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財政制度分科会(平成30年3月30日開催)記者会見

平成30年3月30日
財政制度等審議会 財政制度分科会

 
〔田近分科会長代理〕 本日、14時より、財政制度等審議会財政制度分科会を開催しました。議題は2つございました。1つは、NIRA総合研究開発機構から、森田朗 津田塾大学総合政策学部教授と、岩本康志 東京大学大学院経済学研究科教授のお二人をお招きして「人口変動が突きつける日本の将来」という資料に基づき、今後の日本の社会保障給付費の推移について御報告いただきました。2番目が海外調査報告ということで、この2月に4班に分かれて海外に行きました。これは、財政健全化の取組について調べてきた結果のご報告ということです。全体的に言うと、本日は何かのテーマで審議した、あるいは意見を交わしたというよりも、報告をもとに意見交換をしたということです。

 まず、NIRAの研究結果報告についてです。概要だけ申し上げれば、2041年までを見据えて、社会保障、年金、医療、介護、子育ての費用推計を行ったということです。

 4ページに結果が書いておりますが、2016年度における対GDP比の社会保障給付費が21.5%、これがぐいぐいと上がっていって2041年度には24.5%になりますと。金額も、ここに書いてあるとおりです。その推計の姿を見せたということは大変価値がある仕事だと、会議でも皆さん高く評価していました。

 そして、5ページにその内訳がありますけれども、実はその中で医療も介護も伸びていきますけれども、対GDP比の公費負担も伸びていく。2016年度の3.5%から、2041年度は対GDP比で2%増、つまり10兆円以上伸びてしまうわけです。だから、介護の伸びが非常に大きいというのが岩本先生の御指摘になったポイントの一つです。

 7ページの右側ですけれども、年齢階層別の1人当たり医療・介護費を御覧になっていただくと、初めて見た方は驚くかもしれません。年齢が増してくると介護費が高くなってくるということです。

 今、かいつまんでNIRAの研究結果の内容について申し上げましたけれども、10ページに今後必要となる論点とありますが、これだけ負担が上がるわけですから、負担構造の見直しは避けられないということです。人口構造の変化にフォーカスした今回の推計だけでも、消費税率で6%分の税収に相当する給付規模の拡大があり、先ほど言った公費比率が上がる。

 医療についても、今後の推計を上振れする可能性がある。また、年金については、マクロ経済スライドによって高所得者の中で生活に苦しい人が出てくるかもしれない。そのような御報告をいただきました。

 こういった内容なので、委員から出た質問も非常に具体的で、厚生労働省との試算の違いは何かという御質問や、このように財政支出が増えていくと、今度、それが経済に与える影響はどうなるのかという御質問、推計期間をもっと伸ばしたらどうかという御意見、あるいは高齢者の労働参加率をどう考えるか等という御質問がありました。

 全般的な話としては、岩本先生たちは、経済の推計のベースとして成長実現ケースではなく、ベースラインケースを使用しています。ベースラインケースで試算していることに関して、委員の方から、こうした推計は是非ベースラインに基づいてするべきで、その価値は高いという御意見がありました。また、我々の仕事に関わるのですが、財政が厳しいことは確かで、それをきっちり捉えなければいけないけれども、それをどのように国民に訴えていくのか、あまり直接的に訴えて、かえって消費が萎縮したりすることがあってはいけないと、そのような御意見がありました。

 これは我々にとっては大変貴重な御報告で、NIRAのホームページにも資料が載っていますので、これを参考資料の一つに使っていきたいと思います。

 次の議題は、海外調査ですけれども、これは資料3、4と参考資料です。膨大な資料があり、委員の皆さんからも大変御苦労だったというお言葉がありました。

 資料3の1ページ目に調査先が書いてあります。全部で4班あり、イギリス、イタリアには遠藤委員と~子田委員に行っていただきました。次に、フランス、スウェーデン、OECDには赤井委員と宮島委員に行っていただきました。ドイツ、オランダ、EUというのはベルギーの欧州委員会ですけれども、そこには土居委員と私とで行きました。北米のアメリカ、カナダ、IMFには、大槻委員が行かれたということです。

