年度にはコロナ前の水準に戻る、という分析は、本当にそれで十分か、さらに検討を深める必要はありますが、こうした目標設定は少なくとも、安定的に債務比率を引き下げるというだけで時間軸と目標水準のない現行のものに比べれば、間違いなく一歩前進であるし、現実的なものだと評価したいと思います。
2点目は、こうした目標を実現するための手段としての制度あるいは仕組みづくりの問題です。これについては、熊谷委員をはじめ何名かの委員もおっしゃったことと重なりますが、やはり一部の間で財政拡張を求める声がいや応なく高まるとともに、少数与党下で財源を置き去りにした政策決定に傾きがちな状況に歯止めをかけるには、今回の資料の47ページ以降で示された例も参考にして、財政機関あるいは財政ルールの導入を進めるべきだと思います。具体的に三つ申し上げます。
第一には、小林委員もおっしゃったように、独立財政機関を設置して、客観的かつ長期的な財政状況の予測と検証機能を持たせることが必要です。
第二には、中期財政フレームを策定して、向こう数年間、例えば3年、4年の補正予算を含む歳出総額をあらかじめ設定することが必要です。これは、51ページ以降でお示しいただいているルールの履行確保メカニズムのベースとして使えるものになると思います。すなわち、中期財政フレームをはみ出すような事態になれば、それに対する是正措置を速やかに発動するといった形で、この二つを組み合わせて使うことができます。
第三には、現状の歳出の目安のアップデートもしなければいけませんが、それに加えてペイアズユーゴーのルールを導入することで、政策の優先順位に応じてスクラップ・アンド・ビルドを進めるということも重要です。ちなみに、46ページに一部引用されていますが、今年のIMFの対日4条協議でも中期財政フレームワークの導入の必要性が強調されているということを最後に付け加えておきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕神子田委員、どうぞ。
〔神子田委員〕御説明ありがとうございました。今期もよろしくお願いします。
四つのことを言いたいと思います。一つ目は有事対応です。先ほどから出ていますが、この関税対策で、せっかくここまでデフレの完全脱却に向けて進めてきたのが後戻りすることのないように、ということです。補正予算はあり得るかもしれないのですが、やはり直近にあったコロナ対応を教訓に、ターゲットを絞って効率的にお金を使うというのを是非やっていかないといけないと思います。
二つ目は地政学リスクです。南海トラフについては、どの施設がどう壊れていくらぐらいかかるという数字が出ていましたが、地政学リスク、具体的には台湾有事などについても、実際に始まってしまうと、日本の意思に関わりなく、日本の自衛隊の基地や空港、港湾などが狙われるということもあるので、そんなときにいくらかかるのかというシミュレーションもあってもよいかと思うのです。これはあまりやり過ぎると、少し、他国を刺激してよくないということもあるかもしれないのですが、財政的にはそうしたのもあった方が良いかなと思いました。
三つ目。今回、少数与党ということで、野党の意見を取り入れながら国会で修正されました。これは議会が予算を決めるという、本来あるべき姿ではあると思います。やはり予算を通すために野党の言うことをいろいろ聞いていくと財政は膨らんでしまうということが懸念され、教育無償化では、今年度はそんなに大きくない額ですが、来年度は4,000億という大変な大きな額が増えるということに関して、あまりにも短期間で決まってしまったという批判があると思うのです。
例えばこの資料にも、自民、公明、維新の合意の中に、公立と私立の関係、現場レベルの負担といった論点について十分な検討を行うという、要はこれから検討を行うと書いてありまして、いや、検討を行ってから予算決めるべきだろうと強く思ったわけです。どうしてこうしたことになってしまったかというと、やはり日頃から、政策の必要性の吟味や別の政策と比べたプライオリティーの考慮、財源をどう確保するか、予算執行の効果はどうだったかの検証などをやはりやっていないから、国民全体にこの規律が身についていないのかなというところがあるのです。その意味で、特に予算に関しては、効果的に使われていないどころか、そもそも使われていない予算、不用も出てきているので、やはり私は、この財審でも前から提案しているのですが、夏の決算時に、どう予算が執行されたのかを振り返る財審の回をやったらよいのではないかと思います。
最後に、四つ目。若い人に関するアプローチの話も出ていましたが、最近、手取りを増やすといった政治主張に耳を傾ける人が増えていて、それはやはり手取りが足りないからということで、増やすというのはもちろんよい主張だと思うのですが、ただその結果、そのツケを誰が負うのかということ、後世に負担がかかるということをやはり理解してもらった上でそうした主張をしてほしいなと思っています。その理解という意味で、最近、NHKで、YouTubeで、ラップを使って国の予算を3分で説明するというチャレンジングな取組があります。実際それを見ただけでは理解はできないのです。できないのですが、やはりそうした発想で若い人たちに、少しでも財政に興味を持ってもらうということが必要かなと。
