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財政制度分科会(平成30年3月14日開催)記者会見

平成30年3月14日
財政制度等審議会 財政制度分科会

 
〔田近分科会長代理〕 本日、15時30分より、第2回目の財政制度分科会を開催いたしました。

 本日は、講師として、熊谷亮丸・大和総研チーフエコノミスト、それから大島周・みずほ銀行常務執行役員、その2人をお招きしてお話を伺いました。熊谷さんからは「日本経済と財政健全化について」という大部な資料に基づいての御報告、それから大島さんからは「「高格付け安全資産」としてのJGB(Japanese Government Bond)の重要性と財政再建」をテーマにお話をいただき、質疑を行いました。

 通例どおり、委員の個人名を伏せて主な意見をまず御紹介していきたいと思います。

 ということで、本日は2つの報告と、それに対するディスカッションを行ったということです。

 熊谷さんの資料をめくっていただいて、1ページ目の「ポイント」ですけれども、私も含めて、多くの委員の方からも、日本の経済と財政健全化の果たす役割について非常に分かりやすい御説明をいただいたという印象を持っています。

 できればこの最初のページの「ポイント」というところを見ていただければいいのですけれども、アベノミクスの成果と課題というところで、これまでマクロ経済的にアベノミクスの果たしてきた意味を御説明になって、ポジティブな評価はしつつ、残された課題として、労働市場改革の問題を挙げられました。

 また、世界経済には下振れリスクが山積というところで、彼が使った言葉で言うと、資料6ページの「ジョン・F・ケネディ大統領の名言」ということで、「屋根を修理するなら、日が照っているうちに限る。」というところで、世界経済を見ると、日が陰っているところもあると。陰り始めたところもあると。だからこそ、今、財政健全化しなくてはいけないと。

 それで、メインは財政再建が経済に及ぼす影響というところで、財政赤字、あるいは大きな国の債務がむしろ将来不安を通じて貯蓄率を押し上げ、経済にマイナスの影響を与えているのではないのかと。したがって、その元凶である社会保障をしっかり改革すべきだということでした。24ページを御覧いただくと、これはいい表だと思うのですけれども、将来不安を解消していく過程で、最初はマイナスショックがあるかもしれないけれども、それは将来的には好循環になるのだということをマクロの自己回帰モデル等で説明しています。

 そういうことで、結論的に言うと、最後のWですけれども、いわゆる名目GDPの成長率が長期金利より高い、そうであれば、債務残高対GDP比の分母の方の伸び率が高いですから、その比率は下がる、あるいは増えていかないわけですけれども、それはそんなに甘くはないだろうと。それも踏まえて先ほど言ったような歳出の適切な管理が不可避ですよと。それに伴い、また晴れた日にはきちんと歳入の手当てもすべきだということで、消費税の話に繋がるわけです。

 そういうことで、分かりやすい大切な御報告をいただきました。私も聞いていて大変参考になりました。

 次に、大島周さんから、みずほ銀行のマーケットの方ですけれども、日本国債のはらむ潜在的なお話を聞きました。先ほどと比べると、国債というフォーカスから議論をされたわけです。

 端的に言うと、彼の最も言いたかったことの一つは、今、日本国債の格付は高いかもしれないが、これから金利等が上がって国債価格がどうなるかわからない。それは皆さんも御案内のとおりです。しかし、彼の指摘は、今、高格付安全資産である日本の国債を通じて、日本の銀行がそれを担保にして国内外、特に海外へ様々な形で進出をしたりしていると。ところが、その担保に差し出している国債評価価値が下がったら、そのようなリアルの活動にも影響を及ぼしますよと。その潜在的なリスクをしっかり見極めてくださいというところで、まさにゼロ金利、マイナス金利の中で日本の銀行の抱えている問題、その接点として日本国債の話をされたと私は聞きました。

 以上が、2人からの御説明の概要でしたけれども、本日はそういうわけで、財政の具体的な問題についてというよりも、日本経済、それから金融政策、財政政策、あるいは日本国債と、大きな話についてディスカッションが交わされました。

 かいつまんでどのようなことが議論されたかを御紹介すると、やはり先ほど私が申し上げたように、財政健全化が実体経済にどのように影響を及ぼすのかと。そのシークエンスというか、リンケージをどう考えたらいいのかという御質問がありました。それに対して、先ほど申し上げたように、将来不安によって貯蓄率が上がってきているので、この不安が下がって、一定の時間を置けば、貯蓄率も下がって、景気が改善されるのではないのかというようなディスカッションがありました。