 資料3がその報告ですけれども、建付けとしては、資料4の報告に先立って、そこで触れられている各国の重要なことを取りまとめたということです。ぜひ後で御覧いただければと思います。資料3のつくりは、各国の取組、調査から得られる視点@、Aと続きますが、目標設定から始めて、その目標をどのように実現していくかということです。それから、目標を達成していくための目安や方法はどうあるべきかというテーマに続きます。そういった目安や方法には歳出コントロールを含みますが、そういったことを議論して、最後は目標をきちんと評価するべきという話、またそれを政治的にどうアピールするかというような形で、分かりやすく作られていると思います。

 財政健全化目標の設定に当たっては、堅実な経済予測を立てて、政治のコミットメントを確保するべきだ。これは、その後、フロアからも大きな関心を呼びました。つまり、財政健全化に対する政治のコミットメントをどうやって確保するのかということです。

 2番目ですけれども、これも重要だと思いますが、信頼性の高い目標設定と、それを実現するメカニズムというのは、社会保障制度に対する不安の解消、マクロ経済のパフォーマンスの改善につながるということ。

 第3に、先ほど言った歳出の目安を設けますから、好況時には歳入が上振れして健全化に活用される。実は、日本はGDPギャップがもう解消されようとしているわけで、そうした中でまさに財政を健全化すべきだというのがここのレッスンの一つだと思います。加えて、わかりやすい言葉で財政健全化の必要性を訴える必要がある。

 最後、逸話的になりますけれども、私も調査に行ったオランダの話ですけれども、資料4の46ページ「オランダ:財政健全化に対する国民意識」というページの右下に、オランダ財務大臣室に飾られている「セイレーンの誘惑」というタイトルの絵があります。これは、ギリシア神話のストーリーですが、オデュッセウスが船で海を渡っていくときに、妖精セイレーンが現れて、その美しさに惑わされて船が座礁してしまう。そこで、帆に体を張りつけたオデュッセウスが、その誘惑に負けまいと必死に頑張っている。その姿は財政健全化という難しい航海で誘惑に負けない絵姿だということで財務大臣室に飾られているという話を私も聞いてきました。

 各国の話については、本日、事務方の担当者もいらっしゃいますから、個別に質問があればいただくということとし、全体的にはやはり堅実に、きちんと経済予測して、プランを立てて、政治的なコミットメントを確保することで、将来不安が解消されるだろうというようなことです。それを、プランを立てたら終わりということではなくて、サイクルとして回していく。言ってしまえば簡単なようですけれども、そういった話を各国のケースで御説明いただいて、フロア全体としても納得したという感じでした。

 以上です。

〔幹事〕 1番目のNIRAの推計は財審のために推計してくれたというものですか。

〔田近分科会長代理〕 いいえ、彼らが行った推計をここで報告いただいたということです。

〔幹事〕 では、本日、財審の場で初めて公開したのですか。

〔田近分科会長代理〕 そうではありません。ホームページに載っております。

〔幹事〕 では、少なくとも財審が委託して、財審のためにというものではないと。

〔田近分科会長代理〕 ないです。

〔質問〕 財審の今後の展開については、どのように御予定されているのでしょうか。

〔田近分科会長代理〕 経済財政諮問会議で取りまとめるのが6月辺りでしょうか。それに向けて、当初から申し上げているように、財政制度分科会でも、日本経済、そして財政健全化の筋道をどうつけるか、新しいプランの考え方はどうなのかについて建議を出すということになっています。もちろん、社会保障などの幾つかの主要な予算のレビューも、毎年のことですが、行うつもりです。そのためのインプットを、今、行っているということになると思います。

(以上)

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