幸か不幸か、この財審のメンバーというのは、私を除いて功成り名を遂げた人たちが集まっています。どうしても年齢層が高めになって、なかなか若い人の関心が想像しづらいところがあります。その辺は土居先生の教え子世代や、そうした人たちに知恵を借りながら、YouTubeで動画作るのはそんなに予算がかかることではなくて、やはり発想のユニークさと、分かりやすく作る仕立てのよさのようなところでアプローチできると思うので、是非そうしたふうにして若い人にもアプローチしていけたらなと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、横田委員、どうぞ。
〔横田委員〕ありがとうございます。今期もどうぞよろしくお願いいたします。
私からは、まず8ページ目について2点コメントします。資本政策、資本の有効活用とイノベーションというのは非常に重要な点です。最近気になっているのが、やはり買収、TOBの話で、優良な日本の中小企業に海外企業が目をつけて、円安も背景にあり、注目をされているという点。悪いことではないのですが、そこになぜ日本企業は投資をしないのかという考え方もあります。そうした点も少し広く見ながら、きっちりと日本企業を成長させていくという芽があることをきちんと見ていきたいというのがまず1点目になります。
労働の件は、先ほど櫻井委員、よい御意見だったと思います。女性は短時間でもより高度な仕事ができる可能性を秘めており、数だけで見ずに、質を見るということも必要です。また、リスキリングに関しては、教育訓練だけではなくて、副業などを通じた実践的な場が、ミスマッチを防ぐ面でも非常に重要だと思いますので、そうした面も取り入れた施策を検討いただきたいと思っております。
次に、有事対応についてです。ご説明では30年に4回と示されていましたが、2017年から見ると3回になり、6年に1回ということで、いつ平時はあったのだというのが正直な感想です。ずっと有事対応の予算を組んでいるのではないか思います。皆様がこれまでおっしゃっておられますが、入口と出口を決めることはもちろんですし、有事の定義についてもしっかり決めるべきだと思います。南海トラフに至っては、有事という名前でよいのでしょうか。特例事態とか、超有事とか、そうした別枠になってくると思いますので、有事か超有事か分かりませんが、そうした超有事のための対策のバッファーを設けておくということが重要なのではないかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、吉川委員、どうぞお願いします。
〔吉川委員〕ありがとうございます。私からはトランプ大統領の関税ショックについて、いくつか発言させていただきます。
先ほどから、今、横田委員からも出ましたが、有事や、場合によっては国難という言葉を使われる方もおりますが、有事なので財政出動をするのは当然だろうというのはやはり乱暴に過ぎる。日本の財政はそんな乱暴な議論で運営できるほど余裕はないと思っています。いくつかあります。
まずは、この関税ショックというのはどういうショックかということを確認する必要があります。取りあえずは関税なのですが、場合によってはもっとひどい結果、アメリカ自体が不況入りする、そうした可能性も十分あるわけです。それが第一義的に日本経済にとっては輸出減、もちろん今回の場合にはサプライチェーン云々の複雑な問題もあるのですが、取りあえずは輸出減ということでもちろんみんな考えているわけです。これとの関係で、私は土居委員が先ほど言われたことにセカンドしたい。つまり、いくつかの有事の中で、御存じ2008年のリーマン・ショックは世界的には金融危機で、これは欧米の場合にはまさにそうだったのですが、当時日本の金融システムは、システム全体として見れば悪くはなく、日本経済にとっては前例のない大幅な輸出減だったのです。経験したことのないような輸出減少、これが2008年から2009年の頭まで日本で起きたことです。土居委員がおっしゃったことと完全に重なるのですが、私もあのリーマン・ショックのときの財政検証はきちんとやってみるべきだと思います。いろんな政策が取られたと思うのですが、どういう政策が本当に奏功したのか。ネガティブなショックがあっても、財政にできることとできないことというのはあるわけです。
まとめますと、まず第一に今回の関税ショック、驚天動地のことであることは事実なのですが、まずは当面は見極める必要がある。と同時に、もう何人もおっしゃっているとおり、少子高齢化の波は変わらない、自然災害のプロジェクションも変わらない、こうした中で大幅な輸出減にどのように対応すべきなのか。これは、繰り返しになりますが、リーマン・ショックのときの経験を十分に検証してみる必要があると思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
ちょうど時間ですし、委員の発言もほかにないようでございますので、ここまでとさせていただきます。春も秋も、この春も5月になると思いますが、建議の取りまとめをします。その中でかなり時間を取って、いろいろ御見識をいただき、建議の内容等を調整するプロセスがございますので、本日御発言いただいたことにつきましては、その際にまたいろいろ御意見を頂戴できればと思います。
本日の会議の内容につきましては、この会議の後、記者会見で御紹介をし、詳細につきましては、後日、議事録を公開させていただきます。
次回は、4月15日火曜日、午前9時から財政制度分科会を開催し、議題は、各論Ⅰの活力ある経済社会の実現、安心で豊かな地域社会の確立です。こちらのパートを議論させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
それでは、本日はこれにて閉会いたします。どうもありがとうございました。
午後04時00分閉会