 それから、社会保障の在り方が重要だというのは我々もよく分かったのですが、では、一体どのように具体的に考えたらいいのかということで意見が交わされました。これはもう財審で色々やってきた話ですけれども、本日の議論で出てきたのは、受益と負担のバランスを考えるべきだと。高福祉・低負担の状況があると。そして、将来世代に負担を付け回しているという状況があると。これを改善すべきだというような話がありました。

 それから、秋の建議で申し上げたように、2020年度を目途として国・地方のプライマリーバランスを黒字化させる、均衡させるということが実態的には実現しなくなったわけです。そのゴールをどう考えていったらいいのかという点は、この春のこの分科会の最大の論点ですけれども、その財政健全化目標をどのように達成するのかと、それをどのように示すのかというような御質問、そして意見が交わされました。先ほど申し上げたように、2020年度の国・地方のプライマリーバランスの黒字化は実現できなくなったわけですけれども、しかし、その目標自体はしっかり守らなければいけないと。そして、日本の家計の金融純資産残高よりも国債残高が増えていくということで、今までのような日本国債の国内での消化ということも困難になっていく。それはまた金利のはね返りの可能性もあるということで、そのリスクも考えるべきだというような話が交わされました。

 これが紹介する最後のディスカッションですけれども、アメリカの財政も拡大的だ、財政赤字が拡大している、1.5兆ドルのデフィシットが生まれる云々の話です。それから、イタリアでも与党が負けて財政拡大の動きがありそうだと。では、日本でどう考えたらいいのかということで、それに対する議論の回答として、公共投資をしてもそれは一過性の効果しかない、財政の乗数効果は長い目で見れば小さくなってきている、したがって、公共投資をしたからといって十分に景気が下支えされるわけではないといった話がありました。それと同時に、財政支出としてはもっとワイズスペンディングというか、大切にすべき産業や必要な子育てにお金を回すべきだというような話がありました。

 ということで、熊谷さん、大島さんから2つの話をいただいて、熊谷さんからは財政健全化の意義というのをどう考えたらいいのかという思考チャンネル、それから大島さんからは日本国債の持つ潜在的なリスクをどう見極めるかという話があったということでした。

 以上です。

〔幹事〕 主計局の話ではないのですけれども、今般の文書改ざんについて、本日の会合では全く意見が出なかったということなのですか。

〔田近分科会長代理〕 そのような事態の中でこの会議をしているのだということに対する委員からの意見はありました。ただ、そのような状況のもとで議論しているということを我々は念頭に置きつつ、先ほどから申し上げているように、財政健全化の新しい指標を作っていこうというところで、それ以上、この分科会としての対応がどうのという問題でもないですから、そのような状態の中で5月に向かって仕事をしていこうと、そういった形で議論をしていきました。

〔幹事〕 田近先生としては、今回の問題についてどういった御見解でしょうか。

〔田近分科会長代理〕 今、私は分科会の会長代理として務めていますが、昨年の11月に建議を提出して、そして「経済・財政再生計画」がこの2018年度に中間評価を迎えると。そこをしっかりと見極めて、実現が困難になった2020年度の財政健全化目標をどのように立て直すかと、新しい方向性をどう定めるか、それに邁進していきたいというところで、財審のこの分科会としては、やはり昨年11月の建議を踏まえて我々の使命を全うしたいということに尽きると思います。

〔幹事〕 すみません、質問の趣旨としては、このような事態についてどのように会長代理として思われるかということなのですけれども。

〔田近分科会長代理〕 ですから、本日の、私のこの記者会見でのお答えというのは、財審としての5月までの使命が何か、それに向けて今回キックオフしたということを記者会見で説明する、それが私の仕事なのかなと思います。

〔質問〕 財政の話をこれから進めていくというお話でしたけれども、2018年度の診療報酬改定が、財政が厳しい中で0.55%の診療報酬本体プラスになったことへの分科会長代理としての受け止め方をお伺いできますでしょうか。

〔田近分科会長代理〕 これはもう11月にも申しましたけれども、時間が経っているので改めて申し上げます。社会保障関係費全体の目安は実現できたと。しかし、その中身を見ると、財審としては、診療報酬のところでは本体部分のマイナス改定を提案したわけです。したがって、枠だけで実現できたからいいわけではない。特にそれは中間目標であるわけですから、将来的に見るとやはり診療報酬を含めてさらに踏み込んだ改正が必要だと私は思いますし、それが財審のスタンスだと思います。

(以上)

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